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報告者  土 井
 2010年1月7日(木)布袋北学習等供用施設にて社楽の会を開催しました。参加者(勤務校)を紹介しましす。
 参加者は、土井(江南市教委)、奥村先生(岩南小)、早川先生(藤里小)、尾関先生(岩倉市教委)、高木先生(犬南中)、大野先生(犬山中)、大島先生、柴田先生(草井小)、野口先生(城東中)、森本先生(古知野中)、小澤先生、山田先生(扶桑東小)、天野先生(江西中)、山田先生(犬北小)、馬場先生(宮田中)、大薮先生(犬南小)、木本先生(江北中)、鈴木先生(犬西小)、池邑さんの計19名でした。

 今回は、資料集部会の発表リハーサルがメインです。

 以下は、土井が文書提案したものです。番号をクリックしてください。

  江南市小中学校教員少経験者研修会
 梶田叡一先生の教育コラム
  書籍紹介
   ─「私の教材開発物語」─
  役立ちWeb特集  
  教育関連情報    
  MM紹介

 江南市小中学校教員少経験者研修会   

 12月24日に、古知野中学校で、テーマ「楽しくなきゃ授業じゃない!−子どもを動かす授業の技術−」
という模擬授業を行いました。
 全員が、集中した状態で、よく考え、よくわかる授業のための技術を、具体的に紹介しながら進めました。
 配付資料を紹介しました。

 梶田叡一先生の教育コラム
 「基礎学力を考える」連載4
    基礎学力「計算の力」をつける               ぶんけい web siteより

「道具的な力」としての「計算の力」
 当然のことながら、算数科は単に計算の力をつけるだけの教科ではありません。しかし、計算の力がつかない算数教育は無意味というべきでしょう。
 一時期、数量・図形への関心や意欲を育てるのが算数教育の中心課題であり、計算力などは、現代のように電卓やコンピュータの普及している時代においては、そうした便利な機器に委ねておけばいい、という主張や実践が盛んになされました。しかし、これは空論です。自分の頭の中で、あるいは自分の目の前の紙の上で、順序よく数的操作を積み重ねていくことによって初めてさまざまな計算についての具体な力となるのです。
 また、こうした計算の力が土台となって始めて、記号操作を用いた抽象的な論理的思考の力もついていくことになります。計算の力がしっかりついてこそ、算数の楽しさも得られるのです。
 算数の楽しさとは、何よりもまず、一つひとつきちんとした手順を踏んで、知的操作を積み重ねていくことです。そして、その結果、「解けた!」「正解だった!」という達成感がもたらされます。それが「私だって着実に頑張って取り組んでいけばできるんだ!」という有能感につながっていき、算数の学習に対する自信となっていくのです。
 
これからの算数授業のために
 これからの算数教育は、いたずらに新奇なものを求めて右往左往するのでなく、原点に立ち帰るべきでしょう。解かれるべき算数問題の系列をきちんと準備し、一つひとつの問題の解き方を教え、その解き方の背後にある仕組みと考え方を理解させ、確実かつ迅速にその種の問題が解けるよう練習させ、その種の問題解決を活用して解ける多様な応用問題に取り組ませていく、というオーソドックスな教育活動が原点になるはずです。
 そして、そうした授業の過程では「教え合う」とか「支え合う」といった協力協同的な事態は出来るだけ廃し、一人ひとりが自分の世界に没頭し沈潜していくことを奨励しなくてはなりません。
 授業の場に“学びの共同体”を創るのではなく、“学びの主体”を育てることにこそ全精力を傾けなくては、本当の算数力が身につくものではありません。
 着実に一つひとつわからせできるようにさせていくことこそ本当の学習意欲を喚起する道であるという基本を常に念頭に置きつつ、毎日の実践に取り組んでいただきたいと思います。
      出典      http://www.bunkei.co.jp/school/column/index.html 

☆★☆★ コメント ☆★☆★
 はじめの下線部は、ある意味納得できる。
 「学び」の前半は、土俵に全員を上げる意味で、学び合いによる引き上げが必要だ。しかし、その後は、個による追究も必要となろう。集団での学びには、限界がある。
 しかし、下の下線は、ある意味挑戦的である。「学びの共同体」という、ある特定の考え方を名指ししている。
 この後に、尾を引きそうなコラムである。

 書籍紹介

「教え上手」有田 和正

 教えたいことがたくさんあるとき、初対面の相手に教えないといけないとき、何をどの順番で教えるか悩んだとき。あなたの力量が、そこにあらわれます。著者は50年近く第一線で活躍してきた教育界のカリスマ。多くの子どもたちを「追究の鬼」に育て上げてきました。その教育方法は「わざと間違った答えを教える」「大事なことほど教えない」「わかりやすさよりもおもしろさ優先」といった、一見すると非常識なもの。でも、本書を読めばそれが理にかなっていて、教え方の王道であるとわかるはず。これまでに170冊以上の著書を出してきた著者が、今回はじめて一般向けにそのノウハウを公開します。部下を持つ上司、子を持つ親など、すべての「教える立場」の人たちにとって役立つ内容が満載です。
 
【目次より】
○ 考えることは問いかけること
○ 多く伝えようとしたら、少なく教えよ
○ イタリア人ガイドがおもしろいワケ
○ 3つの「発問」が人の心を自在に動かす
○ すぐれた教え方は「教わった」という感覚を持たせない
○ 「大切さ」を説いても人は動かない
○ スイカを端から食べる人はいない
○ 何を材料に選んだかで7割が決まる
○ 人の能力は書いたものにあらわれる
○ 叱ることも教える人の責任
http://www.sunmark.co.jp/01/frame_index.html 

 あの人検索 SPYSEE
   スパイシーは、人と人との関係が見えるサービスです http://spysee.jp/ 
    ためしに「土井謙次」と入れてみました。
 これまでの、ネット上にあるものが拾われて出てきました。
 すごいサイトです。


 役立ちWeb特集 
(1)平成21年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査について
 
(2)平成21年度学校保健統計調査速報の公表について
・平成20年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」
(小中不登校の確定値等)の公表について
 
・平成20年度 教育職員に係る懲戒処分等の状況について
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/jinji/1288132.htm
 
○ 幼児教育・家庭教育に関してはこちら
○ 小・中・高校教育に関してはこちら
○ 特別支援教育に関してはこちら
○ 初中局の報道発表資料はこちら
○ 地域の教育力の向上に関してはこちら
○ 子どもの体力向上ホームページはこちら
○ 子どもの読書活動に関するホームページはこちら
      http://www.kodomodokusyo.go.jp/ 
○ 原子力・エネルギー教育支援情報提供サイトはこちら
 
(3)のだめカンタービレ クラシック作品辞典
 
(4)おすすめミステリー小説、本、ビジネス書、お勧め音楽、お薦め映画  byホーライ
    なかなかおもしろい!  http://plaza.rakuten.co.jp/horai001/ 
 
(5)パナソニック 音楽、体感刺激、照明で、効果的な入眠・起床
 入眠時は気分に合わせた楽曲とそれに合わせた振動刺激を与えることで、スムーズな眠りに入りやすくなり、起床時には光の漸増に加え、快適感の高い楽曲とそれに合わせた振動刺激を与えることで深い眠りからの目覚めであっても不快に感じにくいことが分かった。
 
(6)省エネ型蛍光球センサーランプ
 人の動きをセンサーで感知し一定時間自動点灯するランプが登場。人体感知センサーと明るさ感知センサーにより必要なときのみ点灯するので、理想的な省エネ・低ランニングコスト環境を実現。

6  教育関連情報
(1)平成22年度文部科学省機構・定員要求の査定結果について(主要事項)H21.12.25
 
平成22年度文部科学省機構・定員要求の査定結果について公表いたします。1. 機構 ※名称はすべて仮称
○課の振替新設
■環境エネルギー課の設置
 革新的な環境対策や新エネルギーに関する研究開発を推進し、低炭素社会づくりを進めるための体制の整備 (研究開発局)
■原子力課の設置
 世界的な原子力利用の拡大に対応し、原子力科学技術に関する企画立案と原子力研究開発の推進を一体的に実施するための体制の整備 (研究開発局)
 
○室の新設
■高等学校無償化推進室の設置
 高等学校無償化を推進するための企画立案及び執行事務を着実に遂行するための体制の整備 (初等中等教育局)
■原子力国際協力室の設置
 研究開発分野における国際原子力協力戦略の整備や、原子力協力協定の拡大に伴う国際協力の充実のための体制の整備 (研究開発局)
 
○室の振替新設
■核不拡散・保障措置室、核燃料サイクル室 (研究開発局)
■スポーツ政策企画室、国際スポーツ室 (スポーツ・青少年局)
 
2. 定員
(1)増員が認められた主な事項
【教育関係】(22人)
 国民生活の安全・安心を支え、安心して子育て・教育ができる政策を着実に実施するための体制の整備
?ICTの効果的な活用など学校教育の情報化の推進 (生涯学習政策局)
?高等学校無償化の推進 (初等中等教育局)
?医学部定員増による医師養成の推進 (高等教育局)
 
【科学技術・学術関係】(12人)
 環境科学技術や基礎科学など、資源の乏しい我が国の発展の基盤となる科学技術・学術を振興するための体制の整備
?基礎科学をリードする人材育成の推進 (科学技術・学術政策局)
?大型放射光施設の共用の促進 (研究振興局)
?低炭素社会づくり研究開発の推進 (研究開発局)
 
【スポーツ・文化関係】(11人)
 国民に夢や感動をもたらすスポーツ・文化芸術を振興し、我が国の特徴であるソフトパワーを積極的に発信するための体制の整備
?国際競技大会の招致など我が国のスポーツの振興 (スポーツ・青少年局)
?メディア芸術の発信・交流及び人材育成の推進 (文化庁)
(2)増員数と定員合理化
▲はマイナスの意味
平成22年度新規増員 48 
平成22年度合理化減 ▲46 
その他減 ▲1 
平成22年度末定員 2,193
(参考:平成21年度末定員 2,192) 
            http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/21/12/1288497.htm 
 
(2)英語ノート仕分けで「廃止」小学教諭ら困惑と反発(福岡)
 2011年度から小学5、6年生で英語が必修となるのを前に、文部科学省が全国の小学校に無償配布している補助教材「英語ノート」。これが10年度予算編成に向けた政府の事業仕分けで「廃止」とされ、学校現場に困惑と反発が広がっている。(谷口愛佳、坂田元司)
 「What do you study? (何を勉強するの)」「I study Japanese(国語です)」
 
 大牟田市の市立明治小。5年生のクラスで、同級生たちが問いかけると、児童の一人が答えた。時間割を英語で表現する授業。担任の小宮武士教諭(42)が英語ノートと付属のソフトを基にして進めた。
 同市は00年度から全校で6年生を対象に英語授業を実施するなど実践を積み上げてきた。明治小は文科省の国際理解活動推進の拠点校指定を受け、全国から教育関係者が視察に訪れる。
 同小では昨年度から同省が試作した英語ノートを使用。小宮教諭は「学習指導要領に合致した内容で授業が進めやすい」と言い、「どの教諭でも授業を行えるようになるには、土台となる英語ノートが欠かせない」と強調する。
 しかし、事業仕分けでは「なぜ小学校で英語を教えなければならないのか」という基本的疑問や、「デジタル化して学校ごとに印刷すればいい」との意見も出た。
 安田昌則校長(55)は「国で二十数年の議論を経て決めた話を30分ほどの議論でひっくり返してよいのか。学校ごとに印刷といっても、誰が費用を負担するのか」と反論。さらに「英語教育をどうしたいのか未来像が見えない」と、いら立ちを隠せない。       以下略
☆★☆★ コメント ☆★☆★
 政治が揺れ動くと困る理由。これがこの記事から見えてくる。
 事業仕分けそのものはともかく、誰が仕分けるのか、それが大切だ。どんなキャリア、見識があり、決定権を得たのか?それを国民に問うたのか?説明できるのか? 
 「英語ノート」そのものは、どうやら印刷されるらしいが、今回の仕分けに対しては、きちっと検証してほしい。
 MM紹介
(1)JMM [Japan Mail Media]   No.565 Monday Edition         2010年1月4日発行
 ■■ 編集長から(寄稿家のみなさんへ)■■
 Q:1044への回答ありがとうございました。NHK教育テレビで3夜連続で再放送された「日本と朝鮮半島2000年」は、見応えのある番組でした。唐と新羅との外交から読み解く大化の改新、渤海と日本海沿岸との交流なども興味深い内容でしたが、やはり圧巻は、元寇、倭寇、秀吉の朝鮮出兵、朝鮮通信使と続く中世・近世の激動の歴史でした。新しい研究の成果を踏まえたグローバルな構成で、歴史は時間軸だけではなく空間軸でも相互に影響し合うという、まさにパラダイムの変換を促す内容だったと思います。
 
Q:1044
 日本社会に貧富の格差が広がっているという指摘が目立つようになりました。国家は、貧困に対して、どの程度の、またどういった形での責任を負うべきなのでしょうか。
 ■ 真壁昭夫  :信州大学経済学部教授
 経済が高い成長を達成する局面では、人々に分配されるパイ=経済的なベネフィットが増加しますから、多くの人にその分配が行き渡るはずです。ところが、経済が相対的に成長率の低い安定成長期に入ると、パイ自体が増えませんから、追加的に分配されるベネフィットが減ることになります。そうなると、どうしてもパイの配分が少なくなってしまう人や、配分を受けられない人が出てくる可能性は高まります。
 国民全員が経済的に恵まれることは、確かに好ましいことだと思います。また、経済的な格差を是認するつもりはありませんが、わが国の経済がかつてのような高い経済成長を達成できた時期を経て、現在は安定成長期に入っていることを考えると、ある程度の貧富の差ができることは避けられないのではないかと思います。
 また、わが国社会の高齢化が、統計的に貧富の差を大きく見せているとの指摘もあります。国際的に貧富の格差を表す指標の中に、OECDによる相対的貧困率という指標があります。相対的貧困とは、国民全体を所得順に並べて、真ん中となる順位の人の半分以下しか所得がない人を貧困層と定義して、その比率を算定するものです。簡単に言うと、平均所得が430万円だとしたら、215万円以下の所得層が全体のどれだけの比率を占めているかを算定するものです(今年10月、構成労働省がその統計を公表しています。http://www.mhlw.go.jp/houdou/2009/10/h1020-3.html )。
近年、わが国では、所得が相対的に少ない高齢者世帯数が増加していることもあり、相対的貧困率が上昇しているとの見方もあります。
 政府は貧困に対して、どこまで責任を持つべきかという点については、様々な意見があると思います。私は、政府は三つの点で明確な責任を持つことが必要と考えます。一つは、経済の発展を促して、社会全体が享受できるベネフィットを拡大することです。具体的には、国民のベネフットの源泉を提供する企業が収益を上げ易い環境つくりです。企業の自由な活動を促進したり、国際市場で競争する場合、他国企業と比べて不利にならないような状況を提供することです。
 現在、わが国の法人税の実効税率は約40%といわれています。一方、IT分野などで、わが国のライバルである韓国の法人税率は約26%だそうです。勿論、表面的な税率だけで、企業の税負担をみることは必ずしも適切ではないかも知れませんが、企業の税負担がそれだけ違うと、設備投資にまわせるキャッシュフローは、当然、差が出ることになるはずです。そうした状況を放置しておくと、わが国の企業の競争力が減殺されて、経済の活力を奪ってしまうことにもなりかねません。
 二つ目は、機会の平等化です。国民一人一人が、平等なチャンスを持てる環境を提供することです。特定の人や、特定の条件を持った人だけに、チャンスをつかむ機会が集中することはフェアーではありません。国は、全ての人が、教育や職業等を選ぶ際に自由に機会を選択することができるようにすることが必要です。
 ただ、自分で選択した結果については、それぞれの状況によって差が出ることは仕方がありません。そこまで、国が責任を持つ必要はないはずです。例えば、ある機会を選択した人の中で、一生懸命努力した人と、努力を怠った人では、結果に差が出ることはむしろ当然といえるかもしれません。
 三つ目は、セーフティーネットを作ることです。国民が安心して生活を営むことができるように、本当に経済的に困った人々を救済する仕組みを作るのです。社会の中で成功した人々と、結果として上手く行かなかった人、あるいは、挑戦することも難しい条件の人がいます。その中で救済が必要な人々に、国が最低限の文化的生活を営むための支援を提供する制度を運営することは必須の要件だと思います。
 国が公的存在として、国民に経済的な支援を差し伸べることは意外に難しいことかもしれません。かつて、「ゆりかごから墓場まで」といわれた社会保障が充実した国では、人々の労働意欲が減退したということもあったようです。英国の首相だったサッチャーは、「金持ちを貧乏にしても、貧乏な人が金持ちにはならない」という指摘をしました。基本的には、人々は自助努力の原則に基づいて活動を行うべきだと思います。その中で国は、マクロ経済の成長、機会の平等、セーフティーネットつくりの三つを基本とした政策を実施することで、自助努力と公的支援の均衡点を見出すことが必要だと考えます。
(2)教育情報 Magazine/ある小学校教師の独り言  Vol.260   2009.12/29(TUE)◆
 「私の教材開発物語」その3(連載 全3回)
      教材開発の楽しさ3 〜ふと,アイデアをひらめいた瞬間〜
               岡山県教育委員会津山教育事務所教職員課 高岡昌司
 お待たせしました。
 高岡さんの連載最終回です。
 中身が濃い小論です。じっくりお読みください。
 いよいよ最終回です。私の教材開発物語シリーズは当初,計画していた内容と随分違う内容になってしまいました。不思議なもので書いているうちにふと思いつくことがありました。教材開発も同じで,日頃から常に教材になるものはないかと意識をしているとある時パッと閃くことがあります。本シリーズで,教材を過去・現在・未来と分けてみたのもふとしたひらめき,思いつきです。こんな経験は,なにか楽しいものです。
 ただ,やはり,何気にぼうっとしているだけではアイデアは閃くものではありません。私の経験によると,ひらめきには,いくつかの視点が必要だと思います。
 第3回は,社会科の教材開発を例に,私なりの3つの視点について紹介します。

視点その1 こだわりの理論で事象を見る
 
 かなり前のことですが,5年生の運輸の学習と言えば,宅配便の授業が花盛りでした。宅配業界は当時,大変な急成長中,急激な右肩上がりのグラフを示すことが授業の導入の定番でした。しかしながら,このことに対して,兵庫教育大学教授の岩田一彦氏は,「運輸は,生産者と消費者を結ぶことが本質である。」と社会科教育雑誌で主張をされていました。
 私は宅配の授業は,確かに調べやすく楽しいが本質からずれているのではないかと思うようになりました。この記事を目にして以来,ずっと,生産者と消費者を結ぶものという視点で周りを見るようになりました。ある日曜日,私は勤務校の近くで,観光バスから降りた一団が地元のナス畑に向かっている場面に遭遇しました。聞くと,生協の産直の取り組みで生産者を訪ね,ナス料理を味わうというツアーでした。私は,“これだ!”と思いました。地元で生産されたナスが産直として関西圏へ運ばれている。その仕組みを教材化しようと閃いたのです。岩田理論を意識したことで新たな運輸の教材として提案できました。

視点その2 現在進行形(未完成・未実施)の事象に目を向ける
 
 中学年では公共施設の学習があります。一般的には地域の公民館や図書館を事例として取り上げます。もちろんそれもOKですが,私は子どもたちがワクワクドキドキしながら学習するには何か物足りないと思っていました。
 そんな時,中央公園の隣の空き地に遊具広場ができるという話を耳にしました。私は“これだ!と思いました。この空き地にどのような物を作ったらいいか,子どもたちに考えさせることで,公共施設の意味や役割を学べると思いました。子どもたちには遊具広場ができることは内緒にして,空き地利用について,役場へ提案しようと呼びかけました。
 子どもたちは普段利用する公園の隣ということで大いに盛り上がりました。公園の利用者や既存の設備などをもとに,町にとってこれから必要なものを議論しました。実際の提案では,役場の方から予算の面から厳しい現状を教えていただいたり,幼児の為の遊具やお年寄りの散歩コースなどはアイデアとして取り入れたいという前向きな意見をいただいたりすることができました。
 年度が替わって空き地に遊具広場が設置されたことを子どもたちは大変喜んでいました。
既存の事象だけでなく,現在進行形や未完成の事象には夢があり,子どもたちの社会参画
(提案)への意欲を高めました。

視点その3 同じ教材を使い,異なる学年で組み直す
 
 食材は同じでも,料理法を変えることで,味やその食材への認識等,新たな面を見出します。私は以前,地元のケーブルテレビを取り上げて,3年生のくらしのうつりかわり単元と5年生の情報通信単元で教材化しました。
 3年生では,ケーブルテレビが電話やテレビの融合したもので道具のうつりかわりとして発展してきたこと,5年生では,地域のネットワークとして地域の情報化を考える具体的な事例として教材開発を行いました。どちらもケーブルテレビの番組づくりを中心活動としました。3年生ではくらしの変化を考え,5年生では地域にとって必要な情報とは何かを議論しました。
 同じ教材でも切り口を変えることで,教材の新たな魅力を感じることができました。教材開発というとこれまで扱ったことがない何か新しいものというイメージがありますが,同じ教材でもアプローチの仕方をかえることで,“これだ!”という再発見ができました。
 
 教材研究の楽しさの最終回では,私がアイデアを閃いた事例を概略的に紹介させていただきました。いずれも教師が本気になったものは,子どもも本気になることができるということを学びました。ただ,社会科教師の悪い癖は,教材研究に熱心になるあまり,調べたことやわかったことをすべて子どもに教えたいと欲張ります。その結果,教師がしゃべりすぎる授業や,子どもの思いから外れた授業になりやすい傾向があります。私自身の自戒を込めて感じたことです。
 
 教材開発は,教師にとってこの上ない醍醐味です。子どもたちにとって価値ある教材がひとつでも多く生まれることを願っています。ともにがんばりましょう。
 
※5年情報単元ケーブルテレビの実践は「学び合い,分かり合う授業づくり」(明治図書)に,また,6年裁判員制度,中学年火事の実践が「授業づくりネットワーク(2009年9月号,12月号)」(学事出版)に掲載していただいています。
 
(3)知らなきゃ損する!面白法律講座  2009年 12月28日        第514号
法律クイズ 第188回 【問題】
 「『又は』と『若しくは』の違い」
  醤油ラーメン・味噌ラーメン・うどんの3つが、どれも蕎麦ではないことを法律上正しい文章であらわしているものはどちらでしょうか?
 
 1. 醤油ラーメン 若しくは 味噌ラーメン 又は うどん は、蕎麦ではない。
 2. 醤油ラーメン 又は 味噌ラーメン 若しくは うどん は、蕎麦ではない。
 
■ 法律クイズ 第188回 【解答】
 「『又は』と『若しくは』の違い」
 1. 醤油ラーメン 若しくは 味噌ラーメン 又は うどん は、 蕎麦ではない。
 
 「又は」と「若しくは」は、どちらも選択の働きをする接続詞です。ただし、法律上の文章において、両者は明確に区別されて用いられています。
 「又は」は、大きい選択の段落に用い、「若しくは」は、それより下位の小さい選択に用いる用語です。
  よって、醤油ラーメンと味噌ラーメンとうどんを選択的に結合する時は、「醤油ラーメン 若しくは 味噌ラーメン 又は うどん」が正しい使い方です。
 
  実際に、両者が用いられている例としては、以下の憲法38条2項があるので、確認してください。
 
・強制、拷問「若しくは」脅迫による自白「又は」不当に長く抑留「若しくは」拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。


  問い合わせは 土井謙次  syaraku@tcp-ip.or.jp