県 議 会 本 会 議 質 問 
平成18年 6月議会
 質問項目
  1 財政問題について
    
1)新地方公会計制度
     2)地方税一元化構想
  2 静岡空港について
     1)国内路線への取り組み
     2)国際路線開設の戦略
     3)小さな大空港
     4)飛行船の研究
  3 幼保一元化について
     1)認定こども園
       ア)窓口の一本化
       イ)子育て支援事業
       ウ)条例制定の課題
  4 自殺対策基本法について
     ・ 条例化
  5 農業水産行政について
     1)残留農薬規制
     2)漁協の経営基盤強化
○浜井
 『通告に従い、知事関係部長に質問致します。 最初に、財政問題についてのうち、新地方公会計制度についてであります。
 国と地方が巨大な借金を抱える中、財務省の諮問機関「財政制度等審議会」は、国と地方自治体の財務諸表の作成方法の整合性と特別会計の透明性の向上を図ることなど、公会計制度の改善に関する中間報告の提言をまとめました。
 また総務省も、「新地方公会計制度研究会」において、地方の公会計制度の現状と評価、企業会計の手法を活用した財務書類の基準とその整備などについて検討し、地方自治体が適切な財政運営を行っていくための新公会計制度に関する報告書をまとめています。
 報告書では、地方財政は従来の「現金主義」から、民間企業会計と同じ「発生主義」を活用した「貸借対照表」「行政コスト計算書」「資金収支計算書」「純資産変動計算書」の4つの財務諸表を、3年後を目処に整備する新地方公会計制度の導入が、提言されています。
 本県は、既に平成10年度から「企業会計手法による財政情報の提供」事業を立ち上げ、平成8、9年度の財務諸表を、平成12年度には自治省方式のバランスシ−トを作成し、以降、普通会計のバランスシ−トと行政コスト計算書を公表するなど、先進的な取組みを実施してきたことは評価されています。
 今回の提言を受け入れ、4つの財務諸表の作成を進めるという前提に立った場合、その問題点並びに手順についてのご所見を伺います。』

○石川知事
『浜井議員にお答えいたします。はじめに、財政間題についてのうち、新地方公会計制度でありますが、現在の総務省方式の財務諸表は、決算統計デ−タを基にしていることから、どの地方公共団体でも比較的容易に作成することが可能であります反面、有形固定資産を、決算統計の額の累計で算定しているため、土地の現在価値の反映がされないなど、的確な資産情報となっていない部分ががあります。
 今回、総務省の研究会で4つの財務諸表を作成することが提言されましたが、その主たるねらいは、資産算定基準を決算統計デ−タから公有財産台帳に変更し、資産を性質別に分類するとともに、純資産と負債の変動を示す「純資産変動計算書」を新たに追加することなどによって、資産の情報を適正かつ的確にすることにあります。
 総務省では、この提言を受けて、実務レベルの検討会を設置し、専門的知識や事務処理負担を要する資産評価方法を中心とした諸課題について、幾つかのモデル団体を指定することで、導入の円滑化や問題点の把握に努めることとしております。
 今後、本県におきましては、国の検討会で行われる資産の分類や評価方法の具体化作業と併行して、公有財産台帳の整理を行うなど、県独自に対応できる部分は事前に準備を進めて、早期に新たな制度による財務諸表を作成できるよう努めてまいりたいと考えております。』

○浜井
『次に地方税一元化構想について伺います。私は、15年2月議会において、「個人県民税は、市町村民税と合わせて 市町村が徴収事務に当たっており、その収納率がそのまま県税収入に響くことから、市町村と一体となった対策が必要になる」と質問していますから、地方税一元化構想は、その延長線にあるものと理解しています。
しかし、この構想の実現に当たって、市・町の税務担当者から、いくつかの問題点が指摘されています。
 その主なものは、県と市町の職員の身分、申告受付や納税証明書などの発行窓口、滞納整理における固定資産税などの実施主体、分納入金の場合の優先取得順位などであります。
 また次の段階では、知事が提唱した国税も含めた徴税一元化を目指そうとする構想が見えるようにも思われます。
 地方税徴税一元化を実施する前提として国との協議が必要なのか、現在の法制度上問題はないのか、まず伺いたいと思います。
 また、一元化に伴う組織形態、その組織と県・市町との事務分担、今後の推進のスケジュ−ルについて伺います。』

○白岩総務部長

『財政問題についてのうち、地方税一元化構想についてお答えいたします。
所得税から個人住民税への3兆円規模の本格的な税源移譲が平成19年度から実施されることに伴い、地方税務行政の執行体制を強化する必要性がますます高まってきております。
 また、一方、納税者のライフスタイルの変化などに対応し、コンビニ収納など、納税者利便の向上のための環境整備も必要となってきております。
 このような要請に的確に対応するためには、県と市や町が一体となって、より生産性の高い地方税携行政の実現が有効であり、その仕組みが地方税一元化であります。議員よりご指摘のあった個人県民税の収納率向上の対策という考え方と軌を一にするものと考えております。
 昨年1月の構想発表以来、3月には浜松市を含む県肉6つの市や町の税制担当課長にもメンバ−に入っていただいて「地方税一元化のあり方検討会」を設置し、組織体制や事務内容、職員構成などについて、賦課徴収事務全般を担当する専門機関としての広域連合とすることなど、一定のイメージを報告書にまとめたところであります。
 その際、地方税法上の疑義などについては、国への照会などを行ってきましたが、現在までのところ、以上の考え方自体が現行法制度と抵触する等の指摘は受けておりません。しかし何分、先例のない取り組みでございます。
 今後も疑義や実際の税務事務処理に照らして整理、検討しておくことが必要だと考えております。
 このため、来る7月7日には県内の市や町の担当部課長などにお集まりいただいて、当方のアイデアの説明と今後の詳細'具体的な検討への参加協力をお願いし、その後は更に実務者レベルの検討会を開催することを予定しております。
 その際出てきた疑義等についても、国への照会を含め、必要な対応を進めてまいります。今後のスケジュ一ルにつきましては、以上のような検討とともに、市や町において行われる参加の検討、あるいは税務に係るコンピュ−タ−システムの開発にも時間を要しますので、計画的に進めて参ることが肝要と考えております。
 なお、徴収困難事案等に係る滞納整理事務については、体制強化が喫緊の課題であるとともに、他県において市町村が一部事務組合を設けて処理して例をあることから、平成20年度を目途に広域連合を設置して処理することを目指して、作業を進めたいと考えております。』

○浜井
 『次に富士山静岡空港についてであります。まず国内路線開設への取組について伺います。
 空港ミッションや産業経済交流団による就航予定先への訪問事業も、既に沖縄、北海道、鹿児島を終え、残すは福岡だけになりました。
 福岡空港は、平成15年度の国の空港能力検討資料によれば、同空港の具体的利用者のニ−ズが「希望する時間帯に航空便がある」が、70パ−セントに及んでいます。
 利用者の希望時間帯のピ−クは、離着陸のピ−クの時間帯とおおむね重なっており、午前9時から12時まで、特に午前10時台が最大で、午後は3時台と夕方の6時から7時台に集中しています。
 一方で検討資料からは、航空自由化が進む欧米の国内線の約95パ−セントが座席数200席未満の飛行機であるのと同様、福岡空港も小型機多頻度化の傾向が伺えます。
私は先般、その福岡空港から北東へ約60キロ離れた人工島上に2.500メ−トルの滑走路を築造、去る3月16日開港した新北九州空港を視察してきました。
 ここは、スタ−フライヤ−社が、ビジネス客をタ−ゲットに、鮮やかな白と黒の機体の座席数144席のエアバス320による東京便12往復、JAL社による同290席のエアバス300などで東京便4往復、ジェイエア−社による50席のリ−ジヨナルジェット小牧便が3往復、他にトランスオ−シャン航空による那覇便1往復が、毎日就航しています。
 開港後2ヶ月余の利用率は、開港前に予測した約60%を確保しており、来る8月22日からの貨物便ギャラクシ−社の就航に合わせて、24時間フルタイム稼働となることが既に決まっています。
このように、国内空港を取り巻く状況が大きく変化していることから、国内路線の就航先は、計画段階で予定した空港にとらわれることなく、新北九州空港をはじめ国内のあらゆる空港を改めて検討することについて、ご所見を伺います。』

○石川知事
『富士山静岡空港についてのうち、まず、国内路線への取り組みについてであります。
 静岡県の観光や産業の動向から、九州北部には、大きな航空需要があり、特に福岡空港は、平成23年春に予定されております九州新幹線鹿児島ル−トの全線開通によって、静岡から九州各地への玄関口としての位置づけが一層高まることから、富土山静岡空港と福岡空港とを結ぶ路線の就航を目指しているところであります。
 一方、空港の利便性を高めるためには、より多くの路線・便数はもとより、県民の皆様の使いやすい時間帯での運航便を確保することが重要になります。
 この点では福岡空港の過密な運航状況から、時間帯によっては就航が難しいこともあると聞いております。
 一方、今年3月に開港した新北九州空港は、九州北部各地への交通手段も充実しておりますことから、同空港への就航も十分検討に値するものと思われます。
 従って、福岡空港と並ぶ新たな就航候補地に新北九州空港を加えて、積極的なエアポ−トセ−ルスを行って富士山静岡空港と九州北郡を結ぶ利便性の高い就航便の実現を目指していきたいと考えております。
 その他の国内の空港につきましても、相手先との航空旅客や県内企業の出張の動向などを総合的に勘案しつつ、航空需要が見込まれるところについては、就航実現を目指してまいりたいと考えております。』

○浜井
 『次に国際路線開設の戦略について伺います。
 去る3月26日、日本発着は初めてとなる中国南方航空の「125人乗りエアバス319」一番機が、北九州空港に降り立ちました。
 開港10日後、上海−北九州間を火曜日、木曜日、日曜日の週3回それぞれ1往復する国際定期便が、開設されたのであります。
 福岡県によれば、平成15年からの3年間、同県と北九州市が共同して、100人規模のチャ−タ−便を毎年5〜6便送り込み、最終的には平成17年8月の副知事と市長による中国南方航空へのトップセ−ルスが効を奏したようだとしていました。
 チャ−タ−便とトップセ−ルスのタ−ゲットが、北京に本社を置く中国国際航空でも、上海を本拠とする中国東方航空でもなく、広州白雲空港を本拠とする中国南方航空だったというところが意外でした。
 いずれにしても南方航空との間で、最低でも開港時からの定期的なチャ−タ−便の就航が約束されていたということです。
第二種空港と第三種空港とでは、少し条件が違うかもしれませんが、富士山静岡空港においても開港と同時の国際路線開設への大きな可能性が見えてきます。
 北九州空港を参考に、来年度以降は年間5便あるいは6便程度のチャ−タ−便を海外へ送り込む必要があると考えます。
その場合、相手国をどこに絞り込むか、1国なのか2国なのか、「二兎を追うものは一兎をも獲ず」とならないよう、確かな戦略が必要になると思いますが、国際路線の開設戦略について伺うものであります。』

○石川知事
『国際路線開設の戦略についてであります。本県企業の海外展開状況や県民及び海外からの観光動向などをみますと、富士山静岡空港においても、国際便の就航の充実は不可欠と考えております。
 このためアジアを中心とする海外の航空各社に対し、静岡県の産業力や活発な企業活動、豊富な観光資源などをアピ−ルしながら就航要請を行ってきたところであります。 この4月には、韓国のアシアナ航空の会長から富士山静岡空港への積極的な就航意欲の表明をいただいたところであります。
 このような意欲を具体的な路線就航に結びつけていくためには、航空会社に富士山静岡空港の航空需要を実感していただくことが大切だと考えます。
 そのための有効な手段としては、浜井議員ご指摘のように開港前からのチャ−タ−便の運航の積み重ね、これが非常に有効だと思います。
 先般の「富士山静岡空港就航促進協議会」への衣替えにあたって、チャ−タ−便の運航に関する委員会の設置をお願いしたところであります。
 今後、これら民間団体と連携しながら、就航候補地に向けて積極的にチャ−タ−便を運航することによって、海外の航空会社に富士山静岡空港の需要の大きさをアピ−ルしていきたいと考えております。
 就航の実現性が高い地域には、こうした取り組みをより積極的に行うと同時に、私自らが出向いてエアポ−トセ−ルスを行うなど、路線開設の実現に向けて、全力を尽くして参ります。』

○浜井
 『次に、小さな大空港についてであります。私は昨年2月議会において、「伊豆に向けて飛行機を飛ばす構想の中で、新設滑走路を1.750メ−トルとすると、土工事主体で百数十億円、海上浮体工法で二百数十億円という巨大な建設費が、正直のところネックになる」との認識を示しました。
私は昨年8月、「21世界ジャンボリ−」を富士山の麓に誘致する議連活動の一環として、イギリスで開催されたユ−ロジャンボリ−に参加致しました。 連盟が用意してくれた宿舎は、ロンドンのイ−ストエンド、グリニッチに近いドックランド開発区の中の粗末なホテルでしたが、ホテル周辺の再開発地域の町づくりは、大変参考になりました。
 このホテルから歩いて30分くらいのところに、ロンドンシティエア−ポ−トがあり、絶え間なく飛行機が発着していました。
 過密な行程の関係で、この空港視察は断念しましたが、現地で得た資料から、この空港は僅か1.319メ−トルの滑走路1本を持つ民営空港だということがわかりました。
 しかし、フランス、ドイツ、オランダなどから14もの航空会社が乗り入れている小さな大空港だということでした。
去る5月13日、この空港でエアバス318による適合性テストが行われ、大成功を収めたというニュ−スを目にしました。
 エアバス318は全長約31メ−トル、全幅約33メ−トル、座席数107席、航続距離約2千800キロメ−トルのジェット機です。
 通常、ジェット機の進入角度は3度とされていますが、今回のテストでは5.5度の急角度進入を行い、短距離停止と駐機場間でのランディングに成功したということでした。
 私は、伊豆半島の空港の滑走路は1.750メ−トル必要だとしましたが、このテスト結果から滑走路は約430メ−トル短くできそうな気がします。
 当然、工事費も概ね約25パ−セントの削減が可能ということになれば、伊豆半島にロンドンシティ空港と同じような小さな大空港の可能性が見えてくるように思います。 こうした伊豆のコミュ−タ−空港についてのご所見を伺います。』

○石川知事
『小さな大空港についてであります。浜井議員が、ロンドンシティエアポ−トを昨年目撃して、大変良い刺激を受けたという趣旨のお話がございました。 私も、この空港をつぶさに視察したことがありますが、開港19年後の今日では、年間乗降客が200万人に迫る勢いであると聞いております。滑走路延長がわずか1,300メ−トルでこういう状態だと。
 そこで、伊豆半島のコミュ−タ−空港も、私は大変意味があるというふうに痛感しておりまして、今年度、滑走路の確保が可能な地域の抽出、あるいは気象条件やその他の自然条件について、基礎的な調査・検討を行って、その実現の可能性も見極めてまいりたいと、是非実現可能ならば、これは挑戦に値するテ−マだと感じております。』

○浜井
『次に飛行船の研究についてであります。
 本年2月の鹿児島産業経済交流団に参加した私は、機内誌の「昭和4年、人類の空翔ける夢を乗せた世界一周の旅にでた飛行船“ツェッペリン号”が、日本の霞ヶ浦に寄港したとき、飛行船に乗った1人の日本人の少年の写真を探しに、ツェッペリンゆかりの地」を尋ねるという文章に心を惹かれました。 結局、写真は見つからないまま、「思い出の写真は、誰もの心の中にひっそりと浮かんでいるのだ。」と、文章は結ばれていました。 鹿児島訪問時も、今回の北九州視察でも、それぞれ移動の車中から、飛行船が係留されている光景を目の当たりにして、飛行船に対する思いがふくらんでくるのを感じました。
 飛行船は、1900年、ドイツのツェッペリン伯爵によって第1号が作られ、その後ドイツ全土10都市を結ぶ航空路線の開設が果たされます。
 当時既に、飛行機はありましたが、航続距離が短く、エンジントラブルが多発するなど、旅客を運ぶという概念がない時代でもありました。
 昭和4年に霞ヶ浦に飛来した飛行船は、その前年に完成した「グラ−フ・ツェッペリン号」で、全長235メ−トル、航続距離1万メ−トルという地上最大の飛行物体でした。
 1930年代に、全長245メ−トル、乗員乗客100人乗りの「ヒンデンブルグ号」が開発され、1936年には、同船による大西洋航路が開設されました。
 しかしその翌年、悪天候の中をニュ−ヨ−ク郊外での着陸寸前に水素ガスが爆発炎上して乗客乗員97名中35人が死亡するという大惨事を起こしてしまいました。
 この事件を契機に、飛行船時代は終焉したといわれてきましたが、今から14年前にツェッペリン社が再興され、カ−ボンファイバ−や不燃性のヘリウムガスなどを使用した新型飛行船「ツェッペリンNT号」が再び開発されました。
 株式会社日本飛行船の渡辺社長は、「今日、ヒンデンブルグ号クラスの飛行船は、新素材の登場やコンピュ−タ−による最新の航法、気象、通信システム設定、太陽電池の開発など、当時とは状況が違っている。アッセンブリ−産業を得意とする日本が、主体になって作ることは可能だ」としています。 同社長が、近い将来、45人乗り、85人乗りという大型飛行船の開発計画の夢を持っているというのは大変魅力的です。
 飛行船は、離発着に長い滑走路を必要としないこと、係留も陸上なら約400メ−トル四方の芝生などの広場に20トンのクレ−ン車1台で十分で、浮体構造の水上基地やウォ−タ−フロント周辺を利用した運用も可能とされていますから、新たな地域づくりの素材として最高ではないかと思います。
 飛行船は、陸地から300メ−トル、海上なら600メ−トルの上空を、時速90キロから125キロで静かに移動するとされています。
 また、連続24時間の空中静止が可能ということですから、災害時の物資の補給や救助、空中管制あるいは各種の調査計測や広告媒体などの多分野に、力が発揮できそうです。
 伊豆半島のコミュ−タ−空港の代替機能として活用する、あるいは伊豆地域へ係留施設を誘致することも考えられます。
 さらに県内の主要な観光地である浜名湖や富士山周辺に係留基地を作り、富士山静岡空港とのコミュ−ト機能と、それぞれの観光遊覧に利用できれば、誘客対策として最高です。
日本列島の中心に位置する本県に飛行船の係留基地を有すること、できれば新たな飛行船の建設基地を誘致できれば、21世紀の本県のポテンシャルは大いに高まります。
 本県は、日本列島上の立地性を活かして、飛行船の研究に着手すべきだと思いますが、ご所見を伺います。』

○花森企画部長
『富士山静岡空港についてのうち、飛行船の研究についてお答えいたします。 議員からご紹介のありました、民間で運行されております飛行船「ツェッペリンNT号」につきましては、昨年開催された「愛・地球博」での宣伝飛行に際して、本県に係留について打診がありました。
 その折、様々な検討の結果、運行事業者は、飛行経路について中間的な係留地として旧浜北市内の工場跡地を確保し、現在も必要に応じて利用していると伺っております。 現在、飛行船は広告媒体として活用されておりますが、低空・低速かつ長時間の対空性などの特性を生かすことにより、地震などの災害時の救助活動や海難救助、水質調査、さらには、富士山、南アルプス、伊豆半島、浜名湖などの豊かな自然景観を楽しむ観光遊覧など、将来に向けて、本県においても多様な活用の可能性を秘めているものと考えております。
 しかし、一方では、需要、採算性や運営体制等の検討、係留基地としての土地の確保や格納庫等の整備など、様々な課題がありますことから、今後、各関係方面からの情報収集等に努めながら、導入の可能性について研究を進めてまいりたいと考えております。』

○浜井
 『次に幼保一元化について伺います。
 少子化の進行による保育園や幼稚園におけるこども集団の小規模化や、都市部における数万人もの待機児童、専業主婦の育児不安への支援の不足などの現実をうけて、去る6月9日、幼稚園と保育所を一元化した総合施設を創設する「就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律」いわゆる「認定こども園設置法」が成立し、この10月1日から実施されることになりました。
しかしなお、保育所は厚生労働省、幼稚園は文部科学省という指導監督に当たる所管省、そして保育と幼児教育について規定する児童福祉法と学校教育法、さらにそれぞれの施設に対する財政措置はそのままにして、新たな特別法を施行するということですから、現場では相当不安視する声が充満しています。10月からの実施に当たっては、多くの課題が山積していますが、ここでは次の3点について伺っておきたいと思います。
 まず第1点、国は両省による幼保連携推進室をつくって窓口を一本化するとしていますが、本県における窓口体制をどのように考えておられるのか伺います。』

○石川知事
『幼保一元化についてのうち、窓口の一本化についてであります。
 認定こども園は、次代を担う児童の就学前の教育、保育の場が、保護者の就労の有無によって、学校教育法に基づく幼稚園か児童福祉法に基づく保育所に決まってしまうという保護者の疑問にこたえて、幼稚園と保育所の機能を共に備えた新たな選択しを加えるということでスタ−トすることになりました。
 国においては、今回の法律を所管する丈部科学省と厚生労働省が連携して対応すること、今のところ両省の所管する現行の補助金その他の制度の組み合わせで対応していくことが考えられております。
 本県においては、それら現行の諸制度について、私立幼稚園については総務部私学振興室、公立幼稚園については教育委員会義務教育課、保育所等については健康福祉部子育て支援室と、3つの課室に所管が分かれております。
 しかしながら、県民の立場から見れば、窓ロの一元化が望ましいわけでありますので、制度の詳細が明らかになり次第、最も適切な部署に一元化を図ってまいる考えであります。一
 ただ、現在のところは実務面で不明確な点も多いために国の制度説明等に対し、健康福祉部が中心となって対応しつつも、関係部署が連携して準備をせざるを得ませんので、県民の皆様に対しては、3つの課室のどこが相談を受けても適切な対応が可能となるよう図ってまいります。』

○浜井
『2点目、法第3条第1項第3号の子育て支援事業は、地域のニ−ズに照らして必要と認められるものを、保護者の要請に応じて適切に提供しうる体制のもとで行うことと規定されていますが、この事業に対する財源措置はどのようになるのか、地方に押しつけになるのではないかとも思われますが、ご所見を伺います。』

○藁科健康福祉部長
『幼保一元化についてのうち、はじめに、子育て支援事業についてお答えいたします。
 国では、認定こども園が子育て支援事業を実施するための費用に関して、保育所については、厚生労働省の一時保育促進事業や地域子育て支援センタ−事業等の助成制度を活用し、また、私立幼稚園については文部科学省の教育改革推進特別経費の子育て支援事業を活用するなど、それぞれ既存の助成制度により対応する方針であると伺っております。
 子育て支援事業は、家庭や地域社会の教育力、子育て力の向上に大変重要なものであり、保護者の要請にこたえ、適切に行なわれるよう必要な財源確保を、国に働きかけて行きたいと考えております。』

○浜井

『3点目、認定こども園は、都道府県が条例を制定して認定することとされていますが、国はガイドラインを示すだけで、具体的には地方の裁量に委ねられているようにうけとれます。
県条例制定に当たっては、幼児保育と幼児教育にかかわってきた、これまで努力をしてきた既存の法人や関係者等の意見を聴取すること、一番大事な地域のニ−ズを見極めることを、しっかりやっていただきたいと思います。
 また、特に問題となるのが地方裁量型施設であります。この施設については、公立優先とか無認可施設の飛び込み申請などを優先して既存の法人等の経営を圧迫することのないよう、充分配慮する必要があると思います。条例制定に当たっての、ご所見を伺います。』

○藁科健康福祉部長
『次に、条例による認定要件についてであります。
 認定こども園の職員配置や施設設備、教育、保育の内容といった、具体的な認定基準については、文部科学大臣と厚生労働大臣が協議して定める指針を参酌して、県が条例で定めることとなっています。
 認定こども園は、認可を受けた幼稚園又は保育所が、共通の機能や相互に補う機能を発揮することにより認定されることが基本でありますが、幼稚園、保育所のいずれの認可も受けていない施設で、一定の保育水準を持つものについて、地方裁量型として基準を設け、認定することとなっております。
 条例に定めるべき基準は、認可を受けている,受けていないにかかわらず、教育・保育の質が認定こども園においても現実に確保されるものでなければならないことから、子どもや保護者に接する幼稚園や保育所の関係者、また地域における子育て支援を推進する市や町などから意見を伺いながら条例案を作成していきたいと考えております。』 

○浜井
 『次に、自殺対策基本法制定に伴う本県の対策について伺います。
警察庁の統計によれば、我が国の昨年1年間の自殺者は前年を0.7パ−セント上回って3万2552人に達っするとともに、8年連続して年間3万人を超えたことがわかりました。
 自殺者の3分の1が、40代から50代の働き盛りの男性が占めることから、残された家族のことを考えると、自殺は我が国が抱える大きな社会問題の一つになっています。
 去る6月15日、自殺が後を絶たない背景に、多くの複雑な社会的な要因があるとし、国や地方自治体、事業主などの責務として医療機関や民間団体との連携を求める「自殺対策基本法」が成立いたしました。
 自殺者の約70パ−セント、自殺未遂者の約60パ−セントが、家族や友人に相談していなかったという調査結果からも、死ぬことを考える人はもちろん、未遂者や遺族に対する相談窓口の設置が急がれます。
 厚生労働省は、本年3月、各都道府県に対して、2年以内に「自殺対策連絡協議会」の設置を求めました。
 これを受けた某通信社の調査によれば、62の都道府県・政令市のうち、連絡協議会を設置済みのところは13道県、今後設置予定が23府県・政令市に止まっており、残りは未定とされました。
 本県は協議会の設置を予定しているとのことですが、基本法の成立を受けて、今後どう対応していくのか伺います。』

○藁科健康福祉部長
 『自殺対策基本法制定に伴う本県の対策についてであります。
 県はこれまで、精神保健福祉センタ−の「こころの電話相談」や、健康福祉センタ−における精神保健福祉総合相談を通じて、県民のこころの健康づくりを推進しながら、自殺予防対策に取り組んできたところであります。
 本県の自殺者数は全国的にみても低い水準ではありますが、最近、全国の傾向と同様に増加がみられたことから、今年度、県庁内の健康、労働、教育、警察等各分野の関係室をメンバ−とした連絡会議を立ち上げ、多角的な検討・連携を推進するとともに、この会議での議論を踏まえ、全県レベルでの自殺対策連絡協議会の年度内の設置に向け、検討を進めてまいります。
 さらに、今年度新たに、自殺者のうち働き盛りの男性が多いことに着目し、モデル地区で、地元医師会等と連携し、自殺に関連の深いうつ病の早期発見・早期治療の促進に取り組んでいるところであります。
 今後、国が示す支援策を踏まえ、モデル地区の成果を活かし、自殺予防、自殺未遂、遺族に配慮した相談窓口等の充実につきまして、積極的に取り組んでまいります。』

○浜井
『農業水産行政について伺います。まず、残留農薬規制についてであります。 これまで我が国では、農薬や飼料添加物や動物用医薬品を合わせた283種類だけに残留基準があり、それ以外の農薬の規制がなかったこともあって、食品から残留基準のない農薬が検出されても、どうすることもできない状況にありました。
急増する輸入食品とそれに伴う食品中への農薬等の残留に対する消費者の不安の高まりなどから、平成15年に食品衛生法の改正が行われ、この5月29日から、食品に含まれる残留農薬を全面的に規制するポジティブリスト制度が実施されることになりました。
今回の改正で、原則規制された状態で使用・残留を認める799農薬等が新たにリスト化され、一部の食品には残留基準が設定されている農薬等が、残留基準が設定されていない食品に残留する場合、一律0,01PPM、つまり食品1キログラムに対して農薬が0,01ミリグラムを超えた場合、販売等が原則禁止されることになりました。
 これにより、国内市場に氾濫する外国産野菜や加工食品などに対して、一定の歯止めがかかることになる反面、生産者には使用農薬や分量、散布方法などの確認を行うことが強く求められることになりました。
 農薬を使用する生産者は、近隣生産者に対して、その生育期の農作物や収穫期に農薬被害を及ぼさないような配慮が必要になりました。
 いったん風評被害が出れば、本県の農産物のブランドに疵がつくことになりますから、県は、JAなどとと共同して、農薬使用に関する適切な指導が必要になると思いますが、ご所見を伺います。』

○村松農業水産部長
『農業水産行政についてのうち、はじめに、残留農薬規制への対応についてお答えいたします、
 新しい残留基準を定めたポジティブリスト制度の下においても、これまでどおり、農薬使用基準を守って農薬を使用すれば、対象作物において残留基準を超えることはありませんが、隣接する農作物への飛散をできるだけ少なくするよう心掛けることが必要になります。
 県におきましてはこれまでに、概要や対策を取りまとめたパンフレットを3万部印刷して全農家に配布するとともに、県と各農協に「農薬飛散影響防止対策連絡会」を設置し、慶協などと連携して延べ282回の講習会などにより農薬飛散軽減対策を周知徹底してきたところであります。
 今後も、農協と一体となって、飛散軽減ノズルの普及やネットなどによる飛散軽減効果の現地実演会を関催するほか、農家に対して農薬の散布日や種類など使用状況の記帳指導の徹底を進めることにしております。
 農業者はもとより家庭菜園などを楽しまれている方々まで、すべての農薬使用者にポジテイブリスト制度を理解していただき、農薬の安全使用を一層徹底してまいります、』

○浜井
『次に漁協の経営基盤の強化についてであります。
 最近の国内漁業は減少傾向に歯止めが係らず、平成16年度の生産量は平成7年度比約77パ−セント、生産金額で約71パ−セントに下落しています。 水産資源の減少と魚価の低迷に加えて、就業者の減少、高齢化、さらには燃油価格の高騰の追い打ちで、漁業を取り巻く環境は悪化の一途を続けています。
 こうした中、1県1漁協や1県1信用事業責任体制の構築が指導され、本県においても昨年度末にようやく信用事業の統合が果たされたところであります。
 しかし、当該信漁連は元役員らが十分な審査を行わず不適切な融資を行い、信漁連に多大な損害を与えたとして、昨年10月末に金融庁及び農林水産省から業務改善命令を受けたところであります。
信漁連の平成17年度決算をみますと、自己資本比率がJFマリンバンク基本方針基準の8パ−セントを下回るという、非常に厳しい状況となっております。
 合わせて来年度からは、新たなBIS規制が課せられることから、信漁連にも、なお一層の経営の健全化が求められています。
 厳しい漁業環境の中、改革に取り組んできた漁協と、そうでない漁協と、信漁連の構成漁協は渾然一体の感がします。
 仄聞するところ、JFマリンバンクにおいても、本県の信漁連の運営体制に、一層の改善を求めていると伺っています。
 現下の水産業を巡る厳しい現実に鑑みれば、今後短期間のうちに漁業生産が回復することは困難であるように思われます。
 このような状況のもとで、今後とも海と漁港と海浜の秩序を維持していくためには、漁協の統廃合を含めた抜本的な対策を講じて、漁協並びに信漁連の健全な経営を確保することがもっとも重要であると思われます。
 漁協の経営基盤の強化について、ご所見を伺います。』

○村松農業水産部長
「次に、漁協の経営基盤の強化についてであります。
県信用漁業協岡組合連合会の平成17年度決算における自己資本比率は7,23パ−セントであり、JFマリンバンクの基本方針基準を下回っているため、財務状況の早急な改善が求められております。
 このため、信漁連では、新たに専門の部署を設けて債権管理の徹底に努めるとともに、店舗の再編整備等により、菅理コストの縮減を図っているところであります。
 また、各漁協の経営改善につきましては、県や系統団体で組織しております「経営基盤強化対策本部」の指導の下、不採算事業の整理や職員のスリム化、役職員給与の見直しなど管理費の縮減を図ってまいりましたが、現在の水産業をめぐる厳しい状況の中で、一段と厳格な対応が必要となっております。
 県といだしましては、今後とも系統団体と連携を密にして、漁協の合併、市場統合など、組織の再編整備を進め、漁協の経営基盤の一層の強化に努めてまいります。』

○浜井
『少し時間がありますので再質問いたします。飛行船にちょっとこだわるんですが、実は国産旅客機第1号は、浜松市の福永飛行機製作所でつくられています。「天竜10号」です。
 東大阪の中小企業のおっちゃん達が、宇宙開発協同組合をつくって人工衛星を打ちあげようとしてます。「まいど1号」といっています。
 やっぱりものづくり県の本県は、他ではリ−ジョナルジェットの製造工場を苫小牧東へ持ってこようという動きもあるようですから、できたらこの飛行船を、この静岡県に、TSLで交渉中の三菱と相談して、このTSLの外側を格納庫とか工場に使うということも想定してですね、一つ是非この飛行船の製造工場を静岡県で造るといいうような夢を持っていきたいなと思いますので、もう一度企画部長のご答弁をお願いして質問を終わります。』

○花森企画部長
『行政にロマンを持つのは企画部の仕事だと思いますので、様々な角度から研究して参りたいと思います』