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報告者  土 井
 2008年3月13日(木)布袋北学習等供用施設にて社楽の会を開催しました。参加者(勤務校)を紹介しましす。
 土井(岩南中)、早川先生(江南北中)、奥村先生(岩南小)、高木先生(犬山中)、尾関先生(曽野小)、天野先生(大北小)、野沢先生(宮田中)、鈴木さん、ゲストの岩田先生(犬西小)の計9  名です。

 今日は、岩田先生に筑波での中央研修の内容を報告していただきました。

土井より、今回紹介したのの目次です。番号をクリックしてください。

  社説ウオッチング(毎日新聞)
  岩倉市郷土研究会 公開講演会
  岩倉南部中学校卒業式式辞
  新しい時代を切り拓く生涯学習の振興方策について〜知の循環型社会の構築を目指して〜(答申) 
 役立ちWeb特集  
 教育関連情報    
 MM紹介

 社説ウオッチング(毎日新聞)  http://mainichi.jp/select/opinion/watching/index.html 
 社説ウオッチングはおもしろい。これはNIEの観点から、また、メディアリテラシーの観点から、何より社会科そのものとしても十分使える手法である。3月9日号は次のようになっている。
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住基ネット判決 便利さと怖さの緊張感
 ◇積極推進論−−読売・日経・産経
 ◇疑問も提起−−毎日・朝日・東京
 最高裁は6日、住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)を合憲とする初判断を示した。「個人情報漏れや公務員の悪用でプライバシー権が侵害される。自分たちの個人情報を住基ネットから削除してほしい」という住民の訴えを退けた判決だ。
 7日の各紙社説の論調は二分された。
 判決を積極評価したのは読売、日経、産経だ。「行政効率化が求められている中、時代の要請にかなったもの」(産経)、「住基ネットを行政の効率化のためにもっと活用することを望みたい」(日経)、「住基ネットは…行政の業務効率化に役立っている」(読売)と歓迎し、政府・与党が導入を検討している社会保障番号との「統合作業も進めてほしい」(産経)、「どう利用できるか。こうした議論を深めてもらいたい」(読売)、「連携させ、精度を高めることが、新しい社会保障カードにも必要」(日経)と踏み込んだ。
 3紙のキーワードは「行政効率化」だ。「電子政府・電子自治体」構想の基盤(読売)である住基ネットをフル活用、情報一元化を進め、意思決定の迅速化、ひいては日本の国際競争力強化にも結びつけたい、という思いが見える。
 一方、「万能のお墨付きではない」(毎日)、「合憲判決で安心できるか」(朝日)、「個人が透視される怖さ」(東京)と3紙は判決の説得力に疑問を呈した。毎日は住基ネットの便利さをも積極評価し、3紙の間にも多少のニュアンスの違いはある。
 住基ネットは自治体が管理する住民票情報をコンピューターで結ぶものだが、99年以来の複雑ないきさつがあって分かりにくい。3紙の主張を見る前におさらいしておこう。
(中略)
 情報化社会は便利だが、デジタルデータ化された個人情報は関門がなければバキュームのように国家に吸い上げられる。あれだけ個人情報を大切にする米国でも9・11後、国家が個人情報をやみくもに収集し、貧困層青年をイラクに送り込む資料にしたといわれる。便利に流されるのか、時にはやせ我慢をするのか、個人に覚悟を迫る時代である。【紙面研究本部・長田達治】
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 おもしろい。まず、社会科教師にこそ、この長田氏のような分析力を持つことが必要だが、こうすこし平易な例で、中学生にもやらせてみたい。前段階として、6紙をある観点で類別するだけならできそうだ。
読解力養成にもなる。

 岩倉市郷土研究会 公開講演会
「戦国の岩倉城と城下町の実像−発掘調査の成果から−」講師 金子健一氏
 まとめを別紙で紹介します。

 岩倉南部中学校卒業式式辞
 いつもの朝礼スタイルを大切にして、自分らしさを出してみました。実際には、細かいところはアドリブで変わっているところがあります。
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(前略)この絵の作者は誰かわかりますか。
 そう、葛飾北齋です。江戸時代の化政文化を代表する絵師です。この、神奈川沖浪裏は、ヨーロッパでは、モナリザと並んで世界で最も有名な絵画の一つとされています。
北斎が、この冨嶽三十六景の制作に取りかかったのは、何歳頃だと思いますか。何と、70歳を過ぎてからです。江戸時代の70歳です。
 また、75歳で描いた「富嶽百景」の後書きには、こう記されています。
 「七十歳までに描いたものは、とるに足らぬものである。七十三歳でやっと生き物の骨格や草木の生まれを知った。八十歳になればますます腕は上達し、九十歳で奥義を極め、百歳で神技といわれるであろう」
 何という向上心でしょう。何という人間力でしょう。
 先日亡くなった映画監督の市川崑は、90歳を過ぎて作った「犬神家の一族」の舞台挨拶で、なお「もう少しましな映画を作りたい」と語っていました。北斎と共通するものを感じます。今より少しでも自分を高めたいという意欲なのです。
 人生、90年。生涯、学習なのです。
 本校のALTのジョン先生には、月曜日に剣舞、剣の舞いを披露していただきました。
 アメリカから日本へ来て、日本人の心を少しでも理解したい、日本文化を躰で味わいたいと剣舞を習い始めたのです。 
 自分の目で見たい、自分でやってわかりたい。その思いが伝わってきましたね。
 北斎や市川監督、そしてジョン先生の生き方をみて、私はこれだと思いました。
 君たちは、南部中学校で、人と協力して作り上げる経験を積んできました。今日の卒業を機に、プラスして欲しいのです。
 どうか、生涯にわたって自分を高め続けようとする気持ち、そして、自分でやってみよう、チャレンジしてみようという姿勢を持ってほしいと思います。
広く見渡すと、この地球は決してすべてがうまくいっているとは言えません。
 4秒間に一人が飢えで死んでいく事実があります。地球温暖化、地域紛争など、地球市民の一人として、これから解決しなければならない難題はたくさんあります。
 どうか、自分の目でみて、自分の足で歩き、自分で判断して、できることから始めてください。よりよい明日の社会をつくる力になってください。
  最後になりましたが、送る会で小栗先生が言われたように、今日家へ帰ったら、ぜひ家族の人に感謝の気持ちを伝えてください。小さい頃から、君たちの笑顔を喜び、暗い表情には心を痛め、ひたすら君たちの成長を願い、この日を心待ちにしてきました。心をこめて「ありがとう」を言ってほしいと思います。
 やさしさと希望にあふれた君たちの前途に幸多かれと祈り、式辞といたします。(約9分)
                                  平成20年3月6日
                          岩倉市立南部中学校長  土 井 謙 次
 
 
 

 新しい時代を切り拓く生涯学習の振興方策について〜知の循環型社会の構築を目指して〜(答申)
 校長日記から紹介します。
 ☆★☆ 新時代の生涯学習 ☆★☆
 またまた堅い話で恐縮です。
 先週、中央教育審議会から重要な答申がありました。「新しい時代を切り拓く生涯学習の振興方策について〜知の循環型社会の構築を目指して〜(答申)」という長い題名のもので、これからの生涯学習をどうしていくかというものです。
 ここでおさらいをしてみましょう。
 「教育」あるいは「学習」は、かつては「学校で行うもの」でした。しかし、世の中が複雑化・多様化し、変化の激しい現代社会では、学校教育だけでは十分ではなく、一生涯続けなければよりよく生きていけないくらいに必要不可欠のものになってきました。この考え方を「生涯教育」「生涯学習」というようになりました。今から40年ほど前のことです。 
 そして、新しい教育基本法では、生涯学習の理念が第三条で謳われました。
 
第三条 国民一人一人が、自己の人格を磨き、豊かな人生を送ることができるよう、その生涯にわたって、あらゆる機会に、あらゆる場所において学習することができ、その成果を適切に生かすことのできる社会の実現が図られなければならない。
 
 ちなみに学校教育は第六条です。学校教育は、生涯学習の基礎作りとも考えられています。生涯学習はそれほど重きを置かれているのです。
 しかし、今回の答申は、私の知る限り、マスコミでほとんど報道されていません。学習指導要領の改善の時はあれほど大きく報道されたのに、なぜこれほど違うのでしょうか?義務教育は9年、生涯学習は80年で、生涯学習の方がずっと長いのに…。
 学校教育の対象は子どもたちですが、生涯学習の対象は私を含めたみなさん全員です。ぜひ、自分に置き換えて、生涯学習についてお考えいただければ幸いです。
 本文や資料は次から見ることができます。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/index.htm の【諮問・答申・報告等】を見てください。

 役立ちWeb特集 
(1)新はばたく大愛知リンク集  http://www.hamajima.co.jp/habataku/ 

(2)大府中学校学力向上拠点形成事業研究発表会資料

(3)大学の講義を体験できる主なサイト
 ◆JOCW(日本の各大学へリンクがある)   http://www.jocw.jp/index_j.htm 
 ◆OCW(21か国の加盟団体の紹介とリンクがある)  http://www.ocwconsortium.org/index.php 

(4)日刊温暖化新聞 http://daily-ondanka.com/index.html 
  ●日本はいくら払うことになるのか?  2008年02月17日
  ●バックキャスティング型のビジョンをつくろう  2008年02月07日
  ●温暖化は「問題」ではない〜うねりをつくり出すもの  2008年02月07日
  ●DSR指標とは? 温暖化のニュースの読み方  2008年01月15日

(5)光センサー技術による「皮下脂肪スキャナー」を搭載した体組成計(松下電器)
 光センサー技術による「皮下脂肪スキャナー」を搭載し、身体の「二の腕・お腹・太もも」それぞれの皮下脂肪の厚みをミリ単位で測定できる「組成バランス計が登場。皮膚と脂肪は透過するが筋肉表面では反射する赤外線による光センサー技術を採用。

(6)「教育指標の国際比較」(平成20年版)

(7)走行中に充電ができる電動ハイブリッド自転車(三洋電機)
 走行中の運動エネルギーの取り込みと回生充電に着目し、「走行時にも、下り坂や減速時にモーターを発電機に切り替えて発電・充電する」というエコロジーサイクルを取り入れた電動ハイブリッド自転車が登場。 http://www.sanyo.co.jp/koho/hypertext4/0803news-j/0305-1.html 

(8) 『ナビポ』 http://navipo.jp/ 調べ学習に最適な検索サイト

(9)岩倉市が小中学校の給食費を値上げ(愛知)
 岩倉市は25日、新年度から小中学校の給食費を1食あたり20円値上げすると発表した。小学生は年間4万1800円(3800円増)、中学生は4万8250円(3860円増)となる。

(10)千葉県市川市が市内小・中学校の全教室にエアコン設置へ(千葉)
 千葉県市川市は新年度、市内38小学校、16中学校の全教室にあたる1007室にエアコンを設置する。ここ数年、猛暑続きで、各学校から「子どもたちが勉強に集中できない」との声が市教委に寄せられていた。《全文はこちら》 http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news2/20080225wm00.htm?f=k 
 
 
 
6  教育関連情報
(1)「夜スペ」賛成57%。多摩市の調査会社アンケート(東京)
 杉並区立和田中学校で1月下旬から始まった進学塾講師による有料の夜間授業「夜スペシャル(夜スペ)」について、多摩市の調査会社「キャリア・マム」(堤香苗社長)が会員を対象に行ったアンケート結果をまとめた。賛成は57・8%に上り、好意的に受け止める人が多かった。
 同社は、主婦のマーケティングリサーチ(市場調査)を中心に事業を展開しており、会員には小、中学生の子どもを持つ母親が多い。身近な問題として「夜スペ」に対する考えを知ろうと、1月11〜15日、同社のホームページ上でアンケートを実施。20〜50歳代の男女計393人が回答した。
 「夜スペ」への賛否では、賛成が57・8%、反対は42・2%だった。賛成理由では、「塾より安い」「意欲のある子どもには、いい機会」などが多く、反対理由では「成績上位者に絞ることで格差が生じる」がほぼ半数を占めた。 (中略)
 同社は、「さらに他の学校に広がる可能性はある。教師以外の専門家による授業の導入を要望する声もあり、民間参入への期待が高まっているのでは」としている。
☆★☆ コメント ☆★☆
 NHKの番組で佐藤学先生も批判していたが、私も「夜スペ」には反対である。東京の塾は家賃が大きなコストだが、学校でやればコストは不要。大きな宣伝にもなり、結局塾が一番いい思いをしている。
 はっきりしている。やるなら学校を使わないでやるべきだ。目的外使用に当たると思う。
 
(2)「企業で教員研修」が増加
 日本経団連の外郭団体「経済広報センター」を窓口とする教員の民間企業研修の受け入れ企業が、昨年初めて100社を突破し、過去最多の103社となった。
 ◆事業PR、進路指導双方にメリット
 参加する教員も増えており、自社の事業内容を社会に知ってほしい企業側と、進路指導などに役立てたい教育界の期待が、受け入れに弾みをつけている。
 全国の小、中、高校の教員を対象に、研修を受け入れ始めたのは1983年。昨年参加した教員は661人で、総計は延べ8168人にのぼる。業種は製造業や流通業、サービス業まで様々。研修は毎年夏休みを利用し、多くが3日間の日程で行われ、各教育委員会の10年目研修などで活用されることも多いという。
 昨夏、日本航空での研修に参加した横浜市立栗田谷中の小林克美教諭(44)は「学校の外の世界を見る機会がなかったので、企業との文化の違いなど勉強になった」と話し、危機管理についての講義やマナー講習などの訓練から、「教育とは、身につけること」を実感したという。 (以下略)
                                 (2008年3月6日 読売新聞)
☆★☆ コメント ☆★☆
 企業研修は確かに魅力である。私たちは、「教育は○○あるべし。」と言われるより、企業が「私たちは○○している。」という事実を、教育現場で応用しようとすることの方が有益であることの方が多い。
 「経済広報センター」に連絡すると研修を受け入れてもらえる。詳しくはここ。http://www.kkc.or.jp/ 
 
(3)授業のイロハ 雑誌で伝授…教員ら創刊、若手磨く
 小学校の教師が、すぐにも使える授業の基礎・基本を紹介する雑誌「使える授業ベーシック」が今月、創刊された。全国の教員らで作る「使える授業ベーシック研究会」会長で、筑波大付属小の白石範孝教諭(52)が編集長を務め、若手教師の力量アップを図る。
 研究会は、教師が国公私立の枠も超えて技と心を磨き合おうとできた。名称の「ベーシック」には、教科の基礎・基本とともに、教師の基礎・基本という意味も込められている。3年前から、様々な授業のセミナーを年2回ずつ開いてきた。初回は国語だけだったが、2回目からは30〜40の講座を設定。700〜800人が参加している。
 また、セミナーで好評だった授業のブックレットも制作、その数は近く50冊になる。雑誌が加わると、当初からの構想だった3点セットがそろうことになる。
 新年度を目前にした創刊号では「学級開き、授業開き」について特集。子供の心をつかむポイントや、全国の「スゴ腕先生」が記した教師の心構えも紹介した。(中略)
 問い合わせはメディアクリエイトへ。雑誌はさしあたり、学期ごとに年3回発行。発行元は東京の学事出版で1500円(税別)。                     (2008年3月4日 読売新聞)
 
(4)合否判定に「漢検」、大学・短大の37%
 全国の4割近くの大学・短大が今年の入試で、漢字能力検定(漢検)を合否判定の基準に使ったことが、「日本漢字能力検定協会」(本部・京都市)の調査でわかった。 (中略)
 調査は、全国すべての大学・短大計1190校を対象に昨年10〜12月に実施した。このうち37・3%に当たる445校(大学272校、短大173校)が、入試の合否判定に利用していると回答。175大学が推薦入試に取り入れているほか、131大学がAO入試で活用していた。短大では131校が推薦入試で、63校がAO入試で使っていた。 (2008年2月29日 読売新聞)
 
(5)発熱の子を親に代わって保育所にお迎え。三鷹のNPO(東京)
 「お子さんが熱を出しました。すぐ保育園に迎えに来てください」。共働きの親が困るこんな電話の時に、代わりに迎えに行ってくれるサービスを、三鷹市のNPO法人「ふれあいの樹」が4月から始める。

 
 MM紹介
(1) ワールド・ニューズ・メール ☆  金曜スペシャル版     □
[1]海外便り(ブログ http://blog.worldtimes.co.jp/ …世界おもしろニュース)
○期待できない陸上新記録(オーストリア)
 日本では中国製毒入りギョーザ事件で、中国製の食品に対する警戒心が高まっているが、ウィーンに本部を置く国連工業開発機関(UNIDO)の残留性有機汚染物質問題の専門家は「中国は生産禁止された化学物質を依然、完全には生産・使用をストップしていない。なぜなら中国政府は経済成長を食の安全問題より優先しているからだ」と指摘した。
 また、「ロンドンで国際会議が開催されたが、そこでは中国製のステンレス製シャベルが紹介された。簡単に壊れるので調査した結果、ステンレスなど使用されていなかったことが判明した、という話を聞いた。中国製は食品だけではなく、衣服、おもちゃ、器具などに、禁止された化学物質が使用される一方、安価な代用物質が利用されているケースが少なくない」と述べた。
 特に、毒性が強く、分解が困難で長期間、人体や環境に悪影響を与える残留性有機汚染物質の場合、「数年後、10年後にその影響が現れる。汚染された土壌から生育する食物の安全問題は深刻だ。中国当局はその深刻さを認識しだした。なぜなら汚染された土壌から収穫された食物の最初の被害者は国民だからだ。そこで中国政府は先日、国連機関に中国国内の汚染土壌図の作成支援を要請してきた。中国当局は自国の汚染地域を把握していないというのだ」と強調した。
 話が北京五輪に及ぶと、「自国から食料を持ち込む欧米選手が増えるだろう」と述べる一方、「北京市の大気汚染はひどい。五輪競技の中でも陸上競技が最も被害を被るだろう。北京大会では、100メートル競走を含め、世界記録は期待できない。選手も呼吸系の後遺症を懸念せざるを得ない」と説明し、「陸上競技は北京市以外の空気のいい都市で実施すべきだ」と提言した。(O)
 
(2)MM小学1858 荒木茂□ 江戸時代の寺子屋の暗誦教育(その3)
  今回は、「江戸時代の寺子屋の暗誦教育はどうであったか」について書くことにする。
  本稿を書くについては、下記の資料を使用した。(略)
寺子屋の概略
  寺子屋とは、主として一般庶民の子弟を対象として、「読」「書」「算盤」といった、初歩的実用的な知識を授ける私的教育機関である。その起源は、中世、室町時代の後期にまでさかのぼることができる。寺子屋の起源をみてみよう。
  すでに鎌倉初期から、僧侶となる少年を対象とする教育と、在家の子ども(武士や庶民)をあずかって、初歩的な文字の読み書きを教える教育と、二つの側面をそなえていた。室町中期となると、庶民の子ども達に文字の手ほどきを与える風習が一般化してきたが、室町後期になると、武士や庶民の世俗教育に必要な教育内容をいろいろ取り入れるようになった。
  この中世寺院教育の世俗教育が、近世の寺子屋の先駆と目されるのだが、武士の子弟が中心であったこの寺院の教育が、庶民を対象に発生した寺子屋として普及・発展していくためには、近世社会の社会特有な経済的、文化的諸条件の発達があった。
  小商品生産の台頭・発展によって、庶民大衆の日々の生活や生産活動に「文字」の果たす役割が重要となってきた。文字学習の要望が高まり、その要望にうながされて、庶民大衆自身が全国各地にひろく設立したのが寺子屋であった。
  「寺子屋」は「寺子」と「屋」との合成語であって、「屋」は寺子が通う家をあらわし、本屋、米屋といった家を意味し、手習いを経営する家をあらわした。
 寺子屋の普及度
  寺子屋は民間の塾であるから、寺子屋に関する記録は幕府や藩の公文書にはない。寺子屋の師匠の子孫に伝わる文書からしか見つけることしかできない。
  幸いにも、明治十六年に文部省が全国の都道府県に依頼して教育史の調査をしたことがある。それを編集した『日本教育史資料』(明治23〜25刊)がある。この資料は二十三巻からなる膨大なものであり、寺子屋を知るには最良の資料となっている。
  開業数の統計をみると、寺子屋は19世紀に入る頃から急激に増加し続けている。とくに安政から慶應にかけての14年間には、年間300を越える寺子屋が開業している。『日本教育史資料』によると開業の年代が不明のものも含めて一万六五六〇軒あったという。しかし、実際には江戸だけでも大きい寺子屋が4〜500、小さいものをまぜれば1000から1300ぐらい存在していたといわれている。
寺子屋への入学年齢
  寺子屋はまったく自然発生的に設立されて、発展していったものである。そのため、決まった入学年齢があるわけでもなく、入学日、就学年齢が決まっていたものでもない。卒業証書などもなかった。入学年齢は、各寺子屋によってもまちまちだし、その家庭の事情によってもまちまちであった。しかし多くは六〜八歳が入学年齢であった。学習期間も特別の規定があるわけでもなく、二〜三年間が普通であったようである。
寺子屋の師匠
  師匠の職業は、地域によって異なる。東京府が小学校設立のために寺子屋師匠に提出させた調書には726名分の旧身分が書かれている。多いのは平民(町人)で、雑業、農民、商人などの江戸の町人である。次に多いのが士族である。女性の師匠も86名確認できる。
  千葉県の袖ヶ浦地域で確認できる手習い師匠の人数は35名、内訳は、僧職10名、農民4名、神官4名、医師3名、不明14名である。このことから江戸では町人が多く、農村では僧職・神官・農民であったことが分かる。
寺子屋の学習内容
  学習内容は、時代により地域により家業によって多種多様であった。とはいえ、圧倒的多数は、なんといっても「読み・書き・算盤」であった。なかでも手習いにはどの寺子屋も時間をかけ、手習いは中核であった。一人一人が個別に指導を受け、練習をしては師匠の前に進み出て清書をし注意を受け、また自分の机に向かうといった形式であったようだ。
  師匠は頃合を見て一人の寺子を呼び出し、目の前で書かせ、朱筆を加えたり、運筆の順序、言葉の意味内容を教授したりした。師匠は一人一人の寺子の年齢や進度、学力、性格、興味、家の職業などに応じて、手本の内容を変えるなど細かな配慮をして指導した。手習い指導のとき師匠は「倒書」といって、さかさまに文字を書いてやらなければならない。「倒書」の技術に熟達しなければ寺子屋の師匠とはいえなかった。
  寺子屋における手習いは、単に文字を上手に書くことだけが目的ではなかった。手習いで文字を学び、手本を読むことで様々な知識を習得した。手本の内容は、日常の躾、礼儀作法、教訓に至るまであった。この意味で、手習いは、近世庶民の子ども達の人格形成の根幹を支えていた修身教育にもなっていた。
寺子屋の教科書
  寺子屋の教科書は、総称して「往来物」といわれている。往来とは「往復一対の手紙・書状」のことである。日常生活の中に使われている手紙・書状を習得していなければ、何人も日常生活の支障をきたすと考えられていた。身分、職業、性別、季節によって、そこで使われる手紙・書状は形式・種類が実に多様であった。手習いの教材文は日記調、手紙調、問答調で書かれたものも多くあった。季節の挨拶、年中行事、近所付き合いの仕方なども記されたものもあった。女子は、読み、書き、算盤を主としながらも、茶、生花、裁縫、絵なども教えられた。
  往来物には日常生活に必要な実践的な知識や道徳律が書かれてあった。読み書き能力と道徳性の涵養が密接に結びついていたことが寺子屋の特質である。子ども達は膨大にある往来物の中から師匠が一人一人に適当と選んだものを与えて学習させた。往来物のほかに師匠が特別に書いて与えた「お手本」もあった。「草紙」と呼ばれた練習帳を真っ黒にして手習いに励んだ。
 以下 見出しのみ
  寺子屋の学習形態、寺子屋の試験、寺子屋の「終りの会」風景、野村吉三郎の寺子屋の思い出
 
(3) 日刊『中・高校教師用ニュースマガジン』(中高MM)☆第1946号☆
■「プロジェクト志向でいこう!」(27)若槻 徹(浜田市立宇野小学校)
NHK番組「日本の、これから」学力 3月8日(土)19:30オンエアhttp://www.nhk.or.jp/korekara/
NHKのディレクターさんからの個人的な質問に答えた私の見解を紹介します。
◆今の子どもたちに求められている学力とは?それは、どうやって身に付けさせたらいいか?
1.これから必要な学力
・高度情報化社会の中では、テレビや新聞におどらされないで、本当に自分に必要な情報や正しいものを見抜く目が必要です。メディアリテラシーが最も重要だと私は考えます。(思考・判断力が必要)
・昔は、机に座って先生の話を聞いて、知識を頭に入れていけばよかったのですが、時代の流れが速くなり、学校で学んだ知識は、社会に出たらもう古くなってしまっています。自分で知識をどう得るか、その学び方自体を身に付ける必要があります。(知識を覚えるだけでよかった時代ではない)
・また、ケイタイ、ゲーム、インターネット、テレビ…子どもたちを誘惑する魅力的で楽しいものが溢れている日常生活の中で、自制心を持ちながら、自分をコントロールしていくことも難しくなっています。(学習意欲を削いでしまう環境あり!)
・少子化やゲーム等の個人中心の遊びなど、人間関係を自分から作る経験が少なくなったために、仲間との関わることが苦手な子が増えてきています。基本的なコミュニケーション力を育てることが学校教育の中で必要になってきています。
2.それを身に付けるには・・・
・学校での授業のやり方を見直して、基礎基本として知識等をしっかり身に付ける部分(IN)とその知識を活用して生活に結びつけて自分で実際にやってみる(OUT)を取り入れることが大切だと思います。フィンランドで言うテーマ学習やプロジェクト学習の考え方にあたります。
・子どもたち自身に自分を客観視できる力を育てていく必要があります。学習を振り返って自己評価する場面を授業の中に取り入れたり、自分の思考の変化や成長を記録するなどポートフォリオを取り入れるなど教師の指導の工夫が必要です。
・友達と協力した活動したり、共に学び合う場面で、思いを伝えたり、受容したりする中で、コミュニケーション力を育てていくことが大切です。
◆教師の指導力・技量の向上を訴えているが、今の先生たちの指導力・技量はどの程度だと思うか? それは子供たちに学力をつけさせるに足るものか?
・現場の多くの教師は、まじめで責任感があり、授業に対しても熱心に取り組んでいます。しかし、残念ながら、自分で指導法を工夫し、成長しようと努力している教師はあまり多くありません。10年前、20年前と同じ授業のスタイルを続けている教師も少なくありません。研究授業(自分の授業をほかの教師に見せて研究する授業)を1年間に1回もしない教師も多いと思います。
つまり、教師の指導力は、経験だけでは身に付くものではなく、学び続ける意志がなければ向上しません。
そして、授業のやり方が書いてある「教師用指導書」の通りにしか授業をしない(しかできない)先生も多いように思います。自分で教材を開発したり、単元を考えたりする等自分で授業プランをつくれる先生は少ないです。そのため、総合的な学習の時間をどうすればいいか悩んだり、いいかげんになっていたりします。
 したがって、子どもたちに真に必要な学力をつけさせるためには現状では充分ではないと思います。
教師の指導力の向上が進まないのは、先生たちが忙しすぎるという現状があります。授業にだけ集中できる環境を作り、責任とともにお金を学校に与えれば改善できると私は考えています。(後略)
☆★☆ コメント ☆★☆
 内容はともかく、一人一人が自分の回答を持つことが大切だ。
 
(4) KMM 教師のエスプレッソタイム NO.179     NIEクリップ 1
■ここでは、最近まで私が別の箇所で流していた原稿を紹介します。新聞情報なのですが、ためになると思います。
    A.『新聞社』読後感!
■この本は、河内孝という方が執筆されているわけですが、毎日新聞社の元常務取締役で退職された方です。だから、現実味があります。次のような文章や情報が目につきました。
1)日本の新聞産業 通信社を含めて全112社、全従業員数53000人、1年間に376万トンの新聞用紙使用 毎日5256万8032部の朝夕刊発行、販売店は20865店舗、従業員数は44万人、年間売り上げは2兆4000億円 
2)もっと詳細には!
 広告代理店から売上1兆円、出版事業から3700億円、駅コンビニ売上700億円、販売店から1兆7700億円(5000円世帯、600万事業所)
 逆に、広告代理店へ手数料2500億円、販売店へ手数料6500億円、販売促進費1500億円が全体で動いているとのこと。なお、販売店へは折込みチラシの売上4800億円が入っているとのこと。
3)2005年 VS 1999年
 5256万部(120万部減少)、新聞を講読していない12%(倍増)、閲読時間23.9分(2分減少)、首都圏で講読していない単身者は48%(8%増)
4)新聞販売店の収支は
 新聞販売収入と折込み収入の割合は57対43。全体的には新聞販売で73%、チラシで19%、本社から補助金7%
5)押し紙と販売部数
 詳細は避けますが、新聞社と販売店のかけひきがあります。販売店にとっも、新聞部数はチラシに影響、新聞社は実際以上の予備新聞(押し紙)を販売店へ送付、部数の伸びに対して、新聞社より奨励金の利率変更と、かなり複雑な関係にあるようです。
6)残紙
 少なくとも印刷部数の10%は廃棄処分になっているとのこと。仮計算でも、37万トンが廃棄され、486億円の無駄になっているとのこと。
 これらのことと、環境問題が同時に扱われておりました。つまり用紙が占める木材の割合等々、なかなかシビアなものでした。
7)株保有問題
 地元の熊日も熊本放送やFM中九州、シティFMにも出資してありました。どこの新聞社もやっているようです。大手新聞社長がこういっているそうです。「新聞は衰退するかもしれないが、当分はテレビで食える」と。最後の護送船団ともいってありました。
8)携帯 VS 新聞
 10年前にはなかった家庭の支出項目として、携帯代が大きく項目となっており、何を切り詰めるかとなった場合、著者は「お父さん、新聞は小遣いから駅で買ってね」が目に浮かぶと言われています。
 こういう状況だからこそ、ネットとの模索をしていかめないといけないと著者は言われておりました。
9)最後に、こんな学生の感想を紹介してありました。
「新聞は発見メディアだということ。ページをめくっていくと、予期せぬ発見がある。なるほどと思うニュースにも出会う。それに比べてインターネットは検索メディア、関心のあることをより深く調べられる」と。
 
(5) 安岡正篤一日一言 〜心に響く366の寸言〜
        http://www.chichi-yasuoka.com/         発行 (株)致知出版社
【四十、五十にして聞こゆるなきは 1】
 世間的にはさして地位や名声がなくても、いわゆる名士・有名人でなくても、自らその環境の中で名が聞こえない、おるのやらおらぬのやらさっぱりわからない、お前おったのか、というようなことではつまらない。
 少しできた人間ならば世間はともかく、少なくともその仲間環境の中には必ず聞こえるものだ。
 「四十、五十にして聞こゆるなきは(畏るるに足らざるのみ)」というのはそういう意味だと解釈しても、私は少しも差し支えないと思う。またそれでよい。 『安岡正篤 一日一言』より(致知出版社刊)
          http://www.chichi-book.com/book/yasuoka/0754.html 
8 研究会紹介
(1)第7回 使える授業ベーシックセミナー
テーマ 子どもが輝く学級開き授業開きのベーシック
主 催 使える授業ベーシック研究会  後 援  文部科学省、東京都教育委員会他
日 程  2008年3月27日(木)     
        9:00〜 9:50 公開授業T(国語・道徳)
         9:50〜10:20 公開授業Tのベーシック提案
       10:40〜11:30 公開授業U(算数・図工)
        11:30〜12:00 公開授業Uのベーシック提案
        12:50〜14:00 講演  梶田叡一
       14:10〜15:20 セミナーT(20講座)
       15:40〜16:50 セミナーU(20講座)
9 愛知県社会科高校入試B日程社会科問題分析
   校長日記で紹介してあります。



  問い合わせは 土井謙次  syaraku@tcp-ip.or.jp