(1) よみうり教育メール 発行日:2009.03.02(vol.2127)
=相談コーナー=
小4の息子が5歳の時、アスペルガーの傾向があると診断されました。知能には遅れがないと言われました。ゲームなど好きなことには集中しますが、気分が乗らなかったり、不得意なことだったりすると、授業中、机に伏せてしまうこともあるようです。
漢字が特に苦手で、得意だった算数もつまずきがみられます。今後のことも考え補習塾に通わせたいと思っています。本人が納得していないと身につかないと思います。自信を持たせ、やる気にさせる塾選びの助言をお願いします。 ────茨城、パート女性 30代
【回答】 中央大教授、児童精神科医 上林 靖子
学年が上がるとともに苦手なことが目についてきたようですが、授業中、机に伏しているお子さんの気持ちを考えてみましょう。「ボクにはできないよ」というつぶやきが聞こえそうです。「だれも助けてくれない」というあきらめか怒りかも知れません。希望に満ちた学校生活を取り戻せるように支えたいというお母さんの願いを強く感じます。
補習塾は確かに一つの選択肢でしょう。これからの学習支援を組み立てるために、お子さんの現在の状態を明確にすることが必要です。「アスペルガーの傾向」は診断用語ではありませんが、アスペルガー症候群の診断基準を満たすほどでないいくつかの項目が当てはまるか、軽い症状がある時に使われます。専門的には特定不能の広汎性発達障害という診断カテゴリーがあてはまります。主治医の先生に確認して下さい。
検査は、発達障害のある子供の診断や相談にあたっている機関で受けられます。広汎性発達障害にはよくある発達のばらつきに気づかれず、困難が見過ごされていることが多いからです。学習の到達点、得意領域、苦手領域、興味や関心など教育的評価のほか、知能検査(WISC―3)、社会的能力(対人関係やコミュニケーションの特徴)、視知覚発達、その他学習しにくさの背景となる問題を総合的に評価します。
これらの結果を生かして、塾の指導者といっしょにお子さんの学習の目標や教え方を組み立てましょう。塾を選ぶには、一人一人の子供の違いを大切にし、それぞれのとらえ方を尊重する、そのために課題を調整し、柔軟に指導できる先生が理想です。基本は個別指導の教室になるでしょう。「ここの勉強はおもしろい」「ボクはできる」と楽しみにするようになるはずです。お子さんの取り組みを認め、一緒に喜んでいるお母さんがいらっしゃれば十分です。
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なるほどという回答である。「一人一人の子供の違いを大切にし、それぞれのとらえ方を尊重する」は、学校でも、本来どの子にも大切なことであるが、現実には難しい。個別指導教室のノウハウを学びながら、一斉指導でできる技術を増やしていくことがポイントになろう。
(2)安岡正篤一日一言 〜心に響く366の寸言〜 http://www.chichi-yasuoka.com/
■今日の言葉
【「知」と「行」】
「知は行の始めなり。行は知の成るなり」という王陽明の説明がある。
「知」というものは行ないの始めである。「行」というものは「知」の完成である。
これが一つの大きな循環関係をなすものである。知から始まるとすれば、行は知の完成、そしてこれは行の始めが知だから、知というものは循環するわけです。
本当に知れば知るほどそれは立派な行ないになってくる。知が深くなれば行ないがまた尊くなる。
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安岡正篤は陽明学者であり、王陽明をどう語るのかは興味があった。中でも、今回はその根本原理「知行合一」すなわち「知は行の始めなり。行は知の成るなり」の説明である。ただ、あまりにも短く、コメントできないが、本当にわかっている人が、基本原理をどう説明するかはどの分野であれ興味深い。
実は、総合的な学習、さらに言えば、「生きる力」、もっと言えば「教育」そのものが「知行合一」であるべきと言えないか。「行」のない「知」は空論であり、「知」のない「行」は空虚だ。
(3)知らなきゃ損する!面白法律講座 2009年 3月 9日 第474号 法律クイズ 第148回 【問題】「日本の法律の数はいくつ?」
憲法、民法、刑法、商法・・・ひとくちに法律といっても、色々な法律が制定されています。果たして、2008年12月現在、日本にはどれくらいの数の法律があるのでしょうか?
1. 約200 2. 約2000 3. 約20000
□解答□
2. 約2000
総務省行政管理局が整備している、平成20年12月5日現在の法令データ(平成20年12月5日までの官報掲載法令)によれば、憲法・法律の総数は、「1,788」です。 意外と少なかったでしょうか?
ちなみに、法律以下の政令・勅令は「1,928」、府令・省令は「3,593」なので、それらをすべて合わせると、合計は「7,309」になるそうです。
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これは公民で即使えるネタだ。
(4)メールマガジン「授業成立プロジェクト(JSP)」第174号 2009年3月4日発行
1 若手教師の悩み(その16) 福岡・北九州市立貴船小学校 田中 聖吾
教師になって5年目になりました。今年度は、もち上がりの6年生を担任しています。教師経験5年間中、今回で3度目の6年生担任ということもあり、少しずつ見通しをもって授業、学級経営ができるようになってきたと感じています。
今回、相談させていただきたい悩みは、授業のふりかえりについてです。
今年度が始まった時「今年は子ども自身がふりかえりをしっかりと行うことで、よりよく成長していってほしい」という願いもあり、学級目標も「自分をふりかえり、すばらしい成長をしていこう」としました。
しかし、授業になると、組み立ての拙さからふりかえりの時間がとれないことが度々あります。
また、時間をとって子ども達にふりかえりを書かせても「○○が楽しかった」「△△しておもしろかった」というような活動の感想が多く、教師のねらっている知識・技能などが本当に身に付いているのか不安になってしまいます。
( 中 略 )
このようなふりかえりの捉え方をどう思われますか。また、自分の授業ではノートにふりかえりを書いて発表するという方法をよくもちいるのですが、他にはどのような方法があるのでしょうか。
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2 悩みにお答えします 横浜市立中沢小学校(初任研担当)教諭 野中 信行
最近、担任を持つための学級づくりでの必要条件は何かと言われたら、「覚悟、ビジョン、方法」という3つをあげることにしています。
「覚悟」とは、担任が学級づくりにどの程度の決意を持って臨んでいるかを指し示す指標です。「腹をくくって」学級づくりに臨んでいるかどうかです。「ビジョン」とは、「こんなクラスにしたい」という目標です。
とてつもない目標ではなく、目の前の子供たちを意識したものです。「方法」とは、そのビジョンを現実化していくための方法です。現実化するには、2つの条件が必要です。1つは、子供たちを、その気にさせること。
2つ目は、ビジョンを具体化していくための手立てをきちんと持っていること。
田中先生は、学級づくりのビジョンとして、「子供自身がふりかえりをしっかり行うことで、よりよく成長していってほしい」という願いのもとに、学級目標を「自分をふりかえり、すばらしい成長をしていこう」としています。クラスの子供たちの実態をどの程度踏まえて、この目標が出てきたのかが分かりませんが、とてもすっきりしていて、適切な学級目標だと思います。
問題は、方法です。書かれているクラスの実情から察すると、子供たちがその気になっていないと思われました。具体的な授業や活動の中で、この学級目標を活かしていこうという気持ちが薄いのです。「先生が、振り返りをしますというから、何か書いておこうかな」という感じです。こんな時には、決まって「おもしろかった」「楽しかった」という決まり文句が出てきます。ほんとうの振り返りは、もっと具体的に出てくるはずですから。
そこで、方法の第2「具体的な手立て」が問われてくると思います。田中先生は、現在の手立てを2つ挙げられています。1つは、1時間のねらいの明確化、2つ目は、スピーチ形式の発表です。この2つの手立てで、全体の子供たちの底上げができるのかどうか、そこが問題ですね。
私は、「振り返り」を学級目標として取り上げたことがありません。また、授業の中で、活動の中で、とりわけ意識して取り組んだことがありません。(振り返りは、必要だと思うところでは確かに使っておりましたが、田中先生のように強く意識して使いませんでした)だから、田中先生に、これ以上の具体的な指摘をしてあげることはできません。
「振り返り」とは、何でしょう。なぜ、「振り返り」は、必要なのでしょう。その「振り返り」が、目の前の子供たちに、いま、どうしても必要なわけとは何でしょう。
そのような問いかけを田中先生にしてほしいと思います。このような問いかけが、いま最も必要なことです。
もう少し具体的に考えたことを書いておきます。
(1)「振り返り」がなぜ必要なのか。このように問いたいのは、えてして「振り返り」そのものが目的化されていく恐れがあるためです。「振り返り」のために、「振り返り」をさせていくのです。こうならないためには、いま行おうとしている「振り返り」が、子供たち一人一人の成長のために、ほんとうに有効なものとして機能しているのか、それをきちんと点検するシステムを持っておくことです。
(2)「振り返り」は、全ての教科・活動でいつも必要なものか。また、「振り返り」は、すべて言葉(文)として記述されていくものかどうか。道徳、総合、生活科では、「振り返り」は重視されています。体育では、カードで自己評価をさせていく場合があります。学習のめあてに対して振り返り、次の学習へつなげていくためです。
自己評価というのが、「振り返り」ということではないか。また、縄跳びなどできちんと今日の記録を書いて、次の目標を持つようにするのも、「振り返り」ではないか。こういう疑問も出てきます。
このように考えていくと、自分の今までの実践でこういう問いを一度も立てたことがないことに恥じ入ります。
田中先生のこれからの活躍を期待しています。
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さすが野中先生。ナイスアドバイスである。「振り返り」のための「振り返り」では意味がないことを明確にしてきた。振り返りは、目的達成のための手段の一つであることを意識したい。
(5) 常識ぽてち【やや日刊】 ♪2009-02-23(第1232号)
■雲の種類は10種類だけ
今日は関東地方はあいにくの雨。何気なく空を見上げるとそこにはどんよりと雲があります。今日はその「雲」のハナシ。
空気中には水蒸気が含まれていますが、水蒸気は肉眼では見えないくらい小さく、水よりももっと小さい粒でできているものです。水蒸気は気温が高いと空気の中に多く含むことができ、気温が下がると空気の中に含むことのできる水蒸気の割合が減ってきます。
水蒸気を含む暖かい空気が上昇気流などで上空に押し上げられ、上空で冷やされると、水蒸気が飽和状態になり、近くにある塵などを核として取り込み、水になります。氷点下では氷になります。この水や氷の粒が集まったものが雲です。雲の種類は国際的に10種類と決まっていて、自分で勝手に名前を付けることはできません。これを「10種雲形」といいます。
雲は発生する高さで上層雲(高層雲)、中層雲、下層雲(低層雲)の3つに分けられます。
◆上層雲(高層雲)上空5000メートルから13000メートル
「巻雲(すじ雲)」「巻積雲(うろこ雲)」「巻層雲(うす雲)」の3種類。
上空にあるためほとんど氷の粒でできています。巻雲はいわゆるすじ雲、巻積雲は小石を敷き詰めたように見えるうろこ雲、巻層雲は空一面を薄く覆うように広がっている雲です。
◆中層雲 上空2000メートルから7000メートル
「高積雲(ヒツジ雲)」「高層雲(おぼろ雲)」「乱層雲(雨雲・雪雲)」の3種類。
高積雲は綿のように大きなかたまりになってぽっかり浮かぶように漂う雲です。「高層雲」なのにくくりは「中層雲」?これがわかりにくい。乱層雲は全天に暗く広がる雲で、いわゆる雨雲がこれです。
◆下層雲(低層雲)2000メートル以下
「層積雲(うね雲)」「層雲(きり雲)」「積雲(わた雲)」「積乱雲(雷雲)」
層積雲は低い空によく現れる曇り雲。層雲は最も低く現れる霧のように見え、低い山を覆ってしまう雲です。積雲と積乱雲は地上付近から上昇気流によって13000メートルまで縦に伸びる雲です。モクモクと成長する過程のものが積雲。積乱雲はその成長が止まり頂上が広がっている雲です。夏によく発生し、夕立や雹(ひょう)を降らせる雲でもあります。
◆番外編
国際的には種類として認められていない雲。
「地震雲」
地震の元となる断層の変動による地磁気の影響でできるとされる雲。一本のチューブ状の雲ですが、時間がたっても流れないで同じところにとどまるのが特徴です。実際に地震に関係あるかどうかの本当のところは未だわかっていません。
「飛行機雲」
飛行機のエンジンの排気に含まれる水蒸気が急激に冷やされて雲状になったものが飛行機雲です。そのほかにも急旋回をしたときなど、翼にかかる圧力に違いで飛行機雲を発生することがありますがこれは稀で、ほとんどが排気ガスによるものです。