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報告者  土 井

2005年1月27日(木)布袋北学供にて社楽の会を開催しました。参加者(勤務校)を紹介しましす。
土井(大口北部中)、高橋先生(門弟山小)、勝村先生(楽田小)、早川先生(江南北中)、浅井先生(五条川小)、野沢先生(柏森小)、大野先生(岩南小)、坪内先生(大北小)、岩井先生(木曽川中)、池邑さんの10名でした。

 土井より、今回紹介したものの目次です。番号をクリックしてください。

 拙稿紹介
評価実践事例T
 スクールネット事業報告会案内
  文部科学省教科調査官の話  
 世界の教育事情
 第162回国会における小泉内閣総理大臣施政方針演説 
 便利Web特集
 教育関連情報
 
メルマガ紹介

拙稿紹介 
(1)『授業のネタ 教材開発2月号』「知る喜び・考える楽しみ」
もちろん土井オリジナルです。
(2)『社会科教育2月号』(明治図書)「インターネット術は発信&カスタマイズ」
     普段やっていることをまとめました。
 評価実践事例T
 「学習者のための評価」を意識した実践〜2年生『日本の開国』の単元を例として〜
   焼津市立焼津中学校 矢澤和宏先生の実践
すごい実践です。別紙で紹介しました。

 スクールネット事業報告会案内
2月10日に大口北部中学校と大口西小学校の両校を結んで行います。
   http://www.hokubu-j.oguchi.ed.jp/h16/snkoukai/snkoukai.htm 
 
 文部科学省教科調査官の話  
  杉田 洋 文科省教科調査官のお話
1 日 時 平成17年1月20日
2 会 場 大口町立大口南小学校 現職教育全体会
3 要 旨
 今日は、特別活動の評価について話をしたい。
 学力低下問題を受けても、特活を軽く扱うということではない。調査結果からは、すべての国でモラルの高い学校が成績がよい。また、学級の雰囲気のよい学校が成績がよい。学力とのバランス感覚が大切で、特活もその一つになる。
 本日の授業では、「トークトーク」で子どもが育ってきたと感じた。積み重ねが大切で、子どもたちが「人の話は聞くものだ。」としっかり聞いていた。また、自分で判断し、自分の言葉で話していた場面が見られた。普通は、これができない。
 何より、A君がみんなのことを考えることができた。それが特別活動であり、これをめざしている。これまで十分でない子がいるということがわかっていて、今回十分にできた。まさにそれが評価である。
 
 特活のポイントは二つある。
 共生社会の担い手として、人間性をどう育てるか。
 これは、好ましい人間関係を目先の問題として解決するという問題にもなるし、将来的に共に生きていくという社会の中で生活していける人間性をどう育てるかという問題にもなる。
 もう一つが、集団で、自分たちでよりよい集団を作る実践力をどう育てるか、
 今度はこの出し物を完成させる時に実践ができる。そこも考え合わせると、そこでおそらく、十分に満足できないと思われる子が出てくる。しかし、教科と違って、1年生でここまで教えたから3年生でここまでという性質のものとは違う。繰り返し同じことをやる体験の量が必要である。学校として、どれだけ体験させることができたかが問われる。実践力の育成には積み重ねが必要なのである。
 
 評価基準を今日ぐらい細かくするのは望まない。
 今日は計画委員会が提案したが、これは輪番でお願いしたい。やりたくない子にも、1年で1回は回るようにさせていただきたい。
 司会は下手でもいい。話し合いを上手にやるのが特活のねらいではない。誰が司会をやっても、結果的に話し合いができることが大事なのである。そのために、マニュアルを作ってあげるということがあってもいい。集団の力が育っていけば、誰が司会をやっても話し合いが成立する。
 
 指導案の形式は何が一般的か?
 子ども(計画委員会の子)が作ったものを載せるのが一般的である。
 今日の場合は、小さいグループが提案を作った。効率化をめざした方法である。早くわかりやすく、単純にする場合はこれでいい。
 しかし、特活がめざすものは、できるだけ大きな集団で、事前にかっちとしたものを決めないで、話し合いで決めることをめざす。だから、ここは押さえたい。
 小グループで事前に決めたことは、その意見に固執していい。むしろ、固執しない方がおかしい。一生懸命に考えたものを、否定することはない。
 その上で、それを乗り越えて、自分達よりももっといいのがあるかもしれないという判断が大切。
 特別活動で個性を育てるには、自由になんでも言えることを育てたい。しかし、いろいろな価値観の違う子が共に生きていくためには、意見を一つにまとめ上げなくてはいけない。それには、話し合いしかない。
 人間は、集団で何かやっていくためには、力か話し合いしかない。
 あの子の意見も、この子の意見も入れながら、最後は学級として、最終的には国として、折り合って調整をし、集団決定していく。この過程が大事なのである。
 しかし、今日のように効率をめざす話し合いは、いいことが流れていって、多数決をするときれいに決めることが中心になる。
 時には、あそこから、この後一つに絞る時に、議論を進めることで調整力がついてくる。ただ、今日のような問題は難しい。なぜなら、理由付けが難しいから。好みがあるから、こじつけのような理由になる。
 たとえば、フルーツバスケットがいいのか、いすとりゲームがいいのかに理由をつけるのは難しい。「おもしろいから」そういうものである。
 根拠があるからと、おもしろいからというものでは、話し合いの形が変わる。あえていうなら、1年生でもできる安全なものという視点がポイントになる。
 話し合いを勝ち負けにしないことを高学年ではめざして欲しい。
選ぶ話し合いから、練り上げる話し合いに移行して欲しい。こっちよりこっちからではなく、「どうしても的当てをやりたいんだ。でもいろんな問題がある。みんなで知恵を出し合い、より良いものにしよう」こういう話し合いが大事。決めることは簡単に決めて、練り上げることに時間を使いたい。
 
 十分満足できる子は誰ですか?という質問をいただいた。
 1時間だけなので、比較できなでので分からないが、一定の水準があって、この子は満足できる、この子は満足できないとは、特活では考えていない。だから、選びにくい。
 一人ひとりの良さの発揮の仕方が違うので、評価規準はそれぐらい大きなものなのだ。
何回発言したかというものではない。B君は、自分の意見に固執せず、広く考えていた。誰かが説明をして、しきれなかったものを引きついて説明していった。
 ああいうことが、共に生きていく上で重要。普段は分からないが・・・・
 特活は、その子をよく知っている人しか評価できない。担任しかできない。人と人とを比べるものではない。その子によって、良さの発揮が違う。発言の回数でやったら、全く無味乾燥。よく見ていると、人の意見をよく考えながら聴いている子がいる。感想の中に、「もう少し早くから、相手に説得力のある意見を落とさずにいえば良かった」と書いている子がいる。思考判断について学んでいる。十分に満足できる。
 「自分の意見が取り入れられなくて残念だ」というのがあった。一つに絞ることは残酷なやり方で、今はあまりやらない。
 こういう時は、自分たちに足りなかったものを考えたい。だから、「もっとわかりやすく説明すれば良かった」というのは、思考判断ができている。
 特活の評価はこういうもの。 
 評価の研究をするあまり、信頼性、客観性なものをめざすあまり、無味乾燥、非人間的になることを恐れる。
 
 評価規準は、学習指導要領の実現状況。
 特活は、もっと広く大きなもの。低・中・高ぐらいあればよいもの。指導案のねらいに書いてあることは目先のこと。
 評価規準は、2年間ずっと毎回同じでよい。それぐらいでないと子どもは育たない。 
 
 評価の視点とは?
 評価の視点とは、評価基準を、本時の子どもの姿でいうと、こういう視点で見ますよということ。国は必ず評価規準を作るように求めている。細かなことまで書くと、毎回全校に求めることになるがそうではない。
 評価規準は目標の裏返しだ。細かくやるほど、評価のための評価になって、非現実的になる。評価規準=共通理解だ。
 特活はいろいろな内容を含む。一人の指導で身に付くものではない。学校としてどんな子にしたいかという共通理解が必要で、それが評価規準になる。
 ある意味ではわかりにくい。
 数字がもてはやされて、企業のマネジメント理論が入ってきて、効率が追いもとめられると、特活のような大きなものは分かりにくくなることを恐れる。
 教科調査官としての役割は、国の中でそうした発言をし、学校に伝えること。改訂の時に意義を理解してもらって、それに沿った改訂をしてもらうこと。
 
 今日、本時で全員を評価することはできないし、その必要はない。そうするとチェックマンになってしまう。1学期を通して、この子は少し足りないな。これを補充してあげよう。この子は十分満足できるな。ほめてあげよう。それができるのが担任。
 細かい自己評価カルテを作るのも重要だが、振り回されることはない。積み重ねが、成功を実感させるには重要である。時系列で並ぶような評価が重要。部分ではわかりにくい。
 保護者には、長い目で見て分かりやすいものがよい。
 
 以下、資料の説明が続く。ここにもおもしろい話がいろいろあったが省略する。
   
 世界の教育事情  :読み応えがあります。
(1)教育の多様性を実現した国 オランダに学ぶ
 リヒテルズ直子さん来日講演会全記録
   http://www.forum3.com/event/holland/thread001/index.htm 
(2)個人の能力に柔軟対応 PISA好成績のフィンランド
  http://www.asahi.com/edu/news/TKY200412190095.html 

 第162回国会における小泉内閣総理大臣施政方針演説  教育関連部分
(「人間力」の向上と発揮)
 子供は社会の宝、国の宝です。学校や家庭、地域など社会全体で、新しい時代を切り拓く心豊かでたくましい人材を守り育てていかなければなりません。
 教育基本法の改正については、国民的な議論を踏まえ、積極的に取り組んでまいります。
 我が国の学力が低下傾向にあることを深刻に受け止め、学習指導要領全体を見直すなど学力の向上を図ります。
 豊かな心と健やかな体の育成に、健全な食生活は欠かせません。大人も子供も食生活の大切さを認識するよう、「食育」を国民運動として展開してまいります。
 若者の働く意欲と能力を高めるために、産業界や地域社会が一体となって、学校における職業教育の充実を図るとともに、生活訓練や労働体験を積ませる合宿を実施するなど、就労対策を進めます。 大学は、「知の創造と継承の拠点」であります。世界に誇れる研究を重点的に支援するとともに、大学運営に関する第三者評価制度により、質の向上を図ってまいります。世界一流の研究者を集めて、最高水準の教育研究を行う科学技術大学院大学を沖縄県につくるための法人を設立します。
 本年は「世界最先端のIT国家」実現の目標年であります。今や我が国のインターネット利用者は8000万人に達し、政府に対する1万3000件の申請や届出のほぼ全てが家庭や会社のパソコンから行えるようになりました。IT化の加速に応じ、情報セキュリティ対策を強化してまいります。
 日本のアニメは世界各地の子供たちに夢を与えています。映画・アニメなどのコンテンツを活用した事業を振興し、ファッションや食の分野で魅力ある日本ブランドの発信を強化するなど、文化・芸術をいかした豊かな国づくりを進めてまいります。
 「知的財産立国」の実現を目指し、深刻化している海外での模倣品・海賊版問題について、対策を強化します。
 
【参考】2004/01/19 第159回国会における小泉内閣総理大臣施政方針演説
(将来の発展への基盤作り)
 地球環境の保全は小泉内閣の重要な課題であり、科学技術を活用して環境保護と経済発展の両立を図ってまいります。
 京都議定書の早期発効に引き続き努力し、さらに、すべての国が参加する共通ルールの構築を目指します。
 平成16年度中にすべての公用車を低公害車に切り替える目標を掲げたことにより、企業は技術開発を加速しました。新規登録車に占める低公害車の割合は6割を超えています。ディーゼル車について世界最高水準の排出ガス規制を実施し、世界に先駆けた環境対策を進めてまいります。太陽光による発電は世界一です。中長期的な環境・エネルギー政策の下、原子力発電の安全確保に全力を挙げるとともに、燃料電池や太陽光・風力発電などクリーン・エネルギーの普及を促進します。地球温暖化対策推進大綱の評価・見直しを行い、「脱温暖化」に向けた努力が経済の活力となる社会を構築してまいります。
 「科学技術創造立国」の実現に向け、ヒトゲノム解読の成果をいかした革新的ながん治療など、国民の暮らしを良くし、経済活性化につながる研究開発として「みらい創造プロジェクト」を戦略的に推進します。産学官の連携を推進し、地域や民間の活力を引き出しながら、科学技術を振興してまいります。
 「知的財産立国」を目指し、「順番待ち期間ゼロ」の特許審査を実現し、模倣品・海賊版対策を強化します。画期的な裁判所改革として、知的財産高等裁判所を創設します。
 能楽、人形浄瑠璃文楽が人類の優れた無形遺産としてユネスコに認定されるなど、我が国には世界に誇るべき伝統文化があります。世界で高く評価されている映画、アニメ、ゲームソフトなどの著作物を活用したビジネスを振興し、文化・芸術をいかした豊かな国づくりを進めてまいります。
 新しい時代を切り拓く心豊かでたくましい人材を育成し、人間力向上のための教育改革に全力を尽くします。
 初等中等教育の充実による確かな学力の育成を図ります。心身の健康に重要な食生活の大切さを教える「食育」を推進し、子供の体力向上に努めます。地域住民による学校を活用した小中学生の体験活動を支援するとともに、学校の安全確保のための対策を講じ、社会全体で子供を育む環境を整備します。
 本年4月には、国立大学が法人化されます。活力に富み個性豊かな大学づくりを目指します。意欲と能力のある若者が教育を受けられるよう、奨学金事業を更に拡充してまいります。
 教育基本法の改正については、国民的な議論を踏まえ、精力的に取り組んでまいります。
 非行問題等困難を抱える青少年を支援するとともに、青少年の社会的自立を促す対策を推進します。
 政府の活動の記録や歴史の事実を後世に伝えるため、公文書館における適切な保存や利用のための体制整備を図ります。
 海底の天然資源開発に我が国の権利が及ぶ大陸棚を画定するため、大陸棚調査を進めます。
 土地の境界や権利関係を示す地籍の調査を集中的に推進します。
 
 便利Web特集
(1)「あいらぶしょうがっこう−市民(CITIZEN)になるための「書く」「話す」「聞く」「現代社会を考える」実践Web−」http://www.abetaka.jp/index.html ←おすすめ
 「教育書紹介」などおすすめ。「提案する社会科」もある。

(2)Adobe
Adobe Reader7.0は、さまざまなプラットフォームやデバイスでPDFファイルを表示、印刷、共有するための無償のソフトウェア。 前のバージョンに比べて起動時間が大幅に短縮され、リアルタイムのズーム操作とパン操作も可能になった。

(3)歴代摂政・関白一覧
聖徳太子から昭和天皇までの一覧。時々知っている名前を見つけるとうれしくなります。

(4) 平成16年度 教育情報共有化促進モデル事業成果発表会
 出場グループのHPをチェック!
 教育情報の共有と実践ひろば  http://www.ak.cradle.titech.ac.jp/e-teacher/ 
   発表は1月22日 国際交流会議場メディアホールで終了しています。参加できなかったので

(5)文部科学省の「確かな学力」 <制作>宇喜田小学校情報部
よく集めてあります。

(6)花粉情報、1週間先までの都道府県別の花粉飛散量予報等
 昨夏の猛暑の影響で、今春は全国各地で花粉の大量飛散が予想され、特に山陰では昨年比で 50倍を超えるところも。Webで、1週間先までの都道府県別の花粉飛散量予報や花粉症対策情報等を提供。また、動画により花粉飛散開始日の予想(花粉前線)や花粉の飛散状況等を分かりやすく解説。

(7)目で見る地球環境
 授業で活用しました。温暖化など、わかりやすく作られています。

(8)指文字フォント
 http://www.deaf.or.jp/font/
 
8 教育関連情報
(1)「ゆとり」転換、主要教科の授業時間拡大…中山文科相
中山文部科学相は18日、子どもたちの学力低下問題について、「国語、数学などの主要教科の授業時間をいかに確保するかが課題だ」と述べ、授業時間を拡大したい意向を明らかにした。
 そのうえで、体験重視の「総合的な学習の時間」を削減し、主要教科の授業に振り替えることも含めた見直しの必要性に言及した。文科相の地元・宮崎県で、記者団の質問に答えた。
 「総合的な学習の時間」は2002年度に導入した新学習指導要領の目玉で、これを削減することは、文科省が推進してきた「ゆとり路線」から「学力重視」への大きな転換となる。
  http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050118-00000014-yom-soci 
義務教育の改革案
<中山文部科学大臣の考え>
 中山文部科学大臣は、「頑張る子どもを応援する教育」を目標として、教育基本法の改正とともに、次の4つの義務教育の改革案を示している。
 1.学力向上  2.教員の質の向上   3.現場主義  4.義務教育費国庫負担制度の改革
 これらの改革案を、「甦れ、日本!(PDF:164KB)」の名前で経済財政諮問会議に提出している。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/siryo/004/04120701/001/001.pdf 
☆★☆ 土井のコメント ☆★☆
 第219回の社楽で、中山文部大臣には注意する必要があると言った。典型的なエリートで、大蔵省、経済産業副大臣など、企業側の論理に立つ人だ。その時にも「この大臣は総合をなくすかも」と予想したが、やはりそうだった。
 中山成彬文部科学相は18日、初の「スクールミーティング」のため訪れた宮崎県小林市で保護者の質問に答える形で先の発言を行った。自分の母校でもあり、つい本音が出たのであろう。ただ、文科省内からは「ついに言ったか・・・」と言う声も聞こえてくる。
 文科大臣が替わるたびに教育の軸がころころ変わっては現場はたまらない。現場としては、迷うことなく総合的な学習を実施し、成果を出すこと、これにつきる。
 ただ、総合がすぐになくなることはないだろうが、「学力低下」は首相の所信表明演説にも出ており、なんらかのアクションがとられることはまちがいないだろう。
 
(2)津市の一身田中校長公募笠原さんに決定(三重)
 津市教委は十二日、同市立一身田中学校の校長公募で、元ベンチャー育成投資会社部長の笠原哲(さとし)さん(55)(横浜市港北区)を校長候補者として発表した。四月に同中校長に就任の予定。
   http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news2/20050113wm06.htm 
☆★☆ 土井のコメント ☆★☆
 明確なビジョンを持って行うのならともかく、選挙のために目立つことをやりたいなどと間違っても思わないでほしい。
 はっきりしてるのは、学校のしくみがわかっていない校長が来ると、これまでの校長の役割を教頭が担うことになる。そして教務主任が教頭の役割をこなし、他の職員にもしわ寄せが行く。高校や大学のような大きな組織は別として、小中学校では、民間出身の校長は、事情がわかったよほどの逸材なら別として、きわめて難しいことをふまえる必要がある。
 
(3)死んだ人が生き返る、中2で18.5%(長崎県)
 長崎県教育委員は、昨年佐世保市小6女児殺傷事件を受けて、小中学校1000人を対象に児童生徒の「生と死」のイメージに関する意識調査について実施、このほど結果を発表した。結果によると、「死んだ人が生き返るか」の問いでは全体で15.4%が、中学2年生で18.5%が「生き生き返る」と答えている。
参照:児童生徒の「生と死」のイメージに関する意識調査について【長崎県】
http://www.pref.nagasaki.jp/cgi-local/koho_cgi/kensei_news.cgi?mode=detail_disp&yymmdd=20050124&year=2005&month=01&day=24&dno=09&pno=01&key=&pageno=  
☆★☆ 土井のコメント ☆★☆
 衝撃を覚えて読んでみた。どうやら、生物学的にそう考えるのではなく、オカルト的に考えての意見のような気がする。このようなアンケートは、マスコミが興味本位で取り上げて、数字が一人歩きをするのが怖い。
 
(4)これからの教育の方向性に関する提言
 日本経済団体連合会は1月18日、これからの教育の方向性に関する提言を行った。提言では、教育力低下について危機感を示し、今後の方向性として、教育機関間の競争促進 、受け手のニーズに対応した教育予算、国際化時代にふさわしい教育内容のあり方、組織的な学校運営の確立など示している。
これからの教育の方向性に関する提言【日本経団連】
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2005/003/index.html 
☆★☆ 土井のコメント ☆★☆
 この提言を読むと、経済界は国民全体のレベルアップというより、一部エリートを育てたいという感がしないでもない。勝ち組と負け組を作って、果たして日本がよくなるか?
 しかし、気になる数点を除けば、賛同できることも多い。ぜひ読んでいただきたい。
 
 メルマガ紹介
(1)小泉内閣メールマガジン 第171号 ========================== 2005/01/13
● 主婦が思いがけず会社を設立
  (アトリエ沙羅有限会社代表取締役 粕谷尚子)
 会社を作ろうなんて夢にも思っていませんでした。働いた経験も少ない主婦の私にできる筈がないと思っていました。
 洋裁は子供の頃から大好きでしたが、結婚してからは子育てが中心で本格的に仕事として取り組むようになったのは、50歳になってからでした。
 ジュン・アシダのアシダ・ブライドで7年間ウェディングドレスの制作に携わりましたが、退職してから既に6年がたっていました。
 起業を思い立ったのは、一昨年、姪の結婚式のためにウェディングドレスを縫ったことからでした。
 通りすがりの方が「こんな素敵なドレスを見たのは生まれて初めて!」といわれて感激の涙を流されたのです。それを見て私自身が感動し、私にも人が感動するような仕事ができるんだとそのとき初めて気が付いたのです。
 仕事を通して喜びや感動を分かち合える。そのような事が私にもできるのなら是非、会社としてスタートしたいとの思いが強くなってきました。
 その頃始めたインターネットで資本金が1円でも起業できるということを知り、真剣に起業を考えるようになりました。メールマガジンやセミナーでビジネスの勉強をしている間にケンタッキーフライドチキンをつくったカーネルサンダースも64歳で初めてもらった年金を資金にして起業したことを知り、大きな勇気をもらいました。
 ネットで手続きも全てしてもらえることを知り思い切ってスタートしました。はじめの一歩を踏み出すときは、勇気が要りましたがその後は、信じられないくらい順調に手続きが済み心配したことを後悔するほどでした。
 資本金は10万円でスタートしましたが、半年後に100万円に増資をし、現在1年半が経ちましたが、資本金を300万円にすることができました。
 昨年はパリコレクションにも参加することができ、パリの一流デザイナーにも評価していただき、小泉総理の所信表明演説で紹介していただくという、信じられないような状況になりました。
 起業のハードルを低くして誰にでも起業できるチャンスを与えていただきましたことを感謝しております。ありがとうございました。
※ 経済財政諮問会議ホームページ(構造改革の進捗状況・起業)
http://www.keizai-shimon.go.jp/explain/progress/establish/index.html 
※ 執筆者の紹介
http://www.kantei.go.jp/jp/m-magazine/backnumber/2005/kasuya.html 
☆★☆ 土井のコメント ☆★☆
 「会社をつくることは、特別なことではない。誰にでもそのチャンスはある。」ということを子どもたちが知っているのはよいことだと思う。社会との距離が、また一歩近くなる。こうした実例は教材にもなりうる。
 
(3) Vol.151     教育情報 Magazine/ある小学校教師の独り言
 [1]日本教育新聞社主催 “教育セミナー中国2005”参加記録
 1月22日(土),見出しのセミナーに参加しました。一昨年の東広島についで2回目の参加です。印象に残ったことを羅列します。参考になれば幸いです。
■ まずは,文科省の大臣官房審議官のお話です。
 ・ PISAやTIMSSの結果の報告がありました。結果をかなり重く受け止めているようです。学習習慣をつける施策を検討していきたいとのこと。
   新指導要領改訂についてはすでに検討に入っている,今回は検証を元に(先日,大臣が全国各地でヒヤリングを行うことが報道され,そのさきがけとして宮崎?で行われました。そこで総合的な学習を見直すといった爆弾発言をしました),慎重に見直すとか。
   しかし,現在の枠組みを維持し,知育偏重に戻ることはないとのこと。
 ・ 学校と家庭,地域の連携をいっそう訴えていく。学校評議員制度に続き,学校運営協議会制度(コミュニティスクール)の拡大。
 ・ 小中高の児童生徒一人あたりにかかる年間教育費(税金)は小90万,中100万,高120万円。あなたの学級が30人であれば,あなたの学級だけで年間3,000万円近い税金が使われている。この事実をどう受け止めるか?
■ 加藤明氏(京都ノートルダム女子大教授)
 ・ 確かな学力とは,指導要録の4観点と総合的な学習のねらいを合わせたもの。言い換えれば「新しい学力観」でめざしてきたものと「総合的な学習」でめざすもの。
   これを並列的に見るのではなく,どう構造化してとらえ,有機的に関連づけて位置づけるか。
 ・ 評価にこだわることの大切さ
   授業は結果がすべて。いくらプロセスがよくても結果がよくなければその授業は成立せず。指導法にこだわることはよいが,目新しさのみを求めて,目標達成が後回し。結果に責任を持つ教育を行うために評価を活用する。指導の成果はあがっているか(出口にこだわる),その成果で十分なのか(入り口を見直す),成果を学習者に返したか(評価結果を子どもに返したか)の3点にこだわる。
 ・ 子どもたちは教師が期待するほどわかっていない。だからこそ指導の成果を確かめながら日々学習を展開する。
 ・ 成果を知識・理解・表現・処理の観点から判断するだけでは不十分。わかる,できる,覚えるといった成果を実現しながら,一人ひとりのものの見方・考え方・感じ方をどう伸ばし,豊かにするか,さらにそれらの成果の統合したものとしてどのように関心・意欲・態度を高めていくかまでの成果を実現させる。
 ・ 目標と指導と評価の一体化
   指導と評価の一体化だけでは不十分である。これは過去に掲載した私の勤務校で取り組んでいる「目標分析」の概念と同じです。
 ・ 評価を返す
   個人内評価の導入を。一人ひとりに「間違いが少なくなったよ」「以前と比べてここが伸びているよ」「ここがこれからのがんばりどころだよ」と,一人ひとりの向上や足あとをたどり,その成果を取りあげて個に返す。
■ 山極隆氏(玉川大教授)
  他の講師陣がある学校の総合的な学習の実践を絶賛したところ,「この学校の生徒たちの学力習得状況はどうなっているのか聞きたい。未習得の生徒がいるのにそんなことをやっている暇はないはず」などと,いつもの毒舌。
 ・ 教育は時勢の流れによって規定される。経済の破綻や国際競争力の低下が現在の「確かな学力重点主義」を呼んでいる。  
 ・ ゆとりとは,反復練習することができるゆとり,再チャレンジすることができるゆとり,深く考えることができるゆとりであること。
 ・ 小学校の場合,総合的な学習は教師主導で教科発展型(教科発総合的な学習行き)
 ・ 成果は事実に基づく証拠で語るべき。例えばNRTやCRTの数値結果で。
 ・ 基礎基本が身についていないのに総合的な学習をやる余裕はないはず。発展的な学
  習も総合的な学習の時間を積極的に活用。特に文章読解力や文章表現力,算数と関連
  した応用力,理科と関連した探究能力の育成。
 ・ 教員の資質や能力に応じた習熟度別学習を。能力の高い教師は発展的学習の内容を全員に習得させるべく習熟度別学習に取り組むべし。そうでない教師は最低基準の完全習得をめざす。
 
 (2)門脇厚司氏の講演を紹介します 
  「社会力」をはぐくむ総合的な学習を
 平成17年1月7日  演題:「社会力」をはぐくむ総合的な学習を
                         講師:門脇厚司先生(筑波学院大学学長)
○ 子どもたちの成長の仕方‥‥きわめて好ましくない
             ‥‥なぜこのような育ち方しかできないのか
○ 「社会力」をはぐくむ総合的な学習を
 ・「社会力」‥‥人が人とつながり,もっといい社会をつくろうとする意欲・態度
        「よりましな社会をつくろう」
         もっとよくするにはどうすればよいか‥‥考える力(構想力)
         できるじゃないか‥‥実行力
 ・脳科学‥‥どれだけ優れた力を発揮できるか(脳科学の面から分析)
       社会力を高める→脳の機能を高める→学力はつくはず
 ・知的能力を高めることからの転換
    英語が話せる,数学ができる→社会的な能力を高める→人間の価値を高める
    このことが「社会力」を高める‥‥教育の目的に
 ・社会力の大もと‥‥自分以外への関心や愛着を持つこと,社会と関わること,そして実行すること。
         ‥‥他者を取り込むこと,その人のことをすっぽり自分の中に取り込むこと。
○ 「非社会化」の進行
 ・「社会化」‥‥次の社会を担う資質をつけること
         さまざまな人といい関係を持ち,毎日をスムーズに生活し,しかも楽しい。  
        →高度な能力を身につけている証拠
        現状:スムーズでない,楽しくない,人間関係がつくれない
           他者に関心を持たない,人と関わりたくない
 ・こんな子に‥‥私も社会の一員である,私も役立っているという自覚を持てる子
○ こんな総合的な学習を
 ・生きる力の中核は「社会力」‥‥他者に共感し,他者と関わる
 ・舞鶴市中筋小の例‥‥市総合計画に盛り込まれている町の課題に取り組む
            住みやすい町にするために,市民の協力を得ながら
☆★☆ 土井のコメント ☆★☆
 まずもって、島原先生の積極的な行動に敬意を表したい。身銭を切って、全国各地に出かけるそのバイタイリティーを、ぜひ若い先生方は見習ってほしいものだ。
 そして、その目の確かさにも注目してほしい。
 
(3)ワールド・ニューズ・メール The World News Mail@2005.1.21 No.543 
[2]特集…インド洋大津波で「国境なき医師団」の苦言
●マスコミの過剰報道を批判
 民間医療人道支援組織「国境なき医師団」(MSF)は今月六日、スマトラ島沖地震・津波の被災国への寄付金集めを中止する決定を下した。連日、世界中のメディアで被災国の惨状が報道され、先進国が競って支援金額を増額させている矢先の決定だっただけに、大きな衝撃を与えた。「国境なき医師団」は被災国の現状とマスコミ報道のズレを指摘、良心ある民間人の人道支援活動がミスリード
されていると批判している。(パリ・安倍雅信)
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●寄付の募金を中止
 年明け早々の6日、スマトラ島沖地震・津波の被災国への寄付金集めを中止すると発表したMSFは、その理由として、「これ以上の寄付を被災国は必要としていない」「過剰な寄付受け取りは、寄付者への誠実さを欠く」と説明した。ノーベル平和賞を受賞し、長年の支援経験を持つMSFの決定は、大きな衝撃を与えた。
 1971年にフランスの数人の医師によって設立されたMSFは、発足の翌年には、ニカラグア地震の救援活動で早くも実績を上げ、その後、ホンジュラス、レバノン、リビアなど、紛争地域や自然災害被災地で活動を展開し、今日に至るまで、派遣医師の犠牲者を出しながらも、多くの実績を残し、その功績からノーベル平和賞を受賞した。
 MSFの活動は医療支援にとどまらず、下水道施設の設置など、広範なインフラ整備活動も行っている。日本を含め、世界中に支部を持つMSFは、その豊富な経験から、被災国への派遣のスピードの速さは世界一と言われ、今回のスマトラ島沖地震でも、48時間後には被災国での救援活動を展開していた。
 今月15日に仏国営テレビ・フランス3に出演したロニー・ブロウマン元会長は、スマトラ島沖地震・津波報道について「実際の現状から懸け離れた報道で誤解を招いている」と公共放送の在り方を批判し、波紋を投げ掛けた。30年以上、人道活動の最前線に携わってきたMSF側の批判は、重く受け止められている。
 ブロウマン元会長は、インタビューの中で「実際に現地で救援活動を開始して分かったことは、医療支援を必要とする重病患者や重症者は、予想よりもはるかに少なく、上下水道の整備などのインフラ整備でも、指摘されているような莫大(ばくだい)な費用は必要としていない」と語り、国連などが試算する百億ドル規模の復興資金の必要性について、「理解できない」と語った。
 
●バカンスの欧州人犠牲で強い関心
 フランスでは、同被害支援に対して、MSFや国連児童基金(ユニセフ)、仏赤十字などの人道支援団体に対して、すでに1億2400万5000ドル以上の寄付金が集められていることが公表されており、「必要以上の寄付金を集めることは、寄付者の信頼を裏切ることになる」とブロウマン氏は寄付受け取りを中止した理由を説明した。
 同時に、「これほど多額な寄付金が集まった背景には、公共放送メディアが、極端な過大報道を行ったことが挙げられる」と指摘、「大げさな報道が、事実を誤認させている」と語った。また、スマトラ島沖地震の過剰報道で「もっと支援の必要な、アフリカのエイズ問題などの影が薄くなった」と批判した。
 実際、今回のスマトラ島沖地震の世界的な救援の輪の広がりは、過去のいかなる自然災害の被災例を上回る規模に達している。
 死者数が16万人を超える数字は確かに大きいが、過去には1971年に起きたバングラデシュのサイクロンによる死者は30万人を記録しているし、同国では、その後もたびたび、多数の死傷者を出す洪水などに見舞われ、昨年雨期のインド、バングラデシュの洪水でも1800人を超える死者を出している。
 今回のスマトラ島沖地震の場合は、被災国が数カ国に及んだことや、時期がクリスマス期で、西洋諸国では1年で最も人道活動が盛んに行われる時期だったことも支援額の増大につながったとされる。また、被災国が特に豊かな欧州やオセアニアの国々の人々のバカンス先として知られ、直接的な死傷者を出したことも強力なインパクトを与えた。
 そのためもあってか、各国は支援額を次々と増額させ、あたかも国際貢献の競争状態に入り、過去最大の支援金が集められたほか、日米欧など19の債権国でつくるパリクラブ(主要債権国会議)も、被災国の公的債務の支払いを当面猶予することで合意した。
 さらにNGO(非政府組織)の人道支援も活発化し、莫大な寄付金と救援物資が送られているほか、ボランティア活動家などが被災国で活動を展開している。(以下略)
☆★☆ 土井のコメント ☆★☆
 寄付が必ずしも歓迎されないとは、思いもよらなかった。しかも、その声明を出したのは、ノーベル賞をも受賞した「国境なき医師団」(MSF)だから説得力がある。
 ただ、せっかくの寄付である。国際機関で基金をつくり、もし余剰が出るようなら、今後類似した災害の時に使用していただきたい。国際社会がまとまろうとしていることは大切にしたい。
 
※ 書籍紹介
 『生きるための知識と技能−OECD生徒の学習到達度調査(PISA)−2003年調査国際結果報告書』 国立教育政策研究所編 ぎょうせい   \3,800(本体)

      問い合わせは 土井謙次  syaraku@tcp-ip.or.jp