(1)中学も授業時間増 選択教科を削減・中教審素案
◆「卒業論文」を提案
学習指導要領の改定作業を進めている中教審の中学校部会は三十一日、選択教科や「総合的な学習の時間」を減らし、週一時間(一単位時間は五十分)の授業増により、国語や数学など必修六教科の授業時間を一割程度増やす素案をまとめた。
授業時間増の方針を三十日に示した小学校と同様、授業削減の流れを転換し、ゆとり教育を部分修正する。総合学習については、内容を見直し、三年間の学習成果をまとめる「卒業論文」の導入も提案する。
素案によると、週一時間授業を増やし総合学習を週一時間削減することなどで増やした必修教科の授業時間を、一・二年生で数学、二・三年生で理科、三年生で国語、社会に充てる。保健体育を全学年で増やすほか、外国語の増加も検討する。
各教科の指導内容については(1)近現代史や法律の指導充実(社会)(2)観察や実験の時間の十分な確保(理科)(3)文法や語彙(ごい)数の充実(外国語)−といった改善を目指すほか、総合学習も地域の協力を得て、体験やスポーツの活動充実を図るとしている。
現行の学習指導要領では、国語、社会、数学、理科、外国語、保健体育の必修六教科に割り当てられた授業時間は三年間で計千八百三十五時間。文科省の調査によると、選択教科の授業は平均二百二十五時間のうち、保健体育を除いた必修五教科の授業に平均百四十四時間が充てられている。
選択教科は、生徒の個性を伸ばすために導入されたが、カリキュラムが複雑化したとの批判があるほか、実際には多くの時間が必修教科の補習に使われている。
こうした実態を踏まえ、選択教科の時間数をどの程度削減し、どの必修教科に何時間を割り当てるかは、今後の審議で決める。
■中教審素案の骨子
▼道徳教育の充実 ▼社会科で納税や勤労の義務、世界各地の宗教が持つ特色の指導充実
▼総合学習は卒業論文などの学習活動を例示 ▼選択教科を縮減し、必修教科の時間数増
▼国語は三年を中心に授業時間数増 ▼社会科は三年を中心に授業時間数増
▼数学は一、二年生を中心に授業時間数増 ▼理科は二、三年生を中心に授業時間数増
▼外国語は全学年を見渡して授業時間数充実 ▼保健体育は三年間を通して授業時間数増
▼総合学習は各学年で週一時間授業時間削減 ▼各学年の総授業時間数は週一時間程度増加
2007年8月31日 中日夕刊より
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これまで断片的に聞こえてきた情報が、かなりまとまって伝わるようになってきた。詰めの段階の作業に入っていることがわかる。
社会科としては、「公共」からくる「納税や勤労の義務」、おそらく与党内からの「世界各地の宗教が持つ特色の指導充実」要求に配慮した内容になっている。これに伴い、3年生の時間数が増える。「公共」「宗教」について、具体的な指導計画を作成する必要がある。
(2)中教審:小学校30年ぶり授業増 主要教科目を1割
文部科学省は30日、小学校の「総合的な学習の時間」を削減し、主要4教科(国語、社会、算数、理科)と体育の授業時間を約1割増やす方針を固めた。また、高学年を対象に週1時間程度の英語活動を新設するなどして、年間の総授業時間を低学年で70時間、中高学年で35時間程度増やす。同日の中央教育審議会の専門部会で大筋で了承され、同省は今年度中に改定される学習指導要領に反映させる方針だ。小学校の授業時間が増えるのは77年の改定以来30年ぶり。
主要教科と体育については、低学年では国語、算数、体育▽中学年が国語、算数、体育、理科、社会▽高学年が算数、理科、社会−−を充実させる。3年生以上で実施されている総合学習は、各学年ともに、現行の週3時間(年105〜110時間)程度から週2時間(年70時間)程度に減らす。英語活動は「幅広い言語力や国際感覚の基盤を培う」ことを目的として高学年に週1時間(年35時間)程度を課す。
増加する時間分の確保には、総合学習の削減分のほか、夏休みなど長期休業の短縮、多くの学校で行われている朝の10分間読書の時間などを学校現場の状況に応じて活用するよう求めている。
この日の中教審教育課程部会で、文科省は、学習指導要領改定に向けた基本的な考え方などをまとめた「検討素案」を提示した。素案は、現行指導要領にも盛り込まれている、自ら学び自ら考える力の育成をするという「生きる力」の重要性を強調している。
そのうえで素案は「生きる力の(育成の)観点から(前回改定は)授業時間を削減した。しかし、基礎的な知識の習得と知識の活用を行うためには、現在の小中の必修教科の授業時間は十分ではない」と授業時間を増やす理由を説明している。
学習指導要領は今年度中に改定・告示される予定だが、教科書作成に時間がかかるため、実施は早くても11年度になる。【高山純二】◇解説「学力低下批判に配慮」は略
毎日新聞 2007年8月30日 22時05分 (最終更新時間 8月31日 2時56分)
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時間数の増加は、どこかの削減である。総合学習の削減は理解できるが、「夏休みなど長期休業の短縮、多くの学校で行われている朝の10分間読書の時間などを学校現場の状況に応じて活用するよう求めている」というところはまだまだ議論が必要であろう。
(3)第49回 指導と評価大学講座
■研修期間 平成19年7月31日〜8月1日 午前9時30分〜午後4時30分
■会 場 日本教育会館(東京:神田)
■主 催 (社)日本図書文化協会/(財)応用教育研究所/日本教育評価研究会
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国分先生、安彦先生、北尾先生、諸富先生など、有名講師陣の講演記録です。たいへん参考になります。
(4)中1ギャップ克服に、夏休みの中学で小6が体験授業(北海道)
中学入学時の変化に適応できない、いわゆる「中1ギャップ」などを防ぐ目的で、小学校と中学校の連携が広がってきている。札幌市立向陵中学校(中央区)で23日、市立宮の森小学校の6年生児童を対象に中学校教諭が英語授業を行った。
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今後、大切な活動になると思う。やってみたい。
(5)教育指標の国際比較
アメリカ合衆国、イギリス、フランス、ドイツ、ロシア連邦、中国、韓国等における教育の普及、教育諸条件、教育費等の状況を統計数字を用いて示す。統計の取り方により一つの指標について複数の数値が得られる場合にはこれらを並記するなど、できるだけ多面的に掲載。
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数字で出されると説得力がある。興味深いデータもあるので、今後読み取っていきたい。