2.まえがき
私たちはどのようにして都市と田園双方の質を高め、それと同時に今後25年間でほぼ400万戸の住宅を新たに供給することが出来るでしょうか。現在の政策から私たちが推定した試算では、政府はその目的とする、新規住宅の60%以上を新規開発敷地ではなく既成市街地の再開発による、という目標を達成出来そうにありません。
戸の目標の達成は私たちの社会の健全な発展のための基礎となるものであり、それに失敗することは都市の細分かと農村の崩壊をもたらすことになります。それと同時に交通渋滞と大気汚染が進み、天然資源の消耗が加速され、生態系の多様性が損なわれ、社会性の剥奪が起こります。
都市再生の実現は単なる数字とパーセンテージの問題ではありません。都市再生とは生活の質を産み出して行くことであり、都市生活を好ましいものに変えて行く活力のことなのです。
私たちは都市が再び生活・仕事・社会活動のための魅力的な舞台となるために、都市に対する態度を変える必要があるのです。
産業革命以来、私たちは都市の主人公という立場を追われ、都市は貧弱なデザイン、経済の拡散と社会の分極化の場となってしまいました。21世紀の始まりはこうした都市の在り方を変えるまたと無いチャンスです。
私たちに都市再生のチャンスをもたらす要因として、次の事柄が挙げられます。
- 通信と交流を中心都市他技術の革新
- 生態系の危機など、天然資源の急速な消耗の影響が明らかになるにつれ、重要視されるようになった持続的な開発
- 高齢化、ライフスタイルの多様化による社会構造の変化
都市は優れたデザインにより、コンパクトで、公共交通によって便利に結びあわされ、持続可能な環境の中で多様な利用を支えるものであり、それと同時に変化に対応するものでなくてはなりません。変化のプロセスは民主的な地域のリーダーシップと、より広い住民・市民参加を結びあわせたものになるべきです。
都市地域を市場経済にとって魅力的な場所とするためには、公的資金による投資が強化されるべきです。都市に関わる全ての公的機関は都市再生のために連携を強化しなくてはなりません。
都市再生は単なる政策の羅列ではなく、教育・意見交換・情報公開と市民参加を通じた技量・信念・価値観など文化の変容が求められます。