(1)初中教育ニュース(初等中等教育局メールマガジン)第127号
□【トピック】 平成22年度初等中等教育局予算の概算要求について 〔初等中等教育局財務課〕
【1:概要】
文部科学省では、平成22年度概算要求として一般会計予算では、対前年度4,745億円増の5兆7,562億円を計上しています。
このうち、初等中等教育局関係予算については、
(1)マニフェスト工程表関係事項(高校の実質無償化)
(2)初等中等教育の充実
として、対前年度4,522億円増の2兆2,519億円を計上しています。
【2:各事項の内容】
各事項の概算要求の主な内容は以下のとおりです。
(1)「マニフェスト工程表関係事項(高校の実質無償化)」について
○高等学校等就学支援金 4,501億円
国公立高校の生徒がいる世帯に対し、授業料相当額を助成して実質的に授業料を無料にするとともに、私立高校の生徒等がいる世帯に対しても同等額を助成します。
※年額118,800円以内(低所得世帯に対しては237,600円以内)
○高校奨学金事業等の充実・改善 123億円
高等学校等就学支援金の支給とともに、高校の実質無償化を図るため、各都道府県に対し、従来の奨学金に加えて入学時に必要な経費などを対象とする就学支援策(給付型奨学金等)を付加的に行うために必要な資金を交付します。
※対象者:収入350万円以下の世帯の生徒等 約45万人
※対象費目:入学料、教科書費
(2)「初等中等教育の充実」について
○義務教育費国庫負担金 1兆6,380億円
確かな学力の育成を図る観点から、教員が子ども一人一人に向き合う環境をつくるため、5,500人の教職員定数の改善(理数教科の少人数指導や特別支援教育の充実など)を図ります。
○退職教員等人材活用事業−サポート先生の配置− 77億円
教員が子ども一人一人に向き合う環境をつくるとともに、新学習指導要領の先行実施における理数教科の授業時数の増に対応するため、退職教員や経験豊かな社会人等の配置を拡充します。
※14,000人→19,500人(週12時間換算・新学習指導要領対応5,500人増)
○教員免許制度の抜本改革 3億円
教員の養成課程を6年制(修士)とすることを含め、教員免許制度を抜本的に見直す検討に着手することとし、このために必要な調査等を行います。
○大学における教員の現職教育への支援等 4億円
教員免許制度の抜本的な見直しの方向性が示されるまでの間、「山間地・離島などのへき地学校の教員」「少数教科・科目を担当する教員」「障害のある教員等に対する大学における教員の現職教育への支援」等を行います。
○スクールカウンセラー等活用事業 53億円
児童生徒の臨床心理に関して高度に専門的な知識・経験を有するスクールカウンセラーの配置等を行います。小学校の配置校数を3,650校から10,000校配置可能となるよう拡充します。
○コミュニケーション教育の拠点充実 1億円
学校教育におけるコミュニケーション教育の充実を図るために拠点校・拠点地域を指定し、実践的研究を実施し、その成果の普及を図ります。
○コミュニケーション教育拠点形成事業 1.2億円
NPO法人や劇場等と連携・協力し、演劇などによるワークショップ型の授業や研究発表会を通して子どもたちのコミュニケーション能力の育成を図ります。
○身近な外国人等との交流による国際教育実践事業 0.2億円
国際社会で地球的視野に立って主体的に行動できる人材を育成します。
○幼稚園就園奨励費補助金 209億円
保護者の所得状況に応じた経済的負担の軽減等を図ることを目的として、就園奨励事業を実施している地方公共団体に対して、所要経費の一部を補助します。
また、子ども手当の創設を踏まえ、低所得者への給付の重点化等を図る観点から、補助単価の在り方を抜本的に見直します。
※生活保護世帯 第1子補助単価153,500円→299,000円(実質保護者負担額 0円)
※第2子の保護者負担の軽減
兄・姉が小学校1年生から小学校3年生の場合:0.9→0.6
(第1子の負担割合を1.0とした場合)
○全国的な学力調査の実施 36億円
3年間の悉皆調査の成果を踏まえ、引き続き全国及び都道府県別の状況・課題の把握を継続するため、抽出調査(抽出率約40%)に切り替えて実施するとともに、抽出調査対象外でも設置者が希望すれば調査を利用することが出来るようにします。
併せて、平成23年度以降の調査については、調査の在り方などについて速やかに検討していきます。
※調査対象:小学校第6学年、中学校第3学年
※対象教科:国語、算数・数学(生活習慣・学習環境等も調査)
○新型インフルエンザ対策の実施 1億円(一部、スポーツ・青少年局に計上)
学校や教育委員会における新型インフルエンザ対策の具体的な方策について指導参考資料を作成・配付(60万部作成 幼稚園〜大学に対し各10部配付)するとともに、在外教育施設に対する安全対策マニュアル等の整備を行います。
○特別支援教育の推進 83億円
発達障害を含む障害のある幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズに応じた適切な指導及び必要な支援を行うため、特別支援教育の体制整備を総合的に推進します。
○高等学校に通学する離島出身の生徒に対する寄宿舎等居住費 6億円
中学校を卒業して高校に進学する者で、やむを得ず、自宅を離れて通学しなければならない者に対する居住費を自治体が負担をしている場合に、一定割合を国が補助します。
○外国語教育の充実 9億円
小学校外国語活動の導入等新しい学習指導要領の実施に向けた条件整備を重点的に実施するとともに、外国語教育の低年齢化、授業時数増等に関する調査研究等の英語教育の充実に資する施策を総合的に推進します。
○外国人児童生徒教育の充実 3億円
公立学校に在籍する外国人児童生徒数や日本語指導が必要な外国人児童生徒数の増加を踏まえ、外国語が使える支援員等の配置、効率的な指導を行うための標準的なガイドラインの作成など、外国人集住地域や散在地域における外国人児童生徒等の受入体制の整備等を推進します。
○学校運営支援事業の推進(コミュニティ・スクール等) 4億円
学校の教育環境を改善し、教育の質の向上を図るため、保護者と学校の信頼関係を深め、教員が子どもと向き合う時間を確保し、教育に集中出来る環境を整備することを目的に、コミュニティ・スクール等の推進を図ります。
なお、詳細については、文部科学省ホームページをご覧ください。
○平成22年度文部科学省 概算要求等の発表資料一覧(平成21年10月)
☆★☆★ コメント ☆★☆★
これらはあくまでも概算要求です。たとえば、理科支援員、英語教育改革総合プランや、子どもの読書活動推進事業などが、あの‘仕分け’ですでに廃止されています。放課後子どもプランも…。
(2)教員採用試験下がる倍率

高い競争倍率が続いていた公立学校教員採用試験。団塊世代の大量退職に伴い、この数年教員採用の数を大幅に増やしたことで、倍率は年々低下傾向にある。文部科学省のまとめによると、公立小中高教員採用試験の平均競争倍率は平成12年度の13.3倍をピークに下がり始め、20年度は半分以下の6.5倍に落ち込んだ。さらに21年度は6.1倍に下がると見込まれる。
☆★☆★ コメント ☆★☆★
教育は人である。
教育の質を上げるには、給料を増額して、倍率を高くし、よりよい採用制度を工夫して、優秀な教員を確保するに限る。
しかし、実態は、給料は減額、クレーマーの増加や多忙化など、逆風を感じる。
繰り返すが、教育は人である。
(3)学テ、市町村別結果を公開=生活習慣調査も−大阪府
文部科学省が4月に実施した全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)で、大阪府教育委員会は16日、市町村別の平均正答率や、生活習慣などに関する調査結果を公開した。市町村別の生活習慣調査結果の公開は全国初という。学校別については昨年同様、非公開とした。
対象は小学校や中学校が1校しかない町村を除き、小学校は42市町村、中学校は37市町村。 時事通信 「内外教育」メールマガジン 2009/11/19 第272号より