第328回 社楽の会報告    第327回へ     第329回へ   TOPへ
                                                             
報告者  土 井
 2010年6月3日(木)布袋北学習等供用施設にて社楽の会を開催しました。参加者(勤務校)を紹介しましす。
 参加者は、土井(江南市教委)、奥村先生(岩南小)、早川先生(藤里小)、天野拓先生、森先生(大南小)、松田先生(曽野小)、大島先生(草井小)、浅井先生、坪内先生(岩倉中)、小澤先生(扶東小)、杉田先生(扶北中)、吉田先生(古西小)、阿部先生(江西中)、尾関先生(岩北小)の計14名でした。

☆ 今回も、それぞれが調べた「日清・日露」の情報交換、中学校地理的分野「地方の特色」のどこにテーマを絞るかについて話し合いました。

 土井が提案したものです。番号をクリックしてください。

  愛知教育大学附属名古屋小学校社会科分科会助言メモ
 教師力アップセミナー 赤坂真二氏−2−  ブログより
  「平成22年度における子ども手当の支給に関する法律」等の施行と学校給食費の未納問題への対応について
   証券市場の仕組みと役割
  役立ちWeb特集  
  教育関連情報   
  MM紹介
8 研究発表会


 愛知教育大学附属名古屋小学校社会科分科会助言メモ

 助言者として依頼された助言のために、事前に準備しておいたメモを紹介します。
 当日は、授業を見て、この中から抜粋し、また新たに加えて話しました。

第3年3組 社会科  
男17名 女20名 計37名
 
小学校社会科第3学年及び第4学年の目標と内容より
(1)地域の産業や消費生活の様子,人々の健康な生活や良好な生活環境及び安全を守るための諸活動について理解できるようにし,地域社会の一員としての自覚をもつようにする。
(2)地域の地理的環境,人々の生活の変化や地域の発展に尽くした先人の働きについて理解できるようにし,地域社会に対する誇りと愛情を育てるようにする。
(3)地域における社会的事象を観察,調査するとともに,地図や各種の具体的資料を効果的に活用し,地域社会の社会的事象の特色相互の関連などについて考える力調べたことや考えたことを表現する力を育てるようにする。   ↑
                   → 比較思考・関連思考
 
【 感 想 】
理論 横文字や造語が氾濫する中、わかりやすい言葉で伝えようとしている姿勢がよい。
   社会科の王道である問題解決的な学習スタイルであることにも安心。
    最近、知識を効率よく伝えようとする授業が多い。
   社会科は、自分の生活(社会)を改善できる人間の育成をねらっている。
  =公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養う。
     そのためには、問題解決の場が必要。

【 展開の時間 】
展開が、5分、15分、15分、10分 に分かれていた。
 5分は「いただきます。」「知りたい、考えた」と思えばよいので、シンプル&インパクトでよい。
 途中は食べる。
 最後の10分は、「ごちそうさま。」何がおいしかったのか、コーヒーでも飲みながら振り返る世界。

【 社会科は活用型教科 】
○ 社会科は授業づくりの自由度が他の教科に比べて高い。
 ゆえに活用型の教科といえる。だからこそ、専門的な力量が必要。
「小学校学習指導要領 社会科 解説」
P1〜P107の本文中に、「習得」が8回、「活用」が193回、「探究」が2回出てくる。「活用」は社会科がダントツに多い。本来、社会科は「活用型」の教科。「探究」は事実上、ゼロ。
「小学校学習指導要領 国語科 解説」「習得」が10回、「活用」48回、「探究」が2回
「小学校学習指導要領 算数科 解説」習得3+1 活用 53回+88 探究 3+1
「小学校学習指導要領 理科 解説」習得4 活用 59    探究7
 
【 評価が変わった 】
評価が変わった。
 「思考・判断」が「思考・判断・表現」
 「技能・表現」が「技能」
  これは、言語活動の重視の結果。
 資料活用の技能は、「表現」がとれたので、より情報収集の比重が増す。
 考えて判断したことを、短い言葉で表現させたい。
 
【 生活科と社会科 】
 生活科と社会科は具体と抽象
 ある学校では、3年生で グーグル 航空写真とMAPを併用。クリックで地図に変わる。児童は理解していた。航空写真 → 絵地図 → 地図 は抽象化の過程
 生活科:地域にある事象は、どこに何があり、自分とどう関わっているか
 社会科:事象から地域全体を理解、視野を広げ、地域に対する誇りや愛情を育てる
 
新教育課程・実施に向けての参考資料 「小学校社会」
「古くからの建造物」が加えられ、「方位や主な地図記号」を扱うこと。単元「学校の周り」は、これからの社会科学習の目次的な役割を与えられるものであり、生活科との違いは地理的にとらえること(面としてとらえる)ことにある。「古くからの建造物」は歴史(時間的な見方)の置き石として調べさせるもの
 
【 考えの再構築 】
考えの再構築 
 対立を超えた合意形成・優先順位を求めている。
  その判断基準は「効率と公正」
文部科学省の政策評価の観点
  1.必要性、 2.効率性、 3.有効性、 4.公平性、 5.優先性、 6.相当性 
本来、「考えを再構築」→ 対立を超えた合意形成
     活用         優先順位を付ける その基準 公平・効率
 その意味で、再構築の場が16時間の最後にあるのは無理がないか
 
【 「みんなの課題」の視点 】
 @ 施設 A 住宅 B 交通 でよいのか? 他にも出そうである。
  ひょっとして、○ 歴史的 ・ 前には何があったの?
                 なぜこんなに広いの?
                 古くからあるものは何?  が出たら?
               1997年 三菱重工名古屋工場にナゴヤドーム
               2006年 JT名古屋工場の跡地にイオン
 指導要領に「古くからの建物」が追加された 八幡神社(200m北)H11年に鉄筋。
南には上野天満宮、永光院 
         ○ 自然  ・ 矢田川、河川敷、茶屋ヶ坂公園        
                 大幸(だいこう)公園、   
         ○ 学校  ・ 附属中、矢田中、名古屋中高校、至学館高校など
○ 施設  ・ 鍋谷上野浄水場(名古屋市最初の浄水場 大正3年)
      ・ 守山自衛隊、三菱電機の工場 1924年 関東大震災の翌年 
 確か、大幸(だいこう)球場が1981年まで、ナゴヤドームの東側にあった。
 3つの視点を、3つにまとめる価値はあったのか?
 多様な見方を、狭くしたのではないか?
 
【 観察力 】
 小学校:観察・資料活用の技能  中学校:資料活用の技能
 小学校の「観察」が重要
  観察は?(「解説」P.20)
   1 ありのままに、2 数や量に着目、3 観点に基づいて、4 他の事象と対比
   5 諸条件と関連づけて
・「違い」二つを比べる
・「変化」一つの変化を比べる
・「特徴」知を総動員する。
 
Q 実際の見学には、どんな視点を与えたのか?その前にどれだけ種を蒔いたのか?
  または、生活科でどこまで見学しているのか?
感想:指導案を見る限り、子どもたちの地域への愛情が感じられないが…。
まちの「ひみつ探し」「まち自慢」を見つけると、誇りと愛情につながる。教師が、まちが好きかどうか
 
【 工夫・努力 】
☆ 社会科は、人々の「工夫(知恵)や努力(汗)」がテーマ。大前提であって結論ではない。
  共通視点と言うには安易すぎないか?すべてに当てはまる。
  どんな工夫・努力をしているかを探って、その中で原理・原則を見つける。
 
【 社会科は人 】
☆ 社会科は人をからめたい。顔が見える社会科だ。3回の法則というのがある。3回出会うと、 心理的距離が近くなる。それが、郷土への愛情につながる。 
・見学で説明を聞いた人がいれば、その顔写真を貼って上手く利用する。
  「北には鈴木さんがいる○○がある。」
 
【 目標の書き方に疑問 】     
○ 「本時の目標」では、手段と目的を混同している。 
授業の本質は学力の向上
 授業前に比べて、この時間で向上すべきことは何か。それをここに書いてほしい。
 内容を具体的に書くべき。
・ 関心・態度の対象は社会事象であり、授業ではない。
 
【 比較と関連 】     
社会的思考には5つあるが
 中学年の思考は比較思考関連思考。
  比較思考 同じカテゴリーの中で共通点・相違点を比べる  カブトとクワガタ
  関連思考 違うカテゴリーのものでつながりを調べる    クワガタとクヌギの木
 
紀要文章中の「関連づける」は関連思考ではない。
   あくまでも社会事象と社会事象を関連づけること。
  比較思考は、特徴を明らかにできる。
 
【 3つの視点をどう再構築するか 】     
・ 3つの視点、赤 青、黄 を交流させると「赤、青、黄がありました」になるのはだめ。単なる事実認識。紫や 緑、だいだいになって「関連づけたことになる」
・ 関連づけるには方法がある。
  そこに、「図示」と「なぜ、どうして」という「発問」が登場する
施設
                  この線を考える。赤と青なら、紫のような答えを。
                    そして、3本の線をまとめる
住む     交通
 
【 虫の目・鳥の目 】 分析・総合
中学年は総合が難しい → 虫の目を鍛えたい。
   総合は抽象化      観察力
@ 学校の校舎の向きは? 有数の文教地区。
A 黒板の方角は決まっている?
B 神社はどっち向き? だいたい南向き。東大寺は?南向き
 狛犬は、東側が阿形(口をあいている)で西側が吽形というのが多い。
 靖国神社は東北東。
 公認野球規則には「本塁から投手板を経て二塁に向かう線は、東北東に向かっていることを理想とする」と書いてある、と。
  自由の女神は、南南東
C 衛星放送のアンテナ 南西
  しかし、テレビのアンテナは、名古屋はテレビ塔に向いている。  
D 長母寺(ちょうぼじ)
 1179(治承3)年に山田重忠が創建したお寺で、重要無形民俗文化財に指定されている、太夫が扇子を持って祝詞を唱え、才蔵たちが鼓を叩いて合いの手を入れたり、三味線などの楽器を演奏する舞台芸「尾張万歳」の発祥の地。
 
【 振り返りの場 】
○ 授業の本質は、学力の向上。
   前と後で向上的に変容していること。
   今日で、何をつかんだのか。自分の言葉で振り返らせたい。メタ認知をさせたい。  


 教師力アップセミナー 赤坂真二氏−2−  ブログより
 前回に続きます。
 
例で紹介したT君は、何のためにナイフを持ったのでしょうか?
大都会からの転校生でいじめやからかいの対象になっていた彼が、ナイフを見せたことで仲間として受け入れられ、彼自身の居場所ができたのです。
以後、授業妨害をする側に回りました。
原因と共に、彼の目的が見えてきました。
そこで必要なのが「勇気づけ」なのです。
−1−で紹介しましたが、アドラー心理学では、技法として「勇気づけ」を重視します。
子どもたちのさまざまな問題行動は、勇気をくじかれた状態と考えます。
勇気づけにより、適切な行動の意欲が生まれ、適切な言動が生まれ、共同体とつながるようになるのです。
勇気づけ(傾聴、アサーションなど)により、潜在能力が掘り起こされ、自尊心につながり、共同体感覚が生まれるのです。
T君の場合、構わず授業を始めたことが転機となりました。
不適切な行動には注目しないのです。
その一方で、わずかに見せた適切な行動に対して注目し、彼の居場所を変えていくのです。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
こうして、人とつながる方法を教えていきます。
講演の中で、赤坂先生はオペラント学習の話をされました。
オペラント学習とは?
オペラントは「施す」ということです。
オペラント学習は、「施す何か=オペラント」によって、ある行動が出現する頻度が変化することです。
よく、箱に入ったネズミの実験で説明されています。
レバーを押すと餌が出てくる装置の箱に、ネズミを入れます。たまたまレバーを押したネズミは、餌を得ることができました。すると、レバー押し行動は、徐々に増えていきます。学習したのです。
この餌のことを、「強化子」と呼びます。
すなわち、「勇気づけ」という強化子により、「適切な行動」を増やしていこうというものです。
 
学級づくりの診断にQ-Uを活用しているところが増えてきました。
『楽しい学校生活を送るためのアンケート』というもので、多くのデータから裏付けられた優れものです。
Q-UのHPから、その説明を引用してみます。
【出典】http://www.toshobunka.jp/eigyo/q-u.htm 
 
Q-Uでがわかること
子ども個人と、学級集団の情報から、不登校、いじめ、学級崩壊などの問題に対応するデータが得られます。
・不登校になる可能性の高い子どもはいないか
・いじめ被害を受けている可能性の高い子どもはいないか
・各領域で意欲が低下している子どもはいないか
・学級崩壊に至る可能性はないか
・学級集団の雰囲気はどうか
以上のような、情報が得られます。
 
アンケートの結果を集約すると、次のような表に表すことができます。
それぞれのカテゴリの簡単な説明は下記の通りです。
<学級生活満足群>
学級内に自分の居場所があり、学校生活を意欲的に送っている児童・生徒
<非承認群>
いじめや悪ふざけを受けてはいないが、学級内で認められることが少ない児童・生徒
<侵害行為認知群>
他の児童となんらかのトラブルがある可能性が高い児童・生徒
<学級生活不満足群>
耐えられないいじめや悪ふざけをうけているか、非常に不安傾向が強い児童・生徒。特に要支援群の児童・生徒はその傾向がさらに強く早急な支援が必要。
以上が引用です。
おおよそ、右上に固まっていれば、問題が少ないクラスということになります。
さて、赤坂先生のクラスは、最初はどうであったか?
 
比較的、学級生活への意欲は高いが人間関係でトラブルを持っている子や被害者意識の強い子、自己中心的な子が多いことがわかります。
また、学級がおもしろくない子も少なくありません。
 
このQ-Uを開発した河村茂雄先生は「学級づくりで、集団も学力も伸びる」と断言しています。
その「集団が伸びる」とは何が伸びるのでしょうか?
 
赤坂先生は次のように考えています。
「良好な人間関係」を作るのは大切だが、それがゴールではない。
トラブルが起こっても、自分たちの力で解決していこうとする「自治」を目指すべきだと。
 
「教育基本法」の第一条に「教育の目的」がかかれています。
そこには公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画しとあります。
「良好な人間関係」の先には、「社会の形成者」の育成というゴールがあるのです。
では、具体的にどうするか?
 
集団づくりのゴールを「自治」に置いた赤坂学級。その方法が「クラス会議」なのです。
新学習指導要領 中学校社会科には、次のように書かれています。(引用)
 
公民的分野では,現代社会の理解を一層深めることを重視して,人間は本来社会的存在であることを踏まえ,社会生活における物事の決定の仕方やきまりの意義について考え,現代社会をとらえるための見方や考え方の基礎として,対立と合意,効率と公正などについて理解する学習を取り入れた。
 
これは、教育基本法 第2条三 の次の条文がベースにあります。
 
正義と責任、男女の平等、自他の敬愛と協力を重んずるとともに、公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。
 
その手法が対話であり、価値観を共有しない人と共存する技術なのです。
この具体的な実践が「クラス会議」なのです。
 
クラス会議は次の流れで行います。
1週間しか縛りがないのが優れものです。
クラス会議で決まったことは、実際にやってみて、1週間後には見直しが行われます。
 
さらに、クラスの問題は多数決で、個人の問題は個人の判断に委ねられます。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
さて、どんなことを話し合うのでしょう。
例えば・・・
子どもらしい、たわいもないことです。
こうして、みんなで決めて、みんなで実践し、みんなで見直す経験が、民主国家の構成員を育てていくのです。
 
さて、こうして育てた赤坂学級のQ-Uはどうなったのでしょうか?
さすがです。
 
これまで、赤坂真二先生の講演内容を紹介してきました。
本物は、ユーモアたっぷりで、時間があっという間に過ぎていきます。
興味を持たれた方は、ぜひ本物の赤坂先生に触れてください。
 
 




赤坂先生のhp http://manabiai.g.hatena.ne.jp/shinji-akasaka/ 

 「平成22年度における子ども手当の支給に関する法律」等の施行と学校給食費の未納問題への対応について

 証券市場の仕組みと役割
5月22日に行われた、金融経済教育研究会  赤峰 信 講習会の報告をします。
いきなり問題です。
 
仮にトヨタ自動車の株を買ったとします。その金はどこへいく?
 
みなさんどう思いますか?
何人かに聞いてみたら、ほとんどが「トヨタ自動車」という答えでした。
しかし、トヨタ自動車には1円も行きません。
エッ、なぜ?
と思った人は、先へ進んでください。
 
そもそも企業が資金を集めるにはどうするのか?
銀行からお金を借ります。ただし、担保が必要となります。
 
そこで、株式を発行し、投資家からの資金を集めるのです。
それが株式会社です。
その仲介を行うのが、証券会社です。
 
よく、「株式を公開し、広く資金を集める会社」と説明されていますが、それは誤りです。
全国に120万社ある中で、株式を上場(公開)しているのは3,700社だけです。
知られた中では、サントリーやJTB,竹中工務店などは非上場会社です。
 
株式会社のメリットは?
1 投資金額を小さくする:多くの人が投資しやすくします。
2 会社が倒産しても、投資した金額以上の責任はありません。:有限責任といいます。
3 いつでも売ることができます。
 
株主にはいろいろな権利が与えられます
株式会社が、初めて、または追加して株式を発行して現金を得るのが発行市場です。ここで株を買ったお金は、会社に入ります。
しかし、株式が上場され、証券取引所(流通市場)で買った株のお金は誰の所にはいるか?
もちろん、売った人のものになるわけです。
 
続きます。この続きはブログで見てください。


 役立ちWeb特集 
(1)教職員等の選挙運動の禁止等について(通知)
 
(2)自転車でUSBバスパワー、USB対応のダイナモ
 自転車を漕いで内蔵バッテリを充電、電力をUSBバスパワーとして出力できる自転車用ダイナモが登場。フル充電には、時速15kmで2〜3時間走る必要があり、その後「携帯電話を10分間充電すると5分程度通話できる」電力を供給できるという。
 
(3)大気中二酸化炭素濃度は過去最高
気象庁が温室効果ガス観測を実施する国内観測地点において、2009年の年平均大気中二酸化炭素濃度は過去最高に。また、2010年4月の大気中二酸化炭素濃度は、観測開始以来の最高値を記録。
 
(4)小中学校のデジタル教科書実現に向け「デジタル教科書教材協議会」発足
小中学生、高校生、大学生、一般教材などのデジタル教科書実現に向けデジタル教科書教材協議会が発足。(1)デジタル教科書・教材の要件の検討、(2)ビジネスモデル、普及方策の検討、(3)実証実験の企画・実施、(4)そのほかの課題整理・検討・提言を行なう。
 
(5)6,500冊超の書籍が読める電子貸本サービス
iPadで小説・実用書、写真集など、6,500冊を超える電子書籍コンテンツが読める電子貸本サービスがスタート。iPadだけでなく、パソコンや他の情報端末でも同じ作品を読むことができる。1冊100 円で、48時間〜無期限の閲覧可能。
 

6  教育関連情報
(1)尾北高卒業生狙い振り込め詐欺多発(愛知)
 江南署管内で、5月11日から6月1日までに「振り込め詐欺」の被害や未遂事件が計32件相次いでいることが分かった。県立尾北高校の卒業生宅を狙ったケースが多く、同署で注意を呼びかけている。 http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news2/08/20100603-OYT1T00047.htm?f=k 
 
(2)教員免許、無料で更新講習 8月から岡崎市(愛知)
 岡崎市教委は1日、国が昨年度から始めた「教員免許更新制度」の講習を、8月から
市が独自に全額無料で実施する方針を明らかにした。市議会一般質問で江村力教育長が

 MM紹介
(1)メールマガジン「学びのしかけプロジェクト」5号 2010年6月1日発行
1 「観」とは?   「ライフヒストリー」編集委員     三重大学     森脇 健夫
 
 「観」とは何か?その定義については、私は『授業づくりネットワーク』2010年3月号で簡単に次のように書きました。「教師の内的世界を統一する核となるのが『観』である。つまり、授業観、子ども観、さらには知識観や人生観など、こうしたものの集合体が『観』となる」。
 そこでは抽象的に定義をしてしまったのでわかりにくいかと思います。
 少し基本的なことを補足しますと、教師の「観」ですが、ライフヒストリーアプローチ(私はLHAと略すこともあります)においては、インタビューなどを通してこれに迫る、ということが、だいたいにおいては、前提となっています。
 
 つい先日のことですが、「観」についてあらためて考えさせられる経験があったので、それをご紹介したいと思います。
 
 それは「話すこと、聴くこと、そして書くこと」について、ある附属小学校の副校長先生とお話をしていたときのことです。その附属小学校においては、入学時に抽選を主にして合格者を決めていますが、6年次の学力・学習状況調査の結果においてはきわめて高い学力を身につけることが示されています。とくにB問題において力を発揮することができています。
 B問題の得点の高さのことについて、いくつかの要因があると思われるのですが、その一つが、学校において、小学校1年生からあらゆる場面において書くことが求められ、書く経験をたくさんするということが挙げられます。書くことに対する「拒否感」をあらわす児童質問紙調査項目もあるのですが、そこでも全国平均と比べて、圧倒的にこの学校の子どもたちに書くことにたいする拒否感のないことが示されています。
 この話題について副校長先生は次のような話をされました。
 
 「低学年で話す、聴くを指導するときに、聴く方の子どもに話し手の方を見て聴くこと、を指導することが多い。話す人の顔を見て聴きなさい。でもうちはそう指導しない。メモをとらせるから。話し手である子どもの顔を見ないでメモをとっている。相手の顔を見ないので、一見聴いていないように見える。そこで転任してきた先生からは、やはり『相手の顔を見て聴かせたほうがいいのでは?』『一年生にメモがとれるとは思えない』と批判がでる」
 
 話し手と聞き手の相互関係=受容関係を作りあげる、という観を持っている教師から見れば、聴き手が話し手の顔を見ることは、初期ではとくに大事なことだと思います。しかし、副校長さんは、一年生からメモをとらせる、ことにこだわっていました。
「書くことは考えることです。相手の顔を見るよりも自分の頭で考えながら聴くことの方が大事です。メモは一年生からでも十分とることができます」
 
 ここにはさきほどの観とは違う観が示されています。つまり「相手との関係をつくるよりも自分の頭で考えながら聴くことが大事」だということです。話す相手を見ることを別に否定しているわけではありません。でもそれよりも大事なのは「考えながら聴くこと」だということです。
 
 書くこと、が学力と深くつながっていることは直感的に誰もが感じていることではないでしょうか?しかし、同時にその「書くこと」を継続的に系統的に指導・支援することはとても難しいことだとも感じていることだと思います。
 その際、それを支えるものが「観」だと思うのです。「話すこと」を中心にした表現力の重要性が叫ばれ、また一方で最近では「聴くこと」「聴き合うこと」の大切さが重視されるようになってきました。コミュニケーション力の育成はともすれば、「話す」「聴く」の系列だけの指導にとどまり、「読む」「書く」をどう位置付けるかについてはあまり論及されることがありません。最後のまとめを書いたり、ある課題について書いてから話すことはあるのですが、そこでは「書く」ことはいわゆる「思考の定着」のために使われることになりがちです。
 
 しかし「書くことが考えることだ」という観を持っていたならば、話は違ってくると思うのです。考えることはいつでもいかなる場合でも必要です。そのことを具体化した一つの方策が「メモ書き」だと思います。あともう一つ、子どもが書く経験を好きになる学習活動が「ノート作り」でした。「話し言葉で心を寄せる」ことと「書き言葉で心を寄せる」。書き言葉はけっして個人に封じられたものではなく、教師を介して他の子どもに伝えられる、とのことです。
 授業づくりネットワーク誌 → http://www.gakuji.co.jp/magazine/network/index.html  
 
(2)JMM [Japan Mail Media]                 No.586 Monday Edition
 ■Q:1113
 ギリシャの財政危機ですが、その影響はEUにとどまらず、世界的に広がっているようです。日本経済はどのような影響を受けるのでしょうか。
 
 ■ 真壁昭夫  :信州大学経済学部教授
 ギリシャは人口約1千万人、GDPは約30兆円の規模の小さな国ですが、ギリシャの財政悪化問題が起こした波紋は拡大しており、今後の世界経済にも大きな影響が及ぶことが考えられます。わが国にも、色々な経路を通って影響が出ることは避けられません。
 
 先ず、ギリシャ問題が、為替や株式などの金融市場に与えた影響を考えます。ギリシャの財政悪化によって、金融市場では、ポルトガルやスペイン、さらにはイタリアやアイルランドなどでも財政悪化が深刻化するとの観測が流れました。それに伴って、共通通貨であるユーロが大きく売り込まれました。一時期、1ユーロ=170円寸前まで強含んだユーロですが、足元では、1ドル=113円程度まで下落しています。
 
 準基軸通貨としての地位を築きつつあったユーロが大きく売り込まれた背景には、ユーロが抱える本源的な問題点があります。現在、ユーロは16カ国が参加していますが、それぞれの国が独立の財政政策を運営する一方、共通通貨と一つの金融政策によって運営されています。16カ国はそれぞれ、経済基盤や生産性、物価状況など異なった経済環境を持つにも拘らず、通貨と金融政策に自由度を持たないということです。そこには、元々、無理があったと思います。今回のギリシャ問題は、その無理を表面化させる結果になりました。
 
 また、ギリシャやポルトガルなどの信用力に懸念が出たわけですから、それらの国の国債の価格が下落し、流通利回りが急上昇しました。さらに、ギリシャなどの国債を購入する投資家が極端に減少したため、ギリシャの国債の借り換えに支障が出ました。そこで、ECB(欧州中央銀行)は、欧州諸国の国債を購入する支援策を実行しています。
 
 また、5月19日には、ドイツの政策当局が、特定の国債の空売りを規制する措置を取っています。こうした一連の動きによって、多くの投資家はリスクを嫌って、保有する金融資産の手仕舞いに走ったようです。そのため金融市場は不安定さを増幅し、一時、世界的に株価が急落する場面もありました。南欧諸国が抱える問題を解決するまでには、まだ時間を要するとみられ、当面、金融市場は不安定な展開を続けると見られます。
 
 また、金融市場では、主に欧州地域の金融機関に対する懸念が噂されており、そうした懸念がさらに深刻さを増すようだと、銀行間の資金貸借市場の機能が低下することも考えられます。そして、金融市場の機能低下がさらに進めば、リーマンショックのときのように、経済の必要なところに資金が回り難い状況になることが懸念されます。
 
 株式市場が不安定な展開になると、企業経営者や一般庶民のマインド面にマイナスの影響が及びます。また、負の資産効果の経路を通って、家計部門の消費を抑制する可能性が高まります。これらが実体経済に下押し圧力となって働くことになります。
特に、欧州では、ギリシャ問題の顕在化をきっかけに財政悪化に歯止めを掛けるために、財政支出を削減することが必要になります。既に、ギリシャでは、公務員の給料や年金支給額を減額する計画が公表されています。
 
 財政支出を削減するということは需要のマイナスですから、景気を減速させる作用があります。それと、金融市場の混乱によって金融機能の低下などの問題が重なると、世界経済の回復を阻害することが懸念されます。
 
 わが国の景気は海外経済の動向に左右される割合が高いため、欧州経済の減速は、わが国の景気回復を鈍化させる可能性が高いと思われます。また、為替市場で円高が進んでいることも、企業業績に悪影響を及ぼすことになるでしょう。わが国の多くの企業は、ユーロの社内レートを1ユーロ=120円程度を想定していたようですから、ここへ来ての対ユーロの円高傾向は痛手になるはずです。
 
 また、欧州経済のマイナスの影響が中国など新興国にも伝播するようだと、わが国に対する影響の度合いは一段と大きくなるでしょう。特に、中国経済は、現在、世界経済の回復過程を支える最も重要なファクターですから、その中国が、欧州経済の減速と、自国の不動産バブル対策の効果で大きく減速すると、今年年央以降、わが国の経済の減速傾向が顕著になることが考えられます。
                       信州大学経済学部教授:真壁昭夫
 
(3)◆ Vol.271      教育情報 Magazine/ある小学校教師の独り言
[1]「児童生徒の学習評価の在り方について(報告)」
 見出しのことについて,勤務校で配付した資料を紹介します。お役に立てば幸いです。
 
 指導要録の評価観点が変わるということは,通知表の観点が変わるということです(先刻ご承知のことと思いますが)。ということは,授業が変わるということです。「目標」が変わるのですから。
 なぜ評価観点が変わったのか?それは学習指導要領が変わったからです。最も重要なポイントは「思考・判断」が「思考・判断・表現」となった点です。これは新学習指導要領の目玉でもある「活用力」「探究力」にかかわるかなり大きな変化です。これに伴い,各教科等の評価規準も作成し直さねばなりません。
 以上のことを十分認識し,そして詳細を理解しておくことが大切です。保護者から聞かれたとき,きちんと答えられるように,以下の資料を熟読して下さい。
 平成22年3月24日,中教審教育課程部会から「児童生徒の学習評価の在り方について(報告)」が発表されました。この全文は「初等教育資料4月号」に掲載されています。
 
 なぜこのように評価観点が変更されたのか?それぞれの観点はどのような意味を持っているるのか?これを十分に知っておく必要があります。
 このことヌキでは,授業を組み立てることができません。何をどう評価していかねばならないのか,「報告」を読み取ってみたいと思います。
今回の観点の変更は,新学習指導要領のおける「学力の3要素」からきたものです。
 3要素と4観点との関連について,次のように書かれています。
 
 現在の評価の4観点と学力の3つの要素との関係では,教科によって違いはあるものの,「知識・理解」及び「技能・表現」が基礎的・基本的な知識・技能を,「思考・判断」が知識・技能を活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等 を,「関心・意欲・態度」が主体的に学習に取り組む態度を,それぞれ踏まえているものとしておおむね整理ができると考えられる。                                      
 このことを理解しておくと,観点の変化がわかりやすくなると思います。
 では,新観点「思考・判断・表現」はどのように考えればよいのでしょうか?報告には次のように書かれています。
・新しい学習指導要領においては,思考力・判断力・表現力等を育成するため,基礎的・基本的な知識・技能を活用する学習活動を重視するとともに,論理や思考等の基盤である言語の果たす役割を踏まえ,言語活動を充実することとしている。これらの能力を適切に評価し,一層育成していくため,各教科の内容等に即して思考・判断したことを,その内容を表現する活動と一体的に評価する観点(以下「思考・判断・表現」という。)を設定することが適当である。   
・「思考・判断・表現」は,それぞれの教科の知識・技能を活用して課題を解決すること等のために必要な思考力・判断力・表現力等を児童生徒が身に付けているかどうかを評価するものである。 
・「思考・判断・表現」の評価に当たっては,それぞれの教科の知識・技能を活用する,論述,発表や討論,観察・実験とレポートの作成といった新しい学習指導要領において充実が求められている学習活動を積極的に取り入れ,学習指導の目標に照らして実現状況を評価する必要がある。                                        
 これでかなりわかってきたのではないでしょうか。
 では,「技能」についてはどうでしょうか?同じく報告には,次のように説明されています。
 
 今回,「技能・表現」に替えて示す「技能」は,各教科において習得すべき技能を児童生徒が身に付けているかどうかを評価するものである。教科によって違いはあるものの,基本的には,現在の「技能・表現」で評価している内容は引き続き「技能」で評価することが適当である。
 すなわち,算数・数学において式やグラフに表すことや理科において観察・実験の過程や結果を的確に記録し整理すること等については,現在「技能・表現」において評価を行っているが,同様の評価は今後「技能」において行っていくこととなる。               
 なお,今回,各教科の内容等に即して思考・判断したことを,その内容を表現する活動と一体的に評価する観点として「思考・判断・表現」を設定することから当該観点における「表現」との混同を避けるため,評価の観点の名称を「技能・表現」から「技能」に改めることとしている。
 つまり,従来「技能・表現」として評価していたことがそのまま「技能」となると考えて差し支えなさそうです。
 最後に,「評価の時期」についてです。これはほとんど従来と同じです。
 
・授業改善のための評価は日常的に行われることが重要である。一方で,指導後の児童生徒の状況を記録するための評価を行う際には,単元等ある程度長い区切りの中で適切に設定した時期において「おおむね満足できる」状況等にあるかどうかを評価することが求められる。    
・「関心・意欲・態度」については,表面的な状況のみに着目することにならないよう留意するとともに,教科の特性や学習指導の内容等も踏まえつつ,ある程度長い区切りの中で適切な頻度で「おおむね満足できる」状況等にあるかどうかを評価するなどの工夫を行うことも重要である。   
 以上,よく読んで内容を十分理解しておいてください。今後の参考となる資料を提供していきますので,教育は時代とともに変わっているのですから。乗り遅れないようにご注意を。


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