第36回 社楽の会報告    第35回へ   第37回へ
                                  報告者 布袋中 土 井

 9月14日(木)7:00〜9:25、布袋北学供にて第36回の社楽の会を開催しました。参加者は、土井木本勝村、奥村、川井日比野、栗林、高木、岩井尾関野呂(敬称略)、そして和田先生の12名でした。

☆ まず土井より、学校訪問の指導案ー初稿です。東海地方の農業を、みかん・茶、電照菊と石垣いちごを例に、@ 温暖な気候と地形を利用 A 施設園芸を中心とした集約的農業であることをおさえるものです。内容は、あらかじめ生徒が作った問題に教師作成問題を加え、生徒が希望するコース(みかんコース等)の問題を教室にある資料を使って調べるというものです。さらに、発表班が、夏休み等に行った現地調査の発表をします。しかし、調査の量を減らし、思考する時間を増やすように改訂版を作成中です。
・ やや古い本ですが『世界の情報ソース』(KKダイナミックセラーズ)はとても役に立ちました。各国の大使館や領事館はもちろん、交流協会などの住所・пE仕事の内容が載っており、これまでにも、これを利用して児童・生徒が何度も手紙を出しました。
・ 布袋中では、文化祭で戦後50年にちなんだ展示を計画しています。@ 扶桑書店で当時の主な事件のあった新聞を実物大でコピーしてもらい展示する。A 墨塗り教科書と塗る前のものとを並べて展示する。B 歴史民俗資料館で当時のものを借りる。C 選択社会科の生徒の作品を展示する、などを考えていますが、他にアイデアがあったら教えてください。

☆ 野呂先生は、牛乳パックのハガキ作りを紹介していただきました。特殊学級の生徒が、牛乳パックから紙漉きをして、祖父母に手紙を書くという活動です。小さく切った牛乳パックを湯に漬けポリエチレンを剥がします。さらに細かくちぎりミキサーにかけパルプにします。それに粉末選択糊を少量混ぜた水によく溶かして紙を漉くわけです。もみじの葉などを入れるとしゃれたハガキになり喜ばれると思います。『ものづくりハンドブック』(「たのしい授業」編集委員会)がネタ本です。

☆ 野呂先生は、“山地の人々のくらし”の取材として津具村を取材したまとめを報告していただきました。人口1、930人で65歳以上が30.5%の過疎化が進んだ村(最近は人口が横這い)です。面積は、長野県との境があいまいだったため最近確定したばかりだそうです。林業は、作業員15名中50歳以上が14名と高齢化が進んでおり、後継者問題は深刻そうです。産業の中心は農業で、シクラメン、トマト、米が主な作物です。ランやイチゴの低温処理のための避暑も行われているそうです。現地取材は、そこでしかわからない情報が得られることはもちろん、そこの空気に触れられることが何よりですね。

☆ 今日の特集は、岩井先生から児童会規約の改正についてです。各学校の児童会・生徒会の現状、今後の方向性が話題になりました。ポイントは執行部と選挙の是非についてです。小学校では、近年大きな改革が行われていることを知りました。
 ・岩南小は選挙も執行部も廃止、行事は実行委員、日常の活動は代議員が行います。
 ・藤里小は学級委員が代議員になり総務委員会を構成します。その代表が児童会長の役割をします。
 ・犬西小は学級代表が運営委員会を構成し互選で長を決めています。動きがすぐ全クラスに広まるメリットがあるそうです。
・城東小も児童会長はなくなり選挙もなくなったそうです。
執行部をなくしたメリットは、児童会の垣根を下げて、気楽に参加できるため裾野が広がったこと。その反面、運営はうまく行かないこともあるということです。
 選挙をなくすメリットは、知らない子に投票する無意味さと時間数削減のためということでした。しかし、岩井先生は、将来、政治(選挙)に無関心な人にしないためにも選挙にはこだわりたいという意見です。古中では、生徒会の選挙の時には、市の選挙管理委員会に投票箱を借りるそうです。本物に少しでも触れさせたいという意味でしょう。執行部や選挙をなくすようになった理論的背景を知りたいと思いました。
全体として、次のような意見が出ました。@学級会の時間がなくなってからは、話し合いが下手になった。A時間の削減が、話し合う活動の減少へとしわよせがきている。

☆ 勝村先生からは、戦争関連の史料をお借りしている兼松さんに戦争体験を取材した結果、兼松さんの手記が載っている『続・平和への手紙』、(新日本医学出版社)『卒業50周年記念』(名工専D19会編)を紹介されたそうです。聞き取りの結果と合わせて、サンパークの会で紹介できるのではないかと思います。
・ 続いて、授業用資料として『社会科6年の授業』(あゆみ出版・小学校教育実践選書)『日本の歴史7』(家永三郎編・ほるぷ出版)を紹介していただきました。
 前者は、15年戦争を5時間完了で組み立ててあります。後者は、原爆投下に至る過程が詳しく書かれています。参考にしたいと思います。

☆ 川井先生からは児童の「戦争に関する研究の反省」「研究発表会」を紹介していただきました。その中で、児童から「日本が戦争に負けてよかったか?」という疑問が出されました。これはディベートのテーマにならないかということで、試しにその根拠を参加者に挙げてもらいました。
《負けてよかった》
   戦争から解放された。マインドコントロールガ解けた。勝っていたらまた何年後かに始めていた。平和の大切さがわかった。死の恐怖から解放された。続けていたらより多くの人が死んだ。対外的な拡張政策の放棄。中国・朝鮮の解放。アメリカ型自由主義が日本に入った。日本国憲法ができた。ファシズムの流れが止まった。など
《勝った方がよかった》
   負けたために進む道を決められてしまった。アジアから欧米人の影響を減らせた。領土・経済でもっと大きな力を持つことができた。日本の米軍の基地がなくかる。資源の確保。戦争責任を考えなくてもよい。軍事技術が発展し世界の最先端にいた。死んだ人が少しでもうかばれた。中学で英語を勉強しなくてもよい。など
実際にやってみると、小学生ではやや難しいかもしれないという感想を持ちました。いかがでしょうか?
・ ここで、軍人恩給の話題が出ました。ある方の総務庁の恩給局からの書類を見せていただきました。その方は、年に\513,800支給されていました。

☆ 尾関先生から、『平和への伝言 復刻・戦争実物資料32点』(あけび書房\3,200)を紹介していただきました。新聞・ビラ・召集令状・戦死通知書・衣料品切符・従軍証明書などで、玉音放送など4点の聴覚資料が入ったカセットテープ、解説書が付いています。

☆ 日比野先生からは、戦争に関する授業の課題一覧を紹介していただきました。肉親に被爆体験があったり、人肉を食べた経験のある人がいるなど、もし話が聞けるのであれば聞いてみたいものです。さらに、犬中の「平和を考える会〜広島平和派遣報告会」の紹介がありました。

☆ 木本先生からは、今年の実践の研究構想を示していただきました。
栗林先生からは、「戦争と新しい日本の出発」の単元では、戦後の生活・復興の様子をどう扱うのかという意見が出ました。
・ 次に、パソコン通信による意見収集の結果報告です。テーマは、中学校実践のディベートのテーマである「チャーチル発言に対する賛否」です。5名の回答があり、ここでは3名の意見を教えていただきました。「戦争になった経緯や原因、これから戦争を起こさないためにどうするかを考えてほしい。」「原爆投下は究極の選択だった。」という意見の他、綾華さんは「反対」の立場でいろいろな根拠を挙げていただきました。
 これを読んで、自分の意見が、これだけ整然とはっきりと言えるということのすばらしさに感心しました。自分も勉強になりました。
 

      問い合わせは 土井謙次  syaraku@tcp-ip.or.jp