第114回 社楽の会報告    第113回へ   第115回へ
                                  報告者 木曽川東小 土 井

   7月15日(木)布袋北学供にて、第114回の社楽の会を開催しました。参加者の勤務校・社会科担当学年を紹介します。
 土井(木東小)、奥村先生(藤里小・特殊)、高橋先生(木東小・6年)、尾関先生(江北中・1年)、勝村先生(犬山中・2年)、木本先生(布袋小)、水野先生(黒田小)、天野先生(古中・3年)、野口先生(楽田小・5年)、大島先生(犬東中・1年)、高田佳寿先生(大北中)、一般企業にお勤めの川端さんの12名でした。

☆ 土井より、7月3,4日に行われた日本カリキュラム学会名古屋大会について紹介しました。最近の総合学習(総合的学習)ブームは非常に危険な状態である。(中略)緒川小学校のオープン教育の礎を築いた成田先生の言葉「子供の学びをどうとらえるか。と言うことを中核に据えて、教師が変わろうとしなければだめだ」と言う話が出ていました。
  また、総合と教科の関係が問題になっていました。上智大の加藤先生は、教科(知識が目標)と総合(知識が手段)では根本的に違う、と言われていました。一方、鳴門教育大の村川先生は、課題(子供や地域、教師の願い)に合わせて行うべきであり、総合学習を一つのパターンのものとしてとらえるのではなく、いろいろなパターンが ある中で、「総合的な学習の時間」の枠の中に配っていっていいのではないかと提案されていました。
・ 次に、総合的な学習の評価について提案しました。この3年間(特に来年以降)の総合的な学習に関する研究では、評価の中心にポートフォリオ評価をおきたいと考えています。いかがでしょうか。
  関連して論文を紹介しました。小田勝己「総合的な学習の評価方法−ポートフォリオ評価のやり方−」(月刊『指導と評価』3月号より)    
・ 愛知県教育委員会編集の現職教育資料「教育課程 生きる力を育てる教育活動の創造−体験的活動を取り入れた学習の総合化を通して−」を紹介しました。稲沢市立稲沢東小学校の実践が紹介されています。どの学校でも導入しやすい形になっています。
・ 厚生省ホームページhttp://www.mhw.go.jp/)を紹介しました。ご意見募集のコーナーには、「少子化問題」「次期年金制度を考える」などがあり、児童による発信が可能です。「少子化問題」だけで15ページにわたって解説されています。
・ 尾教研社会科・研究推進部会 平成11年度〜13年度の研究主題について次のように提案しました。「豊かな心を培い、生きる力を育む社会科学習の創造 − 総合的な学習の視点からのアプローチ −」

☆ 大島先生から、神戸市立楠中学校の視察報告がありました。「福祉の心をはぐくみ、生き方につながる進路指導のあり方」というテーマで取り組んでいます。自立した個性の確立を図るという意味の「Kアプローチ」を特徴としています。自己理解・自己啓発・自己実現という段階を踏みながら、全体として個性の発揮をめざしているようです。「トライやるウィーク」、「自分史」など、ユニークな実践も紹介していただきました。

☆ 高橋先生から授業記録「少子高齢化社会」って何?を報告していただきました。

 第1時では、学級を2025年の人口比率で高齢者・労働者・その他の人に分けて、労働者の給料がどうなるかを模擬紙幣を使ってシミュレーションしました。労働者の残り少ない生活費から、高齢化社会が見えてきました。さらに、少子化の事実について知りました。現在の出生率が続くと、西暦3500年に日本人は1人になってしまうことを知り、驚いていました。ここで、児童全員の感想を紹介していただきました。
第2時では、少子高齢化社会で予想される問題を検討しました。家庭で話し合ったことも含めて、児童が調べた問題で黒板が埋まりました。教師の補説の後、脳みそ地 図を書きました。その後、各自が夏休み中に調べたい研究テーマを考えました。「エンゼルプラン」「高齢者の生きがい」「介護保険」「子供服産業」など多岐にわたっています。ここでは、必ず相手に取材することを条件としました。夏休み中には、児童が調査をします。

☆ 奥村先生より、あゆみ第5号を紹介していただきました。七夕会のねがいごとの紹介や栽培したジャガイモでカレーライスを作った報告などが載っています。

・ 次に、現職教育実施計画を紹介していただきました。教育課程編成プロジェクト、  総合的な学習の予定が目を引きます。

☆ 水野先生より、黒田小の学校保健委員会について紹介がありました。5,6年児童 が全員参加して行うのがユニークです。保健委員会児童によるダイオキシンについての発表があり、将来的には、総合的な学習へ発展できそうです。


☆ 尾関先生より、一人一研究(環境・福祉)へチャレンジを紹介していただきました。夏休みの一研究のテーマを環境か福祉にしぼり、質の向上をめざそうというものです。
 総合的な学習への試行と言えるでしょう。調査方法が具体的に指導されているのも評価できます。
・ 次に、東急ハンズ様販売製品一覧表を紹介していただきました。パックテスト(亜 硝酸・COD)各3回分で\1,000、同(銅・鉄・亜鉛)各2回分\1,000、おいしい水検査セット5回分\1,500、井戸水検査セット1回分\1,300です。販売元は葛、立理化学研究所 пF03-3721-9207 
・ 次に、世界のテントについてリトルワールド(0568-62-5611)伊藤さんへの取材結果報告がありました。ここではテントの名称のみ紹介します。ベドウィンのテントは「ベイト、ベートゥ」とよびます。以下、北アメリカのインディアンは「ティピ」、
 スウェーデンのラップ族が「コアリハティ」、モンゴルが「ゲル」、中国が「パオ」、中央アジアが「ユルト」です。

☆ 天野先生より、江南市市制45周年記念式典について報告していただきました。江南市は昭和29年6月1日に県下19番めの市として誕生しました。その式典の中で、古知野中学校の生徒によるごみ減量推進プロジェクト10人による冊子「江南市民への提言」を大池市長に手渡しました。昨年の天野先生の授業をもとにしたもので、立派な発信の場となりました。「江南市民への提言」は、その一 市民の力の向上、その二 子ども達に主役を、に分かれています。
さらに、江南市環境課作成ビデオ「今できること」に天野先生が出演されているそうです。

☆ 勝村先生より、中学校部会の基本的な考え方として次の提案がありました。
 @ これからの社会を生きていくために、生きる力を自立と共生の心、問題解決力、行動力ととらえる。
 A 学校行事を核として、横断的・総合的に今日的な課題に迫る。
 B 社会科では、総合的な学習を進める上で必要な知識とその使い方、学び方、情報活用や思考・判断、表現、問題解決などの能力を高める。
実践として、2学年の木曽総合学習、さらにその支えとなった社会科授業(新聞記事切り抜き発表会、テーマ学習討論会)を紹介していただきました。今後、その成果を検証していきたいと思います。

☆ 川端さんから『同和教育基本資料・基礎的知識と学習展開案』(東京書籍)を紹介していただきました。活用していきたいと思います。


      問い合わせは 土井謙次  syaraku@tcp-ip.or.jp