1 教師力アップセミナー 赤坂真二氏−1− ブログより
これから数回に分けて、「勇気づけの学級づくり」と題して、昨日の赤坂真二先生の講演内容を主観を交えて紹介します。
「勇気づけ」という言葉でピン!と来る人は、よく勉強している人です。

アルフレッド・アドラーは、エンカレッジメント[encouragement]という言葉を使いました。「激励」「励まし」という意味ですが、アドラー心理学では「勇気づけ」と訳しています。
このタイトルだけで、「アドラー心理学を学級づくりに応用した話だろうな…」とわかるわけです。
私も、かつて『クラスはよみがえる―学校教育に生かすアドラー心理学』野田俊作・萩 昌子(著)に大きな影響を受けた一人です。
赤坂氏は、自己紹介ゲームでアイスブレイクした後、次のように問いかけました。
「なぜ学級づくりをするのか?」「もし学級づくりをしなかったら?」
そして、次の具体的な事例を提示されました。
新しい学年がスタートして早々、授業が始まるとT君(6年生)はナイフを出して挑発してきた。
「それしまいなさい。」というと、「先生、教師は子どもを殴っちゃいけないんですよね。」と返してきた。
さて、あなたならどうする? T君の行動について、感じることは?(次回に続きます。)
このような、いわゆる「困った子」は、程度の差こそあれ、誰でも経験があるでしょう。
「なぜこの子はこんなことをするのだろう?」
「なぜ注意してもやめないのか?」
「怖いけど、ここで引き下がっては教師の威厳を示すことができない。」
「力ずくでナイフを取り上げようか…」
いろいろな考えが浮かびます。
しかし…
困った子どもは、自分自身の問題に困っている子どもなのです。
自分だけの力では課題を解決できないから困っているのです。
まず必要なのは、「対決」よりも、「支援」よりも「分析」なのです。
しかも、分析のための分析ではなく、次に行動するための分析なのです。
アドラー心理学は、正式には「個人心理学」といい、目的分析学とも呼ばれています。
この名称が、全体の性格をよく表しています。(次回に続きます。)
前回は、「困った子どもがいたら分析しましょう」という話で終わりました。
ここに、「原因論」「目的論」という考え方が生まれます。
アドラー心理学の基本的な考え方のひとつ「目的論」。「人間の行動には目的がある」という考え方です。
目的論の反対が原因論。「人間の行動には原因がある」という考え方です。
例えば、子どもが不登校になった時、「なぜ?」を追求するのが原因論です。
会話が足りなかった、担任との相性が悪かった、いじめにあったかも、甘やかしたから、などと、過去の原因を探ろうという考え方です。

これに対して「目的論」では、不登校という行為には、その子の「こうしたい」「こうなりたい」などの意志や目標があり、その目標を達成するための手段が不登校であると考えるのです。
この二つをまとめると左のようになります。
原因論に立つと、悪者探しになります。
しかし目的論に立つと、子どもが悪くなくなります。
前々回のT君の場合、原因論では、「あの家庭は…」「あの子は以前から…」「去年の学級では…」と過去の視点で考えます。
しかし目的論に立つと、「気を引きたいから…」「一緒に遊びたいから…」「ストレスを発散させたいから…」と、行動の目的が見えてくるのです。
目的が分かれば対処も見てきます。
一緒に遊んであげよう、ストレスを発散させてあげようとなるわけです。
次回に続きます。
あなたが、電車に乗ったら座席を探し、宴会では隣の人を気にするように、教室における子どもの目的は、「所属」すなわち、クラスの中に居場所を確保することなのです。
ひとつのモデルですが、不適切な行動のメカニズムには次のパターンがあります。
いかがです?
思い当たる子はいませんか?
誤った目的を持った子どもたちは、集団に所属するために作戦を立てます。
○ まず注目を引く
○ 権力闘争を仕掛ける
○ 仕返しをする
○ 無能力を誇示する
もう少しわかりやすくしてみましょう。
アドラーは、「人間の行動には目的がある」ということ,そして,子どもの問題行動の動機は「@注目→A闘争→B復讐」の順で、より教師を手こずらせることを目的とした動機へと移っていくと述べているのです。
児童・生徒の不適切な行動は、3つのレベルに表れます。
そのレベルに応じた対応のポイントは次のようです。
しっかり見たい方は、次の出典を見てください。
「カウンセリングの理論・技法を生かした生徒指導の危機管理」
2 2月27日古都セミナー主催の「第7回とっておきの授業&学級づくりセミナー」
一宮市立浅井北小学校 酒井直樹
・1限 研究授業1「心ほぐしのミニネタ学活」(低学年)赤坂真二先生
・2限 研究授業2「とっておきの道徳授業」(低学年)佐藤幸司先生
・3限 研究授業3「ミニネタ実践・おもしろ理科教室」(高学年)土作彰先生
・4限 研究授業4「国語授業の神髄」(高学年)野口芳宏先生
・13:30〜15:00パネルディスカッション1
「子どもの伸びをどこで見取るか」子どもの見方、学級の見方
〜本時の授業を通して〜佐藤VS赤坂VS土作
・15:15〜16:30
総括 今こそ大切!学校現場が守るべきもの…野口芳宏先生
別紙で紹介しました。
3 落とし物ゼロ作戦 ブログ「あなたも社楽人」より
よく教室には落とし物箱がおいてあり、持ち主がわからない鉛筆や消しゴムがたくさん入っている。
「お落としものをしてはいけません。」
これは指導とは言わない。
スローガンを掲げたにすぎない。
指導とは、あるべき姿を示し、そこに至るまでの方法を具体的に示さなければならない。
たとえば、落とし物をなくしたい時はどう指導するか?
私はこうした。
第1段階
名前ペンを持参させる。
「これから5分後に、この教室にあるものはすべて先生のものになります。」
「エ〜!!」
「ただし、名前が書いてあるものはその人のものです。
今から5分間で、自分の持ちものすべてに名前が書いてあるかチェックして、書いてないものには名前を書いてください。質問はありますか?」
「では、よ〜い、はじめ!」
これを、月に1回程度行いたい。
第2段階
まずスローガンを示す
「床に物を置いてはいけません。」
次に方法を示す。
「もし置いてあったら、名前を見て持ち主に渡してください。その時は、どうぞ、ありがとう と言いましょう。」
「もし名前がなければ、周りの人に聞きましょう。」
「周りの人が知らなければ、帰りの会で聞きましょう。」
これで、落とし物はまず発生しない。
最終段階
落とし物という現象がなくなってしばらくしたら、学級全体を大げさに褒めながら、「物の大切さ」「物を大切に思う心の尊さ」を伝える。
形に心を入れるのである。
4 小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について(通知)
このたび,中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会において,「児童生徒の学習評価の在り方について(報告)」(平成22年3月24日)(以下「報告」という。)がとりまとめられました。
「報告」においては,学習指導要領において示された基礎的・基本的な知識・技能,それらを活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等及び主体的に学習に取り組む態度の育成が確実に図られるよう,学習評価を通じて,学習指導の在り方を見直すことや個に応じた指導の充実を図ること,学校における教育活動を組織として改善すること等が重要とされています。また,保護者や児童生徒に対して,学習評価に関する仕組み等について事前に説明したり,評価結果の説明を充実したりするなどして学習評価に関する情報をより積極的に提供することも重要とされています。
指導要録は,児童生徒の学籍並びに指導の過程及び結果の要約を記録し,その後の指導及び外部に対する証明等に役立たせるための原簿となるものであり,各学校で学習評価を計画的に進めていく上で重要な表簿です。
文部科学省においては,「報告」を受け,各学校における学習評価が円滑に行われるとともに,各設置者による指導要録の様式の決定や各学校における指導要録の作成の参考となるよう,学習評価を行うに当たっての配慮事項,指導要録に記載する事項及び各学校における指導要録の作成に当たっての配慮事項等を別紙1〜6のとおりとりまとめました。 (以下略)
5 役立ちWeb特集
(1)インクカートリッジレスのカラープリンター
約8,000枚印刷できる大容量インクパックをプリンター本体に内蔵し、インクが限界値に達したら補充してプリンター本体を再利用することで、環境負荷・使用コストを低減する新しい発想のインクカートリッジレスのインクジェットプリンターが登場。
(2)あなたの町ではピーテーエー?ピーティーエー?
北海道はPTAをピーテーエーと発音する人が多いのに、西日本ではピーティーエーが圧倒的。外来語の発音にもこうした「方言」と呼べる地域差があることがわかった。 「Disneyland」も北海道や東北ではデズニーランド、西日本ではディズニーランドと発音する傾向。
6 教育関連情報
(1) 各教科等・各学年等の評価の観点等及びその趣旨
4で紹介した、「小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について(通知)」 には、各教科や学年の評価の観点、指導要領の参考例などが載っています。