社楽の会 臨時増刊号 第232回へ 第233回へ TOPへ
報告者 土
井
第232回からやや間が空きましたので、2005年7月18日(月)臨時増刊号を発行します。
今回紹介したものの目次です。番号をクリックしてください。
1 ODA民間モニター 中国班コース決定 2 恒例!夏休み自由研究特集 3 食育基本法施行 4 愛・地球博 国際赤十字館に関連して 5 緊急特集!アスベスト 6 便利Web特集 7 教育関連情報 8 政治について考えよう! 9 メルマガ紹介 |
食育を、生きる上での基本であって、知育、徳育及び体育の基礎となるべきものと位置付けるとともに、様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てる食育を推進する |
(教育関係者等及)
第十一条 教育並びに保育、介護その他の社会福祉、医療及び保健(以下「教育等」という。)に関する職務に従事する者並びに教育等に関する関係機関及び関係団体(以下「教育関係者等」という。)は、食に関する関心及び理解の増進に果たすべき重要な役割にかんがみ、基本理念にのっとり、あらゆる機会とあらゆる場所を利用して、積極的に食育を推進するよう努めるとともに、他の者の行う食育の推進に関する活動に協力するよう努めるものとする。
(学校、保育所等における食育の推進)
第二十条 国及び地方公共団体は、学校、保育所等において魅力ある食育の推進に関する活動を効果的に促進することにより子どもの健全な食生活の実現及び健全な心身の成長が図られるよう、学校、保育所等における食育の推進のための指針の作成に関する支援、食育の指導にふさわしい教職員の設置及び指導的立場にある者の食育の推進において果たすべき役割についての意識の啓発その他の食育に関する指導体制の整備、学校、保育所等又は地域の特色を生かした学校給食等の実施、教育の一環として行われる農場等における実習、食品の調理、食品廃棄物の再生利用等様々な体験活動を通じた子どもの食に関する理解の促進、過度の痩(そう)身又は肥満の心身の健康に及ぼす影響等についての知識の啓発その他必要な施策を講ずるものとする。
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ここまできちゃったか
食育基本法が施行され、担当大臣が任命された。政府は首相を会長とする推進会議も設置する。「食べる」と「生きる」は、ほぼ同義語なのに、そのすべを法に示してもらうとは。
食育基本法前文には、こうある。「ここに、食育について、基本理念を明らかにしてその方向性を示し…」。食育とは、「食」に関する教育だ。
そして、第一三条には、次のように書いてある。
「国民は、家庭、学校、保育所、地域その他の社会のあらゆる分野において、基本理念にのっとり、生涯にわたり健全な食生活の実現に自ら努めるとともに、食育の推進に寄与するよう努めるものとする」
それが「国民の責務」という。
まさしく「はしの上げ下ろし」について、法律が定めてくれた感がある。
確かに、事態は深刻だ。
ことしの農業白書をひもとくと、小中高生の二割は朝食を食べない日があったり、ほとんど食べない状況にあるという。小学校高学年から中学生の四−五割、高校生の二割が学習塾に通っており、子どもの年齢が上がるほど、夕食や夜食をコンビニに頼る割合が高くなる。
こうした食習慣の偏りが、肥満や糖尿病など生活習慣病の若年化、激増につながっていくからだ。
一九七〇年は、大阪・日本万国博覧会に、米国の有名なフライドチキンチェーンの実験店が国内で初めて登場し、「ファストフード元年」とも呼ばれている。
その後、ファミリーレストランや郊外型スーパー、さらにコンビニが爆発的に国土の隅々まで普及して、「食」は急速に簡便化すると同時に、画一化していった。
開催中の愛・地球博(愛知万博)にも世界の「食」が集まっている。だが、大阪で初めてフライドチキンに出会ったときの感激は、わいてこない。“世界のグルメ”もほぼ日常化したらしい。文字通りの「飽食」である。
問題は、ありあまる「食」の洪水に多くの消費者が身をゆだね、「食」に対して「受け身」になり過ぎたことである。与えられた食物をのみ下し、消化するだけならば、人間の暮らしとは言いがたい。
法の定めに従って、「国民運動」を起こすのもいいだろう。しかし、多くを社会にゆだねすぎると、「受け身」を助長してしまう。
基本法施行をきっかけに、まず家庭の中で、「食」について語り合う時間を捻出(ねんしゅつ)したい。できればしばしテレビを消して、食卓を囲みつつ。
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問い合わせは 土井謙次 syaraku@tcp-ip.or.jp