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報告者  土 井

2006年5月25日(木)布袋北学習等供用施設にて社楽の会を開催しました。参加者(勤務校)を紹介しましす。
土井、高橋先生(門弟山小)、早川先生(江南北中)、大野先生(岩南小)、尾関先生(曽野小)、勝村先生(楽田小)、栗本先生(木曽川東小)、の7名でした。

 土井より、今回紹介したものの目次です。番号をクリックしてください。

  教師力アップセミナー有田和正講演!
 学校の危機管理
 全国的な学力調査に関する資料
  教育基本法 民主党案
  JOHA(Japan Oral History Association:日本オーラル・ヒストリー学会)
  わくわく授業 私の教え方
 便利Web特集
 教育関連情報
 MM紹介

10 耳より情報

教師力アップセミナー有田和正講演!
 5月20日より小牧中学校で始まった平成18年度教師アップセミナー。第1回は有田和正先生の講演会。詳細はHP内の講演記録に譲るが、印象に残ったことを書き並べてみたい。
○ あくなき追究の姿 … 70歳になっても変わらない追究の姿は大村はま先生の姿だ。
○ 子どものような好奇心 … 食事をしながらしたミミズの解剖の話に目が輝いていた。あの目 はまさに子どもの目だ。
○ 自腹を切らないと本当の研修はできない … その通り!
○ 「百聞があって一見が生きる」
 個人的には、社会科の見学や取材は3回がベストだと思っている。1回目で概要がわかる。2回目で課題がわかる。3回目で解決する。4回目以降は得られる情報が急激に減る。これが、3回の法則だ。もしも見学が1回だけなら、その前に百聞をすませておくべきだろう。
 
 学校の危機管理
 メールで「危機管理について特集を!」というリクエストがあった。そこで、次のサイトを紹介したい。
 まずもって、「学校が知っておきたい危機管理・教育シリーズ」が充実している。第1回の講演記録「学校の危機管理と説明責任について」は体系的にまとまっている。
    http://www.geocities.jp/kagawaschool/kikikannri1.html 
これを皮切りに、危機管理を中心に71回の連載がある。その最新号を引用して紹介したい。
−−−−−−−−−−−−−−−−以下引用−−−−−−−−−−−−−−−−−
 「学校の危機管理のキーポイントー学校におけるダメージコントロールー」
                     香川大学教育学部助教授 阪根健二
 もし,学校で問題事例が発生した場合に、最も大切なことは,児童生徒の生命や安全、人権の確保である。このことは,どんな場合でも最優先事項であることは誰しも分かっている。しかし、事件発生直後はパニック状態となり、有効な手だてがとれないことが多い。特に、報道対象となる事案の場合、その対応の可否によって、一層混乱状態になってしまうことがある。
 そこで、以下の3点をキーワードとして押さえておきたい。
@   最初の一手を打っておく。
 危機状況に陥れば、そこでは少なからず混乱状態が予測される。その場合は、即座に最初の一手を打っておくことだ。それは決して最善手でなくても、それによって時間が稼げることで、冷静に対応することが可能となる。この一手が、管理職員の判断力・決断力なのである。マスコミ対応の記者会見の設定も、その一手段なのである。(事件発生直後には、各報道機関それぞれに対応できるだけの余力がなく、情報も収集できていないのが現実である。)
A   情報共有のレベルと範囲を決める。
 事案の内容によっては、学校内だけに情報を留めておけない事例もあり、その隠匿によって、後で大きな問題に発展したこともある。逆に、人権的配慮からあえて公表の必要のないものもある。どこまで伝えるかは管理職員の最も大きな裁量権である。
 ただ、昨今は公開が原則になっているが、その判断にあたっては、監督権者との意志疎通が欠かせない部分である。
 また、通学路での不審者情報は、全保護者に伝えるべき情報であるが、レベルを決めて、周知する必要がある。不安をあおることも避けたい。ただ、実際に事件が起きた場合は、どんなささいなことでも近隣の学校にも早急に伝えないといけない情報である。
B   社会的な視点から、問題や対処方法を俯瞰する。
 学校内だけの視点で考えると、狭い了見から意外な落とし穴が待っている。これを教員以外の目から見るとどう思うかという視点で考えて欲しい。マスコミ報道などで、学校の対応が非難されるのは、実はこういった視点のズレなのである。そのため、PTA等などの外部の意見を聞くことも一考であろう。(誰が見てもおかしいことは、おかしいことなのに、意外と自分たちだけの価値判断が優先され、それに気づかないものである。)
 昨今、少年による殺人事件を含め、様々な問題が起こっている。極めて由々しい状況である。そういった中で、是非頭においてもらいたいことは、大きな事件であればあるほど,必ずといっていいほど、類似事件が発生しやすいことにある。そして、後発の事件ほど、平素ではたいしたことがない場合であっても、より報道対象になりやすく,その処理に手間取ることは多いものであることを意識しておくことである。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−引用終わり−−−−−−−−−−−−−−−−−
 事前の準備は大切だが、もしも何か起こったときにどう行動するかの判断が重要である。この「ダメージコントロール」は、日頃からシミュレーションして、慣れておくおくことが重要となる。
 
 慣れておくという点では、「危機管理マニュアル / 岡山県教育委員会」平成13年3月 は読みやすい。
        http://www.pref.okayama.jp/kyoiku/gakko/manual/index.htm 
 幅広い分野の様々な事件・事故を分析・検討し,各学校における望ましい対応のあり方等についての基本的な指針を示した危機管理マニュアルである。
 
 まず、危機管理マニュアルを作らなければというところは、教育委員会 危機管理マニュアル」岩手県教育委員会 平成13年12月作成  が参考になる。授業中の事故から、テロへの対応まで幅広い。
  http://www.pref.iwate.jp/~hp0902/info/2005/kikikanri.pdf 
 
 不審者対策と登下校の安全に絞ったのが、「学校の防犯マニュアル」 横浜市教育委員会 17年7月
http://www.city.yokohama.jp/me/kyoiku/sidou1/bouhan/index.html 
 さらに、それに地震対策を加えたのが、「学校における安全管理の手引」
  http://www.pref.nagasaki.jp/edu/info/pdf/manual.pdf 平成17年6月長崎県教育委員会
「学校における危機管理の手引」 熊本県教育委員会 平成17年8月一部改訂 は、具体的な事例に基づいて書かれているので読みやすい。健康被害対策にも取り組んでいる。
       http://www.pref.kumamoto.jp/gyousei/edu/link/kikikanri/index.html 
「学校における危機管理の手引」 群馬県教育委員 http://www.pref.gunma.jp/kyoi/01/kikikanri/kikikanri.htm セクハラ、交通事故、報道機関への対応も含めて、広い意味での危機管理も含んでいるので目を通しておきたい。
 防災では、あまりにも有名な次の資料がある。「防災教育指導資料」 山梨県総合教育センター 
    http://www.kai.ed.jp/bousai/mokuji.htm 
 
 危険だから新しいことを何もしないのでは教育にならない。想定される危険を少しでも減らす工夫と、想定外の事件・事故が起こってしまったときの対策を、事前にしっかりやっておくのが危機管理。充実した教育活動を行うためには避けて通れない。
 
 全国的な学力調査に関する資料
 文部科学省が、全国的な学力調査に関する資料等をまとめて掲載。新たな義務教育の質を保証する仕組みを構築するため、国の責任により義務教育の結果の検証を行う観点から、全国的な子ども達の学力状況を把握する全国的な学力調査を平成19年度から実施することとして準備中。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/gakuryoku-chousa/index.htm 
 さらに、次の記事が届いた。
全国的な学力調査の平成19年度調査予定日について(お知らせ)/初等中等教育局長談話
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
全国的な学力調査については、小学校6年生の国語及び算数、中学校3年生の国語及び数学を対象として、平成19年度の早い段階において調査を実施すべく、昨年11月より専門的な検討を進めてまいりましたが、本日、実生活での活用力を測ることや、序列化につながらないよう配慮することなど、具体的な実施方法や内容に関する大きな方向性を示す最終報告が、専門家による会議から示されました。
 全国的な教育の機会均等と水準の維持向上に責任を負っている文部科学省としては、全ての教育委員会、学校、教員の方々がその結果を活用して主体的に指導改善等を図っていただくため、原則として全児童生徒を対象に調査を実施していくことが重要であると考えます。今後、最終報告における調査の趣旨や配慮すべき点などを踏まえて、実施要領を作成して各都道府県や市町村に説明するなどにより協力と理解を求め、平成19年度の円滑な実施に向けて鋭意努力してまいります。
 なお、改めて実施要領を説明する際に都道府県等にお知らせしてまいりますが、平成19年度の出来るだけ早い段階で調査を実施し、出来るだけ早く結果を返却して指導改善などに役立ててもらうことや、運動会などの学校行事などを考慮し、小学校、中学校ともに、平成19年度の調査日を4月24日(火曜日)にする予定であることをご報告いたします。
  平成18年4月25日             初等中等教育局長 銭谷 眞美
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/18/04/06042500/001.htm 
☆★☆ コメント ☆★☆
 かつての学テ闘争の事実を知っている人には心配されることだろう。あの過ちを繰り返してはならないという思いには共感出来る。
 ではどうすればよいのか?
 ずばり、問題の質を高めることだ。全国共通問題ということを、むしろ利用したい。
 教育の質は出口で決まる。
 教育を知識重視から思考・判断力に変えたいと思うなら、入試問題を思考・判断力重視の問題に変えればよい。高校入試で、例えば静岡県の社会科のような問題なら、中学校の社会科授業の内容が変わる。単なる知識だけではできない問題だからだ。 
 同様に、大学入試の問題の質が変われば、高等教育の質が変わるだろう。それは、高校入試の質の変化につながるであろう。
 この考え方でいくなら、全国共通の学力テストの質を上げると、それに対応するための授業の質が上がる。思考力重視の問題に対応するためには、そうした授業が成立しなくてはならない。
 たとえばPISAのような問題に対応するなら、日頃から柔軟な思考を要する訓練が必要だ。
 全国学力調査を全国の学校の授業改革のきっかけにしよう!
 OECD生徒の学習到達度調査(PISA)の問題例が公表されている。
  http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/001/index28_2.pdf 

 教育基本法 民主党案
 前々回の与党案に引き続き、民主党案も見てみたい。もう一度、項目を並べる。
 
《現行法》前文、教育の目的、教育の方針、義務教育、男女共学、学校教育、社会教育、政治教育、宗教教育、教育行政、補足
 
《与党案》前文、教育の目的、教育の目標、生涯学習の理念、教育の機会均等、義務教育、学校教育、大学、私立学校、教員、家庭教育、幼児期の教育、社会教育、学校・家庭および地域住民等の相互の連携協力、政治教育、宗教教育、教育行政、教育振興基本計画、補足
 
《民主党案》前文、教育の目的、学ぶ権利の保障、適切かつ最善な教育機会・環境の確保・整備、学校教育、教員、幼児期の教育、普通教育・義務教育、高等教育、建学の自由・私学の振興、家庭における教育、
地域における教育、生涯学習・社会教育、特別な状況に応じた教育、職業教育、政治教育、生命・宗教に関する教育、情報文化社会に関する教育、教育行政、教育振興に関する計画、教育財政、法令の制定、施行期日
☆★☆ コメント ☆★☆
 与党案が「生涯学習の理念」を前面に出しているのに対して、民主党案は「生涯学習」を「社会教育」という狭い範囲しか含んでおらず、民主党案の勉強不足は否めない。しかし、与党案では短い表記しかなかった障害者への教育を、「特別な状況に応じた教育」として項目をおこしたり、職業教育、生命・宗教に関する教育、情報文化社会に関する教育など、細かすぎるかもしれないが与党案にはない概念を含んだりするなど、捨てがたい部分もある。ここは、両方の案を摺り合わせて、より良いものを検討する方が良いではないかと思うが、どんなものだろう。以下、民主党案を前文引用する。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 日本国教育基本法案(新法)要綱 民主党案
二〇〇六年五月十五日
 
日本国教育基本法案要綱
「前文」
心身ともに健やかな人間の育成は、教育の原点である家庭と、学校、地域、社会の、広義の教育の力によって達成されるものである。また、日本国民ひいては人類の未来、我が国及び世界の将来は、教育の成果に依存する。我々が直面する課題は、自由と責任についての正しい認識と、また、人と人、国と国、宗教と宗教、人類と自然との間に、共に生き、互いに生かされるという共生の精神を醸成することである。我々が目指す教育は、人間の尊厳と平和を重んじ、生命の尊さを知り、真理と正義を愛し、美しいものを美しいと感ずる心を育み、創造性に富んだ、人格の向上発展を目指す人間の育成である。更に、自立し、自律の精神を持ち、個人や社会に起る不条理な出来事に対して、連帯で取組む豊かな人間性と、公共の精神を大切にする人間の育成である。同時に、日本を愛する心を涵養し、祖先を敬い、子孫に想いをいたし、伝統、文化、芸術を尊び、学術の振興に努め、他国や他文化を理解し、新たな文明の創造を希求することである。我々は、教育の使命を以上のように認識し、国政の中心に教育を据え、日本国憲法の精神と新たな理念に基づく教育に日本の明日を託す決意をもって、ここに日本国教育基本法を制定する。
(教育の目的)
第一条
○ 教育は、人格の向上発展を目指し、日本国憲法の精神に基づく真の主権者として、人間の尊厳を重んじ、民主的で文化的な国家、社会及び家庭の形成者たるに必要な資質を備え、世界の平和と人類の福祉に貢献する心身ともに健やかな人材の育成を期して行われなければならない。
(学ぶ権利の保障)
第二条
○ 何人も、生涯にわたって、学問の自由と教育の目的の尊重のもとに、健康で文化的な生活を営むための学びを十分に奨励・支援・保障され、その内容を選択・決定する権利を有する。
(適切かつ最善な教育機会・環境の確保・整備)
第三条
○ 何人も、その発達段階及びそれぞれの状況に応じた、適切かつ最善な教育機会・環境を確保・整備される権利を有する。
○ 何人も、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない。
○ 国及び地方公共団体は、すべての幼児・児童・生徒の発達段階及びそれぞれの状況に応じた、適切かつ最善な教育機会・環境の確保・整備のための施策を策定し、それを実現・実施する責務を有する。
○ 国及び地方公共団体は、経済的理由によって修学困難な者に対して、十分な奨学の方法を講じなければならない。
(学校教育)
第四条
○ 国及び地方公共団体は、すべての国民及び日本に居住する外国人に対し、意欲をもって学校教育を受けられるよう、適切かつ最善な学校教育機会・環境の創出と確保・整備に努めなければならない。
○ 学校教育は、我が国の歴史と伝統文化を踏まえつつ、国際社会の変動、科学・技術の進展その他の社会経済情勢の変化に的確に対応するよう努めなければならない。
○ 学校教育においては、学校の自主性及び自律性が十分に発揮されなければならない。
(教員)
第五条
○ 法律に定める学校は、公の性質を有するものであり、その教員は、全体の奉仕者であって、自己の崇高な使命を自覚し、その職責の十全な遂行に努めなければならない。
○ 法律に定める学校の教員は、その身分が尊重され、その待遇が適正に保障されなければならない。
○ 教員の養成と研修の充実が図られなければならない。
(幼児期の教育)
第六条
○ 幼児期にあるすべての子どもは、その発達段階及びそれぞれの状況に応じて適切かつ最善な教育を受ける権利を有する。
○ 国及び地方公共団体は、幼児期の子どもに対する無償教育の漸進的な導入に努める。
(普通教育・義務教育)
第七条
○ 何人も、義務教育を受ける権利を有する。保護者は、その保護する子どもに、別に法律で定める期間、普通教育を受けさせる義務を有する。
○ 義務教育は、真の主権者として民主的で文化的な国家、社会及び家庭の形成者を育成することを目的とし、基礎的な学力の修得及び体力の向上、心身の調和的発達、道徳心の育成、文化的素養の醸成、国際協調の精神の養成及び自主自立の精神の体得を旨とする。
○ 国は普通教育の機会を保障し、その最終的な責任を有する。
○ 国は、普通教育に関し、地方公共団体の行う自主的かつ主体的な施策に配慮し、地方公共団体は、国との適切な役割分担を踏まえつつ、その地域の特性に応じた施策を講ずるものとする。
○ 国又は地方公共団体の設置する学校における義務教育に関する授業料については、これを徴収しない。
(高等教育)
第八条
○ 高等教育は、我が国の学術研究の分野において、その水準の向上及びその多様化を図るとともに、社会の各分野における創造性に富む担い手を育成することを旨として行われるものとする。
○ 高等教育を行う学校は、社会に開かれたものとなるよう、職業人としての資質の向上に資する社会人の受入れ拡大、地域・産業・文化・社会などの活性化に資する人材の養成を目指す関係者との連携等を積極的に図るものとする。
○ 高等教育は、無償教育の漸進的な導入及び奨学制度の充実などにより、能力に応じ、すべての者に対して高等教育を利用する機会が与えられるものとする。
(建学の自由・私学の振興)
第九条
○ 何人も、教育の目的を尊重し、法律の定めるところにより建学の自由を有する。国及び地方公共団体はこれを最大限尊重し、併せ、多様な教育機会の確保・整備の観点から、私学及び私学に在籍する者への支援・助成に努めなければならない。
(家庭における教育)
第十条
○ 家庭における教育は、教育の原点であり、子どもの基本的な生活習慣、倫理観、自制心、自尊心等の資質の形成に積極的な役割を果たすことを期待される。
○ 保護者は、子どもの最善の利益のため、その能力及び資力の範囲内で、その養育及び発達についての第一義的な責任を有する。
○ 国及び地方公共団体は、保護者等に対して、適切な支援を講じなければならない。
○ 国及び地方公共団体は、健やかな家庭環境を享受できないすべての子どもに対して、適当な養護、保護及び援助を行わなければならない。
(地域における教育)
第十一条
○ 地域における教育は、地域住民の自発的取り組みが尊重され、多くの人々が、学校・家庭との連携の下、その担い手になることが期待され、そのことを奨励されるものとする。
(生涯学習・社会教育)
第十二条
○ 国及び地方公共団体は、国民が生涯を通じて、あらゆる機会、あらゆる場所において、多様な学習機会を享受できるよう、社会教育の充実に努めなければならない。
○ 国及び地方公共団体が行う社会教育の充実は、図書館、博物館、公民館などの施設と機能の整備等その他適当な方法によって、図られるものとする。
(特別な状況に応じた教育)
第十三条
○ 知的、精神的または身体的な障がいを有する子どもは、その尊厳が確保され、自立や社会参加が促進され、適切な生活を享受するため、特別の養護及び教育を受ける権利を有する。国及び地方公共団体は、障がい、発達状況、就学状況など、それぞれの子どもの状況に応じて、適切かつ最善な支援及び援助を行わなければならない。
(職業教育)
第十四条
○ 何人も、学校教育と社会教育を通じて、勤労の尊さを学び、職業に対する素養と能力を修得するための職業教育を受ける権利を有する。国及び地方公共団体は、職業教育の振興に努めなければならない。
(政治教育)
第十五条
○ 国政及び地方自治に参画する良識ある真の主権者としての自覚と態度を養うことは、教育上尊重されなければならない。
○ 法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。
(生命・宗教に関する教育)
第十六条
○ 生の意義と死の意味を考察し、生命あるすべてのものを尊ぶ態度を養うことは、教育上尊重されなければならない。
○ 宗教的な伝統や文化に関する基本的知識の修得及び宗教の意義の理解は、教育上重視されなければならない。
○ 宗教的感性の涵養及び宗教に関する寛容の態度を養うことは、教育上尊重されなければならない。
○ 国、地方公共団体及びそれらが設置する学校は、特定の宗教教義に基づく宗教教育その他宗教的活動をしてはならない。
(情報文化社会に関する教育)
第十七条
○ すべての児童・生徒が、仮想情報空間におけるコミュニケーションの可能性、限界及び問題について、的確に理解し、適切な人間関係を構築する態度と素養を修得するよう奨励される。
○ すべての児童・生徒が、文化的素養を醸成し、他者との対話・交流・協働を促進する基礎となる国語力を身につけるための適切かつ最善な教育機会を得られるよう奨励される。
○ すべての児童・生徒が、その健やかな成長に有害な情報から保護されることを期待される。
(教育行政)
第十八条
○ 教育行政は、民主的な運営を旨として行われなければならない。
○ 地方公共団体が行う教育行政は、その施策に民意を反映させるものとし、その長が行わなければならない。
○ 地方公共団体は、教育行政の向上に資するよう、教育行政に関する民主的な組織を整備するものとする。
○ 地方公共団体が設置する学校は、保護者、地域住民、教育専門家、学校関係者などが参画する学校理事会を設置し、主体的・自律的運営を行うものとする。
○ 法律で定める学校は、それぞれが行う教育活動に関し、児童・生徒・学生の個人情報の保護に留意しつつ、必要な情報を本人及び保護者など関係者に提供し、かつ、多角的観点から点検・評価に努めなければならない。
○ 国及び地方公共団体は、学校が行う情報提供・点検・評価等の円滑な実施を支援しなければならない。
(教育振興に関する計画)
第十九条
○ 政府は、国会の承認を得て、教育の振興に関する基本的な計画を定める。政府は、わが国の国内総生産に対する公教育財政支出の比率を指標として、公教育費の確保・充実の目標を計画に盛り込むこととする。その計画及び実績は、国会を通じて国民に報告するものとする。
○ 地方公共団体は、議会の承認を得て、地域の教育の振興に関する具体的な計画を定める。地方公共団体は、公教育費の確保・充実の目標を計画に盛り込むこととする。その計画及び実績は、議会を通じて地域の住民に報告するものとする。
(教育財政)
第二十条
○ 国及び地方公共団体は、前条に定める計画の実施に必要な十分な予算を安定的に確保しなければならない。
(法令の制定)
第二十一条
○この法律に規定する諸条項を実施するため、必要な法令が制定されなければならない。
附則
(施行期日)
○ この法律は、公布の日から施行するものとする。
○ 教育基本法(昭和二十二年法律第二十五号)は、廃止する。
《参考》
★ 文部科学省HPに教育基本法案の専用コーナー「教育基本法案について」を開設
 このコーナーでは、法律案、現行教育基本法との比較資料などとともに、法案内容をわかりやすく説明した「説明資料」などを掲載しています。また、中教審での議論の参考資料を「教育基本法資料室」として収録していますので、是非ご覧下さい。
http://www.mext.go.jp/b_menu/kihon/houan.htm 
http://www.mext.go.jp/b_menu/kihon/houan/siryo/setsumei.pdf 


 JOHA(Japan Oral History Association:日本オーラル・ヒストリー学会)
 次のようなメールをいただいたので紹介する。
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 第四回大会発表募集のお知らせ! 聞き取りをしている方、戦争に興味関心のある方、締め切り間近です、ふるってお申し込み下さい。ポスター参加もありです。
・会場    東京外国語大学(外国語学部)
・2006年9月23日(土)24日(日)募集要項は以下及びjoha.jpのHPをご覧下さい。**
      本年の大会メイン・テーマ――「戦争」と「植民地期」   
◆なぜ、今戦争なのか?―「戦争」や「植民地期」の<語り><記録><聞き取り>は、世界中で注目されています。複雑な実相や個人の視点・心情・記憶・体験に注目する「オーラル・ヒストリー」の価値はさらに高まり、歴史学ほか種々の分野で、聞き取り・聞き書き・語り伝えが熱心に行われています。
◆戦争・植民地期を経験した人の高齢化が進み、当時社会的中核にあった人々の体力・記憶が薄れいく時代です。経験した「当事者たち」側に、記憶の風化の危機感や、語り残したい願いが募るなか、まさに「時間との勝負」でもあります。戦争・植民地期を知らぬ人間が人口の7割を超え、次の戦争に備える言論も進む今、「何を記録として残すのか」は過去の整理だけではなく、現在・未来に直結するといって過言ではないでしょう。
◆「人間」の生身の想いと向き合い、経験を聞き取り記録整理する「オーラル・ヒストリー」。この時期をあらたに見つめなおし、記録を生かす方法を考えるためにも、ぜひ、皆様の聴き取りの実践の成果をご発表ください。
●メインテーマの参考キーワード(これに限らず発表してください。)
(1)個人の戦争・植民地期体験(兵士・市民)(2)抑留(戦中・戦後)・動員(3)トラウマの語り・世代間戦争体験継承 (4)社会・経済構造の変化 (5)教育・劇・芸術における戦争・植民地の経験の再現 (6)戦争遺跡と語り (7)ジェンダー(8)記録の保存・公開・アーカイブ・データベース化 (9)口述資料と文書史料(10)聴き手側のケア(11)証言・語り・「事実」の信憑性をめぐる諸議論(12)聴き取られる立場から          (文責:中尾知代 岡山大学文学部)
発表募集要項
応募希望者の方は以下まで、お申し込み下さい。〒100-8691
東京中央郵便局私書箱52号日本オーラル・ヒストリー学会事務局
Mail: joralhistory-sec@fb3.so-net.ne.jp (メール申し込み可) 
●応募締め切り:平成18年5月31日(水)申し込み期限を過ぎる場合は研究活動委員会
tnaka@cc.okayama-u.ac.jp(中尾)までご連絡を。
●以下の三分野の報告・発表を募集します。(英語発表も可能です)
(1) メイン・テーマ分科会報告:個人報告・共同報告
(2) 自由テーマ報告:個人報告・共同報告
(3) ポスター・セッション
*自由テーマでは戦争・植民地以外の報告を受け付けます。こちらもふるってご応募ください。    
★ポスターセッションとは?
個人・団体の活動内容・研究成果をポスター大にまとめて発表する形式。会場内に張り出し。ポスターのみの掲示・あるいはポスター発表者が展示内容を説明します。(常時駐在・休憩・昼食時間のみなど自由)小規模であればアート作品・音声映像史料も可。
★研究実践交流会では各種主題を設定し、話題提供者の発題をもとに、聞き取りの方法や倫理などについて、実践内容を報告・検討・交換します。
★原則的に応募者全員に機会を提供する予定ですが、時間の制約上、選定が必要になる場合もあります。ホームページ(joha.jp)参照。
皆様のますますのご発展を願っております。
http://joha.jugem.jp/

6  わくわく授業 私の教え方
「“わからないが”スタートライン」富山県砺波市立砺波東部小学校 白江 勉先生
 http://www.nhk.or.jp/wakuwaku/jugyo/060521.html 
☆★☆ コメント ☆★☆
 放送時間が長くなり、45分番組になった。しかも午後6時からのゴールデンタイム。
 5月21日は、4年生の社会科授業だった。
 内容はホームページに譲る。印象に残った点を列挙したい。
○ 遊び心がふんだんに盛り込まれている。子どもを引きつける教師には共通している。
バスでのゲームも、「平地と山地はどこが違うか」をチーム対抗で盛り上げ、学習にしている。
○ ほめ方がうまい。
○ 体験 → 課題づくり → 調査活動 → 新たな疑問 → ゲストティーチャー という流れ。
○ ゆさぶりで「わからない」という気持ちを高め、それが最高潮に達したときにゲストティーチャーを
○ 授業のポイント
   分かっていることと分からないことをはっきりさせること
   なぜ、どうして、わからない そう感じたことが学ぶ楽しさをつかむスタートライン
 

 
 便利Web特集 
(1)高校生にもわかる国民経済計算 内閣府   http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/060502/highschool.pdf 
 内閣府は、国民経済計算の考え方を平易に解説した文書を作成、同府サイトに掲載している。GDPやNDPまでの計算方法を解説した上で、グリーンGDPなど、研究中のサテライト勘定にまで触れている。わかりやすい内容だが、文字ばかりなのが残念。
 
(2)キレる子どもの理解と対応 栃木県総合教育センター
  「キレる行動は、主に対人関係のコミュニケーションがうまくいかない時に起こる」栃木県総合教育センターは、キレるこどもに対する対応をまとめたキレる子どもの理解と対応」とを公開している。
 
(3)キッズページ特集
 文部科学省の子ども用ページです。文部科学省の仕組み、学校数・生徒数などのデータがあります。面白いのは、Q&A。 11の質問に対して、子ども向けに回答していますが、そのページからもう少し詳しい解説へリンクが張られています。例えば、Q6:学校の先生になるためにはどういう勉強をしたらいのですか? という質問に対して、わかりやすい簡潔な説明があるのですが、「もっと詳しく知りたい場合は。。。。のページも見てね。」とかかれていて、そこをクリックすると、生徒・学生・教員向けのページに飛びます。ここも、啓発用のページになっていて、なかなかわかりやすい。子どもたちには、子どもページを紹介し、教員自身はその先の啓発用ページも見ておくと、なかなか、勉強になります。
 警視庁の中にある子ども向けページ(ハイテクキッズ)です。インターネットやネット犯罪などについての説明が書かれていますが、「犯罪」に巻き込まれない(あるいは犯さない)ために という視点から書かれているため、なかなかスパッっと切り口が明確です。携帯電話やチェーンメール、詐欺行為などの
手口も、子ども向けを意識しながらも、実際の逮捕例をもとに具体的に書かれていて、なかなか説得力があります。
 厚生労働省の子ども向けページです。 Q&Aの形式で、厚生労働省の仕事だけでなく、健康日本21、少子化、福祉、ユニバーサル、食品、年金など、社会と生活を考えていく材料が、子ども向けに用意されています。
 経済産業省の子ども向けページです。なかなか内容が豊富です。リサイクル、環境、エネルギー、著作権、情報化など、直接、学習活動と関連する内容も多く、見ているうちにいろいろと勉強になるサイトです。資料や図が豊富で、しかもそれらのデータの出典を明示してくれてありますので、とても助かります。
 社)日本著作権情報センターによる、子ども向け著作権講座のページ。アニメやイラストを多用して、難しい内容を、わかりやすく正確に伝えるよう工夫されています。子どもたちの調べ学習にも使えますし、大人が見ても勉強になります。キャラクターのセンスについては、好みもあると思いますが。。。
 総務省のキッズ用ページです。豊富な情報を、とりあえず子ども用に構成しなおした段階で、一つ一つの表現や説明の内容には、もうひとふんばり欲しいところもありますが、構成がしっかりできているので、これからが楽しみです。「情報通信白書」for Kids にある「インターネットの統計」は、子ども向けにグラフ等が書き直されていて、大変見やすい出来上がりになっています。お奨め。
 
(4)OneNote 2003 を使ってより授業を面白く、分かりやすく
 児童や生徒、学生一人ひとりが自分の興味や学力に応じて学習内容を深められる新しいスタイルの授業を提案。授業や自習など、学びの場でノートを取ることは昔も今も必須です。OneNote 2003 授業支援テンプレート集は OneNote 2003 を使用して、「テキスト」「手書きメモ」「音声」「写真」「ビデオ」「Web」などさまざまなデータやアイデアを 1 つの画面上に集約し、効果的な学習ができる授業支援ツールです。
小学校で習う 1,006 字の漢字のほか、各教材ですぐに活用できるひな形を用意。また、テンプレートを活用いただくための活用ガイドを用意しました。活用案をご参考にぜひご活用ください。
 
(5)公立高校の入試日程などを発表(愛知)
 愛知県教委は17日、来春の公立高校と盲、ろう、養護学校の入試日程を発表した。
 全日制高校の入学願書提出期間は2月23〜26日(土日を除く)で、学力検査はBグループが3月12日、Aグループが同15日。 http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news2/20060518wm01.htm 

8 教育関連情報
(1)中学生の漢検団体受験数増加             
 漢字検定を団体受検する中学校が増えている。日本漢字能力検定協会広報担当者や各地の教育委員会関係者らによると「特に漢字検定を受検するようキャンペーンをして学校側へ促したりしているわけではない」とのことだが、2005年度の第3回までの調査では77.8%の全国中学校で団体受検を実施していることが明らかになった。 http://www.gks.co.jp/2006/sogo/practice/06050901.html 
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 漢検は高校の単位に認められるほどの信頼性を得てきた。こうしたのが広がれば、中学校の選択教科にはありがたい。なぜなら、がんばれが級が上がる。システム上、個別学習が成り立つ。学習成果が評価され次なる意欲につながる。ただ、あくまでも営利主義に走らない団体であることが条件になるが・・・
 
(2)理科の実験など、映像をデータベース化    町田市教委◆
 町田市教委は、理科の実験や阪神大震災の映像など、小中学校の授業で使用する資料映像をデータベース化した学校LANシステム「授業おたすけ工房」の運用を始めた。
 
 優れた授業をデータベース化−東京都町田市
 東京都町田市の教育委員会は、小中学校の若手教員の参考となるよう、ベテラン教員の授業を撮影した動画などをデータベース化し、構内情報通信網(LAN)を通じて閲覧できるようにした。団塊世代の大量退職に伴い、新採用教員の割合が高まるため、若手の指導力底上げを狙う。
 閲覧できるコンテンツ集は、理科の実験風景や公共施設内部の映像をはじめ三千種の教材がある「教材の部屋」、優れた授業をビデオ撮影した「モデル授業の部屋」などで構成。モデル授業は現在、小学校算数と道徳、音楽のみだが、今年度中に小中学校全教科の授業を撮影する計画。
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 3,000の映像を準備しているという。それらが町田市と神戸市しか使えないとすれば、もったいないと言うしかない。せっかく、IPAが教育用画材素材集 http://www2.edu.ipa.go.jp/gz/index1.html を発信している。これと提携すれば、また、こうした他の団体と協力すれば、強力なデータベースができる。日本の教育のために、子どもたちのために、もう一歩踏み出して欲しい。
 
(3)インターネットを活用した通信教育の四年制大学の設置認可申請受理
 福岡市における構造改革特区を活用した、すべての教育をインターネットで行う通信制の四年制大学
「サイバー大学」の設置認可申請を文部科学省が受理。文部科学省より認可を得た後(平成18年11月
末を予定)、平成19年4月に同大学開設を計画。IT総合学部と世界遺産学部の2学部を設置する。
 
(4)「なくそう!世界の児童労働」キャンペーンオフィシャルウェブサイト
 6月12日は「児童労働反対世界デー」。国際労働機関(ILO)が児童労働の撲滅に向け、世界的に呼びかける日として2002年に定めました。世界各地で、毎年さまざまな活動が展開されています。
 日本では、児童労働はどこか遠い国の問題だと考えられがちです。でも、チョコレートの原料のカカオやコーヒー、紅茶など、自分が知らないうちに、児童労働で作られたものを使っているかもしれません。また、人身取引やポルノなど直接日本で犠牲となる子どもたちも存在します。経済のグローバル化が進む
現在、私たちは児童労働とは無縁ではないのです。児童労働のない社会を目指して、世界の子どもたちの現状を知り、行動するきっかけとして、様々なイベントを計画しています。
 
(5)根本にメスを入れた「予防」教育施策に目を向けよ vol.6
   「第一に『公』の復権」      野口芳宏@麗澤大学講師
◇ 一つひとつの学校が社会を良くする原動力に
 教育混迷の最大の責任は学校教育にある。その学校教育を覆ってきた「個人中心主義」「子供中心主義」を見直すことから始めなければ、教育の再興はない。
◆第一に「公」の復権
 最後に、これからの教育の方向について考えてみましょう。端的に言えば、第一は「公」を大切にしようという教育です。戦後の教育は、「私」「個人」を偏重する方向に変わりました。分かりやすく言えば、わがままが増えたことでお互いが困るようになったということです。公を抜きに個人中心を徹底すれば、社会は崩壊、瓦解します。わがままという言葉は、自分の権利の主張という言葉に言い換えてもいいと思います。私心を抑えて公を尊重する教育は、時代を超えて必要です。今はわがままさえも「個性重視」の風潮の前に、抑えることをしなくなりました。(後略)  kyositu.comニュースvol.697より一部引用
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 概ね賛成である。ただ、「公の精神尊重」に反対している人たちの言い分もわからないではない。戦前の教育と重ね合わせて考えているからである。
 ただ、戦後は戦前と違う。戦前は「公」を「修身」で教えた。そこには科学はない。理念はあったが、軍国主義という偏った価値基準に利用されてしまった。
 しかし、今は「社会科」という教科がある。「民主的、平和的な国家・社会の形成者として必要な公民的資質の基礎を養う」ことを目標とした科学的な教科である。これが戦前と戦後の最も大きな違いである。
 野口先生の思いは、理念的には道徳、経験的には特別活動、科学的には社会科で養うことが可能である。道徳のみに頼ることなく、特別活動、社会科によって、バランス良く養っていくべきであろう。
 「公」の復権は、社会科教師の頑張りにかかっているといってよいだろう。
 
(6)絶対評価に市内共通基準。二戸市教委(岩手)
 二戸市教委は、絶対評価で成績を付ける際に基準とする評価項目を並べたプリントを、市内の全小中学校に配っている。市内共通の評価項目を示すことで、学校間で評価に差が出るのを防ぐねらいがあるとともに、児童・生徒の学習の弱点を把握しやすくするといった指導面での効果もある。
☆★☆ コメント ☆★☆
 「はさみで円を切ることができる」「リコーダーで故郷の人々を演奏出来る」などの目や耳で判断出来ることならまだいい。興味・関心、思考・判断力など、教師によって十人十色と思われる。市内共通基準を設けて配布する誠意と努力はおおいに認めるが、その限界もわきまえるべきであろう。
 フィギアスケートや体操のようなプロの審査員でも評価は分かれる。主観は絶対に排除出来ない。客観性を追求するより、信頼性を追求することに力を注ぐべきだと思う。
 
 MM紹介
(1)授業実践メールマガジン270◆ 発行2006.5.20 編集・発行:太田昭夫
 今回は、『とっておきの道徳授業4』佐藤幸司編著日本標準に掲載されている実践の追試です。
 「お子様ランチをください」長谷部桂一氏 http://www.nipponhyojun.co.jp/sinkan/totte_4/index.html 
◆M小5・6年学級通信:道徳「あるレストランの話」
(前半略)先日、道徳の授業を楽しみました。子どもたちが、真剣に考え、発表する様子にうれしく思いました。
 はじめに、原稿用紙を渡します。日付と氏名を書きました。3行目にタイトルを書きました。
≪あるレストランの話≫
 そして、次の話をしました。
『あるレストランに若い夫婦がやってきました。店員に食べるものを注文しました。2人分の他に、もう一つ頼みました。店員は困ってしまいました。』
Q1 何を頼んだのだと思いますか。
 子どもたちは、何かいろいろ考えていたようだが、数名はすぐに考えて書きました。
「お子様ランチ」
A「お子様ランチ」です。でも、たいていのレストランでは、きまりがあります。大人には出してはいけないというきまりがあるのです。
Q2 どうして「お子様ランチ」を頼んだのだと思いますか。
 子どもたち、家にいる、おなかの中にいる、という話で盛り上がりました。あまりの盛り上がりに、注意の一コマも。でも、答えを書けない子どもが多かったです。当然かも知れません。
A きまりがあるので出せないのですが、どうしてですかと理由を聞いたそうです。こう答えたそうです。
「今日は、昨年なくなった娘の誕生日なのです。私の体が弱かったせいで、娘は最初の誕生日を迎えることができませんでした。おなかの中にいるときには、主人と3人で、ここのお子様ランチを食べに来ようねって約束していたのに、それも果たせませんでした。それで、今日は、娘にお子様ランチを頼んであげたくてきました。」
 この話を真剣に聞く子どもたち。さっきの笑いはありません。話の内容をしっかりわかった子どもたちの様子にうれしく思いました。
Q3 この店員さんはどうしたと思いますか。
 これには、K君が「迷っていた」と書きました。
 ・きまりがあるので迷っていた。自分の意志で、きまりを変えてはいけないのではないか。
 他の子どもたちは、「お子様ランチを出した」と書きました。どうしてかを聞きました。
 ・今はいなくとも、前にはいたから。 ・この夫婦にとってはいるのだから。
 ・生まれた後の約束を果たすために。 ・事情がわかったから。
A この店員さんは次のことをしたそうです。
 黙って、3つのことを黒板に書きました。
 1 4人用のテーブルへ
 2 子ども用のいす
 3 お子様ランチを出した
 子どもたちは、黒板に書かれたものを見ながら、考えていたようでした。
『どうして、4人用のテーブルなの?』
 ・亡くなった赤ちゃんのために、3人用のテーブルがなかったから、
 4人用にしたのだろう。
『どうして、子ども用のいすなの?』
 ・亡くなった赤ちゃんの分
Q4 このきまりをやぶった店員さんを、このレストランの社長さんは、怒ったでしょうか。ほめたでしょうか。理由も書きましょう。
 子どもたちは、全員が「ほめた」と書き、理由を次のように書きました。
 ・相手のことを考えて、約束を果たせるためにやったから。
 ・今はいなくとも、同じ子どものことだから。
 ・きまりはあるけど、レストランはみんなを楽しませるところだから、きまりをやぶってでも、夫婦の言ったことをきいたから。
 ・夫婦と子どもの約束を果たせるようにしたから。 ・そういう親切をしてあげたから。
 ・きまりがあっても約束を果たせなかった夫婦に出してあげたから。
 ・死んだ赤ちゃんのために、店員がやって、約束を果たせるようにしたから。
 この社長さんは、会社の新聞、社内報というものに載せて、ほめたことを話しました。
『このレストランには、行ったことがある人もいるでしょう。』
黙って黒板に書きました。
≪東京ディズニーランド≫「夢と魔法の国」
Q5 最後に感想を書きましょう。
◆この2人の夫婦はなくなった赤ちゃんのことを考えて、いなくてもお子様ランチを食べさせてあげようとしてやさしいと思った。
◆最初は、おなかの中にいるとか考えていたけど、その子は亡くなっていて、お子様ランチを出した店員さんはやさしいなと思いました。
(中略)
 子どもたちの様子をうれしく思いました。成長も感じていました。少しずつですが、考える道徳の授業をしていきたいと思っています。時間の関係で話せなかったことがありました。ここで付け加えておきます。
●「この社長さんは「お客さんの幸せ」をめざした行動をほめたといっています。ディズニーランドは特別な場所ですが、この世の中の人が、私たちが、人の幸せのために行動できたらいいなと思います。時にはきまりを破ってでもすることが大切なのだと思いますね。」
●その後、夫婦からは感謝の手紙が届いたということでした。
☆★☆ コメント ☆★☆
 『とっておきの道徳授業4』をぜひ読んでみたいと思った。話の質が良い。身近にありそうな、ちょっといい話である。
 こうしたよい素材でも、いざ教材化することは、実は簡単ではない。作問にはセンスが必要だ。追試をする中で、センスを磨きたい。

10 研究会情報
(1)日本生活科・総合的学習教育学会愛知支部例会
   ・ 5月27日(土) 午前10時〜12時
   ・ 愛知教育大学 自然科学棟4階
   ・ 講演 「指導要領改訂の方向性」  野田敦敬先生:愛知教育大学教授 
   ・ カンファレンス型授業研究  ビデオで授業場面を見ながらの議論    ・ 会費無料

(2)第48回 指導と評価大学講座  主催:図書文化社
   ・ 7月27日(木)〜29日(土)
   ・ 参加料 1万円
    詳細は http://www.toshobunka.co.jp/koza/dai2006.htm 

(3)音が作り出す子どもの心〜音とことばを使って子どもの意欲を引き出そう〜
☆☆☆☆子どもの潜在意識に「音」が、深く関わっていることをご存知ですか?この講座では、脳の使用説明書といわれるNLP心理学、トマティス理論に基づいて、音とことば、そして音楽を使って、子どもたちの脳を活性化し、意欲と自己肯定感を引き出す方法をお伝えします。
こどもたちを、よりよく育てたいと思っていらっしゃるお母さん方、教師の方、お待ちしています!
■日時平成18 年6月24日(土)12時30分〜15時00分
■会場 つながれっと名古屋セミナールーム2 名古屋市男女平等参画推進センター
■講師小姫朱美(こひめあけみ)
※名古屋NLP 教育センター副理事長 ※ハートマッスルトレーニングジム塾長
※米国NLP 協会認定NLP マスタープラクティショナー
※日本メディアリテラシー教育研究機構理事  ※健康相談活動学会学会員
■定員15〜18 名 ■参加費2000 円 ■対象教育関係者・塾講師・保護者
申し込み 「氏名」「メールアドレス」「電話番号」「職業」を明記して以下のアドレスへ
app@heart-muscle.com
1.音やことばが、子どもの深層心理や潜在意識へ与える影響を理解できます。
2.子どもの脳を活性化し、意欲を引き出す方法が分かります。
◆日常で使える子どもたちへのことばがけのポイントがわかります。
◆効果的な音や音楽の使い方がわかります。
◆こどもたちの学力や能力を引き出すための方法がわかります。
◆子どもを成功者に育てるためのポイントがわかります。
3.子どもとのよりよい信頼関係を作るための方法がわかります。

  問い合わせは 土井謙次  syaraku@tcp-ip.or.jp