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報告者  土 井
 2008年4月24日(木)布袋北学習等供用施設にて社楽の会を開催しました。参加者(勤務校)を紹介しましす。
 土井(岩南中)、早川先生(江南北中)、天野先生、稲山先生(江西中)、大島先生、柴田先生(草井小)、坪内先生(犬南小)、坪内先生(岩倉中)、高木先生、大野先生(犬山中)、小沢先生(扶桑東小)、尾関先生(岩倉市教委)、天野先生(大口町教委)、勝村先生(羽黒小)、池邑さんの計15名です。

 今日は、今年度の授業実践について話し合いました。習得、活用、探求を「言葉の力」で進めていくという方向の話し合いでした。

土井より、今回紹介したのの目次です。番号をクリックしてください。

  学習指導要領新旧対照表
 大学生・高校生の地理的認識の調査報告
  Benesse 第4回学習指導基本調査
  岩倉南部中学校 今年度の重点目標 
 役立ちWeb特集  
 教育関連情報    
 MM紹介
 愛知県社会科高校入試B日程社会科問題分析 校長日記より

 学習指導要領新旧対照表
 
これを読むと違いがわかります。ぜひ目を通しておきましょう。
    小学校 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/syo/syo2.pdf 
    中学校 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/chu/chu2.pdf 
 小・中学校学習指導要領の改訂に伴う平成21年度からの移行措置案
        http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/080424.htm
  

 大学生・高校生の地理的認識の調査報告
 
http://www.ajg.or.jp/chirikyouiku20080319.pdf 
 例の「半数以上の高校生が宮崎県を知らない」という調査報告です。

 Benesse 第4回学習指導基本調査
(1)どの教科・領域についても指導を「得意」とする小学校教員の割合は多くない
「得意」の割合は、算数を除けば、どの教科・領域も1割に達していません。「どちらかというと得意」を加えれば、算数と国語は半数を超えますが、他の教科や領域は5割以下にとどまっています。
(2)算数の指導を得意とするものは、他の教科や領域と比べて多い
算数の指導について「得意」が19.6%、「どちらかというと得意」が66.4%で、あわせて86.0%になります。ドリル演習など、ある程度、指導方法が確立しやすいという面があるのかもしれません。
(3)特に、理科・社会・総合的な学習の時間を苦手とする教員が半数前後になる
「苦手」と「どちらかというと苦手」をあわせて、割合が多い順に、総合的な学習の時間が57.8%、社会が50.2%、理科が49.5%です。これらの教科・領域は豊富な知識や経験が必要で、活動を伴うことが影響しているのかもしれません。
☆★☆★ コメント ☆★☆★
 「見える学力・見えない学力」をある意味象徴している調査である。しかし、プロとは、見えないものを見る力がある人のことをいう。
 全文 http://benesse.jp/berd/center/open/report/shidou_kihon/hon/index.html 
 
 
 

 岩倉南部中学校 今年度の重点目標
   http://www.schoolweb.ne.jp/weblog/data/2320030/154385/154385.pdf
 図示して、HPにも載せて公開しました。PTA総会でも説明します。学校経営案も文字でなく図にしました。

 役立ちWeb特集 
(1)平成20年度全国学力・学習状況調査の調査問題と質問紙調査の内容
 
(2)地図検索サービス、日本で立体的な地図を表示
 地図検索サービスを強化し、立体的に地図を表示する‘3D’機能を日本で提供開始。3D地図表示地域は、東京都中心部となり、今後大都市や観光都市に拡大していく予定。2006年10月米国より提供開始し、日本での提供は6カ国目、アジア地域では初めて。
 
(3)オンライン画像編集サービス
 無料で使えるオンライン画像編集サービスのパブリックベータ版が公開された。画像をWebブラウザ上で編集できるオンライン画像編集サービスで、ユーザーがアップロードした画像に対して、サイズ変更や切り抜き、色調補正などの編集が行なえる。
 
(4)年齢・身長・体重などから体に関するさまざまなデータを計算
 年齢・身長・体重などから体に関するさまざまなデータを計算できるフリーソフトが登場。年齢・身長・体重・性別などを入力すれば、人体に関するさまざまなデータが“肥満度・体型”“代謝・エネルギー”“血液・循環”“排泄”“呼吸”“その他”の6項目に分けて出力される。
 
(5)「Web 2.0」説明できる高校生は6.9%、「YouTube」の認知率には親子格差
 全国高等学校PTA連合会が、全国36校の高校2年生とその保護者を対象に調査を実施。生徒には携帯電話の用途やIT関連の言葉の認知状況をはじめ、アダルトサイトの閲覧や違法コピー、ネット詐欺、ネットいじめ、ハッキング、迷惑メール送信などの経験を聞いている。
 
(6)「海の仕事.com」プレスリリース(国土交通省ホームページ)
 ○ホームページアドレス http://www.uminoshigoto.com 
 
(7)BUILD UP!
 建設現場の音で曲作り。斬新で"遊び"のある建設WEBサイト
 建設産業に親しみと関心を持って貰えるように工夫された、建設WEBサイト。曲作りだけでなく、建設の役割や事例紹介、働く若者の声などが紹介されている。提供は日本建設業団体連合会(日建連)、日本土木工業協会(土工協)、建築業協会(建築協)。
 
(8)携帯電話のカメラで、顕微鏡写真が撮れる!理科の授業にも最適 (2008年04月08日)
 
(9)図解で考える方法 魚骨図
 
(10)いじめ前年度から半減。アンケート結果(石川)
 
(11)名数クイズ
 
(12)気象庁・黄砂情報提供ホームページ
 気象庁と環境省は、共同で黄砂情報提供ホームページを開設。気象台による目視による観測の情報や、環境省のライダー装置による測定情報等を提供。ライダーとは、レーザー光を用いたレーダーで、上空を通過する黄砂をリアルタイムで計測できる機器。
 
(13)MapFan Web 「電車+徒歩ルート」検索サービス
 地図検索サイトで、「電車+徒歩ルート」検索サービスが可能に。地図上で、出発地・目的地を指定すると、ドアtoドアの推奨ルート(乗換案内と徒歩ルート)を自動表示。最寄り駅は自動検索し、自動設定する。
 
(14)PILOT 色を自由に選べる3色ボールペン
 15色の専用替え芯から好きな3色を選んで利用できる3色ボールペンが好評。インキ色は全15色、筆記幅は3タイプ、ボディは全4色あり、(45×44×43)÷(3×2)×4=56760通りの組み合わせが考えられる。
 
(15)教師となって第一歩
 http://www.center.spec.ed.jp/c/ce_ctn.html 埼玉県が発行している新任向けの指南書。基本に還る意味でめを通しておきたい。
 
 
 
6  教育関連情報
(1)問われるPTAの在り方……和田中の「廃止」で  渡辺敦司
 民間企業リクルート出身の藤原和博校長の退任が迫った東京都杉並区立和田中学校が、夜間塾「夜スペ」に続いて、また大きなニュースとして取り上げられました。新年度からPTA組織を、同中が独自に設置している「地域本部」の中に吸収してしまおうというのです。PTA会長は置かず、(社)日本PTA全国協議会(日P)からも脱退するというのですから、実質的な「廃止」と言ってよいでしょう。PTAに関しては、役員選びなどでお困りになった方々も多いと思います。賛否はともあれ、その在り方に一石を投じたことは間違いないでしょう。
 PTAの歴史は、戦後教育とともにありました。1946(昭和21)年に来日した第1次米国教育使節団がまとめた報告書の中で提言され、占領下で連合軍最高司令官総司令部(GHQ)の指導により設置が促進されました。今や約3万4,000と大多数の学校に単位PTA(各学校の組織)があり、会員は「約1,000万人」(日P)といいます。
 PTAは文字通り「親と先生の会」(Parent-Teacher Association)であり、保護者と教員が対等の立場で参加する、というのが趣旨でした。しかし、実際にはT(先生)抜きの「親の会」になっているのが、ほとんどの学校の実態でしょう。また、各種行事や委員会活動などが盛んなPTAがある一方で、組織の維持だけで大変なところも少なくありません。
 藤原校長は、同中の地域連携ホームページに、「慣性の法則から抜けられないPTAのみなさんへ、和田中より愛を込めて」というアピールを掲載しています。なかなか刺激的なタイトルです。そこには、「全国のPTAのみなさんが泣いて喜ぶ大改革」「誰もできなかったPTA組織のスリム化」といった指摘もあります。これには保護者のかたのみならず、口にできなかった胸の内を突かれた思いがする先生方も、実は多いのではないでしょうか。http://www.wadachu.info/data/PTAkaikaku.pdf 
( 中 略 )
 言うまでもなく、既存のPTAが歴史的役割を終えたなどということはあり得ません。むしろ今、保護者と先生が協力して子どもの教育に当たる必要性が、ますます高まっていると言えるでしょう。ただ、その具体的な協力の方法や組織の在り方となると、学校や地域の実態によって、多様でよいのかもしれません。肝心なのは、学校を支え、ともに教育を担う、実効性ある組織になっているかどうかです。
 新年度からは、各市町村に「学校支援地域本部」を設置する文部科学省の事業も始まります。これを機に、各学校でもPTAの在り方や役割分担、運営の方法などを再点検したいものです。
☆★☆ コメント ☆★☆
 この先に長い歴史が過ぎ、数十年経った時、今回の和田中の対応が一つのターニングポイントになったかもしれない。「あそこがPTAを廃止したために…」 
 PTAは、社会教育団体であり、ボランティア団体でもある。その運営上でいろいろと困っている学校もあるかもしれないが、学校において大きな役割を果たしてきたことは間違いない。しかし、組織の維持のためには、全体に奉仕しようという志のある人の存在が不可欠であるが、社会構造の変化により、通常のPTA活動もままならない家庭も増えてきた。それでも、今後学校と家庭の連携の重要性はますます高まる。文科省のいう学校支援地域本部では、時間に余裕のある人だけが参加でき、多くの保護者は学校から離れてしまう可能性が高い。PTAは、なくす発想でなく、あくまでも活性化の方向で考えていきたい。
 
(2)教育振興基本計画について〜「教育立国」の実現に向けて〜(答申案)
☆★☆ コメント ☆★☆
 中教審から4月18日に出された。むろん、新教育基本法の第17条に定められたからである。
 教育の現状と課題を見すえた後、10年後に目指すべき教育の姿を明示し、そのために今後5年間で何をしていくかの基本的方向とそのための施策が書かれている。
 今後、日本の教育を論議していく上で、また予算編成をしていく上でのベースとなるものである。目を通しておきたい。

 
 MM紹介
(1)【社会】 ◆「差異の思考」で社会科学習を楽しく(2)
                             山邊 文洋@山口市立大内南小学校
「二つ以上の社会の事象を見比べながら、問題点を見つけ、どっちが〇〇かな」と考えていく社会学習。社会科って難しいと思っている方に、やる気がわいてくればいいなあと思っています。
 まずは、単元の中で「差異の思考」を生み出す手順を書いておきましょう。全体像が見えないと、今からやろうとしていることが何なのか分からないまま読むことになるからです。
 次のステップを踏みます。
◇ ステップ1
 社会科の目標と照らし合わせ、対比する二つの社会的事象を考えられるだけ、探しだす。
◇ ステップ2
 ステップ1の候補の中から、子供が熱中しそうなどれかをを選ぶ。
◇ ステップ3
 子供が最大の問題としそうなところを含んだ「全体の課題」を決定する。
※「全体の課題」については次回詳しく説明します。
◇ ステップ4
 二つの事象の提示を単元のどこで、どのように行うか決定する。
 では、今回の中心点「差異の思考」で取り上げる社会的事象の視点について述べましょう。ステップ1の部分です。
 ステップ1では、こんな言葉が聞こえてきそうです。
「対比する二つの事象って言われても・・・よくわからないよ。何でもいいの?」
ごもっともです。そこで、「差異の思考」を作り出すための社会的事象をとりあげる4つの視点を挙げてみます。これを参考にすると、「こんなものが使えるかな」「これもできそうだな」といろいろなアイデアが浮かんできますよ。
(1)ものや出来事を対比する
(2)人を対比する
(3)場所的な対比をする
(4)時期的な対比をする
ここでは(1)と(2)について説明しましょう。
「(1)ものや出来事の対比する」について
 これは、ものや出来事の違いを視点にして事象を選ぶものです。前回の「食糧生産スマイルプラン」の外国産のマンゴーと国産のマンゴー、その売り場の写真を提示した実践は、この対比になります。
 そのほかにもいろいろと考えられます。アイガモ農法と一般的農法を比べて「おいしいお米を作るには、アイガモ農法か一般的農法か」と考えたり、Aの作物とBの作物を上手に提示して「この地域らしい名産物を選ぶとしたらAとBどちらがよいだろか」と考えたりしていくことなど、様々考えられます。
「(2)人を対比する」について
 読んで名のごとく、人と人の違いを視点にして事象を選ぶのです。「同地域、同時期にAさんとBさんの行いの違い」「時期や生活の場が異なる人々の違い」を比べるようになります。
 ここで子供達が持つ問いは「この〇〇問題に対して、AさんとBさんのしたことは、どうして違うのだろう」「Aの人々と違い、わたしたちは、これからどうしていくべきなのだろう」のようなものが考えられます。
当然、自分達と比べる対比の仕方は、身近に感じ、みんな熱中しやすいのです。
 それでは、この(2)「人を対比する場合」の実践例を紹介しましょう。
 単元は、第6学年「再考!私たちの街づくり」です。
 これは、同じ山口市で生活する「自分達」と「高齢者・障害者」をとりあげ、対比して学習を進めました。なぜなら、両者に街に対する思いの大きな差異があり、子供達の予想を覆し、強いこだわりを持たせることができると考えたからです。
 実際に、子供達に山口の街のバリアフリープランを具体的に作る作業やプランを伝える手続きを行わせ、「みんなの願いを実現する政治」についての見方・考え方を培っていこうと考えました。
【「差異の思考」の始まり】
 人を対比する「差異の思考」を作り出すためにやったことは、次の3点です。
ア 「自分達」と「高齢者・障害者の方」との山口の街の住みやすさに対する意識調査結果の提示
イ 「高齢者・障害者の方」に対するインタビュー
ウ 擬似体験セットなどを使った山口の街の状況調査
 詳しく述べると次のようになります。
 まずは、自分達の山口の街への意識調査の資料を見ました。クラスの98%が「大好き」「住みよい」と答えていました。家族へのアンケート結果も同じような結果でした。子供達は当然という顔で眺めています。
 そこに、住みにくいという人が50%になる資料を提示(ア)しました。子供達は予想します。「山口の昔の意識調査ではないか」「他の街の意識調査ではないか」と。
「実はこれは、今現在山口の街に住んでいる方の意識です。・・・これは、高齢者、障害者の方の意識なのです。」
「え…こんな風に思っているのだ。…一体どんなところが住みにくいのだろう。」
このような気持ちの変化を経て、「自分たち」と「高齢者・障害者」の方との意識の違いの理由や根拠を見つけようとする気持ちを湧き立たせました。
 そして、「高齢者・障害者の方」の思いを探るインタビュー(イ)です。福祉施設や公民館に出向き、街の便利、不便なところの情報を得ました。
 さらに「実際に山口の街を調査しないとわからない」という気持ちを生かして、高齢者擬似体験セット等を利用して街の様子を調査(ウ)しました。
 その後、高まった思いや考えについて市役所の方へメールを出し、その回答をもとに次のような「全体の課題」にまとめました。
「山口のバリアフリー街づくりプランを立てて、市役所に提出しよう」
 この単元は、「1000万円の予算で、何を取り上げ作ることが高齢者・障害者のためになるのか」という現実の世界の追究となり、大変白熱した話し合いが続きました。
 同じ地域で生活する人々を比べた意外な情報から疑問を抱き、証拠を集め、確かめてみる。このような流れで人を対比する「差異の思考」を生み出していったのです。

 愛知県社会科高校入試B日程社会科問題分析 校長日記より
☆★☆ 愛知県社会科入試問題−1− ☆★☆
 昨日行われたB日程の社会科の入試問題を解いてみました。
 よく問題分析を頼まれるのですが、私は知識のレベルと、正解を導くための手順を指標にしています。例えば、「鎌倉幕府をつくったのは誰か?」という問題は(こんな単純な問題は出題されませんが)、知識レベルが最も基本のA、手順は最も単純なAで、A-Aレベルと判断しています。
 問題を解説していきますので、朝刊に掲載されている問題を見ながらお読みいただけたら幸いです。
 1は資料をみて考える問題です。しかし、生徒にとって見慣れた資料ではありません。 
(1)は鎌倉の地図を抽象化してありますので、まず、ここが鎌倉であることを見抜かなければなりません。手順はBレベルです。次に、ここで幕府を開いた人物について述べた文を選びます。
 アは足利尊氏、イは徳川家康、ウは平清盛、これらは知識Aレベルです。エが正解の源頼朝ですが、「平泉を拠点とした奥州藤原氏を滅ぼした後、征夷大将軍に任じられた。」の説明は知識Bレベルでしょう。 よって、A’-Bレベルの問題と言えます。
(2)は「ある幕府の政治の中心として建てられた京都の邸宅」とありますので室町幕府なのですが、この説明も資料の絵もわかりにくいものです。しかし、選択肢はウに「金閣」とあるので平易です。同じくA’-Bレベルと言えるでしょう。
(3)は大阪についての問題で、「誤っているもの」を選びます。「大塩平八郎の乱が起こった都市」「国会期成同盟をつくった都市」はC〜Eレベルです。「天下の台所」はAレベル。日米和親条約で開港された港「下田・函館」はBレベルで、B-Bレベルと言えるでしょう。
 いずれも工夫されていますが、決め手になる知識ABレベルの情報もあり、考えればできるレベルといえるでしょう。
 
☆★☆ 愛知県社会科入試問題−2− ☆★☆
 続きです。
 2の(1)は、一見複雑そうですが、要するに金印の頃の文化を選べばよいので、手順はBレベルです。
金印についてあまり詳しく教えませんが、弥生文化を選べばよいので、知識レベルはB+ぐらいです。
 (2)は出島での輸出入品を選ぶ問題です。日本と中国は、日宋貿易、日明貿易とありますが、その内容はあまりしっかりとは押さえません。知識Cレベルぐらいです。
 (3)はまず日清戦争であることに気づくかどうか。そして三国干渉につながるかどうか。さらに「4字で書け」とあるので、漢字で書けるかどうかです。漢字で手こずった人がいるかもしれません。
 (4)は、日中平和友好条約です。私の20歳の誕生日に調印されたのでよく覚えています。もう、「歴史」なのですね。それ以後に起こったことを選べばよいのですから、大人の私たちには「ベルリンの壁崩壊」と簡単にわかります。他の選択肢が、ワシントン会議、ブロック経済、NATO結成と古すぎるので比較的平易です。
 3は、2万5千分の一の地図の問題です。最近よく出題されるパターンです。
 (1)は会話文から場所を特定する問題で、等高線が理解できていいれば、よく読めばわかります。良問といえます。
 (2)は、図が小さくて見づらく、よくわかりませんでしたが、アの「約2q移動」は計算すると「約750m」であり作業を必要とします。これも良問です。
 (3)は2つの資料を比較して、なおかつ、「中国地方にある県」、すなわち「岡山」と漢字で書く必要があります。工夫された良問です。
 (4)が、現在の地理の試験として、最も典型的な問題です。複数のデータから、愛媛県を選ぶものです。解き方は消去法です。製造品出荷額から、Aが広島県であることがわかります。降水量よりDが高知県もわかります。そして、降水量・製造品出荷額を見比べて、Cが島根、Bが愛媛であると判断します。情報を総合しなければ解けない良問です。
 全体としては、個別の知識よりも考える力を必要とするように工夫が見られます。
 問題と解答例は、次の佐鳴予備校のサイトでも見ることができます。
http://www.sanaru-net.com/0803sokuho/index.html 
 
☆★☆ 愛知県社会科入試問題−3− ☆★☆
 4は、3と同様の世界地理版です。限られた情報から、まず、ニュージーランド、エジプト、アメリカ、ポルトガルを特定します。
 Aは、航空機産業からアメリカです。BはEU加盟国からポルトガル、Cは島国なのでニュージーランド、Dはナイル川でエジプトです。
 これを前提に(1)を解いていきます。アからオは、どれも違います。カも迷うかもしれませんが、消去法でカしか残りません。
 (2)はさらにやっかいです。表Uの国を、データから特定しないといけません。
 1人あたりのエネルギー消費量などから@はアメリカ、降水量からBはエジプト、7月の気温からCが南半球のニュージーランド、したがって、ポルトガルはAになります。
 ここまでわかればあとは平易です。日本と比較して考えると正解は出てきます。
 共に手順が複雑で、一つの解答を導くために多くの労力を必要とする、C-Cレベルの良問といえます。
 5は公民・経済の問題です。
 (1)は需要・供給曲線の基本問題です。
 (2)は最近よくでる作図問題ですが算数レベルです。次にその読み取りですが、「入荷量」が「供給量」であることがわかれば平易です。
 (3)は株式会社の正しい説明を選ぶ問題です。誤りが仕組んであるため、消去法で解くことができます。 
 (4)は、株式売買の方法の問題です。
 5は、地理(3・4)とは正反対の、単純な知識で解くことができる問題です。少し前は、だいたいこういう問題が主流でした。
 6も5と同じような傾向が続きます。
 「ある年の国会のようす」と実例を出したことは新鮮ですが、その内容は単純です。
 (1)は特別会、臨時会が理解できていれば平易です。
 (2)は内閣と国会の関係について述べた文ですが、両院協議会が問われています。ねじれ国会の現状を反映した問題です。その意味では、タイムリーな良問といえるでしょう。
 (3)は「委員会」を答えさせる問題です。漢字3字は、ヒントになっています。
 総じて、歴史は工夫してありましたが、基本的な知識で解けるように作ってあるので、それを見抜けるかどうかです。地理は知識以上に思考力が問われているので、パズルを解くみたいにじっくり取り組んでください。公民は比較的単純で、用語が理解できていればできる問題です。教科書太字レベルの用語は押さえる必要がありますね。
 さて、木曜日のA日程の問題はいかに?



  問い合わせは 土井謙次  syaraku@tcp-ip.or.jp