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報告者  土 井

2006年7月6日(木)布袋北学習等供用施設にて社楽の会を開催しました。参加者(勤務校)を紹介しましす。
土井、高橋先生、大島先生(門弟山小)、早川先生(江南北中)、奥村先生(岩南小)、尾関先生(曽野小)、勝村先生(楽田小)、野沢先生(柏森小)、高木先生(犬山中)、寺谷先生(高雄小)、天野先生(江西中)、池邑さんの12名でした。

 土井より、今回紹介したものの目次です。番号をクリックしてください。

  高校入試問題を解く!その1
 前島ひで子講演会
  「Eduブログ」最新記事
  中部電力株主総会参加レポート
  YouNet6月号紹介
  役立ちWeb特集
 教育関連情報
 MM紹介
9 書籍紹介
10 教育ルネサンスフォーラム

高校入試問題を解く!その1
 今求められる学力を知るには、高校の入試問題を読みこむのが近道である。入試は、高校で必要とされる力があるかを調べるものだからである。当然、入試問題が変われば授業も変わる。
 全国の高校入試問題は、アイデアの宝庫!小中学校の社会科教師には、ぜひ全都道府県の国公立高校の入試問題を解くことをお勧めしたい。今春も良問が目白押しだが、今回は、毎年全国で最も説明問題が多い群馬県の問題を別紙で紹介する。さらに資料として、過去4年間の論述説明問題数、作業問題数、問題量の一覧を示す。(問題数は数えにくいのもあり、誤差を含むのでご了解を!)
 問題量は、『全国高校入試問題正解』旺文社の列数を表し、あくまでも量の目安にすぎない。
 
 群馬県は、17問の説明問題と1問の作業問題が出た。説明問題の概略は次の通り。
@ 九州南の屋久島で亜寒帯の植物が見られる理由を簡潔に書け。
A 秋田で冬降水量が多い理由を「季節風」「日本海」という語を用いて簡潔に書け。
B 大潟村で水害が警戒されている理由を図Uから読み取れる地形の特色に着目して簡潔に書け。
C 大潟村の農業の特色を、資料Uと図Uを参考にして簡潔に書け。
D (ウ)に当てはまる文を図Uを参考にして書け。
E オーストラリアが多様な文化をもつ国であることをわかりやすく伝えるためにどのようなグラフを作成するか。「…を示すグラフ」となるように書け。
F オーストラリアのような他文化の国の人々が共存していくためにはどのようなことが大切か。「文化」という語を用いて書け。
G (ア)の仕事内容を資料を参考にして簡潔に書け。
H 幕府が法令A、法令Bを出したり、外国との交流の場を限定したりした理由を2つ書け。
I 世界恐慌の対策を、アメリカかイギリスのどちらかを選び具体的に書け。
J 黒船来航以後の混乱は、条約を結んで以降さらに大きくなった。政治的混乱、または経済的混乱について書け。
K 累進課税が取られている理由を書け。
L 平成16年のリンゴの卸売価格は前年に比べてどうか。その理由を書け。
M 国民審査の目的を「主権者」と言う語を用いて説明せよ。
N 国民の政治への関心はどう変化したか。資料を見て答えよ。
O 投票しやすくなる工夫を具体的に書け。
P 「夫婦と子」の世帯割合が減っている理由を簡潔に書け。
 説明問題としては、やや高度な問題が多い。K・Mは表現が難しく、FやOは多くの答えが予想される。いずれにしろ、採点に苦労はするが、どんな力を付けたいかが明確に伝わってくる。
 
 次に、2番目に説明問題が多い佐賀県の説明問題を紹介する。佐賀県は、16問の説明問題と1問の作業問題が出題された。
@ (インドと日本の死亡率と出生率のグラフがあり)どちらが日本のグラフ答え、そのように判断した理由を簡潔に書け。
A 中国に進出している日本の企業が多いのはなぜか。費用に注目し、地図と資料から分かる理由をそれぞれ一つずつ書け。
B 干拓とはどのような方法で陸地を拡大するのか。資料1と資料2を参考にして簡潔に書け。
C 地震について資料4と資料5から分かることは何か。関連づけて簡潔に書け。
D 東京の周辺に新都心を建設する目的を資料7〜資料9を参考に簡潔に書け。
E 藤原氏はどのような方法で政治的権力を獲得したのか。資料1から分かる範囲で簡潔に書け。
F 資料2を参考にして、日露戦争直前の日本、ロシア、イギリスの3国の国際関係を簡潔に書け。
G 卑弥呼が行った政治と外交を資料3を参考にしてそれぞれ簡潔に書け。
H 江戸時代に大坂や江戸に年貢米や特産物が集まってきたのはなぜか。資料3と資料4を参考にして簡潔に書け。   
I 資料5のような大規模なダム建設により景気が回復すると考えられるのはなぜか。簡潔に書け。
J ODAはどのような問題を解決するのに役立っているか。資料6と資料7を参考にして簡潔に書け。
K 事例にある開示請求をした場合認められるかどうかを答え、そう判断した理由を資料1を参考にして簡潔に書け。
L 資料2と資料3を参考にして「裁判員制度」が導入される目的を簡潔に書け。
M 少数の企業によって市場が支配されると消費者にとってどのような不利益をもたらすか、簡潔に書け。
N 企業は利潤獲得だけでなく、資料2にあるような活動を行う理由を簡潔に書け。
O 「ニート」とよばれる人が増えるとどのような問題が生じるか。資料6と資料7を参考にして、その理由を簡潔に書け。
 これらからわかるように、複数の資料を利用して考える問題が、8題(A〜D、H、J、L、O)も出題されているのが、佐賀県の大きな特徴である。
 
 例年、数多く出題される問題は今年も健在である。
○ 正距方位図法を利用した問題が、今年は11都道府県(以下県)で出題された。メルカトル図法と比べるもの、日本とサンフランシスコとの最短距離を図示するものが目立った。
○ 緯度・経度、時差に関するものは実に27県にも及んだ。赤道はどれ?、北緯40度、ブラジルの経度に関するものもあった。赤道を挟んで、アフリカ、南アメリカの略図を描くものが増えている。
○ 雨温図は13県。南半球、日本海側、乾燥気候を示すものが目立った。
○ 国土地理院二万五千分の一(一部五万分の一)地図が24県で登場。実際の距離、地図記号、地形の特色を読み取るものが多かった。
○ その他、輸出入に関する問題、温暖化、オーストラリア、インド、人口ピラミッド、ODA、発電、自給率、国民経済、三権分立、歳入・歳出についての問題が目立った。
 毎年同じような問題が出題される。次回は、新しい発想の問題をいくつか紹介したい。
 
 前島ひで子講演会
 6月23日(金)13:30より、小牧勤労センターで、「輝く未来を創ろう!」と題する前島ひで子さんの講演会を聴いてきました。前島さんは、心の学校の校長ということで、全国各地に前島さんを応援?する会があります。その会員の多くは、企業の経営者のようです。年間250回以上の講演をこなすそうです。その講演は圧倒的でした。心の中から人を美しく変えるというコンセプトの話は情熱的でした。優れた役者の一人芝居のような感じで、彼女の目から視線をずらすことすらはばかられるような雰囲気でした。むろん、パソコンでの記録どころか、メモ書きすら許されないような迫力でした。
 内容は、自分の生い立ち・経験を例にした、人との接し方や逆境の乗り越え方などでしたが、十分こころに響きました。演台もなくフロア全体を使ってとうとうと話しかけてきます。魂の叫びとはこのことでしょう。会場のそこここからすすり泣く声も聞こえました。 
 一度、ぜひ前島ワールドを体感してみてください。宗教色や政治色はありません。
 前島さんについては、http://nadeshiko.huu.cc/deko.htm 参照。
 「Eduブログ」最新記事
 実践化のブログも情報の宝庫です。Eduブログを覗いてみました。
★ 八巻 寛治 ★ やまかん日記  國分カウンセリング研究会員です
http://edublog.jp/ktsn1213/archive/263   
★ 野間 俊彦 ★ のまっちの情報教育通信  教育の情報化ならここ
 「校内LAN普及フォーラム」の高校版 (06/23 20:41) http://edublog.jp/noma/archive/121 
★ 象の会 ★ 象の会からの便り   障害児教育の関係です
 いよいよ明日からおもちゃばこフォーラムが始まり... (06/23 16:58)http://edublog.jp/zounokai/archive/35 
★ 小野 昌彦 ★ 野に咲く花のように  不登校の子どもの社会的自立のために
 学習院大学への出張 (06/23 00:04) http://edublog.jp/ieyasuminamoto/archive/62 
★ 國眼 厚志 ★ ザッキンチョ  原体験教育研究会ウェブマスター
 エントリー300件 (06/22 21:03) http://edublog.jp/zakkincho/archive/307 
★ 大沼 直樹 ★ ピグマリオン     特別支援教育
 特別支援教育と他者感覚 (06/22 09:52) http://edublog.jp/ka2n0gu9/archive/169 
★ 加藤 博之 ★ カトちゃん日記   日本音楽療法学会認定音楽療法士
 『悲しい出来事』 (06/21 22:10) http://edublog.jp/katoh/archive/42 
★ 樋口 雅子 ★ 教育マグマ日記    われらが『社会科教育』等の名物編集長
 アジアン感覚は美徳〜。 (06/20 09:30) http://edublog.jp/anti-ageing/archive/29 
★ 上野 一彦 ★ KAZ先生のEdu Blog   学習障害児の指導
 学校教育法の一部改正(2) (06/20 01:42) http://edublog.jp/kaz1229/archive/31 
★ 飯島 康之 ★ GC日記    Geometric Constructor(GC)の開発者
 授業記録用のデジカメ選び (06/11 15:19) http://edublog.jp/yiijima/archive/73 
「Eduブログ」は、以下のアドレスからご覧ください。http://edublog.jp/ 
 
 中部電力株主総会参加レポート
 社会科教師が経済を教えるためには、株の知識はある程度必要です。株の売買の経験のない人よりは、経験者の方が伝える重みが違います。その意味で、社会科教師には、株を多少経験することを勧めます。
 6月19日、東桜会館で行われた中部電力の株主総会へ行ってきました。内容は口頭で報告します。
 
 
 YouNet6月号紹介
 拙稿紹介です。http://www.mirai.ne.jp/~homenews/younet/shagaku/YN180628S.htm 
 愛知県は製造業日本一。そのルーツが、実は享保の改革にあり、その時の尾張藩の政策が影響しているのではないかという説を紹介しました。


6  役立ちWeb特集 
(1)平成19年度全国学力・学習状況調査に関する実施要領
 文部科学省が平成19年度全国学力・学習状況調査に関する実施要領を発表。平成19年4月24日(翌年度以降は4月の第4火曜日)に、小学校6年生と中学校3年生を対象に調査を実施。小学校は国語・算数と質問紙調査、中学校は国語・数学と質問紙調査。
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/18/06/06061914/001/001.htm 
 
(2)著作権−新たな文化のパスワード  文化庁のページより
「お話会・読み聞かせ団体等による著作物の利用について」  http://www.jbpa.or.jp/ohanasikai-tebiki.htm 
 ボランティア団体による読み聞かせ会が行われていますが、注意しないと著作権を侵害する場合がある。
 
(3)環境省熱中症予防情報サイト   http://www.nies.go.jp/health/HeatStroke/ 
 熱中症などに対する注意を促すことを目的に暑さ指数(WBGT:湿球黒球温度)を発表している。
 
(4)河野太郎の政権構想 http://www.taro.org/sosaisen/ 
 マニュフェスト総裁選にしようという意気込みには拍手!
 
(5)道教委の来年度の教員採用試験志願者数、過去最低を更新(北海道)
 道教委は21日、来年度の教員採用試験の志願人数が、前年度を474人下回る8542人になったと発表した。少子化による採用減などが影響し、ピークだった1998年度以降の最低を更新した。
 大量退職時代を前に、いかに優秀な人材を確保するかは、大きな問題になってきた。教育のレベルを上げたいのなら、優秀な人材確保が最初で最大の手だてである。
  http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news2/20060622wm01.htm
 
(6)産学官の出会いのポータルサイト
 大学、公的研究機関及びTLOが保有する研究成果の社会還元の促進を図るため、インターネットを用いて各機関が公開している技術シーズ情報集の一元的な検索と、企業による研究者等への直接アクセスを可能とするシステム「e-seeds.jp(イーシーズ)」がスタート。
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/18/06/06062055.htm 
 
(7)食文化に関するサイト
☆我が国と世界の食文化 http://www.e-shokuiku.com/selfsupply/index.html 
 我が国と世界の食文化はどのように育まれてきたのかがまとめられている。サイト「食育・食生活指針の情報センター」の中の一項目。
☆お米と歴史 http://contest.thinkquest.jp/tqj2000/30413/c/rice/c/rekisi-top.htm 
 歴史にからむお米話を各時代ごとにまとめている。時代とともに変化した米の収穫量についてや、耕作方法の移り変わりなども出ている。
☆歴史 〜宮廷料理から庶民料理まで〜 http://www.wonder-okinawa.jp/026/history.html 
 沖縄の食文化について、歴史、食の思想といった様々な観点から出ている。長寿世界一といわれる大宜味村を扱った「長寿の村の暮らし」なども興味深い。
☆日本の食文化  http://contest.thinkquest.jp/tqj1998/10048/top.html 
 日本の食文化について歴史的な経緯からの知識をまとめている。日本人の雑食性について触れたり、昔の食事の例、おせち料理や「すし」についてなど日本の食事文化の伝統や変容がわかる。
☆江戸料理百選 http://www.asahi-net.or.jp/~UK5T-SHR/ 
 江戸時代の料理本から選んだ100点を再現。「料理と言う言葉の起源」や「そばのルーツ」など食生活に関するお話が出ている「江戸こばなし」、「落語にみる江戸の食生活」なども面白い。江戸時代の食卓がわかる!
 
(8)全国中学生人権作文コンテスト 第25回(平成17年度)入賞作文の紹介
 全国人権擁護委員連合会長賞 「兄のこと,知ってください」松本 綾さん の作文を読んで圧倒されました。http://www.moj.go.jp/JINKEN/SAKUBUN/sakubun06.pdf ぜひ読んでみてください。
 
(9)研修デザイナー
「教員研修に効果的」と注目されている「ワークショップ型研修」を、効果的にサポート
 詳細は ⇒ https://www.justmyshop.com/app/servlet/c3?m=jui4a02#kd 
 
(10)ネットくん調査隊   小学生のデジタル機器所有状況アンケート
 全国の小学生を対象に、Webアンケートでデジタル機器所有状況を調査。パソコンの使用頻度は、ほとんど毎日使用が4割弱だが、昨年に比べ低下傾向。一回あたりのパソコン使用時間は、1時間以上が6割。使用目的は、「ネット上でゲームをする」「ホームページを見る」に集中。
http://research.webshogakukan.com/netkun/review17.html 
 
(11)親と子どものケータイ教室   http://www.kddi.com/corporate/news_release/2006/0630/ 
 全国の小学生とその保護者の方々を対象に携帯電話の安全な利用方法を知らせる、「親と子どもの
ケータイ教室」を開催。「ケータイのルール&マナー」と「防犯に役立つGPS操作体験」から構成。携帯
電話のルールやマナーを始め、携帯電話の安全な使い方や防犯の為の活用方法などを学習。
 
(12)困り事よろず相談処 ほ〜納得   http://www.hou-nattoku.com/ おもしろい!はまりますよ。

 
 教育関連情報
(1)教育委の定数や担当事務、弾力化可能に…文科省方針
 文部科学省は、都道府県や市町村の教育委員会のあり方を抜本的に見直し、各自治体が地域の実情に応じて教委の委員数や担当事務を弾力的に決められるようにする方針を固めた。教育委員会が形骸(けいがい)化しているとの批判に対応したものだ。来年の通常国会に地方教育行政法など関連法の改正案を提出する方向で検討する。(中略)スポーツ・文化施設の管理事務などを首長の所管に移し、教育委員会の事務は、地域教育の基本方針の策定など学校教育分野に限定するなど、メリハリをつけることを可能にする。
(後略)(2006年6月26日 読売新聞より)
☆★☆ コメント ☆★☆
 生涯学習担当課を教育委員会から首長部局へ移す動きが一部で見られるが、この報道通りになるのなら
教育委員会の所管事務を学校教育へ限定する動きが一気に進むものと思われる。
 
(2) 学校教育法等の一部を改正する法律の公布について     〔特別支援教育課〕
 6月15日に開催された衆議院本会議において、政府提案の「学校教育法等の一部を改正する法律案」が可決・成立し、21日に公布されました。
 この法律は、昨年12月8日にとりまとめられた中央教育審議会答申「特別支援教育を推進するための制度の在り方について」の提言を踏まえ、現在の盲・聾(ろう)・養護学校の区分をなくして「特別支援学校」とし、「特別支援学校」の教員の免許状に改めるものです。また、小中学校等において特別支援教育を推進するための規定を、法律上に位置づけるものとなっています。
 なお、新たな制度は平成19年4月1日より施行されることとなっています。
 文部科学省としては、今後、特別支援教育を推進するための新たな制度を円滑に進めるため、都道府県の教育委員会といった学校関係者のみならず、保護者を含めた一般の方々に対して、特別支援教育の趣旨・目的について十分にご理解いただけるよう各種の施策の充実に努めてまいります。
学校教育法等の一部を改正する法律 http://www.mext.go.jp/b_menu/houan/kakutei/06040515.htm 
答申「特別支援教育を推進するための制度の在り方について」
☆★☆ コメント ☆★☆
 特殊教育を特別支援教育に改めることで、学校にとっても大きな変化につながる法改正である。
 第七十五条第一項中「特殊学級を」を「特別支援学級を」に改め、同項第六号中「心身に故障」を「障害」に…。名称の変更は内容の変更を含む。内容の変更についてはじっくり読み取る必要がある。
 
(3)小中学生対象に「東京ミニマム(最低限の学力基準)」を明示
 東京都教育委員会は子どもの学力低下に歯止めを掛けるため、小・中学校で最低限身に付けていなければならない学習内容を「東京ミニマム」(仮称)として2008年度にも具体的に示す方針を決めた。「小学校卒業までに九九ができる」といったごく基礎的な内容を想定しており、学校や家庭で学力定着が不十分な児童・生徒を指導する際、「せめてこれだけは」という目標にしてもらう。
 東京ミニマムの作成に向け都教委は、来年1月に行う学力調査で、小5なら小学校低学年、中2なら小学校卒業レベルの問題を少数出題することを検討。「本来解けなければならない問題」の解答状況を分析し、子どもがどこでつまずいているかを見極める。(後略)
☆★☆ コメント ☆★☆
 明示すること自体は、その努力に敬意を表したい。ただ、大切なのはその基準に達しない子へのフォローであり、LD児への配慮など留意しなければならないこともある。必要とわかっていながらこれまで避けてきたことへの、大いなる挑戦となろう。
 
(3)教職員給与1700億円削減=自民が決定
 自民党は20日、党本部で歳出改革プロジェクトチームの公務員総人件費関係の会合を開き、地方公務員定員を2011年度までに6.2%削減する方針を正式決定した。
 同チームによると、6.2%削減による歳出削減額は約1兆5600億円で、国・地方合わせた公務員総人件費の削減総額は2兆5000億円程度となる。また、一般の地方公務員よりも優遇される公立小中学校の教職員給与を見直し、1700億円削減する案も了承した。
☆★☆ コメント ☆★☆
 「一般の地方公務員よりも優遇」という表現が気になる。例えば「一般の地方公務員よりも医師の給料を優遇」というか?資格が異なれば給与表が違って当たり前である。ましてや教員の労働時間は、持ち帰り仕事を含めると膨大になる。時間外手当が払えるか?削減どころか、増加するだろう。
 
(4)トイレ掃除で生徒が変わる−愛知県の「便教会」世話人、高野修滋教諭
 「方法論や技術や手法ではない、ただ身を低くして実践あるのみ」――この教育方針を掲げて、生徒とともに「トイレ掃除」を実践している教諭たちがいる。素手素足で行うトイレ掃除に生徒たちは当初たじろぐ。だが見る見るうちに変化し、定着すれば欠席、遅刻、早退が激減、授業への集中力も増す。その名も「便教会」。同会世話人の高野修滋・愛知県立碧南高校教諭は「この取り組みを少しでも多くの学校で用いてもらいたい」と考えている。
☆★☆ コメント ☆★☆
 前任校でも行っていたこの「便教会」。教育的効果はたいへんに高い。
 
8 MM紹介
(1)よみうり教育メール     発行日:2006.06.23(vol.1441)
 毎日ではないが、「相談コーナー」がある。これは、「自分が相談されたら何と答えるか」という視点で読むとたいへん勉強になる。自分の仮想回答を考えてから、専門家の回答を読むと、いつも新しい発見がある。今回は尾木先生。ぜひ自分と尾木先生の回答を比較してお読みいただきたい。
=相談コーナー= 物事を悪い方に考え、感情的になる小3の娘
【相談内容】全文
 小3の娘。先のことを考えすぎて日常生活でしばしば立ち止まってしまいます。新学期にはクラス替えで担任も替わったため、緊張感から、朝気分が悪くなって学校へ行けなかったり、保健室に通ったりしました。算数の宿題は、間違えるのではないかと思うあまり全く手がつけられない。遠足で電車に乗ると考えただけで朝具合が悪くなったり、友達と遊びたいのに「どうせ暇じゃないに決まっている」と聞く前からあきらめたり。物事を悪い方へ想像してしまう上、少しのことですぐに感情的になります。ちょっと注意を受けただけでも、なにもかもだめだと感じるらしく、これでは本人もしんどいばかりだと思うのです。親としてもおおらかに受け止めてやりたいと思いながら、「ああまただ……」と疲れてしまうこともしばしばです。このような性質の子にはどのように接していけば情緒が安定するでしょうか?私自身が娘の心配をあまり理解できていないからよくないのでしょうか?        ―――大阪府、女性
☆★☆ コメント ☆★☆
 以上で質問は終了。さあ、あなたなら何と答えるか?
 いかにもありそうな例なので、まず、自分で考えてから、つぎの回答をお読みいただきたい。
 自分なら、「@ 簡単なことの成功体験を積み重ねて褒めてやる。さらにそのことを形に残し、目に見えるように累積していく。そうやって自信をもたせる。A より多くの経験をするために、親も一緒に楽しみながら、体を使った活動をさせる。ものづくり、野菜栽培、手芸、調理、その他の体験を含めて、行動する楽しさを体感させていく。」などと思ったが、これは、やや間接的なものをねらっている気がする。
 さあ、考えた人は次をお読みください。
 
【回答】教育評論家、法政大学教授 尾木 直樹
 これはご心配ですね。
 娘さんは、よほど慎重で完璧主義なのですね。すべてが予定通りに出来て当たり前と思い込んでいるようです。ですから算数の宿題も、間違えたらどうしようと立ちすくんでしまうのだと思います。友達に「遊びましょう」と声をかける前に、「今日は忙しくてダメ」と断られた以前の記憶が想い出されて、ここでもまた「どうせー」と、足が出なくなるのでしょう。お母さんのおっしゃる通り、ものごとを「悪い方へ、悪い方へ」ととってしまうから、苦しいのでしょうね。本人は、がまんにがまんを重ねているのでしょう。だからこそ、ちょっとした注意を受けただけでも、イラ立ち、感情のコントロールが効かなくなって、いわゆる「キレ」てしまうのです。そういう自分がきっと嫌で、嫌でたまらないのだと思います。絶望感にも襲われているのではないでしょうか。
 考えただけでも、本当に苦しくなるような悪循環ですね。
 お母さんのタメ息が伝わってくるようです。
 これは、お母さんが娘さんの気持ちを理解していないためではないようです。具体的にどうすればいいのか、考え方や対応の仕方を半歩リードしてやることが必要だと思います。
 そのためには、「こう考えたら」「こうすべきよ」などと高見に立った指示やお説教をするよりも、お母さんも共に行動してみてみることです。うまく事が運ばずに失敗した時に、それは決してゼロやマイナス評価にはならないこと。むしろ予定が実現できた時よりも、すばらしい発見、広がりや奥行きの深さを味わえるという体験を体感させてあげることではないでしょうか。人間の生活には、「○」か「×」の結論ではなく、その行為やプロセスそのものに意味があり、楽しいのだというものの見方、人生観を親自身が日常の生活の中で娘さんと共有することではないでしょうか。
☆★☆ コメント ☆★☆
 さすがにきれいにまとまっている。やや具体性に乏しい気がするが、親を安心させるにはこれでよいのかもしれない。皆さんの感想はいかがであろうか。こうした練習には、このメルマガはありがたい。
 
(2) 日刊『中・高校教師用ニュースマガジン』(中高MM)☆第1654号☆
■「教師の視力検査」(6)  木原 ひろしげ(福岡県) 三原色               
「ちょっと違うんじゃないか?竹の緑と楠の緑は違うだろ。椿の緑はもっと違う。同じ楠の木でも、元々の葉っぱと新しい葉っぱでは全然違うだろ。ミドリも最低四つのミドリ位は使い分けなくちゃ。」 初めて(久しぶり)の図工の授業、5年生。(中略)
 「四つのミドリ」に子どもたちはポカンと口を開けた。12色の絵の具箱には‘緑’と‘黄緑’の二つのミドリしかない。四つは無理だ、ということらしい。成り行きだから仕方がない。留守番先生は、赤・青・黄と白の四つのチューブだけを残して、後は箱ごと机の中に仕舞わせた。「この四つのチューブで、四つのミドリを作ってみよう」。私が若い頃ブームになった“三原色の絵の具箱”の手法だ。黄と青をミックスすれば簡単に緑ができる。二つの割合によっていくらでも無段階で緑が創出される。肝心なのはこれに赤を加えること。これによってありとあらゆる緑ができる。即興でやってみせる。ポカンとした口が益々大きくなる子、手品を見るように目を大きくする子、どういう訳かため息をつく子。いずれにせよ、“色塗り=塗り絵=チューブ色のベタ塗り”からの脱出だ。
 この授業の最後に子どもたちに話したこと、―――(中略)
「うちの大根畑は2週間おきに植えているから1メートルおきの段々畑みたい。これが一段ずつ全部違うミドリなんだ。この違いが楽しい。窓の外の里山のミドリもひとつずつ全部ちがう。絵の具のミドリが足りない。しかしね、赤・青・黄と白さえあれば木々のミドリは全部描ける。今日の練習で分かっただろ。」
そして、思ってはいたけど、チャイムが鳴ったので言わなかったこと、―――
「色の作り方の技術以前に、ミドリの美しさが良く目に映ることが大切なんだけどね。」
☆★☆ コメント ☆★☆
 いつも紹介するメルマガより、キミ子式(三原色法)を見つけた。小学校で教えていたときには、ポスター以外はいつも三原色法を使っていた。対象をよく見て、それに応じて色を自分で作るようになるからだ。色を見ると形を見る。凹凸を感じ光と影を感じる。対象の遠近や重なりを見る。これだけで、絵が数段良くなる。
 
(3)MM小学1743 森竹高裕 □ 火事を防ぐ 〜ニセ消防士の登場〜
 消防士さんがより早く火を消すために、普段からどんな活動をするのかを考えた。まず初めに
 発問1 もし学校の回りで火事が起こったとき、消防車は何分くらいで来るでしょうか?      
 5〜10分と予想する子どもたちが多かった。学区にある消防署に問い合わせたところ2分弱ということだった。正解を告げてから
 発問2 こんなに早く消防車が来るために、119番の電話はまず最初にどこにかかるのだろう?  
 ・一番近い消防署だから、K田出張所だと思う。
 ・警察の110番は通信司令室だったから、消防も同じような司令室だと思う。
 警察の学習をしたばかりだったので、司令室の存在に気づくことができた。そこで、教科書の図を見て119番をかけてから消防車がくるまでの流れを確かめた。消防では、電気会社、水道会社など、一度にいろいろなところに連絡が行くことにも気づいた。
 指示1 実は今日、K田出張所から消防士さんをお呼びしています。今呼んできますから、ちょっと待っていて下さいね。
 こう言い残して、大急ぎで隣の部屋に入り込んで着替えをした。私のいでたちは、ゴム長靴、雨ガッパ上下、自転車用ヘルメット、水まき用ホース、軍手である。
「やぁ長田西小の皆さんこんにちは」元気よく教室へ入っていくと、「あっ、森竹先生が変装している」「なんだ本物じゃない」という声、声、声… 。そんな声は無視しつつ、「森竹先生によく似ていると言われますが、私は消防署からきました。わからないことは何でも聞いて下さい」
 みんな疑わしい人でこちらを見ている。
 「今日来てくれた消防士さんは、本物ではないと思う人?」「はーい」
と元気よく全員の手があがった。「どうして本物でないと思うのですか?」と聞くと、あそこがおかしい、ここがおかしいと口々に言い始めた。そこで
 発問1 ニセ消防士の怪しいところを探してみよう。    
 偽物、まがい物の類が子どもたちは大好きである。本物の消防士と比べて、どんなところがおかしいのか間違い探しをさせた。消防士の写真と見比べて、どこがおかしいのか間違い探しをした。
 ・服装が違う。カッパだとすぐに燃えちゃう。
 ・ヘルメットがおかしい。本物は頭巾みたいになっている。首が出ちゃっている。
 ・ホースがおかしい。長さが短いから届かないし、太さも細い。
 ・ベルトをしていないから、火が服の中に入ってきてしまう。
 ・メガネをしているから火の中では熱くて溶けてしまうんじゃないか?
 ・手袋、ゴーグル をしていない。
 以前使ったニセ消火器を再び持ち出して「そうかな、この消火器を持っていけばよく消えると思うけどな」とトボけてみたが「違うよ」とすぐに却下されてしまった。(後略)
☆★☆ コメント ☆★☆
 これもいつも紹介する森竹先生。土井の好きな授業だ。このニセ者消防士はいかにも社楽的で楽しい。
子どもたちが乗らない訳がない。
 
9 書籍紹介
『心を育む道徳教材24』モラロジー研究所 本体\1,000
『愛知県史 資料編16 近世2 尾西・尾北』付録 尾張国図絵複製2枚 \5,000
『国のしくみ大達人 憲法から地方自治まで』集英社 \850+税
こち亀の両さん、中川、麗子が憲法、三権や地方自治、国際社会について解説している。
 
10 教育ルネサンスフォーラム
 2006年5月20日(土)にサッポロファクトリーホール(札幌市)で行われた、札幌フォーラム「教師力セミナーin北海道 教師力をみがく」の模様を動画で見ることができます。
  * 授業を見よう 授業実践
   1. 市川 恵幸(北海道教育大付属札幌中研究主任)33分14秒
   2. 森 寛、石川 晋(研究集団ことのは)35分24秒
   3. 小林 篤史ら8人(TOSS)30分18秒
   4. 菅原 英司(北海道教育大付属札幌小)32分14秒
  * 講演「優れた授業とは」 陰山英男(立命館大教授)31分21秒
 これらすべては   http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/index.htm ここの中から入れます。

  問い合わせは 土井謙次  syaraku@tcp-ip.or.jp