■ 『村上龍、金融経済の専門家たちに聞く』
Q:1150 「高負担・高福祉」という時の「高負担」とは?
「高負担・高福祉」か「低負担・低福祉」か、国民は選択すべき、というような指摘をよく見かけます。「高負担」とは、だいたいどのくらいの、またどのよう形の負担なのでしょうか。
■ 山崎元 :経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員
国民の「負担」は、租税と社会保険料の合計の国民所得に対する比率である「国民負担率」で比較されることが一般的です。財務省のホームページで、金融危機前の2007年のデータに基づく先進国と日本との比較では、日本の39.5%に対して、アメリカが34.9%、イギリスは48.3%、ドイツは52.4%、フランスは61.2%、スウェーデンは64.8%となっています。
大雑把にいって、負担率4割ないしそれ以下なら「低負担」、5割前後なら「中負担」、6割前後なら「高負担」といっていいのではないでしょうか。日本は支出面では中負担レベルにあり、現在の福祉水準を大きく変えないとすれば、将来の長期的な平均像の下では、税金ないし、社会保険料の増額が必要です。
行政の効率改善が必要であることは当然として、それとは別の問題として、「低負担・低福祉」「中負担・中福祉」「高負担・高福祉」の何れかの水準を、それぞれの国の国民は選ぶ必要があります。
ここで、財政収支は、毎年均衡しなければならないというものではなく、経済状況によっては、赤字であることが自然且つ必要でしょうし、別の経済状況になれば、収支を大幅に黒字化することが適当になります。現実的な政治と行政のプロセスを見ていると、財政は歳入・歳出共にかなり硬直的で、ある程度は、この硬直性を考慮する必要がありますが、現在直ぐに増税による財政収支の改善が必要だとか、逆に、将来もずっと財政収支が黒字にできないかのような議論は不適切でしょう。
ところで、「負担」ということについては、経費的な支出に対する負担と、移転的な支出への負担について区別をすることが重要ではないでしょうか。
仮に、日本の負担と支出が中負担・中福祉で、国民負担率50%で均衡しているとしましょう。ここで、支出のうち、年金や生活保護、子ども手当のような、政府を通じて国民間で富を移転するような支出が国民所得の30%で、公務員の給与、公共事業、防衛などの経費的支出が20%なのと、移転的支出が20%、経費的支出が30%なのとでは、かなり意味が違うように思います。
移転的な支出は国民の間で富を実質的に移転する再配分の支出であり、最終的なお金の使い道は、再分配後の国民が決定します。一方、経費的な支出は政治家と官僚が支出先の決定に深く関わっています。両者の区別は完全で排他的ななものではなく、たとえば、教育費などは教育の制度によって経費的な側面もあれば、移転的な側面もあるでしょう。しかし、お金の使い道の最終的な決定者が個々の国民なのか、政治や行政なのかの区別は重要であり、先の例では、経費的な支出が国民所得の20%の政府の方が、経費的な支出30%の政府よりも明らかに「小さな政府」だといえるでしょう。
私は、移転的な支出は広義の「社会的な保険」であり、セーフティーネットでもあるので、充実していてもいいように思いますが、経費的な支出の拡大は「大きな政府」とこれにともなう非効率及び癒着の拡大につながる公算が大きいので警戒すべきだと考えています。年金、医療保険、子ども手当、生活保護などは、制度の改善は必要ですが、一種の保険として充実させてもいいものでしょう。他方、経費的支出には、公務員の人件費をはじめとして縮減すべき支出がまだまだあると思います。
先般、名古屋市長選、愛知県知事選で、地方税の減税と必然的に議員や公務員の報酬のカットを掲げる河村たかし名古屋市長の陣営が圧倒的に大勝しました。この背景には、たとえば、名古屋市役所の報酬はトヨタよりも高い、といわれるような公務員の厚遇に対する住民の反発があるように思います(たとえばプレジデントロイターのホームページの「トヨタさえ上回る!? 名古屋市役所の高給」という記事をご参照下さい)。
( http://president.jp.reuters.com/article/2009/10/02/24D25F94-A9A9-11DE-842F-0D193F99CD51.php )
国のレベルでも、経費的な支出、特に、公務員の人件費に手を着けずに、消費税率の引き上げだけを通そうとすると、間違いなく国民の大反発を買うのではないでしょうか。与謝野経済相が、氏の宿願である消費税率引き上げを実現するためには、公務員の給与を大きく引き下げるのが早道だと思います。
(2) Japan On the Globe(686) ■■ 国際派日本人養成講座 ■■
Globe Now: 日本経済は中国に依存してない
中国への輸出はGDP(国内総生産)比3%以下、投資は1%強でしかない。
■1.『中国がなくても、日本経済はまったく心配ない!』
『中国がなくても、日本経済はまったく心配ない!』[1]という本がよく売れている。「エッ!?」と思わせるタイトルだが、それだけ「日本経済は中国の成長に依存している」という先入観が、日本中に浸透しているからだろう。
著者の三橋貴明氏は、経済分野での偏向報道・自虐的報道を定量的データで喝破する優れた経済評論家であり、本誌にもすでに2度ほど登場いただいている。[a,b]
今回の著書でも、「中国は世界一の金持ち国」「中国はアメリカを抜いて世界一の経済大国になる」など、一部マスコミが垂れ流しているプロパガンダを喝破している。「成長する中国と衰退する日本」という虚像に洗脳されて、いたずらに中国に平身低頭したり、我が国の未来を悲観する事は、国家の前途を誤らせる。
三橋氏の著書は、これらのプロパガンダの嘘を、データを通じて明らかにしてくれている。グラフも多用され、一般国民にも分かり易く説明されているので、国際経済分野の基本図書としてもお勧めしたい本である。本稿では、そのさわりを紹介させていただく。
以下は見出しのみを紹介します。
■2.対中輸出はGDPの2.79%に過ぎない
■3.中国からの輸入は2.44%、しかも代替が効く品が多い。
■4.対中投資はGDPの1%強
■5.外貨準備高世界一は「世界一の金持ち」?
■6.中国は「世界の貸し工場」
■7.「中国は世界一の経済大国になる}!?
労働力供給が頭打ちになれば、かならず賃金は上昇する。その分、低コストの貸し工場としての魅力は薄れ、海外からの投資は減り、従来ペースの成長はできなくなる。すなわち「貸し工場」で外資企業頼りの成長モデルでは、このままあと10年も成長が続くはずがない。
■8.中国経済の実像
残された道は、国民が豊かになって、国内消費が伸び、それが投資と国内生産を押し上げて、さらに国民を豊かにするという善循環を実現していくことである。
それこそが日本が高度成長を成し遂げたプロセスであった[c]。三橋氏は「日本経済は輸出依存で成長した」とする見方をデータで否定している。高度成長期を通じて、輸出はGDPの1割程度であり、民間最終消費は常に6割の水準にあった。池田内閣の「所得倍増政策」により、民間消費と投資が両輪となって長期間の健全な成長が維持できたのである。
しかし、現在の中国経済は高度成長を迎える前の日本経済とは、似ても似つかぬ実態となっている。
まず中国の輸出のDGP比率は、2009年で26%、ピークの2006年では39%もあった。すなわち、輸出依存度で言えば、日本の2.5倍から4倍という「超輸出依存型」である。
また個人消費は2000年まではGDPの45%ともともと低い段階であったのが、2009年には35%まで下がってしまった。逆に投資は2000年が34%で、2009年には46%にまで上昇した。政府の公共投資と不動産バブルの影響である。
民間最終消費が異常に低いのは、社会に構造的な問題があるからだ。
まず年金制度が未成熟である。中国の年金は「養老保険」と呼ばれているが、その加入率は、3億人を超える都市部労働者で半分強、4億7千万人の農村労働者では1割程度しかない。老後のため、せっせと自分で貯金するしかない。
医療保険も未整備である。中国で所得最高水準の上海での可処分所得は月2万円程度だが、病院の平均医療費は診療1回当たり約6千円。一回、医者にかかると、月収の三分の一近くがふっとぶ。
さらに中国国内の所得格差は凄まじい。人口の上位10%が国民全体の所得の50%を占めている。日本では20%である。一部の突出した富裕層は、ベンツを買い、海外旅行を楽しんでいるが、下層階級は毎日の生活で手一杯である。日本のように膨大な中間層が、カー、クーラー、カラーテレビを買い求める、という国民全体で豊かになっていく、という健全な成長ではない。
こうした現在の状況を見れば、個人消費と投資が両輪となった健全な日本型高度成長モデルに転換するのは、至難の業であろう。そして中国は発展途上国のまま、史上最速で高齢化社会を迎える。
これが「日本を抜いて世界第2位の経済大国」「外貨準備世界一の金持ち国」そして「いずれはアメリカを抜いて世界一の経済大国へ」と喧伝されている中国の実像である。
(文責:伊勢雅臣)
(3)安岡正篤一日一言 〜心に響く366の寸言〜
【科学と哲学】
「自然をいかに化するか」ということを考究するのを科学というならば、
「人間をいかに化するか」ということを考えるのがいわゆる哲学である。
本当に「化そう」と思ったら、
やはり深い哲学や信仰を持たなければいけない。
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(4)■「理科で使える模型を作ろう!」(2)原口栄一(鹿児島)
◆ 地形模型(2)
前回は積層模型をお知らせいたしました。
今回は、ペーパークラフト編です。これなら、すぐにダウンロードしてカラープリンタで
印刷して、組み立てられますよ。
1.火山
これは、キャノンのペーパークラフトのHP上の科学コーナーにあります。

印刷の設定もありますので、そのとおりに印刷すればきれいな模型が作れます。
このキャノンのHPには
アンモナイトの化石

などもあり、使えそうです。
これも火山で、簡単に作れます。外国のHPです。
2.地層
ここでは、いろいろな地層のモデルがダウンロードできます。(下の部分とつなげてご覧ください。)
http://www.microsofttranslator.com/BV.aspx?ref=IE8Activity&a=http%3A%2F%2Fwww.fault-analysis-group.ucd.ie%2Fpapermodels%2Fpapermodels.htm
3.地震
震源分布の立体模型もありますよ。
説明には、このように書いてあります。
「それぞれの

地方版(6個)の「震源くん」を組み合わせることで, 1年間に日本全国で発生した地震の活動を見ることができます。また,箱型に組み立てられた「震源くん」を横から見ると,
地面の下のどのくらいの深さに地震が起こっているかが良く分かります。」
また、2002年度版から2010年度版まで毎年の震度分布が作成できます。私は、これも演示用にポスター分割4枚で作りました。
有料ですが、こういうものもあります。
東京カートグラフィックス社のペンタグローブ「世界の震源分布(2010年版)」です。
実際購入して作りましたが、簡単です。手軽に出来ますよ。ただ小さいので、生徒に見せるのが困難ではあります。
(以下略)
次回は、分子模型(1)です。
2 税金は何に使われる?【解答編】
A1: 消防車は、ポンプ車・タンク車からはしご車・化学車など、機能・大きさや装備(はし ご車などは伸びる長さも)などの違いで、価格も大きく変わってきます。
A3 平成9年度のF-2調達価格
機体 77億2800万円 F110エンジン 13億1800万円 火器管制レーダー 7億8200万円
IEWS統合電子戦装置 7億7700万円 その他の装備品等 14億5700万円
ほぼ、岩倉市の平成22年度一般会計予算と同額です。
A4 4億2500万円(その1割が太陽光発電機の費用です)
A6 DoCoMoの場合、2500万円。
(借地のため、年間300万前後の地代が地主に支払われる。)
A7 約273万円 (電気代23万円、水道代41万円、浄化槽保主清掃85万円 他)
A8 1660 万円(税別) エレベーターより高い。
A9 東京都庁建設費1569億円
ちなみに、ドバイにできる700m以上の世界最高層ビルが約920億円。
地震がない国は安くできるのです。
A10 CVN-77:62億USドル(1ドル=81円として、5022億円)