8月12日に、愛知社会科研究会丹葉支部のメンバー17人で、フィールド・ワーク(以下 FW)に行ってきました。
今回は、中村区の中村スポーツセンター、東区の東海ラジオ放送を見学しました。中村スポーツセンターとは、名古屋競輪場のことです。
【名古屋競輪場】

中村公園スポーツセンターは、名古屋市中村区の中村公園の北に位置します。中村高校の南東100mほどです。入り口の中村公園スポーツセンターと書かれた下に、「名古屋競輪組合事務所」と書かれています。名古屋け

いりんの会場となるのです。
「競輪」は、一部事務組合が運営をしています。
組合といっても、労働組合や生活協同組合とは違って、複数の地方公共団体や特別区が、行政サービスの一部を共同で行うことを目的として設置する組織で、地方自治法284条2項により位置づけられているものです。
たとえば、江南市は、犬山市や岩倉市、丹羽郡で、愛北広域事務組合をつくっています。
そこでは、愛北クリーンセンター、尾張北部聖苑の管理運営をしています。
「名古屋けいりん」は、名古屋市と愛知県が「一部事務組合」をつくって管理運営する、いわゆる「公営」なのです。
競輪場は全国に43ありますが、一宮競輪が2年前に廃止になったように、経営は楽ではないようです。
今回は、もと競輪選手で、60才直前まで現役を続けられた樋口さんから説明を聞きました。
まず入った部屋が、自転車の整備場。そこから、地下を通ってバンク(競技トラック)に出られるのです。ここは、写真撮影禁止で、携帯電話の使用もできません。
今回出場する、12レース3日間分の自転車が並んでおり、専門の人が整備をしていました。
出口に近いところには、第1レース用の7台、その横に第2レース用の7台と並んでいました。
競輪用自転車のおおよそ値段は、タイヤは1万円ずつ(5シーズンほどで交換)、ハンドル4千円、サドル1万円、チェーン2千円、ペダル1万円、フレームはいろいろ。
るからにシンプルです。プロ用といえども、100万円もするわけではありません。
当然、個人持ちです。値段が高ければよいというものでもありません。体に合っていることが重要なのです。
当日、着るユニフォームは貸し出されます。
この場所は撮影もできないほどの厳重に管理された部屋ですが、普段は、近所の人が使用する卓球場です。あくまでも「中村公園スポーツセンター」なのです。
「競輪」は公営事業で、その収益金は、2014年までの累計で、5兆円2千億円弱が、公共事業に使われているのです。私たちは、来賓室に通され、そこで樋口さんから説明を聞きました。この日の最初のレースは10時35分に発走。スタンドは、まだ人はまばらでした。

夏は、冷房のきいた有料の観覧席に人が集まるようです。
競輪事業は、売り上げの7割は場外売り場、23%がいわゆるネットによる販売で、競輪場での売り上げは7%しかないのです。
名古屋競輪場の入場者は、1日あたり2千人から3千人で、大きな大会の時には6千500人が集まるそうです。

バンクは、1周約400m。ここを4周か5周します。最後の200mは、11秒前後。
時速60キロ近くになります。競馬とほぼ同じです。カーブは斜度30度以上。歩けないほどです。レースが終わると、多くの仲間?でしょうか、地下通路まで迎えに来ました。
競輪全体の売上高は6千300億円。これは、ピークであった平成3年の3割ほどしかありません。平成3年といえば、あの中野浩一選手が引退した頃です。
ケイリンは、日本で生まれた世界のスポーツです。リオ・オリンピックでは、日本選手は予選で敗れました。東京オリンピックに向けて、さらなら強化が望まれます。
丁寧に説明してくださった樋口さん、ありがとうございました。
【東海ラジオ放送】
東海ラジオは、東海テレビの親会社です。何か逆のように感じますね。最近、資本の関係が横並びになったそうですが・・・・。
会議室で、制作局の制作部長 北 敏明さんにお話を伺いました。
会社の概略は、社員が72人。(79人とも?) 採用は毎年あるわけではなく、数年に1度、複数を採用するそうです。(その競争率は数千倍?とか・・・)
建物の9階が技術部門、10階が制作部門、11階が営業部門、12階が総務や経理部門に分かれていますが、これがそのまま、会社の組織にあたります。
年商 約30億円。そのほとんどがCM収入です。CM料金は、20秒で2、3万円ほどだそうです。
メインは七宝送信所 1332kHz。他に9つの中継所があります。アンテナを立てる場所は、湿地帯がよいのだそうです。
放送局は、災害時にはとても頼りになる存在です。耐震、電源確保、火災対策など、考えられています。
編集室は、録音したものを編集する部屋です。 実際に、一つの部屋で作業をされていました。
大型のFAXの受信機があり、オンエアー中のAD(アシスタント・ディレクター)さんがFAXを取りに来ていました。聴視者から届いたFAXを、スタジオまで届けるのです。
※ オンエアー中の番組(FINE DAYS!)については、後ほど紹介します。
隣にBOXがあり、番組名のシールが貼られています。送られてきたFAXは、それぞれの箱に入れられるのです。
カウンターには電話機が2台有りました。聴視者からの電話が入るところです。
まさに、本物の迫力でした。
東海ラジオには、スタジオが5つあります。そのうち、AスタジオとBスタジオが生放送用。交互に使用します。

きくち 教児さんと青山 紀子アナが本番中です。そうしたら、教児さんが手招きをしてくれました。「入ってらっしゃい!」これには驚きました。CM中に、いろいろと説明してくれます。そして、「10秒前」の後も説明が続きます。まさに、1秒前で切り替え、放送が始まります。聴視者からのFAXからペットのネコをネタにしていました。目の前で、ふたりが楽しそうに会話をしているのです。青山アナが読み、教児さんがコメントをし、それに青山アナが反応する、というパターンです。そのFAXとは、先ほど紹介したAD(アシスタント・ディレクター)さんが取りに来たものです。
動いているのです。
よく言えば「臨機応変」、悪くいえば「ぶっつけ本番」、そんなイメージです。
私は咳が出そうになったのを、ハンカチで口を押さえ、マイクが雑音を拾わないように必死に我慢していました。そして、またCMがはじまると、教児さんが私たちの相手をしてくれました。
「一期一会だからみなさんとの出会いを大切にしたい」と、全員に名刺をくださいました。
「あの震災で友人を亡くしてからそう思うようになった」
これがCM中なのです。そして、CMが終わったと同時に、「今日は、愛知県の社会科の先生方がスタジオを訪問されました。・・・・」と、私たちをネタにしています。
「頭の回転がよくないとできないな・・・。」 率直にそう感じました。
そして、驚異の時間感覚 。
10秒あれば何が話せるかを、感覚的につかんでいると思いました。
青山アナも、私たちの相手をする教児さんに話を合わせながら、手元の資料をチラ見しています。笑顔で応対しながら、頭の中では次の話題を組み立てているのです。そのプロ意識に感心しました。きれいで、頭も良さそうな方です。
隣のBスタジオでは、次の番組の準備が行われていました。帰りの車の中で、「山浦・深谷のヨヂカラ!」でのヨヂカラ大喜利 を聴きましたが、おそらくここで放送されたのでしょう。
AスタジオとBスタジオは、交互に収録が行われるのです。

次に入った部屋は、レコードやCDの部屋です。昔から疑問に思っていました。放送中にかける音楽は、どうやって管理しているの?その謎が解けました。
番組中にかかる音楽の音源は、全てここに保管されています。図書館のように、パソコンで検索すると、保管されている場所が表示されるのです。 実際に「君の瞳は10000ボルト!」と打ってみると、10種類以上も音源がありました。CDはもちろん、いわゆるドーナッツ版やLPレコード、CDシングルなど、その量は膨大です。効果音

もたくさんありました。
今日使って返却されたものの箱もあります。
レコード会社から送られてきた新品もたくさんあります。そう、これらのCDは、レコード会社から無償で送られてくるのです。「放送で流してください」ということなのでしょう。
「会社の歴史が古いので、貴重な音源もたくさんあります」という説明でした。
C−Eスタジオは録音スタジオです。キム ヨンジャ さんが出演中でした。これは写真は撮れません。また、アイドル系の子達も出演中で、こちらに向かって手を振ってくれました。
これも写真はありません。
東京のタレントは東京のスタジオで収録するのが普通ですが、名古屋公演中にはこのスタジオで収録します。その時は、追っかけのファンが1階に溜まるそうです。ファンはよく知っているのです。
以後は、説明中に出てきた言葉です。
東海ラジオは、民間ラジオ放送局では老舗の一つです。ミッドナイト東海は、深夜放送の先駆けとなった番組です。それ以後、オールナイト日本など、他へも広がっていきました。
社員アナウンサーは12人。うち4人がスポーツ実況担当です。プロデューサーは何をする人か?メインはお金の管理です。
その他、いろいろなお話を聞きました。
ラジオ放送は、運転中や仕事中に聴いている人は多いでしょう。何より、災害の時には大きな力になります。社会の大切なツールとして、これからも活躍をお願いします。
丁寧に説明していただいた 北 制作部長さん、放送中にスタジオに入れていただいたきくち教児さん、大変お世話になりました!