第291回 社楽の会報告    第290回へ     第292回へ   TOPへ
                                                             
報告者  土 井
 2008年9月4日(木)布袋北学習等供用施設にて社楽の会を開催しました。参加者(勤務校)を紹介しましす。
参加者は,土井(岩南中),天野先生,稲山先生(江西中),小澤先生(扶東小),鈴木先生(楽田小)、大野先生、高木先生(犬山中)、坪内先生(岩倉中)、高橋先生(曽野小)、天野先生(大口町教委)、早川先生(江南北中)の計11名でした。

土井が紹介したものの目次です。番号をクリックしてください。

  書籍紹介
 岩倉南部中校長日記「社会科こぼれ話シリーズ」
  アソシアおもしろ学校
  文部科学大臣はこんな人
  役立ちWeb特集  
  教育関連情報    
  MM紹介

 書籍紹介
(1)『中学校 学校力がUPする 新教育課程マネジメント』安彦忠彦・深谷孟延編著(明治図書)
   学習指導要領を「創造的」に「理解」するためのヒント
  新学習指導要領の告示により、新しい学校教育のグランドデザインが明確になりました。今後は 各中学校での具体化、教育課程のマネジメントが緊急の課題になります。本書は、学校力UPと連 動させて今後の工夫の実際を明らかにしました。(明治図書ONLINEより)
  土井も執筆しています。 
(2)『全国アホ・バカ分布考』(新潮文庫)
  タワケとアホの境が関ヶ原というのも興味深いですね。
 
 
 岩倉南部中校長日記「社会科こぼれ話シリーズ」
 夏休み中に42回にわたって連載しました。全テーマは次の通りです。
「寺の数が最も多い都道府県はどこ?」「田淵寿郎」「ダイオミード島」「江戸遷都」「アメリカ合州国?」「名古屋近郊の旧街道のルート」「村八分」「憲法改正」「ビッグマック指数」「鎌倉幕府の成立は?」「疑惑の肖像画」「板垣退助」「神社の多い都道府県」「オイルショック」「三重県はおもしろい」「国立公園」「光秀と龍馬」「光秀と龍馬2」「道州制」「坂本龍馬」「医師数の国際比較」「フリーマーケット」「ハンガリーとフィンランド」「北浦定政」「飛鳥の宮」「終戦はいつ?」「船の大きさ」「アフリカ最南端」「同じ国旗?」「大泉学園?」「三越前駅」「杭州湾海上大橋」「警察を信頼しますか?」「金メダルの価値は?」「ニヤゾフ大統領」「服部半蔵」「バカ、アホ、タワケ!」「フォー・コーナーズ」「サブプライムローン問題」「ソウルの地下鉄」「救急車出動は有料・無料?」「一休さん」「船籍」
 読み返すと懐かしく思います。何より自分の勉強になりました。
 

   
 アソシアおもしろ学校
7月25日に授業を行いました。校長日記より内容を紹介します。 
☆★☆ ホテルアソシアおもしろ学校−1− ☆★☆
 昨日はホテルアソシアおもしろ学校で授業をしてきました。たくさんの方に来ていただきました。内容は世界地理です。
 はじめにGoogle Earth を使って、世界の有名なものを見てみました。イギリス国会議事堂、アメリカ国防総省、エッフェル塔、自由の女神などの実物を空から見ることで、ずいぶん身近に感じるようになります。
 最初の話題は、トイレを備えた家が少ない国について考えました。アフリカのいくつかは、家にトイレがある率が1割、またはそれ以下です。アジアでも、カンボジアの田舎でトイレを借りようとしたら、スコップを貸してくれたという笑い話があるほどです。さらに、実際に世界のトイレを写真で見ました。アラブ式、トルコ式といったもの、中国の扉や個室のないものなど、多くのトイレを紹介しました。
 次は、「警察を非常に信頼する人」が国民のどれだけいるかというものです。ヨルダンやベトナム、エジプト、タンザニアの順に高く、先進国はやや低め。日本ではわずかに6%あまりという結果でした。しかし、私は治安の良さの表れだと説明しました。治安が悪い国ほど、警察に頼る必要があり、その蓄積が信頼を高めていくのでしょう。
 3番目が、平均寿命です。日本が世界一なのに対して、世界では50歳に満たない国が26あり、そのすべてがアフリカです。アフリカ南部では、エイズも大流行しています。経済状態と寿命の長さは、強い相関関係がありました。
 この3つの話題をつなぐ鍵が「格差」です。一人あたりの所得では、多い国と少ない国では実に500倍の格差があります。この格差を、地球市民としてどう考えればよいのでしょう。貧困は、寿命や治安に大きく影響し、基本的人権すら確保できません。
 格差の解消に策はあるのでしょうか?次回に続きます。
 
☆★☆ ホテルアソシアおもしろ学校−2− ☆★☆
 おもしろ学校の授業内容の続きです。
 格差の解消に策はあるのでしょうか?日本と中国を比べてみました。日本は中国に比べると、格差が小さい国です。その理由は、個人レベルでは累進課税や社会保障が進んでいること。自治体レベルでは、地方交付税です。これらを一言で言えば、「所得の再分配」と言うことができます。中国では、この再分配のしくみが弱いのです。実際に、上海や北京などの格差の様子を写真で紹介しました。
 それでは、国家間の格差を減らすには?やはり所得の再分配しかありません。現時点では、その仕組みが「ODA」なのです。日本も、かつてはODAのお金で東海道新幹線や黒四ダム、東名高速道路、愛知用水などをつくり、高度経済成長を成し遂げたのです。
 《参考》「中国ODA見てある記」http://www.tcp-ip.or.jp/~syaraku/oda/index.htm(写真左)
 5月には第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)を横浜で、7月にはサミットを洞爺湖で開催しました。日本は議長国として、アフリカの開発支援を呼びかけ、一定の存在感を示しました。
 貧困は、命を縮め、治安を悪くし、紛争を誘発します。今後も日本が主導し、アフリカの貧困を改善し、アフリカの人たちの暮らしが上向くことを願いました。
 その後が、「世界国名カルタ」大会です。今回のために私がつくった、世界国名カルタを、映像問題を見ながら取り合いました。(写真)
 以上が私のおもしろ学校の90分授業の内容でした。 
 

 文部科学大臣はこんな人
 
 文部科学大臣を拝命した鈴木恒夫です。
 我が国が活力ある国家として発展し、世界に貢献していくためには、教育と科学技術・学術の振興は最も重要な政策課題です。
 これまでも、教育と環境を中心にとり組んでまいりましたが、「日本の美風」の蘇生・新生を目標として、文部科学行政にファイトを燃やしています。
 人に優しく自分に強く。そういう子どもを育てるのが私の使命と考え、今こそ米百俵の精神で頑張ります。 ※ http://www.kantei.go.jp/jp/hukudadaijin/080802/06suzuki.html 
☆★☆ コメント ☆★☆
 福田首相の辞任によりどうなるのか?

 役立ちWeb特集 
(1)平成20年度学校基本調査速報
  ・学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果【速報値】について
(2)学校の組織運営の在り方を踏まえた教職調整額の見直し等に関する検討会議
 (第7回)議事要旨・配付資料
(3)教員免許更新制情報
(4)歴史作家桐野作人のブログ  織田信長と島津氏・薩摩藩・幕末維新を中心に歴史にまつわる 身辺雑記   http://dangodazo.blog83.fc2.com/ 
(5)軍事板常見問題&良レス回収機構
(6)名古屋近郊の旧街道のルート  おすすめ!
(7)マーカーを塗った場所が見えなくなる暗記用の下敷きを再現
 赤いマーカーペンで塗った場所が緑の透明シートをかぶせると見えなくなる暗記用の文房具をPCで再現できるフリーソフトが登場。Webブラウザーなどをキャプチャーして、暗記したい情報を矩形選択して赤いマーカーを付加。緑の透明シートを移動して利用。
(8)複数の写真を合成して3Dモデル生成
 複数の写真を合成して3Dモデル生成サービスがスタート。過去に訪れた観光地などで撮影した複数の写真を合成して、その場所の風景を360度見回すことができる3Dモデルを自動生成できる。
(9)アマチュアカメラマンが撮影した写真を無料提供
 アマチュアカメラマンが撮影した写真を、写真素材として無料で提供するサイトが登場。blogのテンプレートや企業ホームページなど、個人、商用を問わず使用可能。その上、煩わしいクレジットやリンクなども表記不要とのこと。 http://www.ashinari.com/ 
(10)「私のサービス」を提供するサービス
 ユニークな経験や知識を持つ会員が、それを必要としている会員に対して、リアルタイムで「私のサービス」を提供し、その見返りに対価を受け取ることができるようにしたサービスが登場。対価を受け取らず、無料で「私のサービス」を提供する方も使える。
 
6  教育関連情報
 「第50回 指導と評価大学講座」大特集!
  島原先生の参加記録です。ML 教育情報 Magazine/ある小学校教師の独り言より
  ■ 平成20年7月28日(月)〜30日(水)  ■ 日本教育会館(東京:神田)
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◇講義1 新教育課程と教育の課題      辰野千壽(応用教育研究所所長・元上越教育大学長)
■ これからの教育
 1 確かな学力の形成
 (1)基礎的・基本的な知識・技能の習得
 (2)思考力・判断力・表現力等(活用する力)の育成
   ・ 動機づけ→獲得→保持→学習効果の転移を考える
     「意欲づけ」と「転移(教科を超えて・生活の中で)」
 (3)学習意欲の向上と学習習慣の確立→家庭で
 2 豊かな心の育成
   ・ 道徳教育…まず担任が自分の学級内で→学校内へ→家庭や地域へ
 3 健やかな体の育成
   ・ 食育の充実がポイント
■ 教育の今日的課題
 1 学力向上のための方策…教師の指導力と子どもの学習力のマッチング
 (1)基礎学力の重視
   ・ 経験主義,体験主義の見直し‥‥かつての「はい回る学習」,系統主義とのバランスが必要
   ・ 総合的な学習の時間の充実‥‥計画的な指導,教科学習との関連づけ(合科)を。
 (2)個に応じた指導の重視 → 教師の指導力(授業力)の重視
   ・ 習熟度別指導,補充的な指導,発展的な指導の適切な活用
   ・ 教師の役割の見直し(指導と支援のバランス)→教師の指導力が問われる。
 (3)学習意欲と学び方の重視 → 子どもの学習力の重視
   ・ 「自ら学び,自ら考え・・・」のおなじみの文言をどうとらえるか。
 (4)学力調査・統一テストの重視 → 教育的責任の重視
   ・ 自分の学校は学力がついているのか?‥‥結果責任を果たす。
 (5)教師の地位向上
    ・ 専門職としてふさわしい待遇を。
    ・ 社会人登用の問題 → できることとできないこと
 2 今日の教育の問題点…行動理論を軽視し,認知理論に走りすぎ
 (1)個性の誤解
   ・ 個性には望ましい個性と望ましくない個性がある。
   ・ 個性は「社会の中で形成される」ことを忘れて,子どもの現在の個性をすべてよいとし,    わがままや利己主義を認め,独善的なことや非社会的なことさえ個性のあらわれとして容認    する傾向
  (2)適応理論の誤解
   ・ 欲求の充足は善であり,欲求の阻止は悪であると考え,欲求不満を生じさせない過保護な    しつけや甘い教育
   ・ 困難への耐性が不足
   ・ 楽しい授業のはき違え → 子どもに迎合した授業になっていないか
 (3)自発性・自主性の誤解
   ・ 子どもの自主性・自発性・自由をはき違え,過度に重視する → 教師の指導性の低下
   ・ 教師の指導を軽視し,学習者中心主義の指導へと傾斜する。
 (4)「子どもに学校を合わせる教育」から「学校を子どもに合わせる教育」への行き過ぎ
 (5)教育改革の動向
   ・ 英米仏などでは学力低下が問題となり,個性尊重から画一化の教育へ回帰。
   ・ ゼロトレランス方式の確立(米国)→97年クリントン大統領:秩序の乱れから「寛容性    を認めない」教育へ。日本で言う「教育的配慮」無用論。校則破りは即,罰則
 3 子どもの学習力
 (1)自ら学ぶ力の育成
   ・ 自己制御学習
     学習過程を自分で統制,制御する。学習目標の達成を目指し,目標設定,方略設計,自己    監視,自己評価,自己調整などのメタ認知的活動を行う。
   ・ 自己制御学習のステップ(チマーマンら 1996)
     ステップ1:自己評価と自己監視→学習者が自己のレディネスを理解し,何ができるか判           断する。
     ステップ2:目標設定と方略設定→具体的学習目標を設定し,それを達成するための方略           を立てる。
     ステップ3:方略実行と監視→計画した方略を実行し,それを自己監視する。
     ステップ4:実行結果の監視→結果が学習結果にどのように影響したか調べる(自己評価)
   ・ 効果的な学び方
     PQ4R法(トーマスとロビンソン1972)/下見をする→設問する→読む→熟考する→復    唱する→復習する
 4 「学び方」の学習‥‥どのように身につけさせるか
 (1)学び方の学習の意義
    確かな学力の向上を目指す。現在及び将来にわたっての学習習慣
 (2)学び方の指導 低学年のうちから身につけさせる。
   ・ 条件付け‥‥学習の習慣化,同じ時間に同じ場所で毎日学習する。
   ・ 模倣(モデリング)‥‥よい手本を示す。
   ・ 知的理解‥‥学び方の意義・役割について理解させる。
   ・ 意図的努力‥‥行動的契約法/不適切な行動をした場合の約束を決めておく。
 5 学力調査のあり方
 (1)意義と役割
   ・ 目的‥‥教育の改革,改善を図る。
   ・ 役割‥‥個人や学校全体の成績を向上させる/矯正指導が必要な児童を明らかにさせる/         資金(学校予算)の配分決定のため
   ・ 影響‥‥(効果)援助を必要とする児童を助ける/指導法の改善に資する/学力向上
         (問題)結果の最低水準に焦点を合わせる/テスト教科のみ重視/測定しやすい           観点重視/テストが目標になる/得点をあげる方策をとる/競争意識を招く
 (2)学力調査の問題点
   ・ 結果をどう生かすか‥‥教育課程全体に生かす。
   ・ 妥当性,信頼性の検証‥‥標準化されたテストを。
 注:講義内容をわかりやすくするため,一部ですが前々回の辰野先生の記録を交えてあります。
 
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◇講義2 学習指導要領改訂のポイント       安彦忠彦(早稲田大学教授・中教審委員)
1 学習指導要領改訂の背景
 (1)日本の歴史的位置の変化:キャッチアップした国の教育=「思考力」重視
   ・ 日本が先進国と同様に他国のまねをするよりも,自ら創り出す経験が必要な時代に入って    た。
 (2)日本社会の教育力の衰退:社会全体を取り込んだ教育の回復・再生
   ・ 家庭や地域の教育力がなくなってきたことを危惧し,社会全体の教育力の回復
   ・ 再生が必要な時代→これは政治家の仕事
 (3)日本の学校教育の国際比較上の変化:OECD/PISAの学力観と学力低下傾向
   ・ 2003,2006の OECD/PISAの学力調査で学力の低下傾向が見られた。主要国と同様,その    学力を採用せざるを得ない状況を鑑み,低下傾向に正面から歯止めをかける必要に迫られた。
2 学習指導要領改訂の方向性
  第4期中教審答申から,改訂の方向を読み取る。〈この答申からは「個性」という言葉が消えた〉
 (1)改正教育基本法への依拠と「生きる力」の理念の継承
   ○ 新教育基本法及び新学校教育法の趣旨にしたがい,しかも現行学習指導要領を継承
    ・ 義務教育,道徳教育の重視=「個性教育」よりも「共通教育」を重視
     →しかしながら「教育振興基本計画第3章(2)」には,「個性を尊重し,個々の能力を伸     ばし・・・」という記載がある。
    ・ 「生きる力」の理念の継承…「方法・方策」を改善。学校の特色ある教育課程編成
    ・ 従来の学校種別から義務教育9年間の目標とした。〈第21条〉
 (2)知識・技能の習得と思考力・判断力・表現力等の育成のバランス重視
   ○ 基礎的・基本的な知識・技能の習得,その活用,そして両者に基づく主体的な探究
    ・ 全国学力・学習状況調査に見る知識・理解と思考力・活用力との高い相関
    ・ 活用型学習(習得の発展として)を媒介とする最終的な目標(探究学習=総合的な学習の時     間)
    ・ 確かな学力を確立するために必要な授業時数の確保
     →「思考力等」を育成するための時間=学んだ知識・技能を活用する。
    ・ 学習意欲の向上や学習習慣の確立
     →生活習慣・学習習慣(家庭学習)による意欲の下支え
 (3)豊かな心や健やかな体の育成のための指導の充実
   ○ 徳育・体育の充実強化
    ・ 道徳の時間は「要かなめ」,体育の時間は「増」
    ・ 社会人活用の強化と「道徳臭く」しない留意が必要
     →道徳の教材づくり,各教科との役割関係〈「指導計画の作成と内容の取り扱い」の「1.作      成にあたっての留意点」を熟読のこと〉
3 新学習指導要領のポイント
 *第4期中教審答申に示された教育内容の「主な改善事項」が学習指導要領にどう具現化されか。
  学力観の規定…30条の2項(3つを規定し,そのために(1)〜(7))
 (1)言語活動の充実
   ○ 国・数・外の時間増,各教科等での言語活動(記録,説明,論述,討論など)の重視,コ    ミニケーションや感性・情緒の基盤としての言語活動重視
    ・ 子どもの生活,学習全体の「基盤」として重視=「人間としての基礎」の一つ
 (2)理数教育の充実
   ○ 国際的な通用性,内容の系統性,小中の円滑な接続を踏まえた内容の充実,実生活に結び    いた学習(科学リテラシー)
    ・ OECD/PISAの求めるものは実生活に結びついた学習
    ・ らせん反復学習と論理的表現力 
 (3)伝統や文化に関する教育の充実
   ○ 国や郷土の伝統や文化の継承と発展,古典・歴史・唱歌や和楽器・日本美術・武道などの    充実
    ・ 国際社会で活躍する日本人の育成
    ・ 偏狭で未熟な民族主義・国粋主義にならず,他国の伝統文化も尊重する「自己相対化」     できる日本人の育成が重要
 (4)道徳教育の充実
   ○ 道徳の時間は「要」,発達段階に応じた内容や体験活動,友人の生き方・自然や伝統と文化,    そしてスポーツなどの感動的な教材
    ・ 社会人との協働を促進
    ・ 各教科等における道徳教育のあり方,実社会の規範意識の向上を図る必要がある。
 (5)体験活動の充実
   ○ 社会性・人間性・知性を育む。
    ・ 集団宿泊活動や自然体験活動(小学校)職場体験学習(中学校)の重点的推進と活動期     間拡張
    ・ 子どもの体験活動はまず土曜日を活用,ついで学校内で重点的に強化
 (6)小学校段階における外国語活動
   ○ 語学教育ではなく積極的なコミュニケーション活動と言語・文化を通しての国際理解のた    め。
    ・ 週1時間では語学教育は無理,国際理解の初歩となるコミュニケーション活動中心
    ・ 中学校での英語教育への準備としては「英語嫌い」にしないことが大切
 (7)社会の変化への対応の視点から,教科等を横断して改善すべき事項
   ○ 教科の改編はない代わりに教科内容の改編を行うべき部分
    1)情報教育…特に携帯について新規に導入,情報論理教育の重視
    2)環境教育…従来以上に「持続発展教育ESD」の観点を重視
    3)ものづくり…図工,技術,総合などでいっそう強化する方向
    4)キャリア教育…小学校から職業人になることの理解と楽しみを
    5)食育…肥満,やせすぎ,小児糖尿病など,生活習慣への留意
    6)安全教育…学校・地域・家庭が分担連携するシステムを
    7)心身の成長発達についての正しい理解…エイズ予防への関心を高める。
4 おわりに
 * 「思考力」の育成のため「考えさせる」時間が必要である。時間数増を生かす。
  →「個人で考え」,「集団で考え合い,論じ合う」という機会の活用とそのための授業時数増の活   用
* 「持続発展教育ESD」の強化が留意すべき唯一の新しい視点
  →今回の改訂で唯一新しいこと
  →国連を中心と知る環境教育(ユネスコ・スクール)をリードする方向で実践を。
 * 「社会全体による」学校教育の再生・復活を。社会へ向かって呼びかける。
  →元来は政治家の役目だが,教師が呼び水を与えてその機会を設ける。教育の全体整
   備を訴える。
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◇講義3 教育評価の基礎・基本の徹底            石田恒好(文教大学学園長)
1 教育とは
   教育にはすべて目標がある。教育はその目標を実現する営みである。
   P→D→S   P→D→C→A→O
2 教育の目標とは 
   学習指導要領で示されている。学力は学習によって獲得された能力といわれているが,教育に  よってその内容・目標実現している状態とも言える。
3 教育評価・教育測定そして評定
(1)教育測定とは
   観察やテストによって事象(状態)を明らかにし,数量的に表す操作…テストの点数と考えると  わかりやすい
(2)評定とは
   観察やテストによって事象(状態)を明らかにし,あらかじめ設定した基準に従って点数や記号  等を付与する操作
  ・ 点数や図式,記述などで評定結果を示す。
(3)教育評価とは
   教育による目標の実現状況を明らかにし(測定),それに基づいて教育(教師の指導,児童の学  習,管理職の学習環境の整備や管理運営等)が目標の実現のために機能しているかを値踏み(評価,  反省,チェック)をし,不十分であれば機能するように改め,教育をし直し,目標の実現を目指す  ためのものである。
  * 評価と評定の違いをはっきりと認識することが大切。
   〈例〉道徳の評価はしない(誤)/道徳は評価はするが評定はしない(正)
(4)教育評価の目的
  ・ 反省と改善
    教師:自己の指導について/児童:自己の学習について/管理職:学習環境,学級編制など   について/行政:教育予算やカリキュラムなどについて
  ・ 目標の実現
    教師:指導のし直し/児童:学習のし直し … 目標が実現してこそ終了
(5)教育評価の手順
  ・ 評価目標(測定目標)の設定…共有する
    指導目標から抽出して設定する。
    目標を具体化する(目標分析)→その中からもっとも信頼できる測定目標を抽出する。
  ・ 評価資料の収集(教育測定)
    測定技術の確立→評価の信頼性
  ・ 資料の解釈
    評定(評価)規準…評定(評価)のよりどころ
     規準…目標というよりどころ
     基準…評定のためのよりどころ  目標基準/集団基準/個人基準
2 指導と評価の一体化 
   短期的評価と基礎・基本の徹底
   目標→計画1(P1)→実施1(D1)→評定1(S1見とり,チェック,改善)→計画2(P2)→実施2(D2)   →評定2(S2実現の確認,成績)
 (1)指導目標の具現化―完全習得学習から―
   ・ 単元を単位として毎時ごとに
   ・ 観点別に
 (2)指導1・計画1(P1)→実施1(D1)
   ・ 多くの児童がわかる,できる計画
   ・ 指導法の工夫…一斉指導や少人数指導(等質・異質) 
 (3)評定1(チェックと改善)
   ・ 目標の実現状況を見とり,次の指導についての資料を得る。
   ・ 測定目標(規準)の設定…指導目標から抽出して設定
   ・ 測定技術の選択,作成,実施…測定目標に適した技術がある。
   ・ 資料の作成と解釈…採点等で処理,集計した結果を,評定基準により評定を行う。見とり    は3段階以上がよい。
   ・ チェック,改善して次の指導へ。 
 (4)指導2・計画2(P2)― 実施2(D2)
   ・ 目標の実現状況に応じて,改善した指導・学習のし直しを行い,目標の実現を果たす。
   ・ 少人数指導…習熟度別指導を実施
   ・ 複数の指導者…TTを実施
 (5)評定2
   ・ 目標の実現状況を確認し,成績(評定)の資料とする。
   ・ 測定目標(規準)の設定…評定1に準じて設定
   ・ 測定技術の選択,作成,実施…評定1に準じて行う。
   ・ 資料の作成と解釈,成績の付与…評定1の評定基準で評定を行う。成績に基礎資料として    は,評定2は2段階で行うのがよい。 
 (6)教育・心理検査の活用
   ・ 長期的評価と学力の向上・評定の保証
   ・ 知能検査,学力検査,適性検査など
   ・ NRTとCRT…学力水準の確認,学力向上対策の検討,評定の妥当性の検討
 (7)情報の整備
   ・ 公開,開示に備え,説明責任を果たせるだけの情報を整備,保管する。
   ・ 指導に関するもの…指導計画や実施報告(週案)
   ・ 評価,評定に関するもの…指導要録補助簿,通知表,指導要録など
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◇「価値と自己の生き方を育てる道徳教育」  諸富祥彦先生(明治大学教授,臨床心理士)
1 「自己の生き方を育てる」とは?
(1)新学習指導要領での道徳教育 
  ・ 「道徳的価値」に基づく「自己の生き方」
    道徳的価値→普遍性に基づいた価値
    自己の生き方→個を大切にする道徳教育
    *個を大切にするばかりではなく,普遍的価値を基盤とした「個」の形成
     個性(わがまま)だけを優先するものではない。常識を身につけた人間づくり
(2)「自己の生き方」
  ・ 道徳,総合,特別活動,キャリア教育,生徒指導,教育相談をつなぐ1つの輪」になりうる   理論
2 なぜ「自己の生き方」なのか
  ・ 現在の学校では,それぞれの時代に育った子が保護者になっている。
     …山口百恵型,松田聖子型,宇多田ひかる型の母親
  ・ 時代の変化…それに対応する「生きる力」が求められる。
  ・ 近未来に対する理想や希望がない…ほんとうにしたいこと,なすべきことは何か?
  ・ 生きる理由が見いだせない
     …つらくても○○があるからがんばれる,○○のためにがんばっているんだ。
  ・ 感動の道徳を学期1回は実践してほしい…教師の感動体験をぶつける。
  ・ 道徳の時間だけでなく,総合・特別活動などすべての教育活動を通して。 →「道徳教育」
  ・ 幼稚園保育園での自由保育が一因?
3 今,道徳教育に求められるもの
(1)資料の充実
  ・ 時代にあったものを。アナクロから抜け出す。
  ・ フィクションでは通用しない…高学年では作り話が通じにくい。
  ・ ノンフィクションの資料…TV「道徳ドキュメント」は有効。大人でも感動できる資料を。
  ・ 重要であるが,取り組まれていない→「畏敬の念」
(2) 指導方法の多様化
  ・ 「道徳的価値の自覚」に重点を置いた指導法…昔から変わらない。指導方法の工夫を。
  ・ 「個の確立」「自己の生き方」に重点を置いた指導法…エンカウンター・モラルジレンマ
    モラルジレンマ…低い認識の子と高い認識の子を混ぜたグループで話し合いさせる。
  ・ ワークシートの利用…書く量を減らし,考える時間を大切に。「書かせることで安心」はだめ
  ・ モラルスキルトレーニング…授業でやったことを長続きさせる。「心情」はあるが行動できな   いという例 →実践スキルをロールプレイする。できた場合とできなかった場合の両方を。
4 「自己の生き方」の危険
  ・ 個人主義に偏重しないよう。
  ・ 「書く時間」に偏らないよう。
  ・ 「自己の生き方」と「道徳的価値」の自覚…ダイナミックな相互作用
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◇「学校経営と保護者とのかかわり方」        野口克海先生(大阪教育大学監事)
1 公立義務教育学校の3つの使命
  地域で教育(子どもの地べたで)/公平性を保つ(人権教育)/多様性に応える(すべての児童・家庭) 
2 学校経営―3つのマネジメント
(1)カリキュラムマネジメント
  ・ 教育目標(スローガン)
    教師の合い言葉,子どもの合い言葉→「やったるで!」から「やったったで!」
  ・ 静と動の授業…授業のテンポや緩急,間など
    「静」:わかる授業→真剣に聞く,静かに考える 
    「動」:楽しい授業→積極的に発言,発表
  ・ 学級集団づくりは学級開きの日に決まる
(2)組織マネジメント
  ・ 学校には執行部が必要
  ・ 評価は元気が出るために行う
  ・ 人間が好きだから…保護者対策
    「先手必勝」→問題が表面化する前に保護者に対応〈説明〉→理解してもらえる。
           問題が表面化してからでは〈いいわけ〉→理解してもらえない。
   *学校評議員制度‥‥地域の有力者ばかりではよくない。学校の重点目標に応じて委員を選ぶ。
              (例)不登校をなくしたい→そういう人を選ぶ。任期は1〜2年
  ・ 教職員全体の経営参画意識
     すべての教職員が自分のこととして考える。
(3)リスクマネジメント…「危機」とは「子どもの危機」
  ・ 子どものリスク…子どもを中心に考える〈学校の体裁ではなく,子どもを守るため〉
  ・ 5つの「子どものリスク」
   1) 子どもと子どもの間で起こる危機‥‥いじめ,恐喝
   2) 子どもと教師の間で起こる危機‥‥体罰,セクハラ
   3) 導の中で起こる危機‥‥体育時の事故,施設管理不備 90%以上は防げる。
   4) 親と子どもの間で起こる危機‥‥虐待,家出 →チェック体制,予防体制
   5) 地域と子どもの間で起こる危機‥‥誘拐,交通事故,不審者
(4)危機が発生したときの3つのポイント
  ・ 初期対応に全力をつくす→その日のうちにすべてを。適切な対応ができるよう,日頃から有   事を想定した訓練を。「うちの学校でも起きる」
  ・ 責任体制を明確に→逃げない
  ・ 隠さない,公開する。
  ・ 危機意識がないのが危機
    まさか,うちの学校が・・・
3 余談
  野口氏は堺市でO-157事件が発生したとき府教委義務教育課長。堺市教育長辞任の後を受けて事後処理の任を受け,後任教育長に就任する。定年後,園田学園女子大教授・付属中高長となる。この学園はJR西日本福知山線事故現場から2キロのところにあり,学生に利用者も多くいる。この時も陣頭指揮をとって,危機管理にあたった。
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◇「これからの授業をどうつくるか ―習得・活用・探究―」     小林宏己(早稲田大学教授)
■ 新学習指導要領の主旨 ―学習指導に関して―
 1 習得・活用・探究の関係
 (1)習得型の教育と探究型の教育
   ・ 対立的あるいは二者択一的にとらえないこと。バランスが大切
 (2)「知識・技能の習得」と「考える力の育成」との関係を明確に
    1)基礎的・基本的な知識・技能を確実に「習得」させる。
    2)こうした理解・定着を基礎として,知識・技能を実際に「活用」する力の育成を。
    3)この活用する力を基礎として,実際に課題を「探究」する活動を行うことで自ら学び考え    る力を高める。
    4)これらは決して一つの方向に進むのではなく,相互に関連しあって力を伸ばしていくもの。
   *習得と探究は本来相互補完的な関係であり,活用というプロセスの中に内在しあう。
 2 総則の改訂
 (1)知識・理解を活用して課題を解決するための思考力,判断力,表現力等の育成
 (2)言語活動の充実
 (3)学習習慣の確立
 (4)伝統や文化の継承・発展,公共の精神の尊重を道徳教育の目標に追加
 (5)食育の推進,安全に関する指導の追加
  その他,章立ての中に「第4章外国語活動」「第5章総合的な学習の時間」を新設
   *学校経営に反映…言葉だけで終わらぬよう,やればよいで終わらないよう
   *各教科の改訂内容もきちんと理解しておく。
■ 授業,学習指導の現実が陥りやすい問題点
 1 「流行」語を型にはめ,授業をパターン化する。
 (1)「指導はいけない,支援こそが大事」
   ・ 支援と放任が峻別されていない。指導すべきは指導,支援すべきは支援
 (2)「体験・活動を重視しなければならない」→「ねらい」との関係から考えるべき
   ・ 作業主義…とにかく何かやればいいのだろう→何かさせておけばとりあえず安心
   ・ 効率主義…時間がかかってめんどうだ→やりたくない,さっさと済ませよう
   ・ 結果主義…きちんときれいに仕上げなさい→個に応じているか
 (3)「やはり基礎・基本の徹底が必要なのだ」
   ・ スキル,ドリル学習がルーチンワーク(やらせ仕事)に。ストップウオッチ片手の教師
 (4)「これからは教えて考えさせる教育だ」
   ・「教える」と「考えさせる」を分断させる誤解。両者は一体のもの
 2 子どもの思い,考えが後回しにされる
   ・教師の都合が優先されていないか…「教科書をしまいなさい」そこから先の授業をどうつく    るか?
   ・子ども一人ひとりの経験,意欲,つまづきなどをとらえようとしているか?個を見取る
■ 教師が子どもとともにつくる授業
  学びが成立するとき,そこでは必ず何かが「活用」されている
 1 子どもが問いの前に平等になれる授業→スタートラインがみんな同じ
   例:「バスには鏡がいくつありますか?」→教師は答を知っている。
     生活経験に根ざす予想…誰もが答えをもてる
 2 教師も子どもとともに,問いの前に平等になれる授業→教師も答を知らない。
   例:「大仏の開眼式に農民は参加できたのかな?」
     杞憂知識に照らして,子どもはもちろん教師も考えこむ。ともに追究する。
  *工夫のしどころを教師は押さえておく。指導のねらいから「こういうふうにさせたい」
 
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◇「教えて考えさせる授業」のあり方 ―定着・進化・活用をどう促すか―
                 市川伸一(東京大学大学院教授:中教審臨時委員)
1 「新しい時代の義務教育を創造する」〈2005中教審答申〉…学力低下論を超えて
  ・ 学校力,教師力の強化により,人間力を育成
    国による基盤整備(インプット):学習指導要領→分権改革(プロセス):人事,学級編制→国   による結果検証(アウトカム):全国的学力調査
2 「習得」と「探究」の学習
(1)学習の2サイクルモデル
  ・ 習得サイクル→目標とする知識・技能の獲得
  ・ 探究サイクル→自らの関心に沿った探究活動
(2)中教審答申
  ・ 習得型の教育→基礎的な知識・技能の育成
  ・ 探究型の教育→自ら学び自ら考える力の育成
3 基礎学力はどう保証するのか
  少ない授業時間の中で,どの子にも基礎学力をつけるには
(1)教えて考えさせる授業
(2)家庭学習を含めた学習スキルの育成
   学習法講座…予習と復習の習慣と方法
(3)授業外の学習支援システムの充実
   学習相談室の設置  自治体による補充・発展学習機関の設置
4 「教えて考えさせる授業」の提案
(1)「教えて考えさせる授業」
  ・「詰め込み」「教え込み」→旧タイプのわからない授業
  ・「教えずに考えさせる授業」→新タイプのわからない授業
    〈授業の流れ〉 問題提示→自力(共同)解決→確認(まとめ)→ドリルまたは発展
  ・「教えて考えさせる授業」→予備知識の教授により,理解・問題解決・定着を促す。
    〈授業の流れ〉教師からの説明→理解確認課題→理解深化課題→自己評価活動
(2)中教審答申
   「・・・・・・教えて考えさせる指導を徹底し,基礎的・基本的な知識・技能の習得をはかる  ことが重要なことは言うまでもない」→教材・教具の工夫,理解度の把握
5 「教えずに考えさせる授業」の問題点
(1)問題解決学習を目指しているのに,問題解決学習にならない。
  ・ 先取り学習をしている子,すぐに答えがわかった子にとって,非常に退屈
  ・ 学力の低い子は自力解決できず,討論にもついて行けない。
(2)基本的事項すら理解できない子どもを大量に生み出す。
  ・ 教師がていねいに説明する時間がなくなる。
6「教えて考えさせる授業」への誤解
(1)問題解決学習を否定するのか
(2)「教える」が習得で,「考えさせる」が探究なのか
(3)教えて考えさせれば,この授業になるのか
  *重要なポイント
  ・ 「教えて考えさせる授業」は習得サイクルの授業の基本→教えた後には理解確認課題をてい    ねいに →説明活動,教え合い,小テストなど→教えた後の理解度チェック
  ・ 問題解決や討論は基礎知識を共有してから
  ・ 授業後に内省,質問を促す工夫
  ・ やがて最初の「教える」の部分を予習活動に移行させる。
7「教えて考えさせる授業」がうまくいかないとき
(1)「教える」ところで十分教えない
  ・「教える」ことへのためらい/「教える」工夫や技術の不足
  ・ ていねいにわかりやすく教える工夫とは→対話的な説明,教材や教具の工夫,参加的態度
(2)「考えさせる」課題に魅力がない
  ・ 迷いや多様なアイデアを誘発しない単調な課題
  ・ 既有知識からの距離が近すぎる,または遠すぎる課題
(3)理解度のモニターが不十分
  ・ 診断的質問,説明的活動,教え合い活動で反応をモニター 
8 「教えて考えさせる授業」を評価する視点
(1)基礎的知識・技能の「定着」
(2)理解の深化/応用・発展のレベル
(3)学ぶ意欲/興味・関心の高まり
☆★☆★ コメント ☆★☆★
 いつもながら的確なまとめには感心させられます。島原先生、ありがとうございました。

 
 MM紹介
(1)◇ 奈良県教育委員会メールマガジン ◇ 平成20年8月15日(金)≪ 第 127 号 ≫
【 巻 頭 言 】
 ○ どうなる「躾」は (学校支援課長 植田康徳)
 先日テレビを見ていると、ジャッキー・チェンがテレビのインタビューに答えていた。
 その中で彼は「自分たちは我慢することを知っていたが、近頃の子どもは我慢することを知らない。」というようなことを言っていた。私も同じようなことを感じていたので、日本だけではなく、中国でもそうなのかと思ったものである。
 近頃青少年の犯罪、それも凶悪な犯罪が目につく。自分の意に沿わない、思い通りにならないと簡単に「切れる」、人を傷つける、挙げ句の果てには親までも殺害してしまう。これはいったいどういうことなのだろう。
 生きていく上では意に沿わないこと、思い通りにならないことばかりである。あるいは他人から蔑まれ、罵られるようなこともあるかもしれない。しかし、よほどのことがない限り人を傷つけるようなことはない、いや、なかったと思う。それが最近は、簡単に他人の命までも奪ってしまう。そのハードルが昔に比べてずいぶん低くなってしまったように思う。我慢するということがなくなったからか。刹那的な生き方ばかりするようになったからか。
 そんなことを考えていると、昔、高校の入学説明会で教頭先生が言われたことを思い出した。「学校では勉強は責任をもって教えるが、躾は家庭でお願いします。」と。その通りだとは思うが・・・・・☆★☆ コメント ☆★☆
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(2)ワールド・ニューズ・メール The World News Mail@2008.8.15 No.909
[1]海外便り  ○次期五輪は市民感覚で(英国)
○次期五輪は市民感覚で(英国)
 次期オリンピック開催都市ロンドンでは8日、多くの市民がトラファルガー広場など市内3カ所に設置された大きな街頭スクリーンを通じて北京オリンピックの壮大な開幕式を見た。同時中継を見終わって、「少々チャレンジだけど、ロンドンは北京に負けないわ。もっと良くできるかもしれない」という声が聞こえるなど、ロンドン五輪に懸ける意気込みは市民の間で徐々に盛り上がっている。
 24日の閉幕式で行われる五輪旗引き継ぎ式の模様は英国全土の主要都市の30カ所で街頭スクリーンに映し出されるほか、ロンドン市内で4万人が集まった祝賀ライブコンサートを開くことになっている。
 しかし、ロンドン五輪の主催者たちは、北京での開幕式のような国家規模による壮観な見世物を四年後のロンドンで繰り返すつもりはないようだ。予算の制限があるし、マスゲームのための人員も中国のように軍隊から何万人も簡単に動員できるわけではなく、あくまでも市民のボランティア頼りであるからだ。もっと慎ましやかな開幕式がふさわしいと思っている。
 ロンドン五輪組織委員会のデイントン会長は四年後には「インスピレーションに富んだショー」を見せたいと述べているが、多人種多文化が共存するコスモポリタン都市で開かれる次回オリンピックは市民感覚の身近な祭典になると期待したい。国威発揚のオリンピックはもう北京で終わりにしてもらいたいものだ。(G)
☆★☆ コメント ☆★☆
 意見はいろいろとあってよい。開閉会式に対する見方もいろいろあってよい。いろいろな国の人の見方を聞きながら、自分はどう思うかを考えることができればさらによい。
 しかし、偏った情報しか流さないこと、思ったことを自由に表現できないことは問題だ。中国も、かつてに比べればずいぶんよくはなってきているが…。
 
(3)【英字新聞】  2008_09_03  発行部数 112,644部
.. Japan PM to Resign
.. Japan's Prime Minister Yasuo Fukuda made a surprise announcement Monday evening that he will resign over a political deadlock, only eleven months after he took office.
.. 対訳
.. 「日本の首相が辞任へ」
.. 日本の福田康夫首相は月曜夜、政策の行き詰まりを理由に、突然の辞意を表明した。就任からわずか11ヶ月である。
.. チェック!
.. ・resign  辞任する
.. ・political deadlock 政策の行き詰まり
.. ・take office  就任する、政権をとる
.. 訳出のポイント
.. make a announcement は 「発表をする」 という言い方。
.. これに surprise 「驚きの」 「突然の」 という形容詞を加えた
make a surprise announcement で 「突然の発表を行う」 「突然発表する」になります。
.. deadlock は 「行き詰まり」 「こう着状態」 を指す名詞。
.. political deadlock で 「政治的な行き詰まり」 「政策の行き詰まり」 の意味になっています。
.. resign 「辞任する」 は、英字新聞でも頻出の重要単語。
.. resign over 〜 だと 「 〜 をめぐって辞任する」 「 〜 で辞任する」 と辞任の理由を説明する言い方になります。
.. また、同じ 「辞任する」 の意味では、step down という句動詞もよく使われるので、併せて確認しておきましょう。
.. take office は直訳すると 「オフィス(事務所)を引き継ぐ」 ですが、この場合の office は、官職、とくに大統領職や首相職など重要な職務を意味します。
.. したがって、take office で 「就任する」 という表現になり、文脈によっては、日本語の 「政権に就く」 「政権を握る」 にあたる言い方として訳されます。


  問い合わせは 土井謙次  syaraku@tcp-ip.or.jp