大島教授の[暖蘭亭日記][99年8月16日〜 8月31日] [CONTENTS]

1999年8月16日月曜日 曇りのち晴れ。風あり。
 昨夜は涼しく、今朝もそれほど暑くない。風が結構ひんやりとしている。
 今日は子守り。PowerBookの処理待ち問題はひょっとして一つのフォルダにファイルが多すぎるのではないかと思いつき、朝一番でメールの下書きを入れておくフォルダを整理。150近くあったファイルを20に減らすと解決した。とはいえ、ことえりでは出ないのだから、やはりwxgの問題ではあろう。
 昼前、今年初めてつくつく法師を聞く。声は遠い。昼食は釜揚げうどんにゆで卵。卵はゆで過ぎて硬くなってしまった。夕飯は伊佐木の塩焼き、キャベツの味噌汁、菠薐草の胡麻和え、ご飯。昆布の佃煮。
 Amazon から本三冊。うち一冊は MUSICAL INSTRUMENTS OF THE SOUTHERN APPLACHIA。著者はこの南部アパラチア地方の文化についての本をいろいろ出している人で、特に音楽に詳しいわけではないようだ。とにかく手作りの楽器をいろいろ集めた写真集。なかなか面白い。ビクター・Tさんからアナムの新譜のMD。さっそく一聴。ところが眠くて、聞きながら寝てしまう。聞けたところの印象では、当然のことながらスコットランド色が強くなり、トレーハの影がずいぶん薄くなってしまっている。
 仕事は断続的に『緑』。夕食後、ブラウンのゲラ直し、追記と注釈を一気にすませてしまう。次は索引に拾う語のチェックだ。
1999年8月17日火曜日 晴れ。
 今日は外出はせず、仕事に専念するつもりだったが、昼過ぎ、プランクトン・I君から電話。夜、カルロス・ヌニェスとの食事会に来ないかとのお誘い。明日明後日と二連荘だし、はじめは行かないつもりだったが、開始が8時半と遅いので急に行くつもりになる。
 午前中、『緑』に集中してたら背中が疲れた。昼食前、伸びをすると腰の裏の筋肉に激痛。どうやらつってしまったらしい。昼食後、アナムの新譜のMDを聞きながら仕事部屋の椅子で横になったりしたが、あまり効かず。むしろ、正座して頭を膝につけ、背中を丸めてしばらくじっとしているとよくなる。やはりつったのだろう。
 Amazon.com.uk より本二冊。Ella Young の CELTIC WONDER TALES はF&SFのコラムで見たもの。アイルランド神話の再話だが、なかなか面白い。最初の一篇だけ目を通す。天地創造のエピソードだ。もう一冊は今話題沸騰のジュヴナイル・ファンタジィ Harry Potter の第一作。最初の一章だけ読みはじめたらやめられなくなり、これを持って出て、往復読みつづける。
 午後はウェブ・サイトのための原稿を作るが、意外と手間取ることが判明。『ユーロ・ルーツ・ポップ・サーフィン』の見本のことを訊こうと、音友・Kさんに連絡。お盆の混乱とかで遅れていて、金曜見本の来週木曜取次搬入の予定とのこと。表紙だけでも先に送ってもらうように依頼。パブリシティは既存の音楽誌よりも一般誌や新聞を狙うべしとの説をあらためて主張。
 夕食前にシャワーを浴び、夕食は五目焼きそば。夕食を食べてから出かける。食事会の会場は渋谷で、BMG本社近くの日本料理屋。着いてみるとちょうど始まったぐらいのところらしかった。カルロスの他は白石、松山両氏、Kさん、直前の取材だったというコスモポリタンの編集・F氏、ミュージック・マガジン編集部の入ったばかりだという若い女性。この人はカルロスが自分で口説いて呼んだらしい。後からBMGのO・N両氏、それに五郎さん、I君も来る。カルロスはおれの顔を見覚えていた。白石さんが頻りにあれこれCDを出していろいろ訊いていた。女性のパイパーが増えている話など。Nさんと初めてまともに話したが、なかなか趣味の広い人で、エリク・マルシャンのBMG盤もちゃんと聞いていた。今のセクションに来る前は輸入をやっていたそうだ。カルロスはマガジンの若い女性を頻りに口説いていた。話によるととにかく女好きで、BMGでも街を歩いていても、きれいな女性を見るたびにきょろきょろしているらしい。11時に店が閉まり、さらに飲みに行くという一行と別れて帰宅。終電で帰宅一時。帰ってから Harry Potter の読みさしの章を読んでから就寝。一時半。
1999年8月18日水曜日 晴れ。一点の雲一つなく晴れて、暑い。
 9時前に起床。朝食はハムトースト。昨日音友・Sさんから電話があってメールを送ると言っていたというので、朝一番でダウンロード。ついでに Amazon.com.uk に行き、Harry Potter の二冊を注文。
 10時少し前に学校に行く。PTAの役員会。夏祭りのバザー用品物の受付と整理、値札つけ。小学校は外装の塗直しの工事中で、校舎の三分の二は足場が組まれて覆いがかけられている。ようやく古い塗装を削落しおえて、下塗りの段階らしい。玄関などはビニールで覆われて入れない。30分ほど、簡単に打合せした後、品物の整理と値札つけ。名入れの品物などは値段はないも同然にして置かないと、サービス品を売るのかと文句を言う人がいるそうだ。この辺は会長の経験。お昼に一度家にもどり、昼食を食べてから石鹸の類で不要なものを持ってもどる。昼食はチャーハンにマーボ茄子、かき卵スープ。二時半に先に失礼して家にもどる。
 ざっとシャワーを浴びてから出かける。まっすぐ渋谷。寝不足で眠い。昨夜は適度に酒が入ったのと HARRY POTTER が面白くて興奮したのか寝つけなかった。渋谷のBMG本社でカルロス・ヌニェスの取材。宮益坂を上がっていくと音友のSさんが前を歩いていた。やがて前の取材が終わり、写真撮影もすんでからちょっとサンドイッチ休憩が入ってからインタヴュー。本人の希望でスペイン語で通訳の方を通じてやる。一時間以上、いろいろ面白い話が聞ける。明日のアライツ・エタ・マイテルのライヴでの再会を約して別れる。出てくると星川さんが待っていてくださった。I君にお金を渡して、リアムのチケットを受取る。Sさんと三人で、結局新宿に出て、三丁目の三国丸で飲む。終電まで。焼酎のロックを五、六杯飲んだか、久しぶりに結構酔っぱらった。帰宅一時。今日はさすがにすぐに寝る。
1999年8月19日木曜日 曇、風あり。
 起床9時。軽い宿酔い。排水管清掃の人がやってきて起こされる。朝食はフランスパンにハムをはさんだのとトマト。
 四時半過ぎに出かける。代官山ポレポレでバスクのアライツ・エタ・マイテルのライヴ・イヴェント。音友・Sさんと代官山駅の改札で待合せたが、早くつき過ぎ、近くの喫茶店で時間を潰す。Harry Potter を読みつぐ。ポレポレについた時は開演一時間前だったが、もうそろそろ人が集まりはじめていた。15分遅かったら席を選べないところだった。カレーを食べ、バスクの酒パチャランを飲みながら待つ。やはり業界関係が多く、半分ぐらいはレコード会社やその筋の人たちのようだった。中村とうよう氏が開演ぎりぎりにやってきて、前の方の席につく。本人を見たのは初めて。ずいぶんな老人だった。後で聞くと1933年生まれというから、小松、筒井、半村と同世代だ。開演ぎりぎりになって、カルロス、Kさん、タッド、松山さん、I君などが入ってくる。中ほどの良い席が荷物で確保されていたのはこの一行だった。われわれの席はそのすぐ後ろ。『ラティーナ』のMさん、のざきさん、ヴィデオアーツのKさんが来ている。白石さんは例によってプレゼント攻勢。今日の主催者のオルターポップのEさんにSさんが紹介してくれる。その奥さんの各務さんは、アイリーン・アイヴァースのライヴのとき、お目にかかっていた。BMG・Nさんも一瞬顔を見る。
 店の一番奥にステージがあり、マイクが二本。店に入ったとき、ちょうどリハーサルをしていた。写真で見るよりずっと若い感じだ。ひょっとしてまだ二十歳そこそこか。はじめにEさんが挨拶して、その後は二人がバスク語で交互にしゃべっては演奏する。バスク語の通訳の男性がついていた。バスクについての著書か訳書があるらしい。はじめにトリティキシャすなわちダイアトニック・アコーディオンの説明。パンデイラにも簡単な説明があったが、奏法については何も言わない。かなり細かい打ち方をするのだが、どうやらすべて指の先を使っている。それも各々の指を個別に叩くのではなく、少なくとも四本の指は揃えて使っている。右手の指をみな伸ばし、伸ばした指にパンデイラをはずませて「タララララ」という音を出すのが気持ちいい。指をはじいて叩くこともときどきやる。蛇腹はごく普通のもので、奏法的にも特に特徴的なものはない。まあ、あの楽器はとりわけ特殊な奏法に別れるものではない。説明をしては演奏する形で四十分ほどやって休憩。その間にEさんがカルロスが来ていることを紹介して、カルロスが引張り出され、英語で挨拶してから、ホィッスルで一曲披露。その後は二人もその演奏に刺激されたのか、伝統曲をたて続けにやる。二曲ほど、パンデイラを持っている女の子がギターに持替えて、オリジナル曲を歌ったが、これは正直言って物足りない。伝統のダンス・チューンは見事なものだ。一度、自分たちのCDの伴奏でダンスも見せる。両手を挙げて指を鳴らしながらステップを踏み、時にその場でぐるぐる体を回転させる。本来は村の広場などで、皆で大きな輪を作って踊るのだそうだ。男女でペアを組むこともするそうだが、ちょっとよくわからない。アンコールも入って終演は10時近く。ステージのすぐ横に確保されたテーブルに在日のバスクの人らしき四人が座っていたが、中の一人は後で紹介されたところでは現在浦和レッズにいる人で、かつてはスペインの代表でもあった人だそうな。他にもバスクの出身らしい人が二人ほど来ていた。演奏がはねてからもぐずぐずして、Mさんやヴィデオアーツ・Kさんとおしゃべり。松山さんに『ミュージック・マガジン』の現編集長に紹介される。やがてすぐ隣ぐらいの焼き鳥屋に入る。カルロス、タッド、白石、松山、のざき、I、両K、それに先日からカルロスがご執心の『ミュージック・マガジン』の編集の女性。一度11時過ぎに帰ろうとすると松山さんが車で送ってくれるというのでそのまま腰を落着ける。結局一時半頃お開き。皆でカルロスをタクシーに乗せて送ってからこちらもタッド、Kさん、のざきと一緒に松山さんが車を置いてあるプランクトンまで行く。二子でタッドを降ろした後、246をくだるが、松山さんは厚木の位置を勘違いしていたそうで、ずいぶん手前に思っていた。とまれ家まで送ってもらい、129号に出る道を教えて降りる。家に入ると二時半を過ぎていた。そのまま就寝。
1999年8月20日金曜日 曇、風あり。
 子供たちと妻が起きたのが7時ぐらい。さすがにだめで、和室に入って一人寝直す。電話のベルで起きたのが10時。そのまま、起きてしまう。『ユーロ・ルーツ・ポップ・サーフィン』の見本到着。序文のバックに着けた色が濃すぎて読みにくい。音友・Kさんに架電するか、やはりもう直らない。『レコード芸術』の見本誌も到着。
 朝食と昼食兼用で、伊佐木の一夜干、和布の味噌汁、胡瓜の塩揉み、ゆかり、昆布佃煮、ご飯。新聞広告を見て妻が『週刊金曜日』を買ってくる。『買ってはいけない』への掲載企業の反論特集。きちんと反論しない企業が多いことに驚く。そんなにおまえらは自分たちが作って売っている商品に自信がないのか。座談会での発言によれば、あれを読んで企業に電話した人が、『週刊金曜日』は業界ではどこも相手にしていないのだから、あなたも相手にするのはおかしい、と言われたそうだ。これはまったく「おかしい」。業界と消費者は立場が違う。それとも消費者は業界と一心同体ないし、消費者は業界の言うがままに商品を買わねばならない存在なのか。そう応えた人間に、ではあなたは自社の製品を堂々と人に勧められるのか、その根拠は、と訊ねてみればおもしろいだろう。東芝の「クレーマー」問題もそうだが、自分のたちのやっていることをとやかく言われると逆上したり、正面からの対応を避けようとするのは、幼稚であるか、責任回避であるか、と言わざるをえない。企業のこういう反応は、税金を使って無駄をやっている役人と何ら変わるところがない。やはり、われらが国はもう少し不況が深まり、サラリーマンという名の奴隷たちが痛めつけられないと変わらないのだろうか。
 夕食は冷やししゃぶしゃぶと和布キャベツ、ご飯。Jeditのリビジョン・アップがあったのでダウンロード。アップデートする。
1999年8月21日土曜日 晴れ。
 天気予報では降水確率六割、しかも雷雨とのことだったが朝のうちは雲一つなく、午後から雲はだんだん出てきたが高い雲で、乾いた風が強い。結局終日良い天気だった。
 毛利台夏祭り。一度目が覚めてから、寝直す。10時頃起き、朝食を食べ、11時頃、学校に行く。朝食はチーズバタールのみ。すでに校庭にテントは立っているが、われわれの場所だけ空いている。校舎の工事は続いている。会長が奔走して、三丁目から借りたテントが立ったのが正午前。やるべきこともないのでヨーヨーの空気入れの練習などしてみる。いったん帰宅。ハヤシライスの昼食をかきこんで一時に再び学校へ。今度は他の本部役員も来ている。ヨーヨーを入れるプールを持出し、水入れ。ホースが届かず、バケツ・リレー。教頭さんたちと会議室のテーブル、理科室の椅子を運出す。それだけで結構疲れる。一方でヨーヨーの空気入れは子供たちも手伝って順調に進み、一時間かからずに終わってしまう。そこで2時過ぎに一度解散。
 四時過ぎに再び学校へ。四時半頃から手伝いの人が集まってくる。風は強いがとにかく出してしまおうということで、商品を搬出。荷物を出して一通り並べるとあとはやることもない。食事(ほか弁)をして、テントの周りをうろうろするだけ。場内一周もしてみた。われわれのバザーは並べおえたときからなしくずし的に始まる。あとはおばさんパワーで売りまくっていた。こちらは時おりビールをあおりながら眺めているだけ。祭そのものは六時の鐘と同時に花火が上がり、実行委員長以下、各自治会の会長兼副実行委員長が櫓の上から挨拶して始まる。今年初めての試みとして生バンド演奏。はじめは高校生らしいバンド、次におじさんのハワイアン・バンドとおばさんのフラダンス。高校生バンドは若者を祭りに呼込むための試みだろう。が、もう少しバンドを選んでもらいたいものだ。リハーサル不足はありあり。もっともアンプだけでモニタもないから仕方がない。それでも仲間らしいのが20人ほど集まってはいた。あとは盆踊りが一時間ほど続き、最後が越中おわら節同好会。おわら節の胡弓はなかなかいい。そのあと抽選。花火で終わったのが9時半過ぎ。その前から撤収をはじめ、テーブル、椅子をどんどん元へもどす。夜の学校の中はゴキブリが多い。明るい廊下ものそのそ歩いている。掃除をして解散したのが10時だった。家にもどってしばらく休んでからシャワーを浴び、腹が空いたのでそーめんを茹でて食べる。疲れたのでそのまま就寝。0時過ぎ。夜、水が冷たい。もう秋だ。
1999年8月22日日曜日 晴れ。
 風にはそこはかとなく冷気が宿り、もう夏の盛りは過ぎた。
 目が覚めると8時前。目が覚める直前に見ていたのは気に入らないか、命をつけ狙うらしい男を残酷に痛めつける夢だった。朝食はフランスパンにハムをはさみ、トマト。午前中は『緑』。昼食は冷凍の餃子を焼き、胡瓜の塩揉み。 午後はウェブ・サイト造りのためのテキスト・ファイルを作る。『ユーロ・ルーツ・ポップ・サーフィン』の目次の整理。これをhtml化してリンクを貼り、表紙に画像をはめ込んで一応できあがるはずなのだが。
 今日は蒸し暑いが、風は冷たい。台所に蟋蟀か草雲雀が入りこんで頻りに鳴く。どこにいるのか今ひとつはっきりせず。
 学習結果を登録するユーザ辞書を再編成すると、いくらか文字の取零しが減るようだ。逆にこの辞書が乱れていると、iMac でも入力がぎこちなくなる。
 夜、イングリッシュ・トラッドのメーリング・リストがないかと探してみる。Folksy Links にはメーリング・リストはないらしい。Folk Rootsのサイトのリンク集を見ると ONEList というメーリング・リスト・サイトがあったので行ってみる。ここは以前リヴァーダンスのリストの登録をしたところだった。音楽のカテゴリーの中の Folk と World の中を探してみるが、これといったものはない。ひとつだけ folk_music というものがあったので一応登録だけしてみる。メーリング・リストのリストを見ているとなんと World Music のところに英語のルナ・シーのリストがあるのを発見。ソウル・フラワーはないのか。沖縄音楽はないのか。個々のミュージシャンではクラナド、カパーケリーなどがあった。ケルティックを冠したリストもいくつかある。そう言えばもう一つ ListBot というメーリング・リスト・サイトがあったはずなので、そちらも今度見てみよう。夜、ケイト・ラスビィの新譜を聞く。

○Kate Rusby SLEEPLESS; 1999
 歌詞対訳のため、歌詞を見ながら聞く。やはりこの人の歌い方は好きになれない。声は悪くないのに。「公爵とティンカー」など、もっと跳ねてほしい。この歌のユーモアが感じられない。むしろ、アイリス・ディメントの曲の方が合う感じだ。するとこのスタイルはアメリカ的に力を抜いたイングリッシュ・シンギングということになるのだろうか。今回は自作がいくつも入っていて、これはなかなかいい。それと、3人の男性ゲスト・ヴォーカルがいい味。なんといってもデイヴ・バーランドはさすがだ。
1999年8月23日月曜日 晴れ。暑し。
 外出先の冷房がどこも強くて閉口する。8時起床。午前中『緑』。11時に出かける。音友・Kさんとの打合せ。まっすぐ新宿へ出てアカシアで食事。キャベツとKRBの組合せ。さすがに飽きてきた。この次は魚のコロッケを試してみよう。ヴァージンでは探しているものがなく、マイシティのHMVでもなかったが、ふとワールドの棚を見ると Kletzmatics と Radio Tarifa の新譜が出ているので買ってしまう。そのまま上に上がってプチモンドで Harry Potter を読みながら待つ。1時間ほど打合せ。新企画など。一通り終わってからウェブ・サイト作成の話になり、下の山下で参考書を見るが、喫茶店で座っていた席がエアコンの吹出し口の直下で体が冷え、急いで別れてトイレに駆込む。マイシティのトイレの大の方は壁がステンレスになり、落書きの掃除がしやすいようにしてある。そのせいかぴかぴかで実にきれい。もっとも天井が低く、ここはもちろんコンクリートなのでそこに一つ落書きがある。しかしこんなものを描いて面白いというのはよほど抑圧されているのだろうか。描いている方も面白いかと訊かれれば多分面白くはないと答えるのではないか。それでも描かずにはいられない衝動を感じるわけで、それはかなり歪んでいる。
 南口のタワーへ行くとカントリーの棚で探していた Iris DeMent があり、INFAMOUS ANGEL に "Our town" が入っていたので買う。Kate Rusby の歌詞対訳のための資料。その裏のワールドをふらふら見ているとハリス・アレクシーウの昨年の新譜、ellipsis... のユダヤ音楽アンソロジーがあったのでこれも買う。それから上のサントラ売場でようやく『ウエイクアップ・ネッド』のサントラを見つける。帰りに読む本がないかと本と雑誌の売場をうろうろするが、全くない。晶文社から山下洋輔のエッセイ集成が出ていて面白そうだが、ちょっとそういう気分ではない。ミュージック・マガジンの先月号もちょっと見るが、アメリカン・ゴシックの特集はいつも中山さんと話していることで今さら買う気にもなれない。それにもともとのコンセプトをいつものミュージック・マガジン調に合わせようとしている形跡があるのも買う意欲を削ぐ。
 諦めて帰ろうとエスカレーターで降りてゆくとクラシック売場から出てきた山尾さんにばったり会う。久しぶりなのでルミネの喫茶店で1時間ほどおしゃべり。音友でKさんとやろうとしているというインターネットと音楽を結びつける本のこと。ウェブ・サイト作成だけでなく、メーリング・リストやメール・マガジン、ネット・ショッピング、インターネットFM、MP3など、インターネットで音楽を楽しむことをまとめるならば面白いことになるのではないか。そういうことは既存の雑誌では全く取りあげられていない。たとえばネット・ショッピングなどにしても、『レコ芸』で山尾さんがとりあげているような輸入盤は地方ではネット通販以外買う手段がないに等しい。そういうことを雑誌では何も言わない。いうと国内のレコード会社が脅してくるそうだ。自分で自分のマーケットを狭めている。じり貧の市場が守る姿勢でいればそのまま消滅するだけだ。今のところ唯二のクラシック雑誌である『レコ芸』『音友』の中心読者層が50代という危機感がないのだろうか。新潮の『グラモフォン・ジャパン』の参入で多少は刺激になるだろうか。気がつくと6時半だったのでまっすぐ帰る。帰宅8時。鰹の叩きを解凍し、ピーマンの油炒めにカツオ節を搦めたものとご飯で夕飯。
 Amazon.com.uk から Harry Potter の本2冊。Claddagh からカタログ。MOJO。MOJO に SwarbAid のチラシが入っていた。7月24日、バーミンガムで行われたもの。ふーむ、そんなに悪いのだろうか。
 着いたばかりの Harry Potter の2冊目を読出す。巻末に第一巻を読んだ読者からの手紙が何通かコピーされている。ブリテンでは何年かに一度、こういう優れたジュヴナイルの書き手が現れるらしい。当然のことながらハリィは1冊ごとに1年ずつ成長しているわけで、3冊目ではかれらも3年生になっている。このままずっと成長とともに書き続けていくのだろうか。とするとそれはそれで凄いことになる可能性もある。2冊目から表紙のイラストレータが変わっていて、こちらの方がちょっとリアリスティックで好み。2冊目の表4の Hogwart の遠景はちょっと良い。おかげで THE GIANT, O'BRIEN は中断。
1999年8月24日火曜日 曇。蒸し暑い。
 9時起床。パンとハムで朝食。午前中は『緑』少し。昼食は鶏肉とかシュー・ナッツの中華風。ご飯。
 夕方からウェブ・サイト作成。作っておいたテキスト・ファイルを CyberStudio に持込んで html化し、リンクを張る。はじめリンクの張り方がよくわからなかったが、いじっているうちにインスペクタの使い方が呑込めた。夜に入ってアップロードしてみる。が、はじめはリンククラブのサイトにあった形で URL を入れてもディレクトリが示されてしまう。下位のディレクトリを開くと家庭頁が現れる。いろいろやったすえ、どうやら CyberStudio がアップロードするときにフォルダごとでないとできないらしく、そのフォルダの名前まで指定して開くと無事家庭頁が現れた。iCab で確認。とりあえずはテキストのみ。リンク先に飛べることも確認。はじめ、Tower UK の URL が間違っていて、これを修正してもブラウザ上で反映されず焦る。要はサーバに古いファイルが残ったままで、そちらが移ってしまうことに気がつく。古い方を削除し、新たにアップロードやり直すと無事、飛べるようになった。そのあと、関係者に急いでメールを送る。
1999年8月25日水曜日 曇。
 今日からまた子供たちは朝のラジオ体操が始まるので、早朝に起きて出てゆく。ずいぶん涼しい。起床9時。風が涼しく、急に秋の感じ。昨日蒸暑かったのでよけい強くそう感じる。朝食はフランスパンにハムをはさんですませる。昼食は鰯のフライ。大人は大葉をはさむ。ジャガイモ、玉葱、ピーマンもフライにし、茄子は裸で揚げる。
 Asimov's と『SFマガジン』到着。『マガジン』は星雲賞受賞のコメントが載ったため。久しぶりにぱらぱら見たが、全く変わっていないのに驚く。相変わらず泥臭い。昔はあれほど洒落た、鋭いセンスを感じさせるものだったのに。いつごろからこうなったのだろう。ただ、来月は光瀬龍の追悼号だというから、これは買わねばなるまい。午後は『緑』だが、全然進まない。夕食は豚肉の生姜焼き。昼の残りの野菜のフライ。ご飯。
 夕食後、メールをチェックし、植野さんのお叱りのメールにあわててウェブ・サイトをチェック。訂正版をあげる。アップするためのフォルダの中身を入替えればいいことに気がつく。それと、ブラウザでチェックする際、再読込みをしないと古いキャッシュを読みに行き、全然変わっていないということになる。ヤマハのネットボランチのファームウェアがリビジョンアップしていたのでダウンロードしてインストール。複数プロバイダ機能というのはいずれ役に立つかもしれない。
 先日メール・マガジンの購読を申込んだ赤松正夫という国会議員は公明党だった。今日初めて配信がある。中身は国会終了後に、地元神戸で開かれた労組と政党との選挙協力のための話合いのこと。この文章を読むと、どうやら政治というのは労組と政党だけでやるらしい。組織に入っていない人間は人間と見えないのかもしれない。
1999年8月26日木曜日 曇ときどき晴れ。
 今日も涼しい。9時起床。ここのところ床に入ってもなかなか寝つけず。昨夜も1時間ほど寝られなかった。朝食はフランスパンにハム。朝食を食べながら久しぶりに音楽をかける。やはり、少し涼しくならないとまともに聞く気にならない。まずは先日星川師匠からもらったサンプル・カセット。尺八と二本の箏のトリオによる「虚空」。これはすっげぇ。何というか、ひとことで言えばこの編成でベストのときのザッパをやっているのだ。現代音楽であり、前衛ジャズであり、メタ・エスニックであり、しかも純邦楽でもある。既存の枠組みをぶち壊すという意味でのロックでもある。いや、パンクか。しかも一切のオーヴァー・ダブや他の楽器は使っていないというのだから仰天するしかない。尺八がまるでホィッスルのように響いたり、箏がピアノになったり、ダブル・ベースになったり、打楽器になったり。スリル満点。ディテイルも凝っていて、聞込んでいけばいくらでも発見がありそうだ。これは生を見たい! 師匠のやることだから、当然録音もばっちり。何としてもフル・アルバムを手に入れよう。もう一枚、こないだ買ってきたハリス・アレクシーウの昨年のアルバム。半分だけ聞く。今回はゆったりと、流れる大河のような趣の歌ばかり。中にはメロディがもろにアメリカ主流ポップスのスタイルをまとっている曲もあるが、ギリシアの味の濃い曲はさすがだ。まずは文句のないところ。
 昼食は鶏肉を茹でて、胡麻と薬味をかけたもの。ご飯。茄子の味噌汁。南瓜の煮付け。南瓜は一部腐っていて、そちら側半分を悪いところをのけて煮たら、味が少々おかしかった。
 Software Too からの案内を見てサイトに行き、GoLive 4.0 のキャンペーンを申込む。申込用紙の pdf をダウンロード、プリント・アウトしてファックスする形。Macお宝鑑定団から飛んでいった先のサイトを見て思出し、家庭頁にカウンターを着ける。ついでにデザインをちょっといじる。なるほど、これは結構病みつきになりそうだ。
 英国 Gramophone 誌のサイトに行く。定期購読はちょっと高いので、今度上京したおり、Tower あたりで単品を買ってみることにする。今月の内容を見ていたら、Songlines という季刊誌があることを発見。対象はワールド・ミュージックだ。これは買わねばならないと定期購読のところをみると、フォームをプリントアウトしてファックスしてくれとのこと。ぶつぶつ。
 夜、中山さんに架電。数日前、メールを送ろうとしたら返ってきてしまったため。例によって長話。結論としては、こういう状況だとネット上で盛上ったものが紙媒体にこぼれる形でなければ、いいものはできないだろう。松山さんのアドレスを聞く。
1999年8月27日金曜日 曇。朝のうち雨。涼しい。
 起きると10時。朝のうちは結構激しい雨で、ラジオ体操はなし。起きたときには雨は上がっていて、その後は湿度が高く、風がなく、朝は涼しかったが昼間はじっとしていても汗が出る。それでも午後は日が出なかったので、水はそこそこ冷たく、夜になると空気もひんやりとしてくる。今日は虫たちはあまり元気でない。
 正午前、プランクトン・I君から電話とファックス。先日沖縄の新聞のために書いたリアム・オ・メーンリに関する原稿が来週月曜に掲載となり、その最終原稿のチェック。午後からケイト・ラスビィ SLEEPLESS の歌詞対訳。一気に全部やってしまう。"Our town" は Irish DeMent のものをもとにして聞取り、それを原詞とする。
 夕方メールのチェック。今日はウェブ・サイトは見に行かず。新譜の発売でリチャード・トンプソンのメーリング・リストが爆発している。全般に週末とて多い。のざきさんからロリーナ・マッケニットのライヴの発売案内と、メアリのインタヴューなどの資料。MSIから新譜案内。Book World と New York Review of SF。
1999年8月28日土曜日 曇。
 陽がささないので昨日よりはましだが、それでも湿度が高い。風はほとんどなし。
 目が覚めると10時。チーズ・クロワッサンとコーヒーで簡単に朝食をすませる。昼食は浅蜊の炊き込みご飯、エノキとあぶらげの味噌汁、豚肉と紫蘇を巻き、味噌で煮たもの、小松菜とあぶらげの煮浸し。夕食、豚肉ザーサイの炒め物、昼の小松菜煮浸しの残り、ご飯。
 昼はずっと Arena のテスト。iMac の柴犬の設定を見て、ニフティのメール・サーバにもアクセスできるようになった。Claddagh に注文のメール。大量になってしまった。松山さんにメールを送った旨、ファックス。念のためこちらのアドレスも入れておく。ほぼ、使える目処がついたので、9月からは本格的にこちらに移行する。松山さんにファックスを送るのに MyFax を使ってみる。やはりコンフリクトがないのはいい。こちらはニフティのシェアレジで送金。夕食後、ウェブ・サイトの手入れ。ニフティの音楽を巡回すると、とんがりやまさんが早速ユーロ・ルーツ本を買ったと報告してくれていた。サイトにも行ってくれたらしい。そうだ、読者からの反応を募るメッセージも載せなくてはいけない。久田さんから BEATERS 更新の告知。11時頃、松山さんから電話。メールを見るのは何とかできるようになったそうな。書くのはまだまだの様子。
1999年8月29日日曜日 晴れ。昼前から風が出てくる。夜9時過ぎから雨。雷こそ聞えないが、雷雨。 10時起床。朝のうち風がなく、暑い。
 朝食はジャム・トースト。昼食は昨日の夕食(豚肉とザーサイの炒め物)の残りを暖め、ご飯を炊く。おかずの足りない分はやまゆりのハム
 The Poozies INFINITE BLUE の歌詞対訳。先日subscribeしたカナダのCD情報サイトのLeslie からメール。subscription の確認と、おれが日本から最初の登録者であるとの感激の内容。全員に求めていると言って、カナダのアルバムのうちベスト15と他のアルバムでベスト10を送ってくれという依頼。ベスト・アルバム選びは後日にして、『ユーロ・ルーツ・ポップ・サーフィン』の宣伝をした返事を認める。星川師匠から虚空のライヴが9月に「和音」であるというメール。これは行かなくては。6時に家族とミロードで待合せ。夕食は木屋のうどん。おれはミニネギトロ定食。帰宅7時半。
 待合せに行く前にタハラに寄って虚空のアルバムを探すが見当たらない。替りにジャズのコーナーでストラーダの新譜。沖縄音楽のコーナーで登川誠仁の昨年の2枚組を買ってしまう。店員に虚空のことを訊くが、新譜にも10月までの予定にも見当たらないという。帰ってから bounce をぱらぱら。Fed Neil のボックスが出るようだ。今までの復刻も2枚ほど持っているがこれは買わねばなるまい。Celtus のセカンドが載っている。たいしたもんだ。夜、The Poozies の歌詞対訳とノートの翻訳、一気にやってしまう。最近、一気にやってしまうことが多い。それで質が落ちているつもりはないが、やはりもう少しゆっくりとすべきかもしれない。とまれ、すぐには原稿を送らず、少し寝かせておこう。The Poozies はさすがにスコットランドの素材が多く、久しぶりに Chambers Scots Dictionary が活躍する。
1999年8月30日月曜日 曇。
 朝は少し陽がさしたが、10時ぐらいには曇る。風があって涼しい。夜、8時過ぎ、雨。昨日と同じく雷雨のようだが、昨日ほど激しくもなく、短時間で止む。
 なぜか子供たちのめざましの前に目が覚めてしまう。寝直そうとしたが眠れない。起きてみると7時半。
 朝食はハム・トーストとトマト。
 キングのIさんに「虚空」の件で問合せのファックスを送る。後でメールが入っていて、「虚空」と思っていたのは「Kokoo」だった。
 『緑』少しく進む。昼食は回肉鍋、ご飯。
 夕方、メールのチェック。5時頃、タワー・渋谷のK氏から『ユーロ・ルーツ・ポップ・サーフィン』のお礼の電話。ロマはやはり売れているそうだ。映画の力は強い。『ウェイクアップ・ネッド』が当るといいが。本の執筆者にウェブ・サイトのための情報提供依頼のメールを送る。夕食は鮪の刺し身、葱の味噌汁、胡瓜の塩揉み、ご飯、葡萄。
 夕食後、ウェブ・サイトのメンテ。カウンターは2日で大体10個ぐらいずつ増えている。ま、そんなものだろう。明後日のメンテは索引をやる予定だが、間に合うか。それが間に合わなければ、トップ・ページを変えよう。
1999年8月31日火曜日 晴れ、風強し。
 風が強いので、小学校を塗り替えているペンキの匂いも強い。ペンキは吹きつけなので、細かい粒子になって飛んでくるおそれがあるとのことで、棟の前の駐車場に止めてある車にビニール・シートをかけてある。明日から学校が始まるが、夏休み中に終わる予定の作業は、すべての予定と同じく予定通りには終わらない。明日も作業があるという。先日、祭の日に見たときは、単にペンキの塗替えだけではなく、ひび割れの入ったところに注射器のようなもので何やら薬剤を注入していたようだった。校庭側はほぼ作業が終わっているようだ。
 今朝は子供たちが出ていってからまた眠れる。目が覚めてから頭の上に上がっていた左腕の肘付近の表側に神経痛が走る。痛みというより、さむけに似たものがつーんと頭に駆抜ける。キーボードの打過ぎか。
 朝食はハム・トースト。ちくわを焼き、キャベツの味噌汁、ご飯。
 昼食を食べようとしていたとき、Sさんから電話。PowerBook1400 の買取りを9月の第2週にしたいとのこと。空いている時間は『緑』。まるで進まず。
 Amazon から先日頼んだCD6枚とビデオ一本、本一冊着。ビデオはエミルー・ハリスの SPYBOY ライヴで、一人昼食を食べながら見る。少々短いが、中身はなかなか濃い。
 今日は翻訳に精を出し、久しぶりに『緑』少しく進む。
 夕食はカレー。少々味薄し。
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