(1)□●□ ODAメールマガジン □●□ 2010年11月10日発行 第195号 ┃
◇◆ バヌアツ共和国の概要と経済
(原稿執筆:在フィジー日本国大使館 辻村 幸弘 二等書記官) ◆◇
1. バヌアツ共和国の概要
バヌアツ共和国は南太平洋上の南北1200キロメートルに大小83の群島からなる島嶼国家である。国土が環太平洋火山帯に属していることから急峻な地形を有し,火山活動が活発な島々も多く,珊瑚礁により形成された他の大洋州島嶼国のような低海抜国家とは一線を画す。
国土面積約1万2千平方キロメートル(新潟県とほぼ同じ面積)に人口約23万人を擁する。
社会経済基盤が比較的整備された都市部であるエファテ島の首都ポートビラ市及びサント島ルーガンビル市に居住する人々は,全人口の僅か25パーセント程度であり,多くの人々は離島部の僻地に拡散して居住しており,中には貨幣経済とは無縁の自給自足に近い暮らしをしている人々も少なくない。
同国の隔絶した地理的特性は,100以上の言語を生み,多様で独特の文化を醸成してきた反面,特に僻地に居住する人々に対しては,教育及び保健医療等の公共サービスが十分に行き渡っていない状態であり,都市部との生活格差が生じている。
同国は1980年に英仏共同統治から独立して,大統領を元首とする共和国として誕生しており,今年,独立30周年を迎えた。
2006年に英国のNEF(New Economics Foundation)による格付けにより「世界で最も幸福な国」の第1位に選ばれたこと及び同国ペンテコスト島の伝統的な成人の通過儀礼がバンジージャンプの起源になっていることは,案外知られていない。
2. バヌアツ共和国の経済
2003年の国家開発政策の策定により2000年代前半の低経済成長から一転して急速な成長傾向にあり,2003年から2008年までの経済成長率は堅調な増加傾向(平均6パーセント)を示している。
2007年のGDPは520億バツ(為替レート=1.1バツ/円),一人当たりGDPは23万バツ,GDPに占める一次,二次及び三次産業の割合は,各々16パーセント,20パーセント及び74パーセントであり,観光業を含む三次産業の割合が圧倒的に高い。
他方,2009年の輸出入貿易統計によると,輸出額50億バツに対して輸入額は301億バツと輸入超過が顕著で一貫して貿易赤字の体質にあり,一次及び二次産業の脆弱さを伺い知ることが出来る。

また,2009年の国家財政は,歳入195億バツのうち49億バツ(25パーセント)を外国からの援助に依存している。
同国の財政を支える基幹産業は,農業,牧畜及び観光業である。
特に観光業は貴重な外貨収入源であり,豪州,ニュージーランド及びニューカレドニア等への航空便が増便されたこと及び豪州及びニュージーランドからの大型クルーズ船の寄港回数の増加により,2003年以降,観光客数は飛躍的に増加しており,2008年においては,同国人口と同数程度の観光客が同国を訪れている
(参考:日本の場合は約6パーセント)。
また,観光業の発展を期待して不動産及びサービス業を中心に投資が活発化している。
具体的な数値は公表されていないが,GDPの観光業・土地開発部門が占める割合は4割に達し,
観光業により同国内6千人(首都ポートビラ市人口の1割以上)の雇用が創出されていると言われている。
◇◆ マランパ州肉魚市場の運営(原稿執筆:JICA青年海外協力隊員
(村落開発普及員(平成20年度3次隊))藤原 一也さん ◆◇
私の赴任先であるマランパ州肉魚市場では,市場を通しての州民の生活向上を掲げて運営を行っている。
マランパ州は漁場に恵まれ,各家庭での牛の保有率も高いが,卸し場所となる市場がなかったため,自家消費用に限定されるなど,収入へと繋がり辛い状況であった。
そのような中,草の根無償資金協力により,市場建設費,大型冷蔵庫等の援助を受け,肉魚市場が2008年8月より営業を開始した。
開始当初は売上,入荷量の確保に苦労することもあったが,運営2年間の市場成長率は高く,今年度は前年比2倍の1千万VT(現地の通貨:通称バツ。約900万円)の売上を記録し,入荷量も2倍以上となるなど,漁師畜産家の金銭獲得機会の拡大,就業意識の向上に寄与している。
新鮮な魚肉,さらに今まで精肉としての流通がなかった豚肉を安定的に供給できるようになったことから,島民の食生活向上に貢献するとともに需要も拡大している。
そのため新聞,ラジオ,テレビなどで取り上げられるなど,注目度,今後の期待値も高い。
また,従業員数も増え,給料も労働法に沿えるようになるなど,雇用体制も整いつつある。
今後も肉部門補助及び秘書の雇用を計画しており,州民への就業機会の拡大を狙っている。
営業2年間の純利益は160万VTとなり,冷凍庫,PCの購入など,必要設備への投資,メンテナンス費などを自ら工面できるレベルに到達している。
さらに第3年度目では1年間の純利益は250万VTとなる見込みであり,製氷機,貸出用の漁船購入の計画があるなど,持続的な発展が期待できる下地が出来上がった。
向こう5年間での利益は1千万VT以上となる見込みであり,今後は,資金や経験が乏しく漁や畜産業に参加できない島民への漁師畜産家育成計画の実施,漁業会社の設立,それに伴う若手漁師の雇用,養豚養鶏場建設などを発案し,肉魚市場が資金援助を行うことを検討している。
草の根無償資金協力による建物,機材の供与に,青年海外協力隊員による人的支援を有機的に連携させ,肉魚市場の利益を,生産技術向上,就業機会の拡大等へと活用することで,今後の当州の発展に貢献できる可能性が高まりつつある。
(2)◆◇◆日本基礎学習ゲーム研究会 会報◆◇◆
小学校・授業と教育 知得ニュース『ぼうけん』689号 2010-11-08<MON>
日本基礎学習ゲーム研究会 会 長 横山験也 編集長 山本幹雄
┃3┃★歴史事件簿 改訂版★11月09日〜16日 編集部@日本基礎学習ゲーム研究会
今日は、何の日でしょう? 朝の会等でお使いください。
誕生日に「○○のあった日だね。」と教えてあげてください。
小学校の教科書に出てくることがらを中心にまとめてあります。
◆11月9日(1872年)太陽暦採用決定
→明治政府,太陽暦採用を決定。明治5年12日3日を明治6年1月1日とする。
◆11月9日(1876年)野口英世 生まれる
→福島県生まれの医学者・細きん学者。黄熱病の研究中に感染し, アフリカで亡くなるまで,数々の細きんの研究で業績を残す。
◆11月10日(1900年)軍艦「三笠」進水式
→イギリスのビッカーズ社で建造。日本海海戦で,ロシアのバルチック艦隊を破り,指令長官東郷平八郎とともに有名に。
◆11月11日( 784年)長岡へ遷都
→桓武天皇は,平城京より長岡京に都を移す。強大になった仏教勢力の弊害を断ち,新しい政治を行うことをめざす。
◆11月11日(1931年)渋沢栄一 亡くなる
→日本の産業・経済発展につくした事業家。日本最初の銀行である第一国立銀行をはじめ,500社以上の企業の創立に参加。
◆11月12日(1871年)岩倉使節団 出航
→岩倉具視ら遣外使節団が横浜を出発。通商条約の改正と各国視察を目的。留学生の中には,津田梅子(6)ら5人の少女も同行。
◆11月13日(1695年)お犬様小屋 野犬の養育開始
→江戸中野に野犬小屋が完成,運営を開始。5代将軍,綱吉の「生類憐みの令」以来,増え続ける野犬を収容。
◆11月13日(1890年)凌雲閣 開場
→浅草の「凌雲閣」(りょううんかく)開場。「エレベーター」と呼ばれる電気式の昇降機は,日本初。
◆11月14日(1947年)新彗星発見 戦後初
→倉敷天文台の本田実さんが,カラス座方向に新彗星を発見。「本田彗星」と名付ける。日本人による)新彗星発見は,戦後初。
◆11月15日(1614年)大坂(阪)出陣
→徳川家康は,二条城を出て,大坂へ進軍を開始。全国のほとんどの大名は徳川方についていて,兵力の差はかなり大きい。
◆11月15日(1867年)坂本竜馬 暗殺される
→土佐はん出身。薩長連合を成功させる。京都見まわり組に,近江屋で,中岡慎太郎と共に斬りつけられ即死。33歳の短い生涯。
◆11月16日(1876年)日本初の幼稚園
→東京女子師範学校(今のお茶の水女子大学)に日本で最初の幼稚園誕生。華族や高級官僚の子女60名が集まる。
改定前の歴史事件簿は、明治図書の「ワークテスト」教師用付属CD-ROM(6年版)に収録されています。
(3)JMM [Japan Mail Media] No.608 Extra-Edition2
Captivation Network臨床共同研究施設より、朝日新聞社 秋山耿太郎 代表取締役社長と、「報道と人権委員会」宛に、以下の抗議文が送られました。
抗 議 文
2010年10月29日
去る2010年10月15日、朝日新聞朝刊1面に『「患者が出血」伝えず 臨床試験中のがん治療ワクチン東大医科研、提供先に』、社会面に『関連病院「なぜ知らせぬ」』と題する記事が掲載されました。
社会面『関連病院「なぜ知らせぬ」』の記事には、臨床研究を実施している病院の関係者とされる人物への取材に基づいた生生しい内容の記事が掲載されており、この記事は読者に、東大医科研が有害事象を隠蔽したという印象を与えました。しかし、医学的事実の誤りに加え、捏造と考えられる重大な事実が判明いたしましたので、ここに強く抗議いたします。
(医学的事実の誤りについて)
第1、我々は東大医科研病院の共同研究施設ではなく、独自の臨床研究が行われた東大医科研病院の有害事象について、情報の提示を受ける立場にはありません。したがって、記事見出しの「なぜ知らせぬ」という表現は、我々自身も不自然な印象を受けます。
第2、本有害事象は、発表された論文からも原病である膵癌の悪化に伴った食道静脈瘤からの出血と判断されています。進行がんの一般臨床において、出血が起こりうることは少なからず起こることであり、出血のリスクを有する進行がんの患者さんにご協力を頂き臨床研究を実施する危険性について、我々の中では日常的に議論され常識となっております。
第3、原病の悪化に伴う出血の有害事象については、医科研病院の有害事象が発生する以前に、既に我々のネットワークの施設で経験をしています。ペプチドワクチンによる有害事象とは考えられないが臨床研究実施中に起こった有害事象として、2008年2月1日の「第1回がんペプチドワクチン全国ネットワーク共同研究進捗報告会」にて報告がなされ情報共有が済んでおります。したがって、ペプチドワクチンとの関連性が極めて低いと判断され、原病の悪化に伴うことが臨床的に明らかな出血という既知の事象について、この時点での情報共有は不要と考えます。
(捏造と考えられる重大な事実について)
記事には、『記者が今年7月、複数のがんを対象にペプチドの臨床試験を行っているある大学病院の関係者に、有害事象の情報が詳細に記された医科研病院の計画書を示した。さらに医科研病院でも消化管出血があったことを伝えると、医科研側に情報提供を求めたこともあっただけに、この関係者は戸惑いを隠せなかった。「私たちが知りたかった情報であり、患者にも知らされるべき情報だ。なぜ提供してくれなかったのだろうか。」』とあります。
我々は東大医科学研究所ヒトゲノム解析センターとの共同研究として臨床研究を実施している研究者、関係者であり、我々の中にしかこの「関係者」は存在し得ないはずです。しかし、我々の中で認知しうるかぎりの範囲の施設内関係者に調査した結果、我々の施設の中には、直接取材は受けたが、朝日新聞記事内容に該当するような応答をした「関係者」は存在しませんでした。
我々の臨床研究ネットワーク施設の中で、出河編集委員、野呂論説委員から直接の対面取材に唯一、応じた施設は7月9日に取材を受けた大阪大学のみでした。しかし、この大阪大学の関係者と、出河編集委員、野呂論説委員との取材の中では、記事に書かれている発言が全く述べられていないことを確認いたしました。したがって、われわれの中に、「関係者」とされる人物は存在しえず、我々の調査からは、10月15日朝刊社会面記事は極めて「捏造」の可能性が高いと判断せざるを得ません。朝日新聞の取材過程の適切性についての検証と、記事の根拠となった事実関係の真相究明を求めると同時に、記事となった「関係者」が本当に存在するのか、我々は大いに疑問を持っており、その根拠の提示を求めるものであります。
また、10月16日、朝日新聞社説においては、捏造の疑いのある前日の社会面記事に基づいて、『研究者の良心が問われる』との見出しで、ナチス・ドイツの人体実験まで引用し、読者に悪印象を植え付ける形で、われわれ研究者を批判する記事が掲載されました。これら一連の報道は、われわれ臨床研究を実施している研究者への悪意に満ちた重大な人権侵害であり、全面的な謝罪を求めるものです。
今回の捏造と考えられる重大な事実について、我々と患者さんを含めた社会が納得できるように、一連記事と同程度の1面記事を含めた紙面においての事実関係の調査結果の掲載を要求すると同時に、われわれ研究者への悪意に満ちた重大な人権侵害に対する全面的な謝罪を求め、ここに抗議いたします。
問い合わせは 土井謙次 syaraku☆tcp-ip.or.jp ←☆を@に換えてください