1999年11月1日月曜日 雨後晴れ。
朝から雨。昼過ぎ、風雨ともに激しくなるが、3時過ぎには晴れ、日が差す。
朝からレコード棚の整理続き。途中、歯医者。もどって、昼食をはさみ、3時頃までかかってブリテン・アイルランド関係、一通り終了。
昼前、ディスク・ユニオンのKさんから電話。ずっとアメリカに出張しておられ、帰国して今日ようやくメールを開けたとのことで、松平さんの件。「ストーリーズ」にはずいぶん通っておられたようだ。もっと早く行っていればと悔やまれる。
午後、ラティーナのMさんから電話。原稿の量が足りないとのことで、あわてて開けてみると、一行の字数の設定をまちがえていた。後で、書きなおして送る。
今日も作業をしながらCDを聞きつづける。
○Julie Miller MEET JULIE MILLER; Myrrh, 1990
ジュリィ・ミラーのファースト。バディも共同プロデューサー、ギタリスト、ソング・ライティングで参加。やはり歌と演奏の鋭さはここにすでにはっきりしている。若書きの部分はもちろんあるが、それもまた魅力。近作よりも「神」について率直に歌っている。この辺は他のアメリカのシンガー・ソング・ライターにも通じるところで、分析してみるのも面白いかも知れない。
○Colm O'Donnell FAREWELL TO EVENING DRESS; Bogfire, 1999
スライゴ出身のシンガー、フルーティスト。フルートの腕も確かだが、それ以上にシンガーとして出色。西部の歌うたいの共通項のようなものは感じる。声の量と響きの豊かさ。リルティングも二つほどあり、味わいが深い。
○Tim Laycock FINE COLOURS; Wild Goose, 1999
十数年ぶりの新作。お年を召して、やや体は太くなったが、その人懐こい声と、軽妙洒脱なシンギングは健在。蛇腹もテイバーの使い方のうまさも、あいかわらず。かつての傑作群に勝るとも劣らない快作。このレーベルはいま一番ノっている。
○Lucinda Williams CAR WHEELS ON A GRAVEL ROAD; Mercury, 1998
ようやくきちんと聴直す。が、大したことはないという印象は確信に変わっただけ。騒がれすぎというよりも、積極的に評価する気にさえならない。この気だるいシンギングが「オルタナ・カントリー」のシンボルのように捉えられたものか。バディ・ミラーも参加しているが、あまり目立たない。ギターよりはマンドリンか。
○Steve Tilston SOLORUBATO; Fellside, 1999
マギィ・ボイルとのデュオは解消してしまったとすると残念だが、これは見事なアルバム。一人でもこれだけ聞かせられる人ではあるのだ。ギターもシンギングも、歌つくりも堂々たるもの。
○ARMENIANS ON 8TH AVENUE; Traditional Crossroads, 1996
今世紀初頭のニューヨーク八番街のアルメニア人地区に集まったミュージシャンたちのSP録音の復刻。トルコ、ペルシア音楽の影響濃いもので、古典音楽の形態はそのままにポピュラー化したものなのだろう。悪かろうはずはない。
夕食は納豆(長ねぎと一緒に刻み、鰹節〔ちゃんと削るのだ〕と醤油をかける)、大根と榎の味噌汁、葡萄。
夕食後、またMさんから電話。まだ、字数が足りないとのこと。エディタの設定をまちがえていた。ちょっとたるんでいる。
夜、音友用の原稿を書いてみる。 |
1999年11月2日火曜日 曇。昨日よりは寒い。
朝食はハム・トーストにポテト・サラダ〔昨日の残り〕。
朝一番でCDの点検。
○Kathryn Tickell DEBATABLE LAND; Park, 1999
相棒のギタリストがなかなかいい。いつもながらスローな曲、味わいよし。今回は速いパッセージの装飾音が気持ちいい。
そのあと、午前中はブラウンのゲラ。『バビロン』訳稿見直し。
昼食はトロ鰹タタキを解凍し、ご飯。林檎。
昼食後、散歩。NTTの中継基地の裏からぐるりと回って見晴らし公園に裏側から登る。
○Nigel Eaton & Andy Cutting PANIC AT THE CAFE; Beautiful Joe, 1993/1999
ハーディガーディと蛇腹で、同じ持続音同士、合うのかと思ったが、なかなかどうして、音質がかなり違うので、フィドルと蛇腹の組合せともまた違った、面白い効果。ハーディガーディはノイズが多く、鋭い音質で、これが丸っこい蛇腹と組むと、一種倍音効果を生むようだ。曲はすべてオリジナルだが、佳曲ぞろい。サポート陣もしっかりしている。カッティングの蛇腹スタイルは柔軟性が大きい。
○Ronnie Lane APRIL FOOL 1967-1981; 1999
仕事でやったサンプル盤。既存のヴァージョンと聞き合わせればまたいろいろと発見もあるのだろうが、やはり死んだ子の年を数えるものに思えて、やる気にならない。キャスリン・ティッケルのあとに聴くと、いかにわかりやすくできているか、思知らされる。ロックとは畢竟、フォークをシンプル化したものだ。英国にあってはことに「ロック」はリンガ・フランカとして使われる。その点、アメリカのシンガー・ソング・ライターのフォームはより「土着的」であり、リンガ・フランカではない。その点、ガスリー、ディランを原点とする「フォーク」とは一線を画す。それにしてもこの人の声にある「郷愁」は、何だろう。伝統音楽につきまとう「懐かしさ」とはまた別のもの。何よりもこれはより個人的な資質に関るものだ。それゆえに普遍的な性格を帯びるのは逆説的。伝統音楽の中ではその資質はその集団〔ないし「民族」〕の中では共通のものになりうるが、しかし外に対しては特徴的な、「固有」の色を帯びる。
フェルサイドの件で、のざきさんと一時間ぐらいの間に三回メールのやりとりをしたら、とうとう6時半過ぎ電話がかかってきた。
夕食は回鍋肉、ご飯。子どもたちは肉と隠元の炒め物。
夕食後、急に書きたくなって、BANKLANDS について書きはじめてみる。 |
1999年11月3日水曜日 曇。
9時半起床。朝食はハム・トースト。
午前中、ブラウンのゲラと『バビロン』の訳稿見直し。
○Bruce Cockburn BREAKFAST IN NEW ORLEANS DINNER IN TIMBUKUTU; Ryko, 1999
ブルース・コバーンもまた変わる。このシチュエーションだとコラの音は確かに新鮮。今回はヴォーカルよりも楽器を前面に出した感じ。ゆったりと流れゆく大河のようなアルバム。
夕食は栗入りおこわ。他に人参、鶏肉、シメジ。 |
1999年11月4日木曜日 晴れ。寒し。
朝食は早良の西京漬け、南瓜煮付、白菜の味噌汁、茹でブロッコリ。
午前中はまずブラウンのゲラ。これであとは索引を残すのみ。そのあと、『バビロン』の訳稿見直し。最後まであげる。
○OSNA; Celtic Note, 1999?
ロンドンに行ったとき、トリニティの人からサンプルとして渡されていたもの。その後忘れていた。ロンドンで、トム・シャーロックはあまり良くないと言っていたが、まず水準を少し下まわるか。おそらくダブリンあたりの若者たちで、後から伝統音楽に入った者たちだろう。選曲が有名曲に偏っているし、歌が弱い。弱いというか、雑。伝統音楽は活発な演奏はするが、その中に繊細な神経や気配りをしっかり忘れない。その点、かれら勢いに任せているところが目につく。個々の楽器の腕はそれほど悪くはないから、あとは伝統や曲への敬意とセンスの問題。
昼食は釜揚げ饂飩に朝の残りの南瓜とブロッコリ。
2時過ぎ、出かける。まっすぐ千駄ヶ谷まで行き、ビクターのスタジオのロビーでTさんと待合せ。Kさんも来る。トゥリーナ&マイレートの資料をもらい、そのあと新しい企画で打合せ。一時間ほど話して、五時過ぎに辞去。銀座に出て、芳蘭で腹ごしらえしてから、浜離宮朝日ホール。
中村明一さんのソロによる尺八本曲のライヴ。数寄屋橋の交差点からまっすぐ海に向かって歩き、築地場外に当ったら右に折れてまたまっすぐ。結構な運動。はじめ朝日新聞だと思った派手な高層ビルは国立がんセンターであった。何かで一度ずいぶん昔に来た覚えがあるが、こんな高層ビルではなかったと思う。あれは誰のお見舞いであったか。それともここではなく、癌研だったか。
浜離宮朝日ホールはこじんまりしたホールで、生音を聞くために造られたもの。客席数は二百あるか。正面、ステージにもう一段、壇がつくられている。席は自由。中央からやや後ろ、右側に座る。定刻通りだろう、照明が落ち、上手の扉が開いて中村さん登場。尺八を二本持つ。二曲続けて吹いたあと、いったん退場。別の尺八を持って登場、吹いてはひっこみ、もう一度出て吹いたあと15分休憩。後半もまず一度出て吹いたあと、次は「鹿の遠音」で人間国宝の人との共演。これはたしかに聞応えがある。あと二曲、やはり出ては引込む。演目が終ってからもう一度挨拶に出てきて、共演者も出てきて挨拶。一度引っ込んだあと、今度は一番短いのを一本持って出てくると、アンコールとして「五木の子守り歌」。ここで、「ホーミィ奏法」を披露。メロディを唸りながら、楽器の方でハーモニーをつける。
演奏は見事なもので、面白いのだが、曲によっては途中から寝てしまい、曲が終ったので目が覚めるということもあった。客層はかなり広く、二十代とおぼしき人たちも結構いる。小学生ぐらいの子どもも数人いたが、中村さんの家族かもしれない。中心は中高年なのは致し方無いだろう。欧米人も数人。後から入ってくる人もいて、会場はほぼ満杯。大部分はお弟子さんとか、少なくとも尺八をやっている人たちのようだ。
どうも風邪が抜けきれなかったので、Kさんに挨拶して早々に辞去。8時半過ぎ。新橋まで歩いて新宿に出、真っ直ぐ帰る。帰宅11時。読みさしの Ella Young THE CELTIC WONDER TALES を読みあげる。 |
1999年11月5日金曜日 晴れ。暖。
朝食はエボダイの開き、白菜の味噌汁、胡瓜の塩揉み、ご飯。
○Vin Garbutt WORD OF MOUTH; Home Roots Music, 1999
この人も声もスタイルも少しも変わらない。はじめちょっとのんびりした曲が続くかと思っていたが、聞いているうちにそれもまたよし。もちろん、歌詞をじっくり聞かねばならないが、まずは安心。まあ、ここまでになると、いいとか悪いとかの範疇ではない 。
○じゃがたら ごくつぶし; BMG, 1989/1999
ここにもまた一つ、わが国における存在をうれしく思うバンドがいた。技術的にはまだまだという気もするが、そういう表面的なところを突きぬけてくる「哀しみ」がある。とりわけ後半の二曲。ヴァン・モリスンのベストの瞬間にも匹敵する「爆発」がある。江戸アケミが生きていたら今どんなことをやっていたか、と言うよりも、やはり一度生を見たかった。それにしても篠田昌巳がここにもいた。
午前中、『スポーン』の他の人の翻訳チェックと色校のチェック。
昼食はまたご飯を炊き、冷凍の餃子を焼き、朝の残りの味噌汁と搾菜。
昼食後、『スポーン』の色校をチェックし、封筒に入れて封をしたあと、何かの拍子にテーブルの上に置いておいたこの大型封筒に体が触れて封筒がうごき、その先にあったお茶のたくさん入った茶碗がテーブルから落ちて割れる。長い間使っていた湯呑みで、愛着が湧いていたところだったのでがっかり。
夕食は野菜スープ(白菜、人参、玉葱)、チーズ・デーニッシュ、ハム・トースト、ココア。
夜、これを最後にもう一度Linuxのインストールに挑戦。ディスク・パーティションのやり方をもう忘れている。少しまごついた末、まずは無事にできる。が、やはり以前と同じく、glibc のインストールでストップ。売りに出すことに決定。 |
1999年11月6日土曜日 晴れ。
朝食はチーズ・デーニッシュにオムレツ、シメジとピーマン、玉葱の炒め物。
食器を洗おうとしていて、胡瓜を切る円盤をしまったところ落ちてきたので思わず受止めると、右手の指の腹側を切ってしまう。かなり深く切った感じ。切れ味が良かったせいか、比較的簡単にくっついたようだ。
○Paula Cole HARBINGER; WEA, 1994
これは悪くない。歌の内容もやや抽象的ではあるが、なかなかに鋭い角度がある。アレンジやバックもよく練られているし、ヒロインの歌い手としての力量もまずまず。あまり美人とはいえないだけに、売れているのはそれだけ音楽に魅力を感じる人が多いのだろう。もともとは独立系のレーベルで作られたようだが、録音の仕方かミックスか、全体の音の基調がメジャーのものだ。音のエッジが立ち、見通しが良いようでいて、どこかに紗がかかっている。ヴォーカルが前面に出ているので目立たないが、これにもわずかにリヴァーヴがかかっているようだ。だから何となく上品に響く。だが、それだけ聞き手との距離は開いているように感じる。例えばバディ・ミラーの音作りのような生々しさが足りない。
10時半、学校へ行く。一年の親子レクリエーション。体育館で、名前集めゲームの後、フォーク・ダンス2種。最後におやつのふかし薩摩芋をいただく。終了11時半過ぎ。帰るとすでにHが家の前で待っていた。
昼食は釜揚げ饂飩。
午後は家事の他は翻訳。
メールのチェックとともに、Alsoft のサイトへ行き、既存ソフトがMacOS9のファイル・マネージャと互換性があるかどうかチェックするソフトと、Macのシステムが陰で開いているファイルの数を数えて示すコントロール・バー・モジュールをダウンロード。早速テキスト・ツールのフォルダをチェックすると、HyperCard がテストできないと出る。68k用のコードがごっそり入っているのであろう。Open Files Counter の方はなかなか面白い。8.6 では348個のファイルしかオープンできない。今これを書いている時点で、立ちあがっているアプリが機能拡張とファインダも含め、12個。で開いているファイルが221個。9ではこれが8,000個以上に拡大されたのだそうだ。オープンしているファイルの数は結構変化する。
夕食はおでんとご飯。今シーズン初めてでまずまず。大根がまだ少し早いか。
夜、オーマガトキの CELTIC WOMAN 2 の残っていたカパーケリーの歌詞対訳。 |
1999年11月7日日曜日 曇。
8時半起床。
朝食はブルーベリィ・ジャム・トースト。
○THE MOUNTAIN ROAD; Coleman Heritage Center, 1999
スライゴの地元ミュージシャンのコンピレーション。先日ソロを聞いたコルム・オドンネルも入っている。この地域にはピアノ伴奏があるらしい。フィドルだけでなく、フルートや蛇腹の伴奏にもピアノがある。録音の仕方か、ケープ・ブルトンほど前面には出していない。バゥロンが入っているのが少ない。さすがにマイケル・コールマンの国だけあって、フィドルに耳が行く。タイトル・トラックには思わず耳をそばだてた。とはいえ、もちろんどれも水準は高い。
午前中はだらだらと家事をやり、翻訳ほんの少しだけ。正午頃、子どもたちと三人で出かける。駅前に車で出て、ミロードの上の寿司屋で昼食。横浜に行く。高島屋で先日撮影したMの七五三の写真を受取り、そごうのアイルランド・フェアを覗く。『ケルズの書』『ダロゥの書』『リンディスファーンの書』の三つの複製が揃うのは珍しいというし、とにかく拝んでみたかった。確かに『ケルズ』は、ほぼ完全な複製(紙質は別)で、やはり一番美しい。『リンディスファーン』はハイバーノ・サクソン様式の最高峰というけれど、やはりアイルランド本土の物に比べると数段落ちる。絵葉書はろくなものがなく、アパレルや食料品がメイン。仕方がないのでカレンダーだけ買う。
今度はルミネにとってかえし、四階のタハラ。栗コーダー・カルテットの店頭ライヴ。本人たちに言わせればロング・ミニ・ライヴ。時間は長く、規模は小さく。店の入口、すぐの、試聴機がならんでいる前にステージを作っている。両側にJBLのスピーカー、真ん中にモニタ。考えてみたら、PA用のスピーカーというのはアクティヴ・スピーカーなのだ。このバンドのメンツはまったく知らなかったが、何と関島岳郎が入っていて、チューバとスーパー・バス・リコーダーとトランペット、それにリコーダーとクラリネットの中間のような、名前を忘れた楽器を担当。この楽器はちょっとアルメニアのデュデュックに音色が似ている。これが使われた曲も「ああ悲惨」という「哀しい」曲。唯、この楽器は結構難しいらしく、たびたび音が高音に飛び、あまり哀しくはない。バンドがバックをつけたコメディアンの寒空裸がゲストで来ていて、司会と間に二度ほど、息抜きをした。子どもたちにはこちらの方が面白かったようだ。全体で約一時間、今回発売になったテレビ東京のアニメ『キョロちゃん』の音楽をメインに、自分たちの持ち歌や後半ではクリスマス用の賛美歌(有名なものばかり)を披露。これはさすがにすばらしかった。四人ともリコーダーを持つのは半分ぐらいで、あとはリーダーの栗原氏がソプラノやクルムホルン、その右がパーカッション、ギター、関島氏がチューバ他。パーカッションはバゥロンをよく使っていたが、むしろテイバー的な使い方。結構アップテンポもあったので、ああいうところできちんと細かく叩けば、また面白いとは思う。しかし、全体に予想以上に音楽の水準が高く、これはめっけもの。まあ、関島氏が入っていて、悪かろうはずもない。しかし、この人も幅が広い。ステージの傍らのテーブルに置いてあったクリスマス・アルバムとムーンライダーズの鈴木兄弟との共演盤を買う。後から結成五周年記念CDなども出てきたが、今日は金がないのでこれだけ。Hは途中から飽きて、ビデオの棚にひっついている。Mはあまり面白うそうな顔は見せないが、それでも終るまで帰ろうとは言わなかった。
終ってすぐ店を出、駅の中央通路でちょうどレディー・ボーデンので店があったので二人におやつ替りにソフトクリームを買ってやる。そこから横浜線で町田。メディアバレーで、昨日連絡のあった iBook を引取る。Hは新型 iMac のところで Bugdom をやっている。Mは付いてきて、いちいちあれは何と訊く。帰宅。6時半前。
おでんを暖め、だし汁を足し、ゆで卵を入れて夕食。
今 iBook で初めて入力しはじめたところなのだが、ちょっと重いのだ。これは一体どういうことだろうか。Nickey との相性なのか、Nickey を使うかぎりは避けられないのだろうか。それにともするとずらずらと文字列が、それも全く意味をなさない文字列がずらずらと入力されてしまう。Nickey をPPC専用で立ちあげなおすと、ずらずらは入らなくなった。が、ちょっともたつくのは変わらない。それでも1400に比べれば遥かに快適。
ということで後は寝るまで iBook の設定。HDを三分割し、システムとアプリ、辞書(イメージ・ディスク類)、データ。夜半までで、WXGやコントロール・バー類の設定はほぼ終る。Jeremy's の温度計だと内部もバッテリーも摂氏85度を指している。これはいくらなんでもないだろう。
iBook に触った感触は、キーボードといい、トラックパッドといい、実に快適。画面が小さな割りに、全体に余裕があり、使いやすい気もする。iMac からのファイルの転送は直接クロス・ケーブルでつないでやったが、こうすると速い速い。500メガあるOEDのイメージ・ファイルが五分以内だ。 |
1999年11月8日月曜日 曇。ときどき陽がさし、夕刻俄雨。暖。
朝一番でオーマガトキに原稿送付。
10時歯医者。右下がときどきうずくと言うと薬を変える。左下は根の治療を終らせるとのことで、何やら頻りにやった後でレントゲンを撮って終り。
車で駅前。くまざわで昨日の書評で杉浦日向子が絶賛していた森銑三の『新橋の狸先生』と『萩原朔太郎詩集』(友に岩波文庫)、小林秀雄訳の『ランボオ詩集』(創元ライブラリィ)、それに大熊さんが原稿を書いている『国文学』(東さんも書いている)を買い、吉本家でキャベツ・味玉ラーメンで昼食。
午後は iBook 設営の続き。夕食後までかかる。iMac のCD-ROMプレーヤーの調子がまたおかしく、全然読まない。iBook から新しいドライバを移して試したがだめ。
夕食は豚肉を炒めたものにシメジと椎茸を醤油で炒めたものと大根卸しをかける。本来は大葉も刻んで入るはずだが、今日はなし。
とまれ、iBook はまず使える状態になった。コンテクスト・メニュー用ツールは FinderPop に変えてみる。こちらの方が柔軟ではある。夜はこれで翻訳の作業をしてみる。やはり、WXGの入力の拾いそこないが出る。iMac ではほとんど出ないのに、iBook で出るのは、キーボードの構造が違うのだろうか。 |
1999年11月9日火曜日 晴れ後曇り。夕刻雨。一時かなり激しく降る。
朝食は鰺の開き、白菜の味噌汁、小松菜の煮浸し、ご飯、ゆかり。
午前中は『バビロン』を1400でフロッピィに落とす作業。ところが、1400の本体かフロッピィ・ドライヴのどちらかが不調で、はじめ何度やってもフロッピィ・ディスクの初期化ができない。何度かめかの再起動でようやく正常にもどる。そのあとはブラウンの索引のチェック。ずいぶん漏れがある。その作業をしながら、CDを聞く。
○栗コーダー・カルテット 蛙のガリアルド;Metrotron, 1997
楽しいアルバム。関島岳郎の「靴屋のマルチン」がここでも聞ける。先日のフランク・ロンドン、モラ・シラとの共演でもやっていた。「ロンドとサルタレッロ」はアルビオン的な音作り。もちろんドラムスやベースを使っているわけではないが、精神が似ている。いかにもの古楽的な音もいいが、遊び心の効いた曲に惹かれる。
○Julie Murphy BLACK MOUNTAIN REVISITED; Beautiful Joe, 1999
さすがの出来。相変わらずの前衛伝統音楽。この人のヴォーカルはこれと行って目立つ特徴はないが、浸透力は強い。不思議なシンガーではある。ダグマー・クラウゼに立場が近いかもしれない。
○Kocani Orkestar GYPSY MAMBO; Wagram, 1999
バルカンのロマ系ブラス・バンド。リーダーはトランペットで、リード楽器のリードが多いこの辺りでは珍しい。サックスも入っているが、むしろ蛇腹が大きな顔をしている。全体の感じとしてはニューオーリンズのブラス・バンドのロマ流。金管の音のせいか、それほどロマやバルカンの臭みがない。
○Juan-Carlos Formell SONGS FROM A LITTLE BLUE HOUSE; BMG, 1999
スペイン語圏のアコーティック・ギタリスト。割と軽めの、どちらかというとイージー・リスニング系の音で、妙にへたウマの歌も歌う。ライ・クーダーのような下手であることが一種の芸になっていたのとはまた違う。が、不快ではない。そこはかとないユーモアと愛嬌がある。それが、澄んだギターの音色と面白い対照をなす。聞きやすいが聞込んでいくといろいろ発見がありそうだ。
○Maire Brennan PERFECT TIME; Epic, 1998
それにしてもこの人はどうしてこういう風に紗のかかった音が好きなのだろう。シンガーとしてどこへ出しても恥ずかしくない声と力量の持主なのに、わざわざそれにヴェールをかけている。だから全体の音楽も、ここの楽曲は悪くないのに、嫌味な甘さが出る。とはいえ、このソロはクラナドの時ほどのしつこい甘味はなく、控えめだ。
昼食は豆腐入りハンバーグ、大根卸し付きに朝の残りの味噌汁と小松菜、ご飯。
今日着いたDirty LinenにRed House のカタログが入っていた。Hart Rouge を出していて、実は先日のは3枚目だったことが判明。他にも聞きたいものいっぱい。
午後、アップルケア事務局に架電。iBook はアップルケアに入れないのかと問合せると、まだ値段が決まらないとのこと。ついでに企画室ゆうに架電。iMac のCD-ROMプレーヤーの不調について訊ねると、CDプレーヤーのクリーニング・キットを試してみて、それでもだめならハード的な故障になるとのこと。
夕食はハム・トースト、スイート・ポテト、ちと冷えたのでココアを作り、バナナ。
夜、1400のHDからデータと個人情報を削り、ノートンの DiskDoctor と SpeedDisk をかける。ルータを通しても iMac とのファイル交換はずいぶん速い気がする。反応がちょっと遅れ気味なのはシステム・サウンドのせいかもしれない。夜、メールの整理。ショウ・オヴ・ハンズのリスト。 |
1999年11月10日水曜日 晴れ。気温低し。
朝、右横腹がシクシクと痛むので目が覚める。まだ暗い。そのまま眠れず。朝食後、排便するとすっきりする。が、まだ何となくその辺が不安定。終日竹踏みを励行し、夕食後エビオスを飲む。
朝食はブルーベリィ・ジャム・トースト、ハム、キャベツのバター炒め。
午前中はブラウンのゲール語カナ表記一覧表作成。固有名詞として出ていて原書の索引で拾われていないものが結構あることが判明。
オーマガトキ・Mさんから電話。「ハーレ・ボップ彗星」の表記の件と、「1」と「2」の両方に出ているアーティストの名前の表記を揃える件。
のざきさんから電話。ルナサのセカンドをやることになったのでライナー頼むとのこと。来週の木曜締切。素材は結構あるようだ。連絡がつかなくて相当苦労したらしい。あの連中では納得。
○Anor LIVE IN SWEDEN; own, 1999
コーク出身の若い四人組のデビュー作。フィドル、フルート、蛇腹、ギター。ノモスやデ・ダナンの影響は濃い。フルートとフィドルが女性で、フルートがうたも歌う。アイルランドに良くいるハスキー・ヴォイスで、とりたてた歌い手ではない。といって悪くもない。はじめはアイルランドで食えなくてスウェーデンに行ったのかと思っていたが、南部の特徴を活かした、流れの力強い演奏はなかなか。後に方になるほど良くなり、ラストの曲はエキサイティング。
昼食は帆立の貝柱を解凍して刺身にし、キャベツたっぷり味噌汁、林檎。
The Living TraditionからCD2枚。うち1枚ダブリ。ちょっと今年はダブリがひどい。
『アンボス・ムンドス』3号。3時過ぎメールをチェックするとWXGの最新版を上げたという通知があるので、早速ダウンロード。今回は本体以外にもユーティリティやオプション変換もあり、合計約9メガで結構時間がかかる。その他、PlusMaker のアップデータもダウンロード。 |