第105回 社楽の会報告     第104回へ    第106回へ
                                  報告者 布袋中 土 井

 2月4日(木)布袋北学供にて、第105回の社楽の会を開催しました。参加者は、土井、高田先生、高橋先生木本先生岩井先生、勝村先生、奥村先生高木先生前田親利先生(犬山中)、早川先生(布袋小)の10名でした。

☆ 木本先生より全国教頭会の資料、記念講演「生きること 愛すること」作家 大石邦子を紹介していただきました。大石さんは福島県生まれで、21歳の時に乗っていたバス が急ブレーキを踏んだことにより転倒し、半身不随になりました。その後の自殺未遂、両親の苦しみ、すばらしい友達、癌と闘いながら高校受験した少女、ウィーンの少年の話など、実体験に基づく感動的な話の数々に心をうたれました。
大石さんの講演をTXT.のデータにして保存しようと思います。ご希望の方にはEメールで配信しますので、土井まで連絡ください。
・ 小学校の先生を対象にした『先生のためのパソコン読本』(主婦の友社)という冊子に 木本先生の前任校(岩南小)での実践が掲載されるそうです。電子メールで山形県の学校に雪国の暮らしを問い合わせたことが、逆に相手校が自分が住む地域を見つめ直すきっかけになり、その実践が「十分に教育価値のある交流」と評価されています。
・ 学級で実施しているビッグ・ナンバーズ・チャレランを紹介していただきました。算数のパズルゲームによるチャレランで、遊びの中から算数に興味を持たせる、とても有効な方法です。出典の一つとして、『ペンシルパズル本Iナンバーリンク1』(株式会社ニコリ)も紹介していただきました。

☆ 奥村先生より、「落ち着きのない子供達−多動症候群・学習障害への理解と対応」について教えていただきました。世界保健機構(WHO)などは、「落ち着かない」「人の言うことを聞かない」などの行動を示す子供を「多動性障害」としており、その診断基準として、「不注意」「多動性」「衝動性」が6ヶ月以上続き、適応困難をきたすほどのものとしています。その原因は、脳内の生化学的背景に求められており、多動、さらには学習障害といった特徴を理解し、それに応じた対応をとることを求めています。これからは、こうした学習を深める必要性を感じました。
・ 次に、学芸会での特殊学級(7名)の劇「赤めんどりと小麦粒」を見た保護者の感想を紹介していただきました。「確実に成長している○○も見ることができました。思わず涙があふれてしまいました」など、親の思いが伝わってきます。

☆ 土井より、総合的な学習大作戦Uを紹介しました。本校の総合的な学習の時間の持ち方案が固まりつつあります。生き方指導を柱にして全教育活動を組み立て、その中に総合的な学習を組み込みます。2002年までのタイムスケジュールも検討に入っています。
・ 次に修学旅行東京職場訪問途中経過を報告しました。東京の修学旅行では、職場訪問を行っています。現在、生徒がパソコンの電話帳ソフトで相手をさがし、直接相手と電話で交渉しています。電話のかけ方にも慣れ、相手の許可が出たときの喜びの光景は、見ていても微笑ましいものです。班長会で配付した資料を紹介しました。
・ 授業の中で劇をしよう途中経過報告をしました。中学2年生の生徒による劇化を含めた授業が順調に進行しています。これまでに多くの名授業&名演技が登場しました。そのいくつかを紹介しました。タイムスリップをして戦時中へ行ってしまった中学生が、もんぺをはいた自分の祖母に出会い、すいとんや麦ご飯を食べる。中学生が北海道でアイヌの服を着た子と出会い、いろいろ話を聞く。ニュースキャスターが北海道各地の開発についてインタビューを交えて現状報告をする、など方法は多種多彩です。
・ 恒例の県名キーワードカード最新バージョンを紹介しました。授業の初めに、キーワードを上にして並べ、教師が県名を呼びカルタをします。遊びながら、県の特徴、地 理の用語を学習します。高校受験にもとても役に立ちます。
・ 最後に、社楽の会来年度の研究のテーマ案を提案しました。「指導要領で示された総合的な学習の時間のねらいを具現化する実践を行いましょう」というものです。それぞれ学校の事情は違いますが、具体的に事例を出し合いながら、イメージを膨らませていきたいものです。よろしくお願いします。

☆ 高橋先生からは長期研修のまとめ「論理的な思考力を育てる文学教材の学習−「読みの技術」を使って読むことを通して−」を紹介していただきました。文学教材の目的「自分の力で作品を解釈し、読む楽しさを味わうことのできる子を育てる」ためには、作品を論理的に読み解くことが大切で、そのために読みの技術を使って読むことを実践 ・検証したものです。主題設定の理由、研究の目標研究の仮説と手だてがわかりやすく、論理的に説明されています。実例として紹介された4年生「ごんぎつね」の実践では、問題づくりの後、中心人物、あらすじ、対比、色、象徴などの検討を通して、作品のイメージをふくらませて、深く読み込んでいることがわかります。ぜひ、論文をお読みください。
・ 次に、前回に続き、ふるさとの木の葉の駅実践記録 第2時以降を紹介していただきました。
第2時…7つの問題を考えた後、みんなで話し合える問題作りをする
第3時…話者が駅で降りたかどうかを検討する 第4時…話者の一を検討する。
第5時…時間の順番を検討する         第6時…詩の解釈を書く
第7〜10時…作文指導
たった6行(68文字)の詩から児童が、言葉に着目し、言葉からイメージを膨らませていることがわかります。
・ 校誌『ひがし』を紹介していただきました。作文や絵・習字など、6年間で1回、すべての児童の作品が冊子に載るものです。高橋学級の児童は、「お父さんの心 〜一つの花より〜」「ごんの心にのこった色〜ごんぎつねより〜」など、国語の学習作文を中心にまとめています。 

☆ 前田先生、勝村先生に、犬山中学校の平成10・11年度 愛知県教育委員会・丹葉地方教育事務協議会委嘱 特別活動研究中間報告要項を紹介していただきました。研究主題は「『心の知性』を育む特別活動のあり方―新たな視点に立った体験活動の実 践を通して―」です。基本的に「心の知性」とは共生の心、「新たな視点」とは「道 徳や教科と連携させて横断的・総合的に課題に迫る」方法と「開かれた学校づくりを めざして迫る」方法で、この二本の柱で三年間の学校行事を再構築するのが研究の概要です。中教審答申を受けた今日的な課題の追究に重点が置かれ、道徳や教科と関連させて横断的・総合的に迫っている点で、進指導要領への対応も考えられています。 今後、注目を集める研究と言えましょう。具体的な行事の内容については、今後詳細に教えていただく予定です。

岩井先生からは、町長さんの方言の授業(4年生)を報告していただきました。木曽川町の山口町長は、町民ミュージカル創設などアイデアマンで知られています。今度は、学校で方言の授業をされました。地方の時代には方言は見直される。尾張弁の特徴は、抑揚が強く、母音の数が多い。元来、相手に対する敬意を表した表現が多いそうです。資料には、「わが町の民話をわが町のことばで」として『神社に落ちたかみなり』が尾張弁で書かれたもの、「尾張弁の達人になるためのテスト」をいただきま した。尾張弁を見直すこうした授業を高く評価したいと思います。

☆ 高木先生より学級通信「足跡」を2枚紹介していただきました。1枚は、「自分の思い通りにならないことに出会ったとき、きみならどうする?」という質問に対する児童の回答をまとめたものです。「心の中でおこる」「こわれない物をなぐる」などそれぞれの対処が書かれています。2枚目は、友達のいいところを探す「秘密の友達からの手紙」です。相手にばれないようにほめてあげるという、子供の心理をくすぐる実践です。  

      問い合わせは 土井謙次  syaraku@tcp-ip.or.jp