社楽第35回報告

第３５回　社楽の会報告　　　　第３４回へ　　　第３６回へ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　報告者　布袋中　土井

８月２９日（木）６：００～９：１５，布袋北学供にて第３５回の社楽の会を開催しました。参加者は，土井，木本，勝村，奥村，川井，日比野，滝口，栗林，大島，高木（敬称略）の１０名でした。

☆　まず土井より、電照菊の調査のため渥美町・赤羽根町に行った報告です。取材は、主に渥美町役場　農業水産課　粕谷幸充さん（℡05313ｰ3ｰ1111）、赤羽根町役場　経済課　主査　大羽清一さん（℡053145ｰ3114）から話を伺いました。
　電照菊は、昭和１２年豊橋市に始まり、２５年渥美半島でも行われるようになりました。なぜ菊なのかは、温暖な気候はもちろんのこと、塩害によるハウス栽培の必要性、そして経済性だそうです。たとえば、およそですが、ハウスでメロン・トマトを作ると利益が坪当たり年間1.5万円、菊だけでまわすと年間２万円あるそうです。菊は、葬儀用として１年中安定した需要があり、特に阪神大震災の後は大量の注文が舞い込んだそうです。また、赤羽根町は義援物資として菊を贈ったそうです。
　菊の値段は、秋には１箱（200本）16,000円以上で売りたいそうです。
　温室は、最新式のもので、坪当たり15～20万、旧式でも７～８万円します。１農家の広さが平均1,000～1,200坪なので、高いものは２億円以上もするということになります。高田先生より、江南で電照菊をやっている石川さんを紹介してしただきました。また、取材に行ってきたいと思います。
・　続いて新聞記事'93･8･12の「原爆投下　不要だった」の京都新聞の記事、'93･5･28の中国新聞「アジアから日本の侵略詳細に学ぶ」の記事を紹介しました。後者は､ﾌｨﾘﾋﾟﾝ・中国・韓国・ｼﾝｶﾞﾎﾟｰﾙ・ﾏﾚｰｼｱで「日本の侵略」がどう教えられているかが載っています。どの国も、日本の侵略だけで数時間の授業を行い、教科書も数十ﾍﾟｰｼﾞにわたり書かれています。日本の東南アジア侵略の扱いとの違いに驚かされます。

☆　木本先生からは、パソコン通信で検索した'93･6･12（朝日）と'93･8･12（産経）の原爆関係の新聞記事の紹介です。
　6･12は「研究者２０人の回答　原爆開発計画の是非」原爆製造に携わった研究者にその是非について尋ねた結果です。はやく終わらせるために必要だった、真珠湾も悲劇だ、戦争そのものの是非を問うべき、被爆地へ行ってみないとわからないなどの回答でした。
　「原爆投下正しかった」も同様の内容で、20人中、原爆投下を「正しい」11人、「やむを得ない」5人、「判断すべきでない」4人、「不当」0という結果でした。
　「ﾋﾊﾞｸｼｬ像は米の歴史観否定？原爆製造の地で建立計画に反発」原爆が製造されたﾛｽｱﾗﾓｽ市の小学生が「原爆の子の像」の姉妹碑を建てようとしたところ、地元の「原爆が終戦をもたらしたという歴史の否定につながる」という批判が出たという内容です。
　8･12は「原爆投下は必要なかった？米が３か月前に通信傍受で情報入手」は米国防総省の国家安全保障局（NSA）が公開した機密資料の中に、旧日本軍の上層部が連合国に降伏する意向を抱いていたことを示唆する情報を米国が傍受していたというもので、「原爆投下が完全に不要だった」と米政策研究所の研究員が語っているというものです。
　いずれも、ﾃﾞｨﾍﾞｰﾄのためには大切な資料です。

☆　日比野先生からは、ﾃﾞｨﾍﾞｰﾄの構想です。ﾁｬｰﾁﾙやｸﾘﾝﾄﾝの「原子爆弾を使用してよかった（やむを得なかった）」についての是非について討論します。その後、原爆の惨状を確認した後、現在の核問題について知り、何らかの働きかけをするというものです。
　大筋は、これまで何度も話し合われてきた内容ですが、ﾃﾞｨﾍﾞｰﾄが成立するために、肯定派・否定派とも20～30の根拠となる資料があるといいと思われます。今後は、その資料を協力して探そうということになりました。ご協力をお願いします。

☆　川井先生からは、大使館への手紙の実例の紹介です。日本が戦時中に行ったことを東南アジアの国に尋ねる内容です。ただ、大使館は観光資料は送ってくれますが、それ以外はなかなか難しいのが現実です。大使館以外にも、交流協会などにも問い合わせる必要があるかもしれません。
　次回にリストを持ってきます。
・　次に、アジアの国々の教科書の記述を紹介していただきました。中国・朝鮮・ﾌｨﾘﾋﾟﾝ・ﾐｬﾝﾏｰ・ｲﾝﾄﾞﾈｼｱ・ﾏﾚｰｼｱ・ｼﾝｶﾞﾎﾟｰﾙ・ﾍﾞﾄﾅﾑの教科書の中に、日本の加害事実が具体的に書かれています。出典は、本田公栄『ぼくらと太平洋戦争』鳩の森書房、以前紹介のあった「アジアの子どもたちと戦争展の冊子」、『THE STORY OF JAPANESE SOLDIERS IN OUR COUNTORY』です。
　原爆投下を肯定しているｼﾝｶﾞﾎﾟｰﾙの教科書など、中学校実践でも十分利用できる資料です。
・　すごい資料『15年戦争史学習資料下』安達喜彦編著（平和文化）より“原爆の誕生、原爆投下命令、ﾏﾝﾊｯﾀﾝ計画、原爆はなぜ投下されたか、原子爆弾に想う「新華日報」、原爆は不要であった、なぜ原爆投下を急いだのか、ﾛｼｱとの最初の大作戦の一つであった”を紹介していただきました。すべて、ﾃﾞｨﾍﾞｰﾄの資料として使えます。この本は、このほかにも実に丹念に資料が集められており、その充実した内容には目を見張ります。
小学校のﾃﾞｨﾍﾞｰﾄのテーマは、次回までの宿題になりました。

☆　木本先生からは、評価についての確認です。やはり自己評価・相互評価は大切であり、夏休み中の課題の自己評価をさせておきたい、特に生かしたい児童・生徒を位置づけてその子を伸ばすための指導の過程や支援方法を考えたいということです。
　自己評価・相互評価については、それぞれで実践して、より有効で効率の良い方法を考えて持ち寄りたいと思います。

☆　奥村先生は、戦争資料の追加版を紹介していただきました。写真集『日中戦争』『原子爆弾』『記録写真集・沖縄戦』や『アンネの日記・完全版』、あの『原爆はなぜ投下されたか？』など、高価な本を積極的に購入する姿勢と意欲には頭が下がります。

☆　栗林先生からは、「小・中学校それぞれの指導計画を見て思うこと」として、資料をもとに意見を述べていただきました。
　・　全体の流れは“討論の部分”が大切だが、“生活に生かす・社会に働きかける”が目玉になる。
　・　小学校は加害の面で深入りはできない問題が多い。また、授業が盛りだくさんで、本当に調べさせたい時間が少ない。
　・　中学校は、歴史の「第２次世界大戦」を学習する以前の課題学習なので、原爆の被害はわかっても、原爆投下の背景や評価はとらえにくい。したがって、これからの核問題について討論をしていく方がよいのではないか。
この意見をふまえて、次回に話し合うことになりました。

◎　前回紹介した『内面性の心理学』は梶田叡一著（大日本図書\950），『自己実現の探究』は土井敏彦著（学文社\1,800）です

　　　　　　問い合わせは　土井謙次　　syaraku@tcp-ip.or.jp