大島教授の[暖蘭亭日記][2000年 2月 01日 (火)〜 2000年 2月 10日 (木)] [CONTENTS]

2000年 2月 01日 (火) 晴れ。

 昨夜は肩口がすうすうして寝つけず、眠りも浅かった。遅くまで原稿を書いていて、頭に血が上っていたためかもしれない。

 朝食は白菜・人参・ベーコンのスープ、葡萄パン、コーヒー。Kが米軍基地に住む同僚に頼んで買ってもらったハワイ・コナのコーヒーのうち、ヘイゼルナッツが入っているものは匂いばかり強くて、うまくない。昨日からコナ・クラシックにしているが、こちらはいける。

○ヘシュス・アルツェと仲間たち キリコケタ; オルターポップ、1999/2000
 ラティーナのレヴュー用のサンプル・カセット。幻といわれたチャラパルカを復原した人物が仲間と作ったアルバム。ミニマリズムはモダンな表現形式だと思っていたが、実は音楽の根源をなす要素の一つだと知る。見事な演奏、と言うよりは音楽創造。もちろん伝統に立脚しているが、これぞ「創造」行為の理想の形の一つだ。

 Back Porch Music からカナダのCD10枚。EFDSSから English Dance & Song と Folk Music Journal ともに最新号、会員証など。Amazon.com からコーヒー・タンブラー。たくさん買ってくれたのでお礼だそうだ。これは蓋がついてこぼれにくく、保温容器にもなっているらしいから、ありがたい。Park Records からカタログ。

 『グラモフォン・ジャパン』2月号に記事があるB&W のノーティラスが気になって、日本マランツのサイトを覗く。専用スタンドつきでペアで50万。うーむ。これも聞いてみたいが、Emphasis というサックスにウーファーがついたような形のやつが面白い。一本65万だ。思いきりバブらないと手は出ない。トップ・ページによると何年か前に日本法人を解散したB&Oはまた日本法人を今年の年初に設立したらしい。何をやっとるのだか。

 昼食は鱈子と海苔、朝の残りのスープ、ご飯、野沢菜。
 昼食後、散歩をかねて郵便局に寄り、タブラトゥーラ関連のCD代金を振込、CDプラケースを大塚産業に送る。

○Berroguetto VIAXE POR URTICARIA; Beans, 1999
 なるほど見事な出来。もう少しうたがしっかりしていると文句ないところ。しかし、アンサンブル、アレンジ、演奏は文句なし。

 夕方からは『緑』に精を出す。

2000年 2月 02日 (水) 晴れ。

 朝食は昨日の残りのスープにキャベツを足したもの。ハム・トースト、コーヒー。

○Howling at Ravens LOVELY MOLLY; own label, HAR001, 1999
 最近増えてきたイングランドのケルト系バンド。中心人物はジャズ・ピアニストだった男で、これがなぜかイラーン・パイプをやりだし、アイルランド系のパイパーとハープ、ブズーキ奏者を語らって作ったらしい。この男の出自は父親がスコットランド、母親がインド亜大陸。したがって、演奏技術は今ひとつで、アンサンブルも完全に溶合っているとは言いがたいのだが、妙な魅力があるのは、ジャズ的な開きなおりをしているところで、きっちり伝統を守るよりは、できる範囲で勝手にやっている部分だ。だから当然、早めの曲はだめで、スロー・エアとか、キャロランが面白くなってくる。はっきり言って二流だが、こういうバンドが出てきていることは、アイルランド伝統音楽の裾野の広がりを示す。こういうジャズ的解釈がもっと地に足のついたものになると面白くなる。

 朝一番でメールのチェック。QuickTime をネスケで見られないので、試しにiMacをMacOS9のCD-ROMから立上げようとすると、デスクトップが現われ、時計表示が出たところで止まってしまう。HDからは立上がる。その時点で DiskFirstAid をかけたら、アプリケーションを入れてあるパーティションのボリューム・ヘッダが修復の要ありと出たので、修復する。が、相変わらずCD-ROMからは立上がらない。やはり増設メモリ関係かもしれない。そんなこんなで時間が潰れてしまう。

 昼食はクサヤの干物を焼き、大根の味噌汁、ご飯、林檎。
 Lennie Gallant の BREAKWATER のCD復刻を聞く。リミックスして音は良くなっている。カセットに比べれば、どんなCDでも良くなろうが、これはヴォーカルがしっかり前面に出て、ギターの音も艶やか。改めて、楽曲の質の高さ、シンガー/ギタリストとしての見事さに打たれる。やはり名盤と言っていい。

 シマンテックにノートンのアップデート済みCD-ROMの申込みにつき、プリンタがない場合の方法について問合せのファックスを送る。電話は話中で通じない。
 夕食を食べていたらシマンテックのカスタマーセンターから電話。その場で申込みを受付けるというので、申込む。問合わせがあるといちいち電話をかけているのだろうか。

 夕方のメール・チェックで入ってきたアイルランド友の会の掲示板にジミー・スコットのライヴの情報。スコットという名前がスコットランド系だと思ってあげたそうだが、これはありがたい。ぴあのサイトに行き、問合せ先に架電。確認するとやはりあのジミー・スコット。ただし場所が水戸。問題は帰りだ。7時開演だから、どんなに遅くとも9時には終るだろう。3時間あれば何とか新宿まで帰って来れるのではないか。

 夕刻、ビクター・Tさんから電話。マイレート&トゥリーナのアルバムの邦題の件。

   夕食はKとHが疣の治療で遅くなったため、パンに変更。チーズ・バタール、葡萄パン、胡桃パン、プチ・トマト、ロイヤル・ミルク・ティー。
 Hは食べているうちに治療した疣が痛みだし、しばらく休んだり、手を使わずに食べたりしている。少し手伝って食べさせてやる。するとまたMが嫉妬。あたしなんか死んでもいいんだというので、怒鳴りつける。

 夜、ニフティ。

2000年 2月 03日 (木) 晴れ。

 朝食はハム・トースト、白菜と人参のスープ、コーヒー。
 Kは出張でバスで出かける。家事をかたづけた後、車で乾燥器と室内洗濯物干しを、金田の厚木市環境センターに運ぶ。粗大ゴミの持込み。
○Lennie Gallant THE OPEN WINDOW; Revenant/Columbia, 1994
Lennie Gallant  サード。コリン・リンデンのプロデュースだが、全体としてはジャクスン・ブラウンの PRETENDER に相当する感じ。曲の出来が七、八分で、それをプロデュースで押切ろうとしている。中にはまずまずの曲もあり、ラストのうたなどはじっくり聞込むとよさそうだが、どれもこれという魅力に乏しい。シンガーのヴォーカルも少し引込んでいる。ファーストのうたと歌唱のみずみずしさは消えている。

 帰りに図書館に寄ろうとするが、何と休館日。有隣堂とタハラを覗く。何もなし。吉本家で昼食。葱・味玉。
 ラオックスにて iMac DV/SE にアンプから音声入力するコードと、延長用の接続金具、生のビデオ・テープを買う。

○Kila LEMONADE AND BUNS; VideoArts, 2000
 車の中でヴィデオアーツからのサンプル・カセットを聞く。
 今までにもライヴで聴いていた曲が多い。やはり、ライヴを重ねて、練上げてきたアンサンブルのタイトさはこれまでとは一線を画す。ただ、ライヴのあのグルーヴ感は捉えきれていないのはやむをえないところか。ロッサのブズーキが今までになく効いている。ロナンのヴォーカルは相変わらずだが、印象的なうたがないのは寂しい。

 Amazon.com からCD2枚。東京創元社・Yさんからキアラン・カースンの本二冊。
 ビクター・Tさんから、マイレート&トゥリーナのタイトルの件で再三連絡。一度は『マイレート・トゥリーナ with ドーナル』で行こうということになるが、営業からプロモーションのためにもタイトルは欲しいということで、『心の絆』でどうかと言ってくる。これは以前、シェイマス・ベグリィ&スティーヴ・クーニィの日本盤に使われていた気がする。

2000年 2月 04日 (金) 晴れ。

 朝食、梭子魚の干物、菜の花のからし和え、薩摩芋につけ、大根味噌汁、ご飯。

○Lennie Gallant LIFELINE; Revenant/Force Ten Records, 1997
 4枚めで元にもどった感じ。サウンド的には今風に洗練されているが、曲作りや歌唱の芯はかわりない。あるいは前作は「過渡期」のアルバムだったのかもしれない。

 昼食はあまり腹が減っていなかったのと時間がなかったので、ドトールでミラノ・サンドC(プロシュートとチーズ、サラダ)を買い、プログラムの合間にロビーで食べる。
 夕食、釜揚げ饂飩、茹で卵、朝の残りの菜の花。

 朝、メールをチェックすると、昨日東京創元社・Yさんに送ったメールがバウンスしていたので、架電。フリーのウェブ・メールへ転送するようにしたのが、ときどき容量不足か何かでバウンスすることがあるらしい。栩木さんのアドレスを別にメールして、連絡をとることを薦める。またなんだかんだと長電話。

 慌てて11時過ぎに家を出る。文化会館に向かい、市立小中学校PTA協議会活動研究大会。プログラムの組み方が良くないので、最後の講演のときには動員できていた保護者の半数以上が帰ってしまっていた。感謝状の贈呈は実に46名にもおよび、はっきり言って無駄。何でも本部役員を二年以上やると各単Pから申請して、感謝状が出るのだそうだ。全くもってばかばかしい。広報紙コンクールでは、手書き部門は4団体しかなく、わが校はその中で最高の努力賞。

 事例研究は特に新味はない。各校事情がかなり違うことはよくわかった。K小は開校五年目で、校舎は斜面に階段状に建てられ、玄関は最上階。各フロアはオープン・スペースで教室の壁がない。  講演は市内在住の玉川大学の先生だったが、幼稚園から大学まで含む玉川学園全体でネットワークを組み、生徒、学校、家庭がシームレスで連絡できる仕組みを作っている。スキー学校など、校外学習の状況もリアルタイムでネット上で見聞できるし、欠席・遅刻をはじめとする連絡、授業計画・内容等の公開、さらには海外の提携校との協同作業など、ネットを利用していわばもう一つの教育空間を作っている。オープンの授業に、第三者の、それも障害者からの参加があったり、海外へ一時赴任した父親についていった生徒から、向うの事情がリアルタイムで教室に入って来たりしているのは感動的。

 もっとも、内容が盛り沢山だったので、ネットに触れていない人にはちんぷんかんぷんの部分が多かったらしい。
 終ってからラオックスへ寄り、オーディオ接続コードを買ってから帰宅。
 リンククラブに注文していた、CD-Rドライヴが届く。
 帰る頃からどうも調子が今ひとつだったが、夕食を食べても、ひどく眠いので、そのまま就寝。
2000年 2月 05日 (土) 晴れ。

 さすがによく眠れて、すっきり。風邪らしきものも抜けた様子。
 朝食はフランスパンをあぶり、イチゴジャムとバター。昨日の残りの薩摩芋、茹でブロッコリ、コーヒー。

 10時半から開校二十周年記念行事で学校へ。体育館は寒い。数ヶ所でストーヴをつけていたが、追いつくものではない。隙間風まで入ってくる。
 行事はシンプルなもので、「国旗・国歌」などもない。歌ったのは校歌。ちょいとキーが高すぎた。T中吹奏楽部はなかなかの出来。「ルパン三世」のようなジャズ的な曲ではリズム感が合わないので、ちょっときつい。指導者がクラシックに引きずられている面もあるのだろう。

 昼食は豚肉・小松菜とご飯。
 昼食後メール・チェックをするが、なぜか日本語のメールがほとんど文字化け。唯一無事だったのはLinuxのメール・マガジンで、これはおそらく文字コードが EUC かユニコードだったのだろう。JIS ないし、Shift-JIS はだめだったようだ。原因不明。
 朝、Apple Data Detector をインストールしたらiMacが起動しなくなる。デスクトップ・ピクチャが出る直前でフリーズ。時間ができたら、何がコンフリクトなのか、確認してみよう。

 ComNifty はやはりおかしい。モデムの設定がよくわからず。やむを得ず、ニフティの FMACBG の ComNifty の部屋のログなど見てみる。結局、新たにダウンロードしたまっさらの本体にMacOS8用のパッチをあて、ROAD7 はマクロで処理したら何とかうまく動く感じ。マクロは「しなちゃん」作者のウェブ・サイトにあったものを流用。

 夕食は炒飯、牛肉とピーマン、筍の中華風炒め。
 夜、ラティーナ用のディスク・レヴューを書いて、送付。

2000年 2月 06日 (日) 晴れ後曇り。

 朝食はクロワッサンにストロベリィ・ジャムを塗り、昨日の残りのブロッコリ、葡萄パン、コーヒー。

○BUGPUSS; Small Folk/Fellside, 1999
 Sandra Kerr と John Faulkner による児童向けテレビ番組のための音楽集。わが栗コーダー・カルテットのアルバムに相当するものだろう。曲はトラディショナル、オリジナルほぼ半々。音楽も演奏はもちろん文句ないが、ジョンとサンドラのデュエットはほとんど聞かれない。

○Ron Kavana ALIEN ALERT; Proper, 1999
 サンフランシスコ周辺でのライヴ集。ロン・キャヴァナのライヴ盤としては初めて。ライヴ・パフォーマーとしてのキャヴァナはやはりフォーキィとエンタテイナーを二つながら兼ね備える。ここでは、地元のバンドをバックに、キャヴァナ流ロックン・フォークを自由自在に聞かせてゆく。やはりこの人の本質が一番よく現われている。前作の "death album" とは対になるものだ。

 昼食は皆で駅前に出て、ミロードの寿司屋。
 食後、Mと図書館、バオバブ。図書館は George S Clason のデータがないかと思ったのだが、Americana にも各種人名辞典にも全く見当たらない。まあ、その程度の人物なのだろう。

○Eliot Murphy with Olivier Dulland APRIL: a live alubm; MSI, 2000
 昨年夏に下北沢の「ストーリーズ」で聴いたこの人のアルバムはなかなかよかったのだが、これはまたさらにフォーキィとして、おそらくは原点にもどった姿なのだろう。ギタリスト/シンガーの相棒と二人だけのライヴで、自作・他作を悠々とうたう。相棒にしても派手なリード・ギターをきかせるわけではなく、テクよりもハート、しかしそれで充分以上。それに歌うたいといしての存在感は予想以上に大きい。「グロリア」では声を嗄らしながらの熱演。ユーモアも忘れず、これは佳作。

○Sachi Hayasaka Stir Up! DOUBLE RAINBOW; Nbagi, 1999
 早坂紗知の自主レーベルからの第一弾。ピアノ、ベース、ドラムスの基本にヴァイオリンと打楽器が入る。曲は一曲を除き、早坂のオリジナル。例外の一曲は永田の作品で、早坂のソプラニーノがいい。早坂はプレーヤーとしてよりは作曲家としての才能の方が大きい。プレーヤーとして落ちるというのではないが、それほど特色のある演奏家ではない。ここでは、周囲の、特にヴァイオリンと打楽器がすばらしい。ジャズとしての優位はフォームやスタイルにこだわらないこと。姿勢も自由で、思いきり前衛に走るかと思えば、ポップに遊ぶことも平気だし、総じて変なこだわりがない。気楽に聞けて、それなりに深いところまでも行ける。こういうのは好きだ。

 システム・アップデートでシステム・アップデーターと OpenTransport をアップデートする。そうすると、いつもの環境では、Sherlock からネスケを立上げるところでフリーズするようになった。仕方がないので、不要と思われる機能拡張をはずし、最低限の環境にしたらOK。一番怪しいのは Kaleidoscope なのだが、これははずしたくない。ので、「基本セット」から同様に不要な機能拡張をはずす。

 人生の師であるM氏からメールで、日販が危ないという噂と、それについて『出版社と書店はいかにして消えていくか』という本についての感想を求めてくる。この本のことは知らなかったので、ネットで検索してみる。この本に関して感想を述べているページが図書館流通センターのサイトにあり、それを見る。ある人文系中小出版社の社長さんが書いたものらしい。一応図書館で探して目を通すことにする。しかし、この感想から見るかぎりでは、ネットのことが感覚として捉えきれていないのではないか。ネット販売は中小出版社にとっては大きなチャンスなのだから。星雲社のようなところに中間マージンをとられる必要はなくなるし、取次から掛率を下げられることもなくなる。その代わり、ネット書店からきつい要求がくる可能性もあるが、そのかわり返品はほぼなくなる。

 夕食は豚肉に椎茸・占地・大葉・葱、それに大根卸しをかけたもの。のっぺい汁。ご飯。のっぺい汁は初めての試み。ちょっと薄いが、このくらいがちょうどいい。野菜がたくさん食べられる。

2000年 2月 07日 (月)  晴れ。

 朝食、昨日の残りののっぺい汁、葡萄パン、コーヒー。のっぺい汁はやはり一晩置いた方が美味しくなる感じ。

○Mary Jane Lamond LAN DUIL; Universal, 1999
 セカンドの延長だが、バックとの融合度が増し、本人のヴォーカルも自信たっぷり。確実に音楽の質が上がっている。ルーツも忘れていないし、まずは期待通りのアルバム。バックのモダンなセッティングは、ロックというよりはジャズの味わいであることは、最近のこの手のアルバムに共通の傾向。全体的にはゆったりとした流れがあり、かつての用語で言えばレイド・バックというところか。バックはレニィ・ギャラントの最近のものと一部ダブる。

 朝一番でTCP/IPの設定でDHCPサーバ参照に換えて試す。さすがにOKで、しかもメールのダウンロードのスピードがかなり速くなった。待たされた甲斐はある。
 Jeremy's CSM がベータから正式版になっていたのでダウンロード。
 昼食後、iMac もアップデートをほどこす。

 歯医者。今日も右上、薬を入替える。
 昼食は昨日の残りの豚肉・小松菜でご飯、ゆかり。

○Michael McGoldrick FUSED; Vertical, 2000
 カパーケリー全面バックアップのソロ。モダンなバックに乗る、マイクのフルートの構図。面白いのはビッグ・バンドのメンバーであろうブラス。これはもっとちゃんと聞きたい。カレン・マシスンとカラン・ケイシィが一曲ずつ歌っていて、カレンはウォーキング・ソング、カランは定番 "Donal og"。曲の違いはあるが、歌うたいとしての充実度ではカランの方が数段上。比較的聞きやすいが、かなりいろいろ仕掛けがしてあり、じっくり聞込むとまた味わいが増す感じ。

 Irish Music Magazine 2月号。表紙は Danu。メディアバレー町田二月末で閉店通知。あれだけ駅の近くに大型パソコン店ができてしまっては、閉店は無理もない。

2000年 2月 08日 (火)  晴れ。

 朝食は早良西京漬け、大根と榎の味噌汁、菠薐草の胡麻和え、ご飯。

○Dougie MacLean PERTHSHIRE AMBER; Dunkeld, 1999
 タイトル曲は四楽章から成る、室内楽、ブズーキ、フィドル、パイプ、ホィッスル、打楽器のためのインスト曲。それに既アルバムから3曲再録。加えて第一楽章の演奏風景を、録音セッションと最初のライヴからのシーンを組合せたビデオが入っている。ビデオの画面は小さいが、画質は良いし、撮影・編集とも質が高い。曲自体はマクリーンの従来路線だが、チェロ(この人がストリングス・アレンジも担当)によるダンス・チューンは新鮮。

 これを聞いていたら急にマクリーンが気になり、続いて INDIGENOUS を聞く。

○Dougie MacLean INDIGENOUS; Dunkeld, 1991
 "Turning away" は最近誰かの歌唱で聞いた覚えがある。が、このアルバム自体は未聴。これを機会にこの人はしばらく集中的に聞いてみよう。ここでは電気の入ったバンドを従えたトラックもあるが、基本線は変らない。この人の場合、どのアルバムも安定していて駄作がないし、質も高いのだが、強烈な印象には欠ける。


 ふと気になってついでにウェブ・サイトも覗く。Flash や RealAudio をふんだんに使った豪華なサイト。最近編成替えをしたらしく、あちこちまだ工事中。dougiemaclean.com というサイトもできていた。一応商品だけは買えるようになっている。

○Dougie MacLean RIOF; Dunkeld, 1997
 これもまた相変わらずの佳作。珍しくガーリック語の歌をうたっている。印象に残る歌としては "She will fine me"。これもどこかで誰かがやっていたような気がする。一曲、テレビ番組用に作曲した音楽を集めたトラックがあるが、スコットランドのシンガー・ソング・ライターや伝統音楽畑の人たちは、ずいぶんこういう仕事をしている。

○Dougie MacLean MARCHING MYSTERY; Dunkeld, 1994
 何と言っても "Broken wings"。それにタイトル曲。"Broken wings" も誰かがカヴァーしていたのだが、思出せない。まとまりのある点では、最近ではこれが一番。

 夕刻、Kが帰ってくるのと入代わりに、車で米山邸へ。音友・Sさん、Kさんはすでに来て話をしていた。Sさん、Kさんは一台ずつ蛇腹を借りて帰る。

 米山画伯の話で面白かったのが、最近、老人会のために演奏する機会が何度かあり、その体験の話。女性は米山の演奏する音楽をそのまま楽しむのだが、男性は若い頃自分が親しんだ音楽を弾いてくれ、と頼んでくる。新しいものを受入れようとか、探索しようという意欲が全く見られない。一人、若い頃アコーディオンをやっていたという男性がいて、最初の演奏会の後、自宅までついてきて安いものを一台あげたところ、その後思出して弾けるようになったと言ってはやってきて、一曲聞かせるそうだ。が、いつも五分ほどで一曲弾くと帰っていく。米山の演奏を聞こうという姿勢は皆無だそうだ。

 話の中で出てきたのは、例えばイラーン・パイプのような音を快いと思うようになったのは、二十年前とは大きな変化だが、その変化はいつごろ、どのような形で、何が原因で起きたのだろうか。最近の「倍音ブーム」もその延長にあるのではないか。
 その関連で出た話:若い世代は楽器をやることに関して抵抗がない。先だって、ペイジ&プラントにナイジェル・イートンがついてきて、そのソロを見た若者が、翌日神田の楽器店にハーディガーディがないかと大挙して押しかけたそうだ。そのソロはおおいに受けたそうだが、それを見てやりたいと思うこと、その楽器が日本でも買えると考えるのは面白い、と米山は言う。

 「不況」は米山周辺にもおよんでいて、デザイナーはMacが使えないと仕事がないので、自動車の免許も持っていない人間が四十過ぎて初めてMacを買ったとか。

 米山にBF15, Josephine Marsh, もう一枚ブルターニュの蛇腹のディスクを貸す。
 10時過ぎに辞し、二人を愛甲石田の駅まで送ってから帰宅。

2000年 2月 09日 (水)  晴れ。

 朝食、ハム・トースト、昨日の残りの菠薐草、コーヒー。

○Dougie MacLean TRIBUTE; Dunkeld, 1995
 ロバート・バーンズ、タナヒル、ニール・ゴゥの曲を取上げたカヴァー集。こういうレパートリィを聞くとこの人の位置がはっきりする。基本的にはポピュラー、つまり伝統のコアとは対極に立つ人なのだ。ひと口でいえば甘い。が、甘さはいわば押えた甘さであり、本人の人となりからにじみ出るものであって、「マーケット」に合わせて意識的に調合したものではない。だから、嫌味はないし、素直に聞ける。とはいえ、コアに慣れた耳には物足らなく聞えることは否めない。例えばニール・ゴゥの曲、"Neil Gow's lament"だ。一方で "Auld lang syne" はもろに「蛍の光」のメロディで聞く、ほとんど初めての解釈で、コアにはない味わいがある。タナヒルの曲が一曲だけなのだが、この人の歌はもっと聞きたい。

 昼食はクサヤの干物を焼き、一昨日の残りの味噌汁、菠薐草の胡麻和え残り、ご飯。

 午後は、メールをチェックしたりしながら、『緑』に精を出す。が、リンク・クラブのサーバが調子が悪く、繋がらない。パスワードがはねられる。サポートに夜7時前に架電すると話し中。その後何度か架電するもずっと話し中。

 夕食は餅を焼いて醤油と海苔で食べ、菠薐草の残りとプチ・トマト、ロイヤル・ミルク・ティー。
 夜は寝るまで『緑』。第9部あと一章までこぎつける。最後のパートは一気呵成にできるだろう。

2000年 2月 10日 (木)  晴れ、暖。

 朝食、雑煮。小松菜の代わりに長葱。これはそれなりに美味しい。
 朝試してみたが、リンククラブのメール・サーバは相変わらずパスワードを受けつけない。念のため、ファックスを事務局に送る。

○Black Out with 山下洋輔 1999/2・26ライブ; Nbagi, 1999
 早坂紗知のサックス四本のユニットであるブラック・アウトの昨年の226コンサートのライヴ盤。これはすばらしい。のっけから迫力満点。一番いいところがカセット録音で、始め興醒めだったが、聞いているうちにそんなことはどうでも良くなる。特にCDではラストの早坂のオリジナルのクライマックスには感動。早坂と山下のデュエットもいい。ライヴを見たくなる。

 10時に家を出て、まっすぐに赤坂ダブリナーズのオープニング・セレモニーの会場へ向かう。千代田線の国会議事堂前の駅は、南北線・溜池山王の駅と地下通路で繋がっている。この駅から山王パーク・タワーの地下に直接入れるようになっていて、そこの地下一階にライオン・ブラセリーとダブリナーズが隣合せになっている。社長の挨拶ではダブリナーズとしては五店舗め。アイルランド大使代理の二等書記官の挨拶ではアイリッシュ・パブは全国に二十軒あるそうだ。アイリッシュ・ミュージックのプロモーション関係は、ほとんど顔を揃えていた。1時半におひらきとなり、おみやげをもらって帰る。帰りの電車ではよく寝た。

 帰宅するとかものはしとリンククラブから電話が入っていた。リンククラブはやはり機器の故障らしい。試しにつないでみたら、アクセス・ポイントからウェブ・サイトには繋げるが、メール・サーバには繋がらない。リンク・クラブのウェブ・サイトのニュースによると、認証サーバでは複数の問題が発見されたそうだ。やはり何らかの攻撃を受けたのではないか。

 BMGからチーフテンズの新譜のサンプル・カセット。今日、白石さんが頻りに誉めていた。
 リンク・クラブの障害は一向に改善せず。メインのメール・アドレスをニフティに変更することにする。ニフティのサイトに行き、メールの別名を登録。主だったところにそれを知らせるメールを出す。

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