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報告者  土 井
 2010年7月15日(木)布袋北学習等供用施設にて社楽の会を開催しました。参加者(勤務校)を紹介しましす。
 参加者は、土井(江南市教委)、奥村先生(岩南小)、早川先生(藤里小)、天野拓先生、森先生(大南小)、松田先生(曽野小)、小澤先生(扶東小)、杉田先生(扶北中)、吉田先生(古西小)、大島先生、柴田先生(草井小)、織田先生(扶桑中)、尾関先生(岩北小)、中野先生(布袋小)、高橋先生(岩倉市教委)の計15名でした。

☆ 今回も、それぞれが調べた「中部地方」や「日清・日露」の情報交換がありました。

 土井が提案したものです。番号をクリックしてください。

  実践報告 東海地方の集約的農業
  社説シリーズ
  書籍紹 
  枚方市小中連携事業実施要項 
  役立ちWeb特集  
  教育関連情報   
  MM紹介

 実践報告 東海地方の集約的農業 
 平成7年に土井が学校訪問で行った指定授業の指導案を紹介しました。

 ねらいは、
  @ 問題作りとその短期解決→ 資料活用能力
  A   〃    長期解決→ 手紙や電話、通信、現地訪問などを駆使した情報収集  
  B 発表能力                  
これらを、50分の中で行っていました。
そのために、○ 地理−歴史 の構成を工夫して、調査活動の時間を確保する。
        (手紙で依頼すると、回答がくるまでに1ヶ月は空けないといけない。)
        ○ 問題作りの課程で教科書を熟読させて、教科書を越える内容を調べ上げる。
        ○ 調査内容をチェックし、それにかぶらない題材で授業を仕組む。
        ○ 以上をクリアしながら、本来の目的を達成する。
その時の指導案を配布しました。 

 社説シリーズ
 7月13日の社説は・・・
 続けるつもりはなかったのですが、毎朝目が覚めると、社説の予想をするようになってしまいました。
 世の中が、よりよく見えてくる効果が大です。今朝は、やはり選挙結果による今後の政局、そしてワールドカップ終了が中心にくることでしょう。実際に見てみましょう。

朝日新聞
・ ねじれ下の政権―選ぶ力、説く力が大切だ ・ W杯閉幕―スポーツが結ぶ人と社会

読売新聞
・ 菅首相続投 経済再生へ政治の機能回復を

毎日新聞
・ 敗北・民主党 政策の再構築が先決だ   ・ 復調・自民党 ねじれをどう使うのか

日本経済新聞
・ 危機回避へひるまず経済・税財政改革を

産経新聞
・ 菅首相の責任 やはり総選挙で信を問え 問題は政権担当能力の欠如

中日新聞
・ 中部の参院選地方が示した政党不信    ・ 滋賀県知事再選進化する「もったいない」

※ ワールドカップは1社。他は、すべて今後の政局を考えるものでした。
 毎日新聞がおもしろい書き方でした。

 書籍紹介
(1) 『ニッポンの農業 ここが常識、非常識』
 目次を紹介します。
第1章 何が問題?日本の農業         第2章 なぜ農業が「未来産業」なのか?
第3章 なぜ地域活性化の切り札が農業なのか?
第4章 日本の農産物が輸出されているって本当?
第5章 食料自給率は低くてもいいと、誰がいったの?
第6章 どうなっているの?農政と農協のしくみ
第7章 最低限知っておきたい農業の教養    第8章 もっと農業を知るために
 
(2)『世界を見る目が変わる50の事実』草思社 有名な本です。

4 
枚方市小中連携事業実施要項
 小中連携して学びを作ろうとしています。別添資料を配布しました。。

 役立ちWeb特集 
(1)学校管理必携 (平成21年3月改訂)           
第1  教育行政機関     第2  学校の組織と運営    第3  教職員の任用・離職
第4  給与制度       第5  給料制度        第6  諸手当制度
第7  勤務時間と給与    第8  旅費          第9  福利厚生
第10 勤務時間       第11 休憩時間        第12 週休日、休日
第13 時間外勤務      第14 女性教職員の保護    第14ー2 育児休業等
第15 休暇         第16 休業          第17 服務
第18 研修         第19 職員団体  第20  勤務条件に関する措置要求等
第21 教員免許状      第22 児童・生徒    第23 学校安全
第24 施設管理       第25 学校事務職員、技能労務職員  第26 その他
 
(2)学制百二十年史
 何かの時に、教育史を調べたいときがあります。そのようなときには、文部科学省のこのサイトが便利です。
 出版されているものの要約版ですが、そのために見やすくなっています。学制とはいえ、学術、文化、宗教とエリアも広く、とても参考になります。
 
(3) コミュニケーション教育推進会議
 国際化の進展に伴い、多様な価値観を持つ人々と協力、協働しながら社会に貢献することができる創造性豊かな人材を育成することが重要です。また、近年、子どもたちが自分の感情や思いをうまく表現することができず、容易にキレるなどの課題が指摘されています。 このような状況を踏まえ、子どもたちのコミュニケーション能力の育成(以下、コミュニケーション教育)を図るための具体的な方策や普及のあり方について調査・検討を行うため、「コミュニケーション教育推進会議」(以下「推進会議」という)を設置します。
 
(4) 幼児期の教育と小学校教育の円滑な接続の在り方に関する調査研究協力者会議
 
(3)著作権制度の初心者向け解説資料「著作権テキスト」
 著作権制度の初心者向け解説資料「著作権テキスト」22年度版を公開。著作権や著作隣接権の権利を解説するほか、他人の著作物を利用する方法、著作物などの例外的な無断利用ができる場合、著作権が侵害された場合の対抗措置など解説。
 
(4)小学生向けOfficeアドインを無償提供
Microsoft Office 2010を子ども向けに使いやすくするアドインソフトの無償ダウンロード提供を開始。通常のWord/PowerPointに小学生の授業でよく使われる機能を集約した「きっずリボン」が付加される。
 
(5)時間が経つとデータを自動消去するUSBメモリ
 万が一、紛失や盗難、置き忘れをしても、指定した時間が経過すると、記録したデータをすべて自動的に消去するUSBメモリが登場。パスワードを誤って入力したり、パソコンに接続し、認証が完了しないまま一定時間放置すると、記録したデータをすべて自動消去。
 
(6)電池をどちらの向きにでも入れられる技術
米Microsoftは、電池の+/-の向きを気にすることなく電池ボックスに入れられる技術「InstaLoad」を発表。電池ボックスの接点の機構を工夫により実現した技術。例えば電池を2個使う場合、4通りのどの向きでも機器が動作し、ユーザーにおける煩雑さがなくなる。
 

6  教育関連情報
(1)小中1学級35人、低学年は30に…中教審提言
 中央教育審議会初等中等教育分科会は12日、現在40人が標準の公立小中学校の1学級あたりの人数(学級編制の標準)の引き下げを求める提言案をまとめた。
 人数は明記していないが、同分科会は小中とも35人、小学校低学年では30人を念頭にしており、文部科学省は8月までに具体化に向けた年次計画を作る。
 ただ、実現には大幅な教員増が必要で、恒久財源が確保できるかは大きな課題だ。
 1学級人数の標準は1980年度に45人から引き下げられて以来、約30年間、40人が続いている。提言案は、学力低下問題、学ぶ内容を増やした新しい学習指導要領の実施、児童が学校生活に適応できない「小1プロブレム」などに対応するには40人学級では困難だとした。
 また、現場の実態に合わせた対応ができるよう、市町村教育委員会が学級編制を行えるようにすることも求めた。
 仮に35人学級とする場合、教員は4万人以上増員となり、新たに年約3000億円が必要との試算もある。このため提言案は、中教審として初めて財源問題に言及。「効果と必要額を国民に示し、恒久財源の確保に理解を得るよう努める必要がある」とした。
 提言はさらに、2006年度に国と地方の折半から国3分の1、地方3分の2に変更された教職員給与の負担割合について、教職員の質を保つ必要性から、「税制抜本改革の動向を踏まえ、国庫負担2分の1への復元を検討する」として地方の負担軽減を求めた。
                 YOMIURI ONLINE 2010年7月12日(月)14:51 より
☆★☆ コメント ☆★☆
 教員の財源は大きな問題ですが、この先の人口減を見越すと、段階的な実施の方向で進むのではないでしょうか。
 日本の教育には大きな前進ですが、空き教室、すなわちハードの問題が大きくのしかかります。しっかりとシミュレーションする必要があるでしょう。
 MM紹介
(1) 常識ぽてち【やや日刊】    ♪2010-07-12(第1263号)
■ルーシーとアルディ
 ルーシーはエチオピアで発見された約320万年前の猿人の化石。身長は1.1m、体重29kgのこの女性の猿人は、骨盤と足の骨から推測して確かに直立歩行していたと推測される現代人類のルーツ。ちなみにルーシーの命名は発掘現場の宿営地で流れていたビートルズの曲「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ」にちなんだものだそうです。
 ルーシーをはるかに上回る440万年前のものとされる化石も発見されています。身長1.2m、体重50kg程度の女性とされるこの猿人はアルディピテクス・ラミダス猿人と呼ばれます。なので、愛称「アルディ」。
 
人類の起源は約770万年前とされ、その頃の一番の近縁はチンパンジーです。よくゴリラとチンパンジーを「猿」として比べますが、チンパンジーはゴリラよりもむしろ人類に近い近縁なのです。そして人類に次に近いのがゴリラ、そしてオランウータンと続きます。
 770万年前から400万年前くらいまでは、人類の祖先とチンパンジーが交雑する時代となります。つまり、パン君(NTV 天才!志村どうぶつ園)とあなたは同じ祖先かもしれません!?またルーシーもアルディも女性であることから、もしかしたらあなたの曾々々…おばあさんかもしれません1?
 ネアンデルタール人は約20万年前に出現し2万数千年前に絶滅したとされるヒト属の一種。最近、このネアンデルタール人もクロマニヨン人と交雑の可能性があると発表され、そうなると我々現代人の祖先にネアンデルタール人を持つ人もいることになります。
 クロマニヨン人は約4万〜1万年前に存在し、その後消滅したとも、現生人類に吸収されたとも言われています。1万年前というとつい最近のことですねぇ。人類の祖先に関してはまだまだわかっていないことが多く、今後の発見に期待されます。
【関連記事】
[1062]人類の祖先
[898]蚊に刺されると痒い人類
[354]性の秘密?
その他の常識は…
 
(2) 教育情報 Magazine/ある小学校教師の独り言
[1]授業中における教師の言葉がけを意識して〜考える授業への手立て〜
                  岡山県・津山市教育委員会指導主査 高岡昌司
 4月から指導業務に携わるようになり,いろいろな授業を拝見することが多くなりました。授業中に生起する教師の言葉がけは様々です。私は,今,教師の言葉がけが少し気になっています。教師の言葉がけが「考える授業づくり」において大きなポイントになっていると感じるからです。皆さんは,どのようなことを意識して,授業中の言葉がけを行っているでしょうか。
 
 1時間の授業の中で,励ましや誉める場面は多々あります。私たちは,ともすると励ましや誉め言葉を使うという段階で留まっていないでしょうか。その子の内面にまでその言葉は届いているのでしょうか。その言葉はズレていないのでしょうか。時に立ち止まり,自己内省することが必要だと感じます。どの子に,どのタイミングで,何のために,どのような言葉がけを意識すれば,自ら考えることに直結するのでしょうか。私なりに取り組んできた,意識してきたことを紹介します。
〜社会科授業における教師の言葉がけを例に〜
 社会科は社会認識を踏まえた公民的資質を育成する教科です。簡単に言うと,社会事象をもとにして,より良いくらしを築く知恵を創造することです。そこで,子どもと生活の結びつきの中から,子どもたちが消費者として生活者としての自分自身を見つめるような言葉がけを大切にしたいと考えます。特に,話し合いの場において,「自分がとる立場(主張や意見)」,「主張するその根拠」「よりよいものを創り出そうとする態度」などに視点をおいた言葉がけを意識しています。子どもと教師,子ども同士がお互いの立場を尊重しながら共同してより良い社会のあり様を考えることが必要であると思うからです。
 次に,授業場面をもう少し限定して考えてみます。
1)問題をもつ場面
 一枚の絵や資料をもとにその子がもっている経験知や既有知識などの情報をどれだけ引き出せるかがポイントとなります。「数・量」,「目のつけどころ」,「疑問や気づき」を大いに誉めることで事象の様々な面が見えてきます。出てきた感想や意見をカテゴライズする中で,「A君の疑問から〜」,「Bさんのこだわりは〜」など,一人の子又は,複数の子の問題意識に焦点化し,クラス全体の学習問題となるような言葉がけを行います。
 
2)問題を追究する場面
 問題が明確になると必ず家で調べてくる子がいます。まずは,そのことをおおいに認め取り上げることを意識します。インターネット資料や,図書資料はもちろん,実際に相手先に電話をしたり,尋ねたりするなどして調べたことはなるべく具体的な方法も含めて,紹介しています。次の日や後日,同じようにまねた子にもその行動力をしっかりと誉めるのです。そうすることでその子自らが手に入れた資料や情報という意識が芽生えます。発言の際,その資料はその子の根拠として活用され,足で稼ぐことの重要性を実感します。これらの励ましや誉め言葉が学習活動を進める大きな原動力となります。
 
3)問題について議論する場面
 私は,基本的に,議論を行う時に前もって座席表(A4紙に座席の順に子どもの立場や考えを記入したもの)をつくります。調べてわかったことを発表するだけなら必要ありませんが,追究活動から得たその子の考えや意見の広がり等をある程度掴んでおくためです。
 話し合いの中で,座席表をもとに,発言されない意見(特に,発表しにくい子)を取り上げたり,同じ(違う)考えをつないだりするための教師用のデータとしています。
 ここでは,子どもに十分しゃべらせたり,考えさせたりする場や機会を与えることが大切です。教師と子ども,子ども同士で共に学ぶという構えをつくるのです。その言葉がけとして,「Cさんの意見をどう思うか」,「同じ(違う)考えのD君はどうか」など一人の発言をみんなで分かち合えるように働きかけます。また,一人の子の資料や考えにこだわる場を設定することもあります。例えば,「Eさんの資料によると〜」,「F君の考えに賛成か?反対か?」など意図的に取り上げることで,取り上げられた子は自分の意見や資料が,みんなの役に立ったと感じます。周りの子にとっても「G君の意見のおかげで,気づけた」という意識をもつのです。例え,その子から出されたものが一般的な資料や意見であっても,Cさんの資料・Fくんの意見という位置づけをすることで,子どものこだわりや意識が変わるという手ごたえを感じています。その気にさせるということです。
 
4)かかわりを深める場づくり
 かかわりを深めるには,わからないことや,間違っているかもしれないことを遠慮なく出し合えるような学習集団・雰囲気が重要です。私は,45分間ずっと座学で学習を進めるだけでなく,同じ意見や立場同士が自由に席を離れ交流したり,黒板前に集まったりするなど,ちょっとした動きを取り入れる言葉がけをしています。このような言葉がけは子どもの緊張をほぐし,身体をひらく上で大変有効だと感じています。全体の中で発言しづらい子にとっても,小グループでの交流は意見が出し易いようです。また,活動中の様子を取り上げ,全体の中で認め励ます言葉がけを行います。例え,考えが間違っていたり,不十分であったりしても自分たちの力で考えたという自信と安心感につながっているように思います。動きのある授業やメリハリある授業には教師の言葉がけは重要です。
 
 以上,今回は社会科における実践を紹介しましたが,もちろん他教科でも同じ場面は多いです。いずれにしても,教師の言葉がけがその子の願いに直結するものであるためには,授業中はもちろん生活場面においてもその子をしっかり探らなければなりません。教師の言葉がけが妥当かどうか常に問い直す視点が必要です。そのためには,その子との対話や振り返り,表現物などに見られる子どもの変容に敏感でありたいものです。その子の内面に迫るには,ハウツーではない教師の日々の絶えまない努力が求められます。
 
[2]授業中における子どもの身体性に着目して 〜 考える授業への手立て 2 〜
                  岡山県・津山市教育委員会指導主査 高岡昌司
 前回に続き、「考える授業への手立て」として、教師の言葉がけと共にターニングポイントとなっていると思うことがあります。
 それは、子どもたちの身体性に関することです。
 最近は、「子どもをじっと席につかせておくだけでも大変」という声をよく聞きます。一人ひとりに対する支援のニーズが増え、学校現場は本当に大変です。授業中の教師の様子をみると、特に、T・Tや支援員さんが入っている授業では、授業を進行する教師と、「ちゃんとしなさい」「前を向きなさい」などの声かけや姿勢を正すことに終始している教師という場面を良く見かけます。
 しかしながら、考えてみると、どの子でも45分なり50分ずっとよい姿勢のまま座っておくのは苦痛ではないでしょうか。脳科学の研究からもじっと座って考えるよりも動きながら考える方が脳は活性化する?とも・・・言われます。
 授業は動と静、メリハリが大切です。私は、授業の中で、もっと動きのある授業展開をすることが、発問とともに必要だと思うようになりました。豊かで自由な発想は子どもが身体をひらいている状態の中で表現されるものではないでしょうか。もちろん子どもの集中力が高まっている時は無理に動かす必要はないと思いますが、日常的な授業の中で心の開放を与え、授業としてもメリハリをつけるためにも、ずっと座学という学習活動(形態)では難しいのではないかと思うのです。
 今回は、先達の授業に学びながら、私なりに実践してきた一例を紹介します。
 (1)発問に対し、挙手だけでなく、意見をもった子は次々と起立させる。
 (2)起立した子は、自由に動くこと(相談すること)を保障する。
 (3)1時間の授業の中で、必ず小グループの活動を位置づける。
以上、動きをつくる活動を授業の中で、意図的に仕組むということです。
 
 (1)について、挙手だけで進める授業では特定の子に偏りがうまれ、動きがつくりにくい面があったり、単調な授業の原因につながったりします。教師からの指名や列指名などを取りいれながら、合わせて、「意見がもてた人は立ちましょう」と少しでも考えが持てた子には次々と起立させます。座っている子は、周りの子が起立するにつれ、次第に考えざるを得ない状況になります。ある意味子どもを追い込んでいくのです。なかなか立てない子へ、教師が支援や助言に入ります。 
 教師の発問に対する子どもの意思表示は挙手が一般的で、圧倒的に多いのですが、起立させることで動きが違ってきます。何でもかんでも、ずっとというわけにはいきませんが主要な発問やしっかりと考えさせたい発問において、起立させることで、授業の雰囲気や子どもの反応が変わります。しゃべりはじめは子ども自らが「はい」という返事をした人から発言します。譲り合いの気持ちも生まれます。
 
 (2)について、起立した子は起立している者同士で、自由に意見交換をしてもよいこととします。座っている子へのヒントや言葉がけも授業のじゃまにならない範囲(子どもなりの授業全体への配慮)で認めます。ここでどの程度時間をとるのかなどは学習内容やその場の雰囲気、状況によってかわりますから、毎回同じというわけではありません。45分の内3〜5分のこともあれば、10〜15分以上のときもあります。また、そのまま席に戻らず、集まったその場で発表をさせることもあります。
 
 例えば、算数で早く問題が解けた子は、発表の仕方をノートに書いたりすることもありますが、同じ考えの友達を探し、お互いにやり方を確認しあうという活動を取り入れています。一見ごちゃごちゃするように感じるかもしれませんが、できた子ができていない子にヒントを出して教えたり、黒板に発表をしたりするような動きが生まれます。自分の意思でどのような動きをするのか考えさせることにもつながり積極性が生まれます。
 もちろん、学習のまとめや意見の整理をするときなどは一旦席に戻り、ノートに書かせるなどのメリハリはつけます。
 
 (3)については、答え合わせや、交代読み、議論などの意見や立場が分かれる時などに、小グループで話し合いをさせます。(2)と重複する面もありますが、ここでは隣同士の交流や、ミニミニ班と称して、席が近い4人組での交流、教室を真二つ、あるいは四隅に分けての交流、身体だけ移動しての交流、黒板前や席の周りに集まっての交流など様々な形での交流を仕組むのです。交流するパターンをある程度システム化させておくことで僅かな時間でさっと動き、その中で話し合います。だらだらと長時間はとりません。もちろん、話し合う必然性があることが前提ですが・・・。国語や社会科の話し合い(討論)などでよく実践しました。
 
 以上のように、1時間の授業の中で動きをつけることが、子どもの身体をひらき、心の開放につながりやすいと考えています。授業の雰囲気をやわらかくし、何でも話せる自由な場づくりを意図的につくりだすのです。このような指導を進めていくことで、いつしか友達同士で意見交換をすることが当たり前になってきます。最初は男女や好きな者同士で集まる傾向がありますが、ここに対しては、当然、自由に相談できることの意味や話し合いの意義を伝えながら、指導をいれていきます。
 「考える力」を育てる授業づくりでは、子ども同士の対話をどのタイミングで、どのようにシステム化していくのか重要であるように思います。(実際は試行錯誤の日々ですが・・・)
 カルテによる座席表指導案で有名な築地久子氏や服部英雄氏(兵庫教育大学附属小学校)など先達の実践に学びながら、子どもの身体性という視点から「考える力」について私なりに取り組んだものです。


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