大島教授の[暖蘭亭日記][2000年 7月 24日 (月)〜2000年 7月 30日 (日)] [CONTENTS]

2000年 7月 24日 (月) 晴れ。昨日同様風あり。ただしこの風、南風で気温を押上げる。家の中は風があるので、じっとしているぶんにはまだ楽。が、ちょっと動くと汗が噴き出る。夕方から雲が出て、風は水分を含んで涼しい。明日は曇から雨との予報で、そう聞くとますます涼しくなる。もっとも、今日来た気温計では室温は三十度から下がらない。10時 子供たちはラジオ体操に出るため6時に目覚ましで起きて出てゆく。それで目が覚める。窓を開けると風が吹込み、汗が引く。ごろごろしていて、8時過ぎ起床。

 朝食、胡桃パン、ブルーベリィ・ジャム・トースト、炒り卵、じゃがいもと榎のバターいため。
 子供たち、横の公園で自転車に乗っていたらしい。Mがほとんど乗れるようになったと言って帰ってくる。 

 昼食は早良西京漬け、占地とあぶらげの味噌汁、胡瓜味噌添え、ご飯、細切り昆布佃煮。

 3時過ぎ、町田・東急ハンズへ仕事部屋用のスタンドを買いに行く。が、ハンズは商品数も絞っていて、新宿にはあった目当てのものはなく、仕方なく蛍光燈を使う別のメーカーのものにする。町田のハンズはもうだめだ。有隣堂にて宮崎市定『論語の新しい読み方』岩波現代文庫。二宮正之『私の中のシャルトル』ちくま学芸文庫。斎藤兆史『英語達人列伝』中公新書。山田風太郎『あと千回の晩飯』朝日文庫。

 町田への往復で Jonathan Raban PASSAGE TO JUNEAU を読了。最後に待っていたドラマのおかげで、この航海の持つ意味がぐっと重みを増す。見事な書物なり。

 夜、今日買ってきた本のデータを打込みながら、山田風太郎の本の拾読みを始めると止まらなくなる。目が見えないと言いながら、絶妙のリズム感。

 斎藤兆史の『英語達人列伝』もすこぶる面白い。斎藤秀三郎をとりあげていることを新聞書評で知って買ったので、まずその章を読む。こんな面白い人だったとは。ますます惚れる。『熟語本位英和中辞典』はもっと読込まねば。それにしても『ブリタニカ』全巻を二度読破するとは、英語力を別にしても並みの人間ではなかろう。

 ついでに最終章の白洲次郎も読んでしまう。白洲正子のダンナとしてしか知らなかったが、この人も面白く、それを書く著者の文章もまたいい。GHQの幹部から「あなたの英語は大変立派な英語ですね」と言われて、「あなたももう少し勉強すれば立派な英語になりますよ」と切返したと言うエピソード。それもとびきりのキングズ・イングリッシュでだ。これはしかしむしろ英語力と言うよりは、エスプリと頭の回転の速さではある。自らの英語を確立したからこうしたエスプリが身についたのか、もともとそれだけ頭の回転が速かったから、卓越した英語力を身につけられたのか。卵と鶏だが、ちょっと面白い命題ではある。

2000年 7月 25日 (火) 曇時々雨。午前中、風を伴って激しく降りしきる。正午前後にはいったん止み、その後はぱらぱらと降ったり止んだりを繰返していたが、夜に入り、天気予報に応えるかのようにまた降りはじめる。湿度は高いが、気温は室内でも28度。
 子供たちは6時に起きて、一度ラジオ体操に出ようとしたが、玄関を出たところで、すでに雨が降っていたのでやめる。


 朝食、胡桃パン、炒り卵、ブルーベリィ・ジャム・トースト、トマト、コーヒー、グレープフルーツ・ジュース。
 インターホンがとうとういかれたようだ。チャイムは鳴るのだが、受話器をとっても何も聞えない。

 家事をすませ、昼前に車で一人家を出て、実家。昼食は実家にて蕎麦。裏庭の寸法をざっと測り、宮前平駅前のビック・サムに行く。物置を物色し、買う機種を決めてから中のサービス・カウンターで見積もりを申込む。3時半帰宅。25日で雨のため、一般道はひどく混んでいて、東名から降りる口が珍しく並んでいる。その先、小田厚の下をくぐって愛甲石田に向かう道はモロに糞詰まり。とっさに裏道を通る。

 夕食、豚肉ピーマンの中華炒め、ご飯、枝豆。

○メイヴ; Omagatoki, 2000 (advanced cassette)
 『リヴァーダンス』のシンガーだそうだが、なかなか面白い。ちょっと古楽の要素を持ちこんでいて、クラリネットとパーカッションの使い方が気持ちよい。グリークの「ソルヴェイユの歌」がちょっと浮いている感じだが、これはこちらの問題だろう。

 行掛けに音友・YさんにゲラとCDを送る。夜、プロフィールを作ってメールで送る。

 ベクター・ダイレクトにも送金。Adaptec Toast の代金。てっきりカード決済だと思っていたのだが。帰宅後その証書をファックスしようとすると、ファックス番号はモデムになっている。最近コンピュータ関係の会社によくあるが、馬鹿にするな。

 夕食後、アップルのサーヴィスから電話。iBookはなんと液体をこぼした痕があるとのことで、有償修理になり、その見積もりを伝えてくる。全部で5万。痛いことだ。それにしても一体いつ何をこぼしたのだろう。考えてみると、iBook、iMacの場合、全部アップルに送っているわけで、こうした故障の内容はアップルの言いなりにならざるをえない。販売店ならばある程度第三者的立場が取れたが、すべてアップルで引受けるとなるとそうはいかない。これはユーザーにとって利益だろうか。

SMOJO7月号  MOJO7月号。English Dance & Folk。Asimov's。MOJOにはコリン・ハーパーによるバート・ヤンシュとデイヴィ・グレアムをならべて当時の様子を描いた長い記事。例によって珍しい写真も多い。これはすぐに読まねばと思い、目を通す。初めて知る事実もたくさん。記事の最後にこれはハーパーの新著からの抜粋とあるのですぐにAmazon.co.uk にとんで行って注文。6月下旬発売とあるが、なぜか未刊になっている。ついでにバートの新作CDも注文。ベスト盤がボーナスでついている。
2000年 7月 26日 (水) 雨。外は涼しいが、家の中はかえって蒸暑い。雨は断続的に激しく降ったり、また小降りになったり。午後、雨上がり、日没前薄日さす。

 7時過ぎ起床。子供たちも薫も興奮しているのか、早くから起きている。
 朝食、ハム・トースト、苺ジャム・トースト、コーヒー、グレープフルーツ・ジュース、バナナ。

 Kと子どもたちは今日から二泊三日でディズニーランド。

 歯科。右上を削って土台を作る用意。少し響くことがあるというと歯茎の薬を入れる。一本だけ半分ぐらいに低くなってしまった。土台が入るまではこのままなのだろう。
 ベクターダイレクトに昨日振込んだ証書をファックス。今日はちゃんとファックスになっていた。
 Spectral の脚は四本とも潰れていた。前脚など、外側が溶けて、下の板にくっついてしまっている。上にいろいろ載せていたのも原因かもしれない。

 昼食、銀むつ粕漬、トマト、はりはり漬け、茄子の味噌汁、ご飯、ゆかり、細切り昆布の佃煮。
 昼食をはさんで、ダディ・オーのアンディ・ホワイト・ライヴのためのチラシ原稿を書いてしまう。
 夕方、ダディ・オー・Hさんから電話。文字使いの確認と、真ん中の段落の書換えの依頼。
 夕食前にシャワーを浴びる。夕食は薩摩揚げを焼き、昼の味噌汁の残り、トマト、野沢菜ちょい辛めの漬物、ご飯。

 薬害エイズの安部裁判で、検察が禁固三年の求刑。あまりの軽さに唖然。俺ですらそう思うのだから、被害者やその家族の無念や、想像にあまりある。法律に照らせばこうなるのかもしれないが、だとすればその法律がどこかずれているのだ。
 検察の論告に従えば、安部は非加熱製剤を用いればエイズ感染もありうるし、そうなれば早晩死亡は避けられないことを知っていた。自分の行為で相手が死ぬことを知っていてその行為をするのは業務上過失致死ではなく、故殺ですらなく、謀殺ではないか。
 交通事故による「殺人」もそうだが、この「業務上過失致死罪」というやつはどうも胡散臭い。薬害エイズに限らず、いわゆる「医療ミス」によって患者が死亡した場合もこれが適用されるのだろうか。

2000年 7月 27日 (木) 曇。

 朝8時過ぎ、物置工事の業者からの電話でたたき起こされる。土曜日の2時に待合せる。
 もう一度寝ようとしたが寝られないので起きてしまう。
 朝食は腹が減っていなかったので抜き。グレープフルーツ・ジュースを飲んでコーヒーを一杯。

 終日、ラティーナの原稿書き。苦戦。
 10時半前、吉祥寺の川村さんから電話。9月の「ウインズ・カフェ」のスケジュールの件。川村さん自身の都合もあり、17日の日曜日になる。

 昼食、素麺を茹で、トマト、煎餅、飲むヨーグルトなど。
 2時半過ぎ、郵便局から電話。7日にフィル・ビアに送金した際、申込み金額と違う額を請求金額として打ってしまったということで、多く取りすぎた分を返しに来る。10GBP だったのを20と打っていた。こちらも気がつかなかったのは迂闊。

 Ken Hunt から Swing 51 のバック・ナンバー。
 午後4時頃、光化学スモッグ注意報発令。午後5時15分解除。
 スペクトラルのCDプレーヤーはとうとう完全にCDを読込まなくなってしまった。

○Juliet Turner BURN THE BLACK SUIT; own label, 2000
Juliet Turner  極上の音楽でポップスとしか言いようはないが、この人のうたはジャンルを拒む。Kathleen Wilhoite を想わせる。トム・ウェイツも確かにある。たっぷりの知性を柔軟に、縦横に働かせている。[04]面白い曲。ちょっと子供っぽい声と歌い方が生きている。全体にもう少しヴォーカルを前面に出して欲しい。ベースがガーヴァンだ。[05]喇叭の使い方がいい。アクセントだけに使っている。

 夕食、薩摩揚げを焼き、隠元胡麻和え、茄子の味噌汁、ご飯、海苔。
 9時頃、プランクトン・Iさんから電話。リアム・オ・メーンリとスティーヴ・クーニィのゲストにニーヴ・パースンズが決まったと言うニュース。狂喜乱舞。早速、アイルランド友の会、IBTRAD-L、ニフティに流す。ニフティはインターウェイから入って、ネスケの上で書込む。何とかなるものだ。

2000年 7月 28日 (金) 曇。気温は低い。午後、雨が落ちてくる。

 9時過ぎ起床。
 朝飯は抜いて、グレープフルーツ・ジュースとコーヒーだけ。
 掃除と洗濯。

 『ラティーナ』原稿続き。ようやく少し筆が乗ってきた。
 昼食、チーズ・トースト、肉まん・あんまん、一個ずつ、昨夜の隠元胡麻和え残り、飲むヨーグルト。
 ユニバーサルよりモデナ・シティ・ランブラーズとその元メンバーによるアルバムのサンプル。

○ラティーナ2000(仮); ヴィデオアーツ, 2000 (advanced cassette)
 『ラティーナ』セレクションによる Ryko からのラテン音楽最前線のコンピレーション。A面はアップテンポ、B面はややゆっくりめ。一つひとつ取ればそれなりに面白く、じっくり聴いてみたいものもあるのだが、こうして連発されるとちょっと勘弁という気になるのは、やはりこちらの感性の問題だろう。特にA面の後半はパーカッションが入ってくるとまたかという気分。もっともこういう部分はどこのローカル・ミュージックでも基本的な波長の合わない人間には感じられることだろう。ケルト系のくるくる回るダンス・チューンを聞くと、どれも同じに聞える人は少なくない。それにしても、結構大編成が多い。ベース、パーカッション、ピアノ、ギターはもちろん、たいてい喇叭が入る。それもウインドとリードと両方だ。ものによってはさらにオケが入る。北方のようにそぎ落とした伴奏のものはまずない。ラテン・アメリカ文学のあの饒舌さに通じるのかもしれない。

 4時過ぎ、一同ご帰宅。
 5時に家を出る。『CDジャーナル』宛CDを送る。吉本家で夕食。キャベツ味玉ラーメン。タハラでアルベルトへのギフト(嘉手苅林昌のライヴ)を買い、有隣堂でクリスティナへのギフト(『踊る地平線』)を買う。タハラではついでに嘉手苅林昌のビデオと山里勇吉との共演盤があったので買ってしまう。まっすぐ表参道のザ・パイント。8時ちょうどにつくと、すでに二人は来ていて、タッド、白石さん、それに山本淑子さんが一緒。山本さんとは初対面、のはず。タッドからモデナ・シティ・ランブラーズのセカンドをもらう。アルベルトの説明ではずいぶんと凝ったジャケットづくりだ。

 クリスティナさんは日本語が相当にできる。勤めておられる出版社のカタログをいただいてざっと見ると、結構翻訳を出されている。それもかなり幅広く、哲学、言語学、社会学から文学、エンタテインメントまで。理科系の本も少数あった。コンラート・スピンドラーの『五千年前の男』の翻訳もある。タイトルは当然違うが訊いてみたらそうだった。

 アルベルトは大型のピアノ・アコーディオンを持ってきていて、ザ・パイントのレジデンスであるアイーネ・ナ・ギーレの演奏が始まると、じっとしていられんと言うように参加してゆく。演奏は30分ぐらいずつ何度かあるのだが、始まるとそれまでおしゃべりしていたのも中断して飛びこんでゆく。やはり好きなのだろう。アイルランドやスコットランドの蛇腹弾きのようなテクはないが、ドライヴ感はたいしたものだし、聞かせる勘所を押さえるのはうまい。

 このバンドはパイプ、ブズーキなど担当のブレンダンが中心で、今日は正式メンバーではないそうだが、まずまずの演奏。フィドルがいない。後はギターと笛類にバゥロン。ブレンダンはなかなかのヴォーカルも披露。後で、リード・シンガーであるドナ・バークがやってきて2曲うたう。"Danny boy" と "Raglan road" で、ライヴの方が遥かにいいのはいたしかたあるまい。ドナは陽気な女性で、結構跳んでいる。演奏は達者だが、レパートリィが有名どころに限られているのがこういうレジデンス・バンドの惜しいところ。どれもこれもレコードで聞いたことがあるものばかり。

 アルベルトはラ・キアパ・ルサはもう古いと切って捨てていた。世代が違うのだろう。
 ユニヴァーサルのKさんも後から見える。プランクトン勢もやってきて、マーティン・ヘィズ&デニス・ケイヒルやリアム・オ・メーンリ&スティーヴ・クーニィ&ニーヴ・パースンズのチラシなど配っている。そういえば店にジム・マッキャンのチラシが置いてあったが、ポールからはなにも送ってこない。生徒さんがデザインされたというチラシはB5を三つ折りにしたもので今までのチラシに比べると遥かにいい。

 なんだかんだで11時過ぎまでいて、最終小田原行きで帰宅。金曜の夜とてタクシーは少し待つ。

2000年 7月 29日 (土) 晴れ。真夏の天気。風かなりあり。空気乾燥。

 9時半起床。
 朝食、苺ジャム・トースト、炒り卵、トマト、コーヒー、グレープフルーツ・ジュース。
 昼食、川崎にて冷麦、漬物、バナナ。

 川崎にて物置の見積もり。アドバイスに従い、メーカーをイナバにし、幅も一つ広いものにする。床面積1坪強。
 夕食、駅前ミロードの寿司屋で、小泉の両親に御馳走になる。
 帰宅、8時半。

 夜、Divoからのメールを見て、サイトに行き、『平田晋策著作集』を注文。いやあ、これで数十年ぶりに「昭和遊撃隊」を読める。今となっては読むにたえないかもしれないが、とにかく一度読みなおしたかった。

 送料がただになったというのでアップル・ストアで新キーボードを注文。

2000年 7月 30日 (日) 晴れ。朝のうち風強し。徐々に弱まる。

 9時過ぎ起床。
 朝食、ブルーベリィ・ジャム付きクロワッサン二個、炒り卵、コーヒー、グレープフルーツ・ジュース。
 昼食、鰻丼、豆腐と和布の吸い物、胡瓜山葵漬け、胡瓜塩揉み、隠元胡麻和え。
 おやつに昨日もらってきた玉蜀黍。醤油を薄く塗って軽くあぶったら美味しい。

○Troy Donockley THE UNSEEN STREAM; Alliance Music, 1998
 のざきさんがだめだといっていたので聴いてみたが、確かにだめだ。もともとクラシック志向の人なのかもしれない。パイプと弦楽四重奏でシベリウスの「フィンランディア」などやっているが、面白くも何ともない。他の曲は一曲除いてオリジナルだが、これまた箸にも棒にもかからない。ニューエイジにすらならない。強いて言えばシンフォニック・ロックかプログレのでき損ないか。

 午後からラティーナ原稿推敲。削りに削る。
 3時頃、電気屋来る。インターフォンのつけかえ。

○Modena City Ramblers LA GRANDE FAMIGLIA; Black Out/Mercury, 1996
Modena City Ramblers  唯一未入手だったセカンド。文句のつけようもないアルバム。このバンドはアルバムとしてはファーストからすでに自分たちのスタイルを作っているが、ここではもう完成の域だ。それにしてもこのシンガーはすばらしい。

 夕食、麻婆豆腐、胡瓜の山葵漬け、ご飯。
 夕食をはさんで PASSAGE TO JUNEAU の慷慨を書く。

 9時頃、フジロックの楽屋にいるヒデ坊から電話。9月末にドーナルが遊びに来るのにアンディ・アーヴァインが同行するので、「つづら折りの宴」に出てもらおうと思う。ついてはまずプロフィールを書いてくれないかとの依頼。二つ返事で引受ける。まだほとんど誰にも知らせていないというので、あちこちにメールを送る。プロフィール原稿を書いていると、メールを見た中山さんから電話。11時半にむりやり切って入浴。

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