第16回 社楽の会報告    第15回へ   第17回へ
                                  報告者 布袋中 土 井

11月8日(木)7:00〜9:30,布袋北学供にて第16回の社楽の会を開催しました。
参加者は,土井尾関,滝口,高橋,野呂,多和田,高田栗林勝村,川井,大薮,大島(敬称略),そして和田先生の13名です。

 今回は,特集“社会的思考力を育てるには”について話し合いました。
 “社会的思考力”という言葉の規定は,社会科教育用語集(明治図書,教育出版)にはなぜかありません。私は‘思考’について,自分なりに次のように考えています。

思考・外からの刺激によって生じた問題を,それぞれの人が持っている記憶をもとにして,自分から適応していく過程
・疑問や課題を知的な概念の操作によって解釈していく過程

 これでいいかどうかはご意見下さい。
 以下が,社会的思考力を育てる方法について出された意見です。

@ 子供が考え判断する材料を与える。
A 子供が立ち向かう資料を与えることが大切
B 文章を書かせる。
C 関係づけることをさせる。
D 個々に疑問をもたせ,考えさせた後で,実際に見学させたり調べさせたりする
E 感想やわかったことなどの個の考えを拾い,座席表に記録し他に伝えることで考えることの習慣化を図る。
F 発問を工夫する。
     関連「つながりは何か」,比較「比べてみよう」,条件「何が必要か」,因果「なぜ,どうして」,発展「どうなるのか,どうすればよいのか」
G グループの話し合いや発表を重視する。その時に,根拠を考える習慣化を図る
H 導入で何かを見せる。
I 何の資料を集めどう使うのかをはっきりする。
J 資料をどう見るか,資料の見方を鍛える。
K 子どもの次元に下げて概念を与える→わかった後で用語を与える
   例 民事裁判の指導
       けんかの当事者,それぞれの応援,仲裁が必要
L 「風が吹けば桶屋が儲かる」式に考える
   例 稲作→国の成立
       定住→自然利用→共同作業→領域拡大→人口増加→ムラ→政治体制→国
  考えて覚えたことは定着する。しかし,量はこなせないので工夫が必要。

 人が集まると多くの知恵が出るものです。
 話題は,評価に発展していきました。

@ 地理の知識・理解は,「白地図に知っていることを全部書け」でできる。
A 思考は予測的なことを書かせることで評価できる。
 または,レポート用紙にまとめざるをえない問題を出し論文を書かせる。
    例 ピラミッドをつくるのにどういう技術・学問が必要か
B 関心・意欲・態度は,ペーパーテストでは評価できない。
C 子どもに問題づくりをさせるとよい。

☆ 土井から,前回の熊澤先生に対する質問への熊澤氏本人の回答を紹介しました。問題の本質を見抜き,短い言葉で適切に答えていることはさすがです。
・ 続いて,校外学習リストの紹介です。参考にして下さい。

☆ 大薮先生からは,学校訪問の指導案の紹介です。中国の人口問題とそれに関わる経済の問題を学習します。 
 中国・香港・台湾の貿易量は,昨年にはついに日本を抜いたとテレビで報じていました。人権費が安く,市場が競合する点で,中国は日本にとってはEU以上に脅威となるでしょう。この授業では,その中国に対して,いろいろな視点からメスをいれています。

☆ 高田先生は,戦時中の子どもたちの生活を現在の自分と比較させ,現在のルワンダの子どもたちに目を向けさせています。戦時中のかばんや勲章,教科書,体験談のテープといった生の資料は,大きな武器になるのではないかと思います。

☆ 尾関先生からは,中日新聞社が主催する「学校学級新聞コンクール」「小中学生新聞切り抜き作品コンクール」の紹介と,先生の選んだ最近の新聞の切り抜き記事,生徒向けの「新聞切り抜き作品の作り方」の報告がありました。
 大薮先生が「犬山市の将来」について発表した実践についても言えることですが,このようなイベントは,学習の動機づけとしては何よりも大きな力を持つと思います。学校としても,「やらなければいけない」というのではなく,むしろ積極的に「うまく利用してやろう」と発想を変えた方が得策といえるのではないかと思います。

☆ 勝村先生は,11年目研修のレポートの紹介です。テーマは「自ら考え,判断し,主体的に活動する児童の育成を目指して」というもので,学級集団の中で,個の長所と主体性を伸ばすことをねらった実践の紹介です。
 (ア) 学級会活動では,〔係活動…楽しい学級生活を築くための活動〕とし,子どもたちの活動に対する意欲の高揚と持続を図るために,物質的・精神的に教師が支援をする。
 (イ) 日記や学級通信,1分間スピーチ,学級新聞の発行など,学級の雰囲気づくりのために10の手だてをとる。 
 (ウ) 学年や学校行事との関連を図る。
 限られた紙面の中では,勝村先生の豊富な実践はとても書ききれません。これからもいろいろ紹介していただきたいと思います。

☆ 栗林先生からは,門間沼遺跡についてビデオで紹介していただきました。11月23日には現地説明会もあると聞いています。詳しくは,栗林先生にお尋ね下さい。  
 門間通信創刊号には,パレススタイル壷について紹介してあります。東海地方独特の豪華な装飾を持つ赤彩の壷から,古代史の新たな謎「大和と並ぶ一大勢力が東海にあったのでは…」が展開されるかもしれません。今後の先生のお話が楽しみです。
 

      問い合わせは 土井謙次  syaraku@tcp-ip.or.jp