第38回 社楽の会報告    第37回へ   39回へ
                                  報告者 布袋中 土 井

10月12日(木)7:00〜9:25、布袋北学供にて第38回の社楽の会を開催しました。参加者は、土井木本日比野奥村高橋大島川井尾関(敬称略)の8名でした。

☆ 土井からは、組合教研の報告です。私の言い方も悪かったのですが、ディベートのテーマで誤解を受けたような気がします。「原爆はやむを得なかったか?」「満州事変は侵略か侵略でないか?」というテーマを設定することそのものが“危険”では?という意見がありました。しかし、現実に、アメリカ人の大半は原爆はやむを得ないと思っています。その理屈に対抗するには、感情でなく理屈で対抗するしかないのです。そのためにも、ディベートによる学習は必要と考えます。満州事変も同様で、侵略と考えていない人もいる以上、論理的に相手を説得する必要があります。
 さらに、ディベートの目的をはっきりさせる必要を感じました。ディベートには、長所も短所もあります。それを理解した上で使わないと、効果は薄いように思います。私は、ディベートの目的を、多角的な視野・論理的思考・資料活用の3点に絞っています。
・ 次に、尾教研丹葉地区社会科部会のレポートの紹介です。「社会の変化に対応する力」を「柔軟な思考力」と定義し、それを伸ばすために、@論述練習、A調査活動、B討論、C発展学習とし、その実践例を示しました。尾教研当日、どんなレポートが集まってくるかが楽しみです。
・ 最後に、学校訪問指定授業の研究協議参考資料を紹介しました。課題一覧、調査の方法、個の変容、論述練習、調査計画表、用語集です。

☆ 奥村先生からは、11年目研のレポートの報告です。11年目研は、研究計画と報告以外に3回の研修があるそうです。その2回目の研修会のレポートが、今回の「障害児が楽しく学校生活が送れる特殊学級の経営」です。これまでに、この会で紹介していただいた内容がほとんどでしたが、特殊教育における@個の理解と支援、A教材教具の工夫、B保護者との連携は、普通学級においても参考にすべきことだと思われます。

☆ 大島先生からは、学級の人間関係を調査する方法を紹介していただきました。出典は、岩上 薫著『小学校・若い教師のための学級経営相談』(明治図書)です。
 学級の友達の名簿に、どうしてもつきあいたくない人マイナス2点、親友としてつきあいたい人プラス2点と、全員を5段階に分けて評価させます。その結果を、他の児童に与えた点の合計をX軸に、他の児童から受けた点の合計をY軸にとった座標上に表すわけです。第1象限に位置する児童が多ければまとまった学級と言えるが、そうでない児童には特に配慮を要するということです。合理的で、客観的な方法です。

☆ 高橋先生からは、名古屋市社会科同好会の思考・判断グループの9月例会のレポートより大森北小・菅沼行生先生の実践、小6「戦後の新しい日本の出発」(6時間完了)を紹介していただきました。@歴代閣僚の問題発言から、戦後50年について考える、AB第2次世界大戦・太平洋戦争について調べ自分の考えをまとめる、C再度、閣僚発言について考える、D広島・長崎の原爆投下、中・仏の核実験について話し合う、E戦後の日本の歩みについて話し合う、という流れです。はたして、この時間で可能だったのか、どこまで深まったのかは疑問です。しかし、Cでは、おとなを含めた討論会を行うなど、興味深い実践です。詳しい内容を知りたいと思いました。

☆ 勝村先生からは、組合教研のレポート「児童が楽しく取り組む体育活動」で、児童が運動や遊びが好きになるために、T.Tの授業、教材・教具の工夫を紹介していただきました。教材・教具の工夫では、@鉄棒に人工芝を敷き棒に雑巾を巻く、A一輪車に楽しく挑戦できるように、認定証・ビデオ放送・表彰発表の場を設定する、B体力テストのチャレンジカード、Cプールのタオルかけを作成したそうです。どれも、他の学校でもに取り入れることができそうです。

☆ 木本先生からは、資料集の執筆計画の提案です。関係の先生はよく見ておいてください。サンパークは1月24日、県が2月2日です。

☆ 日比野先生からは、選択社会科の生徒が作成した「フランス・中国核実験について」、本島等氏の論文「米国は悪魔の兵器使用を正当化できない」、陸培春氏の「根強い天罰論」を紹介していただきました。
 「フランス〜」は、具体的な数値を交え、ワープロで作成してあります。明確に自分の意見を主張しており、中学生としては高く評価できるものです。
 本島論文は、原爆肯定派の論拠に対して書かれており、否定派の強い味方になると思われます。一方、「根強い天罰論」は、アジアの人が、原爆は日本への天罰と考えているので、原爆の被害を、アジアの言葉で、アジアに向けて発信するべきだと主張しています。
・ さらに、単元の評価計画、指導案を示していただきました。いよいよ実践に入ります。
生徒が何を考え、どう感じたかが楽しみです。

☆ 川井先生からは、資料の紹介と評価計画の提案です。
 はじめに資料集めでは、日本軍の加害調べのために、各国の大使館・交流協会・資料センターなど、30の諸機関に手紙で問い合わせをしたそうです。児童には、こうした経験が、社会の変化に対応する力になっていくと思います。
 さらに、「外国の教科書に見る日本の侵略」では、中国・朝鮮・フィリピン・マレーシア・シンガポール・ビルマ・ベトナム・インドネシアの教科書が紹介されています。教科書が、その国の政府の意志により書かれていることが、実によくわかります。児童は、これらをどう読みとるのでしょうか。
・ また、今回の授業の評価計画を示していただきました。中学校と同様、観点と評価の方法、評価基準、Cへの対応が示されています。評価したことにより、児童・生徒の支援がより明確になり、学習意欲をより向上することが目的です。その成果は、実践で明らかにしていきたいと思います。

☆ 尾関先生からは、組合教研のレポート、「生徒の自主性を育てる手だての追求」を紹介していただきました。心を育てる活動として、@生活日誌、A生活指導だより、B相談箱、C地区懇談会、D心の響き合う活動(道徳関連)、E掲示板等の利用。生徒が生き生きと活動するために、@合唱コン&フェスティバル、A学校日直、B福祉活動、C学年ごとの取り組み、D生徒会と学年部局の連携が紹介されていました。生活指導だより、学校日直はおもしろい発想だと思いました。

      問い合わせは 土井謙次  syaraku@tcp-ip.or.jp