ブルーな話

ブルースでなく、ブルーな話です。都市計画制度について「えーっ、そんなこと知らなかった!!!」というわけで真っ青になりそうな話をもう少し。マンションを買おうとしている人も青くなるかも。

入野にある臨江山自治会の2/3程は風致地区、地区計画、景観形成計画といった都市計画制度で守られていますが、残りの1/3程にはそうした制度は掛けられていません。用途地域上の第一種中高層住居専用地域、つまりマンション地域となっています。ここがつまりブルーな地域、と言えそうです。地図に落としてみました。



図のグレーの部分が風致地区、地区計画、景観形成計画といった都市計画制度の区域外となります。区域外,、、区外、苦界となっては困ります。

先進地、首都圏の分譲マンションの現状を見ると、30年後の浜松における分譲マンションの様相が想像出来ます。住民の高齢化と共に分譲マンションの建替えが進まず、「姥捨て山」になってしまう、という事例はずいぶんと報道されてきました。築後30年程で建物の資産価値が激減するのは、欧米には無い日本だけの現象です。そして金持ちは逃げ出してしまい、引っ越すことの出来ない高齢者だけが取り残されて「私が死ぬまではここに置いて下さい。」となってしまいます。

賃貸マンションでは建替えの最終責任者がはっきりしていますが、分譲マンションでは、地価が限りなく上昇した時代には、考えられなかった様なことが起こりそうです。知り合いの都立大教授は「80年代終わりに多摩ニュータウンの中古公団マンションを3,200万円で購入、バブルの頃不動産屋に4,000万円と言われたものが先日聞いたら800万円になっていた。」と嘆いていたのがかれこれ5年程前になります。同じ事態は浜松周辺にも確実にやってきます。しかも公団の大規模開発では余裕を持った全体計画であったものが、狭い敷地にひしめき合ってなので、資産価値の減少はさらに深刻です。

複合日影について



さらにブルーなことは最近「日照権」という言葉があまり流行らなくなったことと関係があります。それは建築基準法の日影規制が「複合日影」には及ばない、ということです。

左図の上のような日影を生ずる建物があった場合、これが4棟並べば、図中のような日影を生ずるかというと、そうではないのですね。「朝は向うの影、晩にはこちらの影、」というわけで、図下のような日影が発生します。ところが現在の建築基準法では、隣の敷地に立つ別の建物による日影が、複合して出来たこのような日影は、規制対象外となっています。このため複合日影は、大規模敷地に複数の建物が同時に建てられる場合にこそ、規制対象となりますが、同じ開発業者であっても。敷地を別にして建築確認の申請をすれば、規制対象外となります。

新しい建物が出来ることによって実際にはこうした日影が発生するにも関わらず、規制対象外ということで設計者でさえも気付かないことがある様です。

そんなわけで1970年頃までは、健康な住宅地を守るために人権であった日照権も、有名無実のものとなり、高さ規制を頼みの綱としなければならなくなったのが今日この頃です。