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報告者  早 川

2007年5月10日(木)布袋北学習等供用施設にて社楽の会を開催しました。参加者(勤務校)を紹介しましす。
高木先生(犬山中)、勝村先生(犬山中)、尾関先生(曽野小)、大藪先生(犬南小)、小澤先生(扶桑東小)、高橋先生(門弟山小)、奥村先生、大野先生(岩南小)、岩井先生(木曽川中)、早川(江北中)の10名でした。

 高木先生より、本年度研究の方向性について提案があり、「評価のあり方」について活発な意見交換がなされました。次回は、尾教研丹葉支部社会科部会研究推進委員長・扶桑町立柏森小学校教頭佐々有三先生がお越しくださる予定です。都合がつけば、研究部長の丸山校長先生もお越しくださるかもしれません。

 今回参加できなかった土井より、紹介したかったものの目次です。番号をクリックしてください。
   教師力アップセミナー2007
 平成19年度全国学力・学習状況調査の調査問題・正答例・問題趣旨掲載
 平成19年度ODA民間モニター大募集
  朝礼の校長講話
 役立ちWeb特集  
 教育関連情報    
 MM紹介
 研究会情報
 書籍紹介

教師力アップセミナー2007
 全国から著名な研究者や実践家を招いて開催される教師力アップのための勉強会「教師力アップセミナー」の19年度プログラムがスタートします。5月12日の第1回は、授業のアイデア名人、佐藤正寿先生の登場。ITを活用したオリジナル教材作成・授業実践の第一人者で、「仕事術」についても紹介されます。  http://school55.net/kyoushi/ 

 
 平成19年度全国学力・学習状況調査の調査問題・正答例・問題趣旨掲載
  http://www.nier.go.jp/homepage/kyoutsuu/tyousa/tyousa.htm 
 いろいろと紛糾しながらも、いわゆる全国学力調査が終了しました。今回のB問題は、いわゆるPISA型の問題です。実際の生活に生きる学力を測っています。「生きる力を育てる」というからには、こうした問題を解くことができる力を育てる授業をすることが、今後必要となるでしょう。
 今回の学力調査は、国内の学校間競争と言うより、むしろ日本のPISAテストの成績を上げることがねらいにあると感じました。
 ちなみに新聞各社、25日の社説の見出しは次の通りです。
・朝日新聞の社説「全国学力調査―格差を広げないように」
・毎日新聞の社説「社説:学力テスト 序列化の具にしてはいけない」
 http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/shasetsu/news/20070423ddm005070134000c.html 
・読売新聞社説「全国学力テスト 結果を教育改善にどう生かすか 」
    記事:考える力、試す…全国学力テスト
 http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20070425ur02.htm 
・日本経済新聞社説「学習改革に学力テスト生かせ(4/21)
 「序列をつくるな」派と、「今後に生かせ」派がはっきりと分かれているのがおもしろいですね。 
 平成19年度ODA民間モニター大募集
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/kaikaku/monitor/19_monitor/index.html 
 今年も民間モニターの募集が始まりました。やや募集人員が減ったのは、予算削減のせいでしょうか。ぜひ応募してみてください。
 今年は前期がインドネシア、エチオピア、中国、後期がカンボジア、カメルーン、ホンジュラスです。
 ちなみに、土井が平成17年に中国へ民間モニターとして訪問した記録が
 http://www.tcp-ip.or.jp/~syaraku/oda/index.htm です。

 朝礼の校長講話
 朝礼の校長講話は、毎回パワーポイントを使うことにしています。具体的でわかりやすく、生徒も集中できるからです。
 話は大きく分けて2部に分かれます。T部は学校周辺の花の写真、主に休日の出来事(部活の大会やボランティアなど)の紹介、U部が本論です。
 これまでの話を紹介します。
4月 9日 T 五条川の桜の写真、学校開放委員の打合会の様子の紹介、岩倉さくらまつりの山車
      U 愛知は27年連続工業生産が第一位。ものづくりがさかんなのはなぜか?そのヒントは、       岩倉の山車のからくり人形にある。
        吉宗の時代に尾張七代藩主宗春が経済振興政策をとり、からくり人形師が集まった。そ       れが、歯車やカムの技術の進歩につながり、後の機織機から自動織機、自動車へと発展し       ていった。
4月16日 U アフリカは内戦や干ばつのために、食糧不足になり、毎年1200万人の子どもが栄養       不足のためになくなっている。そのために、毛布を贈る運動を行っている。協力してほし       い。
        近年著しい発展を見せているマレーシア。岩倉では、マレーシアに中学生を派遣してい       る。希望者の募集が始まる。
4月23日 T 校庭の藤、春の大会の様子
U 人権作文コンテスト内閣総理大臣賞「一人じゃないよ」を紹介。いじめに関するもの。
5月 1日 T 校庭のハナミズキ、男女卓球・サッカー・ソフトの大会の様子
U 江南の曼荼羅寺はなぜ作られたか。聖徳太子は仏教の力で国をまとめようと法隆寺を、  聖武天皇は同様に東大寺を建てた。後醍醐天皇も仏教の力を借り、鎌倉幕府打倒を祈った。  そのために建てたのが曼荼羅寺である。
5月 7日 T 中庭のノースポール
      U 少年の主張愛知県大会の昨年度最優秀作品の紹介。中国からの転校生が、クラスメイト       に温かく迎えられたという話。
 みんな、しっかりと聞いてくれます。

 役立ちWeb特集
(1)地球の日照地域をリアルタイムに表示する3D地球儀
 地球の日照地域を3D地球儀上にリアルタイム表示するスクリーンセーバー(フリーソフト)。漆黒の宇宙に浮かぶ地球が、周回軌道上の衛星から眺めたように映し出され、パソコンの内蔵時計と連動し、地球の日照地域をリアルタイム表示する。
 
(2)携帯電話に内蔵できる超小型プロジェクタ
 これは画期的!携帯電話に超小型DLPプロジェクタを内蔵した試作機が登場。携帯電話の液晶ディスプレイに表示する内容を、端末上部に備えたプロジェクタから投写。
 形態がプロジェクターの機能を果たせば、少人数の会議などで威力を発揮する。
 
(3)使える!「国土電子地図」  http://cyberjapan.jp/index3.html 
 地図がとってもきれいで、印刷もOK。座標も細かく表示されます。
 ちなみに、岩倉市立南部中学校正門の位置は
北緯35度16分16.82秒
東経136度52分56.25秒 でした。
 
(4)ALPSLAB 1枚の紙からミニ地図帳を作る地図サイト
 ベクトル地図描画の技術を応用し、1枚のPDFに複数の地図を面付けし、まるで小さな本のようなミニ地図帳が作成できるサイトを公開。印刷された1枚の紙を簡単な手順で加工することにより、表紙を含めて8枚のページを持つミニ地図帳を作成する。修学旅行などで使える。
 
(5)13歳からの国際貢献データベース
 「あいちの国際交流」>国際理解教育 
 
(6)国立天文台編さんの「理科年表」オフィシャルサイト 公開  http://www.rikanenpyo.jp/
  国立天文台は「理科年表」のオフィシャルサイト『理科年表オフィシャルサイト』を公開した。年表のデータの背景となる基礎知識をくわしく解説してくれる「徹底解説」、特定テーマを一問一答形式で答えてくれる「FAQ」、理科年表に掲載されているデータがダウンロード可能な「理科年表広場」などが用意されている。
 
(7)3Dレゴブロックシミュレーター
 パソコン上でレゴブロックを組み立てられるフリーソフト。さまざまな形状のレゴブロックをマウス操作などで配置・結合して、視点を自由に切り替えながら、レゴ模型を組み立てられる。ブロックは、すべて実在する製品。はまるかも?
 
(8)「日常英語」を憶える練習ソフト
 ワーキングホリデーや留学などの海外生活で使う「日常英語」を憶えるフリーソフト(広告付)が登場。冷蔵庫、電子レンジ、食器棚、水道の蛇口、掃除機やコンセントといった、意外と知らない生活に身近な単語を練習。すべてのデータでネイティブの音声が聞ける。
 
(9)教育機関向けに1000円のオフィスソフト
 全国の教育機関を対象に、ワープロ・表計算・プレゼン テーションの3点をセットしたオフィスソフトを特別価格(1000円)で販売。Microsoft Officeと、操作や表示、保存形式などで互換性が高い。
 
(10)平安京も散策できるバーチャル京都
 バーチャル京都3Dマップに、平安京データが追加。フライスルー画面では、現代の京都だけでなく、平安時代の京都のバーチャル空間が楽しめる。ウォークスルー画面では、現代と昭和初期の四条河原町周辺、平安時代の大内裏周辺のバーチャル空間が散策可能。平安京の授業で使える。
 
(11)「近代日本人の肖像」に128人の肖像を追加
 「近代日本人の肖像」は、近代日本の形成に影響のあった、政治家、官僚、軍人、実業家、学者、芸術家等約350名の肖像写真を紹介する展示会。このたび、さらに多様な分野から代表的人物を選定するよう努め、写真集や各人の伝記から新たに約130名の肖像写真を採録。これも授業に使える。
 
(12)インターネット地図サービスで建物の外観や内部を表示
 インターネット地図サービスで、検索した各スポットの建物の外観や内部の写真も見られるサービスを開始。マップで検索したスポットを訪れる際に、地図や上から見た航空写真だけでなく、人の視点から見た建物の外観などを頼りに探すことができるようになる。名古屋や東京での訪問に活用できるかも…
 
(13)JPEGの2倍の圧縮効率のフォーマット「HD Photo」正式発表
 Microsoftは、新画像フォーマット「HD Photo」を正式に発表。 HD Photoは最大でJPEGの2倍の圧縮効率を実現し、JPEGよりも画像の損失が少ないため、同品質の画像を半分のファイルサイズで保存できる。さらにロスレス圧縮と非可逆圧縮の双方をサポート。 待ってました!
 
(14)学校図書館の現状に関する調査結果
 文部科学省では、学校図書館の現状に関して調査を実施。朝の始業前の読書活動は、小学校で86.4%(前年より2.7ポイントアップ)、中学校で74.4%(3.7ポイントアップ)。図書の読み聞かせやブックトークは、小学校で74.1%と、前年より3.4ポイントアップ。
 
(15)おてがる画像変換ソフト
 画像をウインドウにドラッグアンドドロップすることにより、その画像の形式変換とサイズ変更、画像の回転などを手軽に行えるフリーウェアが登場。変換後の画像に任意の文字列(フォント・色・スタイルを指定可能)や画像を合成できる機能もついている。
 
(16)特別支援教育の推進について(通知)
 
(17)1枚の画像から3DアニメGIFを作成
 1枚の静止画像から、既定の立体的な動きをするアニメーションGIFを簡単に作成できるフリーソフトが登場。Webサイトに表示するロゴ画像などにちょっとした動きをつけて目立たせたい場合にお勧め。
 
(18)学校教育法等の一部を改正する法律を踏まえた盲・聾・養護学校の校名変更状況調査
 「特別支援学校」「養護学校」、変更しない学校の3パターンありました。
 
6  教育関連情報
(1)11月12日に門真市(大阪)において、「日本一簡単なIT活用セミナー」を実施
  "映せば わかる!"を実感いただくため、堀田先生が巧みに、そして丁寧にさまざまな仕掛けを施してくださり、輝く笑顔のセミナーとなりました。
☆★☆ コメント ☆★☆
 さすがである。内容をそのまま伝えるのではなく、わかりやすく、興味わくように伝えている。それが授業の本質であるが、堀田先生はそのツボを見事に押さえている。IT教育に限らず、多くの方に堀田先生の方法論を学んでいただきたい。 
 
(2)企業の「求める人材像」調査の結果について〜社会人基礎力との関係〜
担当 : 経済産業政策局 産業人材参事官室
公表日 : 平成19年3月12日(月)
発表資料名 : 企業の「求める人材像」調査の結果について〜社会人基礎力との関係〜(PDF形式:32KB)   http://www.meti.go.jp/press/20070312001/jinzaizou-press-release.pdf 
 企業の求める人材像調査結果のポイント(PDF形式:40KB)
 企業の「求める人材像」調査2007〜社会人基礎力との関係〜(PDF形式:276KB)
 今回の調査結果によると、9割以上の企業が採用・人材育成のプロセスにおいて「社会人基礎力」を重視しており、特に、「主体性」(約7割)や「実行力」(約8割)を求めている企業が多い。他方、「主体性」や「課題発見力」、「創造力」に関しては、自社の若手社員の能力不足を感じている企業が多く、企業側のニーズと現実のギャップがあることが明らかになっています。
 また、職種別の分析では、「前に踏み出す力」が求められる営業系、「考え抜く力」が求められる企画系、技術・研究系、金融系、IT系、「チームで働く力」が求められる事務・管理系、販売・サービス系など、職種別に求める能力要素の傾向が明らかになりました。
☆★☆ コメント ☆★☆ 
 「社会人基礎力」、なかでも「主体性」「課題発見力」「創造力」を企業が求めていることが結果に表れた。これらは、学校の場考えると、行事が総合的な学習の時間でしか育てることは難しい。マスコミが言う「ゆとり教育」のねらいは、こうした「主体性」「課題発見力」「創造力」を育てる教育であることを、今一度確認するべきであろう。
 
(3)  社会意識に関する世論調査  内閣府大臣官房政府広報室
 内閣府の社会世論調査 (2007年04月04日)が、現在の日本において、悪い方向に向かっているものはなにかを複数回答可でたずねたところ、「教育」を挙げた人は36.1%、トップとなった。以下、「治安」(35.6%)、「雇用・労働条件」(33.5%)、「国の財政」(32.7%)と続いている。
☆★☆ コメント ☆★☆ 
 この調査では以下のことを調査している。
1.社会に対する意識について
 (1) 社会志向か個人志向か
 (2) 社会への貢献意識
  ア 社会への貢献内容
 (3) 国民全体の利益か個人の利益か
 (4) 現在の世相(明るいイメージ)
 (5) 現在の世相(暗いイメージ)
 (6) 地位と報酬
  ア 現実に高い地位と多くの報酬を得ている人
  イ 高い地位と多くの報酬を得る望ましい人
2.国に対する意識について
 (1) 国の政策への民意の反映程度
  ア 国の政策への民意の反映方法
 (2) 日本の誇り
 (3) 国を愛する気持ちの程度
 (4) 国を愛する気持ちを育てる必要性
 (5) 良い方向に向かっている分野
 (6) 悪い方向に向かっている分野
3.社会の在り方等に関する意識について
 (1) 理想の子どもの数
 (2) 持てる子どもの数
 (3) 子育てを楽しいと感じるか辛いと感じるか
 (4) 子育ての楽しさの内容
 (5) 子育ての辛さの内容
 (6) 子育てにおいて今以上に大きな役割を担うもの
 (7) 仕事と個人生活のバランスの満足度
 (8) 仕事と個人生活をバランスよく両立させるために時間をとりたい活動
 (9) 高齢者に対する一律な配慮への賛否
 (10) 高齢期の生活の支え
 
 たとえば、2(4)「国を愛する気持ちを育てる必要性」は、80%が必要と感じている。教育基本法制定時には国会で「愛国心」が目の敵のようにされたが、この数字を見ると、世論の方がはるかにノーマルであることが感じられる。
 だとしたら、悪い方向に向かっているのが「教育」とされたことは、何をもってそう思ったのかが気にかかる。
 19年1月の調査である。教育基本法が改正された直後であり、教育再生会議が動き出した頃でもある。
もっと詳しく聞いてみたい。

 MM紹介
(1)教師の“知恵”ぶくろ  2007年5月2日 No236
02【国語】◆読点のつけ方 梅田 芳樹@学習院初等科
☆★☆ コメント ☆★☆
 読点の付け方の指導は意外と難しい。ある程度規則性はあるのだが、状況によって変えていかなければならないからである。梅田先生から次のような「きまり」が紹介されていた。いかがであろう。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
きまり1 受ける言葉が、すぐ下にあるときはつけない。
 × 私は、少女です。→私は少女です。
 × 美しい、空だ。→美しい空だ
 × おじいさんの、家から、帰った。→おじいさんの家から帰った。
 
きまり2 受ける言葉がはなれているときはつける。
 ○ ぼくは、おじいさんの家から帰った。
 ※「ぼくは―帰った。」(主語―述語)がはなれています。このように受ける言葉がはなれているときは、 かかる言葉「ぼくは」の 下に「、」をつけます。
 
きまり3 二つの文からできている文は、間につける。
 ×雨がふったのに遠足が行われた。
 ※この文は、「雨がふった。」と「遠足が行われた。」という二つの文が合わさって、一つの文になって います。もともと二つだっ たという印に、間に「、」を入れます。
 ○ 雨がふったのに、遠足が行われた。
 
きまり4 次のような言葉の上につける。
 ☆「だから、でも」などの言葉(接続詞)
  ○ もうあきた。だから、やめよう。
 ☆「はい、いいえ、あっ」などの言葉(感動詞)
  ○ はい、そうです。
 
きまり5 
  「、」が多すぎてくどくなった場合は、「かかる―受ける」の関係の近い方の「、」を省いてもかまわ ない。
 ※ きのう、ぼくは、おじいさんの家から帰った。
  この文の場合、「きのう―帰った」より、「ぼくは―帰った」の方が近いので、省くとしたら、「ぼく は」の後の「、」を省きます。
 
 
(2) 日刊『中・高校教師用ニュースマガジン』(中高MM)☆第1737号☆
☆★☆ コメント ☆★☆
 昨年の坪内先生の実践で、児童が判断のものさしを作ってアイデアを評価するものがあった。次に紹介するのが、同じ方向性にあるものだ。社会科の授業でも応用可能である。お読みいただきたい。
−−−−−−−−−−−−−−以下引用−−−−−−−−−−−−−−−−−
■「問題解決における言語感覚の育成」(1)
              (NPO)日本未来問題解決プログラム 理事  飯盛直子(佐賀県)
◆―6つのステップを伝えるだけで子どもが考えるようになる!特別活動編―
(前半略)
 6つのステップは以下のとおり。特に難しくない。これまで教師が問題解決を難しくしてきたのかもしれないという反省を込めて。
 
ステップ1 問題をあるだけ出す。
ステップ2 解決したい課題を立てる。
ステップ3 解決アイディアを出す。
ステップ4 ものさしをつくる。
ステップ5 ものさしを当てはめる。
ステップ6 解決する。
 
 それでは、実践例を私のメモから確認しよう。
 小学校5年生の教室。学校の代表委員会での今回の議題は、「廊下を走る人がいるので、走らないようにするためにはどうするか。」というもの。各学級で話し合って代表委員会に案を持っていくことになっている。
 今回は司会を担任がする。初めてステップを使うためである。たった6つのステップで、彼らが「よく考えた」「妥当な判断ができた」「頭がよくなった」(5年生談)と感じられた。
 
【ステップ1 問題をあるだけ出す】
「・・・なので(たら)〜かもしれない。」という形にさせる。話形を揃えることで子どもたちは考えやすくなる。内容がそれぞれの子どもの生活実態に沿っていて多様なので、話形は揃えたほうがいいと考えられよう。・・・には事実を、〜には問題だと思っている自分の思いを入れるように促す。
・ 廊下を走ったらガラスにぶつかって、自分だけではなくて他の人にも怪我をさせるかもしれない。
・ 周りを見ないで廊下を走ると、人とぶつかり怪我をするかもしれない。
・ 廊下を走っていて人とぶつかり、なぜぶつかったのかと文句を言われて仲が悪くなるかもしれない。
・ 廊下を走りながら曲がったら、ころんで怪我をするかもしれない。
・ 階段を走って降りてきたら、ドアに激突して怪我をするかもしれない。
 
【ステップ2 解決したい課題を立てる】
「・・・なので〜のために―する。」という形にさせる。ここでも話形を揃えることで、子どもは友達の考えを理解しやすくなる。・・・には事実を、〜には問題だと思っている自分の思いを、―には中心となる動詞を書く必要がある。
 これは、教科学習の目標を立てる場合にも使えるパターンであり、もっとも学習に必要な書き方となる。多くの学習には目的が明示されないため子どもたちは納得できないまま学習を行うことから、〜の部分に着目した目標を立てられるように各教科で意識して指導したい。今回の教室では、全員で話し合って、以下のように決めた。
・ 廊下走りが多いので、怪我をしないためにみんなで考えて手立てを取る。
・ 事実を確認できる背景
 + 怪我をしないという最も大きな目的
 + 代表委員会でみんなで考えるという動詞
 ここでやっと代表委員会の議題の提案理由に追いついた。つまり、子どもたちは、これまでなぜステップ2の文言が突然出てきているのか分からなかったと捉える。
 ステップ1を踏まえたステップ2の文章により、納得しながら議題について取り組むことができるようになると考えられよう。
 
【ステップ3 解決アイディアを出す】
 とりあえず出す。できるできない、好き嫌いをいわずに出す。ステップ1のイメージや実体験からすらすらと出た。
・ ポスター   ・ 校内放送  ・ その場で声かけ ・ 走りチェック(グラフで掲示など) ・ 新聞 ・ 紙芝居を作って見せる ・ 先生の話
 
【ステップ4 ものさしをつくる】
 判断の基準を自分なりにつけることを知らせて、ものさしをいくつかあげさせた。
・ 小学校1年生でも取り組める(全校でできる)か。
・ 楽しいか。
・ 楽か。
 ここで「楽しいか」というものさしが出るとは思わなかった。子どもは豊か。こんなに面白くなさそうなことを考えるときも「楽しいか」というものさしを考えつく。
 
【ステップ5 ものさしをあてはめる】
 全校でできるか、楽しいか、楽かのそれぞれのポイントを4を最高としてつけることにした。これは、普段から学習の自己評価に4ポイントで評価しているため使い慣れているからである。それぞれの実態に即した数値でいいだろう。
・ ポスター        4 4 2 合計10
・ 校内放送        3 3 4 合計10
・ その場で声掛け     4 2 3 合計9
・ 走りチェック(グラフ) 3 1 2 合計6
・ 新聞          3 3 1 合計7
・ 紙芝居         3 4 2 合計9
・ 先生の話        4 3 4 合計11
 代表委員会に出すアイディアはいくつでもいいということだったので、ポスター、校内放送、先生の話を出すことにした。子どもたちは、最高ポイントを獲得したアイディアが先生の話であることに苦笑い。それなら何度も聞いているからである。教師の話を楽しんで聞いてくれていることが分かり、こちらも苦笑い。大怪我をするかもしれないぞとすごみながら真剣に話しているからである。
 
【ステップ6 解決する】
 今回、ステップ6はない。代表委員会で決まったことを実行することになるからである。さて、さまざまなアイディアを持ち寄ってどのような話し合いが行われるのか。子どもたちは、ステップ6の学習がこの時間内に行えないことをすぐに理解した。そして、代表委員会後にまた、学級で話し合うことを確認しあった。
      ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
 これらのステップを子どもたちと学びませんか。実は、競技をしながら学べるプログラムがあります。その教材は、日本の教材ではまず見たことがない文章です。企業倫理・医療倫理・栄養問題・富の再配分等・・・社会性を育てながら生きる力を育てることができるものです。
 子どもたちのために授業に取り入れてみませんか。小学校5年生以上なら大人まで使えます。私どもが持っているノウハウはお伝えしますし、導入に際してフォローいたします。興味がおありでしたら、以下のアドレスで詳細をご覧ください。  http://www.geocities.jp/fpspjapan/ 
 

 研究会情報
(1)(財)総合初等教育研究所 第15回 授業実践フォーラム
開催日: 2007年 6月 2日 〜 2007年6月3日 
会場 岐阜県・羽島市文化センター
テーマ・主な内容 教育の行方を探り、教師の力量の向上を考える〜今こそ求められる教師力とは〜
 2日 講演、基調講演、
 3日 シンポジウム、教師力UP講座@A
講師・講演 講演: 文部科学省大臣官房審議官・布村幸彦
基調講演: 兵庫教育大学学長・梶田叡一
シンポジスト: 國學院大學栃木短期大学教授・山口令司ほか
お問い合わせ先 (財)総合初等教育研究所 〒501-6297 岐阜県羽島市江吉良町2801
Tel: 058-398-6633 Fax: 058-398-2824
http://www.sokyoken.or.jp/ 
備考 参加費3,000円(資料代含む)、Faxにて要申込
 土井も参加します。
 
9 書籍紹介
『旅で見つけた宝物−巡りあったあの町、この人−』(文藝春秋)青山佳世 \1,500
 



  問い合わせは 土井謙次  syaraku@tcp-ip.or.jp