大島教授の[暖蘭亭日記][2000年 5月 01日 (月)〜 2000年 5月 07日 (日)] [CONTENTS]

2000年 5月 01日 (月) 晴れ。

 朝食はブルーベリィ・ジャム・トースト、コーヒー、オレンジ・ジュース。

○Phil Brown PENDLE MOON; Big Whistle Music, 2000
 IBTRAD-L で Michael さんが薦めていたので聞いてみたが、これはやはり「勘違い」アルバムではないか。まず選曲がいただけない。ロゥホィッスルの特性を活かすためにいろいろなタイプの曲を選んだとあるが、ロゥホィッスルで聞いて面白い曲とは思えないし、楽器の新しい面が聞けることもない。ランカシャー出身で地元のブラス・バンド伝統を導入しているにしても、ブラス・バンド自体の方が面白いくらいだ。バックにはケン・ニコルの名前も見えるが、特に大きな寄与をしているようにも聞えない。ひと口でいえば、中途半端だ。

 午前中、『グラモフォン・ジャパン』のための原稿書き。
 その後、NHKから頼まれたWalter Scott 関係を調べる。Canongate の SCOTTISH BALLADS に THE MINSTRELSY OF THE SCOTTISH BORDER からとったものがいくつかあったので、これをもとに調べればいいだろう。"Sir Patrick Spence" とか "The wif of Usher Well", "The Broomfield hill", "The three ravens" あたり、有名なものがある。

 昼食は帆立を解凍して刺身にし、キャベツの味噌汁、菠薐草の胡麻和えの残り、ご飯。帆立を切りかけて、わさびのないことに気づき、急いで生協に買物に走る。必要なものだけ買い、さっさと帰宅。
 MusikFolk からCD第一弾10枚。Songline と Locus から定期購読更新の誘い。The Living Tradition。CD通販は慎重に調べて計8枚。今月はCDを大量に注文しているので、注文を出すのは中旬以降。プランクトンからファンファーレ・チョッカーリア来日公演の企画書。ファックスで来るので、I君に架電して、主なところメールでくれと頼む。

 メールをチェック。ラティーナ・Hさんから Kokoo の原稿は面白いとの反応でほっとする。
 Kから連絡があり、Hを駅前に連れてゆく。皮膚科。左手の掌、親指の付根にできていたのはやはり疣で、すぐ液体窒素で焼いたそうな。既存のものは両手親指、右手人差し指ともに完治したそうだ。

 夕食はKが買ってきたサンドイッチ、チーズ・フランス、苺、ロイヤル・ミルク・ティー。
 夕食後、名古屋のHさんから電話。原稿の件。名古屋は演奏者もずいぶん増えてきていて、それはいいのだが、今度はそのための問題が出ているという。何もかもまとまってやることもないと思うと言っておく。

2000年 5月 02日 (火) 曇。

 朝食は胡桃パン、小松菜の煮浸し、コーヒー、オレンジ・ジュース。

 朝一番で推理作家協会、『グラモフォン・ジャパン』、久田さんに原稿を送る。ついでにメール・チェック。木皿さんから MyFAX の AppleWorks 6 対応版が来ていたので早速に試す。今度はOKで、掲示板に報告。

○Chris Conway EARTH RISING; A New Day Records, 2000
Chris Conway  イングランドのシンガー・ソング・ライター。いわゆる「一番売りにくいタイプ」の人。フォークとポップスの中間を渡り歩く感じだ。サンプリングをうまく使って結構厚みのあるサウンドを組立てているが、際どいところでいいセンスを発揮し、飾りすぎにならない。曲もそれなりにライヴで練ってあるのだろう、佳曲が多い。サリィ・バーカーがヴォーカル・サポート人に名を連ね、さすがの歌を聴かせているが、他にも結構なうたい手がいる。アルバムの組立にはもう一工夫あるべし。セカンドが出たら、買うだろう。

 Amazon.comからモデナ・シティ・ランブラーズのCD2枚。Back Porch Music からCD7枚。MusikFolk からCD8枚。Asimov's。ビデオアーツからチーフテンズのビデオ・サンプル。

○Aengus Finnan FOOL'S GOLD; Shelter Valley Productions, 1999
 フィドラーかと思ったら、シンガー・ソング・ライターだった。27歳のデビュー盤。ウェブ・サイトがあり、バイオを見るとダブリン生まれ。それにしてはスコットランド系の名前だ。ゴードン・ライトフットとスタン・ロジャースの影響のもとにこの道に入ったらしい。カナダ的な、繊細で大らかな歌を落ちついた声でうたう。若気の至りのような部分は皆無。ポール・ミルズのプロデュースで、控えめかつ効果的なバック。スタン・ロジャースのバンドのメンバーも含む。トラディショナルが4曲。"Blackleg miner" はフォーク・ロック調に、"Wayfarere stranger" はアメリカン・トラディショナルで、カントリー調。"Black is the colour" はちょっとブルース的にスイングする感じ。"Sweet Evelina" もアメリカン・トラディショナルで、ア・カペラ・コーラス。いずれにしてもカナダの強力なシンガー・ソング・ライター陣にまたひとり、大物が登場した感じ。

 昼前、歯科。
 昼食、鰹の叩き、キャベツ一杯薄味味噌汁、小松菜煮浸し、ご飯。
 歯科と昼食をはさみ、musee 用の原稿を書く。四時半までかかって一応書上げる。
 『グラモフォン・ジャパン』Kさんから Kokoo の原稿、書直し要請。すぐ書きなおして送る。今度はOK。

 夕食は焼きそば。
 のざきさんからメール二回。こっちも返事二回。Irish Music Magazineからメールで返事があったので、購読更新申込書をファックス。
 夜、「グリーン・マーズ」少し。

2000年 5月 03日 (水) 晴れ。

 7時45分に目覚ましが鳴る。子どもたちは6時過ぎぐらいから起きている。
 朝食はハム・トースト、小松菜煮浸しの残り、コーヒー、グレープフルーツ・ジュース。
 Kと子どもたちを駅まで送る。おふくろと新宿で待合せ。買い物をしてから実家へ行く予定。

○CEOL TACSI; Vertical, 2000?
TACS  スコットランドのガーリック・テレビ音楽番組のライヴ集。96年から99年までの録音期間があるので、トリを飾るリラティヴィティや、故エイスネ・ニ・ウァラホーンなども入る。基本的にガーリック、ゲーリックの歌かインスト。有名無名入乱れるが、どれもこれも見事な演奏で、コンピレーションとしての水準は高い。入門編としても格好だ。とりわけ印象に残ったのは、まずマーティン・ヘィズ&デニス・ケイヒル、Roddy Campbell、リアム・オ・メーンリ(「カハーン」だ)、Alasdair Fraser & シャロン・シャノン、ディック・ゴーハン(この女性シンガーは誰だ?)、マイケル・マクゴールドリック、エイスネ・ニ・ウァラホーン、カラン・ケイシィ(唯一の無伴奏)、そしてリラティヴィティ。ミホールとトゥリーナのコーラスはたまらん。それにしてもクレジットが不備。

 musee の原稿を朝一番で点検し、送ってしまう。
 昼食はハム・エッグにキャベツ味噌汁、ご飯。
 中野美代子『西遊記:トリック・ワールド探訪』読了。まず面白い。それにしても、ここまでの「理論」を封じこめたその意図は気になる。

 愛知の主婦殺しは、高校三年生の少年が自首。「人殺し」という体験をしてみたかった、と供述しているそうだ。「真面目で優秀な」生徒だったと学校側はなかなか信じなかった由。またしても愛知、ではないか。新聞にはいわゆる「識者」のコメントがならんでいるが、もうそろそろわかったふりをしているだけの人びとより、もっと年齢の近い世代、この場合で言えば、中・高・大の世代の意見を聞いてみた方が「真相」には近いものが聞けるだろう。おれの考えを言えば、この少年は「現実」と「仮想」の区別がつかなくなったのであり、好奇心を満たそうとする積極性が裏目に出たのだろう。それにおそらくは何かから「逃げよう」としていたのかもしれない。あるいは何らかの「衝撃的」な事件によって自分の住んでいる「世界」に風穴を穿けたかった可能性もある。

 WXGの変換候補一覧の表示が最近おかしくなる。ちょっとことえりに変えてまたもどしてみたが、やはりだめ。初期設定ファイルだろうか。キーバインドのカスタマイズが一番怪しいのだが。
 午後、「グリーン・マーズ」。ノルマ達成。

 四時ごろに上がったので、その後、先日電話があったウォルター・スコット関連の音楽について調べ、NHKエンタープライズ21のS氏に送る。メールで送るとバウンスしてきたのでファックスで送りなおす。

 5時過ぎ、家を出て、車で実家。6時着。
 夕食、トンカツ、筍ご飯、南瓜の煮付け、胡瓜とキャベツのお新香、その他。
 iBookを持っていったので、夕食後はメールの未読をかたづけ、11時過ぎ就寝。

2000年 5月 04日 (木) 晴れ。

 9時過ぎ起床。
 朝食は筍ご飯と和布・あぶらげの味噌汁。

 iBookを電話につないでみる。ID認証が変わっていたのを忘れていてちょっと手間取るが、無事繋がる。メールのチェックと送信。
 昼食は冷麦。

 午後は、メールをかたづけ、辞書のメンテ。
 夕飯、Hの誕生日祝いで寿司を取る。その他、鶏腿の唐揚げ、筍の煮付、お新香、菠薐草おひたし、隠元胡麻和えなど。ウィスキー、ロックで二杯。いい気持ちになり、布団を敷いた後横になって寝る。目が覚めると9時前。裸足で寝ていて冷えたらしく、腹が下る。どうも眠いので子供たちと一緒にそのまま就寝。

2000年 5月 05日 (金) 晴れ。

 昨夜は2時過ぎに目が覚め、以後6時ごろ、子供たちが起きるまで眠れず。その後またうつらうつらして起床9時少し前。

 朝食は鰺の開き、海苔、若布とじゃがいもの味噌汁、ご飯。
 昨日の続きで辞書のメンテ。読書。
 昼食は早めにして、蕎麦を取る。天笊。正午過ぎに出発して帰る。

 EFDSSよりCD5枚、IMAGES OF TRADITION というカード、バッジ、連続写真を束ねた冊子のセット。冊子はぱらぱらとめくるとイングリッシュ・カントリー・ダンスの動画になる。珍しく船便で来たのでCDケースは満足なものが一枚だけ。「魂花時報」「春秋」その他。
 留守の間にNHKエンタープライズ・S氏からお礼のファックス。翻訳の鎌田三平さんから留守電。

 西鉄バスの乗取り犯の少年は、以前から遠いところに行きたがり、長距離ドライブに出たことがたびたびあった由。佐賀から名古屋まで日帰りしたこともあったという。閉塞感に苛まれていたのだろう。それが病院に入れられてさらに募り、このままでは閉込められるとの恐怖心から爆発したのではないだろうか。

 午後は「グリーン・マーズ」。一行も絶壁を脱し、いよいよあと一日で一応脱稿。
 鎌田さんに架電。お留守で折返し電話をいただく。はじめ出た息子さんの声がそっくりでまちがえる。当たり前といえば当たり前か。

 夕食はハンバーグ、大根卸し、豆腐と葱の味噌汁、ご飯。
 Orange World からメールの返事。めちゃくちゃ忙しいとかで、とりあえず、CDの値段など。米ドルで言ってきたということは、米ドルで送ればいいのだろう。
 夜はCDのジャケットのスキャン。

2000年 5月 06日 (土) 曇。

 朝食、チーズ・クロワッサン、ロール・パンにブルーベリィ・ジャム、和布キャベツ、コーヒー、グレープフルーツ・ジュース。
 食事中Mが右耳がおかしいと言うので、念のため耳鼻科の予約をとり、Kを送る。

○Joe Henry TALK OF HEAVEN; Astor Place Recordings, 1986/1999
Joe Henry  ジョー・ヘンリーのファーストのCD再発。なるほど若書、というか、彼もまたディランズ・チルドレンの一人であることがよくわかる。まだ自分のうたの提示方法を手探りしているのと、バンドが主人公を支えるだけの重みを持っていない。Jayhawks はこの人にとってのザ・バンドであったわけだ。とはいえ、ただ者でない片鱗はタイトル曲をはじめ、各所にうかがえる。ヴァン・モリスンの "Wild night" をやっているが、オリジナルをほぼなぞっているくせに、コピーに聞えない。このレーベルはラテン・ジャズを出していたり、BLEEKER ST という60年代グリニッジ・ヴィレッジ・フォークのトリビュートを出したり、妙な会社だ。

 食器を洗っていたら、のざきからの荷物が届く。向うで買ってきたCD三枚に Lia Luachra の新譜のサンプル。
 昼食は子供たちと一緒にえぼだいの干物、和布キャベツ(朝の残り)、大根の葉の味噌汁、ご飯、ゆかり、海苔。Mの耳はもう全然何ともない、と言張るので、耳鼻科の予約を取消す。
 仕事は「グリーン・マーズ」。今度こそ本当にあと一日残すのみ。
 夕食はKがサンドイッチなどを買ってくる。
 「グリーン・マーズ」のノルマを果たした後、午後から夜にかけて、のざきさんが送ってくれたCDを聞きまくる。

○Catriona MacDonald BOLD; Peerie Angel Productions, 2000
Catriona MacDonald  MusiKFolk からのがまだ届かないので、一足先に聴かせてもらう。まずは期待通りの出来。何と言ってもジェイムズ・マッキントッシュがすばらしい。Shooglenifty ではまだフロントが力不足なのだろう、ここではヒロインを盛りたてて、しかも冒険の大部分はかれのドラムスによる。シェトランド・リールだけではなく、ノルウェイの曲や、スロー・エアまで行かないチューンとしか言いようのない曲、思いの他ヴァラエティに富む。アイリーン・アイヴァースともアンビョルグ・リーンとも、もちろんリズ・キャロルとも違う、冒険の方向がそれぞれに異なるのは面白い。意外や、この四人の中ではある意味でいちばん地味な感じでもあるのだが、それだけに冒険の飛躍の仕方は一番大きいかもしれない。

○Lia Luchra TRAFFIC; sample, 2000
 これものざきさんから。新譜のCD-R。思いきって自分たちのやりたいことをやりたいようにやっている。ファーストもオリジナル志向があったが、今回は12曲中4曲を除いてオリジナル。しかも残り4曲のうち最後の曲はギリシアのトラディショナル。当然、個々の技量もアンサンブルも格段によくなっていて、やりたいことをやれるようになった。シンガーの男性は一級にはちょっと手が届かないが、変な背伸びもしていないので、十分聞かせられる。

○Savourna Stevenson TOUCH ME LIKE THE SUN; Cooking Vinyl, 2000
Savourna Stevenson  一曲エディ・リーダーがヴォーカルをとっているが、今回はソロが多く比較的地味。弦楽カルテットとの曲が中心だが、それよりはハープ・ソロに聞物がある。もちろんフォークとは一線を隠すが、かといってクラシックでもない。ちょっと不思議な位置にいる。やはりジャズが一番近いかも知れないが、だとしてもそれはECMの、それも一番周縁のものだろう。

○Baka Beyond SOGO; Hannibal, 2000
Baka Beyond  これはすばらしい。こんないいバンドを今まで知らなかったのは不覚。アフロ・ケルト・サウンド・システムなんて眼じゃない。ミュージシャン同士のたがいへのリスペクト、グルーヴを合わせようという自然な欲求を感じる。鍵はまずフィドルの Paddy Le Mercier だ。元マリコルヌというのはうなずける。まずこの人のフィドルが全体に糸を通す。アフリカ勢がリズム・セクションを提供するのはもちろんだが、ベースがこれまたリズム全体をまとめる。ギターがさらにこれを増強し、うたが乗り、フィドルが一番上ですっ飛ぶ。のっけにあの "I see winter" でまいりました。ラストはアラブまで出てくる。これは全部買って聞くぞ。今回のざきさんが送ってくれた中では、最高。いや、今年のベスト級。それにしてもヴィデオアーツは何でこれを出さないのか。それとも出しているのだろうか。

2000年 5月 07日 (日) 晴れ。

 朝食はハム・トースト、炒り卵、コーヒー、グレープフルーツ・ジュース。

 朝刊で曽野綾子が、現在の日本の教育の荒廃の原因は「日本人の幼児性」に帰結すると書いている。首をかしげるところが二つ。こう書く時、おそらく「日本人」であろう筆者自身には「幼児性」はないのか。もう一つ、「日本人の幼児性」は現在に固有のものか。

 筆者はどうやら自分には「幼児性」はないと考えているらしい。その根拠は明らかではない。第二次大戦中、高等女学校で英語教育が廃止されたそうだ。同じ朝刊の書評欄で京極純一が書いている。公式の理由は明らかにされた覚えが無いそうだ。陸軍士官学校では英語を教えていなかったらしいし、同じく第二次大戦中、野球の試合で英語からの借用語の使用が禁じられたのはもっと有名な話だ。こういうところに現われているのは「幼児性」とは言わないか。
 余談だが、そもそももろにアメリカからの輸入品である野球行為そのものが禁じられなかった理由は何だろうか。

 ところでその京極純一がとりあげているのは谷沢永一と渡部昇一の共著による「孫子」の解説書だ。この書評の中で、筆者は著者二人に「先生」をつけて呼んでいる。この態度も疑問。仮にも「書評」である以上批評であり、批評とは批判を含む。そのためには対象との距離を慎重に計る必要があるはずだ。プライベートで親しいかどうかはこの場合、一度脇に置かれるべきだろう。もし置けないのであれば、公の「書評」としてとりあげるべきではない。それとも筆者は新聞の書評とは批評ではなく、紹介ないし宣伝の場であると割切っているのだろうか。とすればこちらもそのつもりで読まねばならない。

 WXGの候補一覧ウィンドウの動作がおかしいので、キー定義ファイルを作りなおす。が、やはりおかしい。
 昼食をはさんで「グリーン・マーズ」。めでたく脱稿。
 昼食は賞味期限の来た餅。やまゆりで買ってあったもの。皆、海苔で巻いて食べる。Kは午後演劇部の活動につきあうため出勤。

○Jennifer Roland DEDICATION; Magnetic Music, 1998
Jennifer Roland  ケープ・ブルトンの女性フィドラー。実に闊達なフィドルで、ナタリーほどの派手さはないが、ウェンディ・マクアイザックなんかとは肩を並べる。ケープ・ブルトンの質の高さがよくわかる。曲によってドラムス〜ベースが入るが、特に工夫はない。フィドルのドライヴで聴かせてしまう。

 夕食はKの帰りが遅くなったため、揚げ物で、俺は海老カツ、大根の葉の味噌汁、ご飯、ゆかり、細切り昆布の佃煮。

○Wendy MacIsaac THE "REEL" THING; WMR, 1994
Wendy MacIsaac  この人は装飾音がいい。どちらかというと軽やかなタッチで、細かい装飾音をさり気なく入れてゆく。いかにも入れてるぞという感じではない、そのさり気なさがいい。低い音と高音の別がはっきりしていて、落差が快感。ナタリーや上記のジェニファに比べると、一歩下がって弾いている印象だが、そこがまた奥ゆかしい。一曲ピアノ・ソロがあるが、これはちょっとご愛敬だろう。ピアノの伴奏はライヴで見たかぎり、ケープ・ブルトンのフィドラーの常として見事なものだったが、わざわざソロをやることもないと思う。ここでピアノ伴奏をしている Howie MacDonald もフィドルのアルバムを何枚も出している。

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