Robert Crumb

What's CRUMB ロバート・クラム( Robert Crumb ):1943年フィラデルフィア生まれ。コミック作家/イラストレイター/ミュージシャン。
彼が絵筆を金に換える錬金術を始めたのは、62年にクリーヴランドに引っ越しポストカードの仕事を得てからだ。NY、再びクリーブランドを経て西海岸(サンフランシスコ)にたどり着きフラワー・チルドレンの洗礼を受けると共に、かの伝説のコミック雑誌『ZAP』誌を創刊する事となる。

ZAP『ZAP』誌はアメリカン・コミック(アメコミ)の中でも、"アンダーグラウンド・コミック"と呼ばれるものだ。社会風刺だけでなく性的な描写も多く描かれている。そしてドラッグによるトリップも、その重要な要素となっている。60年代のヘイト・アシュベリーの空気を、最もヴィヴィドに伝えているのがこのアンダーグラウンド・コミックなのだ。

クラムと同世代のコミック・ギャングスには、ハーレー・ダビッドソンに跨った革命児スペイン・ロドリゲス、マリファナをくゆらすヒップなミッキー・マウスを描いたビクター・コスモス、フェビラス・フューレー・フリーク・ブラザースで有名なギルバート・シェルトンなどがいる。

What's CRUMB ロバート・クラム( Robert Crumb ):代表作『フリッツ・ザ・キャット』、『ミスター・ナチュラル』、「Keep On Truckin'」、他多数。
クラムが出世作となる『フリッツ・ザ・キャット』を描き上げたのは、64年の事だ。その後も彼はこのヒップ世代が生み落としたトリック・スターを描き続ける。

FRITZ THE CAT単行本(バレンタイン・ブックス刊)として刊行されたのは69年の事だ。この『フリッツ・ザ・キャット』だが、73年に日本版が盛光社から出版されている。

人気を集めたこのコミックに映画化の話が舞い込み、72年に劇場用アニメーションとして公開された。クラム自身はこのアニメをまるで気に入っておらず、主人公のフリッツがグルーピーの女の子にアイスピックで刺されて死ぬ、という壮絶なエピソードで物語を完結させてしまう。

 -------------> "FRITZ THE CAT" Sound Track

What's CRUMB ロバート・クラム( Robert Crumb ):ジャニス・ジョプリンの『チープ・スリル』のジャケットを始め、YAZOO/Blue Goose等のジャケットを多数手掛ける。
ロバート・クラムの作品の中で、もっとも多くの人々の目に触れているのが、このジャニス・ジョプリンのジャケットだろう。

Cheap Thrillsクラムはこのジャケットのイラストの仕事を、たった600ドルで請け負った。最近この原画がサザビーのオークションで2万1000ドルの高値で競り落とされたとか。ともあれ、これもまたクラムを有名にしたアイテムだといえる。


なお、日本で最初に発売されたヴァージョン(CBS/SONY SONP-50030)のインナー・スリーブには、ジャケットのセリフが日本語に訳されて載っている。

 -------------> Click Here Japanese Sleeve


What's CRUMB ロバート・クラムを、よりよく知るための資料を少し紹介しておこう。
COMIC BOOK CONFIDENTIAL COMIC BOOK CONFIDENTIAL by Bob Man

VOYAGERから出されたCD-ROM、アメリカン・コミックの歴史を詳細に描いた電子ブック。著者のボブ・マンは、アメリカン・カルチャーの研究家/ドキュメンタリスト。同じくVOYAGERから出されている『ポエトリー・モーション』(ウィリアム・バロウズ、エド・サンダース、トム・ウェイツ、チャールズ・ブコウスキー等のポエトリー・リーディングを集めた作品)、ツィストの歴史を綴った『TWIST』などを編纂している。
アメリカン・コミックの中でも、クラムを代表とするアンダーグラウンド・コミックを中心に置いた本で、作者へのインタビュー、作品紹介など、見事な構成で語られている。

"CRUMB" by Terry Zwigoff

97年に公開され、日本でも話題となった映画『クラム』。「何と最悪に輝いているんだ!!」のコピーが秀逸だった。

映画の内容については、あえてここでは語らないでおこう。95年度サンダンス映画祭で最優秀ドキュメント賞を受賞。同年の山形ドキュメンタリー映画祭の招待作品となった。ビデオは、ユーロスペース社から字幕付きで発売されている。

なお、監督のテリー・ズウィコフは、ロバート・クラムのバンド、チープ・スーツ・セレネーダーズのメンバーでもある。バンドではヴァイオリン・チェロを担当している。

勿論、ロバート・クラムを知る上では欠かせない一作である。
[CRUMB]

Journey to Comixdom 『アメリカン・コミックスへの旅』 by 三浦節子

81年に冬樹社より刊行された本。ロバート・クラムについて書かれた文章の中で、最も愛情に溢れ、最も明解に彼の作品となりを語った本がこれだ。未だかって、この『アメリカン・コミックスへの旅』を越える本に出逢っていない。

冒頭の「アダルト・コミックスの系譜」は、54年に制定された[コミックス規制]を中心に論じられており、アンダーグラウンド・コミックの背景を知るうえで欠かせない資料となっている。やはり注目すべきは、当時(78年)サンフランシスコの郊外に住んでいたクラムを訪ねる「ロバート・クラムへの旅」だ。作者のコミックス〜クラムへの愛情を感じさせる文章で、何度読み返しても涙が出てしまうほど感動的だ。

この本の中には、『フリッツ・ザ・キャット』の最終話となった「FRITZ THE CAT SUPERSTAR」が日本語版で完全再録されている。

Acco.Girl
[ To be continued ] (Coming Soon)


---[ back to R.CRUM TOP ]--- ---[ Les Primitifs du Futur ]--- ---[ Cheap Suit Serenaders ]---

This Page Edited by Shinichi Ogawa