第317回 社楽の会報告    第316回へ     第318回へ   TOPへ
                                                             
報告者  土 井
 2009年11月26日(木)布袋北学習等供用施設にて社楽の会を開催しました。参加者(勤務校)を紹介しましす。
参加者は、土井(江南市教委)、高橋先生(曽野小)、奥村先生(岩南小)、早川先生(藤里小)、尾関先生(岩倉市教委)、小山先生(藤里小)、大野先生(犬山中)、大島先生、柴田先生(草井小)の計9名でした。
 
 以下は、土井が文書提案したものです。番号をクリックしてください。

  犬山市立楽田小学校・岩倉市立曽野小学校研究発表会参観
 岐阜市立東長良中学校全校研究会参観
  国際成人力調査(PIAAC)
  「坂の上の雲」関連サイト特集
  役立ちWeb特集  
  教育関連情報    
  MM紹介

 犬山市立楽田小学校・岩倉市立曽野小学校研究発表会参観
 口頭で紹介します。
 
 岐阜市立東長良中学校全校研究会参観
 ブログ「あなたも社楽人」で紹介しています。
   
 3年3組の全校研究会にすべての先生が集まりましたが、なんと生徒も授業を見ながらメモを取っています。しかも、他の学級では、先生がいないのに、授業が進行しています。これは何?
 彼らは、各学級の学習委員と国語係なのです。3年3組の授業を見ながら、レポートをまとめているのです。レポートを見せてもらいました。

 ○ 3年3組の姿から見つけたよさ
 ● 3年3組の「もっとできる」ところ
 ◎ これからの自分たちの学級に生かしていきたいところ 見つめたいところ

 発想がすごい!
 生徒が、学校の学びを創っているのです。

 国際成人力調査(PIAAC)
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/data/Others/1287165.htm 
  ※PIAAC:Programme for the International Assessment of Adult Competencies
 
 国際成人力調査(PIAAC=ピアック)は、OECDが実施する「成人の必要不可欠で普遍的な能力」を測定することを目的とした世界初の国際比較調査です。
 16歳から65歳を対象として、「読解力」、「数学力」、「ITを活用した問題解決能力」及び調査対象者の学歴、職歴などについて調査します。その調査結果は、成人の能力と教育・職業訓練との関係などを分析し、生涯学習や学校教育に関する施策の立案に活用されることが期待されています。
国際成人力調査(PIAAC)の主な目的は次の4点です。
 
?今日の社会で求められる力(知識やスキルだけではなく、動機や行動の特性を含む人の力。コンピテンシー。)を特定し、その力を各国の成人がどの程度有しているかについてのデータを収集すること
?個人の力が、本人の社会的成功にどの程度関係するか、また、国の経済的な成長など、社会全体としてどのような成果を生むかを検証すること
?現在の教育訓練の制度が、社会が求める力を身につける上でどの程度の効果をあげているのか検証すること
?今日の社会が求める力を向上させるには、どのような政策手段が有効であるかを明確にすること なお、スケジュールとしては、平成22年4月〜6月に予備調査を実施、平成23年から本調査を実施する予定です。
 日本のほか、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、韓国、オーストラリア、カナダ、フィンランドを含む25カ国がこの調査に参加しています。。
 
 「坂の上の雲」関連サイト特集 
 ○ 坂の上の雲ミュージアム
 司馬作品のメッセージに耳をかたむけると同時に、過去から現在、未来に至る時の流れについてそれぞれの立場から思索を深める場としての機能をはたすことが期待されているそうです。
 松山市一番町三丁目20番地 TEL:089-915-2600   http://www.sakanouenokumomuseum.jp/  
 
○  司馬遼太郎記念館
 司馬遼太郎記念館・司馬遼太郎・司馬遼太郎記念財団の公式サイト http://www.shibazaidan.or.jp/ 
 
○ NHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」
 小説『坂の上の雲』を原作とした、スペシャルドラマ『坂の上の雲』を2009年から3年にわたって放送します。   http://www.nhk.or.jp/matsuyama/sakanoue/ 
 
○ 子規記念博物館
 正岡子規の世界をとおして、より多くの人びとが松山にしたしみ、松山の伝統文化や文学についての認識と理解をふかめ、あたらしい文化の創造に役立てることを目的として開設された文学系の博物館です。http://www.city.matsuyama.ehime.jp/sikihaku/ 
 
○ 秋山兄弟生誕地
財団法人 常盤同郷会 公式ホームページ。   http://www.akiyama-kyodai.gr.jp/ 
 
○ 坂の上の雲マニアックス 〜ドラマ「坂の上の雲」ファンサイト〜
小説「坂の上の雲」とNHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」のファンサイト。秋山真之、秋山好古、正岡子規を始めとする登場人物の評伝、経歴、写真、逸話や、ドラマの概要、あらすじ、キャスト、ロケ情報など。ドラマ公式ガイドブック掲載サイトです。
  http://www.sakanouenokumo.jp/ 
 
○ 春や昔 〜「坂の上の雲」のファンサイト〜
司馬遼太郎の名作「坂の上の雲」の専門サイト。主人公の秋山好古、秋山真之、正岡子規の情報だけでなく、その他の登場人物やゆかりの地、関連資料やエピソードなどあらゆる「坂の上の雲」情報を網羅している日本最大級のサイトです。
    http://sakanouenokumo.hp.infoseek.co.jp/
 
○ Z旗 〜秋山真之が見た「坂の上の雲」〜村上水軍と明治海軍のサイト。日本の古代から近代までの海戦史の他、小説「坂の上の雲」の主人公秋山真之海軍中将に焦点を当て、戦国村上水軍の兵法や明治海軍の海戦、戦術を記します。 http://www.z-flag.jp/ 

☆★☆★ コメント ☆★☆★
 「坂の上の雲」は確かに名作であり、日露戦争の見方を司馬遼太郎が印象づけた感が強い。
 しかし、あくまでも小説であり、史実の一部を切り取って脚色してあることを、特に社会科教師は留意しなければならない。
  重ねて言うが、「坂の上の雲」は小説であり、歴史書ではない。それをふまえてドラマを楽しもう!

 役立ちWeb特集 
(1)「新型インフルエンザの影響による国内修学旅行の中止又は延期の状況等に関する調査」について
「実施」 7,858校 (97.2%)
「延期(再実施済みを含む)」 167校 ( 2.1%)
「取り止め後の扱いを検討中」 6校 ( 0.1%)
「中止を決定」 53校 ( 0.7%)
 意外と延期が少ないことがわかります。「中止」はかわいそうな気がしますが、どうフォローしたのでしょうか?
 
(2)古知野高・丸内さん販売士2級に合格 管理者レベルの難関突破(愛知)
 県立古知野高校(江南市)商業科3年の丸内あかねさん(17)が、日本商工会議所
の販売士2級検定に合格した。販売士2級は、売り場の管理者レベルに相当する検定で、
高校生には難関だ。
 
(3)独立行政法人国立特別支援教育総合研究所メールマガジン        
 
(4)鈴木副大臣会見録(11月19日) 新聞記事よりおもしろい!
・鈴木副大臣会見録(11月12日)
 
(5)小学生のインターネット利用は、6年生で約9割
小学生のインターネットの利用は一般化し、6年生では約9割が利用。また、家族がきっかけとなってインターネットを利用した小学生は約5.5割。7割の家庭はインターネット利用の際にルールを設置し、ルールの1位は接続時間、2位は接続条件。

(6)「高校無償化」の具体的中身は   http://benesse.jp/blog/20091125/p305.html   
 ニュースや新聞で報道されている「高校無償化」。2010(平成22)年度から高校は小・中学校と同様に、授業料が無償となることが、ほぼ確実となったようですが、具体的にはどのような制度になるのでしょうか。ジャーナリストの斎藤さんが現状と見通しをお知らせします!
 


6  教育関連情報
(1)初中教育ニュース(初等中等教育局メールマガジン)第127号
□【トピック】 平成22年度初等中等教育局予算の概算要求について  〔初等中等教育局財務課〕
【1:概要】
 文部科学省では、平成22年度概算要求として一般会計予算では、対前年度4,745億円増の5兆7,562億円を計上しています。
 このうち、初等中等教育局関係予算については、
(1)マニフェスト工程表関係事項(高校の実質無償化)
(2)初等中等教育の充実
として、対前年度4,522億円増の2兆2,519億円を計上しています。
 
【2:各事項の内容】
 各事項の概算要求の主な内容は以下のとおりです。
(1)「マニフェスト工程表関係事項(高校の実質無償化)」について
○高等学校等就学支援金 4,501億円
 国公立高校の生徒がいる世帯に対し、授業料相当額を助成して実質的に授業料を無料にするとともに、私立高校の生徒等がいる世帯に対しても同等額を助成します。
※年額118,800円以内(低所得世帯に対しては237,600円以内)
 
○高校奨学金事業等の充実・改善 123億円
 高等学校等就学支援金の支給とともに、高校の実質無償化を図るため、各都道府県に対し、従来の奨学金に加えて入学時に必要な経費などを対象とする就学支援策(給付型奨学金等)を付加的に行うために必要な資金を交付します。
※対象者:収入350万円以下の世帯の生徒等 約45万人
※対象費目:入学料、教科書費
 
(2)「初等中等教育の充実」について
○義務教育費国庫負担金 1兆6,380億円
 確かな学力の育成を図る観点から、教員が子ども一人一人に向き合う環境をつくるため、5,500人の教職員定数の改善(理数教科の少人数指導や特別支援教育の充実など)を図ります。
○退職教員等人材活用事業−サポート先生の配置− 77億円
 教員が子ども一人一人に向き合う環境をつくるとともに、新学習指導要領の先行実施における理数教科の授業時数の増に対応するため、退職教員や経験豊かな社会人等の配置を拡充します。
※14,000人→19,500人(週12時間換算・新学習指導要領対応5,500人増)
○教員免許制度の抜本改革 3億円
 教員の養成課程を6年制(修士)とすることを含め、教員免許制度を抜本的に見直す検討に着手することとし、このために必要な調査等を行います。
○大学における教員の現職教育への支援等 4億円
 教員免許制度の抜本的な見直しの方向性が示されるまでの間、「山間地・離島などのへき地学校の教員」「少数教科・科目を担当する教員」「障害のある教員等に対する大学における教員の現職教育への支援」等を行います。
○スクールカウンセラー等活用事業 53億円
 児童生徒の臨床心理に関して高度に専門的な知識・経験を有するスクールカウンセラーの配置等を行います。小学校の配置校数を3,650校から10,000校配置可能となるよう拡充します。
○コミュニケーション教育の拠点充実 1億円
 学校教育におけるコミュニケーション教育の充実を図るために拠点校・拠点地域を指定し、実践的研究を実施し、その成果の普及を図ります。
 
○コミュニケーション教育拠点形成事業 1.2億円
 NPO法人や劇場等と連携・協力し、演劇などによるワークショップ型の授業や研究発表会を通して子どもたちのコミュニケーション能力の育成を図ります。
○身近な外国人等との交流による国際教育実践事業 0.2億円
 国際社会で地球的視野に立って主体的に行動できる人材を育成します。
○幼稚園就園奨励費補助金 209億円
 保護者の所得状況に応じた経済的負担の軽減等を図ることを目的として、就園奨励事業を実施している地方公共団体に対して、所要経費の一部を補助します。
 また、子ども手当の創設を踏まえ、低所得者への給付の重点化等を図る観点から、補助単価の在り方を抜本的に見直します。
※生活保護世帯 第1子補助単価153,500円→299,000円(実質保護者負担額 0円)
※第2子の保護者負担の軽減
 兄・姉が小学校1年生から小学校3年生の場合:0.9→0.6
(第1子の負担割合を1.0とした場合)
○全国的な学力調査の実施 36億円
 3年間の悉皆調査の成果を踏まえ、引き続き全国及び都道府県別の状況・課題の把握を継続するため、抽出調査(抽出率約40%)に切り替えて実施するとともに、抽出調査対象外でも設置者が希望すれば調査を利用することが出来るようにします。
 併せて、平成23年度以降の調査については、調査の在り方などについて速やかに検討していきます。
※調査対象:小学校第6学年、中学校第3学年
※対象教科:国語、算数・数学(生活習慣・学習環境等も調査)
○新型インフルエンザ対策の実施 1億円(一部、スポーツ・青少年局に計上)
 学校や教育委員会における新型インフルエンザ対策の具体的な方策について指導参考資料を作成・配付(60万部作成 幼稚園〜大学に対し各10部配付)するとともに、在外教育施設に対する安全対策マニュアル等の整備を行います。
 
○特別支援教育の推進 83億円
 発達障害を含む障害のある幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズに応じた適切な指導及び必要な支援を行うため、特別支援教育の体制整備を総合的に推進します。
 
○高等学校に通学する離島出身の生徒に対する寄宿舎等居住費 6億円
 中学校を卒業して高校に進学する者で、やむを得ず、自宅を離れて通学しなければならない者に対する居住費を自治体が負担をしている場合に、一定割合を国が補助します。
 
○外国語教育の充実 9億円
 小学校外国語活動の導入等新しい学習指導要領の実施に向けた条件整備を重点的に実施するとともに、外国語教育の低年齢化、授業時数増等に関する調査研究等の英語教育の充実に資する施策を総合的に推進します。
 
○外国人児童生徒教育の充実 3億円
 公立学校に在籍する外国人児童生徒数や日本語指導が必要な外国人児童生徒数の増加を踏まえ、外国語が使える支援員等の配置、効率的な指導を行うための標準的なガイドラインの作成など、外国人集住地域や散在地域における外国人児童生徒等の受入体制の整備等を推進します。
 
○学校運営支援事業の推進(コミュニティ・スクール等) 4億円
 学校の教育環境を改善し、教育の質の向上を図るため、保護者と学校の信頼関係を深め、教員が子どもと向き合う時間を確保し、教育に集中出来る環境を整備することを目的に、コミュニティ・スクール等の推進を図ります。
 なお、詳細については、文部科学省ホームページをご覧ください。
○平成22年度文部科学省 概算要求等の発表資料一覧(平成21年10月)
 ☆★☆★ コメント ☆★☆★
 これらはあくまでも概算要求です。たとえば、理科支援員、英語教育改革総合プランや、子どもの読書活動推進事業などが、あの‘仕分け’ですでに廃止されています。放課後子どもプランも…。
 
(2)教員採用試験下がる倍率
 高い競争倍率が続いていた公立学校教員採用試験。団塊世代の大量退職に伴い、この数年教員採用の数を大幅に増やしたことで、倍率は年々低下傾向にある。文部科学省のまとめによると、公立小中高教員採用試験の平均競争倍率は平成12年度の13.3倍をピークに下がり始め、20年度は半分以下の6.5倍に落ち込んだ。さらに21年度は6.1倍に下がると見込まれる。
☆★☆★ コメント ☆★☆★
 教育は人である。
 教育の質を上げるには、給料を増額して、倍率を高くし、よりよい採用制度を工夫して、優秀な教員を確保するに限る。
 しかし、実態は、給料は減額、クレーマーの増加や多忙化など、逆風を感じる。
 繰り返すが、教育は人である。
 
(3)学テ、市町村別結果を公開=生活習慣調査も−大阪府
 文部科学省が4月に実施した全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)で、大阪府教育委員会は16日、市町村別の平均正答率や、生活習慣などに関する調査結果を公開した。市町村別の生活習慣調査結果の公開は全国初という。学校別については昨年同様、非公開とした。
 対象は小学校や中学校が1校しかない町村を除き、小学校は42市町村、中学校は37市町村。             時事通信 「内外教育」メールマガジン 2009/11/19 第272号より
 
 
 MM紹介
(1) MM小学1921 本の紹介『教師のための時間術』長瀬拓也著

私が執筆した『教師のための時間術』が黎明書房より出版となりました。
この本は、私自身の今までの経験をもとに、「時間」の観点から授業や学級づくりを見つめ、まとめた本です。
現在、初任者を中心に、数年で教職を離れる先生が増えてきています。数年前は命をたってしまうなど、悲しい事件もありました。私自身も仕事に追われ、非常に苦しかった時期がありました。
原因は、子どもや保護者、そして職場での人間関係など様々ですが、それらの問題を大きくさせ、複雑化させているのは、多忙化ではないかと考えています。調査等を見ても、大きな原因の一つに多忙が挙げられています。そこで、多忙化を解決する視点から教師の仕事のあり方を再考することにしました。
この本では、より時間を効果的に使い、本来の仕事である「子どもとの関わり」に多くの時間をかけることを提起しています。つまり、仕事や時間に追い詰められるのではなく、子どもたちと協力して、時間や仕事を運用し、本来の目的である人格・学力の向上、成長といった教師の仕事の醍醐味に特化できることをめざしています。
また、そのためにはどうすればよいか、若い人が取り組める実践を紹介させていただきました。苦しんでいる若い先生が一人でも元気になるヒントになればと思っています。
 目次は以下のようになっています。
第1章 教師のための時間術 
第2章 時間術の三つの基本的な考え方 
第3章 時間は子どもと創る 
第4章 時間術で余裕を創る 
第5章 初任の先生へのメッセージ 
 
編集者より
共感しながら読みました。
「第1章 教師のための時間術」の項目です。
 夜遅くまで働くことに疑問をもとう   なぜ時間術が必要か    なぜ忙しいか 
 どこに時間をかけるか    多忙を嘆いても始まらない    つぶれないために 
 時間術は、まず子ども達のために  時間術は、学校のためにも 
 時間術は、自分自身の成長のためにも
 
「夜遅くまで働くことに疑問をもとう」という、当たり前のことが、とても新鮮に感じられるのはどうしてでしょう。みんなが感じているのに、口にしてはいけないのではと思っていることが、この本には書かれているような気がします。この本を読むと、自分の時間の使い方を振り返ることが出来ます。そして、紹介されている具体的な方法を試してみる気になります。この本をテキストに職員研修ができたらいいでしょうね。

☆★☆★ コメント ☆★☆★
 同感である。
 「夜遅くまで働くこと」=熱心な先生ではない。熱心な先生もいるかもしれないが、イコールではない。
 「夜遅くまで働くこと」=エネルギーを浪費し、仕事が遅く、要領が悪いのかもしれないと疑ってみることだ。

 
(2)メールマガジン「授業成立プロジェクト(JSP)」第212号2009年11月25日発行
1 若手教師の悩み(その22)  岡山県・小学校教諭・教師11年目
子どもとの距離の取り方について
 教師になって11年目だが、新卒時代から悩んでいることがある。それが「子どもとの距離の取り方」だ。
 おそらく私は子どもとの距離が「近い」のだと思う。よく言えば親しみやすいのだろうが、近すぎると馴れ合いの関係になってしまい、それがマイナスに働くことが多々ある。教師と子どもの間の緊張感が薄れ、バカにされたり、友達のように思われたりで、指導が入りにくくなる。特に男子
にその傾向が強い。
 たとえばやんちゃなMくん。休み時間は一緒に遊ぶことが多い。かわいいので、ついあれこれ世話をやいたり、からかったりしてしまう。そうなるとMくんのわがまま度が増してくる。きちんとはいていた靴下をはかないことが増えてきた。「靴下をはこうね」といっても「○○だからやだ」と何かしら言い訳をしてはこうとしない。結局Mくんを叱ることになってしまい、悪循環に陥ってしまう。結局、私の接し方が子どもをわがままにしたのではないかと思う。
 いろいろと自分なりに改善を試みている。まず、言葉づかいだ。授業中はきちんとした言葉で丁寧に話すようにしている。始めは子どもと距離ができるのではないかと心配したこともあったが、その方が子どももすんなり聞き入れることが多い。
 また、よくない言動に反応しすぎないように気を付けている。子どもと同じになって言い返したり、口やかましく言ったりしてしまうが、挑発にのるからさらに子どもは面白がってエスカレートすることが多い。火に油を注ぐようなものかもしれない。後で個別に話をすると、落ち着いて話ができる。子どもはその子なりの表現で教師に何かサインを送っているので、その思いを汲んで、大きく包み込んでやることで子どもは安心し、素直に自分を出せるような気がする。子どもの反応は教師の鏡だと思う。教師が丁寧に接すると子どもも丁寧になり、教師がからかうから子どももからかうのだなと思う。
 私は子どもに近い教師でいたいと思う。いくつになっても外で子どもたちと遊びたいし、子どもの思いを大事にしたい。子どもとの距離が近いことは決して悪いことではないと思う。もしかしたら、子どもとの間に「線」を引くことが今の自分に必要なのかもしれないと感じている。
 ほどよい距離感を保ちつつ、温かくて誠意をもった接し方をしていきたいと思う。
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2 悩みにお答えします   横浜市立子安小学校(初任者担当)教諭      野中 信行
 
 最近、「友達のような先生」(友達先生)をよく見かけるようになりました。
 楽しそうにじゃれ合っていて、とても賑やかに騒いでいます。横で眺めていると、どちらが先生なのか分からない感じがするときもあります。
 一見、先生と子供たちは、仲が良さそうで、ほほえましくも思います。こんな感じで1年間を過ごしていけたら、どんなに理想的だろうと思ったりもします。
 しかし、このような教室は、崩れていきます。
 スタートして1ヶ月ほど過ぎた頃から教室ががやがやと賑やかになります。2ヶ月も経つと、学級が崩れ始め、学習も成立しなくなります。あんなに担任と子供たちが仲良く、友達のように付き合っていたのにと不思議に思われる光景です。
 でも、崩れます。ここには、崩れるための「からくり」があります。
 友達のような先生になって、何でも気軽に話していけるということ。
 しかし、子供たちは、先生と気軽に話せることを第一に望んでいるわけではありません。ここを誤解するのです。子供は、毅然として教室が安全で、安心できる居場所にしてくれる教師を望んでいます。子供のことを真剣に考え、そして問題や悩みを抱えたときに、きちんと対処の方向を示してくれる、そんな先生を望んでいます。「この先生なら大丈夫」という安心感が生まれたとき、初めて子供は、教師を信頼します。
 気軽に話せることは、子供と教師の関係を保っていくためには大切なことですが、気軽さが、子供の信頼を生むのではありません。ここを誤解しないようにすることが、教師と子供との関係づくりでは極めて大切なことです。
 だから、教師と子供たちとの間には、毅然とした一線を確保しておくことは第一に考えなければいけないのです。私たちは、「縦糸を張る」という表現を使っています。
 私の37年間の教師生活の経験から言いますと、「厳しい先生」というのを決して子供たちは嫌っていないのです。それどころか、歓迎しています。子供は、厳しさと優しさの両面を兼ね備えた教師についていきます。時には「冗談を言っておもしろく」、時には「厳しく毅然として怖い感じ」の先生を子供たちは信頼します。
 今回相談されてる先生は言います。
「私は子供に近い教師でいたいと思う。いくつになっても外で子どもたちと遊びたいし、子どもの思いを大事にしたい。子どもとの距離が近いことは決して悪いことではないと思う。もしかしたら、子どもとの間に『線』を引くことが今の自分に必要なのかもしれないと感じている。ほどよい距離感を保ちつつ、温かくて誠意をもった接し方をしていきたいと思う」
 この先生の気持ちはよく分かります。
 しかし、私は、この言葉に教師としての「甘さ」を感じてしまいます。教師として第一に大切にしていくことは、「子どもの思いを大事にしたい」「温かくて誠意をもった接し方」ではありません。
 教室を安心できる居場所にし、子どもの成長をきちんと見つめ、成長の方向と方法を誰よりも的確に示していくこと。それが教師として第一にすべきことです。子供たちも、そのことを本当は望んでいます。ベクトルの方向を違えてはいけないのです。

☆★☆★ コメント ☆★☆★
 よくあることである。
 子どもが好きな若い先生の多くは、このような傾向にあるのではないか。
 これに対しては、野中先生の最後の4行は忘れてはいけない大切な言葉です。
 

  問い合わせは 土井謙次  syaraku@tcp-ip.or.jp