大島教授の[暖蘭亭日記][99年6月15日〜 6月21日] [CONTENTS]

1999年6月15日火曜 曇。今日は今までよりも湿度が高く、蒸し暑い。だが、雨は降らず。
 終日、D小説大賞のための原稿読み。昨日途中で諦めたものも含め8本。最後の一本はなかなか粘っこい話で、さらりと読めず、途中何度も休んで夕食をはさむことになる。さすがに疲れてきて、さあ次さあ次という気にならない。ここが踏張りどころ。
1999年6月16日水曜 晴れ。昨日よりも蒸し暑い。午後から風が出るが、夜に入り止まる。
 日中はD小説大賞のための原稿読み。今日は7本。これといったものはなし。どれもこれも小手先だけで書いている。全身全霊をかけて、とか、あふれでるものをもてあましてというようなインパクトのある作品はほとんどない。おめえら、舐めとんのか、と言いたくなる。15や17のガキはまだいい。無理もないだろう。40越えた、それもある程度文筆のキャリアのあるやつが一番腹が立つ。
 ホーガンの訳者あとがきのゲラに手を入れ、追加原稿は別にメールにして送る。ゲラそのものは夕刻、ファックス。
 のざきさんからクライヴ・グレグスンのCD。London Review of Books。ビデオアーツから貰ったAli Farka Toure の新作の正式サンプルをあらためて聴く。ジャケットといい、中の写真といい、音といい、ラディカルである。
 夕方、ラオックスから電話。PowerBookがようやく治ってきた。
1999年6月17日木曜 晴れ、暑し。昨日より気温も湿度も高い。

○Clive Gregson HAPPY HOUR; Fellside, 1999
 これはすばらしい。こういうものがこの人の本領だろうと思う。ライナーはのざきさんが電話インタヴューしたもの。CDの Thanks のところにもちゃんと名前がある。
 
 午前中、PTAの役員会。11時半に終わってもどると東京創元社・Yさんから電話が入っていたのでかける。あとがきの件。冒頭部分、今少し具体的にということで書き直すことにする。そのまま車で駅前に出る。吉本家で昼食。朝、卵を食べたので、キャベツと薬味ネギ。ラオックスの家電に行き、CDウォークマンを見てもらう。リモコン側にも Hold スイッチが付いているのに気がつかなかった。あっさり直る。ザ・コンピュータ館の3階に行き、昨日連絡のあったPowerBookを引取る。危うく修理代をとられそうになる。結局HD交換になっていた。1階で MacFan Internet を買い、そのまま帰る。やたら疲れる。
 帰宅してぐったりと買ってきた雑誌を眺めていたら寝てしまう。あまりに眠いので昼寝。結局1時間半ほど眠った。
 4時、子供たち二人が帰ってきたのでスイミングに連れてゆく。とってかえし、PowerBookの設営を始める。インストールされていたのは 8.1 だった。最後に柴犬を入れようとするとディスク容量が足らないと出るが、かまわずにOKボタンを押していったらカスタム・インストール画面にたどりつけた。また迎えに行き、後はひたすら寝るまでPowerBookの設営。結局就寝0時半。
 夜、中山さんから電話。むかし『スモール・タウン・トーク』に出ていたタコマのカタログのコピーを松山さんに送ってくれという依頼。いま二人が仕掛けている『ミュージック・マガジン』の特集の資料だそうだ。ジョン・フェイ関連らしい。この辺が今アメリカの若者の一部で、「最先端」としてもてはやされているのだそうだ。フェイのライヴはフォームのない、かなり風変わりなものだったらしい。それはそれでまた見てみたいものだ。かかってきた時間が早いこともあり、珍しく1時間ほどで切り上げる。
1999年6月18日金曜 曇時々雨。寒し。
 朝一番で東京創元社・Yさんから電話。あとがきの件。昨日書けなかったので今日書くと返事。その後すぐにやってメールで送り、架電。OKが出る。
 その後、夕方までかかってPowerBookの環境整備。5時になり、ようやくこれを書けるまでになった。やはり一日かかる。
 Dirty Linen、ラティーナ着。
 夜、先日のLondon Review of Booksに出ていて気になっていたロシアの作家 Victor Pelevin の英訳を探して Amazon.com.uk に行く。読者のレヴュー(エストニアのタリン在住の人)や粗筋を見て、結局、あったもの全部注文してしまう。ついでに Grieg-Duncan のコレクションを検索すると、folk song collections で出てくる。ついでといってはなんだが David Milner の THE BONNY BUNCH OF ROSES と Anne & Frank Warner のコレクションも注文してしまう。Grieg-Duncan は後にとっておく。これは値引きはないのでGood Book Guideで買ったほうが得。
 SETI@home のクライアント・ソフトをダウンロードしてインストール。すぐにサインアップして最初のデータを貰う。日本の世話人の人のサイトに行き、メーリング・リストを申込んだり、FAQを見たり、本家のサイトのいろいろなデータを見たりする。それをヤリながら解析を始める。なるほど、結構時間がかかるものだ。その関連で柴犬の飼い主たちの世話人であるBOMBOさんのサイトへ行く。メールの整理の仕方は参考になる。
 今日は結局原稿は読まず。
1999年6月19日土曜 曇時々雨。梅雨寒。
 午前中、PTA運営委員会。
 CDUniverseからCD三枚。ソニーからデイヴィ・スピラーンのサンプル。

○Kelly Joe Phelps SHINE EYED MISTER ZEN; Ryko, 1999
 ビデオアーツからのサンプルで、先日中山さんが絶賛していたもの。これは本当にすばらしい。ギター一本。スライドあり、コード・ストロークあり、フィンガー・ピッキングあり。いい具合に掠れた声の説得力はかなりのもの。一曲め、いきなり "House Carpenter" はアメリカ版だが、この曲の演奏としてはトップを争う。

○Zabe i Babe DRUMOVI; Bison, 1997
 コーデリアス・ダッドのティム・エリクセンがセルビア人とおぼしき女性と、ユーゴのロマのバンドとともに作った、バルカン音楽のアルバム。前半はバンド入り。後半はア・カペラ・コーラス。最後の1曲はパンク/ハードコアのフォーム。コーデリアス・ダッド同様、真っ正面からバルカンの伝統音楽に向合っていて、気持ちがいい。「民族浄化」をしたくなるほどサラエボは実は多民族・多文化の混淆した地域らしい。前半はちょっとムスタファズにも通じるところもあり。後半は完全にバルカンの伝統音楽どっぷりの世界で、資本音楽のかけらもない。名盤、と言うには全体の構成が破綻している、というより本来2枚に分けるべきアルバムを1枚にまとめてしまっているのだが、そのそれぞれは傑作と呼ぶに値する。
 
 午後は子供たちをスイミングに連れていったり、買物したりで、今日も結局仕事はできず。
1999年6月20日日曜 曇時々雨。
 8時半起床。
 新聞・読書欄に19世紀ロシアの思想家ゲルツェンの自伝完訳の書評。沼野充義さん。1冊9,800円で全3巻。
 子供たちも9時半に廃品回収に出てゆく。11時に皆帰ってきて、吉本家に昼食を食べに行く。ついでに図書館。上記『過去と思索』と白秋全集の詩文集の巻をリクエスト。
 2時前に帰り、東急に行って中山さんに頼まれたタコマのカタログ(その昔、『スモール・タウン・トーク』に載ったもの)をコピー。松山さんと中山さんにファックス。
 音友本最後のリファレンス・ページの原稿を書いてしまう。えいやっという感じ。夜、メールで送稿。
1999年6月21日月曜 晴れ。湿度が高くなく、過ごしやすい。
 終日、D小説大賞のための原稿読み。本日は6本。残り4本。収穫なし。
 音友・Kさんから電話。地図に入れる地名の件。日本語でいいのではないかということになる。夜、プロフィール原稿を書いて送る。アオラとラティーナのアドレス、URL も一緒に送る。

○嘉手苅林昌 BEFORE/AFTER; B/C Records, 1998
 沖縄返還を跨いで、直前のスタジオ録音と直後のライヴの2部構成三枚組。一番の聞きどころは三枚目の冒頭、「ナークニー」合戦。「独演会」の司会はあまりうまくない。沖縄語はこうして聞くとやはり別の言語だ。文法的には日本語に近い部分もあるのだろうが、発音、イントネーション、全く違う。歌は「絶頂期」というが、この人の場合、いつも変わらない。要するに常に「絶頂期」。
 
 MSIからニーヴ・パースンズのサンプル。
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