(1)生活習慣は成績と比例する!
基本的な生活習慣が定着した子供ほど、学力試験の正答率が高いことが倉敷市教委の調査で分かった。
今年1月、市内の小学4年生約4500人を対象に実施した国語、算数の標準学力調査と、学習意識や生活実態調査の関連を分析した。
生活実態調査によると、睡眠時間は▽9時間以上10時間未満33・8%▽8時間以上9時間未満29・8%▽10時間以上16%▽7時間以上8時間未満11・7%▽6時間以上7時間未満5・5%▽6時間未満3%−−の順。
学力調査との関連では、平均正答率(国語66・0%、数学75・6%)を上回ったのは、9時間以上10時間未満(69%、78・6%)と8時間以上9時間未満(68・4%、77・5%)で、最低は6時間未満(48・1%、60・2%)だった。
朝食は▽必ず食べる78・1%▽たいてい食べる15・3%▽食べないことが多い4・8%▽食べない1・5%。平均正答率より高かったのは「必ず食べる」(68・1%、77・6%)だけで、最低は「食べない」(47・7%、57・8%)だった。
このほか、学校に持っていく物を前の日にきちんと用意するか、との質問では▽必ずする54・2%▽たいていする35・6%▽あまりしない7・8%▽しない2%。こちらも「必ずする」(69・2%、77・9%)だけが平均正答率を上回り、用意しない(48・2%、60・2%)が最も低かった。市教委は「家庭での基本的な生活習慣の定着は、学力を支える大切な要素のひとつ」と分析している
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教員なら誰でも経験的に感じていることを、こうして数字に出してもらえるとありがたい。今後の指導のための支えになる。今後は、生活習慣と成績がなぜ関係するのかという理由の解明が進むことを期待する。ただ、きちっとした生活習慣で成績が向上した子が、将来社会で成功するかどうかは別問題のような気がしてならない。
(2)京都府教委が卓越した教員に新しい職務を設置(京都)
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素直な疑問。
卓越した力量を誰が判断するのか、各学校に配備するほど人材がいるか、そうした人をなぜ教頭・校長にしないのか、教頭・校長には卓越した能力はないのか・・・・・。
様子を見守りたい。
(3)不登校児のメールやファクスでの自宅学習、出席扱いへ 朝日新聞(6/28)
○ 自宅に引きこもりがちな不登校の子どもたちが、電子メールなどのIT(情報技術)やファクスを活用して自宅学習をすれば「出席」扱いにできることが決まった。学習の遅れを取り戻すことによって、学校復帰や就職につなげることを狙うもので、文部科学省は、7月にも全国の都道府県教委に通知する。
○ 文科省によると、03年度に30日以上欠席している不登校の児童生徒数は全国で約12万6000人。学習面でどのような支援策を取れるかが大きな課題となっていた。
○ 自宅学習を出席扱いとすることは、すでに構造改革特区制度を利用して1県6市で実施され、昨年末に全国展開することが閣議決定された。文科省は、これらの先行事例を検証し、学校復帰などの成果が上がっていることから全国への通知を決めた。
○ ただ、出席扱いすることが不登校の悪化につながらないよう、保護者と学校とが十分に連携し、訪問して対面指導を行うことなどを出席扱いの要件としている。
(4)素人の目線から
私は三十数年も新聞記者をしているが、ふしぎなことに専門がない。政治も経済も、社会も文化も、ほとんどの事象に関心を持ちながら、それらすべてに素人である。
記者とは、永遠に素人であることが専門なのかもしれない。戦争を取材しても軍人ではないし、宮内庁を担当しても皇族ではなく、首相官邸を回っても政治家ではない。こうした専門領域に、素人の目線でタマを投げることが任務であるからだろう。
素人について、夏目漱石がこんなことを言っている。
どんな物事でも、人間はまず全体の輪郭を見る。そこから、玄人と称する専門家は局所を観察して、細部に至る。細かくなればなるほど、全体の輪郭を離れる。離れることは、忘れることだ。
対照的に素人は、全体の輪郭を決して離れない。ジャーナリズムの根幹だと思う。
靖国の問題も、たぶんそうだ。素人である私は、あの戦争の上に立った「日中友好」という輪郭を離れられない。小泉首相は、日本人の精神構造から参拝をするのは当然であり、中国が文句をいうのは内政干渉とはねつける。そこには、日中友好という全体の輪郭が薄らいでいる。
北京の特派員から帰ったS記者も、同じ意見だった。彼は、中国最大の反日キャンペーンを繰り広げるウェブサイト「愛国者同盟網」の代表・盧雲飛氏に何度か会った。
盧氏は、日本でいわれるような、学校での反日教育で洗脳されたのではない。中曽根−胡耀邦の盟友関係で日中の関係がもっとも良好といわれた一九八〇年代に育ち、高倉健や山口百恵にあこがれ「おしん」や「一休さん」、「鉄腕アトム」を見て日本文化が大好きだったという。
その彼の怒りをかきたてたのは、小泉首相の度重なる靖国参拝や日本人による買春事件だった。「先に手を出したのはあなた(日本)の方でしょう。それなのに、まだ私(中国)に文句を言うなというのですか」というのだ。
この問題は、中国の国家的な反日教育とか、国益に絡む政治や外交の側面よりも、ごく素朴な素人の感性の問題だと、私は確信している。(名古屋本社編集局長・小出 宣昭)
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(3)と(4)をあわせてコメントしたい。
(4)で語られた「素人の目線」で見たとき、「メールやファクスでの自宅学習、出席扱いへ」はどう映るのだろう。
不登校児に対するケアは必要で、そのためにメールやファックスを活用することはたいへん有効である。今後ますます増えていくだろう。ただし、それを学校への出席ととらえるのは感覚的にどうか?
「不登校を減らす」ということに価値観を抱いている人たちにとっては朗報だが、教育者が目指すのはあくまでもよき社会人の育成であり、不登校児には自立してほしいと願っている。その価値観から見て、今回の決定は違和感を感じざるを得ない。そうした輪郭がぼけて、不登校の数値を減らすことだけに目がいくとこうなる。もっと議論が必要だ。
ところで、この(4)の著者・小出編集局長は、このほど後任の方にペンを譲られた。これまで、実に多くの示唆を与えていただいた。たいへん残念であるが、お疲れ様でした、そしてありがとうございましたという言葉を贈りたい。