(1)教師の“知恵”ぶくろ 2007年5月2日 No236
02【国語】◆読点のつけ方 梅田 芳樹@学習院初等科
☆★☆ コメント ☆★☆
読点の付け方の指導は意外と難しい。ある程度規則性はあるのだが、状況によって変えていかなければならないからである。梅田先生から次のような「きまり」が紹介されていた。いかがであろう。
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きまり1 受ける言葉が、すぐ下にあるときはつけない。
× 私は、少女です。→私は少女です。
× 美しい、空だ。→美しい空だ
× おじいさんの、家から、帰った。→おじいさんの家から帰った。
きまり2 受ける言葉がはなれているときはつける。
○ ぼくは、おじいさんの家から帰った。
※「ぼくは―帰った。」(主語―述語)がはなれています。このように受ける言葉がはなれているときは、 かかる言葉「ぼくは」の 下に「、」をつけます。
きまり3 二つの文からできている文は、間につける。
×雨がふったのに遠足が行われた。
※この文は、「雨がふった。」と「遠足が行われた。」という二つの文が合わさって、一つの文になって います。もともと二つだっ たという印に、間に「、」を入れます。
○ 雨がふったのに、遠足が行われた。
きまり4 次のような言葉の上につける。
☆「だから、でも」などの言葉(接続詞)
○ もうあきた。だから、やめよう。
☆「はい、いいえ、あっ」などの言葉(感動詞)
○ はい、そうです。
きまり5
「、」が多すぎてくどくなった場合は、「かかる―受ける」の関係の近い方の「、」を省いてもかまわ ない。
※ きのう、ぼくは、おじいさんの家から帰った。
この文の場合、「きのう―帰った」より、「ぼくは―帰った」の方が近いので、省くとしたら、「ぼく は」の後の「、」を省きます。
(2) 日刊『中・高校教師用ニュースマガジン』(中高MM)☆第1737号☆
☆★☆ コメント ☆★☆
昨年の坪内先生の実践で、児童が判断のものさしを作ってアイデアを評価するものがあった。次に紹介するのが、同じ方向性にあるものだ。社会科の授業でも応用可能である。お読みいただきたい。
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■「問題解決における言語感覚の育成」(1)
(NPO)日本未来問題解決プログラム 理事 飯盛直子(佐賀県)
◆―6つのステップを伝えるだけで子どもが考えるようになる!特別活動編―
(前半略)
6つのステップは以下のとおり。特に難しくない。これまで教師が問題解決を難しくしてきたのかもしれないという反省を込めて。
ステップ1 問題をあるだけ出す。
ステップ2 解決したい課題を立てる。
ステップ3 解決アイディアを出す。
ステップ4 ものさしをつくる。
ステップ5 ものさしを当てはめる。
ステップ6 解決する。
それでは、実践例を私のメモから確認しよう。
小学校5年生の教室。学校の代表委員会での今回の議題は、「廊下を走る人がいるので、走らないようにするためにはどうするか。」というもの。各学級で話し合って代表委員会に案を持っていくことになっている。
今回は司会を担任がする。初めてステップを使うためである。たった6つのステップで、彼らが「よく考えた」「妥当な判断ができた」「頭がよくなった」(5年生談)と感じられた。
【ステップ1 問題をあるだけ出す】
「・・・なので(たら)〜かもしれない。」という形にさせる。話形を揃えることで子どもたちは考えやすくなる。内容がそれぞれの子どもの生活実態に沿っていて多様なので、話形は揃えたほうがいいと考えられよう。・・・には事実を、〜には問題だと思っている自分の思いを入れるように促す。
・ 廊下を走ったらガラスにぶつかって、自分だけではなくて他の人にも怪我をさせるかもしれない。
・ 周りを見ないで廊下を走ると、人とぶつかり怪我をするかもしれない。
・ 廊下を走っていて人とぶつかり、なぜぶつかったのかと文句を言われて仲が悪くなるかもしれない。
・ 廊下を走りながら曲がったら、ころんで怪我をするかもしれない。
・ 階段を走って降りてきたら、ドアに激突して怪我をするかもしれない。
【ステップ2 解決したい課題を立てる】
「・・・なので〜のために―する。」という形にさせる。ここでも話形を揃えることで、子どもは友達の考えを理解しやすくなる。・・・には事実を、〜には問題だと思っている自分の思いを、―には中心となる動詞を書く必要がある。
これは、教科学習の目標を立てる場合にも使えるパターンであり、もっとも学習に必要な書き方となる。多くの学習には目的が明示されないため子どもたちは納得できないまま学習を行うことから、〜の部分に着目した目標を立てられるように各教科で意識して指導したい。今回の教室では、全員で話し合って、以下のように決めた。
・ 廊下走りが多いので、怪我をしないためにみんなで考えて手立てを取る。
・ 事実を確認できる背景
+ 怪我をしないという最も大きな目的
+ 代表委員会でみんなで考えるという動詞
ここでやっと代表委員会の議題の提案理由に追いついた。つまり、子どもたちは、これまでなぜステップ2の文言が突然出てきているのか分からなかったと捉える。
ステップ1を踏まえたステップ2の文章により、納得しながら議題について取り組むことができるようになると考えられよう。
【ステップ3 解決アイディアを出す】
とりあえず出す。できるできない、好き嫌いをいわずに出す。ステップ1のイメージや実体験からすらすらと出た。
・ ポスター ・ 校内放送 ・ その場で声かけ ・ 走りチェック(グラフで掲示など) ・ 新聞 ・ 紙芝居を作って見せる ・ 先生の話
【ステップ4 ものさしをつくる】
判断の基準を自分なりにつけることを知らせて、ものさしをいくつかあげさせた。
・ 小学校1年生でも取り組める(全校でできる)か。
・ 楽しいか。
・ 楽か。
ここで「楽しいか」というものさしが出るとは思わなかった。子どもは豊か。こんなに面白くなさそうなことを考えるときも「楽しいか」というものさしを考えつく。
【ステップ5 ものさしをあてはめる】
全校でできるか、楽しいか、楽かのそれぞれのポイントを4を最高としてつけることにした。これは、普段から学習の自己評価に4ポイントで評価しているため使い慣れているからである。それぞれの実態に即した数値でいいだろう。
・ ポスター 4 4 2 合計10
・ 校内放送 3 3 4 合計10
・ その場で声掛け 4 2 3 合計9
・ 走りチェック(グラフ) 3 1 2 合計6
・ 新聞 3 3 1 合計7
・ 紙芝居 3 4 2 合計9
・ 先生の話 4 3 4 合計11
代表委員会に出すアイディアはいくつでもいいということだったので、ポスター、校内放送、先生の話を出すことにした。子どもたちは、最高ポイントを獲得したアイディアが先生の話であることに苦笑い。それなら何度も聞いているからである。教師の話を楽しんで聞いてくれていることが分かり、こちらも苦笑い。大怪我をするかもしれないぞとすごみながら真剣に話しているからである。
【ステップ6 解決する】
今回、ステップ6はない。代表委員会で決まったことを実行することになるからである。さて、さまざまなアイディアを持ち寄ってどのような話し合いが行われるのか。子どもたちは、ステップ6の学習がこの時間内に行えないことをすぐに理解した。そして、代表委員会後にまた、学級で話し合うことを確認しあった。
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これらのステップを子どもたちと学びませんか。実は、競技をしながら学べるプログラムがあります。その教材は、日本の教材ではまず見たことがない文章です。企業倫理・医療倫理・栄養問題・富の再配分等・・・社会性を育てながら生きる力を育てることができるものです。