7月27日(水)

お葬式
 何だ、この音は!
 朝の4時にいきなり起こされた。
 音楽やドラを鳴らし、所々爆竹を鳴らしながら、30台あまりの車がゆっくり隊列を作って進んでいる。初めは新種の暴走族かと思ったが、葬式のお祝いだそうである。中国では、70歳以上で亡くなると、天寿を全うしたということで、お祝いをする。それも縁起の良い時間に(たとえ夜中でも)お祝いの行列をする。これもお国柄か…。日本では考えられない。

ホテル前の前夜のショー 景電賓館 ショーが行われた場所 ここを葬式の列が…

景泰県から古浪県へ
 なんと、我々のバスをパトカーが先導してくれることになった。それだけでも、いかに今回の一行が、中国側にとって重要な視察団であるかがわかる。
 車窓から見えるのは、延々と続く沙漠の風景。日本では決してみることができない光景だ。

※ 沙漠は一般には「砂漠」と表現するが、中国では「砂」とは限らないので、「沙漠」と表現する。
先導はパトカー 車窓風景は1時間以上ひたすら沙漠

Mさんのお話
 バスの中では、JBICのMさんからお話を聞くことができた。一部を紹介したい。

ODAについて
 
ODAとは何か?
 政府開発援助のことだが、具体的に言うと、途上国援助にかかったお金のことになる。
 OECD(経済協力開発機構)は、ライオンズクラブやロータリークラブのような、いわば先進国クラブのようなもの。所属国は、先進国の一員として責任ある行動、すなわちODAでお金を使うことを求められている。
 ODAとしては円借款、無償資金協力、技術援助、国際交流資金、JETRO(日本貿易振興機構)もカウントされる。法務省などが招いてやる研修もカウントされる。
 1990年代は、金額で世界ナンバー1だったが、今は2位。最近の動きを見ると、そのうち5位になってしまうかもしれない。

 円借款のしくみを説明しよう。
 借款だから、貸した金を金利を取って返してもらうことだ。中国における環境案件などは0.75%の金利で40年で返してもらう。中国は優良な貸付先で、未だに返済が滞ったことがない。
 中国はどうやって返しているか、財政部が監督し、中国輸出入銀行が代理で管理している。  
 近年までは中央政府が直接円借款事業を実施していたのが、各地方政府が責任を持って借りて返し、それを政府が保証をする仕組にかわった。地方政府機関が各省の財政庁に返して、中央政府の財政部が輸出入銀行を通して、JBICに返す。
 JBICは、財政投融資として3%〜4%の金利で日本政府から資金を調達して外国政府に貸す。その逆利ざやは税金で補填される。

 
 円借款の主体は途上国政府である。
 
交換公文と借款契約をベースに、円借款では自分で調達(国際入札)を行う。入札書類に基づいて審査するのは、あくまで外国政府。技術協力の支援は自分たちでシールを貼るなどの広報努力が可能であるが、円借款は実施機関の判断で広報努力を行っている場合が多く、必ずしも一つ一つにシールを貼れない。それでもどこかに紹介がある。円借款は技術協力とは制度が違う。

 節水灌漑のプロジェクト
 援助は人の顔が見えないのが問題といわれる。しかし、約120のプロジェクトを2人で見ているのですべてを見回るわけにはいかない。人の顔が見えないので、地方自治体のノウハウを提供したり、大学の植林の研究を活用したりする。
JICAの松岡さんはコネクションを持っている。できるかぎりJICAと連携して、私たちのお金を有効に使ってほしい。今回の案件では、汲み上げた水を末端に送る水路などに円借款を使っている。草の根協力は1千万円が限度だが、円借款は制限なし。 

 円借款はメリットがある。国民負担が少ないし、返さなければいけないので、使う方が考えて使う。いろいろな支援を組み合わせて使うことが重要だ。

 中国は国内での富の再分配はできていない。日本には地方交付税交付金という富の再分配制度があるが、これは世界の中では例外。中国も、省や上海などの特別区内での独立採算性なので、上海の人間にとっては「なぜよその省にあげなきゃいけないの」と言う感覚がある。中央政府から若干の補助があるが、省や自治区内で経済の自立を目指すことが望まれる。そのために各省が主体となって、円借款をもとでに採算がとれる産業を興し、雇用をふやし、収入で返済していくのである。

 広報について
 中国語の広報は正しくされている。一方、日本語の広報は不十分なのも多い。年に2回報告書を提出させて、そこで広報についてチェックしている。
 研修会ではJICA,JBICが連携してやっている概要を説明している。説明パンフも作っている。円借款の説明パンフも作って配布している。
 開発教育の観点で、日本の中学生用のパンフも作っている。
 さらに、地方や中国のメディアの人とのパイプを作っている。継続的に情報交換をして、日本の状態などを理解してもらおうとしている。記者に日本びいきになってもらうことが目的であり、それも大切な広報活動の一環である。

 受注率について
 原則、アンタイド※。世界中どこの国から買っても良い。ただ、二国間タイドもあった。これは二国の企業しか使えない制度。
さらに、タイド(日本企業の縛り)もある。青海省などの放送器具は、タイドの条件で貸した。金利0.75%で返済期間40年の条件で借りている。日本企業、中国企業共に成長するのがよい。
※ アンタイド:発展途上国援助のうち、資材の調達先を日本などに限定しない方式。ひもなしとも言う。二国間タイドは、日本と借り入れ当該国に限るもの。

 先日は、発電所の日本製タービンがいいと感激していた。円借款のメリットとして、民間投資の触媒効果がある。円借款によりインフラが整備されると民間投資が促進される。

 地方政府との関係
 省の空港会社が省政府に返す。省政府より中国輸出入銀行を経由して財政部が日本に対して資金を返済するという流れになっている。
世界銀行 http://www.worldbank.or.jp/debtsecurities/  
アジア銀行 http://www.jacses.org/sdap/inspection/whatisadb.html も同様
 他にフランス、ドイツも借款による支援をやっているが、ほとんどがタイドでやっている。日本も中国でタイドを増やしてもいいと思う。

 個人的には、他国が増やしている中、日本だけがODAを減らしているのはよくないのではと思っている。
ODAを外交(二国間・多国間)のカード、常任理事国の条件として増やすためにはどうするか。OECDのカウントは、発展途上国に役立つものに限る。中国はまだまだ不安定な要素があり、そのままにしておいて、たとえば動乱が起きると、数多く進出している日本企業にも不利益になる。ODAはいろいろな視点で見てほしい。最終的には国益論になる。何が国益か?考えてみてほしい。

 中国において自己資金でやれるのでは?
 地方政府は赤字の省もある。植林を例にすると、自己資金では少しずつなら自己資金でできる。ただ、一気に広げたいときは円借款などで借りてやった方がよい。日本でも、家を造るなどの思い切ったことをやるときはお金を借りる。中国は、裕福な省から貧しい省へお金を配分するシステムはない。徐々に再分配が進みつつあるが、日本ほどではない。日本のようには、国内再分配は進んでいない。日本の戦後復興に交付税が果たした役割は大きいと思う。

 円借款はドルだて?
 違う。円でしか貸せない。円で返してもらう。円高になると返すのは大変。人民元が切り上がれば中国にとって返しやすくなるのでは。
 
 反日デモについて
 先日、日中マスメディア専門家の会議があった。1997年インターネット人口の63万人はほとんど大学生。これが2000年には2千万人となり、今年1億人を突破した。小中高生もやって、お年寄りもインターネットを楽しんで知る。主要なポータルサイトのアクセス数3千万人いる。アサヒビール事件では、インターネットに掲載された一般紙の見出しが 「アサヒビールの会長が教科書問題に賛成」というニュースだった。これはある新聞に載った事実関係とは異なる記事だったが、情報を確認しないポータルサイトに掲載されたため、それをみた人がコピーした記事をメールなどので知人に転送し、誤った記事が伝達されていった。
 実際は、身の危険をあまり感じなかった。中国の記者は事実関係を確認しないで載せてしまう。

 中国は他国に援助をしてしている実態は?
 中国はOECDに加盟していないので、額はわからない。金利1%で償還期間は40年、50年で開発プロジェクトに資金を貸している。しかもタイド。国際ルール上でも、ダーティー援助と言われても仕方がない面もある。

 日本の援助が軍事費に転用されることはないのか?
 日本の援助は、中国が使った領収書に対して支払う。だから、円借款が他の目的に転用することはあり得ない。

植林地域に入る。文字通りの秘境である。命の感じがしない。
 「貧困を解消するためには道路を造れ」という言葉があるそうである。『日本列島改造論』を思い出してしまうが、確かにこのような秘境では、道路がなくては話にならない。インフラ整備の重要性はよく分かる。
 貧困者とは、一人1日1ドル以下で生活する人のことを言うのが国際基準である。
 この基準に当てはめると、中国の貧困は一人当たり1年で800元以下で生活する人になり、実に1億3千万人いる。
 中国の基準では600元を貧困としているが、それでも3000万人いる。その多くが、こうした内陸部にいる。

 沙漠の何が問題か?動くことが問題なのである。せっかく開発しても、沙漠が動くと埋まってしまう。草方格という、砂漠を固定する技術がある。藁を、1m四方の方眼で埋めていくのである。
 また、植林の敵は羊や山羊の放牧である。そうした放牧で生活している人に生活の場を与えてこそ解決になる。そこで、円借款ではお金になるもの、たとえばブドウなどを植える。それで収益を上げて借金を返す。
 無償資金援助では、お金にならないもの、すなわち利益の上がらないものを対象にする。
 もともと遊牧民を潅漑設備に定住化させることで、草を生やすことを、ここではやっているそうだ。

バスの中で聞いた話

 葬式はよく6時前に行う。70歳以降になくなるとお祝いをする。
 甘粛省はゴビなどの沙漠、オアシス、東は黄土高原がある厳しい自然環境である。多くは人が住むには厳しく、年間降水量も年に100ミリ、蒸発量は1000ミリを越える。
 黄色い大地 十年前はもっとひどかった。1999年西部大開発がはじまり改善が始まった。植林、植草がふえ、雨も増えた。
 かつてはここも草原だった。 匈奴がいたところで、漢王朝と長年の戦争が続いていた。気候の変化、戦争により自然が破壊された。
 三国志の舞台もこの甘粛省。泣いて馬謖を斬るのもここが舞台。馬超、董卓もここの出身。 諸葛孔明の後継者も甘粛省の出身である。孔明は7回 魏と戦争をしたが、甘粛省を通る。李白もここの出身だ。

 歴史上いろいろなことが起きたところだが、経済発展では立ち後れている。省のGDPは1062億人民元しかない。蘇州の街ひとつにも及ばない。農民の収入は年3000元(4万円ほど)しかない。中国で3番目に貧しい。
 産業は農業がメインで、9割が農業に従事している。しかし、農業に適する面積は15%しかない。400万人が絶対貧困状態。年625元以下の収入しかない。国連の基準では、1千万人以上が貧困にあたる。

 14の市と州、2つの州は少数民族の自治区で回族など。86の県の中の68が財政赤字
 地方公務員の給料も払えないので、中央政府から借りて払っている。これは工業が発達していないからだ。鉱業もあるが農民は潤わないので、農民の収入を増やすことが大事だ。小さなまちを作ることが必要となる。
 西部大開発は国債に頼っているほか、世界銀行やアジア銀行、円借款に頼っている。円借款の地位は大きい。今、甘粛省の円借款は817億円になる。道路、生態系の保護、灌漑など。生態系改善のプロジェクトで124億円使っている。政府が主導権を握って行っている。
 黄砂は日本へ飛んでいる。木を植えることで解消に近づけたい。古浪県はもともと沙漠だったところ。これから案内する所は一番すばらしいわけではないが見てほしい。日本のお金は無駄遣いされていない。

車窓からは沙漠と山羊の放牧の風景が見える。民家にはらくだやろばが飼われている。一カ所、高い土塁があった。万里の長城である。
 左写真左端中央部から建物に向かって伸びている。わかるかな?











甘粛省水源管理・砂漠化防止事業視察(有償資金協力)

 まずは、データを見てみよう。

5 甘粛省植林植草事業(有償資金協力)

(1)実施年度  交換公文締結日(借款契約調印日):2003年3月28日(2003年3月31日)

(2)供与限度額  124億円

(3)被供与団体等 実施機関:甘粛省人民政府

(4)実施目的  甘粛省の全省面積の75%が乾燥地または半乾燥地で、1949年当時の森林率は約2.6%と全国最低レベルであった。このため長らく植林植草が重点課題の一つであった。1996年から2000年には合計160万ヘクタールの植林植草が行われ、1999年には森林率9.0%に到達していたが、継続的な砂漠化防止努力が必要と判断され、中国の自然環境保全の総合計画である「全国生態環境建設計画」(1999年制定)でも甘粛省での砂漠化防止が2010年までの重点の一つとして定められた。甘粛省が自ら策定した省レベルの計画においても第10次5ヵ年計画(2001-2005)期間、植林植草は引き続き重点課題であり、5年間に175ヘクタールの植栽が計画されている。
 本事業の実施地域は降雨量が少ない過酷な自然条件に加え、水資源の浪費、森林の過度の伐採、開拓等の人的要因が加わった結果、砂漠化が進み、植生被覆(注)も著しく損なわれている。砂漠が灌漑区や人家等に接近して民生を脅かしており、こうした砂漠化を防止するため、植林植草の事業を実施する必要性が高い。
(注)植生被覆:地面を上から垂直に見た場合に木及び草が地面を覆っている比率。

(5)事業概要 本事業は、甘粛省河西回廊地区で、植林および植草を行うものである。

(6)効果  本事業は、甘粛省河西回廊地区で植林及び植草を行うことで同地域の植生被覆の増加ならびに、同地域での砂漠化防止により生活環境及び自然環境の改善をはかるものである。

熱烈歓迎 セレモニー 円借款を知らせる看板 みんなで植林
草方格 日本のローンで… 大用トイレ ブドウ園

 ここでも熱烈歓迎。多くのスタッフが出迎えてくれた。県のトップクラスの人の挨拶の後、参加者で植林を行った。乾燥に強いニレの木を植えた。すぐに水を与えるが、次の灌水は1ヶ月後だそうだ。

 地球的視野で見れば、地球温暖化防止、人口増加に備えるためにも、沙漠の緑化は全人類的な課題である。沙漠化の原因である遊牧民による放牧を抑えるためにも、灌漑と緑化、農業への転業を促進しなければならない。そこに使われる円借款は、無駄ではない。草一つはえていなかった沙漠だが、「草方格」により低木が根付き始めている。

※ 「草方格」とは、沙漠が移動しないようにするための技術。1m四方の方眼に藁を埋め込む。

 問題は灌水で、人間が1本1本手作業で水をやるそうだ。周囲は有針鉄線がはってある。山羊の侵入を防ぐためである。
 彼らは「沙漠退治」と言っていた。このまま順調に進めば、あと3年ほどで流動する沙漠はなくなるそうである。年100ミリの降水があるので、1年たてば根付き、自然の雨で育つようになる。
 ブドウ園がある。ワインを作るためのもので、水は地下水、井戸を掘っている
 時折見かけたパイプラインは灌漑用の水が流れている。
 沙漠がこれだけ緑化されれば大したものだ

※ 造林と育林 : 造林は植林をして、育林は保護して自然植物を育てること。

 このあたりも昔は畑だったが、沙漠流動化のために沙漠で埋まってしまった。昔は、生態系の保護に対する関心が薄かったため。水は地下水に頼っている。

 1ヘクタールの緑化のコストは年間4500元。1日60人の仕事量である。これには人件費、苗代もはいっている。毎日気温は36度以上あったが、昨日の雨で30度ぐらいに下がっている。とてもラッキーだそうだ。
 村人は全部移民。環境が改善され、人口が増えているし、生活水準も上がっている。移民前は年間収入400から500元だった人たちが、 ここでは2000元の収入が得られる。前は天気任せの農業だった。南の丘陵地区からの移民が多い。

 ブドウ園に続く道の両側はポプラ並木。ブドウ園1ヘクタールあたり5万2千元の投資で4500から5000元の収入が得られる。ただ、いきなりは無理で、まず小麦を作って土壌を改良してからブドウを作った。

 その後、スイカをいただく。そして食事。豪華なメニューだ。この歓迎ぶり、そして至る所にある、日本からお金を借りて作ったという看板は、日本に対する素直な感謝の表れだろう。

昨日のホテル
 景泰川の街では最高級のホテルだったのだろう。しかし、今朝はお湯が出ないばかりか水さえちょろちょろ。もちろんドライヤー、冷蔵庫はない。ただ、テーブルにスイカと桃がおいてある。このサービスはうれしい。

今日の感想
 植林植草案件は、とても印象に残った。
 地球の沙漠化防止は、なにも沙漠をもつ国だけの問題ではない。人類全体の課題だ。沙漠は移動し、どんどん耕地を浸食していく。沙漠化による耕地の減少は、食糧不足の大きな原因になりうる。
 また、沙漠緑化は、大気の循環に影響を与え、降水量を増やす働きをする。二酸化炭素削減の役割も果たす。
 中国の緑化は、黄砂の防止など、日本に直接的影響がある。しかし何より、中国の内政の安定は東アジア全体の安定のために必至であり、特に1億3千万人と言われる最貧困者層の減少は人道上も必要だ。ここにODAが使われることは、大半の日本人の理解を得ることができるのではないか。

 万里の長城の一部を発見
 尋ねたところ 明の時代のものだそうだ。東は山海関から伸びており、ここは西の端に近い。昔から遊牧民族が活躍し、もともと遊牧民族の人の土地。漢民族は流刑で来た人が多い。社会科教師から見ると大感激ものの史跡だが、何も説明もなく通り過ぎるのがいかにも中国らしい。

Kさんより

 中国の第3国援助について
 実際に外務省も情報収集している。中国政府が出している情報は107カ国に対して経済協力をやっている。技術、無償資金、融資借款をやっているが、ODAと言えるかは疑問だ。700億円程度を供与しているのは事実。
 常任理事国入りに対して、外交カードとして使おうとしている。経済協力の内容は、目立つような援助をやっているが、ODAとのカウントは疑問。日本として、内容開示を求めている。中国は、援助を始めてまもなく、統計も取れていないと言う見解である。

 軍事費については、いろいろな数字が出回っており、正確な数字がわからない。政府としては、軍事費について問い合わせをしている。
 第3国援助、軍事費、にお金をかけて、なぜ国内の貧困問題を解決しないのか。日本としては、これ以上大規模な資金協力をするべきか疑問に思っている。2008年までに資金供与の停止を計画している。しかし、無償資金援助、技術協力は継続する予定。
 中国に対する今のスタンスが、他の国と比べてどうか。
 OECDという機関は、一人あたりDNP9000ドル以下の国に対してODAと認めようと言う見解で、円借款の対象国になる。
 世界銀行は5000ドルとしている。中国は1100ドル。数字上は十分援助対象国。

 700ドル〜1400ドルの国は3点セット(無償、円借款、技術援助)で援助し、それ以上の国は技術援助と円借款のみとし、実際にタイは無償資金援助を打ち切る。3000ドル以上の国には、円借款の内容を環境等に絞ろうとしている。

 中国については、第3国援助、軍事費、など余力があるように見えるが、国内の分配が不十分である。中国政府は、地方においてはODAのニーズがあるという。中央政府レベルでは調整中。

なぜ、海外諸国にODAを供与しなければならないのか?
外交カード:これまでは安保理に入るためにやってきたわけではない。 
 1 財政収入が低い国  ODAがなければ国家予算が成り立たない
   中国の財政にしめるODAの割合 0.36%         
   ODAは首相のレベル、担当者と首相とパイプができる意味がある。
 2 日本の外交カード 安全・平和の確保 
     上海・北京 と地方の格差はたいへん大きい。これは国際社会全体においても同様で、その意味で現在は日本は一人勝ち。中国国内においては暴動が起こっている。反日暴動は1万人だったが、農民の反政府暴動は10万人〜数十万人規模である。
     日本は資源がない。船によって輸入している。国際社会からねたまれると、タンカー1日1千万円かかるので、マラッカ海峡を封鎖されるとインフレ的になる。中国が国内で混乱すると、日本企業も大きな影響を受ける。こうした観点からいってODAの意味がある。
 3 世界全体で貧困層を減らしていくのが先進国の役割
   国際社会における日本の好感度をあげるチャンス。アフリカに対しては援助を続けている。日本で会議をやろうというとほとんどの国が大臣級を日本に送ってくる。たとえばドイツが開発会議をやるから来てということ。しかし、ドイツには行かないだろう。日本には来る。これまでの実績のたまものである。
 たとえ日本が常任理事国に仮に入れなかったとしても、無駄ではない話だ。拒否権という既得権を持っている国はこれまで戦争で変化してきた。今回は、平時で行おうという話。その割りには善戦をしている。
 国連は、「先進国は0.7%やれ」とアピールをするだけ。 

空から
18:00発CA1222便
 天候に恵まれ、中国の大地をしっかりと見ることができた。赤茶けた山々の間を流れる黄河の流れ。それにしても木がない。
 命を感じない。これを見ると、この2日間見てきた、沙漠に命を与える仕事は人類にとって貴重だと思う。
 北京に近づくと、万里の長城を見ることができた。写真に収めることができなかったのが残念。
 北京に到着。京倫飯店に向かう。

CA1222便 黄河の流れ