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報告者  土 井

2006年6月8日(木)布袋北学習等供用施設にて社楽の会を開催しました。参加者(勤務校)を紹介しましす。
土井、高橋先生、田頭先生、田中先生、大島先生(門弟山小)、早川先生(江南北中)、奥村先生(岩南小)、尾関先生(曽野小)、勝村先生(楽田小)、野沢先生(柏森小)、栗本先生(木曽川東小)、高木先生(犬山中)、坪内先生(大北小)、吉田先生(古西小)、寺谷先生(高雄小)の15名でした。

 土井より、今回紹介したものの目次です。番号をクリックしてください。

  愛知教育大学附属岡崎小学校 第57回生活教育研究協議会
 愛知教育大学附属名古屋小学校 第53回小学校教育研究発表協議会
 第14回授業実践フォーラム参加報告
  書籍紹介
  便利Web特集
  教育関連情報
 MM紹介

愛知教育大学附属岡崎小学校 第57回生活教育研究協議会
開催日: 2006年 5月 30日 
テーマ・主な内容 本氣で学びつづける子ども/生活分科の本質に迫る〜生活分科で養いたい価値意識
 講演の様子をここで紹介しました。
 
 愛知教育大学附属名古屋小学校 第53回小学校教育研究発表協議会
開催日: 2006年 5月 31日 
テーマ・主な内容 「未来をたくましく生き抜くことができる子」の育成をめざして〜「とらえる力」「見通して解決する力」を発揮させる学習の流れの工夫〜:研究概要の説明、公開授業(各教科、総合学習、帰国児童教育)、研究発表協議会(各教科、帰国児童教育)、講演会
講師・講演 教育評論家 尾木 直樹 今後の学校教育の方向性と教師への期待
http://www.np.aichi-edu.ac.jp/  
 講演の様子をここで紹介しました。
 社会科部会のご指導と講演の感想を以下に紹介します。
 
【感 想】
 早口だがユーモアたっぷりの語り口。これなら大学での人気は高いに決まっている。
底に流れるのは、あくまで人類愛、平たく言えば子ども好きである。言葉の端々に、子どもへのひたむきな愛情を感じた。豊富な現場経験を通して尾木氏が感じるのは、言葉だけが並ぶ、または数字だけで教育を語る行政に対する違和感なのであろう。現場感覚の代弁者として大切にしたい人である。
 特に印象に残ったのは次の点である。
○ 応募倍率7倍を切ると急に質が下がる。時間外手当がない教員の給料を下げては、 ますます希望者が減る。
○ 社会性がない教員は、何かあったときに叩かれる。当然逆の場合もある。教員は人 間関係のプロ。社会性は必須だ。「市民としての顔を持て」も同意。
○ これからは大学教育が重要。全くその通り。特に教員養成大学の役割は重要だ。
○ 子どもの危機は大人の危機、未来の危機
○ 親にとっては学力向上よりもっと大きな目標がある。それを見失うような学力向上 論であってはならない
○ 授業時間と学力はほぼ反比例だった。その原因はヒドゥン・カリキュラム
○ 現役学生の問題より大人の学力低下が問題
○ 学力や読解力など、国際的な定義に根ざしたプログラムを考えることが大事
○ PISA調査は市民教育
 
おまけ 社会科研究協議
指導講評 愛西市立佐屋西小学校 水谷 清校長先生
社会科の論点
1 人びとの知恵と汗を学ぶ;人との関わり
2 社会を見る目を育てる ;事例から次へ
3 体と頭を使って学ぶ  ;体験
4 学んだことを生活に生かす
 これらをふまえて自分の生き方を考える。今回の附属小のテーマは社会科のためにあるようなもの。自分の課題を調べ見通しをもってどう取り組み話し合いを進めるか。
 今日の授業。3年生は単元最後の授業。「ひみつ」は難しい。「自慢」の方がよかった。やってみようという課題がよい。3年生なら「自慢」。自分の住んでいるところとの比較は意見が出てこない。出るとよかった。
 南、北コースで、コース別にやりやってもよかった。
 なぜ?と言う発問が必要だった。公園が多いのはなぜ?バス停が多いのはなぜ?
 4年生は自分の課題を見つけようとやっていた。どんな気持ちでどんなことを考えている。そういった課題が出てよかった。はてな課題が見つけられる課題がほしい。
 社会科が好きで教員をやっている。フィールドワークを若い先生と一緒になって勉強を続けて欲しい。
 
愛知教育大学教授 寺本 潔先生
 今サイレンが鳴っている。一刻を争う。なのに無人交番でいいのか?「電話をかけてください」と書いてある。これは問題。そういうところからはいるとおもしろい。
 授業に警官が来た。2人の服装だけでもネタ。たいへんおもしろい。市民と警察、交番だけでは守れない。だから町づくりへと向かう。流れはていねい、オーソドックス。板書が見事。最後の発言は見事。人に向いた。
 丁寧に進んだが、板書に時間かかりすぎる。時間のロス。最後のインフォがほしかった。省力化も大事。
 
3年生
 大幸のひみつ、住んでいないから自慢もまだ弱い。問いが深まっていない。2年生の生活科と変わらない。地域は場所によって違いがある。これをつかませたい。方角ごとに整理をする。座標系を伸ばしていく。土地利用の特徴、公共施設、交通 特徴を明らかにする。
 地図がわかりやすいけど不正確。それは生活科。社会科なら正しい平面地図をぶつけてほしい。「2年生の時の地図は本当はちがっていたんだ。」その気づきが大事。場所によってどう違うのかを気づかせたい最初の単元。
 「住みやすさ」はこの単元で扱う内容ではない。場所によってちがうことを正しい平面地図で判別する。ぜひ八方位を扱ってほしい。
 数字が出てこないのもだめ。数字は事実認識のポイント。何m、駅の乗降客、定期券が多い、など。「ひみつ」を生かすなら、大幸が原とかつて言われていた。練兵場だから払い下げができた。広い敷地に三菱の工場や大学などが建った。
 「みんなの課題」は「はじめの課題」と言うことか?
 社会科の基本構造は  よみとり、2 話し合い、3 意味認識 
 (または 事実認識、関係認識、価値認識)
 すぐに意味認識へ生きたがるが、事実で語ること。数字を出したり、測ったりして、事実の積み重ねで概念形成をする。そうしないと、意味認識が薄っぺらくなる。
 第14回授業実践フォーラム参加報告
2006年 06月 03日 (土) 会場 岐阜県羽島市文化センター 
研究主題・テーマ 確かな学力は確かな指導力から 〓―今こそ授業と対峙する― 
◆3日◇基調講演:「義務教育改革と教師の力量」  講師:梶田叡一先生(兵庫教育大学長)
◆4日◇課題講演:「今,求められる学力」  講師:加藤 明先生(京都ノートルダム女子大学教授)
http://www.sokyoken.or.jp/forum.xhtml   
 お二人の講演記録を紹介しました。
 書籍紹介
(1)『とっておきの道徳授業W』中学校編、小学校編  日本標準
 前回紹介した授業のネタ本である。やってみたいのが多く、よく考えられている。全体に資料が短いのがよい。資料の読解になっている道徳の授業が多すぎるから・・・
(2)『教室がシーンとなる“とっておきの話”100選−中学生編−』明治図書 師尾 喜代子編  
「言葉の力」が課題となるが、何より、まず教師にこそ求められる。こうした話を読み込んで、なぜ生徒がしっかり聴いたのか、どう話を組み立てたらよいのかを臨床的に学びたい。
(3)『逆説の日本史』シリーズ13 江戸文化と鎖国の謎
大人気シリーズだ。確かにおもしろい。従来の歴史書にない感覚、現代社会と結びつけた考え方など、授業の参考になる。それ以上に、どうやって取材をしているのか、史料にあたっているのかなど、作者に直接聞いてみたい。
 
 便利Web特集 
(1)シカクいアタマをマルくする
 子ども向けポータルサイトで、「シカクいアタマをマルくする」がスタート! “考えるチカラ”と“知識のチカラ”を伸ばす問題が毎日出題され、答えは翌日に掲載される。問題の難易度や、今日の問題で
身につく力(調査力、整理力、推論力、表現力、知識力)も紹介。
http://contents.kids.yahoo.co.jp/shikakumaru/ 
 
(2)8か国語対応のマルチ翻訳、関西弁に対応
英語、韓国語、中国語のほか、欧州5か国語(フランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語、ポルトガル語)に対応したマルチ翻訳のサービスがスタート。「関西弁」をチェックすると、日本語訳の際に関西弁に訳される。例えば、「How much」の訳語は「なんぼ」に。http://translation.infoseek.co.jp/ 
 
(3)インターネット地図の距離測定サービス
インターネット地図情報サービスにおいて、地図上で2点間の距離や時間を測定することができるサービスを公開。地図上の距離を測定したいポイントを順々にクリックしていくだけのシンプルな操作で距離や所要時間が計測可能。また、徒歩・自転車・自動車といった移動手段別に所要時間の目安を表示。
http://blog.mapion.co.jp/release/2006/06/060601_6698.html 
 
(4)ロハス特集     GKS NEWS LETTER 386より
☆LOHAS-WORLD http://www.lohas-world.com/ 
ロハスな生活について総合的に表現されているサイト。ロハスの発祥地アメリカでの活動が紹介されているのも特徴的。
☆ロハス健康プラザ http://12kenko.seesaa.net/ 
ロハスな生活を実現させるための、健康食品や化粧品、健康グッズ、オーガニック製品などの紹介がされています。
☆lohas japan http://www.lohass-japan.com/ 
健康と環境にこだわる商品を紹介しているショッピングサイト。赤ちゃん用グッズから「癒し」や「エコ」にかかわるものまで、多様なラインアップ。自分のロハス生活にも参考になりそう・・・。
☆lohas-goods http://www.lohas-goods.com/ 
ロハス製品の通信販売サイト。商品の紹介だけでなく、お肌やヘアケアのFAQもあり。女性におすすめ。
☆LOHAS(ロハス)のすすめ  http://www.owadajunko.com/ 
日本で最初にLOHASを紹介する記事を書き、現在はビジネスLOHAS(ロハス/ローハス)の処方箋&ロハス生活・商品に関する視点を提供する、LOHASプロデューサー 大和田順子さんによるサイト。
 
(5)WBGT熱中症予防情報
WBGTに基づく熱中症予防情報がスタート。WBGT(湿球黒球温度)とは、人体の熱収支に影響の大きい湿度、輻射熱、気温の 3つを取り入れた指標で、乾球温度、湿球温度、黒球温度の値を使って計算。
WBGT値により、「ほぼ安全」〜「運動は原則中止」の5段階で予報。http://www.tenki.jp/heat/index.html 
 
(6)間更新が不要のセキュリティソフト
Windows Vista公式サポート終了時まで使える、年間更新が不要のセキュリティソフトが登場。期間制限がないから、毎年の費用負担も、更新の手間も、期限切れのまま使う危険もなく、プログラムのバージョンアップがあった場合も無料とのこと。http://sec.sourcenext.info/products/vs/zero.html?i=top 

6  教育関連情報
(1)7年かけて、教師になる 高校と大学による教師の一貫教育の試み
  http://www.kknews.co.jp/wb/archives/2006/05/post_339.html 
 京都女子大学は、京都市立塔南高等学校と京都市教育委員会、奈良県立高田高校と、教育連携協定を締結。高校と大学の7年間を通じて、小学校教員を養成していこうという試み。
 教育改革の一つに、教員養成改革がある。実践的な単位を増やすことがねらいだが、この京都女子大学の試みも注目に値する。意欲的な取り組みとして高く評価したい。ただ、生徒が「自分は向いていない」と思ったときに他の道へ簡単に移れるようなシステムも整備して欲しいものだ。 
 
(2)母校に卒業生の作品を飾る学校美術館構想!(伊賀市教委)
 これもおもしろい。発想が柔軟だ。地域とのつながり、開かれた学校、美術教育など、教育的効果は大きい。なにより、150人も卒業生がいるのが驚きだ。次の記事だ。
 伊賀市内の小中学校を、絵画や彫刻などの創作活動に取り組んでいる卒業生の美術作品で飾る「学校美術館構想」を、市教委が打ち出す。児童・生徒の美的感性を養い、卒業生とのつながりを深めるとともに、作品発表の場を提供できるという一石三鳥の発想で、すでに、作品提供を要請する卒業生約150人をリストアップ。 http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news2/20060606wm01.htm 
 
(3)全校生徒が放課後毎日走る。住田・有住中(岩手)
 住田町立有住中学校(生徒数76人)では毎日、放課後に、全校生徒でランニングを行う「全校トレーニング」に取り組んでいる。運動を敬遠しがちな生徒の体力づくりや肥満解消が目的。
 76人という小規模校ながら、一体感を高めるためにも有効だろう。かつてはどこもやっていた。しかし、度重なる事故のために、どんどん縮小されていった。事故をおそれて教育内容を縮小するのは残念でならない。ただ「肥満解消」というのが・・・・
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news2/20060602wm01.htm 
 
(4)京都市教委の市内統一学習テストが始まる(京都)
 5教科の一斉テストで学力を確認し、復習ドリルで個人の弱点を強化する京都市教委の「学習確認プログラム」が、5月下旬から市立中学校80校で順次行われている。中3生約9800人が今回を含めて年4回、中2生約1万人が1回、プログラムに取り組んで学力向上を目指す。
 評価するのは悪くはない。ここでは問題の質を問題にしたい。このテストで、思考力や創造力を問うような問題が出題されれば、自ずから対応する授業になる。従って、授業の質も変わる。教え込みの授業でだけは点の取りにくいような問題を出題して欲しいものだ。
 http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news2/20060602wm02.htm 
 
(5)塾講師、教師にノウハウ伝授
 尾木先生の講演にもあった、塾の先生が教え方を学校の教師に教えるというものだ。これも、上と同様である。単なる知識の伝達ではなく、思考力や創造力が身に付く教え方を教えて欲しい。そこまでできるなら仕方がない。次の記事である。
 東大和市の小中学校教師に学習塾講師のノウハウを伝授するための研修「学習塾講師の指導に学ぶ――授業観察・指導助言訓練」が同市立第七小学校で行われた。市教委が5月から開いている教員研修の第3回目で、教職員の大量退職時代を迎える中、課題となっている中堅育成の強化が狙いだ。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news2/20060607wm00.htm 
 
(6)根室市学校給食協会が、給食代を払わない世帯を提訴へ
 マスコミでは表だって問題にされていないが、実は大きな問題が給食費の滞納だ。しかも、明らかに意図的と思えるものもある。次の記事には勇気を得た。
 北海道根室市学校給食協会(会長・渡辺好之教育長)は、給食費を支払える能力があるにもかかわらず、長期間滞納している世帯を相手取り、支払いを求める民事訴訟を起こすことを決めた。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news2/20060530wm01.htm 
 滞納費は、例えば教頭が立て替え、そのまま泣き寝入りする場合も多いと聞く。ぜひとも解決の第一歩を踏み出していただきたい。
 
(7)教員の評価制度、知事が必要性強調
 今、岩手県に注目している。教育が動いている。次の2本の記事に注目したい。
 岩手県の増田知事は29日の記者会見で、県教委が6月から導入を予定している教員の評価制度について「教員も教育能力に優れた人はそれにふさわしい評価をしなければならない。特別昇給にあたっては横並びではなく、教育現場にふさわしい仕組みを導入していくべきだ」と述べ、理解を求めた。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news2/20060530wm02.htm 
 教員評価制、導入を延期。労組の反対で
 県教委は30日、6月からスタートする予定だった教員評価制度の実施を、延期することを決めた。岩手県教職員組合など5団体が教職員を対象に行った投票の結果、反対が96・3%を占めたため。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news2/20060531wm01.htm  
 2日続いた記事だ。この結果をどう読むか。自分なりにいくつか思うことはあるが、ここでは述べない。教員評価制度云々以外でも、考えさせられる。
 
(8)日本の学校システムは、早生まれの子に不利に働く可能性がある
 中学校の教師が読むと「そんなばかな」と思うかもしれないが、小学校1年生を担任したときには、実は感じたことがある。「生まれ月によって発達段階に差がある。」
 この差は年少期にはあっても不思議ではない。しかし、気になるのは次の記事だ。
 早生まれ(1月〜3月生まれ)は、最終学歴に不利に働く。これは、内閣府経済社会総合研究所のDiscussion Paperに掲載された、川口大司氏の主張。
  http://www.kknews.co.jp/wb/archives/2006/06/post_363.html 
 感覚的にはには、そこまではないだろうと思うが、実際に調べたわけではない。そうであるとしたら、年少期に貼られたレッテルが後々に影響を与えていると言うことになるかもしれない。だとしたら、教育界全体で考えなければならない課題である。
 

 
  MM紹介
(1)時 事 通 信 「内 外 教 育」メールマガジン  2006/6/2  第92号
 時事通信社の教育情報誌「内外教育」は1946年の創刊以来、教育界の動向を詳細に報道しています。このメールマガジンは、教育に関心をお持ちの方々に、「内外教育」などの教育情報をより広く知っていただくため、原則として金曜日(祝日を除く)に発行します。内容は、教育コラムや最新の教育ニュース、直近に発売された内外教育の目次などです。
☆★☆ コメント ☆★☆
 良質の教育情報を発信している「内外教育」のメールマガジンで、最新の目次の他に、次のような記事も載っている。
 ○ 欠陥だらけの国立大学法人法  住友生命顧問・糟谷正彦
 ○ オックスフォード大の図書館を「売却」=資金集めで学生ら−英 
 ○ 教育基本法改正をめぐる動き
 情報源として持っていたいMMだ。
 
(2)【教育記事から教育を考える】 2006年6月2日(金) 作者:中土井鉄信 VOL.183
    (合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ代表) http://management-brain.co.jp/ 
『今日のテーマ』 良い試みだが、教員のなり手が減りそうな気がする!
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【記事】免許更新制「現職教員にも適用すべき」 中教審が案    朝日新聞(5/26)
 
○教員の質向上を目的とした教員免許更新制について、中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)のワーキンググループ(WG)は26日、現職教員にも適用することが「適当」とする案をまとめた。終身有効とされている教員免許は「絶対不可侵のものではなく、公共の要請により、合理的な範囲で新たに制約を課すことは許される」とした。中教審は今後、教員養成部会に報告して結論を出す。肯定的な意見が多いとみられ「適用」の公算が大きくなった。
○現在、国公私立の現職教員は全国に約110万人いる。昨年12月の中教審の中間報告で、更新制の導入が提言され、具体的な内容を詰めていた。身分の喪失にもつながりかねない更新制をすべての教員に適用するかどうかは、教員養成について中教審の最大の焦点になっていた。
○WGの案では、免許の有効期限は10年としている。その期限が切れる2年程度の間に、最低30時間の講習を義務づける。その際に教員としての適格性や専門性について国が定めた基準に達しているか評価し、更新するかどうかを決める。
○現職教員への適用については、失効の可能性があることを前提に免許を取得していないため、不利益を課すことにもなるとの意見がある。
○これに対し文科省は「教員として最小限必要な資質は本来的に、時代の進展に応じて更新されるべきだ」と判断。現在の教員が今後も当分の間、多数の子どもを教育することを考えれば、新たに免許を得た者に限って適用するのは、国民の信頼に応えることができないとした。
○身分喪失という不利益については、(1)更新の要件は時代の変化に応じて必要最小限かつ、客観性を担保する(2)講習を受けずに免許が失効しても、改めて講習を受けて申請すれば免許を再交付される――などの措置を取ることで対処できるとしている。
○この日のWGでは文科省からの提案をおおむね了承した。
【コメント】
◇今回の中教審の案は、非常に良いことだ。教員の免許の更新を実施して、教員の質的向上を目指すことは、非常にいいことだ。免許の失効も視野に置いた今回の案は、大胆な提案だが、この方向で、進めてもらいたい。
◇しかし、一つだけ注文をつけさせていただくと、教員の社会的地位の向上を図ることも同時に提案してほしい。免許が更新されて、国家の資格として、権威が向上していくのだから、教員の社会的な地位も向上し、待遇も向上して、しかるべきだ。
◇民間並みという言葉で公務員の待遇がどんどん低下していってはいるが、教員の待遇は、よくよく考えた方が良い。社会的な地位が高いということが、教育効果を高める機能を果たすこともある。
◇ぜひ、厳しいだけの状況を提案するのではなく、厳しさと暖かさの両輪としての社会的処遇の面も考慮してほしい。そうしなければ、優秀な教員が、集まってこないだろうと思う。
☆★☆ コメント ☆★☆
 いつも楽しみにしているMMの一つ。もちろんその魅力は中土井氏のコメントによるものだ。もちろん、そのコメントに共感出来るときも、そうでないときもあるがそれは問題ではない。中土井氏のコメントをきっかけに、自分で考えてみることが大切なのだ。

  問い合わせは 土井謙次  syaraku@tcp-ip.or.jp