1 岡本 薫氏講演会
9月10日に行われた教師力アップセミナーの様子を別紙で紹介しました。
講師は、文部科学省スポーツ・青少年局 企画・体育課長 岡本 薫氏。かつて大阪で話を聞きましたが、土井がこれまで聞いた講演の中でも、「この人は頭がいい」と思ったのは、向山洋一氏と双璧です。
演題は「新時代の教育とスクールマネジメントの課題」
2 書籍紹介
『新訂 入門・生涯学習政策』岡本 薫
『失敗の本質 −日本軍の組織論的研究−』中公文庫
『教育論議を「かみ合わせる」ための35のカキ』岡本 薫
3 科学技術これから30年 未来年表
文部科学省科学技術制作研究所が1971年からほぼ5年ごとに行っているアンケートで未来予測をまとめてきた。今回8回目では、どのような予測が出されたか?
4 NHKわくわく授業−“演技“で深める 感じる力−田中龍三先生のドラマ科−
昨年放送されたものの再放送である。
【NHKのホームページより】
ボール、ありじごく、アメンボ…。
全身を使ってポーズをとり、ものや動物になりきる不思議なレッスン。ドラマ科は、相手の心を受け止め、自分の気持ちを表現することを教える教科です。
大阪教育大学附属池田中学校でこの授業を担当する田中龍三先生は、専門が音楽の教師。「最近の子どもは、人とのかかわり方や、感情の表現が、苦手になっているのではないか」そう感じた先生が、イギリスの教育方法を取り入れて仲間の先生たちと作ったのが、このドラマ科です。文部科学省の研究開発学校の指定を受け、昨年度後期からは、池田中学1年生の必修科目にもなっています。
番組では、五感を研ぎ澄まして相手の気持ちを汲み取り、瞬発力や想像力を高めるレッスンをする 1年生の必修授業と、言葉の中にある意味を考えて、表現するレッスンを行う3年生の選択授業の両方を取材しました。ひとつの言葉にこもるたくさんの思いを探し、感じる力、表現する力をはぐくむ田中先生の取り組みを紹介します。
《番組の実際》
相手に言われたものになりきって、体で表現する授業。あり地獄、水、へびなど、 相手の言葉にすぐに反応するのがルール。自分の感受性をさらけ出す。
1年生ドラマ科(必修)「ウォーク」では、歩きながら、先生の指示に従って歩き方を変える。「へとへと、怒る、38度の熱、ルンルン」など、具体的に何かを想像して歩き方を変える。人によって、動きの変化が違う。「具体的に気持ちの原因を考えるように」という指示で動きが変わる。
田中先生はもともと音楽教師。「今の子は感情表現が苦手になっている」と言う。そこでイギリスの教育方法を取り入れたのがドラマ科で、経験や体験、知識を即興的に表現することを要求する。考えてはダメ。「鏡になってください。私が動きますから同じように動いてください。」これだけで集中力が高まる。
「フルに感覚を使う経験がない。将来、いろいろな職業に就く子どもたちに、感覚を使う場を提供したい。」と言う。
相手の気配を感じる授業。グループで1から順に数字を言う。重なったらダメ。やりなおし。やっていくうちに気配を読めるようになる。
握手の授業では、最初に握手をする。そして、何人かと握手をして、その人を当てる。手を握ってはっきり分かったその感触。自分にはその感覚があることを知って驚く生徒。
手の大きさ、強さ、湿り気、握る時の気持ちなど、多くの要素があることを学ぶ。
人の気持ちを理解しよう、自分のことを理解しようと言うが、その方法は難しい。このような遊びの中でこそ実現できる。
3年生 額縁の中に表現する。テーマは「ゴメンネ」
いろんなゴメンネがある。ゴメンネをもとにグループでストーリーを作る。ポーズで一人ひとりの心理状態を表現する。ストップモーションで振り付けを解説する。パントマイム、寸劇へと続く。生徒は、「いろいろなキャラクターになることで、人の気持ちを考えるようになった。」と言う。
ドラマ科とは、結局人とかかわるということ、すなわちコミュニケーションの力を育てる授業のようである。
☆★☆ コメント ☆★☆
今の小中学生をどうとらえるかというアンケート調査で、いつも上位に顔を出すのがコミュニケーション力の不足である。コミュニケーション力とは、自己表現力であり、相手の気持ちを察する能力であり、経験であり、感受性である。コミュニケーション力を分析し、それぞれの要素を育成する手法をあみ出し、カリキュラムかしたものがドラマ科である。
確かにおもしろい。一見遊びのようだが、一つ一つに意味があり、子どもたちが自分や友人を再発見している。
5 自然災害被害“隠してました” 中日新聞14日付朝刊より
【北京=加藤直人】十三日付の中国各紙によると、中国の国家保密局と民生省は、自然災害による死者数や被害状況を今後は秘密扱いとせず公表する方針を明らかにした。中国紙には「秘密解除は(自然災害に対する)国際援助に有利」と歓迎する論調もあるが、今回の方針公表で中国政府が死者数などをこれまで秘密扱いとしてきたことが裏付けられた形だ。(中略)沈氏は、「さまざまな歴史的条件で秘密としてきた」と述べたうえで、改革・開放政策の進展や救援活動を進めるうえでの必要性、国際社会と同じ(統計上の)やり方がふさわしい−などの理由で好評に踏み切ったとした。(後略)
☆★☆ コメント ☆★☆
当たり前のことができなかった中国が、できるようになりつつあることを評価したい。さらに過去の事実も、改めて正確に調べて発表する度量を望みたい。これができてこその近代国家と言えよう。
5 自然災害被害“隠してました” 中日新聞14日付朝刊より
【北京=加藤直人】十三日付の中国各紙によると、中国の国家保密局と民生省は、自然災害による死者数や被害状況を今後は秘密扱いとせず公表する方針を明らかにした。中国紙には「秘密解除は(自然災害に対する)国際援助に有利」と歓迎する論調もあるが、今回の方針公表で中国政府が死者数などをこれまで秘密扱いとしてきたことが裏付けられた形だ。(中略)沈氏は、「さまざまな歴史的条件で秘密としてきた」と述べたうえで、改革・開放政策の進展や救援活動を進めるうえでの必要性、国際社会と同じ(統計上の)やり方がふさわしい−などの理由で公表に踏み切ったとした。(後略)
☆★☆ コメント ☆★☆
当たり前のことができなかった中国が、できるようになりつつあることを評価したい。さらに過去の事実も、改めて正確に調べて発表する度量を望みたい。これができてこその近代国家と言えよう。
6 便利Web特集
(1)18年度文部科学省概算要求は6兆2746億2600万 昨年実績比5413億5500万↑
文部科学省は、平成18年度の概算要求を、同省サイトに掲載した。一般会計の要求額は6兆2746億2600万としている。
▲上記ホームページで課題練習用ソフトを無料配信中!
▲成績優秀者には内閣総理大臣賞、豪華賞品などを授与!
【期 間】2005年10月8日(土)〜30日(日) 締切りは30日(日)
【費 用】学校500円 その他団体700円 (いずれも税込み)
【問合せ】Tel:0428-24-1163 mail:info@maipaso.net
(3)「地図に残す仕事」してみませんか
国土地理院では「風力発電用風車」と「老人ホーム」の新しい地図記号のデザインを小学生・中学生から募集。採用されたデザインに基づいて定められた地図記号は、今後長く国土地理院の2万5千分1地形図などに使われる予定。風力発電用風車・老人ホームの説明も用意されている。
(4)与党の実績と各党政権公約を採点 経済同友会◆
経済同友会(代表幹事 北城恪太郎)は、小泉内閣と与党の実績と、自民、公明、民主各党が今回の衆院選で掲げたマニフェスト(政権公約)を採点した。都内で開催した学者や経済人で構成する「新しい日本をつくる国民会議」(21世紀臨調)で発表された。
☆★☆ コメント ☆★☆
これって、勝手に採点して公開するのは選挙妨害にはならないのかな?言論の自由は大切だが、選挙妨害や人権侵害と紙一重だ。
(5)『地図』に関するサイト
目的別、用途別に見たい地図が必ずみつかるはず。変わりダネとしては、TVアニメの舞台となった実在の場所を、主人公の足跡とともに紹介するサイトや、御利益解説付きの寺社めぐりサイトなど。
きれいな彩色で、等高線や地図記号も鮮明に分かる日本全国の「彩色地形図」を見ることができます。「地図博士の部屋」では、地図についてのあれこれが分かりやすく解説されており、地理の学習の資料としておすすめです。
目的地までのルート検索ができる「るーとMap」、観光地別に検索し、周辺の詳細地図を見ることができる「観光楽地図」など便利で実用的な地図が満載です。美術館の地図とともに、開催中の展覧会の情報も分かります。
(7)初等中等教育における国際教育推進検討会報告
・「初等中等教育における国際教育推進検討会報告(案)」寄せられた意見
・モンゴルにおける対日世論調査(初)−きわめて高い親日度
・ロシアにおける対日世論調査−63%が現在の関係を良好と認識
(9)CO2総排出量計算機能を追加した路線探索ソフト
路線探索ソフトで、今までの「時間順」「運賃順」「定期順」の経路探索に加えて、新たに二酸化炭素
総排出量順(「CO2排出量順」)の探索可能に。探索結果には、当該経路の二酸化炭素総排出量の他、
同じ距離について乗用車を利用した場合の二酸化炭素総排出量も併記される。
品川駅→大阪駅間でのCO2総排出量比較
・品川駅−新大阪駅間 新幹線利用時 約9.8Kg
・羽田空港−大阪国際空港間 航空機利用時 約59.4Kg
・乗用車利用時 約95.0Kg
(10)2005年08月12日に発表された食料自給率の平成16年度値(概算)
大豆の自給率はまたまた減少して、3%となりました。
7 教育関連情報
(1)成績向上の秘密兵器、15分の昼寝タイム!
今年6月、全国の公立高校で初めて「昼寝タイム」を導入した福岡県立明善高校で、「授業に集中できる」などアンケートで生徒が昼寝の効果を認めていることが分かった。県内有数の進学校である同校では、勉強や部活動、メールのやりとりなどで、生徒の睡眠時間の不足が指摘されていた。
昼寝タイム導入に協力した久留米大学医学部の内村直尚助教授らが、同校を含む久留米市内の高校8校を対象に行ったアンケートで、6割を超える生徒が「十分な睡眠が取れていない」と答え、「平日の日中、我慢できない眠気を感じる」とした生徒も8割を超えた。
最近の研究で「昼間、短時間の浅い睡眠を取れば作業効率が高まる」ことが分かったため、同校は昼休み中に15分間の昼寝を勧めることにした。昼寝タイムには、校内放送でモーツァルトの静かな曲を流し、生徒たちは机に顔を伏せて仮眠する。
導入40日後に内村助教授らが、生徒を対象にアンケートを行った結果、週1回以上、昼休みに昼寝をした生徒は208人、仮眠しなかった生徒は595人だった。昼寝する生徒の61%が「授業に集中できている」と回答。しなかった生徒の46%を大きく上回った。「成績が向上した」「勉強のやる気がある」「体の調子がいい」と答えた割合も昼寝組が高かった。
☆★☆ コメント ☆★☆
これは画期的。自分も、今の職場で、昼休みに時々昼寝をしているので本当に納得できる。はっきり言って、10分から20分の睡眠で午後の仕事の能率が全然違う。真剣に研究する価値がある。
(2)教員人事権の中核市移譲で一致=中教審部会
中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)義務教育特別部会は1日、都道府県・政令市が持っている公立小中学校の教職員人事権を市町村に移譲する是非について議論し、人口30万人以上を要件とする中核市に移譲する方向で一致した。
権限移譲に当たっては、「小規模市町村の人材確保に留意すべきだ」「地域間の格差が生じないよう、広域で人事調整する制度が必要だ」などの意見も出されたため、文科省でさらに詰める。教育委員会の設置を義務付けた規制の緩和をめぐっては、「政治的中立性を確保するため、規制を維持した方が害が少ない」と規制維持を求める意見が大勢を占めた。
☆★☆ コメント ☆★☆
方向性として理解できる。愛知県では、豊橋市、岡崎市、一宮市、豊田市、さらに近い将来春日井市が当てはまるが、大きな権利を得るためには大きな負担が必要なことを十分理解することが必要である。
現在、都道府県教委がやっていることを市レベルで行うには、かなりの人的負担が必要になる。それ以上に、市独自の教育ビジョンがより重要になることは言うまでもない。
(3)教職員7人戒告処分(青森)
県教委は7日、車で速度違反や人身事故を起こした教職員7人を戒告処分としたと発表した。
速度超過で処分を受けたのは、上北地域の高校の男性事務職員(36)、西北地域の中学校の女性養護教諭(51)、中南地域の小学校の女性教諭(40)、下北地域の中学校の男性教諭(29)、三八地域の中学校の男性教諭(34)の5人。
☆★☆ コメント ☆★☆
スピード違反でも戒告処分がある。気をつけたい。
(4)小学校での英語教科必修化に反対》慶応大学教授ら◆
中央教育審議会で「小学校での英語必修化」についての議論が盛んだが、公立小学校での英語の教科化に反対する大津由紀雄慶応義塾大学教授らは、7月19日51名の署名とともに、中山成彬文部科学大臣宛に「小学校での英語教科化に反対する要望書」を提出した。反対の理由として「十分な知識と指導技術をもった教員が絶対的に不足している」「国語教育との連携について明確なビジョンが提示されていない」「学力低下問題と小学校での英語教育」などをあげている。
http://www.otsu.icl.keio.ac.jp/takita/
☆★☆ コメント ☆★☆
既定路線のようになっている「小学校の英語必修化」に、こうして反対の声が上がるのはある意味で健全だ。反対があって、より確かなものができあがる。
(5)「全国学力テスト」を実施 〜07年度からすべての小6と中3を対象に
文部科学省は2007年度から児童生徒の学習到達度を測る『全国学力テスト』を実施する方針を固めた。対象は小学校6年生と中学校3年生、教科は国語と算数・数学の2教科、実施時期は1学期のようだが、学校間の競争や序列化が起きるのではないかといった心配の声もあがっている。
☆★☆ コメント ☆★☆
岡本薫氏は言う。「テストは目標に到達しているかどうかを測るもの。目標がないのにテストをすれば、結果は都道府県や市町村、さらには学校間の比較に使うしかない。」その通りだ。
さらに前回のことをお願いしたい。問題は、考える力を重視するなどの授業改善につながるものであってほしい。単に、知識・理解を図るものは百害あって一利無しである。