(1)知らなきゃ損する!面白法律講座 2008年12月15日 第463号
「犯人でもないのに自首すると虚偽告訴罪?」
□問題□
留置場の飯食にありつこうと考えたAは、最近話題になっていた殺人事件の犯人が迷宮入りしているのを利用して、自分が殺人犯であると警察に自首した。この場合、Aに虚偽告訴罪(刑法172条)が成立するだろうか。
1. 虚偽告訴罪が成立する。 2. 虚偽告訴罪は成立しない。
□解答□
2. 虚偽告訴罪は成立しない。
虚偽告訴罪が成立するためには、「人に刑事又は懲戒の処分を受けさせる目的」があることが必要です(刑法172条)。そして、刑罰法規において「人」とは他人を意味し、行為者自身は含まないとされています。
Aは、誰か他の人にではなく「自分に」刑事処分を受けさせる目的があるだけですから、虚偽告訴罪は成立しないことになります。
(2)【教育記事から教育を考える】 2008年12月12日(金)作者:中土井鉄信
【記事】大阪・公立の小中高、携帯禁止…橋下知事方針
読売新聞(2008年12/4)より以下抜粋
○大阪府の橋下徹知事は3日、来年3月までに政令市(大阪、堺両市)を除く府内の全公立小中学校で携帯電話の持ち込みを禁止する方針を明らかにした。
○府立高校では校内での使用を禁止する。携帯サイトの利用をきっかけにした犯罪やいじめの増加などを受けたもので、文部科学省によると、携帯電話の校内への持ち込みや使用を都道府県単位で禁じるのは初めて。
○橋下知事は、この日の記者会見で「学校に携帯電話は必要ない」と強調。「携帯電話への依存度が高くなれば、学習時間が短くなる」と学力向上策でもあると説明した。 (以下略)
*私からのコメント
◇今回の橋下府知事の携帯電話の学校持ち込み禁止は、当然のことだ。記事にもあるように、小中学校の約90%が、持ち込み禁止をしている現状なのだから、それほど、驚くことではないが、この禁止令が、注目される現状に、驚きを感じる。学校単位の決定では、今は生徒や保護者が言うことを聞かないのだ。だから、こんな決定が、注目されるのだ。
◇元来、学校は教育機関だから、強制力を必要とするものだが、ここ30年来、どんどん学校の強制力が殺がれてきた。その結果は、最近の子どもや保護者の傍若無人な振る舞いが、如実に表している。
◇信じたくはないが、多分、携帯電話を授業中に操作し、メールを行い、全然授業に集中しない生徒が、数多くいるのだろう。学校の指導力がない現状で、橋本府知事が、今回の決定を行うのは、それは、それで致し方ないことだ。出来れば、学校単位で地域の実情に合わせて指導方針を決定してほしいところだが。
◇今回の決定で、一つ注文したいことがある。それは、学校から携帯電話を追い出して、それで一件落着としてほしくないということだ。携帯電話でのコミュニケーションのあり方を徹底的に教えてほしい。コミュニケーションツールとしての携帯電話のあり方をこの際、徹底的に学校で教えることだ。このことをぜひ、お願いしたい。
◇メール依存症のような状況が、大人にも子どもにもある。本当にコミュニケーションしているのかどうなのか、全く分からない状況が、どんどん蔓延している。そんな社会をもう一度、しっかり見つめ直すきっかけに、今回の橋本府知事の決定をしたいものだ。携帯電話からの自律を私たちは、しなければならない。そういう方向性の一つであると今回の件を捉えたい。
☆★☆ コメント ☆★☆
橋下知事の発言には「エッ!」と思うことが多いが、こと、携帯電話に関することは、素直な思いであることが理解できる。校内での携帯の禁止は我々から見ると当然のことであるが、大阪の一部では授業が成立しない現実があるのであろう。その象徴が「携帯禁止」になったと思われる。
8 研究会情報
(1)伊那市立伊那小学校 公開学習指導研究会
平成21年2月7日(土)
「内から育つ」〜「ひと、もの、こと」との関わりを深めながら、自らを高めていく子ども〜
受付 8:00〜8:40