個人別に出題する。 手順
「水と緑と土」を読んで
淀川水系では上流の都市の下水処理場の排水口の下に、下流の都市の上水道の取水口が設けられている。
日本においてさえ「飲み水なんてそこら辺にいくらでもある。」と思っているのは静岡県民位のものでは無かろうか。
ましてや世界の大半は年間降水量が日本の半分以下、という所であるから、静岡県民は世界で最も水に困らない人間であるとも言える。 国土の66.5%を森林が占めるというのは、パプア・ニュ−ギニアの様な奥地を除いた統計上では、 北朝鮮、カンボジア、フィンランドに続いて日本が世界第4位である。 その日本にあって静岡県の林野率は64%全国25位と中位であるが、多くの森林県が北海道・東北・四国・九州と周辺部にあるのに対し、 静岡県は東京大阪の中間にあり「都市近郊の森林」と言っても良いであろう。 しかも例えば東濃の森林が林業によって隅々まで利用された「杉畑」「桧畑」といった姿に終わるのに対し、 静岡の森林は人口林の奥には南アルプスの原生林が控え、森林の姿の全てを内包するものである。 都市近郊で人間と森林の関わりの全てを見ることができる、という点からは、静岡県民はまたしても世界で最も恵まれていると言うことが出来よう。
大井川上流(伊豆とも言われる)から流れ出た大木を、丸木舟にして宮中に献上した、と言われるのが今から1500年近くも前のことである。
水と同様、森なんてものは静岡県民にとっては「有って当り前」のものでしか無く、ことさら大事にしようとも思わないのであろうか。
このような「農業」と「林業」をセットにした文化を、長い間育んで来た静岡県の自然であるが、
今世紀以来の産業の急速な近代化と共に、伝統的な自然と暮らしの関係が失われつつ有ることは、
世界中のあらゆる地域と変わる所は無い。
「水と緑と土」に描かれた様な、伝統的な自然と暮らしの関係、と言う観点から、 これまでの数千年の歴史の中で静岡県を豊かにして来たもの、現在の静岡県を豊かにしているもの、 将来の静岡県にあっても人間の暮らしを豊かにしてくれるであろうものを揚げ、それが現在の人間の営みの、 身勝手さから守られるために、考えられる方策を4000字程度にまとめよ。用紙は自由とする。 環境デザイン論後期課題ブックリスト 出放題 |