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報告者  土 井

2005年1月13日(木)布袋北学供にて社楽の会を開催しました。参加者(勤務校)を紹介しましす。
土井(大口北部中)、高橋先生(門弟山小)、勝村先生(楽田小)、早川先生(江南北中)、天野先生(大西小)、織田先生(扶桑中)、浅井先生(五条川小)、野沢先生(柏森小)、大野先生(岩南小)、坪内先生(大北小)、高木先生(犬山中)、岩井先生、馬場先生(木曽川中)、栗林先生(羽黒小)、奥村先生(岩南小)、池邑さんの16名でした。

 土井より、今回紹介したものの目次です。番号をクリックしてください。

 平成16年度児童生徒の学習状況を適切に評価するための指導者の養成を目的とした研修参加報告
ZIP−FM 〜AFTERNOON MUSE〜 出演報告
 社会科の初志をつらぬく会 第43回東海社会科研究合宿集会 参加報告
 元日の新聞読み比べ 社会科教師に役立つ今年のナンバー1は?
 国名キーワードカード・略語カード 改訂版
 開発教育
 初夢:きょう「千葉国」誕生
 便利Web特集
 教育関連情報
10 メルマガ紹介

平成16年度児童生徒の学習状況を適切に評価するための指導者の養成を目的とした研修参加報告
 掛川市にある静岡県総合教育センターで、平成16年12月13日(月)〜14日(火)に行われた講習会に参加してきた時の報告です。まだまとめ切れていませんので断片的ですが、いくつかは参考になると思いますのでお読みください。
http://www.tcp-ip.or.jp/~syaraku/hyokakosyu.htm 

 ZIP−FM 〜AFTERNOON MUSE〜 出演報告
   突然出演依頼がきて、1月3日にラジオに出演しました、といっても電話ですが。その時の様 子を紙上でおおまかに再現して報告します。
 −−−−−−−−−−−−−−−−− 以下再現 −−−−−−−−−−−−−−−−−
 『1月3日(月)ZIP-FM〜AFTERNOON MUSE〜』<LOVE OUR PLANET TIPS>    
 岡本祐佳がお送りしているZIP-FM AFTERNOON MUSE。毎週月曜日のこの時間は、「LOVE OUR PLANET TIPS」。ZIP-FMでは、ZIPPIEと共に、エコロジー・ライフを考えるきっかけ作りを進めていこうと、「LOVE OUR PLANET」キャンペーンを展開しています。
 このコーナーでは、環境に取り組んでいる団体・企業・学校、さらに、環境に力を入れている有名人の方などと、電話をつないで、紹介していきます。今回は、『社楽の会』の代表、土井謙次さんと電話をつないでみましょう。
 土井さ〜ん!
〜ここから電話〜
岡本:あけましておめでとうございます。
土井:おめでとうございます。よろしくお願いします。
岡本:早速ですが、『社楽の会』について教えてもらえますか?
土井:『社楽』は社会科の社、楽しいの楽と書くのですが、愛知県尾張北部の小中学校の社会科教師が作っているサークルです。『社楽』の名前のとおり、社会科の授業を教師自らが楽しむ会であり、子供たちにとって楽しい社会科の授業を目指す会でもあります。日々変化する社会を教える社会科の教師は、ある意味情報が命です。楽しい授業をつくるために、互いに集めた情報を交換する目的で11年前に始めました。
岡本:生徒さんが授業を楽しむことも大切ですが、先生も授業を楽しむということも大切ですよね。
   具体的には、どのような活動をされているのですか?
土井:毎月2回集まり、互いの授業実践を紹介しあっています。
   また、毎年テーマを決めて、数人の代表者による授業研究、ゲストを招いて話を聞くなど、さまざまなことに取り組んでいます。テーマは、環境教育はもちろんのこと、平和教育、情報教育など、その時々に必要と感じるものに取り組んでいます。
岡本:積極的にさまざまなことに取り組んでいるんですね。環境問題については、どのような取り組みをされていますか?
土井:私たちの身の回りの環境を見つめ直し、そこから問題点を見つけ、自分たちで出来る解決策を考え、実行に移すという授業を実践してきました。また、これまでに、琵琶湖の水質改善の授業、
  地元五条川の継続的な水質調査などを行ってきました。木曽川町の野府川の授業では、生徒たちは川をきれいにする呼びかけの看板を作ったり、大型スーパーでチラシや手作りたわしを配りました。
岡本:なるほど〜。生徒さんも一緒に参加しているんですね。参加している生徒さんたちは、始めた当初から今までで、環境問題についての意識の変化などはありましたか?
土井:現在の小中学校では、「国際理解、情報、環境、福祉、健康などの総合的な課題」を学習しているので、全国各地の学校で、これらの体験学習が進められてきました。中でも、環境問題は比較的に取り組みやすいために、最も多く取り上げられているテーマだと思います。総合的な学習が始まってから、多くの生徒たちがさまざまな体験学習を行っているので、始めた当初よりも、環境問題に対する意識はかなり高くなっています。例えば、基本的な、川を汚さないとか、アルミ缶やペットボトルはリサイクルしなければという意識は大人以上だと思いますよ。
岡本:やはり小さな頃から川を汚さないとか、リサイクルをするということを、自然と身に着けていくのは大切なことですよね。やることが当たり前になりますものね。では、もっと『社楽の会』について知りたい方に、お問い合わせ先を教えて下さい。(もう少し深いことを言った気がする・・・)
土井:『社楽の会』のH.Pはすぐに検索することができますので、そこへメールをして頂ければありがたいです。それから、それぞれの学校の生徒たちは、一般の方に環境問題についてのアンケートを、お願いしたり、まとめた提言について意見を求めたりすることがよくありますので、そのような場面に出会ったときには、ぜひご協力をお願いします。
岡本:わかりました。これからも授業を通してさまざまな活動を行っていって下さいね!
   今日は『社楽の会』の代表、土井さんにお話を伺いました。どうもありがとうございました!
土井:ありがとうございました。
〜ここで電話出演終り〜

 社会科の初志をつらぬく会 第43回東海社会科研究合宿集会 参加報告
東海の初志の会は初めての参加です。会の内容は、川合英彦先生がまとめられていますので、そこに譲ります。http://www.geocities.jp/hnk333/kaho17-1syu.html 
ここでは、そこでふれられなかった渥美先生の講演内容を含めた私の感想をまとめます。 
《土井の感想》
 これまではいろいろな研究会に参加しているが、その中でも初志の会は好きな会の一つである。あくまでも子どもが主役で、子どもの気持ちにより添って、始めに子どもありきで授業を組み立てるという考え方は、教育者としてあるべき姿だと思っている。
 今回特に参加してみたいと強く思ったのは、現在の社会科に危機感を抱いているからである。総合的な学習の時間が入り、これまで丹葉社会科が大切にしてきた教室外の活動を総合に取られ、座学の分だけが残ってしまった。文科省は、それでも社会科で「資料を選択し活用する学習活動を重視するとともに作業的,体験的な学習の充実を図るようにする。」(学習指導要領)と言っているが、現実には物理的に難しいことは現場の誰もが感じている。
 そこで、社会科発足当時の、さらに言えば、社会科解体論を乗り切った当時の話を、もう一度上田薫先生の言葉で聞き、社会科のあるべき姿をとらえなおしたいと思ったのが本当の動機である。
 あいにく、上田先生は体調を崩され、話を聞くことができなかったが、渥美先生のお話や、参加者の真摯な態度が、上田先生の思いを具現化しているように感じた。その点で、自分にとって心が洗われた、十分有意義な会であった。
 ただ、ここでは敢えて、初志の会のために、別の視点でとらえ直してみたい。
 
 初志の会は、私が生まれた前日に熱川で誕生した。私の人生と同じ長さの伝統がある。その研究の手法の意図はおおよそ理解しているつもりである。中でも、授業記録をおこして、そこから分析する手法は高い価値があると思っている。
 ただ、2〜3年前、全国の研究指定校で授業を100以上見て回って思ったことだが、やはり授業は(当然ながら)生が一番。子どもの目、口元、指先。声に出さなくても、気持ちは伝わってくる。子ども同士のやり取り、教師の目配りなど、テレビのドラマ以上に面白い。
 今回、中学校の分科会に参加して思ったことは、文字情報の限界だ。これがせめて動画なら、教室で生徒が向かい合っているという配置、しかし、気持ちは一人ひとりが教師に向かっていたと言うことはすぐに読み取れる。文字情報と動画を併用すれば、もっと深い議論ができたのではないかと思う。
 人間は、視覚から7割以上の情報を得ているという。また、文字情報はテープ起こしをする教師によってフィルタリングされている。今後ますます増えていくだろう、ペア学習やグループ学習の話し合いの様子は拾えない。個々のつぶやきも拾えない。そして、何より、過大な労力がかかる。初志の会の初期は動画を保存する技術がなかったため仕方がないが、今は簡単に撮れ、それがメールで送れる時代である。これまでの手法を大切にしながら、新しい手法も取りいれてみてはと思う。
 
 前回、大阪で初志の会に参加した時は、一人の発言に2時間費やして話し合った。それは決して悪いことではないが、私には前に進まない議論に思えた。実際、同じ言葉が何度も繰り返されていた。その子の生育歴や家庭生活に入るのもあってよいことだが、主題がそちらへ移ってしまった。そうした児童理解なら、心理学の手法を用いたもっと優れた別の方法がある。
 社会科授業の検討として大切なのは、いかにして社会認識を通して公民的資質を身につけるか、平和と民主主義を大切にし人間の真の幸せを希求する人を育成するかという方向性をもっていなければならないということである。それを見失うと、社会科ではなくなり、社会科の初志はつらぬけなくなることになるだろう。あの場に上田先生がいたのなら、きっとそう言われたのではなかったか。
 今回参加してきた人たちは、今の例と異なり、社会科の目標を理解している人たちばかりであると思う。座談会での事例も優れたものであった。そのような中で、共に同じ空気を吸うことができたことは刺激になった。何より、早川先生はもちろん、酒井先生や川合先生、足立先生、あかりの会などの力量の高い、前向きな先生方と話ができたことはとても楽しい時間であった。ぜひとも、来年の三重県でも参加したいと思うと同時に、もっと自分の力量を高めなければと感じた2日間であった。
 参考 社会科の初志をつらぬく会HP http://homepage2.nifty.com/shoshi/index.htm 

      
 元日の新聞読み比べ 社会科教師に役立つ今年のナンバー1は?
 毎年、元日には各社(朝日、讀賣、毎日、中日、日経、産経)の新聞を読み比べています。分厚くても値段はいつもと同じ。たいへんお値打ちです。土井の考える今年のbPは、「日本経済新聞」でした。3パージにわたる「少子問題」もさることながら、「2005年先読み10大ニュース」と、それぞれ1ページを費やした解説がとてもわかりやすかったのが選考理由です。ちなみに、その10大ニュースとは、
1 郵政民営化法案を国会審議、 
2 京都議定書発効  
3 ペイオフ全面解禁 
4 ブッシュ政権2年目  
5 在日米軍再編の戦略合意  
6 中国、日本最大の貿易相手国に  
7 減損会計の強制適用  
8 プロ野球新体制  
9 固定電話値下げ
 10 合併特例法期限切れ  でした。ちなみに、2位は毎日新聞でした。

   
 国名キーワードカード・略語カード 改訂版  http://www.tcp-ip.or.jp/~syaraku/16kokumei.pdf 
   日本国勢図会、世界国勢図会2004/05年 で修正した最新版です。
  さっそく中学校3年生でカルタで遊びました。ルールは2人1組、キーワードを上にして並べ、お手つきのルールと罰ゲームを相談させます。盛り上がるためには、この過程が大切です。
  その後教師が国名を言い、しばらくしてからヒントを言っていきます。次の問題に入ったら、そのカードは無効となることを事前に知らせておきます。残り3〜4枚になったら、「一発逆転、次のを取った人には残りすべてあげます」と言います。始めると、3年生でも夢中です。その後、放課に教室をのぞいたら、あちこちでやっていました。

 開発教育
  主権者意識を育成するための、別のアプローチをさぐっていたら、「開発教育」に出会いました。参加型であり、これまでの社楽の授業の流れに似ています。ぜひチェックしてみてください。
   《参考》 開発教育協会HP http://www.dear.or.jp/ 
  たまたま、メルマガに次のような記事があったので引用します。
 −−−−−−−−−−−−−−−以下引用−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
   《出典》日刊『中・高校教師用ニュースマガジン』(中高MM)第1178号
                        2004年12月21日:火曜日発行
■「参加型学習の可能性」(5)     鈴木 隆弘(東京都) t_suzuki@nifty.com
◆始めに◆
 東京のとある駅前に花壇が設置された。もう10年近く前のことだろうか。設置したのは、近くにある学校の生徒たち。町の美化への取り組みだという。それはすばらしいことである。しかし、その花壇が設置された場所は、野宿労働者(ホームレス)の人々が寝起きしていたところだった。なぜ花壇が設置されたのか。偶然その場所を子供たちが選んだのかもしれない。ただ、学校側の自発的な行動だったのか、行政側、あるいは駅から場所指定があったのかは、わからない。
◆「開発」とは◆
 参加型学習を教育方法論として採る開発教育は、文字通り「開発」を教育目標においているとされる。開発教育協会は、開発教育は、私たちひとりひとりが、開発をめぐるさまざまな問題を理解し、望ましい開発のあり方を考え、共に生きることのできる公正な地球社会づくりに参加することをねらいとした教育活動です。※1 と開発教育を定義づけている。
 このため、開発教育を、経済中心のものと捉え、批判する人は多い。これに対して、開発教育推進者たちは、開発教育理念の変遷を、「開発」概念の変遷から捉え、批判をかわしてきたといえる。
 曰く、経済中心の開発から、社会開発、人間開発、そして持続可能な社会(未来)のための開発、と開発概念は変化してきた。つまり、経済から、社会へ、BHN(ベーシックヒューマンニーズ)なども人のニーズを含んだ開発概念へと変化してきた。そして現在は、環境をも含んだ概念「持続可能な社会のための開発」へと変化したと説明する。そして、開発教育も、環境(教育)をも含んだものとなるべきであると。
 前回、教員側が「学んでほしい」ことと生徒側の「学びたい」ことのズレの問題について指摘した。このズレに対して、「開発」を教育目標におく開発教育は、地域開発の問題から、課題にアプローチすることで解決しようとしているようだ、とまとめた。
 以下、地域開発の実践案を見ていく。
 
◆実践案−きもちをかたちに!まちづくり−
 「きもちをかたちに! まちづくり」は、『いきいき開発教育』(開発教育協議会、2000年)に掲載された実践案である。この案は、総合的な学習の時間のためにつくられたものである。以下簡単に見てみたい。(なお、展開における「ねらい」は省略した。また、?〜?までは、展開も省略した。合計で20時間から30時間程度の実践案である。
<ねらい>
 地域社会における相互依存関係を知り、その地域に住む様々な人々が共に生きることが可能な社会を考える。そしてその過程の中で、生徒は主権者としての責任を自覚し、市民社会の実現に積極的に参加するための方法とその意味を知る。
<展開>
(1)まちに住む人たちの相互依存関係について考えよう
 (展開)
  1・『ニッコリ駅周辺再開発計画』<教材20>を使用し、再開発により
    どのような影響を受けるかについてランキングする。
  2・ニッコリ駅周辺に住む人々が再開発によりどのような影響を受ける
    かについてロールプレイやグループランキングの手法を使って考える。
  3・市議会を疑似体験する。
(2)私たちの住んでいるまちについて考えよう
(3)私たちのまちについて調べてみよう
(4)町のいろいろな人に話を聞こう
(5)私たちの町をもっとよくするためのプラニングをしてみよう。
(6)その計画を実行に移してみよう
−−
 次に、<教材20>『ニッコリ駅周辺再開発計画』を見てみよう。
 この教材は、低開発地域と思われる※2地域に、大規模ショッピングセンターがやってくるというシミュレーションである。「(1)まちに住む人たちの相互依存関係について考えよう」の1と2で実践される教材である。
 まず、再開発計画を9つある視点 −たとえば、「工場等は市の周辺部に移転し、住宅ブロックと工業ブロックの住み分けをはかる」とか、「福祉の充実を第一に、誰にもやさしいまちづくりをかんがえる」など− からランキングを行う。1〜9まで順番をつけて、その優先した理由を振り返る。
 次に、住民の立場を「経済効果」と「アメニティ(快適性)」から分類する。住民は、立ち退き地区/立ち退かなくてよい地区、商店/住居、勤務(無職含む)/自営いう2×2×2の8つの立場に分けられている。この住民を上記2つの視点をクロスさせ、分類する。「経済効果」を縦軸に「アメニティー」を横軸にとり、それぞれ+−で分類する。++/+−/−+/−−が、完全賛成派/部分的賛成派/部分的反対派/絶対反対派にそれぞれ対応することとなる。
 その上で、それぞれの住民の立場でロールプレイする。
 最後に、教材全体の振り返りとして、グループで話し合った後、もう一度はじめにやったランキングを行う。
◆実践の評価できる点と問題点◆
 まず、教材への評価だが、住民がさまざまな立場がありうることが理解できるだろう。そして、それぞれの住民への共感を育てうる点が評価できる。そして、丁寧に何度も同じ問題を繰り返すことで、生徒たちに熟考を促している点が評価できる。つまり、いろいろな分析軸を見せることで、態度変容を促しているのである。
 しかし、教材には、経済効果/アメニティーしか評価軸にない。確かに、複雑に入り組んだ(地域の)問題に対する分析の視点を、生徒に持たせるという点では評価できるだろう。その点では、社会認識の育成につながる。しかし、これで頭の中はすっきりはするだろうが、社会には、そういった「経済」と「アメニティー」という以前の人々もいるのだ。
 この教材では、そういう人々の居住権・生存権といった人権にかかわる問題が、生徒たちの視点から抜け落ちる危険がある。つまり、たった一人しか反対していなくとも、実行に移してはならない開発はあるはずなのだ。
 たとえば、吉野川河口堰を例にするとわかりやすいだろう。幸いにして吉野川河口堰は、地域住民の反対が強かったため、環境が守られた希有な例ではあるが、少数であっても「権利」などが守られなければならない時はあるのだ。※3結論として、この教材では、開発そのものを疑うという視点は獲得され得ない。
 そして、開発教育がそもそも持つ問題点であるが、実践案全体において「参加」、特に社会参加を重視したために、最終的にまちづくりプランをたて、実行にうつすことを求めているのである。
◆実際の事例◆
※この実践を教育現場で行ったものは、資料が入手できなかった。このため、開発教育の事例ではない可能性はある。しかし、現在小学校や中学校で行われている「まちづくり」教育の参考になることと思う。
 ある実践では、プラン→実行の過程のまとめとして、市長を招いたプレゼンテーションを行っていた。市長は、プレゼンテーション後、参考になったと言って、帰って行ったという。
 確かに、このような実践によって「社会参加」意識を育成することはできる。実際、市長などの社会的に大きな位置を占める人に認められれば、子供たちの社会参加への意欲を高めることは間違いない。
 しかし、その育成した意識は良いものなのか、悪いものなのか。そして、そのプレゼンテーションがどういった結果をもたらすのか。それについて考察したものはない。
 前掲書の作成メンバーには、地域の課題であったホームレス問題に取り組んだ人もいる。そして、編集委員チーフである田中治彦氏も、勤務先の駅周辺のホームレス問題への取り組みを積極的に推進している。その点で、この教材に対する私の批判は、的はずれな可能性は高い。しかし、ただ「参加型」である、というだけで換骨奪胎された時の危険性は、誰にもわからない。
◆まとめにかえて◆
 前回、私は、「開発」ではなく、「第三世界」を教育目標においた開発教育の立場に立つと述べた。
当初の開発教育は、第三世界の悲惨な現状について知らしめるというものであった。その結果、かえって偏見をあおるという問題を抱え込んだけれども、その時の実践者たちの意識は、虐げられたものの立場に立つ、ということであったはずである。※4 ならば、「第三世界」について教えること、そしてそういう立場に対して、共感する意識を育てること、そして、願うならばそういう現状を変えるために参加してもらう態度を養ってもらうことこそが、開発教育の目標に据えられてもよいのではないだろうか。
「第三世界」は、海外だけの問題ではなく、日本国内にも存在する。それは、「低開発」「乱開発」が決して、海外だけの問題ではないからである。次回は、このような視点を視座に、開発教育以外の教育分野における「参加型学習」について取り上げる。
※2 私の育ったところは、川の氾濫が絶えない町だった。ドブ川ではなかったけれども、『ニッコリ駅周辺開発計画』に出てくる町ときわめて似ている。
※3 先住民権から考えると、たとえば、多くの人々にとって経済効果がプラスであっても、土地の収用・移住は許されない場合がある。
※4 開発教育は、その有用性から、国際連合も積極的に導入し「先進国市民を開発へと動員する」ための教育として、実践が模索されたこともある。「参加」と「動員」は紙一重のところがある。自発的意識で動いていると思っても、実際には「操作」されていることはままある。参加型学習の一
部の方法には、この「操作」にきわめて近いものがあり、その点については次回以降に考察したい。
 
 初夢:きょう「千葉国」誕生   毎日新聞 1月1日
 毎日新聞の千葉県版に掲載されたのが、「千葉国」独立の記事。社楽の会で話題にしていたのと同じ発想です。以前より、「愛知県を独立させよう」という題材を話題にしていましたが、こうして千葉県版があるとモデルになります。都道府県の学習では、面白いネタです。
 内容的には、閣僚候補のインタビューがある以外は特に深くはありません。社楽の会で話題にしていたように、水や電気はどうするか、貿易は、お札の顔は、・・・などと考えると、さらに学習が広がります。

 
8 便利Web特集
(1)雑学のすすめ http://homepage1.nifty.com/tadahiko/ 

(2)東書メール52号 教育セミナー九州 2004 明治安田生命ホール  講演記録
   21世紀の教育のあり方を求めて〜 学力向上プランの成果を問う 〜 http://ten.tokyo-shoseki.co.jp/enetap/tenmail/proteus52/tenmail04-1.htm#top 
 【基調講演】教育改革の現状とこれから  常葉 豊 (文部科学省初等中等教育局教育課程課長)
 【課題講演】一人ひとりの子どもに確かな学力を〜 補充・発展学習の考え方・進め方
                      浅田  匠 (早稲田大学助教授,中教審臨時委員)

(3) 財務省ホームページ(平成17年度予算のポイント) http://www.mof.go.jp/seifuan17/yosan001.pdf

(4)越県合併
 長野県の山口村が、岐阜県の中津川市との2月13日合併に向け、手続きを進めている。実現すれば、越県合併となり、長野県と岐阜県の県境が変更となる。同村は、生活に関係のある公共施設までの距離が、長野県側より岐阜県側のほうが、はるかに近い状況にある。面積は24.67平方km。
http://www.takenet.or.jp/~vil_yama/gappei/new/index.htm 

(5)☆H.Hirizumi's Birding Page  http://www.kt.rim.or.jp/~hira/birding/index.html 
  地域別・種別で野鳥を検索できる。一般情報や保護に関する情報など盛りだくさん。

(6)PISA (OECD生徒の学習到達度調査2003年)
  http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/001/04120101.htm 

(7)“ベイズ理論”をもとに迷惑メールを手軽に削除可能にするフリーソフト
 “ベイズ理論”をもとに迷惑メール対策ができるフリーソフト。メールのヘッダーや本文の単語が分析され、様の単語を多く含むメールが同じジャンルに分類され、ヘッダーにジャンル名を追加。過去の出来事の発生頻度を分析すれば未来の出来事を予想できるという、数学者ベイズが提唱した確率論に基づいたもの。 http://www.forest.impress.co.jp/lib/inet/mail/antispam/popfile.html 

(8)メールマガジン「ある小学校教師の独り言」の記事をまとめたHP
 http://www.geocities.co.jp/Berkeley-Labo/6941/ 

(9)3月21日、フォーラム2005「IT活用による元気な学校づくり」
 恒例のフォーラム「IT活用による元気な学校づくり」が、今年度は3月21日に開催される。今回のテーマは、「ITを活用した開かれた学校づくり」と「ITを活用した基礎基本の定着」。学校ホームページの毎日更新を通した開かれた学校づくりや、個別プリントと家庭学習システムで子どもの学力UPをめざす実践などを報告・討論。http://www.school55.net/forum2005/ 

(10)窓やドアのすき間を通して配線できるLAN用すき間ケーブル
 厚さは1mm幅14mmで、アルミサッシのすき間を通したLAN配線が可能で、窓の開閉を1万回以上繰り返しても大丈夫なLAN用すき間ケーブルが登場。屋外に取り付けたネットワークカメラと屋内のパソコンとを、窓サッシのすき間を通して接続できるばかりでなく、屋内からカメラに電源を供給することも可能。http://www.ntt-at.co.jp/news/2004/release43.html 

(11) 「指導と評価の一体化」に関する講演記録
   講師は京都ノートルダム女子大学 加藤明教授
    演題「指導に生かす評価のあり方評価規準の位置づけと活用の仕方」
 子どもは教師が期待するほど分かっていないものである。だからこそ,要所,要所で理解を確か めながら指導の軌道修正を図り,学習成果を上げるように努める。これが指導と評価の一体化」  である。   http://www.netin.niigata.niigata.jp/angle/angle-k.pdf 
 
 教育関連情報
(1)「ゆとり教育は失敗」授業復活求め理数系学会が提言
 「学力低下対策で理数科目の授業を減らす先進国は日本だけ」。理数系の13団体で作る理数系学会教育問題連絡会は、総合的学習などに代えられた理数科目の授業時間復活を求める提言を提出。「系統だったカリキュラムを破壊した今のゆとり教育は、逆に子どもたちの考える力を落とした」
http://www.asahi.com/edu/news/TKY200412280213.html 
☆★☆ 土井のコメント ☆★☆
 このインタビューは、日本数学会の浪川幸彦名古屋大教授のもの。浪川教授は、多くの著作等で以前より「ゆとり教育批判」を繰り返している人であるり、その主張は一貫している。
 主体的に、現行の指導要領を受け入れ、教育活動を行っていこうと考える教師は、この批判に反論できる根拠ある実践を積み重ねる必要があろう。
 しかし、批判を恐れずに土井の個人的な思いを書くなら、こう書きたい。
 「社会科の時間を増やしてほしい。総合的な学習で期待する力は、もともと社会科で育てようとしてきたものばかりだ。特に、丹葉地区はそう考えて、社会科を広くとらえて実践してきた。そのための調査・体験であり、社会への提言であった。」
 現行の教科書を教えると、とても満足な調査や体験はできない。この思いは、理数系科目に対する浪川教授と同じなのかも知れない。
 
(2)スマート・ドラッグ実用化へ(米国)
 頭脳の活動を飛躍的に向上させる薬「スマート・ドラッグ」の開発が進行中で、続々と製品化される予定だという。
 頭脳活動を薬で向上させようとする試みは、戦時中から存在したが、副作用が大きい上に一時的効果しかなかった。現在開発中のものはこうした薬物とは決定的に違うもので、副作用がほとんどない上に、長時間の集中力、記憶学習効果、頭脳の回転速度などを飛躍的に高めるもので、長期的な持続効果があるという。
 そのうちのひとつモダフィニの使用を研究している研究者によると、自分の頭脳活動のレベルを10だと規定すると、15のレベルまで上がることが実験結果から分かっている。
 ニューヨーク州ロングアイランドにあるコールド・スプリング・ハーバー研究所の研究者チム・ツリィ氏によると、「実用化はもはや時間の問題だ」とし、多くのスマート・ドラッグが動物実験から臨床実験の段階に進み、数年後には多数が認可されて使用されるようになるだろうという。
 ツリィ氏が研究しているのは、記憶増強作用を持つHT−0712という試験的薬物で、アルツハイマー症など記憶障害の治療を目的に開発されたが、一般的な記憶学習にも利用できるため、広範な市場が存在すると見込んでいる。
 特にベビーブーマー世代が続々と50代に突入し、記憶力や集中力の減退などでさまざまな栄養補助食品などを試していることから、劇的な効果を持つ薬が出れば、爆発的に広まると、製薬会社は算段している。
 スマート・ドラッグの一部はすでに弁護士や医者になろうとして猛勉強している学生が使用しているといわれるが、これからは整形美人だけでなく、「薬物天才」も出現しそうだ。
 出典  〓The World News Mail@2004.12.31 No.538  より
☆★☆ 土井のコメント ☆★☆
 スマートドラッグについては数多くのサイトがあり、情報量は多い。脳機能障害や痴呆症の薬が大半だが、脳の血流を良くするため 《参考》 http://www.geocities.co.jp/HeartLand/4028/sumart_drug.htm 
記憶力や図形の認識力など、要するに頭が良くなるらしい。
 中には、妊婦が服用すると胎児の頭が良くなるという薬と、妊婦には危険という薬が混在するからやっかいだ。
 しかし、使ってみようと思う人は待ってほしい。一度飲んだら飲み続けなくてはならなくなるということを・・・そんなことまでして良い点を取りたいか?違う。その意欲を、努力と成果に結びつけよう。とは言ってみても、藁をもすがる気持ちの人も多いだろう。せめて、日本の薬事審議会審査はしっかり審査してほしい。
 
(3)中学校運動部活動「長野モデル」を提言
 長野県教育委員会の「中学校運動部活動『長野モデル』検討委員会がこのほど、『長野モデル』提言を行った。提言では、学校・保護者・市町村教育委員会・体育協会等関係者による運動部活動運営協議会の設置、子どもや保護者のニーズに応じた顧問・外部指導者の確保と研修会等の充実、入部生徒誰もが競技力の向上を実感できる指導体制の確立、運動部活動をサポートし生涯スポーツ振興につながる予算措置、の4つの掲げている。
参照:中学校運動部活動「長野モデル」検討委員会の提言【長野県】
http://www.nagano-c.ed.jp/kenkyoi/shingikai/bukatu/teigen/teigen.htm 
☆★☆ 土井のコメント ☆★☆
 委員のメンバーを見ると、中学校体育連盟・長野県PTA連合会・長野県教職員組合・長野県中学校長会・現場顧問等の代表という、学校側の人ばかりだ。そうなると、どうしても行政に「あれやって、お金くれ」という、人まかせ提言になりやすい。と思って読んでみたら、確かに想像の範囲内の提言であった。
 今後は、サッカー協会など競技団体の代表者と、生涯学習専門の大学の先生、財政担当を交えて話し合ってほしい。もっと具体的で、現実的な結論になりそうな気がする。しかし、こうした提言があること自体はすばらしい取り組みだ。さすが長野県。
 
10 メルマガ紹介
(1) Vol.150  2005.1/9(SUN)  教育情報 Magazine/ある小学校教師の独り言
☆★☆ 土井のコメント ☆★☆
 今年最初のメルマガは、島原先生に敬意を表して、「ある小学校教師の独り言」を紹介したい。今号も、149号に続いて、「総合的な学習論」である。
 本来、教員一人ひとりが、この島原先生のように自分の「総合的な学習論」が書けなくてはいけない。それだけのねらいとビジョンがなければ、実際に授業をすることはできないし、やったとしても形だけのものになってします。
 ぜひとも、これを参考にして自分の総合的な学習論にチャレンジしていただきたい。
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[1]“総合的な学習の時間”をどうとらえるか?
                ―“子どもの社会力”を育成する総合的な学習―
 No.149に続き,第2弾です。私の考える総合的な学習のめざすところは「社会力」の育成です。その「社会力」の概念の生みの親である門脇厚司氏の講演を聴く機会がありました。講演の内容については次号でお知らせします。
 今回は来年度からの見直しに役立つ資料第2弾を紹介します。具体的な話にまで立ち入っているため,かなり長文です。総合的な学習を何とかしたいとお考えの方,どうか最後までお読みください。
1 指導要領総則に見られる総合的な学習の時間の「ねらい」と「学習活動」 
 ■ ねらい(総則 3の3の4 P45)に関する記述
  (1)自ら課題を見つけ,自ら学び,自ら考え,主体的に判断し,よりよく問題を解決する資質    や能力を育てること。
  (2)学び方やものの考え方を身につけ,問題の解決や探求活動に主体的,創造的に取り組む態    度を育て,自己の生き方を考えることができるようにすること。
 ■ 学習活動(総則 3の3の5 P48)に関する記述
    例えば   ・国際理解,情報,環境,福祉,健康などの横断的・総合的な課題
           ・児童の興味・関心に基づく課題
          ・学校や地域の特色に応じた課題
2 これをどう解釈するか(本校の「総合的な学習の時間」の定義づけ)
 総合的な学習の時間には2つのねらいがあります。1つは総則の(1)にある「問題追究能力を育成する」こと,2つ目は(2)にある「社会的認識を高める(新たなものの見方・考え方)」ことです。以上の2つのねらいを達成させるためには「学習」を展開させねばなりません。
 今までは(1)の方に力を入れて実践してきましたが,今後の実践にあたって(2)の方も考えていく必要がありそうです。
 (2)は「子どもたちの社会的認識を広め,そして高める(地球市民としての資質を身につける)」ということです。総則の中にも「学校で学ぶ知識と生活との結びつき,知の総合化の視点を重視し,各教科等で得た知識や技能等が生活において生かされ総合的に働くようにすることが大切 p47」という記述が見られます。自分の追究を通して社会を見,そして自分なりの主体的な社会への認識を持つ,ということです。指導要領総則に例示されている内容の「国際理解」「情報」「環境」「福祉・健康」は,これからの社会を生きる子どもたちに考えさせたい社会問題なのです。これらの問題に主体的に対応できる力が「生きる力」であろうと考えます。対応できてこそ「自立」できるのです。かつての低学年社会科が「○○ごっこ」であったのが,生活科では「○○探検」となり,自由な探究・追究活動をさせ,自立への基礎をねらうこととなりました。総合的な学習の時間はこれを受けて,さらに「社会の中での自立」を目指すものであると解釈できます。そしてこれを小3から高3まで9年間かけて完成させるのです。
3 どう実践するか
 これを達成させるために留意すべきことが1つあります。それは「活動だけに目を奪われた学習になってはいけない」ということです。例えば,日本の食についての問題を扱った場合で言えば,子どもも教師も「米を育てて食べておわり」という実践すらあります。これは活動だけでおわり,教師が(1)や(2)を意識して実践しなかった結果です。特に,(2)を意識して指導すれば,「現在の我が国が抱える食生活の問題」,例えば狂牛病や日本ハムの問題などにまで子どもたちの意識は広がっていくはずです。
 こういう認識を高めることは,総合的な学習の時間でつけたい力として,見逃せない大切なことです。
 知を総合化させて学習したにもかかわらず,子どもたちに意識変革が生じなければその実践は失敗だと思います。追究技能が身につくだけでは総合的な学習の場合,目標を達成したことにはならないのです。言い換えれば,その実践では「生きる力」が身につかなかったからです。21世紀を生きる子どもたちに,現代社会の抱えるさまざまな諸問題にどう対応していくのか,そんな認識を育てることは総合的な学習の時間に課せられた大きな使命だと思います。
 総合的な学習の時間では,子どもたちが自ら疑問に思ったことを追究課題として取り組んでいくわけですから,異なる目標が複数存在します。しかし,この目標はばらばらであって,実は大枠では同じところに向かっているのです。その根拠は次の通りです。
 指導要領に書かれている総合的な学習の2つの目標は,小3から高3までの9年間で完結させることを前提としていると理解しています。小学校の段階では何ができるかを考えた場合,目標(2)に関しては,社会の仕組みやその様子を知ることができればいいと思っています。社会認識の第1歩です。例えば5年生で「米づくり」を総合的な学習で扱った場合,日本の抱える食糧事情を理解し,自分なりの社会認識ができればいいのです。これが教師の指導目標(つけさせたい力)だと考えます。この頂上を目指して子どもたちはさまざまな道具を使い,それぞれの装備で,登山路を自分で開きながら登っていくのです。稲作問題を追い続ける子もいるだろうし,野菜や果樹栽培を通して追究する子もいるでしょう。なかには狂牛病への関心から畜産を追究する子も出てくるかもしれません。しかし,最終的に「現代の日本が抱える食糧問題」に迫ることができればいいのです。一見「異なる目標(異論)が共存する環境」のように見えますが,しかし,大枠は同じではないかということです。これを教師がどう指導していくかはひじょうに大きな問題点となりますが,大事 なことは以下のことではないでしょうか。
 まず,それぞれの子が話し合いや発表会でお互いに関わりを持ち,お互いに評価しあい,高め合うことが必要です。「学びの共有化」であり,自己評価や相互評価が重要であるゆえんでもあります。独立独行,我が道を行くではないと思うのです。共通の「大目標」がはっきりしていて,進む方向が明確であって初めて子どもたちは自分の追究問題を設定でき,解決への方向性を模索することができるのです。小学校の段階ではではそうであるべきだと思います。
4 教師の指導のあり方は
 また,指導法の問題になりますが,教師はとんでもない方向に進んでいこうとしている子に対して指導すべきです。どう考えても大目標である「日本の食糧問題を考える」というものの見方・考え方が育たないと判断される子への指導です。これが「教師はシナリオを持つべき」ということです。失敗することが目に見えている子に対しては教師が方向修正してやるべきだと考えます(少なくとも小学校レベルでは)。それが支援であると思います。
 経験を積み,さまざまな自己判断能力(周囲を見ながら自分の追究を比較対照できる能力など)が身についている中高生なら話は別ですが。はい回るのも経験であり,そこに学習意義を見いだそうとする考えもあるようですが,最後まではい回って終わった子(もちろんまとめができない,報告もできない,という状況になると思います)は必ず総合嫌いになります。いえ,問題解決学習そのものが嫌いになります。さらに言えば勉強嫌いにまで発展するやもしれません。自己の追究課題が設定できない,どうやって追究していけばよいのか分からない,という子が大部分なのです。そういった意味からも教師はシナリオを描き,時には演出家にもならねばならないというわけです。
 例えば,4年生でのごみの学習を発展させ,総合的な学習の時間で扱う場合を考えます。ごみの問題は極めて意義ある教材だと思っています。多くの場合社会科では「ごみの種類と量」「ごみの分別と収集」「クリーンセンター(焼却場)の仕組み」「ごみのリサイクルと環境保全」といったことを学習します。これらを地域をフィールドとして見学や観察といった体験を通して学習していきます。しかし,私も過去に感じたことがありますが,実際の授業では,それぞれの子が獲得し知識は断片的で,単に事実(実態)を知っただけで終わってしまうことが多いのではないでしょうか。主たる原因は「時間数」です。いつまでもごみの問題を続けているわけには行かない事情があります。そこで総合的な学習の時間でという発想です。社会科での学習だけでは本当に「ごみの問題」を理解したことにはならないのです。そこには「新たな社会認識(地球市民としての資質)」,言い換えれば「生きる力」がついていないからです。例えば「おじいちゃんが子どもの頃の昔のくらしとごみの問題は?」「アメリカではどうか?アフリカではどうか?」などという視点が必要だと思うのです。もっと言えば,ビニールやプラスチックを燃えるごみで出す自治体もあるそうです。分別の仕方も自治体によって異なるようです。
 教師は,学習前にこのような展開を描くのです(単元をデザインする)。そして,追究対象レベルで言う「異なる目標(異論)が共存する環境」を意図的につくります。子どもたちがさまざまなものさしで追究し,そして共有化し,自他を比較してこそ判断や比較の基準となる「自分のものさし」が明確になるのです。いろいろな視点からそれぞれの子どもたちが追究して,それを学習者全員が共有することではじめて真の意味で「ごみの問題」を理解したことになるのではないでしょうか。最終的にはごみ問題を通して「新たな社会認識(地球市民としての資質)」を育てるのです。こういった,このような学習を展開させ,子どもたちに新たな「ものの見方,考え方,生き方」を身につけさせたいという展望を持つことが,シナリオを持つということです。

 
(2)★MM小学1518  森竹高裕■子どもが生き生きとする授業スタイル
 2004/12/20(月)蔵満逸司編集 wahaha@po.synapse.ne.jp
☆★☆ 土井のコメント ☆★☆
 次もいつも紹介している優良メルマガ。次のはすごい!
 子どもが生き生きする授業スタイルを、自分の実践を分析し、大きく6つに分けた50に類別している。50拾い出せることがすごいし、また、これだけやってきたこともすごい。これも、長年のシリウスでの活動で追試や実践を積み上げてきたからできることで、一人ではとてもできない。よく読むと、理論的に多くのバックボーンが読み取れ、幅広く勉強しただろう足跡がうかがえる。
 ぜひ、参考にしていただきたい。そして、それぞれの教師が、自分の技をまとめていただきたい。
 なお、※は土井のコメントです
 −−−−−−−−−−−−−−以下引用−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 これまでずっと子どもが生き生きする姿をもとめて工夫をしてきました。子どもが好きなこと・喜ぶことには、コツがありそうです。注意深く見ると研究授業なども、これらを組み合わせています。
 どんなときに子どもが喜び生き生きとした姿になるのか洗い出してみると、全部で50ありました。
「いい授業だった」という評価を得るときには、きっとこれらのコツをうまく取り入れているのだと思います。

■分類      
  A 具体物を使う      B 思考する    C 劇・シュミレーション、体験・実験
  D 仲間・グループ     E 表現する     F ゲームやクイズ          

■A:具体物を使う
1 モノを使って考える
 具体物を使うと思考が高まり、子どもが生き生きとする。子どもは操作活動をしながら、思考を高めている。作業をしているときのつぶやきをうまく拾い、一斉学習の場面につなげたいたい。
 例:3年社会「スーパーマーケット」売り場の工夫:商品が売れる工夫を考えながらバナナをならべよう。
   6年算数「立体」四角柱の展開図:端から端までアリが移動するとき、一番の近道はどの道か?
※ 実物は集中化・具体化のためにもぜひほしいアイテムです。子どもの発表でも「何も見ない 何かを見せる」が大原則。

2 操作活動
  具体物を使って操作しながら考える。
 例:1年算数「たし算」:つみ木を使って2+3を考えよう。
   5年社会「日本の工業」MADE IN JAPAN の特徴を知る: 身の回りの製品を集め、どの国で作ったか分類しよう。

3 食べ物づくり
  モノを作って食べる。
 例:総合「大豆を作ろう」大豆を原料としたものを作る:きなこ、枝豆、豆腐を作って食べる。
   学活「めあてを決めてミニパーティーをしよう」:おむすび、べっこう飴、ホットケーキなどを作って食べる。
※ 興味・関心を高めるためには、食べ物づくりは抜群です。英語・家庭科の合科学習で、「英語のレシピを訳して作りなさい」という授業では、真剣に辞書を引いてグループで協力していました。

4 パソコン
   パソコンを授業の中に取り入れる。パソコンがあると集中力が高まる。
 例:5年理科「天気の変化」秋の天気:インターネットのライブカメラで各地の天気を天気図と比べて見る
   3年算数「わり算」練習問題:ゲーム的要素のある子ども向けサイトで、基礎基本の練習問題をする
※ パソコンは、これ以外にもいろいろなメリットがあります。これから可能性を広げていきましょう

5 見えないものを見えるようにする
  学習の進み具合(自分の成長)を学習カードやシールによってあらわす。
 例:体育「鉄棒・なわとび」:練習方法を紹介し、できた所には印をつけていく。
   国語「音読」:教材文を1回読んだら、○を一つぬりましょう。
※ これも、目標にもなり、評価にもなる、いろいろと役に立つ基本の技です。

■B:思考する
6 仲間わけ
  できたものや出された考えを分類していく。
 例:3年算数「形」三角形や四角形:適当に10本の線を引き、囲まれた図形を形ごとに分類する。
   各学年・各単元:出た考えを黒板に書き出し一覧。似た考えを同じ色で囲む。
※ 思考の基本で、よく似たものから相違点を探す、別の物から共通点を探すという活動は、子どもはよく動きます。 

7 精選する
   対決型(討論)の前段階。黒板に書き出された意見の家、おかしいものから消していく。意見が言えなくなったらその派はつぶれる。
 例:3年国語「ちいちゃんのかげおくり」:ちいちゃんが一番さみしかったのはどこか。
   4年社会「暖かい地方の人のくらし」:パイナップルの実は木のどこにどんな形でなるだろうか。
※ 「おかしい物から消す」というのは、対象が絞りやすく、考えやすい技です。

8 対決型(討論)
   二者択一の討論をする。「バトルをしよう」というと喜ぶ。反対意見はイチャモンをつけよう」勝利したのはどちらか決着をつける。
 例:道徳「子どもと大人はどっちが得か?」:トレーニングとしてたわいのない話題をディベート風に話し合わせる。
   6年社会:仁徳天皇はいいリーダーか?
※ 討論は、相手を論破するための調査活動があってこその学習活動です。ただ自分の意見を述べるだけでなく、相手の意見を予想して、あらかじめその反論を考えておくことも大切なプロセスです。

9 推理する
  これまで学んだ学習内容から、解を特定する。
 例:6年理科「水溶液」謎の水溶液の正体をさぐろう:数種類の水溶液から、溶けている物質を当てる。
   各学年算数「覆面算」□の中にあてはまる数を当てる:筆算で欠けている数字(□)に入る数を見つける。
※ これも思考の基本です。どのような実験でも、推理(予想)の過程があるとないとでは、その後の興味・関心に大きく開きが出てきます。

10 まちがい探し
  提示された資料のどこがおかしいのかを見つける。
 例:3年社会「消防署で働く人」消防士のしごと:ニセ消防士、ニセ消火器のおかしいところを見つけよう
   6年国語「敬語のはたらき」:次の敬語を使った文章でおかしいところはどこだろう。
※ これもクイズ的で、簡単に子どもを引きつけることができます。学習内容の深化につながる教材開発が求められます。

11 会話文の読み方
  会話文をどうやって読んだらいいのか検討する。
 例:4年国語「ごんぎつね」:「ごんおまえだったのか」の「か」は!と?のどちらで読むか。
   1年国語「おおきなかぶ」:「うんとこしょどっこいしょ」の声は、どれも同じ大きさですか。
※ 読解と音読の基本。主題に迫る発問を、できれば授業記録をもとに、互いに検討し合いましょう。

12 分析批評
  物語文に主人公、対役、時、色、クライマックス、主題など読みの視点を与えて、物語を分析的に読む。
 例:3年国語「ちいちゃんのかげおくり」:ちいちゃんが一番嬉しかったのはどの場面ですか。
   4年国語「一つの花」:何番目の「一つだけ」に父の一番強い気持ちが込められているか。
※ 高度な一人読みの技術です。事例は豊富なので、ぜひとも取り組んでほしい手法です。分析にとどまらず、最後に総合するところに醍醐味があります。

13 きまり見つけ
  何らかの操作活動から、全てに共通する決まり(定理)を見つける。
 例:4年算数「わり算」答えの確かめ…商×除数+余り=被除数:答えのカードを並べていって空白の答えを予想する。→きまり見つけ
   5年理科「てんびんとてこ」:天秤の操作から、おもり×長さの積が等しいと天秤は釣り合う。
※ 科学の世界の基本。「何らかの操作活動から」というのが、奥の深さを感じます。

14 仮説を立て証明する証拠を探す
  予想した仮説に対する証拠が「ここにあるはずだ」と資料からさがす。
 例:5年社会「米づくり」米づくりの盛んな条件:「○○ならば、米づくりが盛んである」と立てた仮説が正しいかどうかの検証(調べ学習)をする。
※ 簡単に書いてありますが、これも科学の基本であり、問題解決学習の昼間部の流れです。

15 未来志向型
  提案する社会科の授業。どうあるべきか、という未来の姿を考える。
 例:5年社会「宅急便」:この町に宅急便の集配センターを作るとしたらどこに作るべきか。
※ 今年、愛知研社会科研究会が取り組んだ、「明日の社会を創る力を育てる社会科授業」がこれです。場面設定型課題について意見を出し合い、話し合いにより合意形成をめざします。

16 目標設定−練習工夫
  自分のめあてを決め、そのめあてを達成するために練習方法を工夫する。
 例:体育「器械運動」:練習の場づくりを自分で考え、技ができるように練習する。
※ 体育や音楽では基本ですね。練習方法を「調査方法」「探求方法」にすると社会科でも重要な考え方です。

17 逆転現象
  勉強のできる子が間違い、勉強のできない子が正解するような問題。
 例:国語「漢字」:「上」の書き順は、縦棒が先ですか、横棒が先ですか。
   6年算数「分数のかけ算」:2mのリボンの1/2mは、1mですか、50cmですか?
※ これは、このような状況を創り出すことが難しいのです。ぜひ事例を出し合いたいですね。

18 感動型
  教材の持っている価値(感動)に触れさせる。
 例:道徳「家族」たったひとつのたからもの:家族に大切にされている幼い頃の写ぶん真や手紙を見せる。
   2年国語「そしてトンキーもしんだ」:絵本を読み聞かせる。
※ これは共感できますね。社会科なら、実物資料(ひと・もの・こと)でしょう。

■C:劇・シュミレーション・体験・実験
19 劇(ロールプレイ)
  劇で表現する。
 例:3年国語「三年とうげ」:おじいさんとトルトリの会話を劇でやってみよう。
   1年道徳「橋の上のおおかみ」思いやり・親切:狼になって一本橋を渡る動物を「もどれもどれ」と追おう。
※ 劇は、学習内容のまとめの表現として有効だと思っています。シナリオは本当に内容を理解していたいと書けません。また、衣装や小道具なども考えると、総合的な表現力が求められます。

20 シュミレーション(ごっこ活動)
  実際にはできないが、シュミレーションでその状況を作る。
 例:6年社会「戦国時代」天下統一シュミレーション:ジャンケンで戦をして、一番勝った人が天下を統一する。
   英語「スキット」:買い物など会話の場面を意図的に設定し、英語でやりとりをする。
   6年社会「国会」給食をおいしくする法案を作ろう。:国会議事堂見学時、憲政記念館でニセ議会を開く。
※ 劇と似ていますが、もっといろいろな方法があります。これだけで、本が書けるほどの奥深い手法です。

21 バーチャル体験
   実体験の難しいものについて、バーチャル体験をする。
 例:3年理科「こん虫」バーチャル昆虫採集をしよう:画面の風景の絵をタッチして、隠れている昆虫を見つける。
   3年算数「かたち」しきつめもよう:パソコン内で三角形や四角形を列べて模様づくりをする。

22 モデル実験
  実体験が難しいときには、モデル実験でその状況を作り観察する。
 例:6年理科「大地の作り」:塩原の化石で発掘しよう、ミニ火山、溶岩流をつくろう。
   3年理科「太陽の動き」:どうして影は太陽と反対に動くのか、電灯で実験しよう。

23 パワーアップする
  子どもが好きな「もっと増やす」「もっとパワーアップする」ということを活動の中に組み込む。
 例:4年理科「電流の働き」直列つなぎ:プロペラがもっと高く上がるためには、どうしたらいいだろうか。

24 試行錯誤する
  試行錯誤しながら、完成(解決)のゴールをめざす。
 例:3年理科「豆電球」:乾電池、エナメル線1本、豆電球で明かりを点けよう。
   6年算数「ならべ方と組み合わせ方」:この絵が一筆書きでできるかやってみよう。

25 変化の観察
  観点を示し、物事が変化していくようすを観察させる。
 例:5年理科「もののとけかた」:色水が蒸発するとき、蒸気の中に色も一緒に含まれているか。
   4年社会「ごみとくらし」:本当にゴミ袋(コーン袋)が土の中で溶けて消えるか実験しよう。

26 ダイナミックな実験・活動
  発展的な学習として大がかりにしかける。
 例:総合「静岡県のまちづくり」まちづくり探検に出かけよう:静岡県のいろいろなまちにグループごと探険に出かける。
   3年理科「日光のはたらき」光通信をしよう:あの山の向こうから学校まで光りが届くだろうか。

27 たんけん型
  目的を持たせてフィールドワークをする。
 例:4年社会「昔のくらし」ふるさと歴史ウォークラリー:学区の史跡を地図にしておき、グループごとウォークラリーをする。
   理科「ネイチャーゲーム」:林の中から、この色(複数を提示)と同じ色の葉を見つけてこよう。

28 本物体験
  ごっこではない本物の体験をさせる。
 例:総合「食農」:作った農作物を朝市の仲間に入れてもらい売ってみよう。
   図工「粘土ワークショップ」:県立美術館で1tの粘土で遊ぼう。ロダン館で作品を見よう。

■D:仲間・グループ
29 学習問題を作って班で解く
   学習問題を各自が作って問題を出し合う。班の中で解決できなかったものを全体の場に出して一斉学習をする。
 例:国語「物語教材全般」: 問題を作ってグループ学習。解けない問題はみんなで考えよう。
   3年社会「スーパーマーケット」:買い物に行ってハテナと思ったことを班で考えよう。以下上と同じ。

30 グループ別学習
  小グループに分かれて話し合いなどの活動をする。
 例:国語「物語文」:物語を読んで問題を作ろう。班で解決できない問題は一斉授業。
   算数「計算領域」:算数の教科書の○ページを班の人で勉強しよう。

31 評価し合う
   友達の意見や発表に対して評価をする。
 例:総合「プレ発表会」発表会のクラス内練習の場面:発表後、その発表がよいか視点を元に(5421)で挙手させる。
   学活・各教科:意見を発表したあと板書。一つずつ読み上げ、賛成なら拍手させる。

32 プロジェクト学習
  教科書のない学習。自分たちでゴールを設定しそれに向かって活動する。
 例:総合「藁科川の人々の暮らし」:地域交流センターの利用方法について市役所にプレゼンしよう。
   学活「会社の仕事」:クラスの人に喜んでもらえるような楽しいイベントを考えよう。

33 競争原理
  相手に対して、勝つか負けるか勝負をつける。
 例:体育「リレー」:リレー以外にもボール運動など、さまざまな場面で応用可能。
   学活「ディベート」:ある論題に対して賛成か反対か立場を決めて討論する。

■E:表現する
34 お店屋さん
  お店を作ってお客さんを招待する。
 例:2年生活科「秋みつけをしよう」1年生を招待しよう:秋の素材を使っておもちゃをつくり、誰かに来て遊んでもらう。
   各学年算数「計算単元」計算お店屋さん:文章問題を作り、問題を出す人解く人に分かれて活動をする。

35 発表会
  調べたことや練習したことを発表する。
 例:体育「器械運動」:マット、とびばこの連続技の発表会をしよう。
   総合「発表会」:発表会をして調べたことをたくさんの人に聞いてもらおう。

36 暗誦
  詩を黒板に書き、一度読むごとに少しずつ消していく。5〜6回後は、全く見ないで読めるように覚える。
 例:国語「詩」:一度読むごとに少しずつ詩を消していきます。それでも読めますか。

37 群読
  役割を決めて詩文を読む。研究授業の直前など気持ちが高揚し効果的。
 例:国語「あめ」“あめはざんざかぼくらをたたく”の詩

38 見て写す
  見本を示し、そっくりそのまま写させる。
 例:国語「作文」:うつしまるくん。そっくりそのまま写しなさい。
   図工「有名人の絵」:有名な作家の絵を模写する。

39 ゲストティーチャー
  その道の専門家を招いて、その人から話を聞く。
 例:6年理科「大地の変化」地層のできかた:ジーベック(株)の方を招いてボーリング調査をしてもらおう。
   総合「水生生物調査」:国土交通省安倍川河川事務所を招いて水生生物調査をしよう。

40 地図にあらわす
  授業で扱ったものがどこのものなのか、地図にプロットする。
 例:3年社会「スーパーマーケット」品物はどこから:売られている品物の産地を調べ、日本地図にシールを貼っていく。
   4年社会「県の学習」静岡県の特産品:MYしずおか日本一は、静岡県のどこか地図に書き込もう。

41 色を塗る
  色塗りをすることで、子どもの内部情報を高めハテナを生む。
 例:6年社会「歴史」縄文時代のくらし:縄文時代のイラストに色をつける。色塗後、季節はいつですか。
   4年社会「昔のくらし」昔のくらしのようす:昔のくらしのようすに色をつける。ハテナを見つけよう。

42 マンガであらわす
  目に見えにくいもの、流れの分かりにくいものをマンガであらわす。
 例:4年理科「空気」:ピストンの中で押し縮められた空気はどうなっているか絵を描こう。
   国語「作文領域」:作文に書きたいことを4こまマンガで描いてみよう。

43 製作、創造する
  ものづくり。
 例:図工「工作領域」:画用紙、ダンボール、アルミ缶など単一素材を材料に作品を作る。
   2年生活科「秋の自然に親しもう」:秋のお店屋さんをひらこう。

44 模型をつくる
  形づくりを通してそのものへの理解を深める。
 例:3年理科「昆虫」:本物そっくりに昆虫を作ろう。
   図工「工作領域」:ダンボールや画用紙で作品をつくろう。

45 数値で表す
  成長を表す度合いを数値で表し、目標の回数を設定する。
 例:体育「縄とび」:8の字跳びが3分間で何回できるか。
   算数「百ます計算」:量の決まった計算問題を何分何秒でこなせるか。
   4年社会「水道」:学校にはじゃ口、便器がいくつあるか。数えてみよう。

■F:ゲームやクイズ
46 テンポのよい一問一答
  誰もが答えられる簡単な問いを次々と出し集中力を高めていく。
 例:国語「説明文」:「これ」とは何を指していますか。
   算数「単元最初の扉ページ」:「積み木が何個ありますか?何をしていますか?何人いますか」

47 クイズ的な問題
  知識内容的に難しいもの・量の多いものをクイズで一気に処理する。
 例:4年理科「月と星」:月のクイズをしよう。月には空気がある? 月では体が軽くなる?
   6年社会「江戸時代」:大名行列クイズをしよう。大名行列の持っている意味を教える。

48 ストーリー性のある学習ゲーム
  ストーリー性がありゲーム的要素のあるプリントを用意する。
 例:算数「計算単元」:算数アドベンチャー
   体育「マラソンカード」怪人を倒して世界の平和を取り戻そう。マスに色を塗っていき、怪人を倒すという設定。

49 学習ゲーム(1時間単位で独立)
   単元の流れとは独立して、学習内容をゲーム形式で学ぶ。
 例:国語「言語のきまり」:ことわざカルタ・部首カルタなど、裏をめくると意味がわかるカルタ
   4年算数「角」360°ゲーム:二人交互に三角定規を使い角を作りちょうど360°にしたら勝ち

50 難しい問題に挑戦する
  難問に挑戦させる。
 例:算数「各領域のパズル的な問題」:昼と夜の長さが30分だけ違います。今何時何分ですか
   理科「ジャガイモ」:デンプンは葉とイモにあるのに茎にない。茎の中を通らないのか
□関連ホームページ□
静岡教育サークル「シリウス」http://homepage1.nifty.com/moritake/  

      問い合わせは 土井謙次  syaraku@tcp-ip.or.jp