(1) 日刊『中・高校教師用ニュースマガジン』(中高MM)☆第2132号☆
■「プロジェクト志向でいこう!」(35) 若槻 徹(島根県)
◆研修講座の講師を
先日、県の教育センター主催の生徒指導関係の研修講座の講師をさせてもらう経験をしました。「積極的な生徒指導」と「情報モラルと生徒指導」の2つの内容を中学校と高等学校の先生方35人に60分で話すというものでした。(中略)
◆講義の内容(分かりにくいかもしれませんが、メモを紹介します。)
1.講義の流れの確認
2.少し長い自己紹介(未来教育プロジェクト学習や情報教育の実践の紹介)
3.今の職場「県の生徒指導推進室」の紹介(写真で)
4.積極的な生徒指導とは?
(1)お隣で相談タイム
(2)発表
(3)「生徒指導」の説明(図式化して)
・学校の教育目標を達成するための重要な機能の一つ
・「一人一人の生徒の個性の伸長を図りながら、同時に社会的な資質や能力・態度を育成し、さらに将来において社会的に自己実現が出来るような資質・態度を形成していくための指導・援助であり、個々の生徒の自己指導能力の育成を目指すものである。」(文部省「生徒指導資料集第20集」)
(4)生徒指導の方向は?
「いじめ・問題行動・不登校への対応」だけでなく「子どもの内面に目を向ける」「心身の発達・成長を援助する」という考え方が今後必要です。「規則・規律の指導」だけでなく「生き方の援助」が大切です。
(5)生徒指導の充実を
「教師と生徒の信頼関係及び生徒相互の好ましい人間関係を育てるとともに、生徒理解を深め、生徒が自主的に判断、行動し積極的に自己を生かしていくことができるよう、生徒指導の充実を図ること。」(中学校(高等学校)学習指導要領 総則 )
(6)これからの生徒指導は?
【これまでの生徒指導】
・問題行動が起こってからの対応(後追いの指導)が中心→問題行動が繰り返される
・学校体制としてではなく、一部教員のみが対応→中心となる教員の異動により荒れが繰り返される
・個への指導が重視され、集団への指導が不十分。
【これからの生徒指導】
・学校生活が有意義で充実したものになるように指導・支援 ※未然防止だけでなく、より積極的に
・組織的な学校体制で対応 ※一人では対応できない時代
・すべての生徒が対象 ※学級、学校全体へも
【これからの生徒指導】=積極的な生徒指導
(7)生徒指導の3機能
○自己存在感・・・がんばりを認め、勇気づける
○自己決定・・・生徒会とタイアップ
○共感的人間関係・・・教師も生徒と一緒に取り組む
(8)「積極的な生徒指導」を進めていくには・・
★生徒との関わり方(生徒理解)が大切
・よさを見つける ・聴くことが大切
★専門的な知識やスキルを身に付ける
・教育相談 ・思春期の理解 ・今日的な課題
★問題行動への対応ももちろん重要!
(9)問題行動が起こったら・・・
● ピンチはチャンス!● 親身になって!● 保護者と信頼関係!● チームで対応!
指導上の心得
・問題行動だけではなく、その子がなぜそのような行動を起こしたのか考える。
・暴力という行為を叱っても、暴力を引き起こした感情や動機は否定したり叱ったりしない。
・叱ることは必要だが、叱ることですべてが解決するわけではない。
・罪を憎んで人を憎まず。
(10)「生徒指導」の今日的課題 …「情報モラル」「特別支援教育」「保護者対応」
5.「情報モラル」と生徒指導について
ここでは詳しく紹介しませんが、以前作成したパワーポイントの一部を使い、新しい情報も盛り込んだプレゼンを行いました。
以前のものはこちらに掲載してあります。
講義の中で「ちょっと待って、ケータイ」という動画(DVD)を紹介しました。エルネットで上記のタイトルを検索するとWeb上で見ることができます。
☆★☆ コメント ☆★☆
さすがである。興味深く読むことができた。個人的には、生徒指導観の転換とともに、ネーミングも一考の余地があると考えている。
(2)・kyositu.comニュース【小学校教育総合情報誌】・・★ ....2008-12-08<MON> [vol.947]....
┃1┃ 悩みにお答えします 神奈川・横浜市立中沢小学校 (初任研担当) 野中 信行
私も、二十代から三十代にかけて、1年生を4回受け持ちました。
現在は、初任研担当教師として、1年生(40名)の担任の先生の指導をしています。
私は、1年生を「その場、おもしろ、理想主義者」と名付けています。1年生は、「その場主義者」であること、「おもしろ主義者」であること、「理想主義者」であること。この3つをつづめて上記のように名付けています。
「その場主義者」とは、今、ここで、生きている存在だということです。 褒めることも、叱ることも、「その場」ですることです。ノートに丸をつけてあげることも、ドリルに丸をつけてあげることも、「その場」が効果的なのです。あさってに三重丸をつけたノートをもらっても、ほとんど忘れてしまっています。
「おもしろ主義者」とは、おもしろいことや笑うことが大好きな存在だということです。ちょっとしたおもしろいことや先生のおもしろい話が大好きです。
「理想主義者」とは、先生が指し示す目標を強く実現したいと願っている存在だということです。その子供が、先生と通じ合い、信頼していれば、どこまでも先生について行くことができるでしょう。
この3つのことを意識した教育実践さえできていれば、クラスは自然に落ち着いてくるはずです。
さて、悩み相談の先生が、一番の悩みにあげておられる、一部の子供たちがルールを守れていない現状のことについてです。その子供たちは、きっと幼稚園、保育園でも手を焼いていたはずです。家
庭での育て方に問題が多々あるのだと思われます。
でも、どこのクラスにも、必ずそういう子供が、一部はいるのです。私が指導しているクラスにもいます。
先生は、「教材・授業展開の工夫」や「一人一人のよさを見つけ、引き出し、伸ばす」という工夫を実践されています。もちろん、このような工夫は必要ですが、相談の内容を読む限り、クラスは順調に推移していると思います。1年生は、特に時間が必要です。指導をしても、すぐに効果が現れることはありません。徐々に徐々に、指導の効果が現れてきます。
一部の子供たちには、包み込んだ指導を繰り返してください。ちょっとしたその子の良さを大げさに褒めてあげてください。その場でです。そして、クラスのみんなにも、「A君は、掃除ですみずみをきれいに掃除していました。素晴らしい。こんな働き者のA君みたいな人が、もっといっぱい出てきてほしいです」と大げさに宣伝してください。理想主義者である彼等は、喜んですみずみの掃除を始めるでしょう。
もちろん、叱ることを手控える必要はありません。夕立のように、さっと叱ることです。(時には、感情的に叱るなどがあっても、まったく問題ありません。)
1年生は、むずかしく、複雑ではありません。上にあげた3つのこと、ぜひとも実践してほしいです。
(3)JMM [Japan Mail Media] No.509 Monday Edition
■ 『村上龍、金融経済の専門家たちに聞く』
定額給付金の支給要綱の原案がまとまったようです。
全国民に一律1万2千円(18歳以下と65歳以上はプラス8千円)を配るというこの政策を、どう考えればいいのでしょうか。
■ 真壁昭夫 :信州大学経済学部教授
定額給付金の支給は一人当たり12000円プラス、18歳以下の子供と65歳以上の高齢者にそれぞれ8000円が加算されることになりました。議論のあった所得制限については基本的に設定せず、制限を希望する市町村があれば、独自の判断で可能という仕組みと決められました。
この支給方法によると、一家4人の家族で子供が18歳以下であれば、全体で64000円の給付金がもらえることになります。景気の後退が鮮明化して失業率が上昇し、年末の賞与も前年対比でマイナスが予想される現状を考えると、多くの家庭にとって、「ありがたい臨時収入」となることは間違いないでしょう。
問題は、その経済的な費用対効果です。今回の給付金は約2兆円になると試算されています。この金額は、財政赤字に苦しむわが国にとって、決して小さな金額ではありません。しかも、給付金の財源は、いずれかの段階で増税や赤字国債の増発に繋がる可能性は高いと考えられます。
特に、今回、麻生首相が、消費税率引き上げの議論を持ち出したこともあり、国民の頭の中には、「一旦払った税金が一時的に帰ってくるかも知れないが、いずれ、その分を税金の格好で負担することになる」との意識が強いのではないでしょうか。給付金を受け取った人は、安心してそれを使うことが難しくなるでしょう。それでは、景気刺激策としての有効性はかなり限定的となることが懸念されます。
また、給付金を巡る議論の中で、所得制限を設定するか否かについて激しいやり取りがあり、閣僚の中でも意見が割れていました。最終的には、「国は制限を設けないが、地方公共団体が制限を付けることは出来る」という曖昧模糊とした決定になりました。そうした状況は、給付金を受ける側にも、すっきりしない印象を与えてしまうことが懸念されます。
最近の世論調査の結果を見ると、定額給付金について3割強の人が「評価する」とした一方、約6割の人が「評価しない」と答えています。給付金を受ける側のマインドはかなり冷めているということでしょう。景気対策については、経済的な効用もさることながら、人々の心理面に与える影響も無視することは出来ません。経済専門家の一部からは、「給付金支給は、既に手垢の付いた対策になってしまった」と辛口の指摘を行う人もいます。
人々の心情として、最も関心の高い社会福祉や年金などの問題を放置して、一時的に税金の一部を還付することに大きな意義はないとの意識は高いと思います。また、「今回の給付金は、選挙での集票を狙った経済政策の一つ」との見方も根強いようです。知り合いのベテラン新聞記者の一人は、「見え透いた選挙対策」と酷評していました。選挙の実施時期が当初の想定よりも遅れることになっても、一度言い出した事なので、今さら取り下げることが出来なくなり、実施せざるを得ないのではないかと付け加えていました。事の真偽は兎も角として、多くの人が、多かれ少なかれ、そうした認識を持っていることは確かです。
こうした状況を考えると、給付金の支給については、2兆円の費用に対する効果が期待できるのかどうかは疑問符がつくところでしょう。“100年に一度の金融危機”のさなかにあって、人々に十分な安心感を与える政策とはいえないと考えます。 信州大学経済学部教授:真壁昭夫(以下略)
☆★☆ コメント ☆★☆
私の大好きなMMであるが、その中でもこの「金融経済の専門家たちに聞く」が良い。今回は、誰にもわかりやすい「定額給付金」の評価。専門家がどう答えるかとても興味深い。