大島教授の[暖蘭亭日記][2000年 12月 11日 (月)〜2000年 12月 17日 (日)] [CONTENTS]

2000年 12月 11日 (月) 晴れ。

 朝食、ロールパンにブルーベリィ・ジャム、コーヒー、蜜柑絞りジュース。

 朝食後、Kが買ってきた『世界』が面白く、あれこれ読んでしまう。いわゆる北朝鮮による日本人拉致疑惑についての論文など。あれにはどうも胡散臭さがつきまといながら、マスコミ報道に流される形で現実のものと思いこんでいたが、和田春樹という人のこの論文を見ると、認識を改める必要があるようだ。拉致の事実が絶対にない、と言いきれないことが北朝鮮の困ったところなのだが、報道されているような形の拉致が本当にあったのか、こちらも確たる証拠はない。いくつかの証言があるだけだ。もっとも確なる証拠があれば、はじめから「疑惑」ではないわけだが。

 何より胡散臭いのは、わが国の警察当局が拉致の事実を認めていながら、そう認めるにいたった根拠を一切示していないことと、この件についての政府の腰が定まらないことだ。拉致されたとされる人びとの親族の当然極まる要求に対して、外務省などの対応の歯切れの悪さは、やはり実相が別にあるのではないかとの疑いを誘う。
 巻頭の俳句がいい。
 「赤き土より白き花咲く造化かな」
 「ひたすらに祈る女の神無月」

○Livingston Taylor LIVINGSTON TAYLOR; Atlantic/East West, 1970, USAmerica
Livingston Taylor  ニフティのFBEAT フォーラム「温故知新」の部屋で誰かがいいと騒いでいたのが記憶に残っていて買っておいたのだと思うが、こんなによいとは思わなかった。兄貴と違って肩に力が入っていないところがずっといい。適度のポップさ、シンプルで十分なバック。本人がこの再発のために書いたライナーによれば、この時代に音楽産業にはまだ余裕があり、妙なプレッシャーはなく、ミュージシャンが持つ資質を見極めようとする姿勢もあったらしい。そうした余裕が、若書ながらストレートな歌と演奏と結びついて生まれたアルバムだろう。1970年前後そうして生まれたアルバムは結構あり、今なお生命を失わないものも多いことは、この「名盤探検隊」の企画そのものが証明している。

 昼食、吉本家でキャベツ味玉ラーメン。
 夕食、炊込みおこわ(占地、人参、鶏肉、栗)、大根の葉の味噌汁、牛肉金肥等。

 ブルターニュの通販店からCD3枚。The Living TraditionからCD1枚。アオラからサンプル盤三枚(うち一枚はCD-R)。

 午前中から出かけ、町田へ出て、東急の鳩居堂でアイルランドへの土産に香のセットを三つ買う。厚木にもどり、有隣堂でEmacsの分厚い入門書。吉本家で昼食をとった後、ビブレ上のソフマップを冷やかす。ロジクールのマウスを買う。iBookのLinux用。
 携帯を見ながら歩いている若い女性を見かけ、携帯不況の言葉を思出す。
 帰宅2時。下の停留所から歩く。時間的には一番近い停留所まで乗った場合とさほど変らないかもしれない。

 夕方、ヒデ坊から電話。
 ミミカキエディットはコンテクスト・メニューの一点を除けば実に良い。

○Kimmo Pohjonen KIELO; Rockadillo, 1999, Finland
 Swap 来日の成功で、招聘元には来日希望からのオファーが相次いでいるそうだが、その一人に名前があがっていたので聞いてみる。が、何をやりたいのかわからない。ジャンルとしての前衛ないしノイズ系ということになるのだろうか。どうもこういうのを聞くと、テクニックのなさをポーズでカヴァーしようとしているように聞こえてしまう。やたらボタンのたくさんある大型のアコーディオン。こういう音楽ばかりやっているのなら興味なし。放送の素材には使えるかもしれないが。

○Carolyn Robson ALL THE FINE YOUNG MEN; RiverRecords, 1999, Scotland
Carolyn Robson  すばらしいアルバムなり。どこかでうたいつづけていたのだろうか。有名曲が多いが、それぞれに説得力のある歌唱で、うたのうまさと明確な解釈で新鮮にうたっている。"Bonny at morn" はここのところたて続けに聞いたが、この歌のベスト・シンギングの一つ。が、一層すばらしいのが "MacCrimmon's lament" で、ディック・ゴーハンのヴァージョンだが、あれに比べても遜色ないか、こちらが若干勝るかもしれない。タイトル曲である最後のEric Bogleの曲も、うたが本来持っているやや甘い感傷的なところを、ヒロインのうたが救っている。トランペットの伴奏も意表を突いていながら、はまっている。嬉しい一枚。

 夜、ロジクールの Mouseware をインストールしてホイール・マウスを使ってみるが、マウスの持ち方が慣れない。

2000年 12月 12日 (火) 晴れ。寒。

 朝食、クリーム・コロネ、ブルーベリィ・ジャム・トースト、バナナ、コーヒー、オレンジ・ジュース。

 昼食、昨夜の残りの炊込みおこわと牛肉金肥等、肉饅、プリン、煎餅、蜜柑。

○Haris Alexiou WHISPERS; Mercury/ムジテック, 2000, Greece
Haris Alexiou  これはまたどシンプルな作り。ピアノかギターの伴奏のみ。両方つくものは一、二曲。テンポはゆったりで、最近アップテンポはあまりないが、これはまたとりわけゆったり。この人ぐらいになると、好きなことを好きなようにやってそれで芸になる。いつもは弦楽器伴奏が好きなのだが、今回はピアノが良い。

 『魂花時報』57号。表紙のレイの顔がかわいい。なんと、リキッドは前売完売だそうな。

 Downtown Music Gallery からCD。スーザン・マッキュオンの残り一枚。リンゼイ・ホーナーとの共作の一作目。
 EFDSSの会報 ENGLISH DANCE & SONG の2000年冬号と Folk Music Journal, Vol.8 No.1。EDS の表4の Park Records の広告にマディ・プライアの新作とキャスリン・ティッケルの新作が出ている。ペンタングルの新作はライヴだ。

 夕食、ハヤシライス。K、帰宅7時過ぎにつき、俺が作る。

○Joaquin Diaz ROMANCES DEL CID; Pneuma, 1999, Spain
Joaquin Diaz  『エル・シドの歌』をうたったもの。これまたどシンプルな作りで、ほとんどは自身のギターのみ。はじめの方数曲で、オーボエや打楽器が入ったりするが、それも曲のごく一部のみ。全体の九割以上は弾語りだ。しかしそれがかえってこの人の歌うたいとしての凄味を引きだし、そして素材の豊かさを引立たせる。スペイン語、ここではカスティーリア語だろうが、それが実に美しい。美しい言葉は意味は一言半句もわからずとも、そこにこめられた感情は伝える。

 終日、文化放送BSのための選曲とダビング。
 夜、中山さんから。アイルランドでのスケジュールを聞いてくるが、行ってみないとわからんと応える。

 LightWayTextのリヴィジョン・アップ版が出ているのでダウンロード。こちらに影響のある変更はないようだ。
 『リナックス・マガジン』はやはりなかなか面白い。
 「ITといえば、日本も『IT先進国』になろうとしてか、IT推進法とやらが成立したそうだ。IT化を推進すること自体は賛成なのだが、条文を読んでみると結局単なる電子商取引のための環境整備でしかないのだから悲しい。確かに、これでIT関連の企業はそれなりに儲かるところがあるだろうし、ITをベースとする企業活動の活性化は重要だ。だけど、日本のIT政策は企業の利益の保護に熱心なあまり、普通の市民の存在感があまりにも薄いのが残念だ。例えば、IT基本法などでも知的所有権の保護には積極的でも、情報の公会や共有といった部分についてはほとんど触れられていない。そればかりか、市民のコミュニケーションを盗聴法なんかで規制することばっかり考えているのだから困ったものだ。極端な話、日本のIT政策の中で、市民というのは単なる財布でしかない。来るべき高度IT社会とやらの姿が、みんなでパソコン通販で買い物をする社会だというのではさびしいじゃありませんか」
 安田幸弘「社会のITを、そしてオープンソースを」148pp.
 鋭い指摘だ。ここ数年の自民党・政府がなんとかの一つ覚えのように唱えている「景気回復」というのも、つまるところはみんなもっとモノを買え、金を使え、ということでしかない。しかもこの場合、買うのはサービスではだめなので、モノでなくてはならないらしい。

 朝刊の経済欄コラムで三連星氏が、東電とか三菱とかの大企業数社が集団を作り、カナダから炭酸ガス排出権を買おうとしていることを批判していた。景気は回復しました、空気も水も汚れていて、そのままでは呼吸したり、飲んだりはできません、というのは嫌だ。発足したばかりの内閣に期待できると答えた人が20%に満たないという世論調査の結果に現れているのはそういうことではないだろうか。あるいは、長野、栃木、そして惜しかったが鹿児島での選挙結果に現れていることではないだろうか。神戸と名古屋の道路公害訴訟での判決も同様の趣旨だろう。

 『世界』の田中秀柾と佐高信の対談で、現在の自民党には現実が見える人がいないと指摘されていたが、なるほどITからして実は現実を見誤っているわけだ。

 ITといえば、携帯電話にはまり込み、通信費がかさんで他の生活費を圧迫している人が増えていて、「携帯不況」という言葉も言われだしているそうだ。それはそうだろう、携帯の電話料金は高すぎる。固定電話にしても市内通話料金の値下げ競走が始まったとのことで、3分間の料金が9円を切り、その後小数点下1位の数字の攻防になっているとの報道にアホらしくなる。さっさと定額料金にせいよ。おばあちゃんおじいちゃんにキーボードは怖くないから触ってごらんとせっつくより、よっぽど「IT化」の実が挙がるはずだ。それにはNTTを分割しなければならないだろうが、どんどん分割すればいいのだ。NTTがひとつにまとまって得をするのはNTTだけだ。

 扇建設相が成田と羽田の両空港の役割分担を見直したいと言ったのに対し、千葉県庁が怒りくるっているらしい。すると千葉県は成田は自分のところの財産だとでも思っているのだろうか。われわれがわざわざあんな遠い所まで、多大な時間と費用をかけて行かねばならないのは、千葉県を潤すためなのだろうか。空港建設に大きな犠牲が出ているから、成田を使わなければならないというのであれば、本末転倒だ。たくさんの金をつぎ込んだから、無駄とわかっているダムや道路を作らなければならない、という理屈と変らない。ったく、怒りくるいたいのは時間と金をかけてわざわざ遠い空港を使わねばならない、こっちの方だ。

2000年 12月 13日 (水) 晴れ。昨日よりは暖かい。

 朝食、ハムをはさんだ健康パン、ブルーベリィ・ジャム・トースト、コーヒー、オレンジ・ジュース。

 8時前に宅急便。山口さんから航空券。

 家事の後、内科医に架電。尿酸を排出し、尿酸値を抑える薬の処方を依頼。10時過ぎ、取りに行く。一ヶ月分、出してもらう。下のコンビニに周り、『噂の真相』を買って帰る。へとへとになるが4,500歩。尻の穴の周りが痺れる。また、痔が悪化しているのかもしれない。帰って体重をはかると80.5キロ。前途遼遠だ。

 EFDSSに年間購読更新のファックスを送る。

○Various Artists A NEW DAWN: Uilleann Piping, Another Generation; Na Piobairi Uilleann, 1999?, Ireland
A NEW DAWN  最年少15歳の十代のパイパー、六人のオムニバス。冒頭にパッツィ・トゥーヒの蝋管録音が一曲入っている。もちろんトップ・クラスばかりだが、十代後半でこれだけ吹ける人間が6人もいるのもこの楽器の隆盛を物語る。当然これだけしかいないわけでもなかろう。テクニック的には先日見たデイヴィ・スピラーンにも劣らないと思われるものもいる。若いから指も良く動くだろう。テクだけではなく、音楽が生きているのはさすがだ。中でも紅一点、ルイーズ・マルカヒィは有名なマルカヒィ家の娘の由だが、情感のこもった演奏で、生きた音楽の点では一番。テクニックではこのオムニバスのプロデューサーの一人ゲイブルエル・マキュオンの息子、コナーが抜きんでている。とはいえ、抜きんでていると言ってもその差は髪の毛一筋で、いずれ劣らず、これからが楽しみだ。パイプの音しか入っていないが、楽しいアルバム。

 昼食、エボダイの開き、牛肉金肥等(昨日の残り)、白菜の味噌汁、ご飯、ゆかり、海苔。

 昼食後、『噂の真相』の田中康夫「東京ペログリ日記」。長野県知事選挙運動期間中の記録。自分の選挙運動を記録した文章を読むのは初めてで、とても新鮮。できれば対立候補の同様の記録も読んでみたいものだが、まず書いてはいないだろう。多少の誇張はあるにしても、ここに書かれたのはまず事実としてみていいだろうが、その場合驚くのは投票日が近づくにつれて、雪崩を打って田中に支持が集まっていく様子。とりわけがんときたのは老齢者の期待。
「10月5日(木)
 (前略)飯島町役場前で老齢の女性に、あんたの言うこと、昔から好きだったよ、知事になって長野県を変えておくれ、あたしが生きてる間に、と手を握られる。
 (中略)
10月10日(火)
 (前略)
 群馬県、埼玉県と接する南相木村。村営バスの運転手氏が窓を開けて手を振ってくれる。日没後の北相木村。有権者数が千人に満たない村の集落から幾人もの老齢者が姿を現す。両手で握締め、飯島町の老婆と同じ科白を多くが呟く。一番上の集落まで上がり、戻ってくると、優に20分は経過しているにも拘らず、その多くが路肩で僕を待っていた」
 それにしてもこの雑誌はメインの記事よりコラムが断然面白い。筒井康隆の「狂犬樓の逆襲」も今回は役者としてのあり方の話。それに読者投書欄。
 MSIからサンプル2枚。fRoots1+2月号。今年のベスト・アルバムはロキア・トラオーレ。

 文化放送BSのための選曲とダビング続き。これのために昼食後、Yas-Kaz & Jiri Pavlica のアルバムを聴直す。すばらしいアルバムではないか。

 午後、一通り終り、MDを聴直しながらコメントを書く。二枚目が途中で切れていた。11曲目の途中から先が消えている。昨日、最後まで入れてストップした時、妙な動作音がしていたので嫌な予感はした。仕方がないので入れなおす。三枚目ではフランク・ロンドンのバンドを2曲入れていた。夜11時過ぎ、点検とコメント執筆終了。

 夕食、K帰宅7時過ぎ、鍋の予定をハンバーグに変更。菠薐草おひたし、トマト、大根卸し、ご飯。

 夕食後、お茶を飲みながら新聞をながめていたら、政治欄の下の方の「語録」の欄に、亀井静香が「東京は立派な自民党の政治家がどんどん落ちるから民度が低い」と言った、と出ている。「民度」というのはなんだかよくわからないが、要するに東京の有権者をけなしていることは確かだ。東京の有権者はなんと答えるだろうか。

2000年 12月 14日 (木) 曇り。寒。

 朝食、ハム・トースト、トマト、コーヒー、オレンジ・ジュース。

○Robin Laing THE ANGEL'S SHARE; Greentrax, 1997, Scotland
Robin Laing  ウィスキーに関するうたばかり集めたアルバム。C・W・ニコルが何年か前に同様のアルバムを作っていたが、まあ、比べるのは酷だ。トラディショナルは意外に少なく、様々な人のオリジナルが四分の三。シェル・シルヴァースタインなんて人のものもある。"John Barleycorn" は当然あるが、これはバーンズのヴァージョンで、メロディは自作。やはり良い曲になる。ファーストのような傑作ではないが、愛すべき佳作。

○Sinead Lohan NO MERMAID; Dara, 1998, Ireland
 マルコム・バーンズのプロデュースはやはり裏目ではないか。ファーストのあの溢れでてくるような印象的なメロディはない。同時代的なコンテクストはこちらの方が備えているのだが、それに盛るべきうたが聞こえない。プロデュースが歌にふさわしくないとは思えないが、それだけにうたがプロデュースに引きずられている疑いは消えない。1stはいわば才能だけで突破していたが、才能を磨く精進を怠ったつけというのは酷か。しかし、この人にはこれで終ってほしくない。

○Eric Kaz CUL-DE-SAC; Atlantic/Eeast West, 1974/1998, USAmerica
Eric Kaz  名作の呼び声高いファーストよりもこちらの方がずっと熟成していると思う。こんなに「黒い」うたを作る人だったのかと改めて見なおす。ポール・パターフィールドの「耳」アルバムにも匹敵するのではないか。

○Mercedes Peon ISUE; Resistancia/アオラ/Beans, 2000, Galicia
Mercedes Peon  fRoots今月号のディスク・レヴュー冒頭で取上げられ、何者と思ったら、アオラからサンプルをもらっていた。これは凄い。まず備えているエネルギーが半端ではない。その巨大なエネルギーをパッケージしてリスナーに届けるテクノロジーの使い方がまた半端ではない。これぞ真の意味での「同時代音楽」。そして徹底して同時代だからこそ、時代を越える。真の普遍を目指すならばとことん足元にこだわるべし。空間的にも時間的にも。シンガーは楽器奏者に比べてデーモンが表に出てこないが、この人はデーモンを正面に立てて、しかもその手綱をしっかり握っている。この年末ぎりぎりに来て、今年のベスト1は決まった。いや、これはもう来年のベスト1か。40分に満たない収録時間だが、恐ろしく密度が高い。

 これが初聞き今年450枚目。きりのいい数字をこういうアルバムで迎えられたのは嬉しい。500枚は来年の課題。

 午前中、溜まっていたディスク・データの打込み。
 ワーナーからホットハウス・フラワーズのベスト盤サンプル。アオラから先日来たサンプルのうち1枚、再度送ってくる。Granta。

 昼食、エボダイの開き、若布の味噌汁、菠薐草おひたし、トマト(ともに昨日の残り)、ご飯、林檎。

 午後、Vine Linux のメーリング・リストの過去ログを調べ、iMacに再インストール。デフォルトではDHCPが使えないようだ。

 夕食、牡蠣の土手鍋、ご飯。

 アイリッシュ・ミュージックとフェアポート・コンヴェンションのメーリング・リストの停止の手続きを取る。フェアポートはサーバがころころ変わっていて、最初に加入した時のものからはそんなリストは知らないと言われる。アイリッシュ・ミュージックは一時停止ができる。ただし、アドレスが違っていて、おまえは購読していないとの返事。ともにやりなおす。

2000年 12月 15日 (金) 晴れ。暖。

 朝食、ハム・トースト、トマト、コーヒー、オレンジ・ジュース。
 昼食、和布ご飯、海苔、白菜の味噌汁、林檎。
 夕食、手巻き寿司(葱トロ、烏賊、山牛蒡、胡瓜)、菠薐草おひたし、茶碗蒸し、生チョコレート・ショート・ケーキ、コーヒー。

 Kは休みのはずが、やり残した仕事があるとて午前中学校へ。
 朝、歯科。右下奥。一度薬を入れるが、年内来れないというと別の薬に入れなおす。

 終日、ぽんやり。また『銀河パトロール隊』を読んでしまう。しかし、ところどころ、相当おかしな部分が眼につく。今までは全然気にならなかったし、実際物語の大筋では大過ない。午前中の残りはiBookのLinuxでskk関係のファイルをダウンロード。

 午後、子どもたちが帰ってきてから皆でトイザラスに買物に行く。その後、靴屋、電気屋と回る。いま履いているメフィストの靴があまりにひどいので、旅行用に急遽ホーキンスの安いやつを買う。一応、雨や雪などにも強いという謳い文句。電気屋でMD用のイヤフォンのスペアと空のMD。

 DHCからジェイムズ・ディーンの伝記。フリー編集者Jさんのシリーズ。
 クラダからクリスマス・カードとそれとは別にインヴォイスと今月の新譜リスト。BGMからDM。悪いが今買う金はない。

 夜、シマンテックにノートン・ユーティリティとアンティ・ヴァイラスのアップグレードの申込みのファックスを流す。

2000年 12月 16日 (土) 晴れ。

 朝食、チーズ・デーニッシュ、ブルーベリィ・ジャム・トースト、プチトマト、コーヒー、グレープフルーツ・ジュース。

○Kev Dempsey & Tom Leary ANCORA; DEX, 2000, England
Kev Dempsey & Tom Leary  わりと期待していたのだが、いま二つぐらいの出来。どうもケヴィン・デンプシィがトム・リアリィをダシにして自分のやりたいことをやっている感じ。トム・リアリィのソロ名義は見事なサポートヤクに徹していたのに。デンプシィはこうなるとやはり二流の二流でしかない。この人はホイッパースナッパーズのような、誰かをサポートして初めて渋く輝く人だと思う。トム・リアリィも何となく遠慮しているようで、演奏に張りが聞こえない。よく見てみたらCD-ROMであった。

○Charlie Piggott & Gerry Harrington THE NEW ROAD; Clo Iar-Chonnachta, 2000, Ireland
Charlie Piggott & Gerry Harrington  いい感じだ。焦らず、マイ・ペースを守り、等身大の音楽をやっている。とくに派手なことをやるわけでもないが、アクセントを入れるタイミングとその音の伸ばし方がツボを刺激してくれる。こういうのが一番心安らかに聞いていられるのは、そろそろ病膏肓に入ってきたか。チャーリィ・ピゴットはデ・ダナン時代はマルチ・インストルメンタリストだったと記憶するが、こういうのを聞くと、蛇腹が本来、というか一番好きなのだろう。デ・ダナンもボシィほどではないにせよ、やはり結構テンポの速い演奏だったけれど、こういう落ちついたテンポになってくるのは年齢なのだろうか。そうそう、この人はあのすばらしい The Lonely Stranded Band のメンバーだった。BLOOMING MEADOW の著者の一人でもある。
○Harry Bradley BAD TURNS & HORSE-SHOE BENDS; Outlet, 1999, Ireland
Harry Bradley  BAD TURNS & HORSE-SHOE BENDS  写真で見るとまだ若い人だが、この人のフルートもいい。ベルファストの人。余談だが Outlet はベルファストにあるのだった。F のフルートの音はあまり聞いた覚えがないが、ちょっとひしゃげた面白い音を出す。伴奏者も初めて見る名前だが、なかなかのもの。マンドセロなどの演奏者の層も厚くなっているのだろう。おもうにこの辺のシンプルな伝統音楽の器楽演奏の良し悪しを決めるのは、曲と自らの技倆にふさわしいテンポ、あるいはタイム感ないしリズム感を見つけているか否かではないか。速く演奏しようと思えばできるのだろうが、自分の楽器で出したい音をはっきり聞かせるのに適切なテンポだ。この人なども個々の音の中でアクセントをつけていて、一つひとつの音が横にした三日月、それも音が出るとすぐに深くなり、それから余韻を引きながら浅くなるような姿を見せる。スロー・エアにはもう少しタメが欲しいところもあるが、それも傷というほどではない。ハープの伴奏が新鮮。佳作。
○Garry Shannon LOOZIN' AIR; BMM, 2000, Ireland
Garry Shannon  パイプで言えばオープン・スタイルで、確かにすらすらと音が出てくるのは気持ちよい。ギターとベースの伴奏もモダンだし、装飾音のつけ方、アクセントのつけ方、曲の崩し方もジャズ的。こういうアルバムを聞くと、フルート・アルバムをどんどん聞いていきたくなる。

 使用済み核燃料の六ヶ所村への移送が始まったが、この費用はいったいどれくらいかかるのか。運送費だけでなく、搬送用ケースの製造費なども含めての話。
 『ラティーナ』1月号。

 昼食、釜揚げ饂飩、茹で卵、蜜柑。

 午後、のざきの家庭頁のための原稿を書いて送る。

○fRoots No.16; fRoots, 2000
 年末のサンプラー。あいかわらずどれもこれも良い。もちろんアンディ・アーヴァインもビル・ジョーンズも俺だったら別のを選ぶ。意外に良かったのはジョン・ハイアットで、この人がこんなうたを作るとは。ヨーロッパでは Spaccanapoli は買わねばならない。イタリアはやはり南の方が面白い。Kardes Turkuler もかなり。アフリカは Les Go。こうして聞くとfRootsは東欧関係があまり強くない。北欧はアンドリュウ・クロンショウがいるのでまずまずカヴァーしているが、ロマ関係は弱い。16曲で全部カヴァーしようという方が無理だが。

 夕食、豚肉付焼き、和布キャベツ、葱間汁、ご飯、蜜柑。

 断続的に荷作りと、明日の資源回収のための段ボール、新聞、チラシ、雑誌などのまとめ。机周りの書類を封筒に入れてまとめる。

2000年 12月 17日 (日) 晴れ後曇り、夜に入り雨。

 昨夜はあまり眠れず、ふと眼が覚めると5時15分。6時には家を出なければならないので起きてしまう。

 5時半、山口さんより電話。30分ほど話した結果、結局アイルランド行きは急遽取止める。終日、呆然。

 朝食、ブルーベリィ・ジャム・トースト、コーヒー、グレープフルーツ・ジュース、蜜柑。
 昼食、鱈子、海苔、胡瓜味噌添え、ご飯、林檎。
 夕食、すき焼き、ご飯、卵、蜜柑。

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