第23回 社楽の会報告    第22回へ   第24回へ
                                  報告者 布袋中 土 井

 3月2日(木)7:00〜9:15,布袋北学供にて第23回の社楽の会を開催しました。
参加者は,土井木本勝村奥村大島尾関,川井,高木,栗林,高橋,日比野(敬称略),和田先生,水野皓司先生の13名です。

☆ 初めは,勝村先生の校内研究発表会のレポート「一人一人のよさを生かす学習指導の展開−児童の主体性を大切にし,表現力を高める授業をめざして−」の紹介です。基本的には本年度の資料集部会の考え方と同じで,なかでも問題づくりの時に個への支援を類型化しているのが特徴です。問題意識が持てない生徒,問題意識が浅く追究に耐えうる問題が設定できない生徒を選び,それぞれに応じた支援をします。
 高橋先生は,問題づくりのために,@手引きを配る,Aそのまねをさせる,Bいい話し合いのできるものを選ぶ,と段階的に指導しているそうです。特に,安易に「なぜ〜だろう」と作らせないのがコツだそうです。
 木本先生からは,3人の武将(信長・秀吉・家康)のディベートは,政策面に議論が集中し,意見がかみ合わないという話が出ました。どんなテーマで行うといいのか,どなたか実践を報告して下さい。

☆ 続いて,木本先生から,環境学習で行った手紙による資料収集の報告です。
 地域交流センター(〒189 東村山市栄町3ー4ー9)が最も親切で,大量の資料と手紙が送られてきたそうです。中でも『環境学習の進め方(中学生用)』は,具体的に環境調査の方法が書かれており,わかりやすいということでした。
 ちなみにグリーンピース・ジャパンは,入会申込書が送られてきただけだそうです。

☆ 同じく木本先生から,小林よしのり『ゴーマニズム宣言』を紹介していただきました。週刊SPA!に連載中で,部落差別の問題などの社会的な問題を,漫画で痛烈に描いています。扶桑社から単行本(\700)が出ています。

☆ 大島先生は本の紹介です。『日本・世界大事件史−資料でのぞく世界の舞台裏−』(国会資料編纂会)で定価\29,500。実際には1万円ほど安く買えるそうです。
 田中正造の演説,大平首相の最後の演説,安重根の供述,長嶋茂雄の引退スピーチなど,歴史的な演説や手紙が87編,その他条文などの資料が載っています。興味のある人は見せてもらって下さい。

☆ 土井からは,『現代教育科学』7月号(明治図書)の原稿依頼についてです。特集“なぜ新しい史観が問われるか”の「調査分析・子どもの近現代史認識」(学校で調査し,その結果をふまえ提起して下さい)という依頼です。「戦後50年を契機に,これまでの侵略史観にかわる新しい史観を提示することが必要でないか」という主旨の編集部のコメントがついていました。先生方はどうお考えでしょうか。
 考えてみると,これまでこうした問題に触れることを避けてきたのかもしれません。特に中学校では,授業時間の不足で,近現代史は簡単にしか扱ってきませんでした。また,あまりにも個人の思想・心情に大きく左右される難しいところです。
 栗林先生は,明治からの流れとして大きくとらえるべきだというお話がありました。
 水野先生は,これは現代史をどうやって教えていくかという問題であり,何を正しく教えていくかを考えなければならないと言われました。
 今年の資料集部会は,“戦争”を扱います。今年1年,じっくり戦争について考えてみたいと思います。
・ 全国教研社会科教育分科会への参加報告です。さすがに,全国からユニークな実践が寄せられました。自分なりにまとめたものを紹介しましたので,興味のあるものがありましたら,またお尋ねください。
 最後に,共同研究者の緒方先生(日体大)から,「戦争教育はなされているが平和教育になっていない」という厳しい指摘がありました。
 緒方先生によれば,戦争教育とは戦争の実態や悲惨さを正しく伝えること,平和教育とは,戦争を起こさないために何をすべきか考えることだそうです。参考にしたいと思います。
・ 戦争関係資料を15点紹介しました。ほとんど古本です。現物は,次回持っていきます。

☆ 高橋先生は,2月の第1日曜に行われた,長野県伊那小学校の総合学習の研究発表の報告です。伊那小学校は,通知票なし・担任6年間持ち上がりの場合有り・カリキュラムは担任が作成するなど,ユニークな実践で知られています。
 その総合活動では,たとえば5年正組では,年間を通してリサイクルハウスを作る活動をします。図面づくりから,基礎工事・建前,工事,泊まっての利用までを計画的に行います。その過程で,知識を含めた多くのことを学ばせるのです。
 また,1年生の明組の学習年間計画を見ると,従来の教科名が見あたりません。“自然・社会,言語,数,表現・運動”という領域?に分かれています。
 このほか,既成概念にとらわれていた私が見ると,あっと驚くようなことが紹介されました。ぜひ,来年は自分の目で確かめてみたいと思います。

☆ 尾関先生は,古中で卒業記念に作っているペーパーウェートとそこに書かれる四文字熟語を紹介していただきました。木曽川の丸石を磨き,字を書きニスを塗るというものです。とてもきれいで,おもしろいと思いました。

☆ 水野先生は,初任者研修会資料「道徳教育のすすめ方」を紹介してくださいました。
A4で32枚にわたるもので,大口南小の資料がベースになっているそうです。じっくり読ませていただきます。
・ 新潟県内野小学校の環境教育の研究紀要を紹介していただきました。
 今年度の資料集部会は環境教育を扱いましたが,あくまでも自然環境が対象でした。しかし,内野小学校では,環境を「自然環境と社会環境(文化環境・歴史環境)」と広くとらえ,最終的には,児童が人としてどのように生きていくのかを自分自身で考え実践していく力を身につけていくことを目標にするとしています。このスケールの大きさに感心しました。本当にいい資料をいただきました。
この後,森 信三先生(神戸大学)の「中等育原理講義記録」を紹介していただきさらに,次のような話をうかがいました。ありがとうございました。
 ・30代にやるかやらないかは,45歳を過ぎて表れる
 ・懸命の後は不動(関戸岩倉市教育長の言葉)
 ・いい言葉はメモしよう 

☆ 奥村和彦先生から,長崎の被爆体験をもち,命の大切さを訴えている犬山市在住の方の話を犬北小の6年生に聞かせたという話を聞きました。すばらしい話をされたそうです。
 

      問い合わせは 土井謙次  syaraku@tcp-ip.or.jp