近づき易さII

ヴァーチャル空間怖い
空中庭園
俯角と仰角
近づき易さI
近づき易さII
ヴァーチャルまちづくり

さて、建物・歩道といった目に見える世界での「近づき易さ」をみてきたが、情報などまちづくりにかかわる目に見えない分野では 「近づき易さ」をどう捕えたら良いのであろうか。

前ページでは広場を囲む二つの建物のウェブページへのリンクを載せておいた。バンクーバー・アート・ギャラリーのページは、 これはまあ、浜松市立美術館でも、ウェブページが出来ればこんなものになるだろう、という作りであるが、 BC州高等裁判所のページは、我々が日頃は専門分野でもなければあまり気にもしない「法律」を素人にも解りやすく説明しよう、という熱意が感じられて結構面白い。

なるほど「法律を守る」といった時、封建社会からそう遠くないところに住んでいる我々からすると、「お上が定めた法律に従う」 と言うニュアンスになるのだが、近代民主社会では「法律を守る」といえば、市民の誰もが納得して暮らしていけるルールを 手入れし、育ててゆく、ということを意味するようだ。

最近、公的組織の「情報公開」がさかんに言われるようだが、我々の発想からすると、左の図のように公的組織の中に「市民対応部分」があって、 そこから発信される情報量を増やせ、ということになってしまいがちだ。

アメリカ・カナダの市役所では、これとは違い右の図のように公的組織全体が「市民対応部分」であって、 市民の側からアクセスしたいところの情報を得られる。ということでなければ「情報公開」とは言えないようである。

浜松市役所のウェブページ(http://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/)
も開設されたようだが、これとアメリカ・カナダの様な情報公開先進地のウェブページ、例えば

バンクーバー市役所(A HREF="http://www.city.vancouver.bc.ca/)
シアトル市役所(http://www.pan.ci.seattle.wa.us/default.htm)
とを較べて見ると、「情報公開」とは何だろうと考えてしまう。

例えば上記バンクーバー市役所のホームページは次ぎの様に始まっていて、各ページの表題を見る限、 は日本に於ける「情報公開」と、さして変わった印象はない。

The World Wide Website of Vancouver's municipal government

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けれども少しづつ中に入って行くと、次第に様子が変わってくる。

都市計画課のインデックスページ(http://www.city.vancouver.bc.ca/commsvcs/planning/)

は次の様になっていて、 都市計画の縦覧などもできる。 注意して欲しいのはこれからのスケジュールがここでも公表されていること。 成文上の制度としては我が国でも縦覧など同じ様な手続きが整備されていて、スケジュールなども広報その他で市民に広く知らされているのであろうが、 私の様な横着な市民はなかなか見ようとしない。

横着ものは上の右図のように、自分が情報に近づきたい時に情報が簡単に手に入るのでないと、 左のように情報発信側が情報を流したい時に流れてきたものをきちんとファイルする。ということはなかなかやらないものだ。 「インターネットで情報の流れが変わる」と騒がれたのはこのあたりのことで、発信情報が今までと同じように「知りたいこと」でなく、 「知らせたいこと」である限りは流れは変わりそうにない。


公園・レクリエーション審議会
(http://www.city.vancouver.bc.ca/parks/)
は市役所職員ではなく、公募による審議会委員が公園などの利用に関する政策を立案するところのようだ。
ヘイスティングス・パークの項にはこの秋着工の再整備計画の計画決定までの経過と、 決定案の絵などが載っている。

公園・レクリェーション審議会のページには「傍聴者で決議事項に発言を希望する方は審議会開催前の木曜日正午までに 257-8451 までご連絡ください。」とあるが、 審議会の記録が全てこうして公開されているので、「御意見拝聴いたしました。慎重に審議の上、しかるべく対処いたします。」と言って追っ払うわけにはいかない。

もちろんこうした「政策立案過程の全てが有権者に対して公開」という原則は、なにもインターネットがもたらした訳ではなく、 アメリカ、カナダの市役所ではどこでも議会前になれば、議会提出用の政策原案を豊かな街ならタダで、お金の無い街なら5ドルとか10ドルといったコピー代を出せば、 私の様なアジア顔の来訪者にも喜んで頒けてくれる。

この辺りが情報などまちづくりにかかわる、目に見えない分野での「近づき易さ」ではないだろうか。