1 5年私の地図活用「地域の素材と人々の願いを取り入れたCMづくり」
『こどもと地図』2007年4月号(帝国書院)で野沢卓也先生の実践が紹介されました。
2 おすすめ番組 あしたをつかめ〜平成若者仕事図鑑
HPから紹介します。
4月21日の放送は、「空港で働く」
一日におよそ500機の飛行機が離着陸する成田国際空港。シリーズ「空港で働く」、第一回は、飛行機が安全に運航できるようエンジンや翼などを点検し、必要な整備を行う航空整備士の仕事を紹介します。
今回の主人公は、航空機の整備を専門に担当する整備会社に勤める喜来基(きらいもとい)さん(29歳)、入社8年目の航空整備士です。喜来さんは、到着してから次のフライトへ向けた機体の点検を行う「運航整備」や、およそ一月ごとに、より時間をかけて点検する「定期整備」を行っています。
ジャンボジェット機B747−400の一等航空整備士の資格をとった喜来さん、今回、先輩の指導のもと、飛行機の操縦室・コックピットを点検することになりました。飛行機の頭脳にあたるコックピットの点検は、資格をとって、はじめて任される大事な作業。安全、快適なフライトのため、わずかな異常も見逃さないよう整備を進める航空整備士の仕事に密着します。
☆★☆ コメント ☆★☆
キャリア教育の視点はもちろん、いろいろな業界の裏側が分かり、とても社楽的な番組である。生徒に薦めると同時に、まず、社会科教師に薦めたい。
3 五条川流域環境ネット21 平成19年度第1回河川懇談会 参加報告
4月24日、岩倉市のおさや糸店2階で行われた第1回河川懇談会に参加しました。参加者は、行政から12名、市民が16名でした。行政は、愛知県河川課、河川工事事務所、一宮建設事務所、市の土木課、
市民側は犬山メダカの会、岩倉JC、岩倉ナチュラリストクラブ、岩倉水辺を守る会、岩倉ボランティアサークル、すくすくクラブ、リリオの会などのみなさんです。
内容は、主に五条川についての平成18年度にどのような事業をしたか、平成19年以降にどんな事業が行われるか、河川整備計画とは、河川環境管理基本計画、花見の桟敷についてなどでした。
以下は、土井の個人的な感想です。
○ 河川行政について、あまりにも無知であるということを自覚した。おそらく、大多数の一般の人はそうではないのか。治水一つとっても、私たちは知らないところで守られている。
「見えていなかったものが見えてくる」のが社会認識である。今回は、貴重な社会認識の機会を得た。
○ 「河川法」という名前を聞いたことがあったが、内容を知ったのは初めてであった。
第1条 この法律は、河川について、洪水、高潮等による災害の発生が防止され、河川が適正に利用され、流水の正常な機能が維持され、及び河川環境の整備と保全がされるようにこれを総合的に管理することにより、国土の保全と開発に寄与し、もつて公共の安全を保持し、かつ、公共の福祉を増進することを目的とする。
○ 河川環境についての考え方が時代とともに変化していったことを知った。唱歌「ふるさと」の世界への回帰が進んでいる。
○ 市民側として参加されたみなさんのレベルの高さに敬服した。知識、見識、良識があった。社会科教師は、自ら動いて、いろいろな方々とふれ合うべきであることを痛感した。
4 公務員改革 韓国では…
JMM [Japan Mail Media]No.423 Friday Edition 『Younghee Ahn の韓国レポート』 第206回より
韓国の現状を、いつも正面から包み隠さず報告してくれるYounghee Ahnのシリーズ。今回は、日本でもこれから大きな問題となる公務員改革についてである。世界の流れは、いずれ日本の流れとなる。しっかりと見ておきたい。
−−−−−−−−−−−−−−−−−以下引用−−−−−−−−−−−−−−−
「無能な公務員は今清掃中」
最近、韓国企業は異常な円安、ドル安のため輸出の厳しさにあえぎ、青年たちは就職先のなさに悩んでいる。そのため、合格さえすれば「チョルパプトン(鉄の飯釜:一生が保障されるという意味の韓国語)」である公務員試験を受ける人が増えた。また、政府もそれに応えてか、現政権になってから公務員数を約5万人増やした。
「鉄の飯釜」公務員は、「事なかれ主義」だけでなく、権力を振りかざすという印象がある。もちろん、そうではない立派な公務員がたくさんいるので、これはあくまでもイメージである。特に、公務員社会は、「終身雇用」という民間企業では死語になりつつある言葉がまだ残っている社会でもある。
そんな羨ましい職業の人たちに今まさにメスが加えられた。今年の3月にソウル市が掲げた「3%の無能・不真面目な職員退職対象者、選定制度」というメスである。
対象はソウル市職員、市参加事業体職員を含む1万6000人。発表以来1週間で労働組合に駆け込んだ職員は約500人。労組はこの制度が「上司への請託やコネなどの不正行為を増やす原因になる」と市当局に抗議、デモも行ったが、呉世勲ソウル市長は「人事改革」を掲げて続行。職員を選定する局長や部長など管理職も緊張した。
「くじ引き」や「投票」で決めた事業所もあり、「選定の基準が明確でない」のが問題点になっている。
ついに、ソウル市職員のうち、無能・不真面目と目される102人が選出された。退出人数を決めてしまってから候補を選出するのはあまりにも非人間的だとする意見もあったが、弁護士出身のソウル市長はまったく動じなかった。
退出候補者についての発表を見ると、本当にこんな人がいたのなら、猶予を与えることなく即解雇してほしいくらいだ。まず、業務時間中にお酒を飲みセクハラ発言を繰り返した人。次は、市役所にかかってくる市民の声が聞きたくなくて、電話のボリュームを絞り、自分が他の資格を取るための勉強にいそしんでいた人。出勤すると昼寝かテレビを見ていた人などである。
退出候補となった公務員は、6ヶ月間「現場是正推進団」に所属し、汚名返上の機会をもらう。現場是正推進団では、4月16日から毎日午前10時から午後4時30分まで草むしり、ごみ拾いなどをする。この6ヶ月間で再評価を受けて復職することも可能になる。
ともあれ制度は現在、釜山市、大田市、仁川市など7都市が実施を決め、行政自治部(部は省にあたる)なども導入を検討している。
職員たちは「次はわが身」と嘆きつつ、職員の士気は相当下がったというが、「公務員も競争社会であるべきだ」と市民の声は厳しい。現場是正推進団の初日、作業着を来た退出候補たちがマスコミに囲まれごみ拾いをしている映像が流れた。それはやはりさびしい後姿だった。
5 役立ちWeb特集
(1)写真を無料でシールプリント
カメラ付き携帯電話で撮影した画像を無料でシールプリントしてくれるサービスがスタート。携帯電話で撮影した写真データをメールで送ると、無料でシールプリントして配送。写真タイプ/メモタイプ/名前タイプから選択可能。ハガキサイズの用紙に1カ月3枚まで無料配送。
(2)写真に写った柵や檻などの邪魔モノを消すフリーソフト
動物園で動物を撮影した場合やベランダで花を撮影した場合など、手前の檻や手すりまで写ってしまうことがあるが、こういった“被写体と一緒に写った邪魔なもの”を擬似的に消すことができるフリーソフトが登場。マウスで消したいものを指定するだけのカンタン操作。
(3)「絶対音感」をどれだけ持っているか測定できる音当てクイズ
音当てクイズによって絶対音感の有無を測定できるソフト。聞こえた音の音名を解答することで、音感の精度を確認できる。これはおもしろい!
「絶対音感テスト」は、白鍵(ド、レ、ミなど)七つと黒鍵(ド#、ミ♭など)五つの音をすべて使って行われる(初期設定の場合)。音域は6オクターブ分と幅広い。
テストは32問からなる。32問の解答が終わると結果が表示される。デフォルト設定における正解率を見ることで、ある程度の音感傾向がわかる。正解率が高い人は絶対音感の持ち主、正解率が低いと「相対音感(特定の音と聴音の差を利用して音を判別する能力)」の持ち主ということになる。
● 絶対音感テスト Ver.1.00 対応OS : Windows XP/Me/2000 種別 : フリーソフト
(4)財団法人 全国地域情報化推進協会
ブロードバンド全国整備に向けた都道府県ロードマップ
文部科学省では、子どもたちに科学技術に対する興味・関心を高めていくため、平成11年度から、その年のテーマの科学技術について、写真やデータも用いながら、マンガでわかりやすく解説した「子ども科学技術白書」を作成している。このページでは、これまでに発行した「子ども科学技術白書」をできるだけ多くの方に見てもらいたいと思い、全文を掲載した。
(6)税金や各種料金をインターネット上で支払うサービス
地方公共団体の税金や各種料金をインターネット上で支払うことができる新しいサービスがスタート。5月2日より、宮崎県の自動車税のクレジットカードによる支払い受付を開始し、支払い可能な税金や各種料金は今後拡大していく予定。
http://koukin.yahoo.co.jp/
(7)世界一当たる天気予報に、気象庁の観測ポイント1億強へ
気象庁は今年末をめどに、世界一の天気予報の的中率を目指し、コンピューターシステムの精度を上げる。大気に関する観測ポイントを1億強と大幅に増やして、週間天気予報で当たる確率を世界トップクラスの7割前後からさらに数%アップさせる方針。
(8)一家に1枚宇宙図2007
最新の天文学の成果を示すポスター「一家に1枚宇宙図2007」が完成。2007年度の科学技術週間(4月16日−22日)に日本中のすべての小・中・高校等に配布予定。宇宙の歴史と構造がギュッと詰まったポスターで、PDF版をダウンロード可能。
6 教育関連情報
(1)今後の教員給与の在り方について(答申)
中教審は「今後の教員給与の在り方について」という答申を提出した。運営業務や外部対応にかかる
仕事が多すぎるとし、きちんと指導を行えるための時間を確保することが重要だとした。
☆★☆ コメント ☆★☆
最大の教育改革は教員の給与を上げること、これにつきる。教員給与を一般行政職と比較することに意味はない。医師、弁護士、システムエンジニア、カウンセラーなど、資格に応じて収入が異なる。教員免許をもっと取りにくくし、その分給与を上げることが、教育の質の向上に直結するだろう。
(2)部活動の顧問が行うべきことをまとめた「部活動顧問ハンドブック」
東京都教育委員会は、部活動の顧問となった教員が、指導・管理で行うべきことがらを解説した「部活動顧問ハンドブック」を作成した。経験の浅い教員でも指導が可能になるよう、基礎的な内容から実際の顧問事例などまで掲載。
☆★☆ コメント ☆★☆
東京都は部活動を教育課程に組み込むとした。当然であろう。これまで、教師のボランティアに依存してきた部活動は、制度的な矛盾が多すぎた。
部活動の指導も立派な教育活動だ。教育課程に組み入れ、それに応じた勤務体系、報酬を考えていくべきであろう。
(3)学校のさまざまな危機に対応する「学校危機管理マニュアル」東京都
東京都教委では、学校に起こりうる危機に対して組織的に対応できるようにするための「学校危機管理マニュアル」を作成した。自然災害、防犯、新興・再興感染症、大事故などが起こったときに学校が取るべき処置をまとめている。
☆★☆ コメント ☆★☆
参考になった。実際の場でどれだけ効力を発揮するかは分からないが、心構えとしてもっているかどうかで大きく違う。その違いが、生きるか死ぬかにつながる。
(4)未完成だから指導を要する 近畿福祉大学講師 岩井忠彦
時事通信「内外教育」メールマガジン 2007/4/19 第142号より
授業が始まっても着席しない生徒の指導に学校は悩んでいる。規範意識の希薄化は社会全体に及びつつある。その原因はどこにあるのだろう。特殊例を集めて資質が低下したと一般化し、教師の責任を問うのが最近の風潮である。しかし、その背後には教育の長い歴史がある。
敗戦による米国化は、教師の非民主的な権威を否定した。仰いでも尊くはないと同調する意見もあった。それも立派な見識だが、日本の教育的風土は児童・生徒の生活面の指導から学校を解放しなかった。権威も尊敬も失った教師に「悪いことは悪い」という超論理的指導はできない。経験すればすぐに分かるが、理屈だけで怠学や喫煙をやめさせることは至難である。そこで学校は、やむなく校則を教師共通の指導基準とした。
必要に迫られて校則が増殖したころ、教室の人間化を叫び自由学校を賛美する1970年代米国の教育論が導入された。ゆとりを与え、自主性を尊重して規則や管理を排除すれば学力も規律も向上するという。当然、校則も「遅刻するぞ、急げ」と指導する教師も管理的だと排斥された。
遅刻の多くは夜遊びによる朝寝坊で、その入室で授業が妨げられるのが普通の学校である。しかし、皮肉なことに米国で学校崩壊の原因と宣告された理念が、日本では現実を圧倒し続けている。
昨今は深夜徘徊も不純異性交遊もほとんど死語になり、学校はサービス業で生徒や保護者は顧客だといわれる。これで規範意識回復のための指導が可能だろうか。そこへ、今度は米国で最近流行のゼロ・トレランス(非寛容政策)を導入し、共通の基準で厳しく指導せよと提言されても、木に竹を接ぐような違和感はぬぐえない。
教育は歴史や文化の総体の中で機能する。土壌の違う外国から学校教育論だけを移植しても育たない。今の日本に必要なものは、子供は未完成だから指導を要するという真実を、不評を恐れず明確にして、苦闘している教師を支える勇気だろう。
☆★☆ コメント ☆★☆
「教育は歴史や文化の総体の中で機能する。土壌の違う外国から学校教育論だけを移植しても育たない。」
という言葉は全くその通りだと思う。これは、教育の代わりに、「政治」「経済」という言葉に置き換えても通用するかもしれない。
前政権あたりから、アメリカ流が日本を席捲している。「政治」「経済」はもちろん、「教育」も例外ではない。このような風潮の中だからこそ、この岩井氏の言葉をあらためて読み取ってみたい。そして、「子供は未完成だから指導を要する」という当たり前のことを十分に受け止めたい。
6 教育関連情報
(1)今後の教員給与の在り方について(答申)
中教審は「今後の教員給与の在り方について」という答申を提出した。運営業務や外部対応にかかる
仕事が多すぎるとし、きちんと指導を行えるための時間を確保することが重要だとした。
☆★☆ コメント ☆★☆
最大の教育改革は教員の給与を上げること、これにつきる。教員給与を一般行政職と比較することに意味はない。医師、弁護士、システムエンジニア、カウンセラーなど、資格に応じて収入が異なる。教員免許をもっと取りにくくし、その分給与を上げることが、教育の質の向上に直結するだろう。
(2)部活動の顧問が行うべきことをまとめた「部活動顧問ハンドブック」
東京都教育委員会は、部活動の顧問となった教員が、指導・管理で行うべきことがらを解説した「部活動顧問ハンドブック」を作成した。経験の浅い教員でも指導が可能になるよう、基礎的な内容から実際の顧問事例などまで掲載。
☆★☆ コメント ☆★☆
東京都は部活動を教育課程に組み込むとした。当然であろう。これまで、教師のボランティアに依存してきた部活動は、制度的な矛盾が多すぎた。
部活動の指導も立派な教育活動だ。教育課程に組み入れ、それに応じた勤務体系、報酬を考えていくべきであろう。
(3)学校のさまざまな危機に対応する「学校危機管理マニュアル」東京都
東京都教委では、学校に起こりうる危機に対して組織的に対応できるようにするための「学校危機管理マニュアル」を作成した。自然災害、防犯、新興・再興感染症、大事故などが起こったときに学校が取るべき処置をまとめている。
☆★☆ コメント ☆★☆
参考になった。実際の場でどれだけ効力を発揮するかは分からないが、心構えとしてもっているかどうかで大きく違う。その違いが、生きるか死ぬかにつながる。
(4)未完成だから指導を要する 近畿福祉大学講師 岩井忠彦
時事通信「内外教育」メールマガジン 2007/4/19 第142号より
授業が始まっても着席しない生徒の指導に学校は悩んでいる。規範意識の希薄化は社会全体に及びつつある。その原因はどこにあるのだろう。特殊例を集めて資質が低下したと一般化し、教師の責任を問うのが最近の風潮である。しかし、その背後には教育の長い歴史がある。
敗戦による米国化は、教師の非民主的な権威を否定した。仰いでも尊くはないと同調する意見もあった。それも立派な見識だが、日本の教育的風土は児童・生徒の生活面の指導から学校を解放しなかった。権威も尊敬も失った教師に「悪いことは悪い」という超論理的指導はできない。経験すればすぐに分かるが、理屈だけで怠学や喫煙をやめさせることは至難である。そこで学校は、やむなく校則を教師共通の指導基準とした。
必要に迫られて校則が増殖したころ、教室の人間化を叫び自由学校を賛美する1970年代米国の教育論が導入された。ゆとりを与え、自主性を尊重して規則や管理を排除すれば学力も規律も向上するという。当然、校則も「遅刻するぞ、急げ」と指導する教師も管理的だと排斥された。
遅刻の多くは夜遊びによる朝寝坊で、その入室で授業が妨げられるのが普通の学校である。しかし、皮肉なことに米国で学校崩壊の原因と宣告された理念が、日本では現実を圧倒し続けている。
昨今は深夜徘徊も不純異性交遊もほとんど死語になり、学校はサービス業で生徒や保護者は顧客だといわれる。これで規範意識回復のための指導が可能だろうか。そこへ、今度は米国で最近流行のゼロ・トレランス(非寛容政策)を導入し、共通の基準で厳しく指導せよと提言されても、木に竹を接ぐような違和感はぬぐえない。
教育は歴史や文化の総体の中で機能する。土壌の違う外国から学校教育論だけを移植しても育たない。今の日本に必要なものは、子供は未完成だから指導を要するという真実を、不評を恐れず明確にして、苦闘している教師を支える勇気だろう。
☆★☆ コメント ☆★☆
「教育は歴史や文化の総体の中で機能する。土壌の違う外国から学校教育論だけを移植しても育たない。」
という言葉は全くその通りだと思う。これは、教育の代わりに、「政治」「経済」という言葉に置き換えても通用するかもしれない。
前政権あたりから、アメリカ流が日本を席捲している。「政治」「経済」はもちろん、「教育」も例外ではない。このような風潮の中だからこそ、この岩井氏の言葉をあらためて読み取ってみたい。そして、「子供は未完成だから指導を要する」という当たり前のことを十分に受け止めたい。
7 MM紹介
(1)教育MM「教師の“知恵”ぶくろ」 2007年4月11日 No233
今回紹介するような、子どもを育てる「10の○○」のような文章を書ける人は実力がある。自らの実践を分析的に考えていかないと、なかなか書けるものではない。こうしたライターをもっているこのMMはおすすめだ。
−−−−−−−−−−−−−−−以下引用−−−−−−−−−−−−−−−−−
01【国語】 ◆「聞く力」を育てる10のアイテム 香月 正登@山口県下関市立滝部小学校
1 「聞くこと」とは何か
「聞くこと」は大事だと誰もが思っています。しかし、なぜ「聞くこと」は大事なのか?そもそも「聞くこと」とは何なのか?どう指導すればよいのか?となるとなかなか悩ましい問題です。
私は「聞くこと」は学びそのものだと考えています。「読むこと」の学習で、「あなた」の読みを取り込んで、「わたし」の読みをつくり直す。異なる読みの「あなた」と「わたし」の間に接点を見つけ、共有できる読みをつくる。そういうダイナミックな学びを生み出すのは、紛れもなく「聞くこと」なのですから。
「聞くこと」はどちらかというと受動的な行為と考えられがちですが、私は能動的な行為として考えたいのです。アイヌに伝承する「耳は二つ、口は一つ」という諺も話し合いにおける「聞くこと」の優位性を示しています。「聞く力」を定義すると次のようになります。
「あなた」と「わたし」の接点を見つけ、それに応答していく力
2 「聞く力」を育てる指導アイテム
では、学校の「聞くこと」の指導はというと、相変わらず多いのは「正しく聞く」「目を見て聞く」です。もちろん、聞く態度の指導は大事です。正確に情報を聞き取れるようになるに越したことはありません。しかし、それはあくまでも「聞くこと」の一面に過ぎません。
私は、「聞くこと」はもっと複雑で、豊かなものだと考えています。もっと、子どもたちに自分の思いを発露させ、「聞くこと」を楽しませたい。何か自分の考えを話さなければならないというプレッシャーから子どもたちを解放し、「聞くこと」を中心としたコミュニケーション・スタイルをつくりたいと考えています。
ここでは、そのために、日頃から取り組める「聞くこと」の指導を10にまとめ、指導のアイテムとして紹介します。
(1)いくつの音が聞こえた?
目を瞑って、耳を澄ませてみます。教室が静まりかえるといろいろな音が聞こえてきます。風の音、小鳥がさえずる音、車が走る音、私たちの周りには音が溢れているし、その音を聞くことで目には見えないけれどイメージが膨らんできます。静かに耳を傾けることで「聞くこと」を体で感じてみましょう。
(2) え、今の聞いた?
対話の基本は1対1です。話し合いは、その1対1の対話をモニターする第三者の参加を得て成り立ちます。ですから、第三者としての「聞くこと」を意識させなければいけません。そのために、まず、教師が子どもとの1対1の対話をします。どんどん子どもの思いや考えを引き出します。そして、「え、今の聞いた?」と周りに問いかけ、「すごいね!」「面白いね!」など「聞くこと」のよさを広げていくのです。時には「どんなお話だった?」と尋ね、話すことができたら「素晴らしい!」「よく聞いていたね!」「えらいよ!」と力強く褒めるのです。
(3) 復唱しよう!
「聞くこと」は行動です。静ではありません。もちろん、主として聞き手の内側で起こる活動ですが、やはり、それは行動と結びついています。復唱はもっとも基本的な行動です。教師が発言したことを子どもたちがそのまま発言します。例えば、教師が「今日は掃除がありません」と言うと、子どもたちも「今日は掃除がありません」と返します。こうした復唱は低学年期には特に重要で、復唱することで「聞くこと」が鍛えられていきます。
(4) いくつのお話?〜指を折りながら聞く
復唱から少しレベルアップして、指を折りながら聞くということは、「話のまとまり」を聞くということになります。朝の会の先生の話の中で、「今から先生がいくつかのお話をします。お話がいくつあったか指を折りながら聞いてくださいね。」と前置きしてから話を始めます。それだけで、「聞くこと」への集中力は間違いなくアップし、確かめはとても楽しい時間になります。
(5)エラーを発見しよう!
読み聞かせも「聞く力」を育てるのに絶大です。「エラー発見読み」は、教師がわざと間違えて読み、それを指摘して、正しく読むというゲーム感覚の読みです。子どもたちは「聞くこと」に集中し、どんどん文章の中に入っていきます。
また、読み聞かせのあとに、「登場人物は何人だったかな?」「どっちの出来事が先立った?」などのクエッションタイムも楽しいです。
(6) 隣の人に伝えよう!
復唱ではなく、復伝です。聞いた話をポイントを押さえて隣の人に話します。これには、要点・要約の力が必要になります。まず、教師がひとまとまりの話をします。そして、隣の人に伝えます。うまく伝えられたら拍手してハイタッチ!繰り返すと次第にポイントを聞き分けられるようになります。
(7) 絵を描いてみよう!〜ピクチャー
言わずと知れた「ピクチャー・ゲーム」です。話し手側から見れば、全体から部分へ、比喩を使うなどの話し方のトレーニングになりますが、聞き手側から見れば、いかに正確にイメージできる情報を引き出すかという聞き方のトレーニングになります。しかも、リアルタイムで評価できるし、子どもたちは大好きな活動です。「△◇○を串刺しにしたおでん」といった初歩からポイントカットまで難易度を変えながら楽しむことができます。
(8) 続きは何?〜接続詞に注目
話は断片ではなく、やはり文脈があります。そうすると、文脈をとらえ、話の先を予想しながら「聞くこと」も大事なスキルです。そこで、途中で話をやめて、先を予想させてみます。そのときに接続詞に着目させます。「今日はとてもよいお天気です。暖かくて外遊びが気持ちよさそうですね。だから(しかし)・・」といった具合です。
(9) 質問を考えよう!6W1H
相手からより確かな情報を、より深い考えを引き出すためには「質問」は大事です。そういう質問力をぜひ付けておきたいものです。そこで、活用できるのが6W1Hです。「What(何を)」「Who(だれが)」「When(いつ)」「Where(どこで)」「Which(どっち)」「Why(なぜ)」「How(どのように)」を頭の中に置きながら聞くと質問が浮かびやすくなるということを子どもたちに実感させましょう。
(10) 読み声を交流しよう!
音読の相互評価で「大きな声でよかったです」「間がよくとれていました」といった発言をよく耳にします。しかし、これなどは形式的に聞いているだけで、「聞く力」も「読む力」もほとんど育てていないと思います。「〜さんの読み声を聞くと、私には〜な気持ちが(場面の絵が)伝わってきました」さらに、「きっと〜さんは、〜という言葉から〜を考えて音読したんだと思います」というように相手の真意に迫る聞き方で交流を進めたいものです。(以下略)
☆★☆ コメント ☆★☆
「聞く」指導の内容は他にもいろいろあろう。内容はともかくとして、それぞれの教師が、「聞く力を育てる」指導、「話す力を育てる」指導、「書く力を育てる」指導、さらには、「地図読み取り」の指導、「インターネット活用」の指導などで、「力を育てる10のアイテム」を書いてみることが重要だと思う。これにより、自分の実践を振り返ることができ、指導の効果があるかどうか考える契機になる。