◆ 社会をちゃんと自分の目で見ること、自分で判断すること。その理由は、今の子どもたちは流されやすい。社会は今こうだから・・・・ではなく、自分の意志で動いていくことが大切だと思います。
などでした。社会科の目標は、社会認識を通して公民的資質の基礎を培うことと以前述べましたが、簡単に言えば、よき社会人を育成することです。これらの解答を読んでいると、明日の社会は捨てたものではないなと頼もしく感じました。
4 食育の考え方の流れ
同上パネルディスカッションのコーディネーター 小河宣子先生のレジメより
@ 『食料・農業・農村基本法』平成11年度7月 農林水産省
A 『食生活指針』平成12年3月 当時の文部省、厚生省、農林水産省の3省が共同して策定
B 『健康日本21』平成12年度 厚生労働省
C 『健康増進法』平成14年度 厚生労働省
5 マスコミ報道 不可思議なるもの…
社会科教師は、どうしてもマスコミ報道を資料として活用しなければなりません。だからこそ、マスコミの報道には真実と公正を期待します。であるからこそ、マスコミ報道は常にチェックをし続けたいと思っています。これは社会科教師としての務めであり、一種の愛情表現?だと思います。
今回は中日新聞・日本経済新聞・毎日新聞を取り上げます。決してこれらの新聞をねらい打ちするわけではありませんが、一つの例としてとらえてください。
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なじみ薄い漢字は苦手 中日新聞 1月28日朝刊
「米作」読める子1% 4人に3人「こめさく」
岐阜の研究所が小中学生の読み書き能力調査
「米作(べいさく)」を「こめさく」、「背(せい)比べ」を「せくらべ」。二十年前と比べ、今の小学生の漢字の読み書きの能力は下がっていないが、日常生活でなじみが薄い言葉は、苦手な傾向にあることが二十七日、財団法人総合初等教育研究所(岐阜県羽島市、水谷晃三理事長)の調査で分かった。
二〇〇二年度の新学習指導要領から小学校で学ぶようになった漢字一千六字について、〇三年五月から六月にかけて、小中五十三校の児童生徒約一万四千五百人に調査。前年度に学習した漢字についてテストした。
その結果、一九八〇年の同様の調査に比べて、読み、書きともに全体的に正答率は上がった。
だが、読みの問題では四年生で習った「米作」を正答できた五年生はわずか1%。誤答の四分の三は「こめさく」だった。六年時の「背比べ」を「せくらべ」と読み間違える中一も四分の三いた。
二年生で「三(み)日月」と正答したのは17%で、58%が「さん」と誤答した。日常生活で使わなくなった言葉が苦手とみられる。
書きの問題でも、二年生で「九(ここの)つ」の正答率が66%で、八〇年調査の84%から低下し、漢数字の弱さが浮かんだ。六年生の「もと(本)をただす」、中一の「一し(糸)乱れぬ行動」「こ(戸)外で遊ぶ」なども正答率が低かった。
「犬」や「切」「風」などの漢字では、点の位置や突き抜け、はねや曲がりが正確に書けないケースが目立ち、調査責任者の小森茂・青山学院大教授(国語教育)は「『意味が通じれば、少々の字形の違いはいい』と、周囲の大人が甘くなっているのではないか。国語以外の教科を含め、正確に漢字を書く指導が必要だ」と話している。
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読み、書きともに全体的に正答率は上がった。学力低下が叫ばれている中で、なぜこれが見出しにならないのか?
記事を読んでほしい。点線部は否定表現だ。間違ったことは書いていないが、正答率が上がったのに、記事の大半は否定表現である。これが公正な報道と言えるか?
他社の新聞記事を読んでみたい。この日、この記事を取り上げたのは、多分、日本経済新聞だけだと思う。遅れて、毎日新聞でも見つけた。
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「問屋」は「豚屋」?迷回答続出、全国の小中学生調査 日経 1月28日
「田園」を「電園」、「問屋」を「豚屋」――。岐阜県羽島市の財団法人、総合初等教育研究所が27日まとめた、全国の小中学生の漢字習得状況で、こんな“迷回答”が出、読み書きの正答率が著しく低い字もあることがわかった。習った学年と、その1年後でも誤答率が変わらない字もあった。
調査は子供が苦手な漢字を把握し、指導法を開発するのが目的。2003年5月から6月にかけ、全国の小中学校53校の約1万4500人を対象にペーパーテストを実施した。小学校で習う漢字1006字について、それぞれの字を習う学年が終わった直後と、1年たった時点で子供が読み書きできるか調べた。
書き取りの問題では前後の意味とはかけ離れた同音の漢字を書いた子供が目立った。「電(正答=田)園地帯」と書いたのが5年で33.8%、6年で27.7%。「豚屋(同=問屋)」と書いたのは中一が11.5%、中二で9.6%、「面みつ(同=綿みつ)な計画を立てる」と書いたのが6年で20.5%、中一が27.3%と、学年が上がってさらに誤答率が上がった例もあった。 (07:00)
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何と、「読み、書きともに全体的に正答率は上がった。」ことが書いてない。ここまで来ると、真実の報道と言えるかどうか。
確かに、言っている部分は正しいだろう。しかし、本質をはずしている。これが、テストの要約問題なら、明らかに誤答だ。すなわち、真実とは言えないことになる。
どうか、全国の良心的なマスコミのみなさん。これを読まれたのなら、ぜひ、これについてのご意見・ご感想をメールでいただきたいと思います。私が言っていることは間違っているというのならご指摘ください。訂正します。
繰り返します。「上記の記事は、真実を伝えているとは言えない」
次は、毎日新聞の2005年1月28日 東京朝刊より
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小学生漢字調査:読み書き能力 苦手な字、時代を反映−−80年調査と“互角”
財団法人・総合初等教育研究所は27日、小学校で学ぶ漢字について子どもの読み・書き調査(03年)結果を発表した。80年の同様調査と比べて正答率はほぼ互角か上回っており、「学力低下」が指摘される中で“及第点”を得た形だ。ただ前回調査よりも正答率が大幅に落ちた字もある。研究所は「時代や環境の変化で言葉がなじみの薄いものになった影響もあるようだ」と分析する。
◇「高層ビル」書けても「電園(でんえん)地帯」縁遠く
03年5〜6月、小学校で習う1857字(読みが違う同一字は別々に数える)を調べた。新学習指導要領(02年度から)では一つの漢字の書きを2年かけて習う。全国から小中53校1万4562人を選び、例えば5年で習う漢字は、その学年を修了した6年と1学年上の中1に出題した。
80年(当時の教育漢字996字)と比べ、「書き」の正答率は3年で習う字を除く各学年で0・4〜9・9ポイント上がった。「読み」は1、2、6年の字で下がったが、3〜5年の字で上がった。
だが読みでは、6年の「町の人から尊(たっと)ばれる」が正答率1・6%(学年修了時)と80年から20・9ポイント、4年の「米(べい)作農家が多い」も0・7%と31・1ポイント落ちた。「こめ作」との誤りが7割を超す。前回出題がなかったものの、6年の「畑に肥(こえ)をやる」は6・3%。時代の変化で縁遠い言葉になったようだ。
書きでは、2年の「空があか(明)るくなる」(正答率75・5%)で15・6%の子が「赤」と誤り、4年の「でん(田)園地帯」(同31・7%)で33・8%が「電」と書いた。
一方、正答率が上がった漢字の一つが「層」。6年の書きで「高そう(層)ビルが建つ」は80年の19・7%から65・4%へ上がった。新聞・テレビでおなじみの5年の「大とう(統)領の演説」は55・6%。「統」は80年に16・6%だった。
調査を監修した青山学院大の小森茂教授(国語教育)は「漢字の力は落ちていないが、書き言葉と話し言葉がかい離している。家庭で言葉を使うようにしてほしい」と話す。【千代崎聖史、木戸哲】
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◆読み書きしにくい漢字の学年別ワースト1(各学年で学ぶ漢字の中で、学年修了時に正答率が最も低かった漢字。正答率は%)
<読み>
正答 正答率 誤答例
1年 ほそい三日月 み 17.4 さん
2年 あつさで食が細る ほそ 39.6 こま
3年 川下に流れていく しも 17.5 した
4年 米作農家が多い べい 0.7 こめ
5年 あざやかな色さい しき 29.8 しょく
6年 祖父は読本で勉強した とく 0.8 どく
<書き>
正答 正答率 誤答例
1年 ほそいみ日月 三 55.1 見
2年 せきがあく 空 23.9 開
3年 父に取りつぐ 次 10.2 着
4年 まるい形の葉っぱ 円 6.5 丸
5年 ものごとのもとを正す 本 4.6 元
6年 祖父はとく本で勉強した 読 1.9 特
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いかがであろう。三社を読み比べていただきたい。姿勢の違いを感じる人も多いのではないか。
今回は、たまたまこういう結果になったが、丹念に拾っていくとどうなるか分からない。担当記者の個性が出るのか、もっと大きな会社の方針なのか分からないが、ここで言えることは、「新聞は、複数の社の記事を比較検討しながら読まなくてはいけない」ということである。
「高校教師の独り言」に次のように書かれている。
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体罰問題が新聞によく掲載されているが、ただ体罰だけが問題とされていることが多いが、生徒がどんな悪いことをしてもただ体罰だけが問題になっていることも多いのではないか?生徒がシンナーを吸っていても、タバコをすっていても体罰だけが問題となる。生徒に批判されるべきことがあってもマスコミはそれを伝えない。むろん体罰は違法であり、許されることではない。
ただ、マスコミがあまりにかたよった報道をするために、学校も教育委員会もマスコミを信用しなくなり、できるだけ隠そうとする。そのために、学校現場ますます社会から隔絶された状態となる。学校現場はもっと開かれた社会でなければならない。マスコミの報道姿勢が変わることを期待したい。
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6 便利Web特集
(1)JuiceAndCandy リアルタイム作曲・演奏ソフト
リアルタイムに作曲し、演奏するフリーソフトが登場。非常に少ない容量で、豊富な演奏が簡単に
楽しめる。演奏中に曲調を好きなように変化させることも可能。和音間の協和・不協和を”イメージ”に関連づけて“無心”“酔狂”“魅惑”といった14種類のパラメーターに実装している。
(2)健康ネット
健康増進法、健康評価、生活改善を支援するプログラム等、健康に関するポータルサイト。健康・体力づくり事業財団提供。
(3)百人一首でオンラインタイピング練習
タイピングの練習を行うためのウェブサイトに「百人一首タイピング」が登場(無料)。百人一首の上の句が画面に表示されるので、対応する下の句をローマ字でタイピングする。「韓国語プチ入門タイピング」や「がんばれ受験生タイピング」もあり。
(4)「風邪」に関するサイト
☆健康情報
生活療法や介護商品を紹介。風邪の予防法〜対処法、食事療法もわかりやすく解説。
☆からだ快適レシピ
風邪や乾燥肌、疲れ目、口内炎などさまざまな症状に応じたおすすめレシピを紹介。
☆かぜを斬る!
原因、病型、治療、予防法、医学常識のウソ・ホントなど風邪症候群について紹介。
☆感染症情報センター〜インフルエンザ
インフルエンザについての最新情報いろいろ。疑問点などがあればQ&Aを参考に。
☆小児科ミニ知識
子どもの風邪や発熱など症状別にやさしく解説。かわむらこどもクリニックによる。
☆Kids Clinic
子どもの健康や育児に関する情報を提供。病気・症状別にドクターからアドバイス。
☆「かぜ」−予防とケアのAtoZ
かぜの予防とケア、対処法等。
7 教育関連情報
(1)群馬県では、県立高校の長期休暇を各校で校長が決定
群馬県教委はこのほど開いた定例委員会で、県立高校の管理規則を改定し、長期休暇を「63日以内」とすることを決めた。休日の最低日数を事実上廃止するもので、新年度から実施される。夏季▽秋季▽冬季▽学年末(春季)の各休暇日数を学校ごとに校長が定め、県教委に届け出る。
県立高校の長期休暇は2002年度まで、夏休み42日▽冬休み14日▽春休み7日と決められていた。週5日制の完全実施で授業時間が減少したことに伴い、03年度から「夏、秋、冬の合計が51〜56日」と改正し、最大5日間の短縮が可能になっていた。
☆★☆ 土井のコメント ☆★☆
大半の学校で長期休暇を短縮したそうである。あり得ることだ。
学校5日制は、教職員の週休2日制が主な原因である。他の、一般公務員に準ずる形に合わせるためだ。であるなら、長期休業も他の公務員並みに短縮しようという論理だ。これは、ある意味、やむを得ない。
授業日数を確保するために、二学期制や行事削減など、いろいろ取り組まれているが、長期休業を削減するのが一番簡単だ。そのための方策を、群馬県では、各校長に下駄を預けた形になった。
この動きが今後広まるのか、群馬県の高校だけで終わるのか、大いに注目したい。
(2)教員採用試験で指導案の作成など出題
神戸市教委は、2006年度採用の市立学校教員採用試験から、教師としての実践力を重視した試験内容に変更する。より多くの受験者を確保するため出題数を減らして、受験者の負担軽減も図る。実践力重視の試験は、専門教科の専門知識に加え、生徒への指導方法を問うため、指導案の作成を出題する。実技試験では、これまで1次試験で課していた小学校の体育実技、養護教諭の実技試験を、2次で実施する。面接試験では、集団討議や場面指導の充実を図る。
教職教養では、教育原理と教育史の出題を削減する。教育心理では校種別に児童生徒の心理を問う問題を出す。一般教養では、社会性の重視と英語活動の推進の観点から、時事問題と英語力を問う問題を増やす。思考力や数的推理、文章理解などの問題も出題する。
☆★☆ 土井のコメント ☆★☆
これは以前から思っていたことだ。プロ野球選手のテストは、投げたり、打ったりさせてみて力を見る。それなのに、授業のプロ教師のテストが、なぜ一般教養や作文なのか?授業をやらせたり、指導案を書かせる方が、より有効なのではないか?
神戸市では、即戦力重視の試験に一歩近づくようだ。実際には、出題方法や採点基準など、難しい問題もあろうが、ぜひとも現場の目で取りくんでもらいたい。
高校入試が変われば高中学校の授業が変わるように、教員採用試験がかわれば、大学の教員養成課程の授業内容も変わる。
(3)「脱ゆとり」の学力論争はおかしいぞ!
☆★☆ 土井のコメント ☆★☆
前回報告したように、OECDの調査に使われた問題は、単なる知識を問うものではない。学力論争で言われる「学力」とは異質の、さらに言うならもっと高次の学力を問う問題である。
あの結果を分析する前に、すぐに「総合はダメだ」「時間数が少ない」という前に、もっと結果を分析すべきであろう。その意味で、中嶋先生の講演は、「我が意を得たり」というものだ。
(4)「確かな学力」の育成をめざした静岡県版カリキュラム
静岡県教育委員会はこのほど、「確かな学力」育成のための「静岡県版カリキュラム」を作成した。カリキュラムは、国語、 社会、 算数・数学、 理科、 この方針に基づいて、 静岡県版カリキュラムでは、について、 小・中・高等学校で扱う学習内容を体系的・系統的にとらえた上で、 英語の9 年間で子どもたちに身に付けさせたい内容を明確にすることを中心に編成。教科によっては、教科の特性から取り上げていない内容も掲載している。
http://www.shizuoka-c.ed.jp/spc/
☆★☆ 土井のコメント ☆★☆
これはすごい。
「カリキュラム」というと、つい「学習指導要領」の解説、あるいは教科書会社が作成した指導書を思い浮かべてしまうが、これは全然違う。
静岡県の高校入試問題は、全国でも出色である。その問題を出す静岡県に興味があったが、こんなものを作るパワーがあった。個々の内容はまだまだおおざっぱだが、視点はおもしろい。詳しい解説は省くが、見る目のある人が見ればすごさが分かるはずだ。