第37回 社楽の会報告    第36回へ   第38回へ
                                  報告者 布袋中 土 井

9月28日(木)7:00〜9:25、布袋北学供にて第37回の社楽の会を開催しました。(延長戦はシェリーポートで10:40まで行いました。)参加者は、土井木本勝村川井日比野、栗林、高橋、大島(敬称略)の8名でした。今回も、膨大な資料が集まり、B4で74枚にもなりました。

◎ この日の午後8時より、NHKのETV特集で「原爆をどう教えるか・日米の教室から」という番組がありました。そこでは、まさしく中学校部会で実践しようとしていることが行われていました。シアトルのサンミッシュ高校2年生では、原爆投下直後のビデオを視聴した後、原爆投下に賛成か反対かを問いました。そして、それぞれが相手の立場に立って(立場を逆にして)ディベートをしました。@同情でなく論理的に考える、A相手の意見を想定して反論を考えることを基本に、それぞれが根拠となる資料を収集していました。なかには、原爆を正当化する学者に電話で直接取材している生徒もいました。
 ディベート後の生徒との意見は半々に分かれましたが、どの生徒も相手の意見をある程度認めるようになっていました。先生は、「一つの歴史的事件について考えると、教養と知性を備えた人は、様々な結論に達する。相手の意見でも根拠があれば判断の材料と考える。」と述べていました。 
東京の石神井中学校では、修学旅行先を京都・奈良から広島へ変更するにともない、原爆投下は仕方ないかどうかを話し合いました。仕方がないと考えた一人の女子生徒が原爆資料館を見て涙を流していたのが印象的でした。
 東大の藤岡先生は、「教師は結論を与えるのでなく、判断のための資料を与える」「結論を共有するのではなく、問題を共有することが大切」としめくくってみえました。

☆ 高橋先生からは、組合教研のレポート「子どもたちによる課題作りを工夫する−よい話し合いをめざして−」を紹介していただきました。課題作りの基本形は、個が問題を作り解く→話し合う価値の高い問題を選ぶ→全体で検討し課題とする、という流れで、3つの実践例が紹介されています。ここでは、よい課題の例として「輪中に住む人に輪中堤は必要か」「(米の)転作を進めることは、農家にとってそんか得か」「伝統工業をなくさないために、どうすればよいのだろうか」が挙げられていました。

☆ 土井からは、尾教研特殊教育部会の紙上発表用原稿−下書きの提案です。自閉的傾向を示す生徒が授業に集中できた事例から、その原因を考察したものです。その結果、@具体的な目標があるもの、A強烈な印象を与えたもの、B家庭と連携し、練習を重ねたものが集中できることがわかりました。
・ 次に、中学校社会科「東海地方の集約的農業」の指導案・改訂版の提案です。生徒が作った問題を多くの資料のなかから選択して解決した後、石垣イチゴから農家の生産を高める工夫を考えるという授業です。夏休みに現地で調査したグループの発表でまとめます。前回より、資料活用の時間を減らし、思考の場面を増やしました。
 「教師の支援」の欄に何を書くべきかが話題になりました。各校の「指導案」の工夫を紹介し合うために、一度特集を組みたいと思います。
・ 新聞記事の資料紹介です。'92〜'95・5月の新聞記事から、原爆・東京裁判など、今回の討論の資料になりそうなものを40点ほど集めてみました。京都が原爆の目標になっていたこと、東京裁判弁護側資料、アメリカは広島・長崎を実験扱いしていたこと、第2時大戦後の戦争の犠牲者がすでに2300万人をこえたことなど、生徒に考えさせることができる資料がたくさんありました。

☆ 今日の特集は勝村先生提案の「教えてほしい!運動会・体育大会〜苦悩する体育主任〜」についてです。種目の数や決め方、合同種目、選抜リレー、応援、地域との連携、職員の役割分担などについて各校の報告がありました。
 準備のために授業を削る時間は、総合練習を入れて11〜20時間近くで、以前に比べて減少しています。そのため、間に合わせるのが精一杯という声が聞かれました。選抜リレーはなく、通学班リレーもなくなる方向のようです。表現は、一時期やめる方向だったのが、最近復活してきたそうです。指令台には、子どもが乗る学校と教師が乗る学校に分かれました。
中学校は、陸上大会が基本で、応援合戦を行っている学校、競遊がない学校などで違いがでました。地域のお年よりを招待している学校も増えているようです。

 木本先生からは、附属での打ち合わせの報告がありました。他地区の実践は、
  名古屋小3ーものを作る仕事、中2ー中国・四国、
  一宮 小4ー火事を防ぐ、中1ーアメリカ合衆国、
  中島 小4ーわたしたちの県、中1ー東南アジア、
  愛日 小ー自動車工場、中2ーアメリカ合衆国 
  海部 小5ー放送局の仕事、中1ーアメリカ合衆国、
  知多 小5ー運輸業、中2ー関東地方です。
 偶然、合衆国が3地区で行われるので、何に視点を当てるのかが楽しみです。
・ 次に、前回に続きパソ通による一般アンケートの紹介です。今回は、10名ほどの回答がありました。前にも思いましたが、「原爆投下の賛否」について、はっきりと自分の意見が言える人というのが、世の中にはたくさんいるものだという感想を持ちました。また、生徒にもそうなってほしいと思います。国重さんという方は、この件についてかなり木本先生とやりとりがあったそうで、見ず知らずの人とこれだけ意見交換ができ、互いの世界が広がることは、すばらしいと思いました。これらの意見は、布袋中の選択社会科でも参考にさせていただきたいと思います。

☆ 高田先生より、尾教研のレポートを紹介していただきました。朝学習の20分間を利用して、新聞記事による時事問題に対する意見を書かせるものです。以前、大口北中でも行われ、私もやってみたいと思っていた実践です。犬中の工夫は次の点に見られます。@ 公民の授業に関連する問題を取り上げる。A リアルタイムを重視し、そのためにカリキュラムを組み替えている。例えば、公定歩合が0.5%引き下げのニュースに対して、経済の内容を一部授業で先取りして行うというものです。生徒の社会事象に対する興味・関心を高めるために、最も有効な手段の一つではないかと思います。

☆ 日比野先生からは、2年7組の戦争体験レポートを紹介していただきました。それぞれが、身近な人から聞き取りを行っています。これらは、貴重な証言として、「聞き取り集」に残したいと思います。
・ その他に、当日の指導案、発表会の評価表、原爆投下についての意見、原爆資料集を紹介していただきました。指導案については、時間がないのでは?、テーマが“必要だったか”ではなく“仕方なかった”の方がよいのでは?、討論準備の時間を長くとりたい、という意見がでました。原爆の資料はよく集められており、解説はどの程度つけた方がよいのか、生徒の実態に合わせて考える必要があります。

☆ 川井先生指導計画については延長戦で検討しました。ディベートを原爆の後でなく、第2時大戦後の世界の紛争の後に持っていき、@ 戦争を止めるところはなかったかについて話し合う。→でも止められなかった。→A 今後、二度と戦争を起こさないようにするにはどうしたらよいか話し合う、という流れにしてはという意見がでました。全体の流れから考えると、より自然な気がします。また、明るい未来をつくるための討論は、小学生にふさわしいと考えます。
 

      問い合わせは 土井謙次  syaraku@tcp-ip.or.jp