13.土地の浄化

都市部の土地の相当部分がこれまでの土地利用によって汚染されています。これらの土地の大部分は技術の進歩とこれまでの経験によって、建物の用地として、あるいはオ−プンスペ−スとしての価値を取り戻すことが出来ます。しかしこうした土地浄化の為には、汚染された土地の上に暮らすのが恐いという、一般的な恐れ、こうした用地を危険だとみなす開発者の立場など、ほかの障害もあります。安全性の確保に関する法的責任についての立法化は遅れていましたが、4年前に発効しました。

米国その他における実績から、この問題は二つの視点か解決が計られるべきものと考えられます。

  • 規制の体系の単純化、統合・強化
  • 出資者・土地所有者・開発者の取るべき危険管理策の標準化
新たな規制基準は本年(2000年)末までに発効する予定ですが、廃棄物処理法、水質汚染防止法との間に矛盾が残されています。これらの矛盾が取り除かれなければ、土地所有者はことを進められません。私達はまた、土地浄化戦略に同意した土地所有者あるいは別の開発者が、将来において、別のさらなる対応を要求されることが無い様な規制立法を望ましいものと考えます。

現在の危険度判定と対策についての一貫性の無さは、全国統一基準の必要性を示しています。こうした基準ができれば、汚染された土地に対するアセスメント、処理、事後対策のための、危険度の判定・対応・協議の為の最低基準が確立されます。さらにこれが土地評価基準としてまとられれば、一貫した頼れるものになるでしょう。政府はまた土地所有者、開発者、またはその代理者がとった処理対策の内容を保証する制度を導入することも出来ます。これによって個々の開発に対する保険業界の対応もより確実なものになるはずです。

政府は教育、調査、取締を通じて全国の汚染された土地の全てが2030年までには利用可能な状態になるための浄化と、将来の土壌汚染を防ぐためのするためのキャンペ−ンを展開すべきです。

主要提案
  • 汚染された土地、かって汚染されていた土地の評価、処理、事後対策を通じ、それらの危険度の判定・対応・協議の為の全国統一基準を策定する。
  • 汚染された土地の浄化の為に必要な法的手続の一切をまとめて許可を行なえる「ワンストップショップ」としての窓口を持つ環境保全機関を設立する。
  • 汚染された土地、かって汚染されていた土地の処理と売買のためにより明解で一貫性のある土地評価制度を試行する。
  • 全国の汚染された土地の全てが2030年までに利用可能な状態になるためのキャンペ−ンを展開する。


14.建物の再利用

空家、低利用の建物は地域環境を劣化させるだけで無く、有用資源の浪費でもあります。地域が見捨てられていることの象徴として、近隣のモラルに計り知れない損害を与え、都市全体についてんぼ衰退の印象を強化します。

建物を有効な利用状態に戻すには持続的な行動が求められます。全ての自治体には地域全体の包括的な空き地・空家戦略が求められます。業務分野では空事務所、店鋪上層階の住宅目的の転用による有効利用が展望できます。持ち主に対するインセンティヴには事業税の軽減などが考えられます。同時に放棄住宅、あるいは整備不良で1年以上空家となっているものに対しては過重地方税を科すことも制裁措置として考えられます。

これに加えて私達は、新築住宅と業務建築の住宅転用には科されないのに、空家の改修には科される、17.5%という苛酷な付加価値税の特別徴収の見直しを提案します。改修と住宅転用は無税というのが理想でしょう。これがEUによって認められなければ、新築住宅と住宅転用の全てに一律5%の付加価値税を科すというのが私達の提案です。これによる税収の相当部分は都市再生と土地再開発に充当されるべきです。

放棄された、あるいは人気の無い住宅地を変身させるには、教育、雇用、治安といった、私達の手に余る広い行動が必要です。しかし私達は効果的な住宅地の改善、再生を目的とした重要な提案をすることが出来ます。私達はまた公営住宅が人気が無く、需要も少ない地域を選んで建設される、というやり方を変えることを提案します。現在行なわれている需給計画に基づく建設は、低所得層だけで無く中所得層、学生を含む多様な入居者を対象にしたもっとオープンなシステムに改められるべきです。

より明解な計画基準が歴史地区、あるいはランドマ−クとなる建物を含む地域の再生の為に適した選択肢を産み出すために求められています。私達は歴史的建築物の保存組織が、地域の再生の為の触媒として、その役割を再考することを望んでいます。使われていない登録建築物に対する事業税の免除は持ち主に対し建物を空家のままにしておく不当なインセンティヴであり、廃止すべきです。

私達の都市には大きなスケ−ルの修繕が必要です。しかし同時に、必要なサポ−トが受けられれば、ローカルコミュニティーが自らの手で解決できる細かな目障り、空き地などもあります。私達は地域住民とボランティグル−プがこうした自分達の手で「都市のほころび」を修繕するための資金を提供する「ルネサンスファンド」を提案します。今後10年間で政府出資と宝くじの売り上げから5億ポンド(約800億円)を積み立て、最初の5年間で少なくとも3000のプロジェクトを補助するものです。

主な提案
  • 地方自治体に空き地・空家軽減の為の戦略を維持する法的義務を求める。
  • 持ち主が使っていない歴史的建築物の補修・利用を促進する方策を導入する。
  • 商業施設上層の空きスペースをアパ−トに転用するため、公的出資、事業税の減免などの補助を行なう。
  • 新築住宅の免税と同様、空家の補修・住宅への転用に対する付加価値税を公平化する。無税が実現出来なければ税収の相当部分を都市再生に還流する。
  • 10年計画で、地域環境を損ねている空家などの改善を住民が自らの手で行な、都市の修繕を援助するために、「ルネサンス基金」を設立する。