大島教授の[暖蘭亭日記][99年9月21日〜 9月30日] [CONTENTS]

1999年9月21日火曜日 曇りのち晴れ。
 朝のうち一瞬陽が出るが、10時ごろには曇り、昼過ぎから雨。2時すぎ、激しくなる。午後、かなり激しく降るが夕方には上がる。気温は低くなり、寒いくらいなので、今日はシャワーではなく風呂にする。
 朝食はハム・トーストにミニ・トマト。
 午前中、家の前の桜の樹に消毒。あわてて洗濯物を取込む。
 昼食はイサキの干物、キャベツ一杯味噌汁、海苔、ゆかり、ご飯。
 1時頃、「ブックス深夜プラス1」の浅沼君からファックスを見たと電話。頼んだ本は注文してくれた由。その後、雑談。スティーヴィー・ワンダーは KEY OF LIFE の前の三枚を聞くべしとのこと。これから雨の中、神田村へ行きますといって切る。神田村が来年消えるという噂があるそうだ。再開発してビルにするという。今さらと想うが、都心だからまだ需要はあるのだろうか。
 Mark V Ziesingから本2冊。アンソニィ・バウチャーのSF・ファンタジィの短篇全集。例によって NESFA Press だ。もう一冊はライザ・タトルが編集したアンソロジー。テーマは曖昧な性。アンドロギュノスだけでなく、男と女をより広い性のスペクトラムの一つの相として捉えようというものらしい。
 東京創元社のYさんからヒート・ムーンの新刊のゲラ。船でアメリカの水路を横断するもの。中身は保証されたようなものだが、果たしてどうだろうか。『科学』が三冊。定期購読が途切れていた間のものも含めて来る。The Living Tradition。
 台湾での大地震、どうやら死者は阪神大震災クラスになりそうだ。それとともに停電で、都市機能が麻痺しているそうな。火事とともに現代ではこれが恐い。
 もう一つ、これが台湾のコンピュータ産業にどんな影響を与えるだろうか。
 The Living Traditionに注文のファックス。
 夕方まで仕事に精を出す。
 夕食は早良の西京漬け、茄子の味噌汁、小松菜煮浸し、ゆかり、ご飯。
 夕食後、メールのチェック。「超日記」の新版の通知があったのでニフティへ行ってダウンロード。入浴後、旧版からデータを移し、今書いているところ。今回は主にカレンダー周りの改訂の由。カレンダーに書きこんだ日の徴が付くのはいい。データの書込みがすばらしく速くなった。裸の1400で使うとソートが重い。
 夜、ヒート・ムーンの新作を読みはじめる。これは当りであろう。後半、ミズーリ以降はルイス&クラークと同じルートのようだ。
1999年9月22日水曜日 雨。
 朝から細かい雨が降っている。
 MusicFolk から最初のパッケージCD3枚入り到着。これも郵便局が開けているが不愉快。何のために開けるのだろうか。
 MOJO 9月号。はさまっていたチラシに今月24から26日の週末、バービカンで Englis Originals と題してイングランドのルーツ音楽のフェスティヴァルがある由。ウォータースン・カーシィ、ジューン・テイバーなどが筆頭。BMGからカルロスのサンプル。
 終日仕事に精を出す。
1999年9月23日木曜日

 記憶喪失。

1999年9月24日金曜日 台風の影響で荒れ模様の天気。途中、風雨激しく、のち風が強い。雨は少なかった。
 ロナン・オ・スノディーのインタヴュー。大崎の駅で音友のSさんと待合せ、ヴィデオアーツに行く。Mさんが通訳で、大変助かる。途中で買ってきたエイジアン・ファンタジィ・オーケストラと平安隆&ボブ・ブロッツマンの『童唄』をプレゼント。インタヴューの会議室にオーディオ装置があったので、聴きながらやる。
 夜、今度は自由が丘オキャロランズでロナンのライヴ。結構な人が集まった。ここは初めて。店は広いが細長いので、ライヴをやっているとステージの反対側からはミュージシャンの姿は全然見えない。まあ、今日は音が聞ければいいのだが。ロナンは結構多才なところを見せて、ソロでも十分ライヴができる。
 畠山さんからビデオと雑誌のコピー。MusicFolk から荷物。Good Book Guideからも荷物。
1999年9月25日土曜日 晴れ。暑し。

 小学校の運動会。
 朝、6時半、花火の音で目が覚め、昼過ぎまで小学校で過ごす。くたびれて残りは呆然と過ごす。
1999年9月26日日曜日 曇。昨日と一転、涼しい。
 起きると10時過ぎ。チーズ・クロワッサンとトマトで簡単に朝食。昼食前、食卓下のクッション・シートを新しいものに変える。
 溜まっていたCDと本のデータ入力。

○Linda Ronstadt & Emmylou Harris WESTERN WALL: The Tuscon Sessions; Asuylum, 1999
 グリン・ジョンズのプロデュースだが、ほとんどラノアの世界だ。特にエミルーがリードをとるトラック。ドラムスのイーサン・ジョンズはグリンの息子だそうだが、なかなかの太鼓を叩く。五十嵐さんがこれはエミルーがリンダに手を差し伸べたアルバムと言っていたけど、その通り。しかし、出来はすばらしい。いま本当にエミルーは絶好調。アーティストとしての頂点と言っていい。

○Alan Burke ON THE OTHER HAND; GURUG, 1997
 これを聞くとアフターアワーズがいかにこの人のカラーの強いバンドだったか、よくわかる。やはりこの声の力は大きい。ここ数年、イングランドに現れた男性シンガーとしては出色ではなかろうか。選曲もトラッドをベースに、リチャード・トンプソン始めとする様々な歌つくりの曲を幅広くとりあげている。初めて名前を聞く人が多いが、佳曲ぞろい。

○Danny Thompson Trio LIVE 1967; What Disc, WHAT3CD, 1999
 まさかこんな録音が残っていたとは、というのが最近よくあるが、これもその一つ。それにしてもトニィ・ロバーツはともかく、ジョン・マクラフリンとやっていたというのは、驚き。6曲、25分弱だが、それでもジャズとしては最高の演奏の一つだろう。選曲は有名どころばかりで、活躍するのは主にトニィ・ロバーツのサックス。この人、こんなにサックスがよかったとは、他であまり聞いた覚えがない。歴史的にも貴重だが、それ以上に見事な音楽。

○Dervish MIDSUMMER'S NIGHT; Whirling Discs, 1999
 相変わらず安定して質の高い音楽を聴かせてくれる。洗練の高さとスポンテイニアスなエネルギーを同居させる「技」にますます磨きがかかっている感じ。キャシィ・ジョーダンのシンギングも一段と深みが出てきている。

○Die Giesinger Sautreiber TREIBN SI RUM; Urkult, 1998
 一種のコミカル・バンドではないかとも思われるのだが、単にお笑いをとるだけの連中ではないだろう。アメリカン・ロックから、タンゴ、ポルカ、ワルツ、フォーク、様々なスタイルを自在に操る技術は確かだし、したたかな計算もみえる。ゴスペル風の曲に見事にドイツ語を載せて歌うこともできる。ゲテモノといってしまえばそれまでだが、だからといって簡単にそれでかたづけたくない。詞にもおそらくはかなりの計算が織込まれて、ドイツ語のわかる人間が聞けば、腹を抱えて笑いながらも、ふと考え込まされたり、頭をがつんと一発やられるような気にもなるのではないか。これはやはり、もう一枚の方も聞いて見なければならない。

 昼食は薩摩揚げ、トマト、茄子の味噌汁、鶏肉のオレンジ・ジュース漬け唐揚げ、胡瓜、胡瓜を積めた竹輪(昨日の弁当の残り物)、ご飯。
 夕食前、オーマガトキから渡されていた資料が出てきたので、Nさん宛FAX。収録されたミュージシャンの中で手元にないCDのリストを送る。
 夕食はホイゴウロウ、胡瓜・人参・玉葱のスープ、ご飯、昆布の佃煮。
 夕食後、子供たちが食べおわるのを待って仕事部屋でメールを書いたり、チェックをしたりしていると、消防車のサイレンがずいぶん近くでたくさん聞える。しばらくしてHの報告するところでは、焔が見えるくらいのところで、毛利台東と称する下の団地の一角が燃えたらしい。夜なので、距離感がわからず、はっきりした場所はわからない。
 新宿ピット・インに架電。10月3日の予約をする。
1999年9月27日月曜日 曇ときどき晴れ。
 涼しい。仕事部屋など、風が入ってくるとシャツ一枚では寒い。
 子どもたちは運動会の振替休日。
 朝食、ハム・トースト、トマト。
 昼食、釜揚げうどん、ゆで卵、リンゴ。子供たちは梨。
 アオラからコチャニ・オーケスターのサンプル盤。
 カード請求書。今月はそんなにすごくない。来月だ。Good Book Guideカタログ。BOMC からもカタログ。ますます何もない。
 終日、時間さえあれば仕事に精を出す。
 三時過ぎ、一区切りついたところで家事をし、メールのチェック。『グラモフォン』編集部のKさんあてディスク・レビューの試訳の原稿を送付。
 夕食は親子丼、月見団子(安倍川)、梨、小松菜の味噌汁。
1999年9月28日火曜日 晴れときどき曇り。
 やや暑い一日。
 ユニカレッジ講演会の準備。午前中、構成案にしたがってCDを選び出し、午後、来てもらったHさんとともに細部を詰める。Hさんは2時頃、ケーキを持って来宅。6時過ぎまで。
 冒頭で見せるビデオを確認しようとして COME WEST ALONG THE ROAD を見ようとしたがパル方式であることに気づき愕然。結局 BRINGING IT ALL BACK HOME のスティーヴ・クーニィ&シェイマス・ベグリィのシーンにする。
 MusicFolk から三パッケージ。うち一個はまた郵便局が開いている。
 朝食はハム・トーストとトマト。昼食は鶏肉のソテーとトマト、海苔、ご飯。夕食はカシューナッツと鶏肉の炒め物、卵と葱のスープ。デザートにHさんのおみやげのケーキ。

○VLATKO STEFANOVSKI TRIO; Third Ear, 1998
 松山さんによれば、マケドニアの傑出したギタリストであるらしい。一聴連想したのはフランク・ザッパだ。フランク・ザッパほどのスケールの大きさはまだないが、実験精神と批評精神においては負けていない。ギター・シンセも使うが、変にタラゴットもどきをやるよりも、ギターそのものの限界に果敢に挑戦して欲しい。それができる人だろう。他の録音も聞きたい。

○Frank Harte DAYBREAK AND A CANDLE-END; SPIN, 1987
 講演会用にあわてて聞くが、出来は悪かろうはずはない。もう一枚のものと甲乙つけがたし。結局講演会用には昨年のものからにする。Hさんにも聞いてもらうが、例えばタマリンとの違いは歴然としてしまう。
 夜は翻訳。
1999年9月29日水曜日 曇、夜に入ってごく軽い雨。

○Mick Ryan & Pete Harris THE WIDOW'S PROMISE; Terra Nova, 1997
 なんとこのコンビですでに二枚のアルバムを出していた由。これはその二枚からのベスト盤。久しぶりに聞くミック・ライアンはやはり見事。相棒の歌唱も味があり、ギターもしっかりしてよけいなことはしない。思わず作業の手が止まり、聞惚れてしまう。こういうものが自分の原点だと、あらためて思知らされる。

 講演会で配る資料の原稿を一日かかって書上げ、夕方Hさん宛メールで送付。
 そのまま出かけて、メディアワークスの電撃三大賞の受賞披露パーティ。グラパレ。三時半に家を出て、ロマンスカーで寝ながら行く。九段下で地上に出ると軽く雨が降っていた。帰宅10時過ぎ。
 まだ酒が残っていて、何をやる気にもならないので、呆然とテレビのニュースなど見て、就寝0時。
1999年9月30日木曜日 晴れのち曇り。
 暑し。
 午前中、日産サニー湘南に車を持っていく。三回目の車検。必要なものを何一つ持っていかず。あとで自動車税の納税証明書だけ見つけて持ってゆく。代車はキューブ。CDステレオ付き。
 午前中はそれとメールのチェックで終り。
 昼前、MSI・Sさんから電話。デ・ダナンのベストの歌詞対訳の依頼。
 昼食は豆腐入りハンバーグ、キャベツ一杯味噌汁、海苔、ご飯。
 昼食後、あちこちにメールを書く。
 Angel Band Music からジュリィ・ミラーのCD3枚、カセット1本、Tシャツ1枚(エミルーの WRECKING BALL TOUR)。
 MusicFolk からCD二枚。一枚だぶり。

○Mara! with Martenitsa Choir SEZONI; RealWorld, 1997
 期待していたのとはちょっと違い、ブルガリア合唱が入った、ややおとなしめのアルバム。もっともこの合唱はクーテフほどすましたものではなく、まだ土のにおいが残っているので、マーラの歌唱と一緒でも違和感はない。全体としての質は高いが、ちょっと臍がつかみにくい。聞込むとまた変わる可能性は感じられる。やはり、かれらもライヴを出して欲しいバンドだ。

 夕食はハヤシライス、林檎。
 夜は、野球中継と東海村の臨界事故のニュースに中断されながら、翻訳にいそしむ。
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